98/10/16 第5回内分泌かく乱化学物質の健康影響検討会議事録 第 5 回 内 分 泌 か く 乱 化 学 物 質 の 健 康 影 響 に 関 す る 検 討 会 議  事  録        厚 生 省 生 活 衛 生 局 食 品 化 学 課      内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会(第5回)議事次第 日 時 平成10年10月16日(金) 10:00〜11:35 場 所 中央合同庁舎5号館共用第9会議室  1 開 会  2 資料確認  3 議 題    1内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会中間報告書について    2その他  4 閉 会 〔出席委員〕  青 山 委 員  阿 部 委 員  伊 東 委 員 井 口 委 員  井 上 委 員 岩 本 委 員  押 尾 委 員  黒 川 委 員 紫 芝 委 員  鈴木(勝)委員  鈴木(継)委員  高 田 委 員  田 中 委 員  寺 尾 委 員  寺 田 委 員  西 原 委 員  藤 原 委 員  眞 柄 委 員  松 尾 委 員  安 田 委 員  山 崎 委 員  和 田 委 員 〔事務局〕  内田食品化学課長、平山生活化学安全対策室長、他課長補佐以下8名 〔オブザーバー〕  環境庁、通商産業省、農林水産省、文部省、科学技術庁 ○食品化学課長  定刻になりましたので、ただいまから第5回内分泌かく乱化学物質の健康影響に関す る検討会を開催いたします。  本日は御多忙のところお集まりいただきましてまことにありがとうございました。本 日は委員25名中22名の方が出席いただくということでございます。3人の先生、若干お くれているようでございます。  それでは、座長の伊東先生に議事の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願い いたします。 ○座長  まず、事務局から配布資料の確認をお願いします。 ○池田補佐  それでは、本日の配布資料の御確認をお願いいたします。事前にお送りした資料も含 めまして資料は五つございますが、お手元には議事次第と座席表がございまして、その 次に配布資料の一覧がございます。資料1から5までございます。  資料1が、本検討会の「中間報告書(案)たたき台」という形になってございます。  資料2は、聖マリアンナ医大で行われました「妊孕能を有する日本人正常男性におけ る生殖機能について」でございます。  資料3は、「スチレンオリゴマーの内分泌かく乱作用に関する生物学的評価」でござ います。  資料4、資料5につきましては、先般の本検討会で御指摘いただきました「関係各省 庁の連携図」が資料4、「関係省庁の窓口リスト」が資料5でございます。  以上でございます。 ○座長  ありがとうございました。  本日の議題でございますけれども、検討会中間報告書(案)につきまして御議論いた だくことになっております。報告書(案)の内容につきまして、概要などを事務局側か ら御説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○池田補佐  それでは、資料1につきまして、ごく簡単に内容を御説明いたします。  資料1をめくっていただきますと目次がございます、この報告書は全体で五つの部分 に分かれております。Iが「はじめに」、IIが「内分泌かく乱化学物質を考える」、III が「内分泌かく乱化学物質問題を解決するために」、IVが「おわりに」。それから付録 といたしまして「個別物質の評価と今後の検討」となっております。  なお、お送りした資料では目次のIIIのところに2カ所ほど誤りがございますので、III の2のところが「今後の基本方針」となっていますのを「今後の対応方針」と変更して いただきたいと思います。それから、IIIの5は重複しておりますので、削除していただ きたいと思います。  目次がございまして、次をめくっていただきますと「はじめに」がございます。「は じめに」ということで、内分泌かく乱化学物質問題に関しまして、本検討会が設定され るに至った経緯ですとか、この報告書の内容等について書かれたものでございます。  次が委員の名簿になってございまして、4ページ目がII.「内分泌かく乱化学物質を 考える」ということで、ここでは内分泌器官とホルモンの生理的な役割の紹介や化学物 質によるかく乱のメカニズム、これまでの科学的な知見ということでまとめられたもの でございます。  最初は「ホルモンの人体における作用」等が教科書的な部分をきちんと御説明いただ きまして、わかりやすくまとめられたものでございます。  次に、10ページ目でございますが、「作用メカニズム」というところがございまして 「内分泌かく乱化学物質の定義」のところが出てございます。「内分泌かく乱化学物質 の定義」は、その物質と内分泌系との作用が必ずしも明らかになっていないというよう なことで、国際的にも論議が続けられてきているということでございますが、ここでは 真ん中辺の黒マルのところでございますが、WHOとIPCSで定義しております定義 を載せておりまして、「内分泌かく乱化学物質とは」ということで、「内分泌系の機能 に変化を与え、それによって固体やその子孫あるいは集団(一部の亜集団)に有害な影 響を引き起こす外因性の化学物質又は混合物」という定義を引いてございます。  その下には「作用メカニズム」ということで、「例えば」ということで、ホルモン受 容体への作用機序をとった場合にもいくつかの可能性が指摘されるということで、 1の ところにありますような「生体内ホルモンの結合不全状態」から始まります五つほどの 作用メカニズムが挙げられております。  11ページでは、「また」以下のところで、この内分泌かく乱化学物質の作用について は、「同じ物質が異なった臓器で異なった影響を与えること」等の五つのいろいろな要 素があるということが可能性として知られているという指摘も書かれてございます。  12ページからは、「物理化学的性質」ということで、これまでいろいろな情報源で挙 げられております内分泌かく乱化学物質とされるような化学物質について、平成8年度 の厚生科学研究で取り上げられましたものの中から主なものを列挙して性質を述べてお ります。例えば、医薬品では、ジエチルスチルベストロール等の医薬品が挙げられてお ります。また、有機塩素系の殺虫剤とかポリ塩化ビフェニル等でございます。 13ページのところでは、アルキルフェノール類とか、植物性のエストロゲンのほかに 一番下の注意書きで「なお」ということで、「ビスフェノールA、スチレンダイマー及 びスチレントリマー、フタル酸エステルについては後述させている」ということで、付 録として挙げられております「個別物質の評価と今後の検討」のところにこの内容は記 載してございます。 14ページは、4.の「暴露経路」ということで簡単にまとめられております。 15ページからが「人への影響」ということで、現在のところ「内分泌系の薬理作用を 期待して使われたようなDESを除き、内分泌かく乱化学物質が与えるような人への健 康影響については確たる因果関係を示す報告はみられない」ということでございますが 大きく、女性の生殖器系及び乳腺への影響、男性生殖器系への影響等ということで、そ れぞれ子宮がん、子宮内膜症、乳がん等につきまして、現在の知見を整理していただい ております。  細かい内容は省略させていただきまして、24ページまで行きますが、(4)で「人へ の健康影響についての評価」ということで、以上のようないろいろな資料についてまと めてございます。