先駆的医薬品指定制度について

先駆的医薬品は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第77条の2第2項に基づき、治療薬の画期性、対象疾患の重篤性、対象疾患に係る極めて高い有効性などの条件に合致するものとして、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定するものです。
 本制度は、患者に世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指し、一定の要件を満たす画期的な新薬等について、開発の比較的早期の段階から先駆的医薬品に指定し、薬事承認に係る相談・審査における優先的な取扱いの対象とするとともに、承認審査のスケジュールに沿って申請者における製造体制の整備や承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで、更なる迅速な実用化を図るものです。

 

制度の背景について

 これまで、海外では承認されていても国内では承認されていない未承認薬・適応外薬を解消するため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の審査員の増員を通じて審査期間の短縮を図るとともに、学会等からの要望に基づき、医療上の必要性を評価した上で未承認薬・適応外薬の開発要請を通じてこれらの解消に努めてきたところです。
 この考えを更に推し進め、世界に先駆けて、革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品を日本で早期に実用化すべく、その開発を促進するため、「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)及び「先駆けパッケージ戦略」(平成26年6月17日厚生労働省取りまとめ)を受け、平成27年度より、先駆け審査指定制度を試行的に実施してきました。
 令和元年の法改正により、先駆け審査指定制度が法制化され、新たに先駆的医薬品指定制度が創設されました。

指定の要件

 指定を受ける医薬品は、以下の4つのすべての要件を満たすこと。
なお、4つのすべての要件を満たす場合であっても、過去に先駆け審査指定制度の対象品目若しくは先駆的医薬品として指定された医薬品に対する当該医薬品と同一の作用機序による効能若しくは効果の追加、又は当該医薬品と同一の作用機序を有する医薬品に対する当該作用機序による効能若しくは効果の指定は、原則として行いません。

(1) 指定要件1:治療薬の画期性

 原則として、以下のいずれかに該当するものであること。
  • 既承認薬と異なる新作用機序であること
  • 既承認薬と同じ作用機序であっても開発対象とする疾患への適応は初めてであること
  • 革新的な薬物送達システムを用いていること
  
 なお、既承認薬としては、外国においてのみ承認を受けている医薬品を含む。

(2) 指定要件2:対象疾患の重篤性

 以下のいずれかの疾患に該当するものであること。
  • 生命に重大な影響がある重篤な疾患
  • 根治療法がなく症状(社会生活が困難な状態)が継続している疾患

(3) 指定要件3:対象疾患に係る極めて高い有効性

 既承認薬が存在しない、又は既存の治療薬/治療法に比べて有効性の大幅な改善が見込まれる、若しくは著しい安全性の向上が見込まれること。ただし、有効性の大幅な改善が見込まれるものについては、少なくとも国内外を問わず探索的臨床試験等において、ヒトに対する有効性が示唆されていること。

(4) 指定要件4:世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制

 日本における早期開発を重視し、世界(我が国と同等の水準の承認制度を有している国)に先駆けて又は同時に日本で承認申請される(最初の国の申請日を起算日とし、同日から3か月以内の申請は同時申請とみなす。)予定のものであり、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)で実施されている先駆け総合評価相談(以下「先駆け相談」という。)を活用し承認申請できる体制及び迅速な承認審査に対応できる体制を有していること。なお、国内での開発が着実に進んでいることが確認できる以下の両方に該当する治療薬であることが望ましいです。
  • First In Human (FIH) 試験が日本で行われたもの
  • Proof Of Concept (POC) 試験が日本で行われたもの
 また、使用に当たってコンパニオン診断薬等が必要となる医薬品を申請する場合は、当該診断薬等も並行して承認申請できる体制(他社との連携体制を含む。)を有していること。

先駆的医薬品の指定手続きについて

指定の方法

 先駆的医薬品の指定については、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて行います。当面の間は、年に2回程度(概ね4月及び10月)の指定を行うこととし、今後審査体制の状況に応じ変更するものとします。ただし、保健衛生上必要な場合には、臨時の指定も行うことがあります。なお、指定した医薬品については、指定年月日、医薬品の名称、対象疾患並びに申請者の氏名及び住所を厚労省ホームページに掲載します。

指定相談について

  • 先駆的医薬品の指定を希望する企業等からの指定相談を指定申請を行う前に行っており、相談の申込みは厚生労働省において随時受け付けています。(なお、第5回指定募集(令和元年11月締切)以降、令和3年1月までに5件の相談をいただいています。)
  • 指定相談は、以下の様式により、厚生労働省医薬局医薬品審査管理課の指定業務担当者に電子メール又はFAX等で申し込んでください。
  • 指定相談の日程は、指定相談申込み後、指定業務担当者より電子メール又は電話により連絡します。
  • 指定相談は原則30分から1時間程度としています。相談の出席者は内容に応じた適切な人数としてください。

指定申請について

 指定相談実施後、特段の問題がなければ、指定業務担当者の指示に従い、以下の資料を指定業務担当者宛てに提出してください。なお、資料は、原則として電子ファイルにより提出して下さい。

  • 申請資料
    1. 1. 指定申請書(様式:Word形式[27KB][27KB]
    2. 2.申請書の添付資料
      1. 作用機序又は原理に関する資料
      2. 医療上の必要性に関する資料
        1. (ア) 病因、症状等対象疾病に関する資料 
        2. (イ) 類似の医薬品の有無、治療方法の有無など医療の現状に関する資料
      3. 毒性、薬理作用等に関する試験成績の概要
      4. 臨床試験の試験成績の概要
      5. 本邦及び外国における開発計画の概要
      6. カ 指定申請する医薬品の概要(様式:Word形式[45KB][45KB]
        • 部会説明用資料及び公表用資料として、様式に従って作成した概要

