第4回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録(2017年7月13日)

日時

平成29年7月13日(木)9:00~12:00

場所

東海大学校友会館望星の間(35階)

出席者

井出アドバイザー
岩崎アドバイザー
上條アドバイザー
千把アドバイザー
野沢アドバイザー
宮嵜障害保健福祉部長
内山障害福祉課長
武田精神・障害保健課長
高鹿障害福祉課障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長
市川障害福祉課長補佐
照井障害福祉課長補佐
武内職業安定局雇用開発部障害対策課調整係長(オブザーバー)
社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会
一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会
特定非営利活動法人日本脳外傷友の会
きょうされん
一般社団法人日本発達障害ネットワーク
一般社団法人全国重症児デイサービス・ネットワーク
全国肢体不自由児施設運営協議会
全国重症心身障害日中活動支援協議会
全国医療的ケア児者支援協議会
公益社団法人日本精神神経科診療所協会

議題

1.関係団体ヒアリング3
2.その他

議事

○内山障害福祉課長 定刻となりましたので、只今から「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第4回会合を開催いたします。

 御出席いただきました団体、アドバイザーの皆様におかれましては、御多用のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 本日のアドバイザーの皆様の出席状況ですが、平野アドバイザー、二神アドバイザーにつきましては、所用により欠席でございます。また、岩崎アドバイザーが少し遅れているようでございます。なお、岩崎アドバイザー、井出アドバイザーにつきましては、途中で退席いたします。

 続きまして、構成員の出席状況ですが、主査であります堀内大臣政務官につきましては、本日、公務により欠席、また、朝川企画課長についても欠席でございます。高沢障害者雇用対策課長補佐につきましては、代理として武内係長が出席いたします。

 また、厚生労働省の人事異動により、構成員に変更がありましたので、御紹介させていただきます。

 副主査の宮嵜障害保健福祉部長でございます。

 構成員の武田精神・障害保健課長です。

 なお、武田精神・障害保健課長につきましては、公務により途中で退席をさせていただきます。

 次に、本日ヒアリングを行います関係団体の方々を、ヒアリングの順に御紹介させていただきます。

 社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会より、秋山副理事長でございます。

 一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会より、石橋副会長でございます。

 特定非営利活動法人日本脳外傷友の会より、古謝理事長、堀間理事でございます。

 きょうされんより、赤松常務理事、小野政策・調査委員長でございます。

 一般社団法人日本発達障害ネットワークより、大塚副理事長、橋口事務局長でございます。

 一般社団法人全国重症児デイサービス・ネットワークより、佐々木理事、鈴木理事でございます。

 全国肢体不自由児施設運営協議会より、朝貝会長、小崎副会長でございます。

 全国重症心身障害日中活動支援協議会より、宮野前副会長、木村幹事長でございます。

 全国医療的ケア児者支援協議会より、戸枝代表でございます。

 公益社団法人日本精神神経科診療所協会より、上ノ山副会長でございます。

 以上の方々に、御出席をいただいてございます。

 撮影はここまでとさせていただきますので、報道カメラの方は退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○内山障害福祉課長 次に、本日の資料の確認ですけれども、ヒアリング資料の1から10として、先程御紹介した関係団体から事前に提出された平成30年度報酬改定に関する意見の資料を用意しております。過不足等がございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。

 次に、本日のヒアリングの進め方でございますけれども、2ラウンドに分けて実施をすることといたします。まず、1ラウンド目として、前半5団体に意見を述べていただいたところで、アドバイザー構成員からの質疑応答をまとめて行います。その後、2ラウンド目として、後半5団体に意見を述べていただき、再びアドバイザー等からの質疑応答を行い、最後に、全体を通じて10団体の御意見を踏まえた質疑応答を行いたいと考えてございます。

 また、御意見については、1団体10分とし、御説明時間が5分を経過した時点でベルを1回鳴らします。10分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、その場合、速やかに意見をまとめていただきますようお願いいたします。

 なお、御説明については、机上に配付しておりますヒアリング資料の概要ページを用いていただきたいと思います。また、事前にお伝えさせていただいております3つの視点を踏まえて行っていただければと思います。3つの視点は、これまでのこの会議でも申し上げておりますけれども、1つ目の視点は、より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方策・評価方法。視点の2つ目は、地域において、利用者が個々のニーズに応じたサービスの提供を受けられるようにするための、サービス提供体制の確保に向けた課題及び対処方策。視点の3つ目は、障害福祉サービス等に係る予算額が、障害者自立支援法施行時から2倍以上に増加し、毎年10%近い伸びを示している中で、持続可能な制度としていくための課題及び対処方策でございます。この3つの視点を踏まえて行っていただければと考えてございます。

 それでは、早速でございますけれども、御出席の皆様から御意見を賜りたいと思います。まず、1ラウンド目として、前半5団体の方の御意見を伺えればと考えてございます。

 まず初めに、社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会様、よろしくお願いいたします。

○全国重症心身障害児(者)を守る会 おはようございます。全国重症心身障害児(者)を守る会でございます。日ごろより、重症心身障害児(者)施策につきまして格別の御配慮をいただいているところでございまして、感謝を申し上げます。また、この度はこのような機会をいただきまして、ありがとうございました。

 3ページに、私どもの概要がございます。

 視点-2として6項目を挙げております。そのうちの6番目の項目は視点-3の持続可能な制度とも関連しますので、この項目から説明を申し上げます。6、通園事業利用者の通園保障のため、経営実態調査から欠席補償ではカバーできない経営実態を踏まえ、安定した運営が可能となる報酬単価を設定していただきたいというものでございます。当法人の実施しております通園は、就学前児童を対象としておりますが、欠席率が50%を超えることがしばしばございます。欠席の理由は、母子通園であるということで、本人の体調はもちろんですが、親の体調あるいは親の都合、きょうだいの体調等、様々な事情でございます。つきましては、旧重症児通園事業から移行した児童発達支援事業、生活介護事業について経営実態調査をよく分析いただきまして、安定した報酬単価となるように単価設定をお願い申し上げたいと思います。

 次に、視点-3といたしまして、持続可能な制度についてであります。詳細は10ページにございますが、障害児福祉計画達成の懸念ということで、新たに作成された障害児福祉計画では、主に重症心身障害児を支援する児童発達支援事業及び放課後等デイサービス事業を各市町村に少なくとも1カ所以上確保することを基本とする方針が示されておりますが、こうした不安定な経営状況が解消されない場合、この事業の進捗にも影響が出るのではないか。このように思っております。次に、福祉人材の確保であります。福祉人材の確保を図るため、障害福祉の職種にモチベーションを刺激するようなキャリアパスの仕組みを設けるなど、給与面以外の魅力を付加することが必要ではないかと思っております。次に、自助・共助・公助の調和のとれた施策の推進ということで申し上げます。障害者福祉等サービスで利用者数は、年々増加の傾向にありますが、一方で、相談支援などを通じて、自助・共助・公助のバランスのとれた支援策を推進することで、効率的な運用に資することができるのではないか。このように考えます。例えば、通所サービスを利用するに当たっては、利用者の増加を踏まえ、通所日数をシェアするということで利用日数を分け合い、あるいは通所しない日には、自分の好きな場所への外出、あるいは趣味を生かす、自己実現の活動に充当するなどで過ごすことになればと思うわけであります。シェアを決めるに当たっては、相談支援の段階でチョイスすることで調整することができるのではないか。このように考えております。

 それでは、一番上のほうに戻っていただきまして、1、計画相談支援の専門性を評価してください。詳細は、4ページでございます。重症児の相談支援は、親の障害受容が主要な柱となります。NICUなどの医療機関からの退院支援の場合などは、相談員が何回も病院を訪ね、医療関係者との調整を図るとともに、保護者との信頼関係を築くことから始まります。その後の利用計画の策定までには、関係機関等との打ち合わせなどに1カ月から3カ月を要することがあります。このような長時間を要する事例について、基本報酬に時間を評価した加算を設けていただきたいということでございます。

 次に、2、緊急短期入所を保障するため、空床が機能するように報酬単価を設定してください。詳細版は、5ページでございます。短期入所は、どこも1カ月から2カ月前に申し込みをしている状態でいつも満床でございます。従いまして、緊急時の受入れは利用できないのが実態でございます。緊急時の受入れベッドの確保は、今の確保料が余りにも低いために、事業者は確保しようとしません。せめて50%程度の補償がなければ確保は難しいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

 次に、3、重症心身障害児(者)短期入所病床の確保対策でありますが、6ページでございます。診療所併設型の福祉型短期入所事業所の報酬を、医療型短期入所サービス費と同等の額としてくださいというものであります。医療型短期入所事業所は、自治体が行う病床数の管理によって増床が難しい状況にございます。福祉型の短期入所事業所に診療所を併設した場合には、医師や看護師の確保を条件として、医療型短期入所事業と同様に報酬単価を適用できるようにお願いしたいということでございます。

 次に、7ページに詳細版でございます。4、新規に強度行動障害者として判定を受けた者で、特に医療的ケアを必要とする者を療養介護の対象としてくださいというものであります。本来であれば、強度行動障害者に特化した新たな専門利用施設体系が必要だと考えますが、これができないのであれば、医療的ケアを必要としている者については、療養介護の支給決定が受けられるようにしていただきたいというものでございます。

 8ページでございます。5、重症心身障害児が入院した場合、者と同様に重度訪問介護の利用を可能としてくださいというものでございます。平成30年度から、重度訪問介護を利用している方が医療機関に入院した場合、一定の条件の基に重度訪問介護の支援が受けられるようになります。児童におきましては、重度訪問介護そのものの適用ができませんが、親元を離れ医療機関に身を任せることは、大人の場合と条件は変わりません。者が対象となるのと同様に、児童につきましても、医療機関に入院した場合、重度訪問介護の対象としていただきたいというお願いでございます。

 以上、よろしくどうぞお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

○内山障害福祉課長 どうもありがとうございました。

 続きまして、一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会様、よろしくお願いいたします。

○全国肢体不自由児者父母の会連合会 おはようございます。本日は、このような場を提供していただきまして、ありがとうございます。

 私どもは、1961年に全国組織を設立した会でございまして、会の概要につきましては、2ページに記載したとおりでございますので、御参照願えればと思います。

 どんなに「重い障害を持っていても地域で普通に生きる当たり前の生活」の実現や「親の高齢化・親亡き後への対応」は、当会としても、また、母親としても父親としても永遠の課題であり、喫緊の課題であると考えております。同時に、サービス等利用計画どおりの障害福祉サービスが着実に受けられるように進めなければならないと考えております。中でも、障害児・者のリハビリは非常に必要なのですけれども、この実態がどうなっているのかということで、当会といたしまして、全国の会員に調査をいたしまして、6月に中間報告をまとめることができております。

 報酬改定につきまして、次のとおり、要望いたします。

 地域生活を支援する新たなサービス内容の充実について、申し上げたいと思います。医療的なケアを要する障害児者に対する支援の充実です。3ページに7項目を記載させていただいております。

 医療的ケアを要する障害児者が、現在、福祉サービスの利用ができるということになっているのですけれども、なかなか難しい現状にあります。実務者研修でカバーできない医療的ケアが増えているため、制度の見直しが必要と強く思っております。例えば、吸引につきましても、カニューレフリーという術式が増えておりますし、けいれん発作のために座薬を使用する方も多く、導尿や薬液吸入が必要な方も増えています。これらに対応できるようなシステムの見直し、また、それに対応できる看護師が必要ではないかと思っております。看護師だけの対応だとしますと、施設で受入れの制限を招いており、事業者を探すのに大変苦労しているところでございます。また、濃厚な医療的ケアが必要となってきておりますので、医師との連携も必要となってきております。

 この辺のところは、5ページ、6ページの表1、表2を参照していただければと思います。

 もう一度4ページに戻りまして、先程のリハビリの件ですけれども、重度重複障害者にとって、リハビリを兼ねた通所ということも含めまして週5日が保障されていませんと、体調が悪くなった時には満足に通所することができないという事情にあり、そういうことからも医師との連携が必要と考えております。4ページの医療的ケアでございますが、介護職の方が行えるようになって数年経ちます。先程のシステムの見直しと同じようなことですけれども、こちらも見直しが必要ではないかと思っております。なかなか施設のほうでそうならないというのは、最大の要因は慢性的な人手不足の問題と介護支援研修に出す余裕がないというところにあるのではないかと思っております。

 また、施設内の指導医の配置が位置付けられていないため、看護師さんたちへの責任が重くなり、なかなか長続きしない、安定的に雇用に繋げていないという声も寄せられております。さらに指定管理に移行すると、民間と公設との間で差が生じておりまして、公営のほうに移っていくという傾向が見られております。

 6ページに行きまして、肢体不自由児者にとってリハビリは生涯にわたって必要です。提供体制が乏しく、維持改善どころか二次障害に至る場合も起きております。障害児(者)が生活する地域においてリハビリが受けられるように、脳血管等リハビリテーション料と同等の金額へ引き上げられるよう要件の改善をお願いしたいと思います。移動支援のことにつきまして、これは3年後の見直しということでありましたけれども、個別給付と地域生活支援事業の2本立てになっているがために、地域間格差が生じており、全国一律の制度となることを望んでおります。

 次に、視点の2と3を併せて、地域生活を支援する新たなサービス内容の充実について申し上げたいと思います。東京都で一会員が調べましたところ、民間と公営における常勤・非常勤、また、それに加えて雇用年数を調べましたところ、圧倒的に公営のほうが常勤配置がきちんとされ、また、経験を積んだ方がきちんとそこで職につかれているということで、施設の安全性に首をかしげてしまうことが目立ったという報告も受けております。東京都肢連で行いましたアンケートにつきましては、8ページのところに法内化入居施設数を調べた結果を掲載しております。

 医療的ケアで示した看護師さんでも同じことが言えたのですが、公設の看護師配置、専門員配置は、民間と比べると公設のほうが厚いのですが、民間ではやはり少ないという傾向が見えております。国の方針に基づきまして、施設入所から地域移行にはグループホームの整備が必要なのですけれども、重度障害者が利用できるグループホームがなかなかうまくいっておりません。そこで、その設置促進と、障害当事者、親の高齢化による入所の必要性が高くなることを鑑みて、住まいの整備と重度障害者の入所施設の整備も併せてお願いしたいと思います。重度障害者がグループホームへ入居した場合、「障害者基礎年金」、「特別障害者手当」等の支給金額よりも費用を多く要する事業所もあり、こちらのほうが、家族、親の負担となっております。重度重複肢体不自由者が独立した個人として地域で最低限の健全な生活を営むことができるよう、少なくとも生活保護受給者制度までに増額を図っていただきたいと思いますし、自宅でこれから生活する方が多くなると予測しております。その時に、グループホーム等で生活している利用者にのみ月1万円の住宅手当が出るというのは不公平ではないかという意見も寄せられており、今後、親の遺産を引き継いで自宅で暮らす人が間違いなく多くなると思いますので、障害者年金の実質のアップをお願いしたいと思います。障害者の在宅医療が進んでいきますと、重度心身障害者、難病患者、医療の必要な高齢障害者の地域生活が安心して継続できるように、お図り願いたいと思います。

