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平成9年1月21日(火)

第62回人口問題審議会総会議事録

10時30分〜l2特30分

厚生省特別第1会議室

宮澤会長 おはようございます。本日はご多用のところご出席をいただきましてありがとうございます。ただいまから、第62回人口問題審議会総会を開催いたします。 
  最初に出席状況を申し上げますが、大淵委員、小林委員、袖井委員、坪井委員、南委員、網野専門委員、清家専門委員につきましては本日は都合によりご欠席でございます。その他の委員はご出席でございます。なお吉原委員は10分ぐらい遅れていらっしゃるということでございます。 
  それでは、これから本日の議題に入らさせていただきます。前回までの総会におきまして、将来推計人口について、推計の基本的な考え方とか、過去の推計が実績と食い違っておったということに関しましていろいろ事務局からご説明いただきまして、それについて何回か積極的なご審議をいただきました。この過程においていただきましたいろいろなご意見、ご指摘これを踏まえまして行われました、将来推計人口につきまして、国立社会保障・人口問題研究所の高橋人口動向研究部長からご説明をお願いしたいと思います。その後で討議に入りたいと思います。 
  それではお願いいたします。
高橋部長 高橋でございます。ただいまから将来推計人口についてご説明をさせていただきます。 
  今日は資料数多く用意しておりますけれども、まず簡単に資料番号と資料の関連についてお話をしておきます。 
  資料1というのがございまして、これは推計結果でございます。 
  資料2はとくに前回の10月8日の審議会においてご議論していただきましたことを簡単にまとめたものでございます。 
  資料3は今回行いました試算の結果についての数値をとりまとめたものでございます。 
  資料4は今回の仮定設定に関しまして、我々が検討してまいりました材料でございまして、これからの報告は、まず資料2、資料4に基づきまして仮定設定について説明をさせていただきます。その後、それらの仮定に基づいて得られた結果について資料1、資料3を用いまして説明させていただきます。 
  まず資料2をご覧いただきたいと思いますが、資料2の1枚めくりまして2ページがございます。別紙1と振ってございますけれども、ここには前回10月8日の審議会において討議された内容について、我々がまとめたものでございます。平成4年9月人口推計において指摘されている問題について前回要約をお話をしましたが、その第1点としましては、平成6年を除いて合計出生率の実績が平成7年までの出生率の予測結果を相当下回っていた。これについてどのように対処するかという問題。 
  それから2番目に出生率が長期的に反転するという合計特殊出生率の趨勢がございましたけれども、この見通しの妥当性についての問題。 
  3番目には長期的に出生率の水準が1.80に達すると。その水準が高すぎるのではないかという問題。 
  そのようなおよそ3点の議論がなされたと思います。それぞれについて我々整理をいたして報告させていただいたわけですが、まず(1)につきましては、社会経済情勢による一時的な変動要因はあるものの、全体人口推計の予測における手法がまだまだ不十分である。そのように(1)については考えているところであります。その中でも一時的な変動要因につきましては、いくつかございまして、一つは平成6年の出生数の一時的な増加、つまりご成婚の波及効果があって、平成6年の場合は出生率が相当高い位置についた。そして平成7年の場合は1月の阪神路大震災の結果その年の10月の出生数が大きく減少し、そのため平成7年は特に出生率が低かった。そのような一時的な変動要因がございます。 
  こうした一時的な変動というものはなかなか予測という手法を用いて行うものでは反映させることができません。課題については今後ますますモデル等の手法の改善を通じて精度を上げていかなければいけない。未だ学問的な到達点がそこまでないということもありますので、我々の努力できる範囲内でこの精度を上げていこうと、今回も仮定設定にあたっては検討しております。 
  2につきましては前回シミュレーションをお示ししてこのメカニズムについてご説明させていただきました。その結果現在続いている結婚年齢の上昇、結婚の延期が収束すると、結婚に伴い出産がはじまるので、人口学的にみて出生率は一時的に低下した後、反転するという予測、これは我々は妥当であろうと考えております。その次のページでございますけれども、別紙2のところにそのメカニズムについて簡単に要約させていただいております。まず上の図をご覧いただきたいんですけれども、年齢別初婚率、女性が年齢ごとにどのように初めての結婚、初婚をしているかという経過についてみてみますと、かつて(1)のような年齢分布をもっていた。つまり典型的に1970年ごろ結婚された方は平均的に24歳前後で結婚する。なおかつ生涯未婚率は4%前後というきわめて未婚率が低い水準の形をしておりましたそれがその後どんどん晩婚化が発生して、なおかつ一生涯を未婚のままで過ごす人々の増加等も伴って、(2)のような●で分布が書いてありますが、そのような形に年齢別の初婚率というものが変化をしてきております。このような初婚率における変動が起きるときにどのようなことが起きるかと申しますと、2のところに書いてありますが初婚の時期が(1)から(2)へ移行する過程に生ずる変化としまして、移行する過程で結婚の延期が発生する。そのためにその間の出生率は全体として一時的に低くなる。このような現象が年次的には起きてしまうというメカニズムが存在する。こういうことです。しかし、移行が終了しますれば、20歳代後半および30歳代前半の出生率の増加が起きてくることになります。したがって、合計特殊出生率は下にある図のように結婚の変化の移行期には一時的に大きく低下しますけれども一定期間の後に反転上昇すると。ただし、生涯未婚者の増加等の影響によりまして、従前の出生率の水準より低い水準で安定する。つまり非婚化が起きる分だけ出生率の低下というのは起きてしまうわけです。しかし重要なことは移行期には極めて低い水準が一時的にあらわれるというメカニズムがあるということでございます。そのようなメカニズムがあるために、いわば出生率の将来予測においても将来出生率の反転が起きてある程度の水準に戻るということを構造的に我々は仮定しております。 
  3点目の長期的な出生率の水準であります1.80、これが高すぎるということですが、資料2の2ページの(3)のところですけれども、前回人口推計において生涯未婚率の上昇および初婚年齢の上昇に伴う夫婦の子ども数の減少について、の見込み方の問題ですが、我々も再検討した結果この部分で相当不十分な部分があったと反省をしているところです。したがって反転後の出生率の水準が高すぎたことは否めない事実であろうと思います。 
  こうした反省点に立って今回はその部分に特に注意を払いながら、仮定の検証をしてまいりました。 
  続いて資料4をご覧いただきたいと思います。 
  資料4の表紙をめくっていただきますとまず1ページというのがございますが、これはやや今の課題とは若干異なりまして、また後ほど触れさせていただきます。続いてその次の2ページをご覧いただきたいと思います。図表2は、最終的な結論から申しますと今回我々が検証をして得られた仮定値の最終結果を、図表2に整理してまとめさせていただきました。中位仮定においては生涯未婚率について13.8%という水準を考えております。これは1980年生まれの女性、つまり1995年推計のスタート時点で15歳の人々の生涯未婚率が13.8%であると、こういうことであります。平均初婚年齢は27.4歳、夫婦の完結出生児数、結婚した女性の生む子どもの数の平均が1.96人。そして離婚や死別が与える効果については、0.954。最終的に得られるコーホートの合計特殊出生率は1.61という水準であります。高位、低位につきましては、この表に掲げてあるとおりでございます。 
  さて肝心なことは、こうした生涯未婚率の水準であるとか、平均初婚年齢の水準、そして夫婦完結出生児数の水準等々についてどのような論拠に基づいてこのような仮定を設定したかということでございます。 
  続いて3ページをご覧いただきたいと思います。 
  3ページは1940年以降のいわば女性の年齢別初婚率をコーホート別に観察したものでございます。1940年、あるいは45年生まれの人々の初婚率は23歳から24歳前後で上に凸の、極めて分散が小さくて上に凸な形状をしておりました。そうした1940年生まれあるいは45年生まれから徐々に時代を経て、どのような形でこれが変化してきたかと申しますと、典型的には1965年の分布を見ていただきたいのですが、点線と×印によって示してある分布ですけれども、すでに1965年生まれの女性は平均初婚年齢が25歳というところを頂点に年齢層20代後半で初婚率の分布が相当に高い形状へと変化をしてきていることがうかがえます。このようにコーホート別に年齢別初婚率をみてみますと、年齢の分布の中心が高年齢に移ると同時に年齢層の高いところでの初婚率の上昇が目につくわけです。 
