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第1回労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会


日時 平成16年12月10日(金)
 10:00〜
場所 中央合同庁舎5号館13階専用第16会議室

○石野化学物質評価室長補佐
 ただいまから、第1回労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会を開催します。私は、化学物質評価室の石野です。座長が決まるまで、司会を務めさせていただきます。よろしくお願いします。
 初めに、小田安全衛生部長よりご挨拶を申し上げます。

○小田安全衛生部長
 委員の先生方には、お忙しいところ委員をお引き受けいただき、また早朝よりご出席いただきまして、まことにありがとうございます。また、日頃から私どもの労働安全衛生行政にいろいろとご支援、ご協力を賜りまして厚く御礼を申し上げます。
 この化学物質のリスク評価検討委員会は本日が第1回ですが、最近アスベストの問題、シックハウス、ダイオキシンの問題など、日常生活の中でさまざまな化学物質の有害性がマスコミ等をいろいろと賑わせています。
 そういった中において、我が国で現在使用されている化学物質は5万種類を超えると言われています。このうちの相当数のものが有害性がある、あるいは可能性があると言われていますが、このすべてに国がリスク評価を行うことは難しい問題ですので、基本的にはそういったリスク評価は事業者にお願いするしかないだろうと思っています。ただし、その中でもやはりばく露量が多く、有害性が高い可能性のものについては国として積極的にリスク評価を行い、リスクがあるとされた場合には必要な事後措置を講ずるべきではないかと考えています。どれくらいになるかはちょっとわかりませんが、100から数100のオーダーになろうかと思います。そういったものについて、リスク評価のあり方や事後措置のあり方をご検討いただきたいと思います。具体的なリスク評価については、これらの物質について個別に項目を決めていくことになりますので、ある程度完成するまでには年月を要するかと思います。先生方には、今日から年度末ぐらいまでにこの報告をおまとめいただきたいと思いますが、基本的にはフレームワークを作っていただくことが主眼です。
 それと同時にここでご報告をさせていただきますが、現在、労働政策審議会の安全衛生分科会において、化学物質については、このリスク評価の調査等について法制化の検討をお願いしています。また、その中で昨年国連の勧告にありましたグローバル・ハーモナイゼーション・システム、化学物質の分類、表示といったものについての標準が示されていますので、これをできるだけ早い機会に日本としても法制化して普及していきたいと考えています。また、そちらのほうもよろしくご支援をお願いしたいと思います。開会に当たりまして、簡単でございますがご挨拶とさせていただきます。よろしくご審議をお願いします。

○石野化学物質評価室長補佐
 事務局側の紹介をします。ただいまご挨拶を申し上げた小田安全衛生部長、化学物質対策課の古川課長、化学物質評価室の角元室長、化学物質対策課の塚本補佐、有害性調査機関査察官の大淵です。事務局は以上です。
 ご参集の先生方の紹介を五十音順にさせていただきます。京都大学大学院工学研究科教授の内山委員、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験センター総合評価研究室室長の江馬委員、慶應義塾大学医学部教授の大前委員、北海道大学大学院医学研究科教授の岸委員、中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長の櫻井委員、東京慈恵会医科大学環境保健医学講座教授の清水委員、独立行政法人産業医学総合研究所企画調整部長の本間委員です。あとのお三方、トヨタ自動車株式会社安全衛生推進部長の加藤委員、日本化学工業協会環境安全部部長の福光委員、東京大学名誉教授の和田委員は所用のため、ご欠席されるというご連絡を受けています。小田安全衛生部長は、このあと会議が入っていますので、失礼とは存じますが途中で退席させていただきます。
 議事に先立ちまして、資料の確認をします。資料No.1「労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会開催要綱」、資料No.2「労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会参集者名簿」、資料No.3−1「職場における化学物質のリスク評価委員会」中間報告概要、資料No.3−2「職場における化学物質のリスク評価委員会」中間報告、資料No.4「国が行う化学物質等による労働者の健康障害防止に係るリスク評価について(案)」、資料No.5「リスク評価対象物質について(案)」です。あとは参考資料としてガイドラインが付いているかと思います。
 次に、検討会の座長を選任する必要があろうかと思いますが、どなたかご推薦なりがありましたらお願いします。なければ、事務局のほうの推薦として、座長を櫻井先生にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(了承)

○石野化学物質評価室長補佐
 ありがとうございます。それでは、これからの議事進行を櫻井先生にお願いします。

○櫻井座長
 到らぬ面がいろいろあろうかと思いますが、労働環境における化学物質管理は、大変重要な行政対応が始まろうとしていると認識しています。幸い、専門領域の先生方がご参集ですので、そのお力によりまして適切な検討が行われるように議事進行に務めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 議事に入ります。事務局から、開催要綱について説明してください。

○石野化学物質評価室長補佐
 資料No.1に基づいて、労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会開催要綱について説明します。趣旨・目的は先ほど部長の挨拶の中にもありましたように、我が国の産業界では5万種を超える化学物質が製造または使用されているわけですが、この中には健康障害のおそれのあるものも多数含まれています。このような化学物質等をすべて一律に規制することは現実的でないことから、事業者自ら当該物質の有害性とばく露の程度からリスク評価を行い、必要な措置を講ずる自律的な管理が化学物質の管理の基本とされているところです。しかしながら、現に発生している職業性疾病のうち、法令で規制していない化学物質等によるものが半数程度を占めることなどを考慮すると、労働者が有害性の高い物質を直接取り扱う作業など、ばく露量が大きくリスクが高いと予想される一定の要件のものについては、国がリスク評価を行い、その結果に基づいて措置を講ずる必要があるところです。当検討会においては、国が行うリスク評価の方法、リスク評価後の措置などについて検討するため、労働基準局長の下に有識者の参集を求め、平成16年度末ごろを目途に検討結果を提出することとしています。
 2の検討内容で、1つ目は、化学物質のリスク評価の方法等に関すること、2つ目は、ばく露関係情報の収集等に関すること、3つ目は、リスク評価後の措置に関することがこの検討会で議論していただく主要な点です。
 3については、この検討会の開催のためのいろいろな決まり事が書いてありますが、割愛させていただきます。以上です。