 同時に、基幹相談支援センターが多くの自治体で未だに整備されておらず、その数も不足しております。指定相談事業所が運営できるよう、国からも働きかけをお願いしたいと思います。また、減災という意味合いで、障害支援区分認定調査票や計画相談支援、障害児相談支援の参考様式集のアセスメント項目に、災害時支援に関する項目を設けていただきたい。それに併せて、通学、就労についても記載していただきたいと思います。最後に、就労継続支援事業所の食事加算の減額施策が、平成29年度、すなわち平成30年3月31日までが期限になっておりますけれども、利用者が安心して施設を利用できるように平成30年度以降も継続するようにお図りをお願いしたいと思います。

 以上です。

○内山障害福祉課長 どうもありがとうございました。

 続きまして、特定非営利活動法人日本脳外傷友の会様、よろしくお願いいたします。

○日本脳外傷友の会 特定非営利活動法人日本脳外傷友の会です。私どもは、中途障害です。事故や脳疾患により、高次脳機能障害という障害を持った者です。

 友の会の概要につきましては、2ページを御参照ください。

 早速ですが、このような機会を設けていただいて、感謝しております。視点-1から、ここに挙げさせていただきました1、2、3の項目です。高次脳機能障害者・児における地域生活支援事業の移動支援条件の見直しについて、高次脳機能障害者・児の復職/就業促進及び復学/就学促進のために、高次脳機能障害と診断された者の地域生活支援事業における移動支援サービス提供として認めるべきである。2、就労移行及び就労継続支援における復職支援加算の新設について、高次脳機能障害者の復職希望が多いため、就労移行及び就労継続サービス報酬に復職支援サービスも含めるべきである。3、高次脳機能障害者・児に対する社会的行動障害加算の新設について、高次脳機能障害者・児の社会的行動障害は社会復帰の大きな阻害要因となっており、その対応に報酬加算をすべきである。

 視点-2ですが、1、2は参照してください。支援会議を開催するための報酬ということは、ほかの事業者さんも同じことだと思います。この視点-2の3に挙げさせていただいた、地域からの相談に対応するための就労支援事業所及び地域生活支援事業所への公認心理師の必置についてです。後天的な障害である高次脳機能障害者・児本人及びその家族にとって、発症/受傷後の心理支援が重要な支援となることから、公認心理師の必置が必要である。

 視点-3につきまして、常勤職員・専門職員を継続して雇用できる(安心して就業できる)適正な報酬単価の見直し、高次脳機能障害者・児に対する持続可能なサービスの体制の確保及び適正な環境調整のための大きな課題として、適正な報酬単価の見直しが必要である。

 詳細ですけれども、視点-1の1、2、3と挙げさせていただきました。

 1、高次脳機能障害者・児における地域生活支援事業の移行支援条件の見直しです。高次脳機能障害者・児には注意障害・記憶障害・地誌的障害・半側空間無視など、後遺症として有しているものが多いです。この障害の改善は医学的にも困難と判断されている。そして、この後遺障害が主な要因となり、高次脳機能障害者・児には自宅から職場/学校への独力での通勤・通学に課題を有している方が多く認められます。その結果、身体機能及び精神機能的に可能なレベルであっても、復職/復学あるいは就労/就学が困難になっている状況があり、移動支援を利用し通所・通学訓練を行うなどで通所・通学が可能になるケースもある。期間を限るなど段階的に認めてほしい。地域生活支援事業の移動支援は障害者総合支援法第77条第1項第8号にて規定されており、実施主体である市町村がサービス提供の可否を判断している。しかしながら、通勤/通学を目的としたサービス提供が対象外とされているのが実態であり、高次脳機能障害者・児の復職/復学あるいは就労/就学の促進を阻害している。

 2、就労移行及び就労継続支援における復職支援加算の新設について。ここでは、障害者総合支援法による就労関係のサービス就労移行、就労継続(A型/B型)となっています。このサービスに対する報酬は、一般就労に結びついた結果として基本報酬に加算されます。しかしながら、高次脳機能障害は後天的な障害ですので、就労/就学している年齢層へのサービスとなり、復職/復学支援となります。昨年度のサービス利用者年齢層別人数と新規就労者と復職者の割合は資料のとおりであります。資料を参照してください。復職者へのサービスには報酬がありません。復職サービスは職場ごとに求められる内容が異なります。またジョブコーチ役も求められ、全くの個別対応となって、新規就労者サービスと同等、それ以上の時間と人員が求められます。今後も高次脳機能障害者の復職対応は増加することが考えられることから、早急な対応が必要になると考えます。

 3、高次脳機能障害者・児に対する社会的行動障害の加算について。これもかなり必要なことだと思います。

 意見・提案の内容ですけれども、高次脳機能障害者・児の社会的行動障害は社会復帰の大きな阻害要因となっておりますので、その対応にも報酬加算をしていただきたい。

 視点-2のところですけれども、1、2、は文書作成ということで御参照ください。3につきまして、地域からの相談に対する就労支援事業所及び地域生活支援事業所への公認心理師必置についてです。先程も述べましたように、高次脳機能障害者・児になられた方、御本人、御家族に対する精神的なサポート、感情・心理・精神への支援策などは多岐にわたる内容であり、この後天的な障害を有したことに対する心理相談は、刻々と状況に影響されて変化することから、特に重要な支援となっています。この心理支援に対する専門職として心理支援をなりわいとする公認心理師が適切と考えられる。このため、高次脳機能障害者・児の支援サービス機関・事業者等には公認心理師を必置の職種とすることが必要である。

 以上を踏まえまして、視点-3ですけれども、常勤職員・専門職職員を継続して雇用できる(安心して就業できる)適正な報酬単価の見直し。利用者に対する適切なサービスには、専門職が継続的・安定的に就労できる報酬単価が必要である。本来、地域生活支援事業の実施主体は市町村であり、行政が直営で運営するべき福祉事業を民間がかわって実施しているから、行政職員と等しい生活を保障すべきだと考えられる。現状は、少ない常勤と多くの非常勤でやりくりをしており、職員の入れかわりが多い。利用者へのサービスの質を保証するためにも、安定した職員体制の維持と職員-利用者の良好な関係形成が求められる。また、高次脳機能障害者・児にとって、適切な環境整備と空間的配慮が必要。高次脳機能障害者・児の中には、視覚刺激や聴覚刺激、嗅覚等の感覚に過敏性が生じやすかったり、特定の利用者に対して攻撃的な感情を抱いて、その修正が困難なことも少なくない。このような時には物理的に距離をとるために別室やスペース、パーティションで区切るといった環境調整が必要となる。当然そのための職員の配置も必要である。しかしながら、現状の報酬単価ではそれは十分に対応できていない。高次脳機能障害者の支援に当たっている職員への専門性を考慮して働きがいのある報酬を提供し、当事者が就労・就学にしっかりと定着することで、社会に還元することに繋がる。また、重度の認知行動障害がある場合でも専門性を持った支援により、ひいては自立度を高めていくことができるので、福祉サービスに係る予算をしっかりと確保することが、持続可能な制度に繋がると確信します。

 このようなことがありますので、職員の改善ということで、人材の育成も踏まえて、これをよろしくお願いいたします。

 以上です。

○内山障害福祉課長 どうもありがとうございました。

 続きまして、きょうされん様、よろしくお願いいたします。

○きょうされん きょうされんの政策・調査の責任者をしています、小野といいます。

 私から、意見を述べさせていただきます。

 きょうされんの団体の概要については、2ページに記載のとおりです。現在では、重い障害のある人たちの地域での働く場、活動の場、日中活動支援から、暮らしあるいは本人主体の活動などを支援している事業者が会員として構成をしています。そうした活動から意見を述べさせていただきます。

 3ページの概要版に大きく3つの意見を整理いたしましたが、まず、1点目の報酬改定の基本的な視点とその基本の課題について、ここが前提の問題意識になりますが、そこは(1)から(3)まで3つに分けて述べさせていただきます。

 (1)については、事前にいただいた視点-3に関わる点についての意見になります。資料では9ページにその図を記載させていただきましたが、政府予算の10%ごとの増加、自立支援法ができてから2倍の予算の増加についてという視点がありましたが、それについては、障害のある人の生活実態、特に9ページにありますように、全社協の各団体とも協力して、障害のある人の生活実態の調査をしましたが、現状も目減りを続ける障害年金等の収入を基礎とした時に、その所得保障の水準は極めて低い。それが現状の生活実態に反映しています。確かにサービスの量はここ数年増えてきましたけれども、障害のある人との家族の生活実態には何ら変化はその水準にはないと評価をしていますし、また、これは皆さん御存じだと思いますが、OECD諸国における障害者施策の特にGDPに占める割合については、基準を下回っております。こういった国際的な水準からきちんと評価をし、その実情にかなった制度の持続可能性という前に、障害のある人の人生と生活の持続可能性が前提にされるべきだろうと考えます。

 2つ目に、視点-1と2に関して、必要十分な支援の量や質の確保をするために、これは今の常勤換算方式という1時間当たりあるいは1日当たりの職員の人員の配置を基礎とした非常勤で人数を合わせれば何とかなるという、その基本的な考え方の仕組みを変えて、正規の職員をきちんと配置していく仕組みが必要であろうと思います。今回、緊急の調査をした結果を資料の5ページに図を掲載させていただいていますが、実際に現場で働く職員の給与水準、これは非正規も含めてですが、極めて低い実態にあります。先程から、人手不足の問題が指摘をされています。余談ですが、うちの職員の子供の学校の卒業式の際に、将来なりたい仕事の中に福祉や介護ということが子供たちの未来像として語られなかった。そういう意味では、福祉や介護の仕事につきたいと思えるような、そういう水準に引き上げるべきだろう。この深刻な人材不足については、早急に政府の責任で実態調査をするべきだと思います。

 3つ目に、これは特出しですが、福島県南相馬地域の避難指示解除地域の障害福祉のサービスを行っている事業所の94人の職員の実態調査、事業者の調査を行いました。資料の10ページ、11ページに、その抜粋をしておきました。現状のこの基本報酬の仕組み、総合支援法の仕組みでは、十分な人手の確保や支援体制の確保が困難である。特別な、ある意味で特区のような指定をするというような、原発問題という障害福祉では解決のしようがないものが横たわっていますので、これは早急に特別な対応が求められると思います。

 大きな2つ目に、個別の重点課題について列挙させていただきました。特に、(1)食事提供体制加算、(2)日中支援、(3)グループホーム、(4)居宅支援、ここは共通して、内山障害福祉課長が当時担当されていた制度改革推進会議の総合福祉部会で、骨格提言がなされています。その骨格提言をベースに、意見を述べさせていただきます。

 まず、日中活動の食事提供体制加算については、来年の3月末をもって廃止ということが言われていますけれども、これを即座に廃止してしまうと、利用者に新たな負担を転嫁しかねない。あるいは、特にグループホームに暮らしている人にとっては大きな負担になりますので、当面の継続又はやはり給食提供という位置付けでの基本報酬への再度の位置付けの明確化が必要ではないかと思います。

 日中活動支援についても、基本はこの骨格提言に基づいて常勤換算方式を廃止し、日額払いを見直して基本報酬基準を引き上げる。これが基本です。また、地域活動支援センターは、本当に実態がつまびらかになっていません。私どもが調査をした結果の抜粋を6ページに記載しておきましたが、本当の全国の市町村でばらばらの水準でやっています。これを何とか引き上げる必要があると考えます。

 グループホームについては、1から6を挙げさせていただきました。これも基本は骨格提言に基づく常勤換算方式の廃止と日額払いを見直すこと、基本報酬基準を引き上げるということ。その障害のある人たちの生活に必要な支援体制の確保が2から6にわたって書かれています。現在、特に私は医療的ケアの必要な障害のある人たちや重度の高次脳機能障害のある方のグループホームの管理者を行っています。島田療育センターやPTあるいは訪問看護ステーションとの連携なくして、彼らの命と生活を支えることはできません。現状のグループホームの報酬体系の中で、そういった重心の人たち、重度重複の人たちの生活を支えるという考え方がありませんので、このグループホームの制度の見直しが必要かと思います。

 4つ目に、居宅支援、共生型について、まず、家事援助については、特に軽度者の家事援助の基準引下げは避けるべきだと考えます。共生型サービスについて、7月5日に介護給付費分科会で共生型サービスについての資料が配付をされました。聞くところによると、それ以前に、一部の障害者団体、事業者団体にはその内容が示されたようですが、特にここで強調しておきたいのは、大臣も何度も国会答弁で繰り返しましたように、障害福祉と介護保険を統合するものではない。この前提に立って、この共生型サービスについては、生産性の向上と効率性という視点から、専門性を軽視した基準としないでいただきたい。

 最後に、報酬改定に伴う問題ですが、利用者負担についてです。これは、違憲訴訟の基本合意文書の遵守とその対象拡大について述べさせていただきたいと思います。

 以上です。

○内山障害福祉課長 続きまして、前半の最後でございますけれども、一般社団法人日本発達障害ネットワーク様、よろしくお願いいたします。

○日本発達障害ネットワーク 一般社団法人日本発達障害ネットワークの大塚と申します。よろしくお願いします。

 日本発達障害ネットワークは、発達障害関係の全国及び地方の障害者団体や親の会、学会・研究会、職能団体などを含めた幅広いネットワークです。今回、報酬改定に関する意見ヒアリングという機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 お手元の資料の3ページ、障害福祉サービス等報酬改定に関する意見等(概要)ということで、これに沿って御説明をしたいと思います。

 視点は3つありますけれども、1番目に、より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方策・評価方法であります。発達障害に関して、特に児童発達支援センターや放課後等デイサービスということに関わる意味から、ここにおける質の高いサービスが提供されることを期待しております。その意味で、両方ガイドラインが出ましたけれども、それに書かれているサービス評価をきちんとして公表していくというのが一つのベースになると思っています。特に放課後等デイサービスについては、ニーズは非常にたくさんあるということで、利用者数は伸びているということでもありましょうけれども、それに伴ってサービスの質が困難になっているという、これをどう考えるかということがあります。多分ニーズが高いということは必要性が高いということで、このデイサービスを今後も持続ある制度とするためにも、どのような見直しがあるか。私は根本的な見直しが必要だと思うのですけれども、考えております。根本的見直しの観点は、法律上は、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他をメインということで、いわゆる発達支援を含めた本人支援ということだとは思いますけれども、例えば、その質の観点から、例えば、テレビを見ているだけで、ゲーム等を渡して遊ばせているだけだということのような、こういう質が問題視されているわけですけれども、例えば、テレビを見るということに関しても、集団生活能力の向上のために友達とともにテレビを見ている訓練をしていると、こう捉えれば十分にその内容はあるわけですので、そもそもこの法律のたて付け、その内容自体が本当にどのようなサービスを提供するかということが分かっていないというところに課題があると思っています。