  図表5を見ていただきたいのですけれども、これは上の図の年齢別初婚率を累積したものであります。累積した結果、最終値がそれぞれの世代の生涯未婚率をあらわす指標となってきます。 
  これを見ていきますと、最終的に到達するレベルが徐々に下がってきていることが分かりますし、最近の1960年あるいは65年、70年といった世代ではなかなか結婚の累積が進まない形で進んできていることが分かります。こうした前提に立って我々はコーホート別の年齢別初婚率についての分析を進めました。 
  次にご覧いただきたいのは4ページでございます。 
  このコーホート別の初婚率につきまして、その代表的な指標である平均初婚年齢と生涯未婚率について過去の出生世代の人々がどのような形で推移してきたかということを観察しております。 
  これでみてみますと、とくにスタート時点、つまり1935年以降生まれの人々の値についてデータを採ってありますが、生涯未婚率4%、平均初婚年齢24歳をやや超えたあたりにいくつか●が集中しております。これは戦前世代のところを意味しているんですけれども、戦前世代では生涯未婚率が4%平均初婚年齢が24歳を若干超えたところとで安定していましたけれども、それが1945年を境に徐々に平均初婚年齢の上昇と、生涯未婚率の上昇を伴いながら、右斜上の方に若い世代ではどんどん変化をしてきているという姿がうかがえます。このようにわが国も戦後世代の平均初婚年齢と生涯未婚率はこの●で囲った線のように右斜上の方向で変化してきていることが分かりますし、〇で示してありますのは1961年以降、65年生まれまでの人々についてその先を見ていったものです。これらの世代につきましても、この延長線上で変化をしてきていることがうかがえます。 
  したがいまして、我々はこの検証にあたりまして、今後日本の平均初婚年齢と生涯未婚率の趨勢は、こうした流れの一環の上にのっているものであろうと考えております。したがいまして、それらのデータにもとづいて得られました回帰直線を一つの手がかりとしまして、今後の生涯未婚率と平均初婚年齢の動きを想定いたしました。これがまず第一点でございます。 
  次に5ページを見ていただきたいと思います。 
  これはやや解釈の難しい図でありますけれども、それぞれの出生世代につきまして年齢別に年齢別の初婚率がどのような動き方を出生世代別にしているのかを整理したものでございます。まず1の1950年〜55年生まれでみますと、その中には1950年から55年の間に年齢別の初婚率がどのように動いたか、あるいは51年から52年のコーホートについてどのように動いたかを年齢別に示しているんですが、これで言えますことは24歳以下のところで値がおしなべてマイナスの値の方向にふれております。つまり24歳未満の初婚率は減少傾向を強く示している。そうして24歳より上のところはプラスにふれておりまして、それらのところの世代では前の世代に比べて初婚率が増加をする傾向を示していたことが分かります。それ以降の出生世代について1955年〜60年生まれについてみますとこの傾向がそうとう顕著になってまいりました。とくに24歳未満のところではマイナスの増加率、つまり初婚率の減少というものが前の世代に比べて非常に強くなってきたことをあらわしておりますし、さらに逆に25歳以上では相当程度の結婚の取り戻しといいますか、初婚率の増加というものが安定的にみられるようになってきたことを示しております。 
  続いて1960年〜65年生まれの世代についてみますと、25歳より若いところでは相変わらずマイナスの増加率が続いておりまして、一段と年齢別初婚率が25歳未満のところでは減少してきたということを世代別にみることができます。そうして25歳以上のところではある一定のパターンを持ちながら初婚率の増加が見られるということが分かります。つまり1965年生まれの世代までについて言うと、25歳未満のところで初婚率の非常な勢いでの減少、つまり晩婚化がみられ、25歳以上のところでそうした20代前半で結婚を延期した人々が25歳を過ぎて結婚するという取り戻しがそこに存在していたということを示しております。 
  さて推計にとって非常に重要なことは、その後の世代がどのような形をとっているかということでございます。(4)のところでは1968年から80年生まれの人々について調べたものでございます。これを見てみますと25歳未満のところで1960年代前半に見られた減少の勢いがやや弱まってまいりまして、1968年から80年生まれについては相当減少率が小さくなってくる。依然初婚率の低下は続いているんですけれども、それ以前の世代に比べて減少傾向が弱まってきたことを示しております。 
  このような観察を通じて、コーホート別に初婚率を見た場合、初婚率が20代前半で非常に大きな減少があった場合、相当結婚の取り戻しがある。結婚の取り戻しの大きさによってさまざまな今後の生涯未婚率や平均初婚年齢の水準が考えられるということが理解できます。それをモデル化しましたものが6ページの図表8であります。図表8では晩婚化ということと、晩婚化につれて結婚の取り戻しがどのくらいの頻度で起きているかということをモデル的にあらわしたものであります。とくに我々は30歳未満のところで初婚率データがそろっており、もっとも新しい情報の分かる1961、62年生まれの人々、そして63、64年生まれの人々についてこの増加率のパターンを観察しました。この25歳未満のところのマイナス部分の面積と、26歳以上のプラスの面積の相対的な関係を観察しますと、実は1961、62年生まれでは、この面積比がK=2.54と書いてありますが、これは相対的な値ですが、戻しているということが分かります。1963、64年でいうと1.1というようにこの63、64年コーホートではそれほど取り戻しが見られないことが分かります。したがいまして将来について考える場合、この取り戻しのパターンについてはさまざまな水準が存在するであろうことが理論的に理解できます。 
  それに基づきまして7ページのところで1970年出生コーホートについて、今後の将来の取り戻しのパターンを観察することにいたしました。1970年生まれの人々についてみますと、その前後のコーホートを用いますとおおよそ図表9にあるように現在26歳ぐらいまでの年次間の増加率を観察することができます。この部分については過去の事実としてデータを得ることができます。それに対して取り戻しがどの程度起きるのかを先ほどのK値に基づきまして、図表10のようなモデルを作成しております。つまりこの図表10にあります一番外側の線、(1)で囲ってある◆のカーブですが、1961、62年で見られたもっとも取り戻しのあるケースにあたります。これが2.54という取り戻しがある場合ですが、その場合、最大それぐらいの今後初婚の取り戻しが理論的にはあり得る。さらにもっとも低い水準K=1.11というのがありますけれども、その一番下の方に書いてあるのがそれに該当しますが、それぐらいバリエーションがあるだろうと。その間をさまざまなレベルを考えまして、この年齢別の増加率を算定しました。これに基づいて各コーホートの年齢別初婚率の増加率を用いて推計してみますと、最終的に得られますのは8ページでございますけれども、ちょうどこの図の真ん中に左から右に向けてやや右斜下に破線が書いてあります。先ほどの取り戻しのパターン別に1980年生まれの人々の平均初婚年齢、生涯未婚率をシミュレーションしてみますと、この線上に先ほどのパターンとなるそれぞれの数値がのってまいります。すなわち、取り戻しがもっとも多くある場合、先ほどの2.54というような取り戻しのレベルを想定してみた場合に生涯未婚率は6%半ばの水準になりまして、平均初婚年齢は、27.6歳前後になる。そしてもっとも取り戻しがない場合を想定してみますと、平均初婚年齢でいいますと、27.5歳前後、生涯未婚率は、18.7%前後になります。このような結婚の取り戻しによってこの線上に生涯未婚率と平均初婚年齢がのることが分かります。 
  そこで我々はどのように考えたかと申しますと、先ほど最初に申しました1935年以降の、そして1960年生まれまでの過去の事実についてのデータに基づいて得られた回帰直線とこのシミュレーションによって得られたモデルの1980年出生コーホートの取りうる水準との交点を今回中位の仮定値として採用しました。それが平均初婚年齢でいいますと、27.4歳、生涯未婚率13.8%という水準であります。 
  さて人口推計では高位と低位という他の二つの仮定を設けております。 
  高位の仮定につきましては生涯未婚率の上昇というのはそれほど進まず平均初婚年齢もそれほど上昇しないという仮定でもあります。これにつきましては、1960年生まれ世代のコーホート、現在1995年現在で35歳になっておりますが、この人々について平均初婚年齢と生涯未婚率を算定してみますと、平均初婚年齢25.7歳、生涯未婚率8.3%という水準が得られます。高位の仮定では現在結婚途上にありますけれども、1960年代生まれ世代の平均初婚年齢と生涯未婚率の水準が今後も持続するものと仮定しまして、その値を高位の仮定値として採用しております。 