○櫻井座長
 これについては、よろしいですか。それでは、今日の主要なテーマであるリスク評価の方法について検討します。事務局から説明をしていただきますが、まずは中災防での検討結果、概要が出ていますのでそれをまずは説明してください。

○石野化学物質評価室長補佐
 資料No.3−1が「職場における化学物質のリスク評価検討委員会」中間報告概要です。資料No.3−2に全文が書いてありますが、これは分厚いものですので、概要として資料No.3−1に取りまとめたものがありますのでこれによって説明します。資料No.3−2の位置づけですが、化学物質等による労働者の健康障害防止に係るリスク評価に関する方法及び考え方について、厚生労働省から中央労働災害防止協会に委託して検討をお願いしたもので、中央労働災害防止協会にリスク評価委員会を設置して、そこで検討いただいたところです。2枚めくると、中央労働災害防止協会において検討された委員の方々の名簿です。次が目次で、第1から第6までの内容になっています。
 資料No.3−1に戻りまして、資料No.3−2の概要ということでご説明します。資料No.3−2と順番が若干異なっている点があるかと思いますが、内容は変わっていませんのでご了解をいただきたいと思います。1の趣旨は、先ほどの開催要綱のところと同じものですので、割愛させていただきます。
 2のリスク評価の概要です。リスク評価については、化学物質等の有害性の種類及び程度の特定、労働者のばく露量の把握、ばく露量に応じて生ずるおそれのある健康障害の可能性及びその程度について把握して、ばく露量と量−反応関係から得られたばく露限界等を比較して、リスクの判定を行う形になっています。資料3−2の14頁にフローチャートがありますので、それと見比べていただければわかりやすいかと思います。
 各項目については2の(1)から(4)までに記載してあります。(1)化学物質等の有害性の種類及び程度の特定については、信頼できる主要な文献等から「化学品の分類及び表示に関する世界調和システム」、これは一般的にGHSと省略されていますが、ここに分類されている有害性のクラス分類を行って、その種類及び程度を特定する。有害性のクラスについては急性毒性、皮膚腐食性・刺激性、眼に対する重篤な損傷性・刺激性、感作性、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性、臓器毒性等とするということで、GHSのクラス分類に従ったものになっています。
 (2)健康障害の可能性及びその程度の把握です。信頼できる主要な文献等から許容濃度、無毒性量、NOAEL、LOAELといった毒性量、半数致死量のLC50、LD50等を把握するという手順になっています。
 ばく露評価については、ばく露量を把握する手順として(3)のア、イ、ウの3つに分けています。アは、化学物質の有害性、取扱量等により化学物質に優先順位を付け、ばく露が大きいと判断される作業について用途、ばく露データ、使用形態から作業環境測定の対象とする作業を選定する。最後にこの選定した作業について作業環境の測定、個人ばく露濃度測定によって、ばく露量を把握するという手順で、ばく露評価を行う形になっています。
 (4)のリスクの判定においては、(3)のばく露評価のところで把握した作業環境の測定等から算定した予測ばく露量と、(2)の量−反応関係のところから得られた許容濃度、無毒性量といったものと定量的に比較しまして、リスクがあるかどうかを判定するという流れになっています。これが資料No.3−2の14頁の別紙の真ん中ぐらいまでの四角のところになっています。
 リスクの判定においては、発がん性と発がん性以外に分けてリスクを判定する形になっています。アは、発がん性以外のリスクの判定です。発がん性以外の場合は許容濃度、ACGIHで定めているTLV−TWAが存在する場合は、これらの量と予測ばく露量を比較してリスクを判定するわけですが、予測ばく露量が許容濃度以上の場合には、詳細な検討を行う対象となります。許容濃度等がなくて無毒性量等が得られた場合には、margin of exposure、一般にMOEと略されていますが、これを算定します。MOEが1以下の場合、つまり予測ばく露量が無毒性量等よりも大きい場合には、詳細な検討を行う対象とする。1より大きく5以下の場合は、今後とも情報収集に努める形になっています。
 イは、発がん性のリスクの判定です。発がん性で閾値が存在する場合はイと同様な判定ができますが、閾値が存在しない場合はがんの過剰発生率を算定して、リスクの判定は過剰発生率が1×10-4より大きい場合は、詳細な検討の対象とすることになっています。
 詳細な検討については、リスクが高いと判定された化学物質等を取り扱う作業等については有害性データ、ばく露データを検証又は追加して再度リスクの判定を行い、専門家の意見を参考にしてリスクがあるとされた場合には、必要な措置を講ずるという流れになっています。
 これは一連の流れが書いてありますが、それぞれのばく露に関してどのような考え方をとっているのか、リスクの判定の考え方について、その背景に関して資料No.3−2の5頁以降に「ばく露に係る考え方」、11頁以降に「リスク判定等の考え方」の根拠が書いてあります。それについて取りまとめたものが、3の(1)のアからオになっています。
 ア、ばく露に対する考え方ですが、具体的にリスク評価の対象が決まらなければリスク評価は実施できないので、まずどういった作業を評価の対象とするか、通常、典型的で定常的な作業とし、事故等によるばく露については考えないということです。
 イ、測定データの無作為抽出ですが、個別の事業場を測定してリスク評価を行うことになっていますが、この選択した事業場における作業が一般性を持つものでなければなりませんから、ばく露の程度が大きいと想定される典型的な作業を有する事業場を対象に、しかもそれが統計的に有意であるようにするために無作為に選定することが原則です。
 ウ、ばく露の経路はいく通りかあるわけですが、特に労働現場におきましては呼吸器からの吸入が最も重要ですので、当該経路を呼吸器からの吸入を主経路として考えることになっています。物質によっては皮膚からの吸収が無視できない場合もあるかと思いますので、その場合には皮膚吸収についても考慮するということです。
 エ、保護具の考慮です。リスク評価においては、作業場における局所排気装置の設置の有無については考慮することとしますが、保護具を着用しているか否かはリスクの評価の際には考慮しないということです。
 オ、ばく露モデルの使用です。現在いくつかの数理モデルが作られて活用されていますが、現時点でその完成度等を考慮すると、モデルによるデータから算定した値よりも、実測したデータを優先的に用いることが望ましいという形になっています。ばく露の考え方は、資料No.3−2の5、6頁に書いてあるところを要約したものです。
 リスク評価の考え方が、資料No.3−2の11〜13頁に書いてあります。時間の関係上、概要を説明します。先ほどMOEの1と5という数字が出てきましたが、これの説明が資料No.3−2の11頁以降にあります。労働現場におけるリスクの判定を行う際には、作業に従事する労働者は大体20〜65歳程度で、比較的均一性のある健康な人々の集団であること、それから、事業場で健康影響について継続的な健康管理ができる可能性が高いといったことから、一般環境におけるmargin of exposureの値よりも小さくすることは一般的に合理的だと考えられると理解されています。
 イ、がんの過剰発生率です。資料No.3−2の12頁以降にありますが、一般環境のばく露対象者と労働環境における労働者の違い、交通事故のリスクなどを考慮すると、がんの過剰発生率は概ね10-4以上について詳細な検討の対象とすることは妥当と考えられるということで、12頁以降に詳細な理由が書いてあります。
 最後に、考慮すべき事項ということで、いくつかリスク評価を行う際には念頭に置かなければならない事項があります。1つ目は、有害性データが、多くの場合動物実験から得られたものを用いていること、あるいはばく露データも、労働者のばく露量を作業環境の空気中の濃度の測定データから推定していること、作業環境の測定を行った事業場の一般性についても十分な証拠が必要なこと等、そういったものの不確実性について十分に留意する必要があるという点があります。(2)も、科学的知見に基づいて評価する必要がある。特に労働現場においては多様性に富んでいますので、必要に応じて学識経験者の意見を聴く必要があるという具合になっています。以上が資料No.3−2の概要です。