後段のところの「したがって」以下のところですけれども、内分泌か く乱化学物質の人への影響についても、 1それらの多くは受容体に対する結合親和性が 低いとか、 2環境中の濃度も一般的には低いレベルのものが多いこともあって、「有害 反応を引き起こすような可能性は疑問視する声もある」というようなことも書いてござ います。実際には「DESのような事例を除けば、個々の物質の正確なリスク評価や暴 露評価がなされれば、日常的な暴露レベルに対してはさしあたり必要な対応を取り得る ものと考えられる」等々と。  ただし書きで、そういったことについては、 1胎生期などを含めたホルモン制御のか く乱を生じやすい状態がないこと等の前提条件が必要である、といった指摘もございま す。 あと細かなところに関しましては省略させていただきます。  以上がIIでございまして、26ページからが、これらの問題を解決するためにというこ とで大きなIIIの項目でございまして、「問題解決のための取組の現状」ということで、 まず「我が国における主な取組」が記載してございます。現在は厚生省のほか、通産省 環境庁等の9省庁で連携して、内分泌かく乱化学物質問題の関係省庁課長会議等が設け られまして、連携をして対応をとっているということで、27ページには、関係省庁の連 携図を再度挙げさせていただいております。  28ページからが「世界における最近の主な取組」ということで、IPCS、OECD 米国等での最近の検討の状況が簡単にまとめられております。  29ページからは「今後の対応方針」ということで、こうした物質についてどのように 対応していくかということがまとめられてございます。まず、従来の問題よりもかなり 複雑な問題だということ。また、化学物質が多種多様にわたるといったことで、基本的 な考え方を作成し基本方針を固めて行っていく必要があるということで、1)のような 考え方、2)データーベースの話、3)国際協力の推進、4)統合的な調査研究の推進 というようなことで、基本的な考え方をまとめていただいております。  31ページからは「具体的な対応方針」ということで、今挙げられているような化学物 質がかなりたくさんあるというようなこともありまして、きちんと分類をして優先的な 試験をやっていく必要があるのではないかというようなことでございます。ある程度情 報があるものについては優先的な試験を実施していく。また、十分な情報が得られない 物質については、超高速自動分析装置等を使ったスクリーニングを行いまして、次の段 階に入って行くことが書かれておりまして、それぞれを(1)と(2)で手順を示して ございます。  それから、32ページの一番下のところからですが、「その他の調査研究」ということ で、今の(1)、(2)のような研究を進める上での関連する調査研究を推進するとい うことで、33ページからですが、一つは「暴露に関する調査研究」、二つ目は「毒性に 関する調査研究」ということで、個別化学物質に関して「逆U字効果の解明」、「胎児 期の暴露による影響発現の解明」、「定量的構造活性相関研究」というようなこと。あ るいは34ページの 2のところで「複数の内分泌かく乱化学物質による複合影響」の話、 「植物エストロゲン」の話とかもやっていく必要があると。さらには、34ページの下の 方ですが、「疫学調査」の必要性も指摘されております。  35ページからは、それらのための研究体制の整備の話、データベースを使った情報提 供システム等の推進、36ページでは国際協力の推進等で、WHO、IPCSの活動への 情報提供、OECD、米国との活動との協力の話が載ってございます。  36ページの下の方からですが、「具体的なスケジュール」ということで、簡単に今後 の対応の年次計画的なものが書いてございます。  38ページが、「IV おわりに」ということで、これまでの報告の中身をまとめており ます、ここで書いてございますのは、一部の化学物質を除いて、現時点においては、人 の健康に影響を与えるとの可能性は示唆されているものの、影響の有無などについて科 学的なコンセンサスは得られていないということで、少なくとも成人においては懸念す るほどの健康影響は認められないはずだとの意見もあると。一方、動物実験や野性生物 に見られる影響が今後人に同様な影響を引き起こす可能性があることも示唆されている ということで早急な研究が必要だということでございます、進めるに当たっては三つの 事項を念頭におく必要があるということでございますが、一つは「多くの不確実さが存 在している」、もう一つは「国境を超えた問題であること」、さらには「世代を超えた 問題になりうること」、この3点を挙げて「おわりに」ということでまとめがされてご ざいます。  以上が本文でございまして、その後、39ページから付録ということで、この検討会で 議論されました物質の中で、特に食品用のプラスチック容器の原材料として用いられる 一部のものについての検討ということで、「ポリカーボネート」及び「ポリスチレン」 「ポリ塩化ビニル」中のフタル酸エステルにつきまして、それぞれ溶出についてとか、 安全性についてというようなことのデータを挙げさせていただいておりまして、それぞ れについて現時点でのまとめを記載してございます。  一つは、ポリカーボネート樹脂でございますが、41ページをご覧いただきたいのです けれども、下の方に、ポリカーボネート樹脂の原材料でありますビスフェノールAにつ きまして、現時点でのまとめが書かれてございます。  結論的には42ページになりますが、2つ目の段落で、「以上のように」というところ で、「これまでのところポリカーボネートから溶出するレベルのビスフェノールAが人 の健康に重大な影響を与えるという科学的知見は得られておらず、現時点において使用 禁止等の措置を講ずる必要はないものと考えられる」ということでございます。  「ただし」ということで、これらの問題は新たな課題であるということで、「引き続 き、二世代繁殖試験などの調査研究を行っていくことが必要である」と、いうふうにビ スフェノールAについては結ばれております。  次の「ポリスチレン」につきましては、43ページからでございますが、同じく溶出に ついてのデータ、安全性についての各種のデータを整理しておりまして、まとめといた しましては44ページになります。  「現時点でのまとめ」ということでは、一番最後のところ「以上のように、これまで のところポリスチレンから溶出するレベルのスチレンモノマー、ダイマー、トリマーに より人の健康に重大な影響が生じるという科学的知見は得られておらず、現時点におい て使用禁止等の措置を講ずる必要はないものと考えられる」、このように結ばれており ます。  それから「ポリ塩化ビニル」樹脂の「フタル酸エステル」につきましては46ページか らでございますが、同じく溶出や安全性について種々の試験の成績を挙げております。  「現時点でのまとめ」は48ページでございますが、上から5行目、「以上のように」 ということで、やはり同じように「ポリ塩化ビニルから溶出するレベルのフタル酸ジエ チルヘキシル等により人の健康に重大な影響が生じるという科学的知見は得られておら ず、現時点において使用禁止等の措置を講ずる必要はないものと考えられる」というこ と。ただし、「しかしながら」ということで、一部のデータで、「精細管萎縮、前立腺 重量減少等が認められており、引き続き、二世代繁殖試験などを行っていく必要がある また、食器や乳幼児が口に入れるおそれの玩具等からの暴露量を調査することにより、 国際的な動向も踏まえ、安全性の評価を行っていく必要がある」と、このような現時点 でのまとめになってございます。  49ページからは、それぞれの物質についての溶出に関する資料がついております。  以上、概略でございますが、報告書(案)につきましての御説明とさせていただきま す。 ○食品化学課長  一つ追加の情報を提供させていただきます。41ページのビスフェノールのところで一 番下に、現在、学会発表中の段階のものがあるという記載がございますが、この内容に つきまして昨日資料を入手いたしました。そのレポートによりますと、ボンサールの実 験では2μg/kgと20μg/kgを妊娠のマウスに与えて前立腺などの重量増加が見られ たという結果ですけれども、これと同じ用量に加え、新たに0.2μg/kgのものと、200μg /kgの投与量を与えたものを追加し実験を行ったというレポートです。また、1群での使 用動物数ですが、ボンサールの実験では7匹の妊娠マウスだったのですが、このレポー トでは28匹のマウスを使ったとのことでございます。  それから他に、手技等については、ボンサールのところで収得し手技を同じにしたとか 独立したラボで実験を行っていて、このラボはアメリカ当局の査察も受けているGLP に適合した施設であるとか、マウスにボンサールの実験と同じように、同様なバックグ ランドミュージックを聞かせたとか、そこまで論文に書いてあるかどうか判らないので すが、結果としてはボンサールの結果が再現ができなかった、というものでございます  フルレポートを入手しましたら、後日、先生方に御配布させていただきます。この実 験は、繰り返しになりますが、第三者のラボが実施をしたものでございますが、業界が 資金を提供し行ったという実験でございます。 ○座長  ありがとうございました。ただいま御報告がありましたように、非常にたくさんの内 容を含んだ膨大なデータでありますけれども、ここで御議論いただき、その内容を踏ま えまして、また、いろいろと字句の訂正などをいたしたいと思いますけれども、ただい まのたたき台の内容に基づきまして御意見を賜りたいと思います。まず最初に「はじめ に」というところでございますが、ここで何か御意見ございましたら、どうぞ。 ○寺尾委員  言葉なんですけれども、例えば「はじめに」の2行目に「懸念」という言葉が書いて ございますね。この文章全体を読みますと「懸念」という言葉が非常にたくさん出てま いりますね。内容を読みますと、まだよくわからないというか、どちらかというとよく わからないし、これからはっきりさせなければいけないということなので、その全体に 書かれている内容とこの「懸念」という言葉が必ずしも一致しないと思います。「懸 念」といいますと、かなり疑われるといいましょうか、そういう感じがいたしますので もう少し表現をやわらげる。全部一律に同じようにやわらげるかどうかはちょっとわか りませんけれども、場合によっては、表現をやわらげる必要があるのではないかという ふうに感じました。  それから、この「はじめに」の後の方に、1)、2)、3)というのがございますけ れども、これはこういう構成で後の方が書かれているのかなという感じがここを読みま すとするのですが、必ずしもそういう感じではないような印象を受けましたので、一度 ここのところを見直していただけるとありがたいと思います。  それから、1)のところに「当面の危機管理を実施することが期待されている」とい うことが書いてございますけれども、危機管理というのはかなり危機的状態にあって、 何かをやらなければいけないという印象を受けますけれども、これは必ずしもまだそこ まではいってないのではないかという気がいたしますので、「危機管理」云々という言 葉を変えた方がいいのではないかという気がいたします。  もう一つ、ついでに申し上げますと、1)、2)、3)、この三つはよくわかってい る人が読みますと非常によくわかるし、これでちゃんと書けているのだろうと思います けど、これが表に出ていったときに専門ではない人が読まれたら、何のことを言ってい るのか、何を指しているのかわからないのではないかという感じがしないでもないので もう少しわかりやすい書き方をなさった方がいいのではないかと感じました。以上でご ざいます。 ○座長  ありがとうございました。そのほかに何か「はじめに」の項で御意見ございませんで しょうか。よろしゅうございますか。御指摘の点につきましては、さらに検討していく 予定でございます。私もこの「懸念」という言葉が余りにも多いような感じを受けてお ります。  それでは次の項に入りたいと思いますが、「II.内分泌かく乱化学物質を考える」と いうところでございますが、このセクション、特に「ホルモンの人体における作用」と いうようなところで、何か御意見、はい、どうぞ。 ○紫芝委員  ここの書き方につきまして、3点ほど意見がありますので申し上げたいと思います。 1.の「ホルモンの人体における作用」の最初の二つのパラグラフでございますけれど も、ここを運搬タンパクの問題とか血中を移動する、語句で正確を記さなければならな いような問題もいくつかございますので、この1.2.に関しては、少し細かく見直し をさせていただきまして、検討をしたいというふうに考えております。  それから、3パラグラフ目が、ここでエストロゲンの作用についてかなり細かく言及 されているのでございますけれども、これは最初のイントロダクションの部分になりま すので、エストロゲンだけの作用について非常に細かくここで論じることが、ホルモン 全体の作用機序を後で述べる上で果たして適当かどうかという問題がございます、この エストロゲンの作用機序に関しましては、例えば、8ページ目の「ホルモン受容体とそ の結合について」というところに、もしかしたら適当なパラグラフを挿入できるかもし れないという問題がありますので、そこに移動するのはどうだろうかという一つの考え でございます。  二つ目には、ここでは古典的なホルモンのことだけが述べられておりますが、最近や はり脂肪組織でありますとか、心臓血管系、神経系でもホルモンがつくられていること も知られておりますし、特に脂肪組織などは関係が大きいので、古典的な内分泌臓器に ついて述べた後に、その他の組織、例えば脂肪組織、心臓血管系、神経系などをつけ加 えることを、4ページの2パラグラフ目の1番あたりと、それから、本文の内容に、例 えば6ページの 7「視床下部」までが古典的な内分泌臓器について述べられた場所であ りますけれども、そこに 8として「その他」として追加して、これら古典的に知られて いる内分泌臓器のほか、脂肪組織からレプチンが出ているであるとか、心臓血管系から はHNPが出ている、あるいはエンドセリンが出ているとか、中枢神経系から云々とい うふうなもので、少しそういう新しいところもつけ加えさせていただければなというふ うに考えております。 ○座長  ありがとうございました。もっともな御指摘だと思いますが、そのほか何かございま せんか。安田先生、どうぞ。 ○安田委員  広島の安田でございますが、欠席委員からのコメントに書いてあるようなエディトリ アルな問題でもよろしいのでしょうか。 ○座長  結構でございます。 ○安田委員  解剖学者といたしましては、特に人体用語等につきましてはなるべく解剖学用語に準 拠していただきたいという気持ちがございまして、例えば、5ページの副甲状腺に関し ましては「上皮小体」でありますとか、6ページの睾丸に関しては「精巣」、実は後の 方では「精巣」で統一した記載もございますので、全体としてそういう統一を図ってい ただきたいと思います。とりあえず以上でございます。 ○座長  ありがとうございました。  それでは、2.に入らせていただきます。「作用メカニズム」の項でございますが、 この辺につきまして何か御意見ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。 ○阿部委員  ここ少し記載が、すこしおかしいんですね、 1、 2、 3、 4が。