  低位の仮定につきましては、今後生涯未婚率が相当進み、なおかつ平均初婚年齢も上昇するということを見込みまして、日本の社会経済的な属性集団でもっとも平均初婚年齢の高い属性集団に着目をいたしました。それが東京都の短大あるいは4大卒以上の女性の平均初婚年齢でございます。1990年の国勢調査によってのみ得られるデータなんですけれども、平均初婚年齢が28.9歳と算定されております。これを今回は低位の仮定値として採用いたしまして、これに基づいて生涯未婚率を算定しますと生涯未婚率17.9%という値が得られました。 
  これをもって低位の仮定といたしました。このようにしてこのデータを基にして夫婦の完結出生児数を推定していくわけでございます。 
  さてここで算定した平均初婚年齢、あるいは生涯未婚率、あるいは年齢別初婚率といったデータは前回の審議会でも指摘いただいておりますけれども、社会全体の趨勢との間にどのような整合性があるのかという問題について若干検討させていただきました。 
  次のページをご覧いただきたいんでありますけれども、とくに女性の晩婚化、あるいは非婚化ということは社会経済的な変動との関係でいいますと、特に女性の大学進学率の高まり、あるいは男女の相対賃金の縮小、あるいは女性の労働力化、あるいは非農林雇用労働力が高まるといったことが、結婚の年齢の上昇やあるいは生涯未婚率の上昇に結びついているといった指摘が多々ございます。今回将来に向けて推計いたしました年齢別初婚率なり生涯未婚率がこうした指標との整合性がとれているのかということであります。 
  まず9ページの図表12−1に20〜24歳層のコーホート初婚率と社会経済的な要因との関係がどうなっているのかをまずみております。これを見てみますと特に20〜24歳では初婚率の低下と、社会経済的変数との関係は極めて強い関係にありまして、とくに女性の四年制大学への進学率の上昇との間でマイナスの符号をとっていますように女性の進学率上昇が初婚率の低下と関連していることが良く分かりますし、他の男女賃金比もマイナスの関係、あるいは女子の労働力率との関係も良くあらわれております。 
  25〜29歳層について中段の図になりますが、実績の初婚率と社会経済的な要因から回帰した推定の値との間をみますと、これも極めてよく関係をあらわしております。ところがいくつかの指標に関しましては符号関係が変わっております。とくに大学進学率につきましてはプラスの符号を示しておりまして、初婚率の上昇に対して、四年制大学への進学率は20代後半の初婚率を上昇させる方向に関係性を示しているということが分かります。さらに女子労働力率との関連も女子労働力の上昇が20歳代後半の初婚率の上昇との間に正の関係を示していることが分かりますただ男女賃金比に関しましては、その縮小と逆の関係を示しております。 
  30〜34歳につきましても、符号関係でいいますと、いくつかの部分でやや異なる結果を示しておりますが、30〜34歳につきましては初婚率の動き自体が非常に小さいものでありますので、こうした結果が得られるのは当然と考えられます。 
  ここでこうした結果から考えられることは、晩婚化、つまり20代前半における結婚の遅れというのは確かに進学率の上昇というのが大きく作用する。あるいは女子労働力率の上昇というのが作用していますけれども、じつは20代後半の初婚率を上げる方向での効果も持っているということがこの結果から分かったかと思います。 
  10ページの方を見てください。 
  では将来についてはどうかということであります。10ページはそれぞれの社会経済的な変数につきまして、これは過去の趨勢を決定係数の高い順にロジスティックあるいはゴンパ−ツメイカム、あるいは自然対数等の回帰式をあてはめまして、2005年までの値を延長してデータを推定しております。これを用いまして、先ほどの社会経済的なモデルに投入してみますと、次の11ページの図表14の結果が得られます。ここでは20〜34歳の年齢合計初婚率をまとめておりますけれども、こういう結果が得られまして、平成9年1月推計に用いましたコーホート初婚率の推計結果が●で示してあります。そうして□の方には社会経済的な4変数を用いたコーホート初婚率の推計結果を示してあります。出生コーホート別に整合性がどうだったかをグラフで示してあります。 
  これを見ますと1980年出生コーホートにいたるまでそれぞれのコーホートを見てみますと相当高い一致をみております。とくに1980年についてみてみますと、この数値がほぼ生涯未婚率に該当する数値となってきますけれどもそれと極めて高い整合性をもっている。したがいまして、我々は今回推計に用いました年齢別初婚率というのは社会経済的な変数の趨勢との間に整合性を持っていると考えております。 
  こうした検証をおこなっていまして、先ほどの推計いたしました平均初婚年齢を用いまして次の12ページのところでは夫婦の完結出生児数を推定しております。図表15によりまして、第7回から第10回の出生動向基本調査に基づきまして初婚年齢別の完結出生児数についてデータを整理しております。図表16に示しますようにそれぞれの年齢別完結出生児数のモデル化をはかりまして、先ほど投入し得られました年齢別初婚率にしたがって、夫婦の完結出生児数を推定するということを行っております。それによって得られた結果が前後しますが、資料4の2ページ目にあります平均初婚年齢、中位の場合27.4歳の場合の夫婦完結出生児数1.96人、高位の平均初婚年齢25.7歳の夫婦完結出生児数2.12人、低位の1.76人という数値が推定されているわけでございます。 
  13ページは図表17でございますが、離婚や死別が若干最終的な出生率に対して影響を与えます。これに関しましては、過去のデータを基にしてデータの得られている1935、44年生まれについて離死別係数を推定しておりまして、0.954という値を得ております。図表18に過去の出生コーホート別にデータを検証しておりますが、この結果をみてもこの水準は極めて安定しているということでございますので、今回のモデルではこの数値を採用しております。 
  図表19、図表20については、離婚の影響について簡単にみた資料であります。これでみてみますと1965年から90年にかけて初婚者のうち離婚する確率というのは相当高まってきております。10.1から18.6へと大きく上昇したわけですが、その中で内訳を見てみますと離婚後の再婚確率が4.7%から11.5%と相当大きくなっている。そのうち離婚したうち再婚しない確率は5.4から7.1と相対的に離婚したままでとどまるというパーセンテージというのは若干増加をみていますけれども、離婚が増えても再婚が相当あるという結果がみられております。図表20の方で離婚した人というのはどれぐらい子どもを産んでいるのかというのを過去のデータから見てみますと、だいたい6割内外が子どもがあると答えておりまして、その平均子ども数も1.7前後の水準である。したがいまして離婚が相当出生率低下に対して強い影響を持つというよりも離婚者の中でも出生率は確保されておりますし、離婚後の再婚も相当あるということですのでございまして、こうした検証結果から、離婚の与える影響については安定的であるというような結論を得ております。 
  これが今回検討いたしました出生率に関わる検証ということになります。こうして得られた結果、われわれが仮定設定行いました合計特殊出生率は資料1の方をご覧いただきたいんですが、資料1の6ページのところに今回先ほどのコーホート法によって得られたパラメーターに基づいてコーホート出生率を推定し、それを年次別の出生率に変換を行いまして、年次別の合計特殊出生率という形で6ページには示させていただいております。 
  合計特殊出生率は1995年の1.42人という水準から中位水準では平成12年(2000年)に1.38という底に達した後、2030年、つまりこれは先ほどの話でいいますと、1980年生まれ世代がちょうど50歳に達するときということになりますが、合計特殊出生率が2030年に1.61に達すると。そうしてその後1.61が2050年まで続くということになります。 
  高位推計では1.42という平成7年の値から平成8年そのまま横ばいの後、平成42年、2030年に1.85の水準に向かうという結果が推定されております。 
  低位推計につきましては1.42から2005年に1.28という底を経た後、平成42年、2030年に1.38という水準になるということになります。 
  こうした合計特殊出生率と今の資料1の9ページにございますけれども、死因別、年齢別、標準化死亡率によって将来を推定した平均寿命、生命表ということですが、この死亡率に基づきまして人口推計を行った結果がこの資料1に掲げられている数値表ということになります。 
  人口推計はそれ以外にも出生性比の仮定をおいております。出生率によって赤ちゃんが生まれるんですが、それを男女に分ける必要がございまして、出生性比に関しましては、1991年から95年の間の出生性比、105.6を用いましてそれを一定として採用しております。 