 また、発達支援ということではありますけれども、一義的には学齢期でありますから、学校が行うということだと思っております。そうすると、福祉がやるべき、授業が終わった後は何をするかということがまだ共通の認識になっていないのではないかということであります。授業が終わるということで、学習支援であるとかということのニーズはあると思いますけれども、そういうものは果たして福祉的な公費を使ってやるべきかということも含めて課題になっていると思います。それに対して、放課後児童健全育成事業というのは、保護者が労働等によって昼間に家庭にいないために、授業の終了後に施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与える。まさに親御さんの働く機会とその期間における子供の充実した生活の場ということで構築されているわけですけれども、この部分で十分なのではないかと、同じような関係だと思っています。どうしても必要な発達支援という観点があるのであれば、児童発達支援センターや事業所があるということで賄えると思いますので、根本的なことも含めて共通認識がないと、なかなか質を担保することは困難ではないかと思っています。

 ただ、そうはいっても法律マターなので、今、当面必要ということであれば、先程言った支援の質をきちんと評価することと、放課後等デイサービスは、重症心身障害の方は評価されているということなので、強度行動障害も含めてきちんとした支援ができるような報酬体系にすることが必要だと思っています。つまり、支援がかなり必要あるいは高度に必要な人については、きちんとした評価を行っていくということです。

 2番目といたしましては、相談支援が、例えば、障害児支援利用計画がまず立てられて、放課後等デイサービスの御本人、御家族のニーズのアセスメントをすることによって、どのくらいどのような支援が必要かということをきちんと行う。セルフプランが多いという状況を見れば、これはまず出発点なので、最低のルールかと思っています。

 もう一つ、ガイドラインにも書かれていますけれども、福祉と教育の連携ということであれば、学校と放課後等デイが支援会議を開きながら、あるいは個別の教育支援計画と児童デイの個別支援計画をよく擦り合わせるということをきちんとやっているか。これは最低基準だと思っておりますので、そこはやっていないということであれば、減算も含めて考えるべきことかと思っています。

 児童発達支援センターについて、専門性の確保ということも含めて、そもそも専門性ということになると、今の児童指導員と保育士でいいかということも含めて根本的に問題になりますけれども、心理や、OT、PT、STなどの評価、今は加算で付いていますけれども、もう少し改善の余地があるかと思っています。

 2番目の視点です。地域において、利用者が個々のニーズに応じたサービスの提供を受け入れられるようにするための、サービス提供体制の確保でございますけれども、発達障害の関係において、支援センターを中心に、きちんとした都道府県、市町村レベルで支援体制が構築できるということを行う必要があると思っています。そのために、特に地域格差がありますので、今回法律に規定された協議会を使ったり、あるいは障害福祉計画の中にきちんと位置付けて、どの地域においても発達障害の方が支援できるような体制をつくっていただきたいと思っています。障害児・者の地域生活の支援というのは、例えば、施設から地域ということは、自立支援法以降、非常に大きな命題で取り組んできて、それなりの成果はあったとは思いますけれども、最近、少し鈍化している。地域生活に向かってということなので、この辺ももう一度地域生活に向かった報酬体系の構築をお願いしたいと思います。

 最後に、視点-3です。予算額が非常に増加していることによって、持続可能な制度とするべきことだと思っています。やはり高齢障害者の介護保険サービスの利用は、介護保険は65歳以上が優先ということで、今回の総合支援法の3年後の見直しの中にも入りましたけれども、これをきちんと履行していくこと。それから、相談支援専門員とケアマネジャーがきちんと連携しながら、65歳以前からあるいは65歳以降もきちんと支援していく体制が必要だと思っています。

 児童発達支援センター及び放課後等デイサービスについて、特に児童発達支援センターについては、ガイドラインに移行支援がありました。これについては、児童発達支援センターの出口が学校まで、あるいは長期にわたって支援することが、これはまさにどんどん利用者さんを増やすという形なので、移行支援というのはそのための一つの仕掛けかと思っています。もちろん移行支援が困難な重症心身障害の方、医療的ケアが必要な方、高度障害の方は長期にわたって支援することもありますけれども、なるたけ早くアセスメントをすることによって、持続可能のためにも地域に移行していく。その考え方の基においては、放課後等デイサービスについても、今はガイドラインにはありませんけれども、児童健全育成事業などに積極的に移行支援をしていく。これをきちんと評価していくということで、持続化可能な制度にするべきだと思っています。

 最後に、サービスの適正な実施でありますけれども、ずっと報酬をどのように設定するかということの基本かもしれませんが、先程から、サービスがたくさん必要、支援がたくさん必要ということ、あるいは高度な支援が必要な人たち、こういう人たちについては、報酬上きちんと評価することによって、より支援が必要な人がサービスを受けられるようにすること、それ以外については、その中において、全体のバランスの中で考えて持続可能な制度とするべきだと考えております。

 以上です。

○内山障害福祉課長 どうもありがとうございました。

 それでは、前半の5団体の御意見につきまして、アドバイザーの方、構成員の方から御質問等があれば、お願いしたいと思います。

 いかがでございましょうか。

 野沢さん、お願いいたします。

○野沢アドバイザー どうも御苦労さまです。

 順番に少しずつ質問があるのですが、最初の全国重症心身障害児(者)を守る会さんです。計画相談支援の専門性をかなり強調されていたと思うのですけれども、複雑かつ長期で医療機関との連携が必要だと。かなり難しい計画相談があることが伺えるのですが、今の計画相談の基本報酬とかモニタリングの回数とかは具体的にどんなふうにすればいいのか。具体的な提案があれば御説明願いたいのです。

○内山障害福祉課長 お願いいたします。

○全国重症心身障害児(者)を守る会 回数につきましては、今の私どもがやっている時間帯ではなかなか消化できないということでございます。そういうことから、複数の職員を配置していかないといけないというわけで、そういう意味で、単価を上げていただくということをお願いしたいということでございます。

○野沢アドバイザー モニタリングの回数などは現行のままでいいのでしょうか。

○全国重症心身障害児(者)を守る会 はい。モニタリングはそんなに時間が掛かるわけではありませんので、回数等は今の中で消化できるのではないかと思っています。

○内山障害福祉課長 引き続き、お願いいたします。

○野沢アドバイザー 全国肢体不自由児者父母の会連合会さんです。

 いろいろな医療的なケアが必要になってきたということで、看護師のみの対応だと利用者の受入れ制限を招く。これは福祉職もできるようにしてくれということなのでしょうか。その後に、医療機関との連携が必要とあるのですが、これはどういうことを意味しているのか、具体的に教えてほしいのです。

○全国肢体不自由児者父母の会連合会 ありがとうございます。

 学校の例でいいますと、医療的ケアをする時には看護師さんをそこにきちんと配置し、そこから一定の実務者研修を受けた先生がということになるのですが、その大もとはやはりお医者さんなのです。主治医との連携がとれていないとこれは実行できませんから、これが地域に行くとなると、私どもの重心という、短い言葉で言えばそういう子供たちのことを見ていただけるお医者さんが地域にいないと、学校という単位ではできるかもしれませんが、地域では地域のお医者さんとの連携が必要になってくるという意味合いでお話をさせていただきました。

○野沢アドバイザー その次です。日本脳外傷友の会さんです。

 復職というのは、休業していた元の会社に、休業からあけて元の職場に戻るということですね。

○日本脳外傷友の会 はい。そういう希望の方が非常に多いです。学校にしてもそういうことです。復学。元の学校に戻りたい。

○野沢アドバイザー この参考資料で、未就労が45とありますね。これが一番多いのですけれども、この方たちの中に、復職、復学を希望していて難しいという方も相当いるのでしょうか。

○日本脳外傷友の会 はい。復職が難しかったり挫折して受け入れられませんということで戻ってくる方、そういう方々です。

○野沢アドバイザー 例えば、復職した後の定着については、元の会社なりが責任を担っているものもかなり大きいような気もするのですけれども、それもその就労移行や福祉の側が担っていこうというイメージですか。

○日本脳外傷友の会 元の職場の方も、一生懸命、それぞれの地位のある方であったり、それぞれの働きをしてくれたから、受け入れましょうと言ってくださるのですが、その後の障害の度合いでその場にいられないとか、自分が元々上司だった方が、部下だった方が上司になっているとかで、本人の障害特性の関係で、職場側も一生懸命やってくださるのですが、とても受け入れられません。元の仕事はできません。違う仕事は用意してくださっているのですが、仕事はできませんでしたという形で挫折する方が多いです。その後の心理ケアとかが家族のほうにかかってきます。家族会、施設のほうに相談に来られます。

○野沢アドバイザー そうすると、その場合には復職ではなくてまた別のところへの新規の就労支援が必要になるということですか。

○日本脳外傷友の会 そうですね。新規の就労もなかなか難しいと、福祉的な事業所へということになります。復職に行った方にはいろいろな支援がたくさん関わるのですが、新規の方と違って、復職された方に対しての報酬はないですね。現実、復職した方に対しての支援に対する加算が全くないものですから、今回、挙げさせていただきました。

○日本脳外傷友の会 A型、B型、就労移行支援のサービスには加算は付きますけれども、復職に関しては、全然加算は付いてこないのですね。新規就労の場合は一応いいのですけれども、復職に関しては、なかなか加算というところの項目がない。でも、皆さん、事業所さんなどに来られる方たちは、復職を希望される方が多いので、御本人さんたちのことを考えて復職ができるように、事業所さんなどもそれを踏まえて行動していただくのだけれども、加算がゼロですので、そこのところに加算を付けていただきたいというところです。結局、また復職されても戻ってこられて、また訓練を始めて、今度は本当に新規就労、その時に初めて加算がつくという形になります。

○日本脳外傷友の会 就労移行支援事業所が新規の方に対するいろいろな移行支援をされたら加算が付くのですけれども、復職に関しては加算がないのです。全く報酬は見てもらっていないというのが大きな課題です。

○野沢アドバイザー  きょうされんさんです。人材不足のところで、本当にこれでまた大変だと思うのですが、報酬の低さ以外の理由というのはどんなふうに考えていらっしゃるのでしょうか。報酬の低さだけでしょうか。

○きょうされん 人口の減少もあるでしょうし、今の福祉系の大学、専門学校の定員割れ、そもそもそういったところに学生が集まらない。あるいは、そこを卒業したとしても現場に来ないという現状が一方ではあります。今、「我が事・丸ごと」でダブル資格制度の問題や共通基礎課程でカリキュラムの再編をするとかということが福祉看護系の学校で進められていますけれども、先程言ったように、福祉や介護の仕事を魅力ある仕事と、我々自身が社会的にもそれをアピールしていかなければいけないだろうとも思っていますし、そのためにも、労働に値するというか、必要な支援に値する十分な公費、報酬が裏付けとしては必要だと考えます。

○野沢アドバイザー 分かりました。

 最後に、日本発達障害ネットワークさんです。地域生活のところで、強度行動障害がある方への支援の必要な見直しとは、具体的にはどんなことをやったらいいのでしょうか。

○日本発達障害ネットワーク 今、例えば、放課後等デイサービスにおいては、重症心身障害の方は評価されるということで、そういう方を支援すればということになりますけれども、強度行動障害の場合については評価がないので、児童そのものの障害者区分はないので、現行の行動援護などの評価表を使いながら、行動障害があるということであれば、やはり支援が、事業所としても大変であるし専門性が必要なわけですから、そこをきちんと評価する仕組みを考えています。

○内山障害福祉課長 よろしいでしょうか。

 追加の説明ということでしょうか。

○全国重症心身障害児(者)を守る会 野沢さんの御質問に、私は時間的なことで申し上げたのですけれども、NICUからの退院などの場合には、4回から5回の回数が必要だということでございます。そういうことで、ちょっと追加させていただきます。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 岩崎さん、お願いいたします。

○岩崎アドバイザー 岩崎でございます。

 お聞きしたいことが2点程あるのですけれども、全国肢体不自由児者父母の会連合会様で、医療機関との連携の仕組みということをもう一回考えていかなければいけないというお話がございましたけれども、実際、福祉現場で看護師さんを確保するというのは非常に困難だということは私も重々理解しております。ですので、医療機関と福祉の事業所との違う連携の仕組みとか、何か新たな取組みをされているとか、何かこういったことができるのではないかというお話がございましたら教えていただきたいと思いました。

 もう一つは、きょうされん様なのですけれども、先程野沢さんの御質問でもありましたが、職員さんのお給料を上げることが難しいというお話の中で、福祉・介護職員処遇改善加算が実際に活用をどのようにされていて、現場でその効果をどのように実感されているのかということをお尋ねしたいと思います。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 それでは、全国肢体不自由児者父母の会連合会様から。

○全国肢体不自由児者父母の会連合会 申し訳ございませんけれども、きちんとしたデータは手持ちにないのです。

 私どもの会の会員が重心の医療的ケアが必要な方のグループホームをつくる時には、先日、昨年の全国大会が神奈川であったのですが、その時に発表された方は、看護師免許を持っているOBの方を仲間に引きずり込みながら、それでそこの看護師さんを通じてお医者さんとの連携を保った、それで医療的ケアのあるお子さんのグループホームを設立して運営しているという事例がありました。

 また、当会の副会長は、滋賀県の方ですけれども、お医者さんですので、滋賀県では医療型の短期入所をやっているという、グループホームではなくて短期で運用しているということで、これはお医者さんと看護師さんが常にそばにいるものですから、こういうやり方もこれから参考にしていったらどうだろうかというアドバイスはいただいております。

 何しろ、グループホームといっても、夜間にも必要なことになりますと、病院勤務を嫌う看護師さんがグループホームに来ていただけるかと。だから、真っ当なやり方では多分なかなか難しいということは感じております。

 よろしいでしょうか。

○岩崎アドバイザー ありがとうございます。

○内山障害福祉課長 それでは、きょうされん様。

○きょうされん 処遇改善加算については、今日お配りしている調査の詳細の検討を、今、解析しているところなのですが、そこでもうちょっと詳しいことは今後公表していきたいと考えています。ただ、現状でざくっと言えることは、処遇改善加算が実態に見合っていないというか、全員が対象になっていないことや、要件が課せられたり、そういった中で、プラスアルファにはなったとしても、実効性のある人件費の底上げにはなっていないというのが現状としてはあります。

 今、想定しているのは、処遇改善加算の検討資料、前の資料の中で、今、手元にないのであれなのですが、初任給から10年後、働いた結果、ここまで、35万ぐらいまで上がるような資料が厚労省から出されていたのですが、実際はそういう実態はないというのが今回の調査の中でも出てきているので、今後、そこは解析結果を公表していきたいと思います。

 大規模な職員数が相当数いる大規模な法人で事業所もたくさん運営していて、その中でのやりくりができるところは、一定の経験年数のある職員については人件費水準を上げているところもあると思います。ただ、小規模な法人、地域の中で活動しているところについては、やはりそういった処遇改善加算で何とかなるという実態ではないだろうし、大規模法人でもそうですが、グループホームをたくさん抱えている、運営している法人などは、有料の求人広告の掲載費だけで年間数百万が掛かってやっているような実情もありますね。