これは紫芝先生が上 手に書き直してくださるとおっしゃったので、それでよろしいですね。例えば、レセプ ターの結合力の問題とか、まだいくつか問題があると思うんですが、紫芝先生、よろし く。 ○座長  それでは、紫芝先生にその点はよろしくお願いいたします。 ○紫芝委員  はい。 ○座長  それでは次に移らせていただきます。「3.物理化学的性質」、この項につきまして はいかがでございますか。 ○寺尾委員  言葉だけのことなんですけれども、真ん中辺からちょっと上に「医薬品」というとこ ろがございますね。そこに「合成ホルモン類」とありまして「内分泌障害作用をもつ」 という、内分泌障害作用というのは医薬品で障害というのは余り適切な言葉ではないの で、ほかの言葉に変えた方がいいのではないかという気がいたします。これは後の方に も同じような言葉が出てまいりますので2カ所あるんですけれども。 ○座長  障害のあるものを医薬品を使うということについては問題があろうかと思いますので これは検討させていただきます。よろしいですね。 ○食品化学課長  はい。 ○座長  よろしゅうございますか。  それでは、その次「4.暴露経路」、この項につきまして、何か御意見ございました らどうぞ。 ○田中委員   3の「接触暴露」のところに、土壌を入れてはどうかなという気がするんですけれど も、おもちゃ、家庭用品、その後に土壌。下から4行目のところに「ダイオキシン類に ついては、空気( 1)、食品( 2)、ここにも土壌を入れてはどうかなという気がしま すが。 ○座長  よろしゅうございますか。ありがとうございました。  それでは、「5.人への影響」というところでございますが、これはたくさんござい ますが、15ページについて何か御意見ございませんでしょうか。  特にございませんでしたら、その次、16ページ。  それでは、17ページ、18ページ、19ページというところで、岩本先生、新しい資料を お出しいただいたと思うのですが、何か御発言ございましたらどうぞ。 ○岩本委員  皆さんにご意見を賜り直させていただきたいと思います。 ○座長  何か御意見ございませんですか。  それでは、20ページ、21ページ、22ページと何か御意見ございませんですか。 ○安田委員  21ページ下から4行目、「本邦での動向は、日本産婦人科医会の先天異常モニタリン グ」という言葉がございます。これは名称が正確でないように思いますのですが、きち んとしたものを書いてはまいりませんでしたけれども、母性保護、日母ですが、日母は 最近名前が変わりましたので。 ○岩本委員  直させていただきます。 ○安田委員  22ページにこの動向のグラフが出ておりますけれども、この点のみグラフを入れられ たのは何か意図があるのでしょうか。 ○岩本委員  特に意図はございません。 ○安田委員  ここは頻度の動向などというデータがいろいろあるわけですね。もちろん私こういう 図が入ることに何も異存はありませんけれども、ちょっとこれだけが取り上げられたの はどうしてかなという疑問を持ったということでございます。 ○岩本委員  比較的統計がしっかりしているという意味で、たたき台として載せました。有意の差 で増えているデータではないと思われます。削除していただいても結構でございます。 ○安田委員  私の意図は削除した方がいいとかという意見を言っているのではありませんけれども ただ、全体としてのバランス統一を図ることはある程度は考える必要があるかなという 程度でございます。 ○座長  ありがとうございました。ほかにグラフがないのにこれだけあるということですから 削除させていただいてよろしゅうございますか。 ○岩本委員  はい。 ○座長  それでは23ページ「 5その他の男性生殖器への影響」の項ですが、何か御意見ござい ませんですか。 ○岩本委員  ミスタイプの医学用語は直させていただきます。。 ○座長  それでは、その次、24ページ、25ページについて、何か。 ○鈴木(継)委員  出生性比の問題が全く扱われていないわけですが、あの情報は非常に評価の難しい情 報ではあるのですけれども、いろいろ問題になっている情報だと思うのですが、どこか に入りませんかね。 ○紫芝委員  24ページの「(3)その他」でございますけど、「 1視床下部、甲状腺等への影響」 として甲状腺のことがいくつか書いてありますが、「ヒトにおけるその様な事例は医薬 品を除いては、調べられている限りでは報告がない」となっておりますけれども、最近 はかなり報告がたくさん出てきておりますので、報告を抄録した形で載せた方がいいの ではないかと考えております。 ○座長  ありがとうございました。そのほか、ございませんか。ただいまのお二人のコメント は検討させていただきます。  それでは、「III.内分泌かく乱化学物質問題を解決するために」というところに入り たいと思います。まず「1.問題解決のための取組の現状」というところで何か御意見 ございましたらどうぞ。  特にないようでございましたら次のページに移ります、次のページは、各省関連の構 図でございますが、これもよろしゅうございますね。  それでは「(2)世界における最近の主な取組」という項でございますが、この項に つきまして、何か御意見ございましたらどうぞ。よろしゅうございますか。  それでは、その次の29ページの「2.今後の対応方針」というところでございますが 何か御意見ございましたらどうぞ。 ○鈴木(継)委員  モニタリングとかそういう仕事が進んでいきますと、実際に例えば臍帯から複数の化 学物質が検出されてくるというのは容易に想像できる状況なわけですが、複数のものが 微量で合わさったときの対策をどう考えるかというスタンスがどこかにあるかなと思っ てさっきから拝見しているのですが、見当たらないものですから、この「化学物質の安 全性についての考え方」から少し議論を始めていただけないものだろうかと思います。 ○食品化学課長  ご発言いただいた部分なんですけれども、この報告書での30ページの下から二つ目の 段落で、現在のところ、まだデータが乏しいので知見を積み重ねると、そういう書きぶ りにはなっておりますが、ここでは不十分でございますか。 ○池田補佐  補足いたしますと、今の複数の化学物質による複合影響の件は、34ページの 2のとこ ろでも関連する研究として必要だという事項の中に一応挙げさせていただいております ○鈴木(継)委員  具体的な対応としてどうやるか問題なんですね。だから、今のままだと問題は重要だ しそうであろうけれども、よくわかってないから、ちょっと様子を眺めて、それから考 えましょうみたいな、そういうスタンスなわけですけど、そうではなしに実際には現状 を踏まえた形で、それに対してどう対応していくのかという戦略をもう立てておかない といけないのではないかと思うんですね。 ○座長  この複合の問題は重要でございますが、非常に難しい問題が絡んでくると思うんです ね。ですから大量に暴露されている可能性のあるものを選んで、大量といいますか、環 境中にたくさん出ている可能性のあるもの、例えば、実際の量に近いようなものを複合 させたときにどうなるかというようなことで攻めていくのも一つの方法かと思います、 これは皆さんと御検討していただいた上で、また事務局あるいは関係の方々とお話を詰 めていきたいと思いますが、よろしゅうございますか。 ○鈴木(継)委員  はい。 ○和田委員  今のお話ですけれど、やはり実際の消費者としましては、そこのところの複合あるい は相乗効果というのでしょうか、そこの問題がいろんな問題のときに非常に関心が深く それこそさっきの言葉ではありませんけど、「懸念」というか、そういうことが出てき ますわけで、先日まとめました今後の食品の安全行政でも相乗作用ということの指摘が 大きく出ておりました。  