  国際人口移動に関しましては、1990年10月1日から95年9月30日の男女年齢別各歳別の入国超過率の平均を一定値として採用し、先ほどの年齢別出生率と年齢別死亡率を用いて人口推計を行っているわけであります。 
  資料1の1ページをご覧いただきたいと思います。1ページのところでは今回推計を行いました中位推計のポイントにつきまして簡単に要約しております。中位推計の推計結果をみますとこの資料の4ページのところには、図によりまして図1で総人口の推移、図2で65歳以上人口割合の推移が示してあります。なお今回の推計では人口推計を2050年まで行っております。 
  この2050年まで行った経過につきましてはこれは資料4の1ページのところに表が作ってございますけれども、最近の人口推計では国連人口部の人口推計がありますけれども、先ごろ出た推計におきましても2050年までを推計の期間としております。米国政府が行っております人口推計においても2050年までを推計期間としておりまして、フランス政府の推計も2050年まで行っております。こうした諸外国、あるいは先進諸国の人口推計が2050年程度まで人口推計を行うことになってきましたので、今回の推計は2050年まで行っております。 
  さてその結果でございますけれども、総人口は1995年の国勢調査人口1億2,557万人から2007年をピークとしまして減少を続けて、最終的には推計最終年2050年に1億50万人となるというふうに推計されました。前回推計との関係でいいますと前回推計では2011年をピークとして減少し続けまして2050年には1億1,150万人になると推定されておりましたので、今回の人口推計の方が1、100万人ほど少ない人口となっております。もっとも関心が寄せられる65歳以上人口割合についてみますと、65歳以上人口割合は今後上昇を続けまして、現在の95年の14.6%から2025年に27.4%、2050年32.3%となる、つまり3人に1人はほぼ65歳以上の高齢者となるという数値になっております。前回推計との関係でいいますと、2025年が25.8%でありましたから2025年時点でいいますと、1.6ポイントの増加になります。そして2050年におきましては、前回推計が28.2%でありましたので、4.1ポイントの増となっております。 
  1ページの2のところには中位推計の前提が書いてありますけれども、これは先ほど述べたように、今回の推計では、平均初婚年齢の上昇を見込んでおりますし、夫婦の子ども数については相当強い仮定を置いておりますので、低い水準の設定となっており、なおかつ非婚化の進行につきましては前回推計では1965年生まれの世代について11%を想定をしていたのに対して、今回は1980年生まれ世代以降について13.8%と仮定しておりますので晩婚化の、あるいは非婚化の一層の進行を想定していることになりますし、なおかつ前回の推計より10年にわたって長く結婚の変化が起きるモデルになっております。 
  さてページをもう一枚めくっていただきますと、中、高、低という三つの推計結果の比較表になっております。高位推計は先ほど申し上げましたように合計特殊出生率が最終値で1.85になる。低位推計では最終値が1.38になるという推計でありますけれども、高位推計の総人口をみますと2050年時点で約1億1千万と。低位推計では9千200万という数値になっておりまして、2050年時点の高位推計では中位推計より1千万ほど多めの人口に到達すると。低位推計では約800万近く人口が少ない推計になっております。 
  65歳以上人口割合につきましては2050年時点の高位推計では29.2%で、低位推計では35.2%という極めて高い高齢化の水準が予測されております。 
  推計結果についての資料として資料3が用意されておりまして、そこに詳細にデータが掲載されております。これらにつきましては、この席上では細かく述べるのは差し控えさせていただきまして、今まで述べました概要で今回の報告にさせていただきたいと思います。以上です。
宮澤会長 どうもありがとうございました。推計の最大のポイントでございますそれぞれの仮定値につきまして、よく精査をしていただいたものと思います。それから前回の総会でも大分議論になりました経済的な要因、たとえば女子の大学進学率とか男女の賃金比とかいうものと出生率、初婚率との関連についても分析検証していただいておるというように拝見いたしました。この将来推計人口についてご意見ご質問お願いいたします。
大石委員 何もなければ一つだけ。資料4の例えば図表6が一番良いかと思いますが、そこに●と〇でデータが記されているんですが、これは一つ一つがアニュアルデータというか、毎年のデータですね。
高橋部長 これは各それぞれの出生年次、生まれた人々の世代別にその世代、たとえば1960年生まれの人がどのように結婚したかというデータをもとにして計算した平均初婚年齢が25.7歳、生涯未婚率8.3%というものが●の一つになっております
大石委員 ●、たとえばその●と〇と一番はっきりしますから、そこで二つドットされているわけですけれども、それはアニュアルデータではなくて、何なんなのですか。これは要するに非常にきれいに黒白が並んでいるわけですけれどもね。これがタイムシリーズデータだったらこれはずいぶんおかしな結論といいますか、あるいは非常に予測的にうまいデータの並べ方になっているんですが、ぼくはこの一つひとつの●〇の意味というか、それがちょっとはっきりしなかったんで
高橋部長 分かりました。●〇それぞれこれは出生世代ですね。古いところは1935年生まれの人々は一生の間にどのような結婚をしてきたかというデータがひとつ。その一つちがうのはその1年後に生まれた世代がずっと年齢を経るにしたがってどのような値をもっていたかというデータがひとつというように出生世代別のデータをここでは示しております。
大石委員 それがかなりステッディに増加関数的に表現されているんですけれども、そうすると今のデータからいうと当然のことなんですか。
高橋部長 例えばイメージとして持っていただきますと、戦後生まれの世代というのはどのような結婚の変化をしてきたかということを見てみますと、1945年生まれの人々は24歳前後で結婚して生涯未婚率は4%前後であったと。1950年生まれの人々はどうであったかというと結婚年齢が25歳まで上昇してきまして、生涯未婚率もやや上昇してきたと。つまり生まれ世代別にみてみると結婚行動が新しい世代ほど結婚の年齢が遅れて、そして一生結婚しない人々のパーセンテージが上がってきた関係を示している。それがこの図の示していることでもあるわけです。
大石委員 そのことをこの図は非常にきれいに示しているということになるのかな。なんだかあなたの説明を僕はまだ良く分からないんですが、これは他の委員の皆さん分かっていれば僕ばかり時間とってなんですけれども、あとでまたゆっくりあるいは基礎になる参考文献とか、うかがって勉強しようと思っているんですけれども。ちょっとはっきり理解しかねたので率直にお尋ねしたわけです。それからもう一つ質問しますと同じ資料4の9ページに社会経済の要因とコーホート初婚率との関係を議論されているわけですけれども、これAdjR2というのはこれはアジャスティッド・コーシュテント・オブ・デタミネーションですね。 
  これがね、細かなことをいいますと(1)で0.94920、(2)では0.9908。決定係数というのはずいぶん形式的におかしなあれだとぼくは思いますけれども、説明力がどうこうという、符号がまったく違っていて、しかもかなりどっちも説明力が大きいと。あるいは非常に大きいということについて疑問は感じておられるんですか、おられないんですか。
高橋部長 それにつきましては、つまり結婚という行動と社会経済的な変数との関係が年齢によって異なってくると、例えば20代前半ではちょうど20歳からですから、大学就学時期とちょうど結婚の時期というのが重なります。したがいまして、大学進学率が上昇すれば、20代前半の初婚率が下がるという関係についてはマイナスの関係があるということは想定できます。したがってそこの符号というのはマイナスになって然るべきであると。 
  ところが・・・
大石委員 経済学者や何かエコノメトリックス的な計算を盛んにやって何やら我々から言わせると随分問題のあるようなことをクチャクチャやって最後に出てきまして符号が常識的にプラスになったら安心するとかいうようなことでやっているわけですけれども、何かそういう笑い物になるようなことを僕は研究所にやってもらいたくないんでね。ちゃんと根拠があればたいへん結構だと思っておりますので、ちょっと僕はそこのところが気になりましたので、指摘だけさせていただきます。
高橋部長 はい。ありがとうございます。
宮澤会長 他にございませんでしょうか。経済的要因とのチェックは前回もいろいろ議論出ましたが、ひとつのやり方としてこの四つの変数について世代別に影響差があるという結果が出て、これをどう解釈するかについては計量モデル的な側面もございますけれども、通常の他のモデルとして取り上げられている主要な指数をこれでもチェックしてみたと、こういう趣旨ですね。特別に大きな矛盾というものがなく説明が可能であったのではなかろうかというのが全体的な判断ですね。