○内山障害福祉課長 今のは、小規模な法人だとキャリアパス要件を満たしにくいという御意見と受け止めてよろしいですか。

○きょうされん はい。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 上條さん、よろしくお願いします。

○上條アドバイザー いろいろ御意見をありがとうございました。

 幾つかお伺いしますが、まず、全国重症心身障害児(者)を守る会の方に、御意見の中で、強度行動障害に特化した専門利用施設体系というお話があったと思うのですが、これは入所のサービスという理解でいいのでしょうか。

○全国重症心身障害児(者)を守る会 そのとおりでございます。

○上條アドバイザー ありがとうございます。

 入所の新しい施設というのはなかなかつくりにくいところではありますので、既存のものを何か変えていくというイメージですか。

○全国重症心身障害児(者)を守る会 さようでございます。

○上條アドバイザー 分かりました。

 肢体不自由児者父母の会連合会さんと日本脳外傷友の会さんからは、移動支援に関するお話もありました。通学あるいは就労に関しての移動支援です。これが今の移動支援の制度の中では対応できていないというところだと思うのですが、一部移動支援でやっている自治体もあるというところではありますけれども、制度として始めたとしても、ここの部分も、移動支援は今の形でいうとマンツーで付いていくような形になるので、そこも制度があっても人がなかなか賄えないという状況があるのですが、そういったところについては何か御意見はございますか。

○日本脳外傷友の会 ありがとうございます。

 高次脳になられた方たちは、時間をかけて移動支援をされると、通学するにしても通勤するにしても、ある程度の時間を置くと覚えてきますので、それが可能になってきます。でも、悲しいかな、各自治体で格差があるように、そのような移動支援というところで加算がなかなか付きにくいかとも見えるので、本来ならばそれを付けていただくときちんとした移動支援ができますので、そういうところで全国どこでも使えるような感じでお願いしていきたいと思うのです。なかなか元の社会生活に戻るにはそういった支援はすごく重要ですので、ぜひお願いしたいと思うのです。

○内山障害福祉課長 全国肢体不自由児者父母の会連合会様。

○全国肢体不自由児者父母の会連合会 通学につきましては、特に声があるのは、スクールバスがないところとあるところとの差があるわけです。あるところでも、緊急な事態になった時に、親がバスストップのところまで子供を連れていけない。でも、子供は学校へは行きたい。そこの手立てが、ある意味では地域生活支援事業で対処している市町村もありますものですから、ここで地域間格差がまずは生まれてくると感じております。ですから、地域力のあるところはそちらで対応するという、一つの声はそういうところですし、通学に関しましては、文科省の資料からしますと、通学を支援するという支援というくくりになっておりますから、保障ではありませんので支援ですから、ちゃんとしていただければスクールバスが出るものと思っております。

 要するに、東京周辺にいるものと地方にいるところでは、通学についてはそれぞれ感じが違うと思いますが、私どもとしましては、通学については文科省できちんと対応しなさいよと。就労は厚生労働省の就労というところで、仕事というところできちんと対応していただきたいということは常々要望しております。

○上條アドバイザー ありがとうございます。教育の問題なのか労働の問題なのかというところも、自治体レベルの中でも議論があったりするところではありますけれども、制度ができても、そこの担い手をどうやって広げていくかというところは課題を自治体としても持っていたりするので、皆さんのそういったところでのアイデアというのでしょうかね。横浜の話で言ってしまいましたけれども、移動支援を仕事としてやっていただいている部分と、プラス、ボランティアとして関わっていただけるというところで、近所の方に通学のお手伝いをしていただくとか、そういったところも頑張っていこうというところではあるので、地域の中でそういう力がついていくといいのかなと思ったりしていますが、なかなか課題が多いなというところです。

 日本脳外傷友の会さんに1つ確認なのですが、先程の復職の関係の方々なのですが、高次脳の障害の方で、皆さん、大体手帳はとっているという理解でいいですか。

○日本脳外傷友の会 手帳に関しては、疾病によって、脳血管疾患の方は手帳がなくても診断書でそういったサービスを利用できることになっているのですけれども、ヘルペス脳炎とか、手帳を持っている方、持っていない方、それぞれです。

 私は働いていたということで、なかなか障害を御本人が認めにくい。俺は障害者ではないという大きな壁がありまして、そういうこともあります。

○上條アドバイザー また働くということになると、手帳を持っていると雇用率の関係とかもあるから、少しメリットがあるのかなと思いましたものでお聞きしました。ありがとうございました。

○日本脳外傷友の会 ありがとうございます。

○内山障害福祉課長 ほかにいかがでしょうか。

 野沢さん、お願いいたします。

○野沢アドバイザー 視点を厚労省側から3つ挙げて、それに対してそれぞれ今回出してくれているのですけれども、この視点-3がどうもかみ合っていない感じがするのですね。厚労省から出ている視点はというと、予算がなかなか確保できないので、何かを伸ばすのであれば何かを下げざるを得ないから、そのアイデアを出してねというのが厚労省側の意図だと思うのですけれども、それに対して、日本発達障害ネットワークさんは、それをきちんと受けとめて、こういうところを直すべきだと、非常に説得力があると思ったのですが、ほかの最初の3団体は、むしろ制度の持続可能ではなくてユーザー側の生活の持続可能というところから答えが出ているのですね。この辺はどういう意図でそういう答えが出てきているのか知りたいなと思ったのです。きょうされんさんは、そんなことを言う前にちゃんと予算を確保すべきと明確なので結構なのですけれども、最初の3団体は、そういう意向なのか、それともこの厚労省側の視点-3の意味をちょっと履き違えているのか、その辺りを教えていただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○内山障害福祉課長 それでは、まず、日本脳外傷友の会様から。

○日本脳外傷友の会 確かに、これを書く時にすごく迷いました。でも、いろいろ述べさせていただきましたように、非常勤の方がころころ変わるよりも、専門性を持ってきちんと常勤として働きがいがある仕事なのだという職員に対する意識とかをきちんとすることで、これが職業として続けられる。利用者に対する支援もきちんとすることで、これが持続可能な職業として、制度として継続するのではないかということに至りまして、このように書かせていただきました。

○内山障害福祉課長 全国肢体不自由児者父母の会連合会様。

○全国肢体不自由児者父母の会連合会 この点につきましては1つの考えがありまして、まず、厚労省が与えてきたものをへそ曲がりにとりました。予算が10年で倍増、10%伸びとありますけれども、この間、精神障害の方とか発達障害の方が入ってきている。新たな障害者のカテゴリーが追加されたことによって増えているという措置もある。そういうケースもあるのではないか。ですから、単純に素直にとっておりません。

 障害福祉サービスの内容がきめ細かくなったこと、要するに、居宅介護とか生活介護とか、重度訪問介護、短期入所等、いろいろと細かくなってきたことによって予算が増えてきたということで、こういうことに関しては、私どもは予算のシーリングをかけるべきではないと考えております。

 報酬改定が3年ごとに見直すということは、逆に3年間報酬は変わりませんよと、こんなシステムでいいのだろうかということは、この文章を読みながらそう感じております。これでお答えになったかどうか。

 お金というか、元々どれだけ掛かるのという、そこからスタートしているのだったら分かるのですけれども、ということは実態調査をきちんとして、これだけの費用がこんなに掛かって、これの予算措置をどうするかとかという、それの積上方式をきちんとやっていくのでしたら、ここまで来たのだね、10%伸びたのだねと読めるかもしれませんけれども、こういう世界で使う言葉のようですけれども、現年ベースでやっていればこんなことになるのではないかと会長が申しておりました。

○内山障害福祉課長 それでは、全国重症心身障害児(者)を守る会様。

○全国重症心身障害児(者)を守る会 私どもは、ここに自助・共助・公助、このバランスということで申し上げたわけですけれども、要は、今の予算の伸びというのは、厚労省の資料をいただいたものを見てみますと、毎年3万人ずつ利用者が増えているのですね。そうした伸びがあって、しかし、今まで新しい制度になる前は、これは負担金ではなかったので、負担金になったということで、そうしたものが、今まで積み残されてきたものが、だんだん利用者の人たちの社会参加ということで増えてきたのだろうと思います。

 私が先程申し上げた中でシェアということを申し上げたのですが、例えば、通所とか、日中活動で出ていくのですが、毎日行かなくてもいいのではないかと。もちろんそうしなければいけない人もあるかもしれませんけれども、必ずしも必要ではなくて、例えば、週3日にするとか、2日にするとか、ほかの人に振り分けるといいますか、そういうことでシェアすることによって、この予算に対する抑制の効果があるのではないかということを申し上げました。

 それから、今、私が言った、振り分けて、行かない日ができた時に、自己実現のために振り向ける。それは自分が選択していろいろなところを開拓していかれるのでしょうけれども、例えば、文化施設など、私どもの関係しているところでは、おもちゃ図書館とか、そういうものがあります。子供さんはそちらに行ってそちらで遊ぶというのも、これは一つの手段かなと。おもちゃ図書館は、ほとんどボランティアでやっていますので、お金が掛からないと思っております。あるいは、今後、IT化で、ロボットだとか、そういうことで介護のほうに活用して行く。このような福祉機器の発達とか、そういうものが効率化に影響してくるのではないかと思います。私が申し上げた、自助、共助、公助のバランスというのは、とにかく全てをおんぶするのではなくて、相談支援の計画の中で振り分けてやっていく。それも一つの効率化ではないかということで申し上げました。

○きょうされん 追加で述べさせていただきたいのですが、消費税の増税の立場の学者の方が書かれた本で「租税抵抗の財政学」という本があります。月刊福祉でも取り上げて書かれていましたけれども、日本は特に痛税感が高い、特に貧困層に高いということがその本の中では書かれていました。

 租税というか、障害福祉の枠の中で、予算の中でどうするのかということよりも、納税者が納得できる福祉、介護、納めた分が返ってくるという根本のところが大事なのだろうと思います。だから、障害福祉の枠の中だけ、財務省から様々な意見が出されていますけれども、障害福祉の予算の中で考えるべきことではない、その中で何を削って何を増やしてという議論ではないのではないか。特に、自立支援法の制定のころの局長が、障害福祉の予算をようかんに例えておっしゃっていました。ようかんの大きさは決まっているのだと、あとは切り分け方だという説明を何度も繰り返していましたが、その発想はもう脱却すべきかと思います。

○内山障害福祉課長 まだまだ御質問はあるかと思いますけれども、残された質問は最後に。

○日本発達障害ネットワーク 関連のことで、私たちネットワークも利用者の立場でもあるので、例えば、持続可能な制度をどう考えるかというのは、もちろん全体の国の税制とか、あるいは障害福祉の観点からもありますけれども、そもそも一般会計として、3分の1が借金、公債に賄われる。それから、800万人の障害のうちサービスを利用している方は100万人。これからも増える。そういうことも含めて全体的なことを考えると、持続可能な制度にしなければならないと考えています。

 その中で、一番困るのは、利用者さんがニーズを発掘してサービスを利用することはいいのですけれども、様々な形において、質の観点からということで、サービス事業所が立ち行かなくなる。そうすると、一番困るのは利用者さんということに返ってくるわけですね。これがまさにこの伸びのままでどんどんどこまでいくかということも含めて、非常に不安な状況の中で構築されているものだと思っています。安定的に、将来の障害福祉計画などを通してきちんとした推計の基で予算を伸ばしていくということであればいいですけれども、この短期間におけるこれというのは、将来が見通せない、非常に不安定な状態の中でサービスを使うということは、利用者にとっても非常に不安だと、そこをきちんと解決していただきたいと思います。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 時間の関係もございますので、第2ラウンドに進ませていただきまして、また全体を改めて最後のところで御質問、御議論をいただければと思います。

 それでは、後半の5団体、第2ラウンドに入らせていただきます。

 まず、一般社団法人全国重症児デイサービス・ネットワーク様、よろしくお願いいたします。

○全国重症児デイサービス・ネットワーク ありがとうございます。よろしくお願いします。

 私ども全国重症児デイサービス・ネットワークというのは、最初にネットワークの概要を見ていただきますと分かるとおり、設立が平成26年11月とまだ3年経っていない非常に新しい団体です。これは、平成24年から認めていただきました主たる対象が重症心身障害児を対象にした放課後等デイサービスあるいは児童発達支援事業所、この定員5名の非常に小さな事業所に特化した団体です。

 当時、私どもが活動し始めたころは、全国にこういう重症児の事業所は非常に少なかったのです。活動内容を見ていただくと分かるのですが、私どもは、これに対して何をしてきたかといいますと、新規事業所の新規設立の支援をかなり重点的にしております。その結果、現在、私どもの事業所の構成内容を見ると、非営利法人率は60%を超えております。また、お母さん方が中心になってつくった事業所が約25%あります。この辺が一つの大きな違いかなと思っています。もう一つは、事業所ができればいいという考えを持っていません。つくった上、その経営内容と運営内容がとても重要なファクターになってきます。これに関して、私どもは継続・持続的に支援していくということで、例えば、経営内容からいくと、財務諸表をきっちり皆さんにつくっていただいて、点検していただくようにしております。

 さらに、我々がやっている情報・交流ということでは、一番大切にしているのは、現在、各事業所間の交流です。たった定員5人の小さな事業所がこのままやっていくためには、お互いを知ること、お互いが支え合い、助け合うという仕組みが必要だと思って、事業所間の交流などを中心に進めております。

 また、質という面で、教育・研修が非常に必要だと思っています。重症児を対象とする小さな児童デイサービスに、看護師や訓練担当職員などの配置、あるいは児童指導員の配置が必要になってくるのですが、ここも大きな問題がたくさんあります。たとえ採用したにしても、重症児を支援した経験のある人を採用するというのは大変難しい。それを継続・持続的に支援していくこと、教育し質を上げていくことがとても大切だと私どもは思って活動をしております。

 そんなようなことで、具体的な意見に関しては、私どもの佐々木からお話しさせていただきたいと思います。

○全国重症児デイサービス・ネットワーク 理事を務めております、佐々木と申します。東京都墨田区でキッズサポートりまという重症心身障害児対象の放課後等デイサービス事業所を運営しております。よろしくお願いいたします。