○櫻井座長
 ただいま説明のあった内容について、ご意見、ご質問がありましたらどうぞ。なお、今日ご出席の委員の方々のうち、内山委員と江馬委員と大前委員はこの中間報告をおまとめになるときに関わっておられます。ただいまの概要のまとめ方についてのご意見等もあろうかと思いますが、今日の主な議題は資料No.4について詳細にご検討いただきますので、それもお含みおきの上、何かこれだけは問題、あるいは質問、追加等がありましたらどうぞ。

○清水委員
 質問です。最初に小田部長からお話がありましたが、現在5万数千種類の物質が現に使われて出回っているということで、既存の化学物質についてリスク評価をすることと考えるのでしょうか。それとも、さらに数万トンを作るような新規の化学物質に関しても、その中に入ってくるのでしょうか。

○角元化学物質評価室長
 本件の対象は既存化学物質の中から、さらに特に有害性が高い、ばく露機会が多いといったものを対象に、計画的に国としてのリスク評価を進めていくということです。

○清水委員
 既存だけを考えていくと理解していいのですか。

○角元化学物質評価室長
 はい。

○櫻井座長
 次へ進めます。資料No.4、今日の主な検討事項ですので、それについて事務局からご説明いただきご議論いただきたいと思います。資料No.4は8頁までありまして、9頁目に別紙が付いています。これを3つの部分に分けて事務局から読み上げていただいて、その部分についてご審議をいただくことで進めます。
 最初は、1、2、3までを事務局から読み上げていただきます。

○石野化学物質評価室長補佐
 (資料No.4、1〜4頁の半ばまで読み上げ)

○櫻井座長
 読み上げていただいた部分について、ご意見、ご質問をお願いします。

○本間委員
 2頁のウ、ばく露評価として、有害性データとばく露データが重要なファクターになっていると思いますが、これは作業環境中における空気中の濃度の測定結果等から把握するということですが、どうしても測れないとかデータがないようなときは、リスク評価の対象から自動的に外れるということになるのでしょうか。

○櫻井座長
 そうではないです。予測も当然入りますよね。

○角元化学物質評価室長
 5頁の下に「予測ばく露量の把握」がありますが、測れればそれに越したことはないのです。実際は、いろいろな条件があって測れない場合については、6頁の上から5行目に「ばく露モデルによる算定結果の活用」がありまして、実際に測れなければこういったものを活用してやっていこうということで、あとで触れてあります。ある意味では、「等」で出るのですかね。

○内山委員
 3頁の(イ)の経口から吸入による変換のところで、また書きの「最小影響量から無影響量への変換も同様に取り扱う」というのは、経口による最小影響量から吸入という無影響量への変換という意味ですね。

○石野化学物質評価室長補佐
 はい。

○内山委員
 ただ、それがないと、上の(ア)のLOAELからNOAELに変換する10を掛けるのと同じ意味になりますので、経口による最小影響量から吸入による無影響量への変換も、同様に取り扱うという意味だろうと思います。