高橋部長 そうでございます。
宮澤会長 またいろいろ問題あると思いますので、他のモデルその他の対比という点では一応の帰結を出していただいたと解釈させていただきます。他にございましょうか。はい。どうぞ。
高山専門
委員
特にこれを変更してくださいというお願いではないんですけれども基本的に三つの将来の推計結果が示されているわけですけれども、中位と高位と低位の推計の意味をどういうふうに考えるかということについて、補足的に説明をしていただければと思うんです。私の理解した限りでは中位というのは過去のトレンドそのまま延長していったら、どうなるんでしょうかということを主として念頭において数字を出したものであると。ですからただこれから5年とか10年とか考えるとよほど大きな社会的な変化、突然の変化一時的なものがない限りはこのラインにのるのではないかという意味で中位推計をやっていると。低位と高位についてですね、それをどう理解したら良いかということだと思うんですが、
おそらく仮に出生率が回復したらどの程度まで回復するかということについてのひとつの仮定をおいたものだというふうに考えているんですが、低位の方は仮に出生率がこのまま低下していくとしたらどこまで落ちるかという幅、それぞれ非常に極端なこの幅の範囲に全部収まるというふうに考える限界値というふうに考えるのか、それともまた別のものなのかということなんですけれどもね。おそらく近い将来考えればこの中位推計に近いもので当然推移するだろうという予測をしたということだと思うんですが、低位と高位をどう考えるかということについて推計作業を行った立場からこのような仮定を選んだ理由ですね。について特別の考えがあればご説明承りたいと思います。
宮澤会長 高位、低位が上下限の幅をあらわしているのか、そうでなく中位と比べてある程度の代替的な関係要するに過去10年内外のも含んでいるのか、そういう全体の見方も含めてどういう意味でこの両方が設定されたのかちょっとご説明をお願いします。
高橋部長 はい。今回の人口推計に関しましては基本的に先ほど見ていただきました資料4の8ページの図表11がベースになっております。 
  ここで想定しておりますのは、出生率変動の大きな要因は結婚の変動であります。したがいまして、この出生率が動く可能性の範囲、上限、下限の範囲として我々は高位、低位をそれぞれ想定しております。その結果、いわばもっとも晩婚化や非婚化が起きるような社会経済的属性に着目して低位を設定したのが、出生率のもっとも悲観的なケースをたどる場合で想定しており、上限、下限という意味合いをもった推計であるということであります。
宮澤会長 ただいまの件高山さんよろしいでしょうか。
高山専門
委員
上限下限ということになるととりあえず別のものもあり得ると思うんですけれども、とりあえずご説明としてはそういうものだとうかがったというふうに理解をさせていただきます。
宮澤会長 よろしゅうございますか。はいどうぞお願いいたします。
井上委員 人口推計の場合に長期的な趨勢とそれから短期的な変化ですね。この間の関係が難しいと思うんですけれども、ご説明にありましたように短期的な変化はこれは後でまた考えるというふうなことであったかと思いますけれども、初婚年齢というようなことを考えます場合にやはりその年のいわゆる景気ですね。景気の良い年とそれから悪い年で結婚の状況が大分変わってくる。昔から言われておることなんですけれども、この資料4の6ページを拝見しますと、図表8でコーホート別に見た初婚率増加率のパターンというのがございます。ここで61年、62年のコーホートと63年、64年のコーホートと大分大きく違うわけですね。こういったきわめて接近したコーホートの間でこれだけの差が出てくるということはおそらくその背後に何か結婚年齢時における景気といいますか、社会情勢といいますか、そういったものが反映しているんじゃないかというふうな感じがするわけなんですけれども、私も今うかがいまして良く分からないんですけれども、教えていただきたいのは、こういった初婚率増加率のパターンが仮に短期的に変動したとしましてこれが推計結果にどのくらいの影響を及ぼすものであるかどうかという点なんですが。
高橋部長 お答えします。基本的に資料としましては、仮定値設定の基になっております8ページの図表11をご覧いただきたいんですけれども、ようするに初婚率が微妙に社会経済的な要因の影響を受けて変動する場合、この図表8の●のところを見ていただきたいのですけれども、これは1935年以降60年までの実際に結婚をした人々の生涯未婚率と平均初婚年齢なんですが、いわばこれがややこの線上にはのっていますけれども、微妙に上下に動くわけですね。したがいましてある世代というのは何らかの需要によってタイミングがずらされて結婚年齢がやや遅かったと。あるいはたとえばこれは有名な話ですけれども、大恐慌時代にアメリカで結婚した人々についてみると生涯未婚率が高い。あるいは一生の間に生む子どもの数も低いという非常に極めて強い経済的インパクトがあった場合に世代別にはそういうことが起こり得ます。それがこれまでの日本のデータではどのように観察されているかといいますと、ここにあるような●が完璧に一線上にのっているのではなくて、世代によって生涯未婚率がやや高かったり、あるいは平均初婚年齢がやや低かったりというような形であらわれていると。したがいまして全体趨勢がそれぞれのコーホートを見渡してみたときにどの方向に向かっているかということは人口推計ではきわめて重要になってくると思いますので、我々はそういう分散を考慮しながら、このモデルを考えているところです。以上です。
河野委員 先ほど高山さんがおっしゃった高位、低位の設定なんですけれども、だいたい今一番こういう方面では進んでいるアメリカのいわゆる人口学の方ですとだいたい確率論的に例えば95%の確率で中に入るように、統計学でいうシグマの中に入るように、そういうようなものをやろうということなんですけれども、実際にはなかなか確率論的にすべての推計過程の要素というものは入らないということで、そういうことは理想でありますけれども、現にアメリカのここにも出ていますけれども、アメリカの人口推計でもそういうものはまだ達成されていない。将来はそんなふうになるだろうということでございます。ここで一口申し上げますと、私は前回2回出ておりませんけれども、今回の推計はこれまでの推計と比べると非常にプロボカティブというか、非常に面白いし、なかなか洗練されているというように存じます。ただ私の思いますのは専門用語が出てきて、ここにおられる委員の先生方は必ずしも人口推計の専門家ではなくて、むしろ大所高所からそれを踏まえてやるという、そういう高い立場におられるものですから、たとえばコーホートとなどという概念もどうも思うんですね。コーホートであるとか、先ほど大石先生が言われたこともコーホートということだと思いますけれども、それとか初婚率とか、生涯未婚率とかいうのが出てくるけれども、なかなか難しい概念でありますので、もうちょっと定義のような注釈のようなものをされたら非常に専門家以外にも便利ではないかと思います。以上。
宮澤会長 ありがとうございました。どうぞ。お願いします。
八代委員 私も今回の人口推計は非常に従来と違って人口学の立場からだけではなくて、経済的な分析も加えてやっていただいて画期的な推計であると思います。ただこれ自体というよりは将来の不安要因を強いて挙げるとすれば資料4の9ページでございますが、これは他の委員の方も今までたびたび指摘になった点でございます。つまり資料4の9ページの社会的変数とのチェックをしたときに1番目の20〜24歳のコーホートの初婚率と社会経済変数との関係というのは我々のことばでいいますと符号条件が合っている。すなわち女性の経済的地位が上がることによって結婚するコストが高まるから結婚しなくなるというひとつの、それが正しいかどうか別として、経済的な解釈と合致しているわけであります。ところが問題は25〜29歳については先ほども大石委員からご指摘ありましたように符号条件は必ずしも正しくなくて、とくに女性の労働力率等の符号が逆に効いているわけであります。これはもちろん先ほどご説明あったように晩婚の取り返しといいますか、20〜24のときに結婚しなかった人が後で取り戻すという効果がここに出てきているわけでありますけれども、この式では含まれていない取り戻し効果を除けば、依然として25〜29歳についても経済変数というのは20〜24と同じようにマイナスに効かなければいけないわけでございまして、その意味では本来の経済的な行動を必ずしも表していない。これは見かけ上は推計値とあっておりますけれども、理論的には必ずしも正しくないわけでそこが将来の不安要因かと思います。まさしくここは先ほどご説明ありましたように今後の出生率がどうなるかというのは今の出生率の低下がどこまで晩婚化によるものかどこまで非婚化によるものかというものが非常に大きなカギになるわけでありますが、このもっとも重要なところが必ずしも理論的には十分でない式で見かけ上合っているということですので、ここが将来のひとつ大きな課題ではないかと思います。以上でございます。