指定された医薬品の優先的な取扱い及び留意事項

(1)優先相談

 PMDAで実施されている対面助言等で、他の医薬品に優先した取扱いを受けることができるので、実施時期等についてPMDAに相談してください。

(2)事前評価の充実

 PMDAで実施されている先駆け相談を受けることができます。ただし、申請から承認までの期間を6ヶ月以内に納めるためには、申請前からこれらの枠組みを積極的に活用する必要があることから、(4)のコンシェルジュに相談し、指定を受けた後から承認申請までに、原則、すべての相談区分で先駆け相談を利用してください。
  • 特に、品質については、承認申請後速やかにGMP調査が実施可能となるように、積極的に先駆け相談や医薬品品質相談等の枠組みを活用してください。また、実生産バリデーションデータの提出可能時期及びGMP調査の対応可能日の情報を承認申請時に準備してください。
  • また、信頼性調査に関しても、積極的に、先駆け相談等の枠組みを活用するとともに、速やかに日程調整・実地調査が可能となるよう、早期の段階から信頼性調査に必要な情報等を準備してください。
 なお、申請から承認までの期間を6ヶ月以内とすることを目指しますが、上記の先駆け相談による事前評価が十分でない場合、申請から承認までの期間を医薬品の評価の状況を踏まえて個別に設定することがあります。

(3)優先審査

 指定品目は法第14条第8項の規定により優先審査の取扱いを行うことします。

(4)コンシェルジュ

 厚生労働省及びPMDAの連絡調整を行うことができる適当な者として、PMDAにおいて指名される者(以下「コンシェルジュ」という。)が、当該対象品目の開発の進捗管理の相談、申請者及び承認審査関係部署との調整を行います。指定後早期に当該対象品目にかかるコンシェルジュは、当該対象品目について法第77条の2第2項の規定による指定を受けた者(以下「指定者」という。)に連絡します。

(5)その他

 指定を受けた対象品目の開発に付随して、先駆的医薬品の有効性又は安全性の向上等の目的で使用するコンパニオン診断薬等(体外診断用医薬品又は医療機器)の開発を併せて検討する必要が生じた場合には、対象品目の開発・承認に遅延が生じないように、当該診断薬等についても必要な措置(先駆的医薬品等への指定を含む。)を講じることがあるので、速やかにコンシェルジュに相談してください。

先駆的医薬品の指定の取消しについて

試験研究等の中止

 指定者は、当該指定に係る先駆的医薬品の試験研究、製造販売又は製造を中止しようとするときは、法第77条の5の規定に基づき、速やかに厚生労働大臣に届け出ることとされています。なお、中止の届出は、以下の資料を提出してください。

指定の取消

 法第77条の5の規定による中止の届出があったときは、法第77条の6第1項の規定に基づき、厚生労働大臣は、指定の取り消しを行います。また同条第2項の規定に基づき、次のいずれかに該当するときは、指定を取り消すことがあります。
 なお、指定を取り消す際は、医薬品審査管理課は、薬事・食品衛生審議会に報告の上、指定に準じてホームページに掲載します。
  1. (1) 指定された医薬品よりも先に他の医薬品等が国内で承認されたことなどにより、指定要件1又は2を欠くと認められるとき。
  2. (2) 検証的臨床試験における結果等から、極めて高い有効性が見込まれなくなり、指定要件3を欠くと認められるとき。
  3. (3) 指定された医薬品について、以下のいずれかの場合により指定要件4を満たせなくなったとき。
    • 世界に先駆けて又は同時に日本で承認申請を行わなかった場合。
    • 十分な事前評価を受けずに申請された又は申請資料に相当の瑕疵があると判明した結果、我が国での早期の開発が達成できなくなった場合。
  4. (4) 同一の医薬品が海外で先に承認されたとき。
  5. (5) 指定申請書の虚偽記載等不正があったと認められるとき。
  6. (6) 正当な理由なく先駆的医薬品の試験研究又は製造販売が行われないとき。
  7. (7) 指定者について法その他薬事に関する法令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反する行為があったとき。

承継の取扱い

 指定者から、他の者(以下「承継者」という。)に本邦での開発権を譲渡する場合、指定者及び承継者は以下の資料を提出してください。ただし、指定者が当該指定を受けた時点から、変更が生じている場合には、変更部分について、承継時点でも指定要件を充足することを示す資料もあわせて提出してください。また、承継は、指定者宛に発出する指定取消書、承継者宛に発出する指定書を以て認めるものとします。なお、承継を検討している指定者は事前に医薬品審査管理課へ相談してください。

  • 指定者及び承継者の連名で提出する資料
    • 承継の経緯等が把握できる資料
  • 指定者が提出する資料
  • 承継者が提出する資料
    • 指定申請書(様式:Word形式[27KB][27KB]
    • 申請書の添付資料
      1. 作用機序又は原理に関する資料
      2. 医療上の必要性に関する資料
        1. (ア) 病因、症状等対象疾病に関する資料 
        2. (イ) 類似の医薬品の有無、治療方法の有無など医療の現状に関する資料
      3. 毒性、薬理作用等に関する試験成績の概要
      4. 臨床試験の試験成績の概要
      5. 本邦及び外国における開発計画の概要
      6. 先駆的医薬品等の概要(様式:Word形式[45KB][45KB]
        • 部会説明用資料及び公表用資料として、様式に従って作成した概要

情報公開

過去の制度(先駆け審査指定制度)について

第一回

第二回

第三回

第四回

第五回

リンク

問い合わせ

厚生労働省医薬局医薬品審査管理課
先駆的医薬品指定業務担当者
TEL:03-5253-1111(内線:4233)
Mail : senku_iyakuhin@mhlw.go.jp
FAX:03-3597-9535