私もこれを拝見しまして、後に書いてあるからと思ったのですけれども、やはり一番 初めの「安全性についての考え方」というところで、文章はお任せしますいたしますが 何か入れていただきたいというふうに考えております。 ○座長  ありがとうございました。これは事務局あるいは関係の方々と検討させていただきま す。 ○座長  それでは次の30ページについて何か御意見ございませんか。 ○寺尾委員  4)のところの中ほどに「化学物質は、数万種類」あるというふうに書いてございま すね。この「数万種類」というのは確かに間違いない数字なんですけど、これを読みま すと、すべての化学物質が内分泌かく乱を起こす可能性があるというような印象を受け る表現になっていると思うんですね、やはりここのところはもう少し書き方をやわらげ た方がいいのではないでしょうか。というのは、明らかに関係のないものもたくさんあ るだろうし、可能性がほとんどないものもたくさんあると思いますので、この文章です と何となく可能性としてはみんなあるのだというような印象を受ける。 ○座長  ありがとうございました。ごもっともだと思います。そのほか、何かございませんか  それでは、その次、31ページ。 ○寺尾委員  すいません、今のことと同じなんですが、ここにも「数万種類」とか、「膨大な数」 だとかいろいろ出てきますので、ここら辺も御検討いただければありがたいのですけれ ども。 ○座長  わかりました。このあたりの御指摘をいただくのも、きょうのこの会議の目的でござ いますし、おっしゃるとおりであろうかと思います。これも御検討させていただきます それでは、その次の32ページ、33ページいかがでございますか。 ○安田委員  33ページ一番下の項目、下から6行目に「胎児期の暴露による影響発現の解明」とい うのがございますが、本質的にはこれでよろしいのですが、実際に実験などをやる立場 といたしましては、胎児期ばかりでなく、新生児期あるいは乳児期というべきかもしれ ませんが──も問題になってまいります。実際実験動物でよく使われておりますマウス やラットの新生児期は人では胎児期に当たるという問題もございますけれども、毒性に 関する調査研究という中の見出しとしては、「胎児期及び新生児期」とか何か入れた方 がいいのではないかと思いますが。 ○座長  わかりました。そのように変えさせていただきます。よろしゅうございますか。はい どうぞ。 ○西原委員  「(作用メカニズムの解明)」の下から6行目のところに「しかし」から後の文章、 非常に難しい文章でわかりにくいのですが、「in vitroの試験で閾値が認められない」 というデータというのはあるのでしょうか。何を指しているんですかね。という気がち ょっとするのですが。 ○菅野(オブザーバー)  「認められないことを根拠に、」で、カンマで切っているからまずいのかもしれない のですが、ボンサールらが言っている理論がこれに当たりまして、そういうことを根拠 にした極低用量での生体影響が懸念されているという文章に読んでいただくと問題ない かと思うのですが、ボンサールらは論理の展開の中で閾値がないからという論理展開を しているというふうにお考えになっていただいた方がいいかと思います。 ○西原委員  「極低用量で」というのはいいんです。 ○座長  わかりました。ありがとうございます。わかりやすく、もう少しクリアーな表現に変 えさせていただきます。  それでは、34ページ。 ○寺田委員  これからやるべき内容がどういう方針で研究をやるかというところ、全体に関するこ となんですけれども、内分泌かく乱化学物質を実際に測る方法は確立してないわけです ね。それをデベロップすることも非常に重要だということをやっぱりここにin vivo, in vitro 、何をエンドポイントにするかということをどこかに入れていただければいいの ではないかと思います。 ○座長 ありがとうございます。ごもっともな御指摘であろうというふうに思いますので、入 れさせていただきます。それでは、34ページよろしゅうございますね。ここに複合影響 のことが書いてございますけれども、先ほどの鈴木(継)先生の御指摘もございました ので、もう少しこのあたりも変えさせていただくことになろうかと思います。  それでは、35ページ、36ページにつきまして、何か御意見ございましたらどうぞ。 ○寺田委員  35ページの「予算の確保」のところ、ちょっと細か過ぎてこれでいいのかもわかりま せんけれども、例えば、26ページとか35ページの「調査研究体制の整備」のところに、 民間、産業界、NGO、そういう国以外のやることに関していろいろないい記事がある わけですね。これは国だけでやれることではございませんので、「予算の確保」のとこ ろに民間も頑張ってくれとか、そういう意味合いのことをちょっと入れていただければ 言葉はどういうふうに入れたらいいのかわかりませんけれども。 ○座長  ありがとうございました。民間も頑張っていると思うんですけれども、もっと頑張っ ていただきたいという意味で。 ○寺田委員  文章はお任せします。 ○座長  わかりました。どうぞ、和田先生。 ○和田委員  前回、私が各省庁の対応ということのわかりやすい資料をいただきたいということで 27ページにこれが付いておりまして、そことの関連なんですけれども、やはり「十分な 予算を確保する必要がある」というのは当然のことであるとは思いますが、それを国全 体として一番効率的に、大変僣越な言い方ですけれども、使っていただくということが ここのところでは文章として入れていただく必要があると思います。 ○座長  そうですね。前のときにも先生とディスカッションいたしましたけれども、タックス ペイヤーに対するデューティーだろうと思いますので、そういうふうな書き方を加えさ せていただきます。よろしゅうございますか。はい、どうぞ。 ○寺尾委員  36ページの最初、1行目から2行目、3行目にかけまして書いてある文章なんですけ れども、これを読みますと、厚生省がデータベースをつくると書いてあるのですけれど も、今の話ですと、国全体で対応するという基本的な考え方なのに、厚生省が本当にや ると書いていいのかというところがちょっと疑問なんですけれども。 ○食品化学課長  私どもではデータベースの予算要求を現在行っているということで書いたのですが、 確かに何でもかんでも厚生省がやるというのは少しやり過ぎなので、例えば、健康に関 する問題について厚生省がやるとか、書きぶりについては少し工夫をしてみたいと思い ます。 ○寺尾委員  もう一つよろしいですか。 ○座長  はい、どうぞ。 ○寺尾委員  35ページの方なんですけれども、寺田先生が先ほど御指摘になりましたけど、4)の 「予算の確保」は、「調査研究体制の整備」というところですから、予算の確保という 項目は余り適切ではないのではないかということで、やはりタイトルから考え直した方 がいいのではないかと思います。 ○座長  ありがとうございました。 それでは、この項を終わりまして、「IV.おわりに」という38ページ、何か御意見ご ざいませんですか。この最後のところに「民学産官の英知と努力を結集してこの問題に 取り組むよう、関係者にお願いする次第である」ということで非常に強調しているんで すけど、ひとつよろしくお願いいたします。  それでは、この項を終わりまして、39ページ「個別物質の評価と今後の検討」という ところでございますけれども、このページと、その次の40ページ、41ページ、42ページ までのところで何か御意見ございましたらどうぞ。先ほど食品化学課長から最近のデー タについて報告がございましたけれども、このことを含めて、皆さんの御質問ございま したらどうぞ。また、もう少し詳しく説明しろということであれば、課長の方から御説 明いただきますが。