宮澤会長 ありがとうございました。はい。お願いいたします。
木村委員 少子化問題を考える際にやっぱり結婚するかしないかじゃなくて、何人子どもを持とうとするか、持とうとしないか、一人で止めておくか、二人にするか三人かという、そういう問題はこのデータには入らないんでしょうか。
高橋部長 それにつきましては当然のことながら結婚した夫婦は子どもを持つか持たないかということは重要なファクターとして当然考えております。資料でいいますと、資料4になりますが、12ページ、図表15、図表16がそれに該当します。結婚の年齢と子どもを何人持つかということに関しては極めて強い関連がありまして我々の過去のデータの分析によりますと、たとえば35歳で結婚した女性の平均的な出生率は1.4を割り込んでいるというレベルがございます。したがいまして我々はこうした夫婦が生む子どもの数と結婚年齢との関連から、その部分は極めて重要だと思っていまして、モデルの中でもこういう形で織り込んでいるということであります。
木村委員 それは良く分かりました。ありがとうございました。ですけれども、例えば老後の介護の問題などについていろいろなデータなどが出ますと、老後は自分の子どもに介護してもらうよりも社会福祉の介護を受けた方が良いとか、老親の面倒を見ようという子の数が日本は少ないとか、そういうようなデータが出ますと子ども生む意欲とか、そういうものに非常に関係してくるんではないかと思うんですが、そういう要素が高位と低位の中に入っているんでしょうか。
高橋部長 今回の推計では予定子ども数であるとか、理想子ども数と仮定設定に関連しては今回はそれは入れておりません。といいますのは我々理想子ども数であるとか、予定子ども数をこれまで5年に1度の出生動向基本調査で調べておりますけれども、比較的日本人の持っている予定子ども数の水準というのは安定的であるわけです。しかしながら、分析を通じてそうした意欲の変化であるというところが正確に観察されておりませんので、今回の推計モデルの中ではその部分はモデルの中には取り込んでいないということです。
水越委員 先ほどのお話と少々ダブってしまうと思うんですけれども、これからのことを考えると生涯未婚の増加が予想されます。したがって、出生率を考えるとき結婚か未婚かということではなくて、生涯未婚の人の出生率ということも念頭に置かなければならないんじゃないかなというふうに思いますがそのへんはいかがでしょうか。
高橋部長 いわば欧米では婚外子が非常に多い。それが80年代、90年代通じて非常に大きなプロポーションに、割合になってきて、それが出生率の相当部分を担っているという事実があります。日本についてはどうかといいますとこの10数年にわたって非嫡出子の統計を見てみますと、これが約1%でほとんど動いていないという現状にあります。したがいまして、もちろん今後例えば民法の改正等によって非嫡出子の概念が変わって婚外子の出生条件が非常に良くなるということは一方では考えられますけれども、我々これまでのトレンドの分析によって見てみますと日本の場合それが極めて低い水準で安定しているということでありましたので、今回は特にその部分について推計の中に織り込むことは行っておりません。
宮澤会長 はい。どうぞ。
山本委員 今回お示しいただきました案では従来に比べまして、たいへんシビアなものになっておるというように思いますが、この資料4の1ページのところに諸外国の例が出ております。これを拝見いたしますと、たとえばアメリカでの出生率の仮定は高位は2.58というところにあるかと思います。フランスの場合でも高位は210、イギリスの場合でも北アイルランドは2.05、これは2000年というようなことで一応2.10あるいは2.05というものをある程度意識したような形で高位、中位、低位というものができているように私はこれを見て思うんでございます。今回のやり方といたしまして、政策的な配慮を加えずに自然趨勢的に今回高位、中位低位というものを算定したんだと。こういうようなことであろうかと思うんでございますけれども、逆に資料4の10ページのところに出ておりますけれども、女子の労働力率、あるいは男女の賃金比あるいは四年制大への女子の進学率と、こういうものは人口的に見ました場合にいずれも出生率を抑制するような方向ですね。これで将来の延長されておると。ゴンバースでもっていかれているというようなことでございますけれども、こういうような前提に立ってやっておられますので、これは今後の政策的な配慮というものがあるいはある程度ここの将来の推計の中に入ってきゃちっているんではないだろうかと。したがってその結果といたしまして、非常に今回のものはそういうような政策的な配慮も含めた上でかなりシビアなものにできあがってしまっているというような気がしてならないんでございますけれども。そのへんのお考えを私ちょっとうかがいたいと思います。
高橋部長 今回の仮定設定につきましては全くそういう政策的な意図は入っていません。これについては全く人口学的な視点から中、高、低の仮定設定を行いました。そして社会経済的な変数との関係につきましては、これは人口学的に推定したものに対して事後的に社会経済的な変数との整合性を見たものでありますので、そうした将来の労働力率であるとか、あるいは進学率を想定して推計に持ち込んだというものではありません。したがってそういう関係になっておりますので、自然体のままといいますか、過去の人口事象の延長線上でとらえた仮定であるとご理解していただいて間違いないと思います。
宮澤会長 よろしゅうございますか。はい。どうぞ。
千葉委員 社会経済的要因という中に、たとえば育児休暇であるとか、育児手当てであるとか、あるいは一時支援設備の充実であるとか、そういうプラス面というかあるんですが、まだこういうものについては人口の増加要因といいますか、そういうのに計算するのに値しないというか、そこまでいかないということなんでしょうか。
高橋部長 ひとつは技術的な問題がございまして、そうした指標がきわめて長い過去から、例えば1960年代からデータがとれれば当然モデルの中に入れて勘案することはできるのですが、データの蓄積等については、こういう人口事象のデータは得やすいんですけれども、政策的にからむ指標についてはなかなかコンスタンツなデータが得られない。したがいましてそうした評価を行うには今後の研究の課題ということになっております。
宮澤会長 ありがとうございました。はい。どうぞ。
岡崎専門
委員
私はこういうふうに思うんですが、今回の推計は先ほど説明あったとおり近い過去のトレンドを伸ばして将来を推計する。これが推計の現状になっているわけですね。いろいろご意見でましたように政策的効果いかんというお話はこの推計を基にしてその結果を見て総人口が減ってくる。あるいは高齢者の割合が増えてくる。年金財政にそうとう厳しい条件になるというふうなことをお考えになった後でそれをどうしたら良いだろうかと、いうときにもう一度改めて政策効果についての研究をやると、ここは人口問題の審議会の場ですけれども、極めて中立的でトレンドを伸ばした推計を出してみて、その結果を見て判断するための基礎的データを提供されたと、いうふうに解釈した方がよろしいのではないかと。この段階であまり政策効果、あるいはその他のものを入れますと混乱してしまって果たして政策効果の判定が良かったかどうかということについてもまた議論が紛糾する。そうすると私はこういうトレンドを伸ばして、年金は5年に1回ずつ再計算しますけれども、そういう場があるので、そのときのための基礎データとしてこれを受け取った方が私は良いと思いますし、今の先生のおっしゃるとおりかなり従来の推計よりは手のこんだ相当きめの細かい推計をいたしましたので、私としてはこれがよろしいのではないかなと思います。
宮澤会長 ありがとうございました。いろいろご意見いただきました。これは発表されますときに今出ましたようないろいろな疑問点が出されると思います。それについて数字が非常に前回の数字と比べてきついシビアな数字ございますので、誤解のない形での解説、前提とか、見方とかね。そういうのをつけてあわせて一般に公表していただくいうことが必要かと思いますけれどもその点の配慮をお願いいたします。
高橋部長 十分配慮していきたいと思います。
宮澤会長 それではこの将来推計が今までいろいろ出ました議論の前提を含めまして今後の議論の前提となりますので、よろしくお願いいたします。 
  もう一つ議題がございまして、これは前回の総会で今最後の方でいろいろ議論が出ましたが、少子化問題につきましてこの審議会でも議論していくということになりましたが、今後の審議会の進め方等につきまして辻政策課長から説明お願いいたします。
