別添2

生活塾の普及促進に関する研究会報告書概要

I  生活塾とは
 本研究会においては、生活塾の概念について、以下のように整理して検討を行った。
 生活塾について
 人生経験豊かな退職者や子育てを終えたベテラン主婦などが、小学生を預かり、親に代わっておやつや食事を与えたり、挨拶などの基本的な生活習慣を身につけることなどを支援する取組のこと。
 〔特色〕
 主に自宅で、複数の預かりも含めて行う。
 預かりだけでなく、おやつや食事の提供、挨拶等のしつけを身につけさせる等の援助も併せて行う。
 預かりは有償とし、その報酬の支払いは当事者間で行う。
 市区町村は、預ける者と預かる者の間のマッチングを行う。
 ファミリー・サポート・センターやシルバー人材センターなどの既存の仕組みを活用して行うことができる。

II  モデル地域における実証実験の概要
 モデル地域(さいたま市、新宿区、川崎市、平塚市)において、子どもを預ける依頼モニターと子どもを預かる預かりモニターを募集し、両者のマッチングを行い、小学生の預かりを行った。預かりに加え、おやつや食事の提供、挨拶などの基本的な生活習慣を身につけることへの支援、複数の子どもの預かりを行うことにより、「生活塾」に関するニーズ、課題等を把握した。
 実験期間は、平成18年3〜4月を中心に2ヶ月程度行い、実施方法については、モデル地域において、実情に合わせ工夫し、個人宅預かり型、施設預かり型を実施した。
 別紙 モデル地域における実証実験一覧参照

III  検討結果
 実証実験を踏まえた生活塾の評価
(1)  放課後の預かりニーズ
 放課後、特に夕方以降の時間帯における小学生の預かりについては、フルタイムで働く親とその子どもの立場から切実なニーズがあり、生活塾の提供する機能の中の預かり機能については、このようなニーズに対応するものと考えられる。
(2)  預かり以外の取組
 「預かり以外の取組」へのニーズのうち、食事の提供については強いニーズがある。文化伝承等の取組へのニーズは強くはないが、実際に提供された場合には肯定的に受けとめられている。
(3)  預かり手の確保
 実証実験には、意識の高い預かりモニターが多く参加しており、地域住民の中に、同様の参加意識をもつ層の存在が期待された。また多くの預かりモニターが、食事の提供を主とする「預かり以外の取組」を提供しており、「預かり以外の取組」についても提供可能な預かり手がいることが確認された。
(4)  生活塾運営上の課題
 生活塾の運営にはいろいろな課題があることが明らかになった。すなわち、生活習慣を身につけさせることにはニーズが少ないこと、そもそも、生活習慣については、親、預かり手ともに考え方に個人差が大きいこと、複数預かりについては、親の帰宅時間が異なること、子どもの相性等の問題があり、一つの選択肢とするのが現実的であること、預かり時間や頻度、曜日、預かり以外の取組などに関する多様なニーズに対応したマッチングを行うことが難しいこと等である。

 放課後対策全般及び他の制度とのかかわり
 政府において、放課後児童クラブの拡充を中心として、小学生の放課後対策の充実が重点的に取り組まれている。放課後対策の中で、生活塾のような有償ボランティアの個人宅における預かりは、中心的な役割を果たすものではないが、多様な預かりニーズへの個別対応を行いやすい特色があり、他の制度を補完するものとして有意義であると考えられる。
 また、生活塾と同様に小学生を自宅で預かるファミリー・サポート・センター事業においては、従来から親が帰宅するまでの預かりや食事の提供を行っており、日々の預かりのなかで、結果的に生活習慣の形成など生活塾と同様の機能を果たしていることが改めて認識された。

 今後の方向
 生活塾の取組は、小学生の放課後対策の一つとして、将来的に発展する可能性を秘めている。一方で、その実行にあたっては、さまざまな課題があることが明らかになった。
 今後は、生活塾の考え方や事例を各地域に普及することにより、各地域において、必要に応じ、既存の事業の活用により、あるいは、創意工夫を行いつつ、自発的に取組を行えるような環境をつくっていくことが適当である。

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