 具体的な意見項目について、急ぎ御説明申し上げます。

 まず、視点-1に関わる部分です。

 人材育成の「しくみづくり」の導入に関しての意見です。これは、現場の実感、御家族、当事者の声、いろいろな経験でよく聞く話です。様々な医療職、看護師、医師、機能訓練担当職員、もちろん福祉職もそうですが、何しろ重症心身障害児、医療的ケアが必要な子供たちへの、24時間、365日、どういう暮らしぶりをしているかについての認識、知識が非常に乏しいというのが実感です。病院に連れていっても、すぐポイントを捉えた形で対応してくれない。具体的に言うと、呼吸とかその発作が、医ケア児、重症児に関しては非常に課題ということがあるのですけれども、まずはそこに着眼してくれず、一つ一つの症例だけ見て対応されてしまう。あるいは、機能訓練担当職員、PT、OT、ST等についても、重症児、重心児に関してどういうケア、プログラムを組んでいくのかということを持ち得ていないことがあります。それに関して具体的な提案を申し上げますが、まず、医療職に関しては、専門教育課程、それぞれの課程がございますので、重症児、重心児理解に関してのカリキュラムを必ず設けていただきたいと思っております。これは実習先として我々のようなデイサービス事業所あるいは入所施設等での経験も必要かと考えております。

 もう一つ、重症児支援に特化した研修等々のこういう評価・体制のシステムを都道府県単位、あるいは地域、圏域ごとに評価・体制案ができるシステムをつくっていただきたいと思っております。

 次です。視点-2の1番目です。医療的ケア児を「主たる対象とする障害を重症心身障害とする」要件に加えた見直しについてと、ちょっと分かりにくい表現なのですが、いわゆる厚生労働省が出している支給決定マニュアルに関しての意見です。現在、いわゆる重心判定のない医療的ケア児が実際には多くおられます。そういった子たちに対しての受給者証を発行する際の判定が、従来の大島分類だけだと、とてもではないですけれども、これは捉え切れない。ここをぜひ、いわゆる重心判定がないけれども、医療的ケアを必要とする子たちに関しても、今までの報酬区分でいえば重心児であると捉え直していただきたいと思います。これは、都道府県、区市町村に関しての判断についても同じだと思っておりますので、適切な御指導等をお願いできればと思っております。

 次です。「主たる対象とする障害を重症心身障害とする」報酬に対応した欠席時対応加算の見直しについてお願いしたいと思っております。定員5の我々のようなデイサービスですと、欠席1名が出た場合に報酬が単純に20%ダウンしてしまいます。しかしながら、人員配置、スタッフの配置は、当然必要な専門職、人数を多く配置しております。そうなると、はっきり言えば、単純に赤字になってしまうことになります。これが、現在、欠席時対応加算というのは、いわゆる多くある重心児を対象としない放デイ・児発に関してと加算単位が同じになっています。特別区の報酬単位、単価によっても、1,000円強ということで全くペイができない状態になっていますので、ここら辺はぜひ見直しをしていただきたいと思います。

 3番目です。介護給付費に係る支給決定事務の適正な解釈と運用です。適切な指導をぜひともお願いしたい。具体的には、運営基準、支給決定マニュアルの理解、運用が、各自治体によってまさにばらばらです。具体的には、機能訓練担当職員にOTを含まないとか、1つの事業所内に児童発達支援、放課後等デイサービス、生活介護を認めてしまったとか、定員5名を1名でも超えた場合は減算とするのを県の条例で決めてしまったりとか、よく聞く声としては、役所の窓口で、予算がないのでこれ以上の日数は支給できませんということを言われるというのは非常に多く耳にします。こういったことで果たしていいのか。サービスが必要な方に関しては、必要な分を供給していただきたいと考えるがゆえに、適切な指導、解釈の理解を進めて指導をしていただきたいと思っております。

 4番目です。機能訓練担当職員配置の時間的緩和に関してです。これは、緩めるということではなく、まさに厚生労働省の方針にある医療的ケア児の通所施設を全国的に拡大していくのだという部分に立っての、質的、量的拡大を図るための意見と御理解いただきたいと思います。そもそも機能訓練担当職員は、サービス提供時間を通じて配置する必要もないと考えています。これは訓練プログラムの作成とか現場スタッフの指導とかということが本来の望ましい役割だと考えていますので、こういった提案をさせていただいています。

 5番目です。准看護師を人員配置の要件に加えていただきたいと思っています。障害者総合支援法では、看護職員には、保健師、看護師又は准看護師となっているのですが、児童福祉法では准看護師は含まれておりません。ここをぜひ同列にしていただきたいと思っています。准看護師さんは現場経験も非常に豊富です。訪問看護とか訪問入浴の現場に出ていらっしゃる、スタンドアローンの活動をしているのは、准看護師のほうが逆に多いかもしれません。そういった方々をぜひ児童福祉法上でも、人数に関しても全国的にも多くいらっしゃいますので、ぜひ含めていただきたいと思っています。

 視点-3です。最後です。こちらに関しても、先程の質疑にもありましたけれども、あくまでも持続可能な制度としていくためということを目的に提案をさせていただいています。全額税である障害者総合支援サービス、児童通所サービス、児童福祉法上のサービスでいえば、財源の配分の変更をせざるを得ないと思っています。これも繰り返しになりますが、必要な方には必要な量を、必要ではない方と言うと語弊がありますが、必要性が軽度の方に関してはそれなりの配分をすべきかとして、具体的な提案としては、医療的ケアの実施をするか否かを、通所の段階で医療的ケアの実施が必要か否かというのを重心判定のありなしに加えていただきたいということで、この表を作成しております。いずれにしても、この財源問題に関してはいろいろ議論があるとは思います。ただ、考えなければならないのは。

(ベルが鳴る)

○全国重症児デイサービス・ネットワーク 以上で終わります。ありがとうございました。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 続きまして、全国肢体不自由児施設運営協議会様、よろしくお願いいたします。

○全国肢体不自由児施設運営協議会 朝貝です。

 概要の説明の前に、旧肢体不自由児施設の68%は民営であり、我が国の肢体不自由児療育の灯は消滅しかかっています。この1年間に2施設で入所が肢体不自由から重心児に変更されました。

 3ページの概要を御覧ください。

 給付費関係は、視点-2と3に基づく意見です。1番目、職員配置による給付費について。肢体不自由児と重症心身障害(以下、重心)児の障害の程度は連続的に移行していく例も多く、児の持つ能力を最大限伸ばす療育の理念に基づいて、適切な時期に適切な量と質の療育がなされなければ肢体不自由児は重心相当の運動機能へ悪化してしまいます。また、運動機能が重度であっても介助立位能力を獲得し、長期的に維持することは介助量を軽減し在宅生活を続けるために必要となります。しかし、現状は運営上療育を必要とする肢体不自由児、特に重心周辺の入所療育が十分にできていません。障害種別が撤廃された現在も給付費には肢体不自由児の枠組みがあり、在宅生活を支援するために多領域の専門家が関わる療育に見合っていません。平成24年に医療型障害児入所施設になって入所児の重心化は加速されており、障害児療育の灯を消さないために早急に職員配置による給付費について検討する必要があります。

 2番目、療育サービス関係です。視点1に基づく意見です。(1)保育機能の充実、旧肢体不自由児施設において、保育士・指導員の役割は重要で、定数を超えて配置しており保育職員加配加算が必要と考えています。(2)医療ソーシャルワーカー、心理士の充実、旧肢体不自由児施設では、被虐待児の増加や保護者への育児支援などが必要な児の入所が増加し、専門的な多職種による心のケアを含めた対応の必要性が増加しています。さらに入所前から退所後の支援を計画・継続しており、地域移行のための専門職の役割も一層重要となってきております。医療ソーシャルワーカー配置給付費を新たに創設し、心理担当職員充実のため現行の心理担当職員加算を見直す必要があります。(3)入所から在宅への移行支援加算、外泊の際の保育士、指導員の関わりは入所療育と家庭療育の架け橋となり、在宅移行の支援として重要な役割を果たしており、地域移行支援機能を充実させるために、入所から在宅への移行支援加算を新たに創設することを求めます。

 次に、詳細版の1です。1番目は、給付費について。視点2と視点3に基づいており、地域生活を支援するための入所療育体制の持続的な確保、そして、入所児、特に肢体不自由児は10歳ごろまでの適正な時期に適切な療育を行うことにより、寝たきりや重度化を防ぐことになり、将来の医療費、障害給付費の削減に繋げることができます。適切な療育を行わないと重心に移行していく可能性もあります。参考資料の前の文章を読み上げた後、資料を説明いたします。

 医療型障害児入所施設に入所している肢体不自由児は、障害の重度重複化、多様化により「いわゆる手足の不自由なこどもたち」というイメージからかけ離れた状態になっており、被虐待児も増加しています。それは参考資料1、2、3に実態のデータを示しました。

 次は、地域生活の後方支援として児の持つ能力を最大限伸ばす入所療育の灯が消えかけている。これは参考資料4と5ですが、参考資料4は肢体不自由児給付費の経年推移を示しており、参考資料5は我々の運営協議会理事の11施設の調査で肢体不自由児は全て赤字になっている状況を示しています。

 肢体不自由児であっても、被虐待児の増加など専門的な多職種による心のケアを含めた対応が必要となっており、これは参考資料6ですが、専門家集団によるチーム療育の状況を示しています。直接処遇職員と入所児の比率は既に1対1を超えています。これは参考資料7で、平成21年ごろに1対1を超えた状況をあらわしています。療育の理念に基づいた適切な療育支援が行われなければ、将来介助量の増加にも繋がってしまいます。参考資料8は、実線が有期有目的入所、点線が通院訓練による運動機能の変化をあらわしております。主に小学校低学年までが機能が向上しやすい時期で、日常で使わない姿勢や機能は維持向上できない例が多く見られます。9—1は、5歳ごろに同じ運動レベルであっても、療育による差が見られる例を示しております。9-2は、それを図式化すると、3歳ごろに座位可能であれば杖歩行の可能性がありますが、療育により歩行獲得の違いが見られます。

 肢体不自由児の収入が重心の60~70%程度であり、有期有目的入所のベッドの回転率は高いが、急なキャンセルなどで稼働率が低いため、重心の長期入所が優先されている。10-1と10-2は、肢体不自由と重心の収入の違いで、Sセンターで肢体は重心の70%程度、G施設では60%程度を示しています。10-3は、有期有目的入所のベッドの稼働率でSIセンターでは70%程度、10-4で、SSセンターでは50~80%の稼働率になっております。参考資料11は重心児が年々増えてきている状況を示し、12-1と12-2は肢体不自由児と重心給付費の比較を示しております。この傾向は、療養介護事業所の併設とあわせて、近い将来、入所者の平均年齢を押し上げて、学齢児の入所ベッド数減少あるいは消滅を招来する可能性に繋がり、その結果、併設・隣接特別支援学校も必要なくなってしまいます。

 療育により改善の期待できる重心周辺の入所児が減少していますが、これは参考資料13で、大島の5~9、重心周辺の子供たちが減少している状況をあらわしております。これらの子供たちに地域生活を支援するための有期有目的入所がなければ、児の持つ能力を最大限発揮させることはできなくなります。これは参考資料14で、有期有目的入所により、大島分類1~4であっても、支持歩行あるいは支持立位へ向上できる例も見られます。重心周辺の子供たちの入所療育を消滅させることのないよう、要望いたします。この参考資料15は、平成24年に制度が変わって、影響を図式化したものでございます。

 上記課題に対応するためには、障害種別が撤廃された現在、職員配置による給付費について検討する必要があります。また、療育の灯を消さないためには最低限早急に肢体不自由児の各種給付費、基本給付費、重度加算、重度重複加算、有機有期目的入所給付費を増額する必要があります。

 次に、詳細版の2です。

 保育機能の充実、保育士・指導員の役割は重要で、定数を超えて配置しています。これは参考資料16が保育士の業務で、参考資料17は、基準数は94ですが、既に479人、基準を超えて配置している状況を示しております。

 (2)医療ソーシャルワーカー、心理士の充実です。医療ソーシャルワーカーでは、身体障害者手帳や補装具など、各種制度の相談対応や進路調整など、心理担当職員では発達評価に基づいた発達・教育支援や被虐待児対応などきめ細かな対応が求められています。参考資料18は、ソーシャルワーカーの業務と役割で、19は心理の業務と役割です。

 最後に(3)入所から在宅への移行支援加算、医療型障害児入所施設には、「入院・外泊児加算」はなく、医療型障害児入所施設の児童が入院・外泊した場合、障害報酬は支払われず、医療費も85%減少となります。しかし、外泊の際の保育士、指導員の役割は、在宅移行の支援として重要な役割を果たしています。参考資料20は退所後の移行先で、多くの児が地域へ戻っている状況を示しております。肢体不自由児には、家庭療育や退所後の職場実習、施設体験など、地域生活を支援するための外泊を伴う対応も重要であります。これは参考資料21で外泊時の保育士・指導員の支援の状況を示しています。

 以上でございます。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 引き続きまして、全国重症心身障害日中活動支援協議会様、よろしくお願いいたします。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 副会長の宮野前です。よろしくお願いします。

 概要は2ページにありますけれども、当協議会は、重症心身障害児・者の通園事業を行う施設の全国組織として、今から20年前、平成9年に設立されています。その後、法律の改正等によって、児童発達支援や生活介護事業所の全国組織として、会の名称も変更しましたけれども、現在に至っております。平成29年4月現在の会員事業所は225カ所、利用者の重症心身障害児者数は、約5,000名になっております。事業主体としては、地域の福祉事業者あるいはNPO法人、公立・法人立の重症心身障害児施設、国立病院機構が入っています。

 今回、意見を申し述べるに当たり、会員事業所に対して緊急のアンケート調査を実施いたしました。その結果等も報告いたしますけれども、結論のみを申し上げますと、有効回答81事業所の平均収支差率は-9.7%と大変厳しくなっております。これらの調査結果等を踏まえた上で、具体的な意見につきましては、当協議会の幹事長の木村より説明いたします。お願いします。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 それでは、私から当協議会の意見を説明させていただきます。

 資料の5ページでございます。この概要ページでは、視点-3の制度の持続可能性についての意見を説明させていただきます。

 その1つ目は、生活介護の利用対象者の見直しと、提供しているサービスの内容に基づく報酬の再編です。生活介護の利用対象は常時介護が必要な重度の障害者とされ、そのサービス内容は、入浴、排せつ、食事等の介護などでありますが、障害支援区分では区分3からの利用が可能です。新事業体系が十分に浸透してきた現在において、区分3の方々にとって、生活介護が最も適切なサービス区分であるとは言いがたいと考えられます。生活介護の利用対象は、原則として区分4以上の常時介護が必要な重度の障害者に見直すことは検討に値するものと考えております。次に、現在の報酬は定員規模と障害支援区分により定められており、包括的な単価設定になっています。このため、医療的ケアや入浴介助など、ニーズの高いサービスを提供してもしなくても同一の報酬となっています。また、送迎や訓練などはその報酬が低いために、更なる負担増を回避するため、あえて提供していない事業所も少なくありません。仮に基本報酬を引き下げたとしても、提供しているサービス内容を評価した報酬体系に再編することは検討の余地があると考えております。

 その2つ目は、児童発達支援及び放課後等デイサービスのガイドラインについてです。大変すばらしいガイドラインをつくっていただきましたので、このガイドラインの遵守を推進していくことが我々事業者団体の役割であると考えておりますし、監査・指導体制についても強化していくことが大切なのではないかと考えます。

