資 料 1
医療情報ネットワーク基盤検討会開催要領
平成20年7月
1.背景
・医療機関や医療従事者等にとって、医療情報の安全管理には、情報技術に関する専門的知識が必要であり、さらに多大な設備投資等の経済的な負担も伴う。
・昨今の厳しい医療提供体制を鑑みれば、限りある人的・経済的医療資源は、医療機関及び医療従事者の本来業務である良質な医療の提供のために費やされるべきであり、情報化に対して過大な労力や資源が費やされるべきではない。
・他方、近年の医療の情報化の進展に伴い、個人自らが医療情報を閲覧・収集・提示することによって、自らの健康増進へ役立てることが期待されている。
・以上を踏まえ、適切な医療分野の情報基盤構築のために、以下に掲げる事項を検討する。
2. 平成20年度の検討事項
[1] 医療分野における電子化された情報管理の在り方に関する事項
・「診療録等の保存を行う場所について」(医政発第0331010号、保発第0331006号 平成17年3月31日)にて電子化された医療情報の外部保存委託先を、医療機関等に限定してあることで、本来、情報技術関連事業者が実施すべきような医療関連業務以外の情報管理等の負担が、医療機関側に生じている。
・医療機関等に限定してあることについては、十分な蓋然性があるものであるが、近年、効率化や安全性の向上を目的とした情報管理関連サービスの多様化が見られ、それらは人的・経済的負担の軽減等に資することが期待されてきていることも事実である。
・係る状況に対応するため、平成19年度には、厚生労働省は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(以下、医療情報ガイドライン)」を第3版として改定、また医療情報の取扱いに関するガイドラインが経済産業省1及び総務省2より発出された。
・各所より医療情報に関するガイドラインの整合を図ることが求められていること、また、技術進歩に合わせた医療情報の取扱い方策について、物理的所在のみならず医療情報を基軸とした安全管理及び運用方策等を更に体系的に検討し、読みやすさにも配慮した医療情報ガイドラインの改定を行う。
[2] 個人が自らの医療情報を管理・活用するための方策等に関する事項
・医療機関等において情報管理の在り方を更に体系的に検討する必要がある一方で、近年、情報技術を用いて個人が自らの医療情報を、自らの健康のために管理・活用したいとの要請が見受けられる。
・これらの要請に応え、国民中心の真に有益な情報化を推進するために、医療情報を個人が管理・活用する方策に加え、その際に求められるセキュリティ等技術的要件について「[1]医療分野における電子化された情報管理の在り方に関する事項」と連携して検討を行う。
・また、地域医療連携等において、医療機関等が医療情報を安全に共有する際に必要な認証機能の要件や認証ポリシの在り方等についても検討を行う。
1経済産業省商務情報政策局情報経済課「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」(平成20年3月)
2総務省情報通信政策局情報セキュリティ対策室「ASP・SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」(平成20年1月)
3.会議の位置付け
厚生労働省医政局長が必要に応じて検討会を召集し、必要に応じて作業班を設置する等、効率的に検討を進めることとする。構成員は別紙の通り。
4.開催
平成20年7月に第19回開催、本年度中に数回開催予定。
別紙
医療情報ネットワーク基盤検討会構成員
(平成20年7月現在)
構成員 | 所 属 ・ 職 名 | |
足立 武司 | 日本製薬工業協会医薬品評価委員会電子化情報部会長 | |
石垣 武男 | 名古屋大学名誉教授 | |
稲垣 明弘 | 日本歯科医師会常務理事 | |
○ | 大山 永昭 | 東京工業大学像情報工学研究施設教授 |
河原 和夫 | 東京医科歯科大学大学院政策科学分野教授 | |
喜多 紘一 | 東京工業大学統合研究院ソリューション研究機構特任教授 | |
篠田 英範 | 保健医療福祉情報システム工業会標準化推進部会副部会長 | |
土屋 文人 | 日本薬剤師会副会長 | |
永池 京子 | 日本看護協会常任理事 | |
中川 俊男 | 日本医師会常任理事 | |
樋口 範雄 | 東京大学大学院法学政治学研究科教授 | |
三谷 博明 | 日本インターネット医療協議会事務局長 | |
南 砂 | 読売新聞東京本社編集委員 | |
矢野 一博 | 日本医師会総合政策研究機構主任研究員 | |
山本 隆一 | 東京大学大学院情報学環准教授 | |
吉村 仁 | 日本画像医療システム工業会医用画像システム部会長 |
(五十音順:敬称略)
※ ○は座長