辻課長 政策課の辻でございます。お手許の資料5、それから参考資料1、参考資料2につきまして、お時間限られておりますので、ポイントをご説明申し上げますこの新人口推計が今後どのように位置づけられるかということで大きく2点ございます。ひとつは社会保障構造改革ということで社会保障の改革が今進もうとしていますが、それに関連してこの数字そのものがどういう影響を及ぼすか、もう一点は会長仰せになりましたように人口問題審議会を中心に少子化問題にどう対応していくかと、この2点でございます。 
  まず第1点の社会保障構造改革との関係を時間限られておりますのでポイントを絞って申し上げます。参考資料1がございますが、これはさる11月19日に社会保障関係の八つの審議会の会長会議で方向につきまして中間まとめとして取りまとめていただきましたものの要旨でございます。中身について細かくご説明する時間がございませんので、かいつまんで申し上げますと、社会保障をめぐる状況に関しましては、社会保障が国民経済に占める比重というのはどんどん拡大しつつあると。一方1の二つ目の〇ですが、少子化のさらなる進行によって負担の増加が見込まれると、今回の推計をあるていど念頭においた問題認識、一方においていわば社会経済の変化というものも含めまして介護需要の増加等、新たな需要も増えてくると。しかしながら、大きなIIで経済は低成長経済基調に変化して財政も深刻化してきている。あるいは国民生活そのものも戦後の状況といったものから比較すれば格段に社会保障が整備され成熟化したものになっている。こういう状況のもとで社会保障全体の構造改革が必要だと。こういう認識でございます。 
  それにつきまして後ろから2枚目をお開きいただきたいと思います。 
  箱がいっぱい並んでおります。それでこの構造改革の方向といたしましてそういう状況のもとで箱の左側の三つでございますが、この中でもとくに大きいポイントというのは左の箱三つの一番上でございますが、今申しました背景から国民経済と調和し、かつ社会保障として十分な機能を果たす需要に適切に対応する両立させるということをこれから取り組んでいかなければならないと。枠組みとしては国民負担率50%以下という目安というものも考慮が必要だと。こういった枠組みでございますが、箱の一番右側をご覧いただきまして、今後の段取りといたしましては、当面の緊急課題である介護の対策、具体的には介護保険が国会に提出されておりますが、介護のシステムの確立というものを構造改革の第一歩として下にありますように医療、年金、この両システムにつきまして将来に向けてさらにこれを効率化、適正化はかっていくと。ひと言でいえば介護といったものを導入して必要なことには応えるけれども、それをいわば切り口としてそれとの合理的な関係において医療、年金というものもこれから将来にむけて医療に関してはより質の良いサービスを求めつつ、しかしながら全体としては効率化適正化していくと。年金もそのような適正化をはかる。こういった流れが出ております。 
  それを数値で表したものがございまして、5ページにお戻りいただきたいと思います。8会長会議に厚生省といたしまして、本日提出されました人口推計の前の平成4年9月の人口推計によりまして、将来の負担と給付の見通しを入れております。これの大前提でございますけれども大きく言いまして2000年代2025年まで推計してございますけれども2000年代の経済フレームをAというのが名目成長率3%。Bというのが名目成長率2%、Cというのが名目成長率1.5%と。こういう三つのフレームで年金、医療、福祉、これがどうなのかという推計をいたしております。二つ目の箱の介護保険制度創設した場合の試算というのをご覧いただきまして介護保険制度を創設したとして社会保障の規模はどうなのかということを推計をいたしております。平成7年度はご覧いただきましたように年金が24兆円、対国民所得比9%。医療が24兆円対国民所得比61/2、福祉等が2%という状態で、社会保障負担といたしましては、年金の積み立て金相当額の負担が入っておりますので、181/2というふうになっております。これは社会保障における租税負担を含めた数字でございます。これがたとえば名目成長率3%の場合は年金が高齢化に伴いまして、15%になると。 
  ただ年金は成長率が下がれば給付も下がりますので、基本的には成長とニュートラルにだいたい15%ぐらいになると。 
  ただ医療につきましては、医療費の伸びが成長の動向にかかわりなく伸びるという状況で現在まで動いております。そのような最近の医療費の伸びを予測いたしまして負担を見ますと、Aケースの場合に今の61//2が101/2になると。成長率が下がれば下がるほどウェート高くなってCケースの場合16になるといった形になっております。 
  一方福祉等につきましては医療から移す分も含めまして、介護保険を導入し、21世紀に相当介護サービスを拡充するということをもちましてだいたい41/2〜5%になると、こんな推計でございます。そのうち介護というのは国民所得比でたいへん大きな負担になるという議論がされておりますが、国民所得比でみれば2%程度2025年の段階でも2%程度でございます。合計しましたものがAケースで29%、Bで33、Cで351/2となるわけですが、国民負担率論議というのはいろんな論点ございますので、十分な吟味が必要でございますけれども、ザックリそれとの関係を見まして直近の社会保障にかかる税負担を除いた租税負担、だいたい20%ぐらいということを固定して将来をいわばあえて見てみるといたしますと、このA、B、Cの一番下の数字に20を足しまして49〜551/2になるということで現行制度のままで介護保険は導入するという前提で現行制度のままにいたしますと、だいたい50%〜55%強の国民負担率になるというような予測をいたしております。 
  これにつきましては下の留意点の3の第二パラグラフをご覧いただきまして、「一般政府の財政赤字は含まれていない」ということが一点。これを今後どう取り扱うかによって租税負担に影響を及ぼすと。4でございますけれども、まさしく今回のことに関連いたしまして、平成4年9月の人口推計に基づいておりますので、新たな人口推計に基づき試算を行った場合は、とくに年金について負担率が増大するということを明記いたしております。そのようなことを踏まえまして、仮に社会保障の見直しのみで負担率を50%以下に2025年だけとどめるのであれば医療、年金を中心に将来に向けての伸びを抑制するという意味での効率化、時間をかけた効率化というものをやるべきだ。 
  ただそのときにどのようにするのか、どのようなレベルに効率化するのかは国民的な論議の問題であると。このような整理になっております。今回新人口推計が出てくる事をある程度織り込んでおりますので、その意味でこの中間報告につきましてはそういうものを織り込んだ上でのいわば問題設定がされておりますけれども、年金につきましては大きな影響が出ますので、試算を急ぎましてこの数字というものをリバイスするという作業を事務的に進めさせていただきたいと思います。ただ念のため申し上げますと、医療につきましては2025年段階では老人の数は今回の推計で大きく動かない。それからこれからの子どもが減るということですので負担年齢層の動きも2025年段階までには大きく動かないということで、年金は最終保険料率が動きますので、確実に影響が出ますけれども、介護それから医療保険につきましては現時点で国会に法案を出させていただきまして、出そうとすることにつきましての大枠のフレームワークとしては変更はないというふうに理解をしております。 
  それが構造改革との関係でございます。 
  次に資料5をご覧いただきたいと思います。資料5はこれまでも少子化という問題につきましては、本審議会での論議お願いするというようなことを事務局としても申させていただいてまいりましたが、今後どのような方向でとらえるかということを項目で並べさせていただきました。少子化に関する国民的な議論の展開と書いてありますが、本当に情報開示をするといいますか、少子化問題そのものをどうとらえるかというための資料が必要だということで、参考資料2をご覧いただきたいと思います。これは私どもなりになんとか少子化問題を国民の皆様に知っていただくということで少子化問題を考えるということで作成いたしておるものでございます。この中身は縷々申し上げませんが、3枚目の見出しのところをご覧いただきまして、わが国の現状出生率の低下の理由、出生率低下による影響、出生率低下についての認識、これまでの取り組みと、こういったこれは詳細通覧していただきますればご承知のとおりのことでございますので、省略いたしましてこれには新人口推計の予測値を織り込んだデータを入れさせていただいております。本日ご承認いただきましたので、これから未定稿を外してそれを使わせていただきたいと思います。 