 なお、その他の意見につきましても、概要ページの意見の順に申し述べますので、そのまま概要ページを御覧いただいても結構でございますが、説明につきましては、次ページ以降の資料を基にさせていただきたいと存じます。

 6ページです。まずは視点-1、より質の高いサービスを提供する観点から、2つの意見を申し述べます。その第1は、障害支援区分に加えて、必要な支援の質と量に基づく人員基準についてです。全身性障害を有する重症児者の場合、新たなケアが始まる時又は終わる時には、常に2名の支援者による介護が必要です。特に入浴介助では、支援者2名による介助時間を多く要しています。また、そしゃく・嚥下に障害を有するため、食事介助に30分以上、水分補給に10分以上を要する場合も少なくありません。独立歩行が可能で、コップに水をくめば見守り程度の支援でも水分摂取ができる区分6の障害者とは比較にならない程の手厚い支援を要しています。

 7ページです。重症児者の割合が高くなる程、看護職員の配置は手厚くなり、重症児者を90%以上受け入れている事業所では、利用者と職員の割合は1.1対1となっています。収支差率についても、重症児者の割合が上がる程に大変厳しくなっております。

 8ページです。重症児者の直接ケアは、原則1対1であり、定員によるスケールメリットは発生いたしません。送迎を例にとってみますと、利用者には最も負担が大きいのですが事業所にとって最も効率的なマイクロバスによる送迎の場合でも、おおむね1対1の職員配置を要しています。その他の送迎方法の場合には、1対1を上回ることが多いのが実情です。

 9ページです。事業所の収支差率には、定員規模ではなく利用者に必要な支援の質と量が大きく影響しています。定員10~20名の事業所は、旧重症児通園A型からの移行が多く、医療的ケアを要する利用者の受入れ比率が高い傾向があり、結果として最も収支が悪化する傾向があります。一方で、定員20名を超える事業所では、重症児の割合が低い事業所が多いため、平均の収支は改善する傾向があります。

10ページです。濃厚な医療的ケアを要する超重症児等について、医療機能を有する事業所を中心にその受入れが進んでおりますが、その受入れには基準を大きく上回る看護職員の配置が必要であるほか、一定の設備整備を要する場合も多く、多額の費用を要しています。

11ページです。超重症児等を受け入れれば受け入れる程手厚い看護体制が必要になります。現状よりももっと手厚く看護職員に配置したいというのが現場の切実な声でありますが、現行制度及び収支の状況から困難であるというのが現実です。

12ページです。リハビリテーションの重要性及びニーズが高いのも重症児者の特性であります。ところが、生活介護事業のリハビリテーション加算は、その算定要件が診療報酬制度の疾患別リハビリテーションと同等な程大変厳しいものになっておりますが、その報酬は概ね10分の1であることから、医療機能の有無に関わらず、当該加算を算定することが困難な状況にあります。この結果、利用者の中には「通所する日は専門的な訓練を受けられない」ことを理由に、自ら通所回数を制限されている方もいらっしゃいます。

13ページに、障害福祉と診療報酬制度による報酬等の比較表を掲載いたしましたので、御参照いただければと存じます。

14ページ、視点-1の観点から、2つ目の意見として、児童発達支援の報酬の見直しについて意見を申し述べますが、これにつきましては、次ページ以降の資料に基づき説明をさせていただきます。

15ページ、重症児者を対象とした生活介護と児童発達支援の報酬比較です。成人対象の生活介護は、重症児者に限らず、区分6であれば定員20名以下は皆同じ報酬となっています。その一方で、重症児対象の児童発達支援では、定員5名では生活介護よりも報酬が高くなっていますが、定員6名から徐々に引き下がり、定員10名では児童発達支援のほうが500単位以上低く、さらに定員11名以上になるとその格差が広がっていきます。

16ページです。定員10~20名の事業所のうち、登録者の90%以上が重症児者である事業所を抽出して、児童を受け入れている事業所とそうではない事業所の収支差率を比較してみました。この定員10~20名の事業所は、地域のニーズに応じて児童を積極的に受け入れている事業所が多いわけですが、その結果、最も厳しい収支状況に追い込まれている現実がございます。

17ページ、重症児とその他障害児との報酬比較です。基本報酬は重症児対象のほうが高く設定されていますが、ほとんどのサービスが包括されているために、指導員を加配しても、専門的な訓練や医療的ケアを提供しても、報酬に変化はありません。この結果、最も手厚い介護と医療を必要としている超重症児よりも一定の医療的ケアを要する軽度障害児のほうが報酬が高い逆転現象が生じております。

18ページです。視点-2の観点から、地域において重症児者がサービスを受けるための前提となるべき課題として、2つの意見を申し述べます。その第1は、重症児者特有の欠席に対応した措置です。重症児者対象の事業所で定員を満たしているところは少数であり、むしろ過疎地域においては定員を充足させることさえ困難であります。加えて、重症児者は他の障害児者と比較して欠席率が高いなどの特徴がございます。このため、特に過疎地域においては、利用者の長期欠席により事業の継続そのものが危ぶまれる小規模事業所も少なくありません。重症児者が身近な場所で日中活動支援を受けるためには、重症児者特有の欠席に対応した措置が必要であると考えております。

19ページです。最後に意見を申し述べますのは、全身性障害や医療的ケアを要する重症児者の特性に配慮した送迎の評価についてです。当協議会加盟事業所の送迎実施率は80%を超えていますが、利用者個々に見てみると、事業所による送迎の利用者は60%に留まります。重症児者の送迎には、少なくとも短期入所における送迎よりも多くの設備投資及び人件費を要しています。特に医療的ケアを要する利用者の送迎には看護職員の添乗を要するため、看護師の常勤配置が必要となります。重症児者の送迎は、地域において重症児者がサービスの提供を受けるための前提になるものであります。利用者全員の送迎は、開所時間の延長よりも急務であると、我々としては考えているところでございます。

 なお、具体的な報酬等の意見については、20ページ目に記載させていただいたところでございます。

 以上でございます。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 引き続きまして、全国医療的ケア児者支援協議会様、よろしくお願いいたします。

○全国医療的ケア児者支援協議会 全国医療的ケア児者支援協議会の代表の戸枝です。

 団体の概要は、2ページにあります。私たちの団体は、事務局は事業者団体がしていますが、会員、親の部会205名ということなのですが、家族の方が会員で多く参加している団体です。とりわけフェイスブックのグループなどで意見交換をしているということでは、在宅の当事者で社会参加をして意見を表明できないような親御さんたちの意見を集約している唯一の団体ではないかと考えております。

 報酬の意見の概要を見ていただくと、2つの大きな項目があると思うのですが、1つは判定です。今回、報酬以前に医療的ケア児者が法律に位置付けられた初めての報酬改定ですので、その対象者が誰なのかということがきちんと考えられないと漏れが出るということでは、ここの議論をきちんとしていただきたいということを、報酬議論の前にお願いしたいと思っています。さらに細かい報酬部分での意見を、先程御案内したように、当事者団体の成果活用ということでは、家族はどのような暮らしをしているのかということを、今日は参考資料として世田谷区であった実態調査をお持ちしましたので、そちらで要望と併せて説明させていただきたいと思います。

 4ページです。先程の判定の問題についての意見を述べさせていただいております。私たちとしては、運動機能を考慮しない「医療的ケア」の定義を早急に設定と書いてあるのは、重症心身障害児者と医療的ケア児者は決定的に全然違うことを確認いただきたいということでございます。とりわけ、「動く重症児」とか呼ばれ始めているのですが、気管切開している、場合によっては胃瘻がついていて、医療的な特に感染症の配慮などが必要なので、何をするにも看護師がずっと見守るというような子供さんたちが、立ち上がった瞬間に大島分類で重症児の判定にははまらないので、例えば、デイサービスだと、重症児だと2万円いただけるのが、立った瞬間に8,000円になってしまう。私たち事業者は、立ち上がった成長の喜びと、単価が半分以下になった悲しみを抱えるという状態になっています。ここは新たな判定をつくらなければいけない。1、2、3と書いてありますが、広い定義にすると曖昧なので、全体が入るように見えて、恐らく基礎自治体レベルでの判定では、その子が対象なのかということがその担当者の裁量みたいになってしまって、どんなにお願いしても医療的ケア児として認められないということが起こり得るだろう。そういう意味では、かなり細かい判定をしないとだめではないかと思っていまして、2番目が、東京都か幾つかの自治体が実際にやっている3段階の判定です。とりわけ子供は障害程度の区分の判定がございませんので、医師の意見書を出す場面がない。そこを医療的ケア児の場合には勘案しながら、場合によっては、審査会は障害もあるわけですから、子供なのですが、そこに掛けていただくみたいな形でイレギュラー対応していかないと、新しいタイプの子供たちが漏れ続けるという問題がありますので、この2番目が実際にやっているものであって、3番目はより正確な判定ということを考えないとだめではないかという提案でございます。

 詳細版の5ページ、6ページのところは、先程御案内したように、参考資料を見ていただきたいのですが、7、8、9と世田谷区と社会福祉法人むそうが医療的ケアの必要な人に絞って実態調査をしたデータでございます。

10ページを見ていただくと、子供、18歳以下に関しては、127人から回答をいただきまして、日本の人口が1億2,700万人と考えて、先程厚生労働省の研究班で医療的ケア児が1万7,000人だと思うと、世田谷が80万人で107人いるはずだと思えば、恐らく全数調査に近い数字がとれたかなと。基礎自治体レベルでは初めて親御さんの負担も含めてきちんと調べた調査だと評価されています。

11ページを見ていただくと、心身状況なのですが、就学前、就学後、データを見ていただくと、矢印を付けさせていただきましたが、実は医療的ケアの子供たちがきちんとした療育とかを与えると、著しく状況が改善するという障害者であると、データだけでも分かると思います。

12ページを見ていただいても、いろいろな介助の状況がかなり軽減していっていることが分かります。もちろん固定してかなり強い支援がいる方たちもいるわけですが、この医療的ケアの子供たちは、知的障害がもしかしたらないという子供たちも含めて、早期に療育をすると著しい改善がある。先程から障害福祉の増え続ける予算をどのように抑制するのかという議論が出ていますが、福祉は医療と比べて予防の概念が弱いということを、子供の支援をしながら強く思っています。発達障害の子供さんたちを強度行動障害にしない。医療的ケアの子供さんたちをきちんと早期に療育することで納税者に変えていくことが最大の福祉的な予算の前向きな抑制策だと思いますので、子供さんの改善をするということに強く着目していっていただいて、子供の支援を厚くしていただきたいと思っています。

13ページを見ていただくと、世田谷区は、恐らく国立成育医療研究センターがあったりということもあって、先程のように全国平均より医療的ケアの子供がいるということがありますが、併せて、例えば、成育の看護師さんが地域に出ていたりすることで、医療的ケアの子供に対しての社会資源は恐らく日本でも有数の充実している地域だろうと考えています。にも関わらず、68%の方が在宅で何の支援も通所先もないという状態です。

児童系サービスはかなりインセンティブがきいていて、児童発達支援事業とか、とりわけ放課後デイサービスが日本中ですごい勢いでできているわけですが、その中でもできないということですから、個人的には、元々の児童系の報酬は半分ぐらいにして、強度行動障害とか医療的ケアの子供は倍にするというぐらいのはっきりとした報酬の改定をしていただいてもいいのではないかと思っています。

14ページを見ていただくと、医療的ケアといった時に、イメージが湧かない方もいらっしゃると思いますが、こういう子供たちです。見ていただいて分かるのは、レスピレーター、気管切開ということでは、人工呼吸を使っている子供たちは減っていて、気管切開の子供は増えている。呼吸器を付けている子供以上に、立ち上がる気管切開程度の活動性のある医療的ケア児が増えている。活動性があるということで社会参加するので、感染症とかと闘うということでは、たんとかを取らなければいけない。たんというのは雑菌を排出するものですから、そういった日常的な細かい医療的な配慮が必要な子供たちが増えているということが、世田谷のデータでもはっきりしているかと思っています。

 さらに15ページを見ていただいて、これは医療ニーズで書いて、病院がなかなか診てくれないとか、そういうこともあるのですが、そもそも移動手段がない。先程から議論が出ていますが、移動介護を支援しているとか、障害者自立支援法にする時に重点化をして、移動支援という形で地方に投げましたが、結果としてこれだけ重度の親御さんが、例えば、呼吸器とか、場合によってはいろいろな機器を持っている子供の移動すらも、支給、サービスが届かないという実態になっています。そういう意味では、要望の5番目にあるヘルパーの確保の時の医療的ケアができるヘルパーの確保とあわせて、移動手段をどうするのかということに対して、もう一度考えていただきたいと思っています。

16ページ、17ページ、18ページを見ていただくと、相談支援を病院から退院時、場合によっては在宅で、どこにしていますかと。18ページにも相談先などを聞いているのですが、これは全部見ていただくとよく分かると思うのですが、障害者相談支援専門員に相談しているということが、在宅に移ってもすごく低いのです。これは、お願いに行っても医療的ケアのことは分からないとはっきり言われるというのが親御さんたちの意見で、データでも証明されています。結果として、通っていた病院のところにずっと相談です。MSWに在宅の相談もし続けるという状態になっていまして、相談支援の研修とともに、移行時に病院の中のカンファレンスに相談支援員さんにお金を付けてあげるとか、相談支援も前向きにやりたいと思っていますので、そこのインセンティブをお願いしたいと思っています。

19ページを見ていただくと、とにかく医療的ケアの子供さんを持っておられる親御さんは、寝られていない。

 断続的な睡眠しかとれていない親御さんが多いということで、20ページを見ていただくと、身体状況も、寝られていないとか、代わる介助者がいない人は、3割ぐらいが体調が悪いとはっきりおっしゃっています。

 そういうことですから、21ページを見ていただくと、何が心配ですかと皆さんに聞くと、子供の老後生活設計、要するに、自分が死んでしまったらどうするのかということを心配されていて、これを見て個人的にもすごく胸を打たれたのは、就学前の6歳までの親御さんが子供の老後の設計を28%で心配されているのです。そういう意味では、グループホームの充実と、グループホームは子供は入れないので、家庭状況の悪い家庭も多いので、そこの見直しもしなければいけないのではないかということを提案したいと思います。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 それでは、最後の団体になりますけれども、公益社団法人日本精神神経科診療所協会様、よろしくお願いいたします。