よろしゅうございますか。  それでは、「ポリカーボネート」の次に「ポリスチレン」関係のデータにつきまして 43、44、45ページにつきまして、何か御質問ございませんか。 ○鈴木(勝)委員  この件について、後でまたスチレンオリゴマーの内分泌かく乱作用に関する生物学的 評価とかいろいろ検討すべきこともあると思うので、それらを見た上で若干全体を書き 直した方がいいのではないかと思っております。 ○座長  ありがとうございます。そのほか、何か御意見ございませんか。  それでは、46ページ、47ページ、48ページについて。  それでは、この膨大な資料につきまして活発な御意見ありがとうございました。御議 論いただきました内容などを踏まえまして、内容の修正を行っていきたいと存じます。 ○西原委員  ちょっと言い残しましたので。 ○座長  どうぞ。 ○西原委員  最初の方のメカニズム、あるいはホルモンの作用メカニズム、4ページとか8ページ 10ページのあたりなんですけれども、紫芝先生が書き直されるとかという話がちょっと あったんですけれども、その中でエストラジオールの受容体にアルファとベータ、最近 ガンマという話もあります。その辺のことがあるということですね。これは実はエスト ロゲンの作用のメカニズムを考えた場合に、ひょっとしたら化学物質ではベータ型の方 が強く反応する可能性がある。我々も試験的なデータを持っています。ニュースですけ れども、そういう可能性があるというのが一つ。  もう一つ、ディスラプターの作用メカニズムをやっているのですが、コアクティブベー タの話が全然載ってないので、それを書いておいていただきたい。というのは、agonist とantagonist、antagonistというのがどういう定義になるのかちょっとわかりませんが その違いがひょっとしたコアクティブベータが認識するかしないかといったことになる 可能性もあるように私は期待しますので、うちのデータなので言いにくいのですけれど も、また発表はしていませんけれども、そういうこともありますので、一応伏線として その辺のことも入れておいた方がいいのではないかと思います。 ○紫芝委員  その辺の問題なんですけど、一番最初のところは、いわゆるレイパーソンへのイント ロダクションという形で書いてありますので、例えば甲状腺ホルモンももちろんアルフ ァ、例えばサイロイドホルモンレセプターもアルファ、ベータ、イソマーがそれぞれあ りますし、それからもちろんコアクティブベータもあるし、コールプレッサーもあるし ということになりますと非常に複雑になってまいりますね。 ○西原委員  そういうファクターもあるよということをどこかに入れておいた方がいいのではない か。 ○紫芝委員  さっき少し申し上げましたように、一番最初の4ページのところに、既にエストロゲ ンレセプターに関するところは非常に詳細に載っております。それで、特に内分泌かく 乱化学物質の作用機序に非常に密接な関係のあるようなホルモン作用機序に関しては、 これとは別立てで書く方がもしかしたらいいのかもしれないなという気がしているんで す。 ○西原委員  かもしれませんね。 ○紫芝委員  というのは、ホルモン全体についてのイントロダクションという部分と、また非常に 詳細なメカニズムで、今、内分泌かく乱化学物質の作用機序を考えなければならないと ころを一緒に書くということに関して技術的に難しいかなという問題もありますので、 もしかしたらこれは二つに分けて、非常に簡単な内分泌系のイントロダクションと内分 泌かく乱化学物質が作用する作用機序に関する部分と、西原先生おっしゃるように二つ にもしかしたら分割した方がいいのかなとも思いますので、その二つのやり方で試させ ていただきます。まだ、これは11月までというふうなお話でちょっと時間の余裕もある かと思いますので。 ○座長  若干ですが、時間の余裕はございます。寺尾先生、何か。 ○寺尾委員  これは検討会の報告書という形で出るのですけれども、これはいずれ公開されること になりますよね。というのは、何もこれに限ったことではないんですけれども、なるた け一般の方に理解できるような文章にしていただくというのが非常に大事だと思うんで すね。そうしませんとやはり何が書いてあるのかさっぱりわからんという話になってき ますし、この問題はかなり社会的に関心の大きい問題ですから、なるたけ一般の方に御 理解いただく必要があると思うんですよ。  この文章を読みますと、専門家の方が書いたかなりかたい文章なんですね。ですから 非常に難しいとは思うんですけれども、少し一般の方にも理解できるような表現とか書 きぶりが可能かどうかわかりませんが、これらを踏まえて考えてみていただけると非常 にありがたいと思うんですけれども。 ○藤原委員  今の御発言等に続けまして、私も素人ですので、これが公開された段階でどの程度一 般市民に読み取れるかということについてもう少し御配慮をいただきたいなと思いなが ら承っておりました。したがって、基本的な知識と最新の知見と両方が混在していると いうことは、ひょっとすると専門家の方にとっては厄介な報告書になるのかなと思った のですが、何かそこら辺がわかるような表現をお考えいただきたいのが一つ。  もう一つは、この会の冒頭で出たことで、私はちょっとわからないなと思ったのです が、「はじめに」というところの2行目に「懸念が指摘されている」という「懸念」と いう言葉について御疑問が出されまして、この「懸念」という日本語については、ある 種不安とか、ある予断を含むというようなことで適当ではないと御指摘になったのかな と思いながら伺っていたのですが、一般的な市民感覚で申しますと、やはりこの問題は 今広く報道もされておりますし懸念持っているのは確かなんですね。「懸念」を外した ら、及ぼすと指摘されているとなってしまってむしろ強調される。それでよろしいので あれば、私はそれでも結構なのでございますが、これをやわらげるとなると極めて複雑 なレトリックが必要になってくる。それは我々一般市民が持っている実感とはかけ離れ ていく、それこそ懸念を私持っておりますので、やはり言葉についてはある程度踏み込 んでも、こういう「はじめに」のようなところは構わないのではないか。ただ、この中 身について、先ほどの「複合影響」のところなどでは、一つのパラグラフに「懸念」と いう言葉が複数が出てまいりますから、そういったところは少し表現を工夫していただ くことは必要かと思いますけれども、やはりある程度一般の方々が読んで、自分たちの 実感から余り遠いことをアカデミックな表現でやっているのだというようなとられ方を することはよくないと私は思いますので、その点、ちょっと申し上げたかったのです。  それから、もう一つ、先ほども和田委員がおっしゃいましたことで、各省庁のいろん な役割分担が極めて複雑に分かれておりまして、一体司令塔はどこなんだということが わからないんですね。トータルとして、横の連携というのは官庁の場合には非常に難し いということはいろんなところで伺うんですけれども、そういったことをどうやったら うまく機能させていけるかというようなことについても配慮のある表現をおとりいただ けたらありがたいと思います。以上でございます。 ○和田委員  3点申し上げようと思ったことを、今、藤原委員が既に触れられましたので詳しくは 申し上げませんけど、一番初めの「はじめに」のところの「懸念」という言葉がもう少 しやわらかな表現というとどういう表現が出てくるのか、生活している立場の実態とし てはやはり「懸念」という言葉が一番合っているのではないかなという気をしながら読 んできました。  