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第4章 ものづくり基盤産業の育成に関する事項


 第1節 産業集積の推進等

  1 ものづくり事業者の新たな集積の促進及び既存の集積の有する機能の強化

    製造業が集積し、我が国の基幹産業を支える部品、金型等を製造している地
   域において、近年、生産拠点の海外移転等により、その産業集積の空洞化が懸
   念されているため、これらの産業集積の維持活性化を図っていく必要がある。
    このため、これらの地域において、ものづくり事業者の技術の高度化や新分
   野への進出を支援することにより、ものづくり事業者の新たな集積の促進及び
   既存の集積の有する機能の強化を図る。
    また、ものづくり事業者の新たな集積の促進及び既存の集積の有する機能の
   強化のためには、地域の産業立地基盤の整備に重要な役割を果たす工業団地等
   の産業支援施設の整備が有効である。
    このため、これらの地域において、技術の高度化や新分野への進出に取り組
   む企業等が入居し、重点的な支援を受けるための工業団地や賃貸工場等の施設
   整備等を行う。
    さらに、産業集積の持つ機能を十分に発揮させるため、ものづくり事業者同
   士の交流及び連携、ものづくり事業者と地域の大学、教育機関、研究機関等と
   の交流及び連携を促進する。


  2 新規創業等に係る支援機能の充実等

    今後、我が国のものづくり基盤産業の振興を図っていくためには、ものづく
   り事業者による新規創業等を通じ、ものづくり基盤技術の高度化やものづくり
   基盤産業の競争力を高めていくことが重要である。また、ものづくり基盤産業
   における新規創業等の円滑化を図るためには、ものづくり事業者に対する施設、
   人材、情報等の提供、円滑な資金の供給等新規創業等にかかる支援機能を充実
   させていく必要がある。
    このため、地域において中核的な機関を中心として既存の各種産業支援機関
   を統合・ネットワーク化し、個人あるいは企業が事業展開に至るまでの過程で
   遭遇する技術面、資金面、人材面等の課題に対して適切な支援を行う総合的な
   支援体制を整備するとともに、新規創業等に取り組む企業等が入居し、重点的
   な支援を受けるためのインキュベータや賃貸工場等の施設整備等を行う。
    また、今後、新たな事業が円滑に創業されるような環境を整備し、政策資源
   をかかる創業の支援に投入していく。


 第2節 中小企業の育成

  1 中小企業の経営基盤の強化

    中小企業の活力ある発展にとって、専門性、創造性の発揮がますます必要と
   なる中では、事業・技術の継承に加え、ものづくり基盤技術の向上を図ること
   が極めて重要な課題である。
    このため、中小企業の技術力に係る実態把握に努め、技術力の向上に必要な
   情報等の整備、技術の標準化を推進する。また、ものづくりを担う中小企業の
   これらの経営資源に対する円滑なアクセス、中小企業が抱える情報化等の経営
   資源の確保に関する問題に対するきめ細かな対応を可能とするため、都道府県
   の公設試験研究機関、大学、国立試験研究機関等に加え、中小企業・ベンチャ
   ー総合支援センター、都道府県等中小企業支援センター、地域中小企業支援セ
   ンターを含めた総合的な連携体制の整備を図る。
    さらに、政府の調達に係る契約の締結に当たっては、WTO政府調達に関す
   る協定及び関係国内法令との整合性を確保しつつ、技術力のある中小企業者の
   入札参加機会が適正に確保されるよう努める。


  2 取引の適正化

    ものづくり基盤技術の継承や発展のためには、地域経済の発展に寄与してい
   る下請中小企業の有するものづくり基盤技術に対する適切な処遇が必要である。
    このため、下請中小企業に対する大企業等による優越的地位の濫用を防止し、
   公正な取引の促進を図るとともに、法律的な知識等の経営資源の不足している
   中小企業が、様々な取引上の問題に対する適切な対応を行うための支援等の施
   策を講じる。


  3 中小企業の経営の革新及び創業の促進

  (1)中小企業の経営の革新

     ものづくり基盤技術を活用するためには、中小企業が市場の変化に対応し
    て自らの経営課題に積極的に取り組むことにより、競争力のある製品やサー
    ビスを提供していくことが極めて重要である。
     このため、中小企業がものづくり基盤技術などの経営資源を最大限活用で
    きるよう、生産性の向上や経営管理の合理化、経営効率の改善等を支援する
    ことにより、その経営の革新を図る。

  (2)創造的な事業活動の促進

     多様な中小企業の中には、独創的な技術や問題解決型の技術による新製品
    の開発を通じ、新たな事業分野を創造する企業が登場しつつある。機動性と
    柔軟性を備えた中小企業が、ものづくり基盤技術を活用しつつ、著しい新規
    性のある製品の開発や提案を行うことにより、新分野の開拓や他分野への参
    入に積極的に取り組むとともに、こうした取組によりものづくり基盤技術が
    更に発展していくことが重要である。
     このため、中小企業がこのような創造的な事業活動を行うことを支援する
    ための措置を講じる。


  4 新たな設備の設置等

    ものづくり基盤技術の発展に向け、中小企業が新たな設備を設置することは
   重要であり、中小企業の設備導入に対する資金供給の円滑化を図ることが必要
   である。このため、政府系金融機関の融資制度や信用補完制度の的確な運用、
   民間金融機関に対する中小企業向けの適正な融資の指導等の必要な施策を講じ
   る。
    また、ものづくり基盤技術を活用する中小企業が自己資本を充実させ、経営
   基盤を強化することが望まれる。
    このため、中小企業に対する投資の円滑化の施策を講じる。

 


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