○日本精神神経科診療所協会 公益社団法人日本精神神経科診療所協会から、発言させていただきます。

 協会の概要は、このとおりです。全国の精神科診療所を中心に、現在、会員数は1,700名弱ございます。

 3ページに概要が載っていますが、重点的な項目としてこのような観点を挙げさせていただいています。

 詳細版に移ってください。

 視点-1については、特に医療と福祉の連携が重要であるという観点と、質の高い相談支援が重要であるという観点を特に強調しました。

 医療と福祉の連携が重要であるという点ですが、精神障害は疾患と障害の両側面があり、その地域ケアは医療と福祉が協力連携をして包括的に行われる必要があります。しかし、今日に至るまで、医療と福祉に共通の言語が育っておらず、医療と福祉を繋ぐ回路は確保されていません。例えば、障害者総合支援法でも、障害支援区分に関して医師意見書を書くのですが、それに対するフィードバックは必要ないということになっています。それに基づいて支援計画を立てていたとしても、医師の意見は必ずしも反映しなくてもいいことになっています。あるいは、自立支援協議会に医師の参加は必ずしも必要ではありません。そのような形で、医療と福祉を繋ぐ回路はなかなか確保されていません。そのため、以下の評価を行うことによって、医療と福祉の連携を進めていく必要があるということで、3点書きました。相談支援事業所において、医療と連携した計画相談を行う場合に評価する必要がある。具体的には、医療機関のPSWなどが参加したケア会議を開催したり、主治医との情報共有などによって、医療機関と連携して計画相談やモニタリングを行う場合に、これを評価するということです。今のは計画相談の話ですが、2番目は、個別支援計画の話です。医療機関の看護職員が事業所を訪問して看護を行う場合などに、医療連携体制加算などが現在は認められていますけれども、それだけではなくて障害福祉サービスにおいて医療と連携した個別支援計画を作成した場合に、それを評価する必要があります。具体的には、医療機関のPSWなどが参加するケア会議を開催したり、主治医との情報共有などによって、医療機関と連携して個別支援計画を作成した場合に、これを評価する必要があります。これらと対応して、医療機関においてもその活動に関して評価する必要があります。3番目として、医療機関による障害福祉サービスとの連携の評価も必要である。具体的には、医療機関のPSWなどがケア会議に参加したり、主治医との情報共有などにより相談支援が行われたり、個別支援計画が作成された場合にこれを評価する必要があるということです。

 質の高い相談支援が重要であるということですが、精神障害の場合、病気としての側面と障害としての側面を統合していくことに困難を感じることが多いです。様々な生活上の困難を抱える中で、障害として受け入れても、病気である以上、いつかは治ることを諦めたわけではありません。このような揺れとつき合いながら、やがて障害を受容し、新たな目標を見出すまでのプロセスは容易なことではありません。この長いプロセスをともに歩むケアマネジメントが重要です。そのために、現在の総合支援法は障害福祉サービスの手配に終始する可能性が高いので、いわゆるブローカー型の相談支援ということになるかと思いますが、それだけではなくて、相談支援専門員が行う直接支援をもっと評価する必要があります。とりわけ、サービスに繋がる前の支援が重要です。精神障害の場合、自ら援助を求めなかったり、求める力の弱い人たちも多く、サービスに繋げていく支援には高い専門性が求められます。サービスに繋げていくための支援への評価が必要です。また、一旦サービスに繋がっても中断してしまうことが多いです。サービス定着のための支援にも高い専門性が求められます。週1回以上の支援を行うような集中支援を行っても、現状の相談支援では評価されません。サービスに繋がった後の丁寧な定着支援への評価が必要だと思います。

 視点-2に関しては、アセスメントと体験利用と再チャレンジに関してまとめました。

 先程言いましたように、揺れる障害と精神障害は言われますが、そのために精神障害に対するアセスメントが非常に重要であると思います。利用者の心身の状況、その置かれている環境、サービスの利用に関する意向などのアセスメントを丁寧に行って、適切な障害福祉サービスに繋げる必要があります。アセスメント抜きのサービスの押し付けにならないようにする注意が必要です。例えば、就労経験のない方がB型を利用する場合には、就労移行支援でのアセスメントが必要とされますが、就労移行支援のプログラムを行いながら、片手間にB型の適性をアセスメントをすることは無理があります。そのために、人材を揃え、専門性を持ち、アセスメント機能を持つ事業に対して、別立ての評価が必要です。アセスメントの評価が必要だと思います。

 体験利用を積極的に活用すべきかと思います。サービスを利用する前に不安や迷いが生じやすい。一旦利用を決めたとしても、一歩踏み出していくことにためらいを覚えることが少なくありません。そのために、体験利用者には格別の配慮が必要です。サービスの体験利用を通して、不安や迷いを払拭していく必要があります。しかし、日常サービスの提供を行いながら、体験者の不安や迷いに寄り添いながら関係づくりをして、サービスに繋いでいくというのは容易なことではありません。サービスの体験利用を受け入れていくためには、そのための人材と専門性の確保が必要です。

 次に、再チャレンジですが、就労移行支援や生活訓練など標準的利用期間が定められているサービスに関しては、利用を終了したり中断した場合には、特別な理由がない限りは再利用は認められていません。そのために、サービス利用を終了したり中断したまま、いずれのサービスにも繋がらず引きこもってしまっている場合があります。したがって、そういう意味で再チャレンジの機会を保障する仕組みが必要かと思います。

 次は、視点-3です。

PSWなどの配置など、専門性を確保する必要があります。障害福祉サービスへの営利産業の参入が目立っています。その中には精神障害者の地域生活を継続的に支援するよりも、企業の論理が優先される場合があります。異業種の参入によって、就労支援の活性化などが期待される面もありますが、企業の論理に流されない、高い専門性、倫理性が求められていると思います。

 次、ピアの積極的な活用が必要です。障害福祉サービスの事業所に一定以上のピアスタッフを採用した場合に、それを評価する必要があると思います。

 就労に向けての出口の整備必要かと思います。一番最初には医療との連携と言いましたが、ここも労働分野との連携が必要かと思います。就労支援を受けた後でも、就労の場を確保できずに徐々に就労意欲をなくしてしまうことが多いです。職場体験実習は、受け入れた企業と利用者双方に報奨金を支給するなどによって、就労へ向けたインセンティブになります。重い精神障害の場合は、雇用率のカウントを期間限定的に2カウントにすることや、あるいは週20時間勤務することが困難な精神障害には20時間未満の勤務も期間限定的にカウントの対象にするなどして、正式雇用に向けた段階的な受入れなども重要になってくるのではないかと思います。精神障害の就労の場合は、就労ができても定着に課題のある場合が多いです。定着に向けた支援がとりわけ重要だと思います。病状の揺れにきめ細かく対応しながら、就労定着を支援していくためには、職場と医療機関を繋ぐ役割が求められます。その際、医療機関のPSW等のコメディカルの活用の評価が必要かと思います。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 それでは、2ラウンド目としまして、後半の5団体につきまして、御質問等があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 野沢さん、お願いいたします。

○野沢アドバイザー 全国医療的ケア児者支援協議会の戸枝さんに聞きたいのですけれども、世田谷の調査はすごく驚くべき内容で、ほとんど自宅でお母さんたちが見ている。相当追いつめられているなと思うのですけれども、これは世田谷の調査は在宅の方だけですね。施設に入所したり長期入院している人たち等の割合はどのぐらいのものなのですか。

○全国医療的ケア児者支援協議会 例えば、18歳までということでは、重症児の施設の方たちは超過問題とかを抱えていて、児の施設であっても、例えば、みとりの問題などに真剣に取り組むみたいな、そういう現状ですから、亡くなったりする人がいない限り入れないです。そういう意味では、例えば、国立成育医療センターで助けられて在宅に移行するということでは、施設に入れるというのは本当に恵まれている人の一部で、ほぼ100%在宅に来るという状況になりつつあると思います。子供に関してはです。

○野沢アドバイザー 在宅でも、それなりのいろいろな資源があれば生活していけるということですか。

○全国医療的ケア児者支援協議会 そうです。先程申しましたように、世田谷だと成育出身の看護師さんたちがいるので、小児に特化した訪問看護ステーションとかという、全国的にほとんどないものがあるのです。そういう状態であっても、結局、訪看さんが1日2回ぐらいおうちに来てくれること以外は、ほぼ100%が家族が介護しているという状態にあると思います。通所先は、7割の方が持っていないということになります。

○野沢アドバイザー 先程グループホームの話をされましたけれども、医療的ケアの必要な人たちのグループホーム、例えば、どういうものだと可能なのか。具体的にまだないわけですね。具体的なイメージとしては、何と何と何があれば、グループホームは可能なのか。

○全国医療的ケア児者支援協議会 グループホームということでは、シンプルに考えていただいて、在宅に本人たちがいられているわけですから、家族、特にお母さんという介護を社会化すればいいわけです。本人たちは、施設ではなくてもグループホームでやる力はあるわけです。その上で大きな問題になってくるということでは、家族だけに許されている医療的ケアの範囲が、私たちヘルパーがやれる範囲を大きく逸脱していまして、看護師でもかなり難しい。例えば、静脈栄養とかを家族が入れているとか、結構そういう実態にまで進んでいるのです。そういう意味では、看護職で爆発的に在宅を増やすのか。

 私自身は、諸外国を見習って、医療的ケアができる介護職というか、家族がやっていることを誰かが代わるということができるような、そういう制度設計というか、資格を新たに設けた上で、グループホームなどにそういう人が配置される。その時にはかなり責任を持った支援をしなければいけないので、報酬も介護職をかなり上回って、ベテランがずっと常勤でやれるようにしないと、恐らくグループホームというインフラには受け入れられても、支援体制が整わないだろうと考えています。

○野沢アドバイザー 広さとか、人数とか、設備とか、そういうものは特にないのですか。家庭であればできるということですか。

○全国医療的ケア児者支援協議会 基本的にそこもすごく大きな誤解があると思うのですが、例えば、家庭に帰ってくる時に、例えば、酸素のために壁の中に穴を通して配管するとか、そんなことはしないわけですね。今は医療機器がすごくよくなっていますので、ポータブルなもので在宅で暮らせていますから、グループホームもそんなに特別な配慮は、バリアフリー以外は要らないと思うのですね。そういう意味で、グループホームで十分やれますので、むしろ大事なことはインフラよりもマンパワー、特に医療的ケアが看護師で追いつくのか。家族がやっている、かなり高度な医療的ケアを誰が代わるのか。そこの1点に尽きると思います。

○野沢アドバイザー ありがとうございます。

○内山障害福祉課長 千把さん、よろしくお願いします。

○千把アドバイザー 千把でございます。貴重な御意見をありがとうございます。

 私も全国医療的ケア児者支援協議会さんに御質問なのですけれども、3ページにあるのですけれども、(1)にもあるのですが、(2)の2で、医療的ケア児を重心の報酬とした上で、さらに医療的ケア加算を上乗せとございますが、私どもの経験でいいますと、重症心身障害児の支援もかなり専門性が高くて手厚い支援が必要と考えているところなのですが、そこで医療ケア児への支援料が重症心身障害児への支援料より同等もしくは上回ると判断される材料とかデータがあれば御教示いただきたい。

 もう一つが、3ページの(1)に医療的ケア児の定義と判定方法、特に4ページの(1)の3番目で、見守り度の評価とか、4番目で療養機能評価とございますが、支給決定をする市町村としましては、医療的ケア児の定義をつくる場合は、いわゆる客観的であるとか統一的な判断基準が必要ではないかと考えるわけです。その見守り度の評価とか、療養機能評価について、全国医療的ケア児者支援協議会さんで考えている判断基準があるのかどうかをお教えいただけますか。

○全国医療的ケア児者支援協議会 1点目の重症心身のプラスアルファはどういうことかということなのですが、だから、重症心身障害関係団体もこの医療的ケアのことは加算でとおっしゃっているのだろうと御理解いただきたいと思うのですが、重症心身障害のそもそもの判定は大島分類ですから、ある意味、健康で知的障害が重く寝たきりだという判定で、そこに対して重心の加算が付いていると思いますから、例えば、今、重心施設の中では、加齢に伴って胃瘻を付けるとか気管切開になっている方たちが増えていて、そこの配慮が旧来の重心の加算だけではやれないということに対して、皆さん医療的ケアを担った段階でさらに加算がないと、とりわけ看護師などを配置しないといけなくなるのでやれないということを、皆さん、おっしゃっているかと思うのです。

 これは子供たちも一緒で、重症心身障害の報酬単価では、看護師が常勤で、場合によってはシビアな子が集まってくると複数を行わなければいけないことも起こり得るわけです。これは特に小児の救命救急の能力がすごく上がっていますので、今まで病院で亡くなっていたり出てこなかっただろうというところまでもところてん式に出てきているので、病院で対応していたようなレベルでの医療的な対応を福祉施設が求められるという事態が起こっています。そうすると、一つは1人の看護師でやれていたものが2人いないとやれないような実態のデイサービスなどもかなりある。さらに、看護師さんが、小児の、場合によってはNICUとか、PCUとか、そういった専門的なところに似たような看護師を置かないと対応ができないとか、そうすると、当然人件費ベースもかなり高くしないと、この春、成育からうちに移ってきた看護師さんがいるのですが、年収ベースでいうと200万円下がりましたね。

 そうだとして、意識が高い人がボランタリーな気持ちも含みながら移ってくるということでは、この増え続ける子供たちに対応するのは難しいと思いますので、そういう意味で、重心プラスアルファ、医療的ケア加算、もっと言えば、立ち上がる重症児たちは、行動援護とか、場合によっては強度行動障害の判定基準でいけばすっかり判定を上回る。なのに、気管切開、胃瘻という状態で、感染症の配慮が要るとかという子供たちも相当数いますので、そうすると、行動援護という、例えば、ヘルパー類型には、プラス医療的ケア加算で1,000円を付けるとか、そのようなことを考えていただかないと、今回、医療的ケア児者が法律に位置付けられて初めての報酬改定ですので、ある意味、サービス体系全体の中で見直していただきたいということが要望になっているということです。

 併せて、2つ目の認定のところなのですが、これは障害者の自立支援法をつくるタイミングで支援制度がある意味財政的に大きくはねたということも含めて、ケアマネジメントが大事だと。その中では認定調査をちゃんとしようという流れがあって、子供も判定するのかという議論は大分あったわけですが、子供というのは、例えば、3カ月で違う人になっていくというか、状態の変動性が高いので判定になじまないだろうということで、今は大きく3段階の目安みたいな判定をするというところに、実際の事務としてもとどまっているのだと思うのです。

 その結果、例えば、先程言ったように、医療的ケアがシビアな子供さんが、医師の意見書を出す場面が全くないとか、そもそも目安がないので、こんなに大変だということを自治体の方に言っても、自治体の方も何を根拠に特別な決定をしていいのかということが分からないので、子供さんなどに会ってしまうと、皆さんは共感して、これはとても大変だと思うのだけれども、それを役所の中で合意形成をする根拠がないのです。

 そうなってくると、子供にも一部判定をきちんとすることで、全国どこにいても必要な支援が受けられるようにするということを考えざるを得ないのではないかと思っていまして、これは報酬改定ということでは、もしかしたら1の広い書きぶりで今回はやるしかないのではないかと、現実問題としては私どもも思っています。ただ、障害者総合支援法の見直しとかには法律改正なども議論するわけですから、どこかのタイミングでは責任のある判定を持ち込まないと、漏れたりとか助けてもらえない子供たちが出るのではないかということで、2番目までぐらいが今回の現実的な報酬改定に連動した提案で、3番目は法改正を含みますから、そういうタイミングがあればぜひ考慮いただきたいというつもりで提案させていただいています。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 岩崎さん、お願いします。