それとダブりになりますけれども、先ほどの27ページの真ん中にあります「関係省庁 課長会議(幹事会)」という言葉を使ってありますけれども、ここで横並びでやって、 ここから下にあります「総合的な対策の推進」というところに踏み出すときにどうやっ て踏み出すのだろうということが大変疑問もあり関心もあるところで、その辺のところ を何とか文章に書き込めないのかなという気がいたしました。  それと素人が読んでわかりやすい文章、なおかつ正確にというのは非常に難しいこと だとは思いますけれど、正確に書いた上で、例えば、どこかに説明を入れるとか何かぜ ひ工夫をしていただきたいなという気がしております。  それと、先ほどの話に戻りますけれども、農水省でもこの検討が始まったと。そして 予算要求が十何億円というようなことがちょっと新聞にも出ておりました。それから、 昨日農林省のJAS規格について、容器の点についての公聴会が開かれたりしておりま して大変関心が深くなっております。各省庁の連絡というのは必ずしも課長会議でお互 いに連絡をとっているよということではなくて、JAS規格のことはこの場で検討する 場ではありませんけれども、大変関係はあると思うんです。ですから、例えば、こうい う場で、昨日こういう検討があったというような、きょうということではありませんけ れども、そういうような情報はできるだけ広く交換していただいて、そういうものをお 互いに承知していながら、実際の生活の中でという、関心というのでしょうか、そこの かかわりという点をもっとお互いに持っていかないといけないのではないかなというこ とを痛感しておりますのでぜひお願いしたいと思います。 ○座長  いろいろとごもっともな御意見賜りました。語句あるいは言い回しなど、これから十 分に御意見を参考にいたしまして、事務局とすり合わせていきたいと思っております。 おっしゃるとおり「懸念」のかわりに何を使うかということを懸念するということで、 全く同一でございます。そのあたりは、ひとつ座長に御一任願いたいと思いますが、よ ろしくお願いいたします。  これから各委員の先生方も語句の訂正などお気づきの点がございましたら、来週の前 半ぐらいまでにファックスなどで事務局へ御連絡いただけたましたら幸いでございます  次に精子数の問題も一般の方々が非常に懸念しておるところでございますけれども、 これにつきまして、岩本先生から新しいデータをお出しいただきましたので、先ほども 少しく触れていただきましたけど、簡単に御説明いただきたいと思います。 ○岩本委員  5月の2回目の検討委員会で 100例について御報告させていただいたのですが、その 後、 255例のカップルの方に御協力いただきました、大体妊婦さん 1,400名ぐらいにお 願いしまして、その18%に参加していただきましてデータが得ることができております 前回との違いで、精子濃度が約 2,000万/mlぐらい前回よりよく、平均精子濃度は1億 790万/mlでした、20代が資料にありますように83人、30代が 158人、40代が14人という ような年齢別の人数で、次の表に精子濃度の分布、そして全体の分布表を図に示してお りますのでご覧いただきたいと思います。 今後 300例に達した時点で、精液所見、理学的所見、また内分泌検査をまとめたいと 存じます、また、今後、内分泌かく乱化学物質の検査が微量の血液で検査できるような 時が来たときに、すぐに検査できるように現在凍結保存してございます、そのようなデー タとカップルへの質問表の回答結果を合わせて、総合的に現状での本邦の妊孕能を有す る正常男性の生殖機能を明らかにしていくということでございます。 それから、一番最後の資料にお示ししましたが、平成10年度の厚生科学研究計画書を ご覧になっていただきたいと思いますけれども、今年度明らかにすることとしては、私 どもの 300例のデータの解析、そして、私たちは川崎、横浜地区での調査でございます ので、各国で地域差が言われておりますので、日本国内でも地域差を見るべく北海道、 北陸、関西、北九州の4地域を加えまして国際調査に参加していただくことになりまし た。各地域の調査拠点として札幌医科大学、金沢大学医学部、大阪大学医学部、原三信 病院の各泌尿器科におきまして調査を進めてまいります。  それで、これらの複数の拠点で調査を行うに当たりまして、精液検査等の測定法の統 一化を目指しまして、10月27日検査技術者のトレーニングを私どもの大学で行う予定で ありますし、調査期間中は精液検査のクォリティーコントロールを行うために同一のサ ンプルを各施設に送って、精度管理を行っていくというプログラムを組んでおります。  これらの調査は妊孕能を有する選択された集団でございますので、その後に非選択的 な若い世代についても行わなければならない。これも非常に重要な問題でございまして 次年度に向けて立ち上げを準備していくところでございます。  以上でございます。 ○座長  ありがとうございました。何か岩本先生の御説明に御質問などございませんでしょう か。  それでは、次のスチレンオリゴマーに関する資料3につきまして御議論をお願いした いと思います。資料3の内容につきましては、事務局から御説明ください。 ○池田補佐  それでは、お手元の資料3でございますが、これは日清食品中央研究所が実施いたし まして、現在「食品衛生学雑誌」に投稿中の論文でございます。「スチレンオリゴマー の内分泌かく乱作用に関する生物学的評価」ということでございまして、スチレンモノ マーとダイマー、またトリマーにつきまして、ラットのエストロゲン受容体結合試験 等々をやったということでございます。  資料の中を開いていっていただきまして、4ページの一番下に、使用動物はSD系のラ ットを使ったということがございます、5ページ、「3.エストロゲン受容体結合試験」 について書いてございます。これはKrishnanらの方法に準拠して、SD系雌ラットの卵巣 を摘出したものについて子宮についての影響を見ておるということでございます。 実験の結果につきましては7ページでございます。下の方でございますが、エストロ ゲン受容体結合試験の結果が書いてございまして、図で見た方がいいのですが、後ろの 方にFig2.というのがございます、こちらをご覧いただきますと、左側が Estradiol とかDiethylstilbestrol等とスチレンモノマーを比較した試験てございます。ここでは スチレンモノマーが黒い四角で「SM」と書いてございます。 Estradiolは白マル、 Diethylstilbestrolは黒丸ということで、これらに比べますと、スチレンモノマーは全 く結合性は出ていないというデータでございます。 右側の(B)という方でございますが、ここでは Estradiolが白マルで、その他はス チレンダイマーが三つ、スチレントリマーが二つございますが、いずれも結合性は見ら れていないという結論でございます。  次は、アンドロゲン受容体との結合試験でございますけれども、試験の方法は5ペー ジの下の方にございます。Daltonらの方法に準拠して行ったということで、雄のラット を去勢したもので24時間後に前立腺等で試験を行っていくというものでございますが、 試験の結果は8ページのところに「アンドロゲン受容体結合試験」ということで結果が 書いてございます。図といたしましては、先ほどの図の次のページのFig3.というと ころがございまして、同じように左側はスチレンモノマーをDihydrotestosterone 、 Flutamide 等と比較したものでございまして、黒い四角のスチレンモノマーにつきまし ては結合性が見られていないというものでございます。 右側の(B)の方も同じくスチレンダイマーが三つ、トリマーが二つ、これとDihydro -testosteroneを比較しておりますが、結合性は見られていないというものでございます それから、三つ目の試験は、ヒトの乳癌細胞MCF−7の増殖試験でございますが、 試験の方法につきましては6ページのところにございます。