○櫻井座長
 この文は、いらないかもしれませんね。すぐ上に「経口による無毒性量等」と書いてある。

○内山委員
 「等」に無影響量も入っていれば、「また」以下はいらなくても。

○櫻井座長
 「また」以下は全然別のことですからね。

○角元化学物質評価室長
 多分(ア)がコピーでそのままきて、消し忘れたと思います。

○内山委員
 だから、最初の「等」はいらないのですか。

○角元化学物質評価室長
 いや、そこの「等」でも無影響量のほうも読み込まれるから。(ア)の「また」以下がいらないのが、そのままきてしまっている。

○内山委員
 上の(ア)も、「最小毒性量等から無毒性量等への変換」と書いてあるので、その最小影響量も入っていると考えれば、(ア)の「また」もいらなくてもいいということで。

○古川化学物質対策課長
 「等」は、多分はっきりさせるために書いたと思うので、できれば(ア)(イ)を合わせるのであれば、(イ)の最初の「等」を取ったほうがいいのかもわかりません。

○内山委員
 合わせるのであれば、(イ)の「また」以下を、「また、経口による最小影響量から吸入による無影響量への変換も同様に取り扱う」とすれば、(ア)と同じ形になると思います。

○櫻井座長
 「等」ではなくて、明確にしましょうか。

○内山委員
 タイトルの「等」を取ってしまえば、「また」以下で。

○石野化学物質評価室長補佐
 「また」以下のところは、「経口による最小影響量から吸入による最小影響量との変換も同様に取り扱う」と。

○内山委員
 これは違いますね。ごめんなさい。

○櫻井座長
 これは無影響量だ。無影響量から・・・。

○内山委員
 「吸入による無影響量への変換」ですね。

○櫻井座長
 石野さん、よろしいですか。

○石野化学物質評価室長補佐
 それでは、(イ)のほうを、「経口による無影響量から吸入による無影響量への変換も同様に取り扱う」ということに変更します。

○内山委員
 3頁の(ウ)で、これは中間報告でもはっきり議論していなかったと思いますが、「動物実験等から得られた値においては、ばく露状況に応じて無毒性量等の補正を行う」というのは、一般的には環境中だと動物実験が5日間だったら生涯に直すけれども、逆に8時間に直すということですか。動物実験を24時間やっていれば、それを8時間に補正するということですか。

○石野化学物質評価室長補佐
 そういうことになります。

○櫻井座長
 ばく露状況に応じてというのは、ばく露時間等のという意味ですか。

○内山委員
 動物実験のばく露状況という意味ですよね。

○古川化学物質対策課長
 少し言葉を足したほうがいいかもわからないですね。何のばく露状況かわからないですからね。

○内山委員
 中災防で検討した中間報告に同じ表現があったので、それを写されたと思うのですが、中災防の委員会でもそこはどうするかは、まだはっきり議論していません。

○櫻井座長
 この場で追加していただいて、はっきりしたほうが。

○角元化学物質評価室長
 経口吸入というのを上でも既に補正を別途入れていますから、それ以外でいくと時間がいちばん大きいファクターだと思われますから、それを例示的に入れておけば。

○櫻井座長
 あるいは、本当は吸入呼吸量で補正するのがいちばんいいと思います。同じ時間でも労働時間3分の1というのではなくて、さらにその中で呼吸量が違いますから、本当は7日間全部の一般の呼吸量に対して5日間の週40時間の呼吸量の間の補正ですね。それがいちばんいいと思います。

○石野化学物質評価室長補佐
 ただいまのところは、環境省のガイドライン「化学物質の環境リスク初期評価ガイドライン」が別に付いていると思います。IIが「化学物質の環境リスク初期評価」ということで、これの13、14頁を見てください。

○櫻井座長
 13頁のいちばん下から14頁のいちばん上にかけて、時間だけで補正しているのですね。

○内山委員
 これは1日、ヒトの平均的な24時間15m3というのを原則でやっているので、座長のおっしゃるのは労働作業現場なのだから8時間10m3も補正に加えたほうがいいのではないかということですね。

○櫻井座長
 ばく露時間、呼吸量等の補正と入れてくだされば、今日はそれだけで時間を取ると時間がなくなってしまいますので、いまの3頁の「ばく露状況に応じて」という所を、ばく露時間あるいは呼吸量によって、無毒性量等の補正を行う。そんな具合に書いておいて。

○内山委員
 「等」を入れていただいて。

○大前委員
 ばく露状況は時間の問題もそうですが、物質によって水溶性が高いものはまた話が変わってくるので、「ばく露状況等」にしたらいかがですか。

○石野化学物質評価室長補佐
 確認をよろしいですか。ただいまの修正ですが、「また」以下のところで、動物実験等から得られた値においては、ばく露時間、呼吸量等によって無毒性量等の補正を行う、という形でよろしいですか。

○櫻井座長
 いま大前委員からの、最初のとおり「ばく露状況等」にしておきます。

○岸委員
 全体が見えなくて申し上げているかもしれませんが、一般的にはこれでよろしいかと思いますが、経口と吸入では毒性の現れ方が全然違う場合がありますよね。ダイレクトに呼吸の場合は血流に乗る。けれども腸管吸収で水位や何かで対処されるものに関しては、代謝産物で毒性が出る場合は違いますので、これは一般的な式としてはいいと思いますが、例えばDEHPや水銀のベイパーと無機水銀とか、自分もラボでやった場合も全然違うので、この式でばく露の量を換算するならいいのですが、毒性量の換算をこれで全部やれるようにしてしまうのは、何か但し書きがあるほうがいいのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。量を変換するなら大丈夫ですが、エフェクトですとかなり違うのではないか。

○櫻井座長
 当然、ここの所は非常に不確実性がある領域ですが、いちばん単純な割り切りになっています。スクリーニングだからということで。

○角元化学物質評価室長
 結局、吸入と経口と毒性の両方がわかっていれば、労働現場の場合は当然吸入毒性の毒性指標を使うことになるわけです。こうせざるを得ないのは吸入毒性が明らかではない前提がまずはあると思います。そういう意味でいくと、わからない前提でいけばとにかくあるものを使わざるを得ない。先ほど座長のおっしゃった1つの限られた材料からの割り切り。岸先生がおっしゃるように、わかっている前提では当然、吸入でわかっているものを優先的に使う。そういう整理になるのではないかと思われます。