○岩崎アドバイザー どうもありがとうございました。

 全国医療的ケア児者支援協議会さんにお尋ねしたいのですけれども、早期の療育によって状態が改善するのは望ましいことですが事業者としてはいただける収入が減っていくというお話がございましたね。そこの矛盾というのは、私も、自治体の成人のですが、支援区分の認定に関わっていて、そう思うのです。支援者が頑張れば頑張る程事業者さんに入る収入が減っていくという矛盾に対して、何か具体的な手立てをお考えになっているかということをお尋ねしたいと思います。

 もう一点、日本精神神経科診療所協会様のお話で、私も、医療的ケアが必要な方とか、そういった方は、何かあった時に命に関わるという非常に切迫した感じがありますけれども、それに反して、精神障害の方たちというのは、その疾患が直接原因になって死に至ることは比較的少ないわけですけれども、引きこもっていらっしゃってセルフネグレクトみたいになっていらっしゃるところに、なかなかまだまだ手が届いていないと思うのです。ですので、訪問、アウトリーチとか、そういったことも有効だと思いますし、病院からの地域移行、地域定着とか、職場定着、そういったところに何が有効なのかということで、一つ提案をいただいているのがピアスタッフの効果ということなのですけれども、どういったところに具体的な効果があると考えて御提案してくださっているのかということをお尋ねしたいと思います。

○内山障害福祉課長 それでは、全国医療的ケア児支援協議会様からお願いいたします。

○全国医療的ケア児者支援協議会 本当に事業所のつらさを受け止めていただいてありがとうございますという感じなのですが、例えば、うちにいた子で、小顎症といって、顎が形成されずに生まれて、そうすると、御飯が食べられないとか、呼吸も上手にできないので、気管切開です。喉に穴をあけているのと、胃瘻、胃にチューブを付けているのです。その子は、顎を形成しながらということでは、ある程度の年齢になると恐らく食べられるししゃべれるようになるだろうと。私たちもお付き合いしていて、知的障害は余りないのではないかということを思ったので、手話を徹底的に教えたら、手話コミュニケーションができるようになったのです。友達が手話をできないと、多分これ以上伸びないだろうと判断しましたので、聴覚障害の子供たちの幼稚部に移しました。移すに当たっては、職員が幼稚部にしばらく付いていって、例えば、胃瘻の注入とか、聴覚障害の幼稚部ですから、やったことがないわけです。これを介護職でやれていたので、そちらの先生でもやってほしいということで、向こうの先生が安心するまで同行支援させていただいた。

 これを厚生労働省は相談支援の保育所等訪問とかでやれと言うのですが、福祉事業所の慣れた職員が、次の人に、例えば、3カ月とか、長期にわたって寄り添って支援をしていけば、移行ができる。それをまた相談支援の人をかませて、向こうの人が覚えるみたいなことはあり得ないと思うのです。だから、児童発達支援事業の職員が保育園とかにアウトリーチすることを積極的に認めていただけると、かなり移行する子が出るだろうと、実践しながら思っています。

 その上で、おっしゃるとおりに移行させると、収入は大きく減っていくわけです。そういう意味では、やはり抱え込んだ事業者のほうがもうかることははっきりしていますから、例えば、就労系の移行支援とかのように、移行させたらインセンティブがつくとか、そういったことを考えていかないと、抱え込むだろうと。結果的に、例えば、今の手話ができる友達が必要な環境に移さなければいけない子が抱え込まれたら、育ちがだめになりますから、そこは何らかの方策を考えなければいけないかなと強く思います。

○内山障害福祉課長 引き続きまして、日本精神神経科診療所協会様。

○日本精神神経科診療所協会 診療所協会の上ノ山です。

 医療機関から、例えば、訪問看護とかアウトリーチをしていきたいのですけれども、それに対する評価は現在はございません。訪問看護は、患者さんのおうちに訪問すれば訪問看護として認めていただけますけれども、就労支援とか、あるいは就学支援とか、そういう形で、職場とか、学校とか、何らかの活動をしている生活の場に行って支援するということに関しては評価されていません。

 そういうことで、医療機関の側のそのような活動は、障害福祉サービスとは異なるかもしれませんが、我々が医療機関として地域の生活支援を充実させようと思った時に、そういうコメディカルの様々な活動に関して評価する仕組みがぜひ欲しいと思っています。

 ピアに関しては、これは絶対に有効だと思いますが、単にピアの方が参加すれば資質が上がるかというと、必ずしもそうではないような気がします。これはそれなりのトレーニングを受けた方をその職場なら職場に配置するということがあれば、それに対して積極的な評価があればいいと思っています。実際にトレーニングを受けるということで、例えば、傾聴するとはどういうことかとか、あるいは人の気持ちに寄り添うことはどういうことかとか、そういうことを実際に受けることによって、患者さん自身にとってもすごく新鮮なトレーニングになったという評価をしていただくことがあります。それと同時に、それに参加する利用者もピアの先輩たちの活動に接して勇気付けられたり、頑張ろうという感じになったりすると思います。そういう意味で、ピアの積極的な参加を求めて、その割合に基づいて評価していくことが必要ではないかと思います。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかに後半の5団体に対して。

 上條さん、お願いいたします。

○上條アドバイザー お願いします。

 全国肢体不自由児施設運営協議会さんにいただいている資料で、医療型障害児入所施設、全部赤字というような表がありますけれども、これはお話の中でも、報酬のことなども考えて、肢体不自由児よりも重心のほうに傾倒してきているというお話がありましたが、その結果としてもこういう状況だということなのでしょうか。

○全国肢体不自由児施設運営協議会 朝貝です。

 この肢体不自由の赤字の部分を、医療型障害児入所施設になって、重症心身障害児施設と肢体不自由児施設はなくなったわけですから、重心のほうの給付費で補って民間が何とかやっているという実態です。ですから、益々肢体不自由児を入れること自体が、運営上では難しくなってきているということです。

○上條アドバイザー それで実際に施設利用ができない肢体不自由の方が増えているという状況ですか。

○全国肢体不自由児施設運営協議会 私は機能予後をちゃんと予測してやらないといけないと思うのですが、在宅ということで、それがお茶を濁されていて、せっかく伸びる人たちも頻度の少ない通院だけで機能の伸びる時期を逸してしまっていると私は思っているのですけれども、しっかり持っている能力を最大限伸ばすというところができ切れていないという制度に、平成24年からなってしまったというところがあると思います。

○上條アドバイザー それは、施設の体系と報酬の設定によってそうなっているという感じですか。

○全国肢体不自由児施設運営協議会 そこが大きいと思います。大体肢体不自由児を入れても、医療と福祉と合わせても60~70%ぐらいしか、重心の給付費からすると、それぐらいのパーセントしか収入がないので、排除されていくと思います。

○上條アドバイザー ありがとうございました。

 反対に、全国重症心身障害日中活動支援協議会さんは、重心の方が障害の重い方と軽い方で報酬上の逆転現象もあるというお話もありました。これも、施設体系によってはそういうことも起きているということの理解ですか。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 赤字の施設が多いことについてですか。

○上條アドバイザー 赤字というよりは、お話の中で、障害の重い方に対する報酬に対して、施設規模とかも含めて考えると、軽い方との報酬上の逆転現象があるというお話があったかと思います。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 逆転現象というのは、考え方として、児童のほう、重症児の報酬は包括されているのです。訓練しても、医療的ケア、看護師さんによるケアをしても包括されてしまっている。ところが、重心以外の場合には加算があるのです。ほかの事業所から看護師さんに来ていただいたら幾らとか、その結果、逆転してしまっているので、これは単純に制度設計ミスとまでは言いませんけれども、見落とし、漏れなのではないかと思いますので、そこを何とかしていただきたいということでございます。

○上條アドバイザー ありがとうございました。

 全国重症児デイサービス・ネットワークの佐々木さん、最後に考えなければならないのはでチーンと鳴ってしまいましたけれども、何かお話があれば。

○全国重症児デイサービス・ネットワーク ありがとうございます。

 言いたかったのは、不適切かも分からないですけれども、数年前から始まっているような生活保護受給者に対するバッシングが、次に障害者に及んでこないかというのは非常に危機を感じています。制度の問題で言えば、介護保険とか、いわゆる保険制度ではない障害者総合支援法、児童福祉法に基づく各種サービスが全額税方式である以上、いずれそういうことになってきてもおかしくはないのではないか。それを我々のような事業者側が回避すべく、あるいは当事者側が必要な分のサービスをきちんと受けられることにするためには、なかなか難しい問題ではありますけれども、サービスの再編であるとか、報酬の軽重をきっちり付けるとか、そういうことが必要なのではないかと思いました。

○上條アドバイザー ありがとうございました。

○内山障害福祉課長 それでは、野沢さん、お願いします。

○野沢アドバイザー 全国肢体不自由児施設運営協議会さんに聞きたいのですけれども、地域移行支援加算を創設するというか、実績としては、どのぐらい、年に何パーセント、何割ぐらい、地域移行をされているのですか。

○内山障害福祉課長 いかがでしょうか。

○全国肢体不自由児施設運営協議会 朝貝です。

 参考資料の30ページに、地域移行の移行先を出しております。運営実態調査では、どういうところに移行しているかというのを全て調査しておりますが、その一部がこれと判断していただければいいと思うのですが、かなりの数ということです。

○全国肢体不自由児施設運営協議会 全体の入所児が大体1,700ぐらいで、回転をしていきますので、先程の有期有目的で退所されていく方を含めて、各学校や地域の教育施設に療育の結果をお伝えして、スムーズに地域での療育を継続できるようにするという努力をしております。

○全国肢体不自由児施設運営協議会 制度として、有期有目的入所というのは必ず地域に移行するわけですし、親子入所というのも、1、2カ月で必ず戻るわけですね。長期入所でも、高校を卒業すれば全て地域に戻っていくわけですから、肢体不自由児の場合は、原則として地域に戻るということになると思います。

○野沢アドバイザー 先程、入所でいろいろな療育をすれば機能が伸びるのを、地域でお茶を濁されて伸びないという発言があったのですが、肢体不自由児と重心と医療的ケアの人はそれぞれ違うと思うのですが、地域でやられている方はどうですか。地域でもできるのか。それとも、やはり入所の機能がやはり大事なのか。必要なのか。その辺り、言いにくいかもしれませんけれども、お聞かせ願いたいのです。

○内山障害福祉課長 いかがでしょうか。

○全国重症児デイサービス・ネットワーク 私たちは、先程言いましたように、定員5名の小さな重症児を対象としたデイをやっているのですが、昨日も私は沖縄のほうに行って、離島部に行ってきました。離島部で見て驚愕したのは、宮古島というところに行ったのですけれども、重心のデイサービスの施設が1つしかない。石垣島にはないそうです。その2つをいろいろ拝見したのですけれども、そこで、驚くべき結果、従来は全くないサービスが始まったことにより、本当に半身まひの子が目の前で動き始めた。この1カ月に動き始めたと言っていました。同時に、その同じ子が、聴覚障害がある。それに対して、デイの中で訓練をすることによって、発話がとれてきた。わずか3歳の女の子に対してでもこれだけ劇的な効果があるというのは、一人一人の立場に沿って、ほぼマンツーマンで支援するという仕組みの中でこそできることだと、私どもは思っています。

○内山障害福祉課長 それでは、全国肢体不自由児施設運営協議会さん。

○全国肢体不自由児施設運営協議会 13ページの参考資料8を御覧いただきたいのですけれども、これが集中訓練による機能の向上を示しております。右端に、I、II、III、IV、Vと書いてありますが、これは重症度で、GMFCSレベルIVが、歩行器とか電動車椅子ぐらいの子供たちです。このぐらいの子供たちが集中訓練の適応があって、実線が集中訓練で点線が通院治療ですので、ある適切な時期に集中訓練をして機能を伸ばして、それを地域で使えるレベルまで持っていって維持していくことが非常に大切なのだろうと思います。

○内山障害福祉課長 ほかにコメントはございますでしょうか。

 それでは、全国重症心身障害日中活動支援協議会様。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 重度あるいは超重症児と言われるような方々が在宅で生活が可能かという御質問であるならば、それは間違いなく可能であって、皆さんやっていらっしゃいます。ただ、在宅生活の場合には、御家族の負担にかなりの部分が頼っている。これを障害福祉サービスあるいは医療で担った場合はどうなるかというと、例えば、人手が3人分も4人分も掛かる。これも事実だろうと思いますが、在宅生活は十分可能だと思います。

 先程の訓練的なニーズですけれども、もちろん入所のほうが、施設にもよりますけれども、たくさんの訓練士を配置しておりますから、定期的な訓練ができますし、日常生活もたくさんやってくれますから、いいとは思いますけれども、在宅でも同じように、ちゃんと福祉サービスと医療との連携があれば、十分に受けられます。

 ただ、私どもの意見として申し上げたのは、今、福祉サービスでこの訓練を提供することは、非常にしにくい仕組みになっている。する意欲がわかない、インセンティブが働かない仕組みになっているので、これは何とかしていただきたい。それができないのであれば、通所は休んでいただいて、移動支援を使って医療機関を受診していただいたほうがいいということになりますが、時間の使い方としては非常にもったいないと思っております。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ほかにコメントはございますでしょうか。

 どうぞ。

○全国重症心身障害日中活動支援協議会 追加で、少し論点がずれるかも分かりませんけれども、重症心身障害とか医療的ケア児の在宅の方たちというのは、いわば医療と福祉が表裏一体になっているとよく言われます。福祉のところで頑張っていれば、なかなか具体的な数値としてはあらわれないですけれども、医療のほうの費用が結構下がっているという、私は小児科医として医療費を見ていると、それを実感として持っていますので、そこを頭の隅に入れておいていただきたいと思います。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 時間の関係もございますので、ここからは、後半5団体に限らず前半の5団体も含めて10団体の皆様に対しましての御質問等があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○全国肢体不自由児施設運営協議会 我々肢体不自由児のところの施設ですと、いわゆる重心に近いお子さんから比較的機能のいいお子さんまで、非常に多彩な能力のお子さんを対象として行っているわけですから、その分それぞれの能力に合わせた対応が必要になるという点では、非常に効率がよくないという特性というか、宿命があるということを御理解いただければと思います。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 概ね予定の時間も近づいてまいりましたので、本日の会議はここで終了させていただきたいと思います。本日御意見をいただいた団体の皆様には、お忙しい中、長時間御出席いただきまして、ありがとうございました。

 次回の検討チームですけれども、7月21日、金曜日、9時から12時まで、中央合同庁舎5号館で関係団体ヒアリングの4回目を予定してございます。

 それでは、本日は、お忙しい中を長時間にわたり、どうもありがとうございました。これをもちまして「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第4回会合を閉会いたします。どうもありがとうございました。

 
(了)