ヒトの乳癌細胞をMCF− 7について、Sotoらの方法に従って増殖試験を行ったということでございます。試験の 結果につきましては、8ページの下に3.ということで書いてございまして、Fig4. というのがございまして、こちらでも上の(A)につきましては Estradiolとスチレン モノマー、この場合は黒の三角でございますが、これとの比較でございまして、Estrad iol 等に比べますと増殖性は見られていないというものでございます。  下の(B)につきましても Estradiolと3種類のスチレンダイマー、それから、2種 類のトリマーについて同じような試験をしておりまして、各濃度においても増殖性は見 られていないというものでございます。  それから、次が「精巣細胞ステロイドホルモン生合成試験」というのを行っておりま して、試験方法は6ページのところにございますが、 Klinefelterらの方法に準拠して 行ったということで、SD系雄ラットの精巣の白膜を除去し云々という試験でございます 結果につきましては、9ページの4.というところにございます。「精巣細胞ステロイ ドホルモン生合成試験」の結果ですが、試験の結果ではhCGの刺激テストステロンの 合成を有意に抑制しなかったという結論で、図といたしましては、後ろのFig5.とい うところでございます、ご覧いただくとKetoconazole(対照薬) でございますが、こち らが見事に抑制しているのに比べまして、スチレンモノマーと3種類のダイマー、2種 類のトリマーではいずれも抑制が見られなかったというものでございます。  次は、「幼若ラット子宮肥大試験」でございますが、試験方法は7ページでございま す。Odumらの方法に準拠して行ったということで、20日齢の雌のラットに投与いたしま して、3日間連続皮下投与し、子宮の湿等の重量をはかったということでございます。 結果は9ページの5.でございまして、図はFig6.というのがこざいます、こちらを ご覧いただきましても Estradiolが重量増加を明確にしているのに対しましてスチレン モノマー、ダイマー、トリマーいずれも重量は増加していないという結論でございます  なお、使いましたスチレンモノマー、トリマー、ダイマーの構造は、Fig1.をご覧 いただければ、それぞれ使った物質の構造式が載ってございます。  以上のような結論でございます。 ○座長  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして何か御質問ございますか。 はい、どうぞ。 ○西原委員  内容についてではないのですが、こういう資料を公表していいんですか。というのは 研究者としてアクセプトを既にされているんですか。もしアクセプト前であるならば、 著者の許可なりを確実にとってもらわないと、我々としても何か出したときにアクセプ トされる前にこういうところで出されることは非常に不愉快ですし、ちょっと科学者と しては納得いかないので、その辺ちょっと確認したいと思います。 ○食品化学課長  これにつきましては、「食品衛生学会誌」に投稿中ということで、本日のこの会議で 資料として使わせていただくということの了解は著者からは得ております。 ○座長  そのほか何かございませんか。 ○阿部委員  もしもこれがアクセプトされなかったらどうなるんですか。 ○食品化学課長  確かにその可能性は絶対ないというわけではありませんので、今の時点では、ここに お示ししたのはにつきましては既に学会で発表しておりますので、学会のOHPのスラ イドのものよりは、これの方が各先生方に見ていただくには良いのではないか、そうい う意味で本日お示ししたものでございます。  あと、この資料全体の取り扱いはどうなるかということですけれども、今、中間報告 との関係で言えば、中間報告ができる上がるまでに、このような情報を入手して、それ に相応するような取り扱い、アクセプトされたらきちんと引用するとか、いろいろなや り方があるかと思いますが、それに相応したやり方をとりたい、このように考えていま す。 ○阿部委員  よろしいですか。 ○座長  どうぞ。 ○阿部委員  私たちは一般にreviewerのいる雑誌にアクセプトされたことによって論文の正当性が 一応証明されるというふうに考えているわけですね。ですからアクセプトがされるかさ れないかわからないものが、こういうふうに科学的な資料として出されたのではないか と思います。これは現在いろんなマスコミその他もそういうことが多々あるので、この 会がサイエンスを議する会であれば、これはアクセプトされた段階で出されるべきじゃ ないかなというふうに私は思いますけれども。 ○座長  阿部先生のおっしゃるとおりだろうと思います。あくまでこれは参考資料であるとい うふうなことでありまして、この検討委員会が正式の資料として文章にしていくという ようなことについては慎重に対応しなければならないというふうに思っております。例 えばWHOのIARCで発がん物質の評価会議がもう二十数年行われてきましたけれど も、そのときには必ず二つの研究所で、しかも2回の実験でreviewerのしっかりしてい る雑誌に発表された内容を採択する。それ以外の論文では採択しない。すなわち1回だ け非常にエキサイティングなデータが出したとしてもそれは採用しないというのが原則 でありますし、この委員会もやはりそういった立場を踏まえていきたいと思います、こ の資料はまだ採択されていないということでありますので、御参考までにお耳に入れて おいていただければ結構かというふうに私は思っておりますがよろしいでしょうか。  それでは、随分長い間、御議論いただきましたけれども、前回の検討会におきまして 和田委員から御指摘いただきましたエンドクリンに関する各省庁の関係図及び連絡先の 資料が資料4として出ております。非常にコンプリケーテッドな図でありますけれども これをぜひご参考にしていただきたい。このあたりをだれが司令塔になっているのか、 どこが司令塔かという御指摘ございましたけれども、これは食品化学課長がここだと言 えない立場のものであろうというふうに思っております。これを御参考にしていただい て、これほど複雑であるというような御理解も賜りたい。こういうふうなことが研究費 のむだ遣いとかその他、寺田先生あるいは和田先生がいつも御指摘の点でありますけれ ども、これからこのようなことをなるべく少なくするような御努力もいただきたいとい うふうに思います。  それでは、本日は色々の論議をいただきましたので、これで本日の会は終了いたした いと思いますが、事務局から何か御意見、御発言ございましたらどうぞ。 ○食品化学課長  御多忙中にもかかわりませず、幅広い観点から積極的な御討論をいただきましてまこ とにありがとうございます。  次回でございますが、既に先生方におかれましては日程調整をさせていただいており ます。11月9日の午前10時ということでございますので、よろしくお願いいたします。  次回の議題でございますが、本日御議論いただきました中間報告書(案)につきまし て、引き続き御検討をお願いしたいと思います。なお、次回の検討会で中間報告(案) の取りまとめの議論とさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいた します。以上でございます。 ○座長  ありがとうございました。次回も引き続き中間報告(案)につきまして議論していた だきたいと思います。  以上で本日の検討会を終了させていただきます。御多忙のところまことにありがとう ございました。  連絡先   厚生省 生活衛生局 食品化学課   TEL 03−3503−1711