○櫻井座長
 私個人的には、通常、経口から吸入に変換したものを使ってばく露限界値を考えるならば、不確実係数を少なくとも2ぐらいは入れたいので、農薬だと4ぐらいに入れたりしています。けれども、これはスクリーニングの段階ですから割り切っています。あるいは、無毒性量と書いてしまうから、嫌な気分がするのですね。

○岸委員
 ばく露量だと全然問題ないと思います。代謝が違ってしまうので。

○櫻井座長
 無毒性量としてあるのはあくまで経口のデータであって、それから無毒性量そのものを推定するというところが引っかかるのですね。

○岸委員
 そうですね。問題ない場合も、たくさんありますが。

○櫻井座長
 だから無毒性量そのものは経口だと。それから吸入のばく露限界値みたいなものを考える、無毒性量を推定してというのではなくて不確実係数で攻めていくしかない。

○岸委員
 そうでしょうね。

○櫻井座長
 どうしましょうか。せっかくこういう形でなってきたから、まあまあよろしいのではないですか。すぐその下の「信頼性のある最小値を採用する」というのは、信頼できる無毒性量がいくつかあったら、そのうちのいちばん大きい数字が採用されるのではないでしょうか。最大無影響量。通常は、信頼できる無毒性量が複数出てくるということはあまりないのですけどね。要するに、閾値にいちばん近い数字を採用するということか、それとも、安全サイドを採るということでしょうか。あるいは主要文献等から。

○石野化学物質評価室長補佐
 環境省のガイドラインの15頁の(2)に「無毒性量等の設定」というのがあります。

○櫻井座長
 環境省はこう書いているのですね。

○江馬委員
 現実的には最も信頼性のある値を採用するということだと思うのですが、複数が同じような信頼性であったら、多分評価文書を作る人がいちばん低い値を採ると思います。私だったら多分そうします。それは、上の数字を採って、もし誤っていたらということがあると、どうしても下のほうを採らざるを得ないという状況に、多分なると思います。ドーズがかぶっていたら。

○櫻井座長
 それがありますからね。

○江馬委員
 そういう場合とかぶっていない場合とでは、ちょっとケースが違ってくる可能性があります。

○櫻井座長
 要するに、ドーズの設定の仕方で影響を受けるわけです。ですから大きく設定してあるときには、やたらに小さい所へいってしまう可能性があるわけです。

○江馬委員
 大きい設定の実験と小さい実験でドーズがかぶっていたら、それは高いところを採ると思います。

○櫻井座長
 そういう場合には高いところを採ると思いますよ。だから一概に最小の値を採るというのはどうかなと思いますね。ちょっとこれは検討課題です。2頁の2の「有害性の種類及び程度の特定」という所に「GHSのクラス分けに従い」ということで、ピシッと「全身毒性とする」というように切り上げていますが、いま吸入毒性とか、追加も検討されていると思うのです。いままでに出ているものはこうなのですが、そういうように聞いています。GHSの分類で取り上げる健康影響の種類が、追加される可能性があるので。

○石野化学物質評価室長補佐
 お手元の「化学品の分類及び表示に関する世界調和システム」というGHSの分厚い資料の8枚目に目次がありますが、基本的には第3部「健康及び環境に関する有害性」の中の1章から9章の毒性に応じた分類ということでクラス分けしております。

○櫻井座長
 この段階ではこうなっているということであって、今後動く可能性があると認識しているのですけどね。まあ、それが出たら追加すればいいですね。

○角元化学物質評価室長
 それは現在まだ検討中ではありますし、その時点で。これは、未来永劫に変わらないものではありませんので。ただ、現段階で確定しているものを明示してあるという意味にしていただければと思います。

○櫻井座長
 先へ進んでよろしいでしょうか。では4頁の4からお願いします。

○石野化学物質評価室長補佐
 それでは、4の「ばく露評価」です。(以下資料読み上げ)
 以上です。

○櫻井座長
 この部分はいかがでしょうか。ばく露はあまり問題ないですか。ここで誤解を招くといけないのは、これはあくまで国が行うスクリーニングとしてのばく露評価なので、有害性というのが先に入ってきてしまう。通常は有害性ではなくて、ばく露はばく露だけ測りますが、この場合は有害性の評価もしていますよね。だからおかしいなと感ずる人がいるかもしれませんが、これはあくまで、有害性の強い化学物質についてばく露評価をするのだと。そのスクリーニングの段階で、まず最初に有害性で切ろうとしているということですよね。私がこの案を拝見したとき最初にそれ、おかしいなと思って聞いたらそういう説明で納得したのですが、そういう意味では、1枚目の「趣旨」の所に、あくまで国が行うリスク評価の方法について検討するとあって、個別の事業場でやるのと全く違うと思いますのでね。但し書を付けたほうがいいかなと思いました。事業場だったら、とにかくある化学物質を全部リストアップして。

○石野化学物質評価室長補佐
 座長がおっしゃることは、この方法論のなかに、国が行うということをどこかにきちんと明示したほうがいいのではないかということですね。

○櫻井座長
 そう思ったのですが、どうでしょうか。

○角元化学物質評価室長
 明示ということでいきますと、タイトルにも「国が行う」ということで。いちばん大きな所で明示はしておりますが。

○櫻井座長
 そうですね。いいですか。タイトルに書いてあるからいい。わかりました。

○角元化学物質評価室長
 文中にももう1つということであれば、別にやぶさかではありません。

○櫻井座長
 取り下げます。時間をとってしまって失礼しました。ほかにありませんか。

○清水委員
 いまの点、具体的なイメージができないのですが、国が行うということは、国が各施設に命じてさせるという意味ですか。あるいは国がやるのですか。そこの意味がよくわからない。

