平成7年労働安全衛生基本調査結果概要

I. 調査の概要

 1 この調査は、事業所が行っている安全衛生管理、労働災害防止活動及び労働災害発生状況等の実態並びにそこで働く労働者の安全衛生、労働災害防止等に対する意識、安全衛生教育の実施状況等の実態を把握し、今後の労働安全衛生行政を推進するための基礎資料とすることを目的として、平成7年11月に実施したもので、このたびその概要を取りまとめた。

 2 調査対象は、次のとおりである。
 イ 産業
 日本標準産業分類による、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店(その他の飲食店を除く。)及びサービス業のうち洗濯・理容・浴場業、旅館,その他の宿泊所、娯楽業、自動車整備業、機械・家具等修理業、物品賃貸業、映画・ビデオ制作業、その他の事業サービス業、廃棄物処理業である。
 ロ 事業所
 上記イに該当する産業で、常用労働者を10人以上雇用する民営事業所のうちから抽出した約12,000事業所である。
 ハ 労働者
 上記ロの事業所のうち2,000事業所から抽出した事務・管理・技術労働者以外の労働者約12,000人である。

 3 有効回答率は、事業所調査88.1%、労働者調査81.9%である。

 4 調査の内容は、原則として平成7年10月31日現在の状況である。




U. 調査結果の概要

 骨  子 

事業所調査〕

 衛生管理者、産業医の選任及び安全衛生委員会等の設置の割合(事業所規模50人以上)はいずれも約75%となっている。事業所規模別には規模が大きいほど選任等の割合が高く、300人以上の各規模の事業所ではいずれも95%以上の割合となっているが、50〜99人規模ではそれぞれ7割未満となっている。産業別には卸売・小売業,飲食店とサービス業でいずれも6割前後の選任率となっている。
 10〜49人規模の事業所を対象とした安全衛生推進者又は衛生推進者の選任割合は34.0%となっている。


 作業標準(安全作業マニュアル)の作成状況をみると、調査した8種類の作業のいずれも事業所規模が大きくなるほど作成割合が高くなる傾向があり、 1,000人以上規模事業所では各作業について8割を超えているが、10〜29人規模事業所では、最も作成割合の高い作業で57.6%最も作成割合の低い作業では29.3%である。 機械の作業前点検の実施状況をみると、調査した5種類の機械のいずれも、すべての事業所規模区分で実施割合が8割以上となっている。


 過去1年間にエイズに関する正しい知識の普及活動を実施した事業所の割合は23.1%で、実施内容(複数回答)としては、「冊子等の配布による啓発」(88.5%)の割合が高い。


 高年齢労働者(50歳以上)に対する安全衛生対策は63.4%の事業所で実施しており、対策の内容(複数回答)としては、「作業方法の改善、配置転換等」(48.8%)、「健康管理の徹底(人間ドックの実施等)」(47.6%)の割合が高い。


 労働災害防止対策を進めることについての関心の程度をみると、81.9%の事業所が「関心を持っている」としている。関心を持っているとする割合は事業所規模が大きいほど高く、 300人以上の各規模の事業所では95%以上となっているが、10〜29人規模では8割弱である。また産業別には卸売・小売業,飲食店とサービス業では「関心を持っている」割合は7割台で、他の産業より低くなっている。


 平成6年11月1日から平成7年10月末日までの業務上災害(不休災害を含む。)による常用労働者の被災者数を平成7年10月末日現在の労働者 1,000人当たりで表してみると、その比率(千人率)は14.78で、事業所規模別にみると、事業所規模が小さくなるほど、千人率が高くなる傾向にある。


労働者調査〕

 現在の職場の作業環境の快適性については、「快適である」とする者が38.2%、「快適ではない」とする者が32.7%、「どちらともいえない」とする者が29.1%となっており、産業別にみると「快適である」とする者の割合は、電気・ガス・熱供給・水道業で62.0%と高い。
 労働者が現在の職場の作業環境で快適ではないと感じている事項(複数回答)は、気温(57.6%)、ほこり(48.6%)、騒音(39.9%)、換気(37.1%)の順に多くなっている。


 事業所が取り組んでいる労働災害防止対策について、調査した労働者の69.0%が「関心がある」としている。年齢別にみると年齢が低いほど「関心がない」とする者の割合は高くなり、20歳代では47.7%、20歳未満では73.9%が「関心がない」としている。
また、関心を持っている割合は、労働災害防止対策を進めることに関心の高い事業所の労働者ほど高くなっている。


 入社した時の安全衛生教育は53.1%の労働者が受講しており、おおむね事業所規模が大きいほど受講の割合が高く、受講者の93%がその教育は「役立っている」としている。作業内容が変わった時の安全衛生教育は、対象労働者の57.1%が受講しており、受講者の96.0%が「役立っている」としている。


 健康管理を進めていく上で関心のある事項(複数回答)は、「健康的な食生活の情報」(60.1%)の割合が最も高いが、50歳代では「高年齢化に伴う機能低下の予防」の割合が67.8%で最も高い。


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