○古川化学物質対策課長
 趣旨は、本来であれば事業場における自律的管理というのが中心なのですが、それで放っておいては、やはり現在の職業性疾病の発生状況、あるいは中小企業で広範に有害性が高いものが使われている場合、それを看過するというのは、やはり国として責任を果たしていないということが言えると思うのです。ですから国がそういうもののばく露状況なり有害性というのをきちんと把握して、必要な指導を国の責任としてやるべきだろう、そのためのリスク評価を、国がどうやっていったらいいのかというところの検討だと思うのです。

○清水委員
 大企業なら大体そういう測定技術なりを持っていますが、中小零細になると自分の所ではなかなかそういうことはできないですね。そうすると、国がそこへ出掛けて行ってというようなことですか。

○角元化学物質評価室長
 国が中小企業の事業主に代わってリスク管理をするということではなくて、特定の物質に係る作業におけるリスク評価を国が、サンプル的に何カ所か実測も含めてやる。標準的な、通常の作業内容、取扱いでばく露限界に対して十分に安全であるということであれば、その自主管理に任せてもいい。だけど、どうも危ない場合には、国として最低基準を決めて、規制するなり行政指導をするなり、一定の最低ラインを示して中小企業なり、大企業も含めてそれを守っていただく。事故が起きてからやるというのではなくて、通常の状態でどんな状態かということを、国自らそういう調査をした上で、必要であれば行政措置につなげるということです。

○櫻井座長
 有害性の強いものでまず限定して、それでしかもばく露量の多そうなもの、というようにスクリーニングしていくということが書いてあるものですからね。通常の企業だったら、有害性がそんなに大きくなくてもばく露の評価をしますよね。そこに違いがあると思います。
 では、よろしいですか。内山委員、何か気づきましたか。

○内山委員
 混乱してきたのですが、6頁の頭に、吸入による予測ばく露量はmg/kgになっていますね。わざわざ直していて、NOAEL等はわざわざ経口から吸入に直していますね。そうするとMOEが無名数にならなくなってしまいます。これでよかったのでしたか。混乱してしまいました。

○櫻井座長
 ここはちょっとね。本当なんですよ。どうなんですかね。

○大前委員
 ばく露量を求めるというのは、許容濃度がある場合は単純にばく露濃度だけで比べればいいわけなので、許容濃度がない場合に使うだけですよね。6頁の「判定の手順」の(ア)が許容濃度が把握できる場合で、(イ)が許容濃度が把握できない場合だと思うのですが。

○内山委員
 (ア)の場合は問題ないのですね、許容濃度がmg/m3

○大前委員
 (ア)の場合は単純にばく露量と比較すればいいだけなので、予測ばく露量と比較するというのが間違っているのですが。

○内山委員
 許容濃度がない場合、予測ばく露量ですね。MOEはNOAELを予測ばく露量で割ることになるわけですね。そのときに予測ばく露量の単位がmg/kgで、NOAELはmg/m3にわざわざ直したのですよね。おかしくないですか。いいのですか、これで。ちょっと混乱してきました。

○櫻井座長
 ちょっと整理する必要があるかもしれませんね。

○角元化学物質評価室長
 3頁の真ん中の(イ)との関係ですね。

○内山委員
 そうです。

○櫻井座長
 こちらはわざわざこちらへ換算して、こちらは逆にこちらへ換算するというように行き来しているのです。6頁だと、経口のmg/kgと、これはダイレクトに比較できる形なのです。整理しましょう、どちらかに。これ、いろいろな所で錯綜するのです、常に。

○内山委員
 一応、吸入データがあれば吸入を優先するということになっているので、そのときはNOAELはmg/m3ですね。そのあとでばく露量をわざわざmg/kgに直すことはないですね。

○櫻井座長
 前のほうを優先すればここはあくまでmg/m3

○内山委員
 そうですね。そういう式を出しておいたほうが混乱しないのではないかと思います。

○大前委員
 では、(イ)の所は全部削除。

○内山委員
 削除すればいいのですね

○櫻井座長
 (イ)を削除すればいいのですか。ちょっと頭が混乱しています。

○内山委員
 単位が合わなくて、それを割ったら無名数にならないなというところで、混乱してしまったのです。

○櫻井座長
 ゆっくり考えて修正しましょう。石野補佐、大前委員にちょっと、あとでゆっくり相談してください。

○石野化学物質評価室長補佐
 いくつか出てきていますので、検討して、次回に出すということでよろしいでしょうか。

○櫻井座長
 そのようにお願いします。次へいきましょうか。6頁以降をお願いします。

○石野化学物質評価室長補佐
 5「リスクの判定等」。(以下資料読み上げ) 
 6頁の(ア)(イ)(ウ)の所は、許容濃度が把握できる場合とNOAEL等が把握できる場合、それと、どちらも全くできない場合ということで、中災防の委員会のほうでは有害性のクラスで若干書いてあったのですが、それを取りまとめた形で、ここで独自で提出させていただいておりますので、そのところも検討いただければと思います。

○大前委員
 同じような関連ですが、6頁の(2)の(ア)の「許容濃度等が把握できる場合」の所は、「リスクの判定は、許容濃度又はTLV−TWAの値とばく露濃度との比較により行う」ということになると思うのです。(イ)の所も同じように、予測ばく露量ではなくて、これもばく露濃度になりますね。

○櫻井座長
 (イ)もですか。

○大前委員
 (イ)もなると思います。無毒性量等というのは、これは結局、さっきの所で吸入の値に変換しているわけですから、いちいち/kgにする必要は全くなくなりますね。

○櫻井座長
 そうですね。予測を取って、ばく露濃度でいいのですね。

○大前委員
 そうです。MOEの計算式も同じことになります。

○櫻井座長
 (ばく露濃度)分の(無毒性量等)。

○大前委員
 これはあとで整合性を取らないといけないと思いますが。

○櫻井座長
 この場合、動物だったら無毒性量は全部、吸入の無毒性濃度に変換しているという前提ですね。ほかに何かありますか。岸委員、いかがですか。こういうスクリーニングの、margin of exposureの1とか5というところが非常にポイントだと思うのですが。

○岸委員
 1は超えていないということでわかりやすいのですが、5というのは何か根拠がありませんか。

○櫻井座長
 あまりはっきりした根拠は。10よりは。

○石野化学物質評価室長補佐
 資料No.3−2の12頁の(3)許容濃度が存在しない場合のMOEについてということで、アとイと2つ書いてありますので、ちょっと読んでよろしいですか。

○櫻井座長
 はい、どうぞ。

○石野化学物質評価室長補佐
 「ア、MOE<1について。無毒性量等を使用する場合に、当該値は人から得られ、十分信頼に足る値の場合には、MOEの判定基準を1とすることは合理的だと考えられる。動物実験から得られた無毒性量等を使用する場合には、不確実係数で除することにより種の相違を考慮した安全性を確保していると想定できる。
 MOEの算定がスクリーニング的評価であることから、判定基準は簡潔でわかりやすいものである必要があること、許容濃度等を用いる際の判定基準との連続性を考慮する必要があることを考慮すると、MOEの判定基準を1とすることは妥当と考えられる。
 イ、1<MOE<5について。事業場における労働者一般人に対して比較的均一性のある健康な人々の集団である等の(1)及び(2)、これは11頁から12頁の(1)(2)のことを言っています。(1)は、事業場において比較的均一性のある健康な人々の集団であり、有害性に対して特別に感受性の高い人々を含んでいる確率が低いと考えられること。(2)としては、ばく露を受ける可能性のある労働者に対しては、ばく露防止対策を講ずることができ、また、その後の健康影響についても連続的に観察できるという理由ですが)、この考え方を考慮してもNOAEL等の不確実性、人の間の感受性の違いを考慮すると、MOE<5については今後とも情報収集に努める必要を考えられる。なお、前述の廃棄物処理業務等に係る調査委員会報告書においても、『労働者の耐容1日摂取量(TDI)が一般人の耐容1日摂取量(TDI)の等倍から5倍の範囲に収まっている』とされている」。
 廃棄物処理業務等に係る調査委員会というのは、4頁の4の(2)の下のほうに「平成10年7月中央労働災害防止協会における『廃棄物処理業務等における化学物質による健康障害防止に関する調査委員会報告書』においては、労働強度を考慮して10m3/8h」と出ています。ここはダイオキシンに関してリスク評価を行っている数少ない例の1つだと思いますが、その報告書を引用したということです。

○櫻井座長
 清水委員、何かありますか。あるいは本間委員、よろしいでしょうか。

○本間委員
 ちょっと確認です。8頁の(4)「詳細な検討の手順」という所ですが、詳細な検討に係るものについては、その上のほうにa.MOE<1の場合には詳細な検討を行う対象とする、とあります。これが4にかかってくると考えてよろしいのでしょうか。

○櫻井座長
 そうですね。
 はじめのほうを少し急いでしまった点もありますので、全体としてご意見がありましたらおっしゃっていただきたいと思います。

○内山委員
 全体として、原則吸入に変換するということを大前提に考えてよろしいとすると、3頁の「経口による無毒性量等から吸入による無毒性量等への変換」にある係数は、これはヒトの場合だけしか呼吸量と体重が書いてありませんね。動物の場合の経口によるNOAELを吸入によるNOAELに変える場合には、これはマウスやラットの呼吸量と体重が必要になってくるはずですが。そこで多分環境省との整合性がおかしくなっていると思うのです。環境省の場合は、動物の場合はそのままNOAEL、mg/kgで使って、ヒトの場合のほうのばく露濃度を先ほど言ったmg/kg、体重の10時間のあれを使って直しているのでよかったのですが、こちら、原則吸入によるものに変換してMOEを計算するという大前提になりますと、動物で求められている経口によるNOAELを動物の吸入によるNOAELに変換しなければいけない。種差量が出てきますね。3頁の(イ)は、ヒトの場合ではこの8時間10m3と60kgでいいのですが、ラット、マウスの実験だったら、ラットの体重、呼吸量をやはりどこかに書いておかないと、実際にやる方は困ってしまうと思います。

○櫻井座長
 でもラットやマウスは、経口の無毒性量(NOAEL)があるとしますと、これはヒトのほうへ換算するときに、体重が等しければ同じという判断ですね。要するに事実上は、動物の吸入量を考慮したり、しなかったりいろいろなのです。

○内山委員
 動物の吸入の場合はそのままですね。だけど経口の場合は。

○櫻井座長
 吸入の場合はそのままでよくて、経口の場合は、/kgというのを同等とみなしているのです。だから、農薬などでも常にそうだと思いますが、動物のデータがmg/kgになっているから、それに60kgなら60kgを掛けて、それでそのヒトの耐容摂取量を計算して、それを吸入する空気で割ってその濃度を出しているわけです。これしかないような気がするのですが。つまり、経口と吸入の吸収量が等しいと考えているわけですね。吸収率と言いますか。

○清水委員
 2頁の2の2行目、「GHSのクラス分けに従い」という所です。関係省庁連絡会の仮訳から見ますと、この分類ですと、生殖細胞変異原性というのが抜けているのですが、これはあえて抜いたのか。資料3−2の中間報告のほうだと入っているのですね。

○櫻井座長
 抜く必要もなかったかもしれませんが、これは抜いてあるのですね。

○石野化学物質評価室長補佐
 これで国がリスク評価を行うというようなことは、通常はあり得ないのではないかということで抜いてあります。

○櫻井座長
 ほとんどそういう、該当する物質がいまのところはないのではないかというようなことだったかな。要するに生殖細胞変異原性というのは、いまのところ、ちょっと思いつく化学物質がないぐらいのものですね。将来出てきたら検討する必要があるかもしれない。

○角元化学物質評価室長
 現状においてはGHSの有害性リストとして、情報把握としては重要であるけれども、リスク評価の対象にはちょっと現状ではできないということで、あえて項目としては外しているということです。

○清水委員
 そうですか。こちらの中を見ると、遺伝毒性という形で報告書が出来上がっていますし、危険化学物質の中でもかなり、いわゆる遺伝子毒性といいますか、微生物と染色体異常試験の、かなり強く出るのがありますよね。そういうのは。

○櫻井座長
 それはそれでもってダイレクトに評価。体細胞。だから、発がん性の所で評価されると思うのです。

○清水委員
 発がん性のほうに括って入れているわけですか。

○櫻井座長
 はい、発がん性の中に変異原性が入っています、一般的な。生殖細胞変異原性というのはないでしょう。

○清水委員
 だけというのはちょっとおかしいですね。

○角元化学物質評価室長
 発がん性があって生殖毒性があって、さらに別途生殖細胞変異原性というのはちょっとなかなか。独立に評価しがたい項目としてあります。

○清水委員
 わかりました。発がん性の中で括っていればいいと思います。

○角元化学物質評価室長
 普通の変異原性はその中に入っています。

○櫻井座長
 資料No.5の「リスク評価対象物質について」を説明してください。

○石野化学物質評価室長補佐
 どういう物質でリスク評価を行うかということで、資料No.5について簡単にご説明します。
 リスク評価の対象となる物質として、当面、次の範疇に入る物質を対象とするということで通知対象物。これは労働安全衛生法第57条の2第1項において、政令で定めているものです。そのうち、特化則あたりの特別規則で規制しているものは除外する。
 EUの化学品の登録、評価、認可及び制限に関する規則案、これはREACHと呼ばれているものですが、これにおいて認可の対象となる予定として発がん性、変異原性、生殖毒性、そういうものを調査対象物質ということで考えています。ただ、冒頭申し上げましたように、これをすべて調査するということではなくて、優先順位をつけて選択するということになります。
 2の「選定順位」の第2段目ですが、リスク評価の対象とする物質は、有害性及びばく露の程度が高い等のリスクの高いものから優先的に選定する必要があることから、1における物質のうち、効率性をも考慮して次の条件を満たすものを優先的に選定する。(1)として、有害性の程度が高いと考えられるもの。ア、物理化学的性状としての蒸気圧、発じん性、揮発性等の大きい物質。イ、化学品GHSにおける有害性の程度として低位に区分される物質。(2)ばく露の程度が高いと考えられる物質。ア、屋内作業場において、開放系の作業工程において使用され、労働者が直接当該物質を取り扱う作業等のある物質。イ、使用量又は生産量が多いもの又は従事労働者の多い物質。(3)有害性について、諸外国の評価機関において有害性を評価して、その評価情報が充実している物質。当然ばく露評価、作業環境測定をしなければいけないということですので、(4)測定方法が確立しているもの。そういうものをまず優先的に選んでいくという。こういったものから選定してリスク評価を行うという、考え方の方針をここで示しております。以上です。

○櫻井座長
 これについて何か、お気づきの点がありますか。
 いま読んでいてちょっと奇異な感じがしたのは、物質の選定順位、(1)のイの「有害性の程度として低位に区分される物質」というのは、これは1、2、3、4、5の1とか2という意味ですか。だけど、ここに書いてある有害性の程度だったら、有害性が強いとか。考えればわかるのですがここをちょっと。表現ですね。なんとなくピンとこないなあと思いました。

○石野化学物質評価室長補佐
 表現の問題ですね。それではもう少し分かりやすく訂正いたします。

○櫻井座長
 何かありますか。これは大体、こういうことでお考えになっているようですので。優先順位としてはよろしいですね。
 それでは、今日予定していた検討事項はこれで一応終了しました。次回の日程を決めさせていただきたいと思います。事務局から説明をお願いします。

○石野化学物質評価室長補佐
 事前に各先生方のご都合等をお聞きして、いちばん欠席者の少ない日ということで、次回、あるいは第3、第4回目の日程について申し上げたいと思います。1月でいちばん欠席される方が少ないのは11日の13時から15時、31日の13時から17時まで。事務局としては1月11日の13時から15時を決めさせていただければ非常にありがたいと思っております。2月で欠席者の少ない日は、2月2日の13時から17時と、21日の13時から17時。1月が仮に11日であれば2月は2日あたりが、事務局としては都合がいいと考えております。仮に31日であれば21日という感じかと思います。3月で欠席者が最も少ない日は、18日の13時から17時ということですので、3月はこの日に決めさせていただければと思います。

○櫻井座長
 時間の点もありますが、1月については、11日の13時から15時時が欠席者が最小で、事務局としてはそこに決めさせていただきたいということです。よろしいでしょうか。
 では1月11日(火)の13時から15時を次回ということにさせていただきます。そうしますと2月は2日(水)の13時から15時、3月18日(金)は13時から都合が悪い方もいますので16時から18時とさせていただきます。今日のところはこれでよろしいですか。事務局もよろしいですか。
 それでは本日の議事進行にご協力いただいてありがとうございました。これで閉会といたします。


照会先
労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室
TEL 03-5253-1111 (内線5512)


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