  とくに大きなポイントは13ページあたりからでございます。これまで少子化問題に関しましてはいかに健康なお子さんを生み育てやすくするかという意味でエンゼルプランということで政府としてはここに書いてあるように取り組んでおりますが、むしろこのような新人口推計の非常に大きな2050年を見通した社会変化に対応してより幅の広い議論が必要ではないかということで14ページの6で「幅広い議論の必要性」というところでございますが、このチャートのようなものを一つひとつ説明する必要もないわけでございますが、このA、B、C、D、E、F、Gという右下の欄の中の項目をご覧いただきたいわけでございますが、単なる子育て支援ということではなくて、社会全体の枠組みというものをいろいろ考えてみると、いうことが必要ではないかということを国民の皆様に考えていただくためにあえてこういうA、B、C、D、E、F、Gといったものを国際比較してみたり、出生率を見てみたりするような資料をつけてございます。 
  15ページをお開き願いたいと思います。これは厚生省なりに問題提起ということで少子化問題に関して論議があって良いんじゃないかという領域を例示として並べてみた項目でございます。 
  国民生活という項目では、今まで育児支援というようなことあるいは教育、住宅といったことは取り上げてまいりましたが、結婚といったこと、いわば晩婚化といった傾向の、結婚といったことをどう考えていくのかとか、それから国民生活のところでは家庭生活や地域活動の男女の共同参画といったもっと幅の広い社会のありよう、こういうような問題意識に広げておりましたり、それから特に少子化するということは社会企業活動というものまで視野をあてなければトータルの議論にならないと。 
  相当な少子化が進むということは人口予測でも楽観的な見通しを見ましても明らかでございますので、社会のありようとして省力化、労働生産性の向上、あるいは高齢者、女性雇用をいかに促進するか。こんな問題の枠組みも必要ですし、おそらく企業のさまざまな結婚出産による人事雇用慣行とか、賃金体系等のあり方にも影響すると。それから好むと好まざるとにかかわらず外国人労働者の問題も少子社会ということから議論せざるを得ないだろうと。こんなような枠組みでむしろこれから少子化問題を議論する必要があるだろうと。 
  16ページの大きな7でございますけれども、そこでこのパンフレットのいわば問題提起でございますけれども、まず「少子化問題について、あなたのご意見をお聞かせ下さい」。少子化問題をどう考えるんだと、そして少子化対策をどう考えるんだということにつきまして、広く国民の皆様に現段階で問題を提起するという形でご意見を寄せてくださいという形でこのパンフレットを公表したいと思います。その中には少子化問題をどう考えるかということで1の項目を・でいきますと1の・はよく議論されていることですが、むしろ二つ目の・で人口というのは縮小するのはプラス面もあるのではないかと。あるいは人口のあり方よりは労働生産性の向上や高齢者、女子の労働力の活用といったポジティブな側面を強化して人口規模に見合った活力ある社会を作っていくべきではないかといった考え方があったり、あるいは少子化そのものにつきましても、この二つ目の・にありますように結婚、出産は個人の問題だから強制するようなことがあってはならないというような意見もあるということを踏まえまして、十分いわば国民的な国益とそのものの議論が必要だと、こういった問題意識でご意見を国民の皆様からうかがっていくというパンフレットを公表させていただきたいと思います。 
  資料5にお戻りいただきまして、資料5でそんなような問題提起を本日をもちまして私どもはじめさせていただきたいということと、厚生省としては少子化を考える国民会議といったいわば少子化問題を有識者によってあるいはいろんな関係者のご意見を聞いてという国民的な論議を深めるための形といったものも9年度予算で案の中に含めさせていただいております。問題の人口問題審議会との検討でございますが、今申しましたようにこの推計そのものはトレンドの推計ということでトレンドの推計ということを念頭において、今後政策面でいわば少子社会そのものをどう考えるのか、少子化対策をどう考えるのかといったことにつきまして今までより幅広い、今ちょっと例示させていただきましたのは幅広い視点に立ってご論議をいただいてはどうかということでございます。これは先生方のご論議によるわけでございますけれども、私どもといたしまては、いわゆるグリーンペーパーと申しましょうか、少子化社会をどうとらえるか、少子対策をどう考えるか、さまざまな具体的な考え方といったものを問題提起してより具体的に国民の皆様のご意見を聞くといったようなものも今年まとめるという作業が必要ではないかと。 
  それから調査研究も現在進めようとしておりまして、そういうものの予算を計上いたしましてより客観的なデータが得られますように調査分析を今年急ぎたいと思います。 
  それから現時点ではエンゼルプランというものがすでに作られておりますので、これを着実に推進するということをもとより続けなければならない。それから今通常国会でとくに保育所がより使いやすい制度になるようにという意味での児童福祉法の改正案も出させていただくということで、今までのフレームにつきましてはうまずたゆまずこれからも進めていくということにしておりますが、人口問題審議会におきましてこれから本格的にご議論いただきたいと。私どもといたしましては、2月中旬を目安にそれから幅の広いご議論をお願いしたい。すすめ方につきましては事務局、会長とよくご相談しながらさせていただきたいと思いますが、あるていどの頻度でこの問題をこの審議会でお取り扱いいただくということでお願い申し上げたいと思います。以上でございます。
宮澤会長 ありがとうございました。ただいまご説明いただきました今後のすすめ方につきましてご意見ございましたらお願いいたしたいと思います。資料5で(2)の人口問題審議会での検討が中核になりますが、同時にバックグラウンドとして(1)(3)(4)も背景におきながら審議会でも検討してみると、こういうことでございます。どうぞお願いいたします。 
  はい。どうぞ。
吉原会長
代理
今度の人口推計というのはいろんなところでたいへん大きな反響呼ぶと思うんですけれども、同時にこういった推計になりますと、今までのたとえば日本の経済が将来どうなるということは全て今までの人口推計を基にして言われているわけですね。ですから今度の新しい推計だって一体日本の経済はどうなるのか今もちょっとお話ありましたけれども、社会保障はどうなるのか。今非常に大きな議論になっています国民負担率がどうなるのかというような検討といいますか、作業というのはこの審議会の問題なのか、あるいはむしろ専門的に他の省庁なり他の審議会なりの問題としてこの審議会としてはそこまでやらなくて良いのかどうかというのが私自身も良く分からないんですけれども、少なくとも社会保障とか、国民負担率に与える影響というのは相当大きいと思いますので、それがあんまり年金がどうだ医療がどうだということになりますと、そう簡単に数字も出せないと思いますけれどもだいたいこういうことになるんだという大まかななんていいますかデザインといいますか、デッサンというのは私はできるだけ早く出していただいた方が良いんではないかというふうに思います。同時に経済が変わることによって社会保障が大きな影響を受けるわけですから、そういったことをある程これからのこの審議会で少子化対策を考えるといった場合の基礎的な判断材料としてそういうものを示して皆さんにご議論の対象にしていただくということが一つと。それからこれは別の問題なんですけれども、これからこの資料の中に入っておりますけれども、アメリカでもフランスでも将来2050年までの推計をしているそうですが、その場合に今までの数字というのは高齢化がどうなるかとか、そういう表面的な比較だけしか出ていないわけです消けれども、よその国は特に先進国を中心に出生率というものを将来どういうふうに推計しているのか、あるいは結婚率だとか、未婚率だとか、そういうものはいったいどういう前提で推計してアメリカとか、フランスだとか、ドイツの将来の人口推計はとういうふうになっているというところまで含めた比較みたいなものを出していただければありがたいと思います。
宮澤会長 ありがとうございました。何かありますか。
辻課長 一点よろしいでしょうか。それに関して。仰せのように社会保障にかかわる影響につきましてはなるべく早くというか、できるかぎり早く、年金の試算に若干時間を要します。それが一番大きな作業ですので、それを入れましてリバイスして早く報告させていただきたいと思います。それからもう一点、議論の幅でございますけれども、人口問題審議会は私どもがいうのも変でございますけれども、例えば経済企画庁、大蔵省、通産省といった経済官庁が全部幹事に入っておりまして、人口問題というのを社会保障だけではなくて、幅広く見るというのが前提の枠組みになっております。そういうことから今後どういうふうに政府全体取り組むかということはご議論があるとして、私どもの思いとしては各省とよく相談いたしましてこの審議会にこの新人口推計というものがどのように受け止められるかということを各省からも資料だしていただくというような、そんな形で枠組みを広げた議論をここでいちおういただいて、そういう中でいろんな波及が出ると思います。そのようなものを大きく議論していただいたらどうだろうと、いうふうに考えております。それから仰せの資料は極力早く提出させていただきたいと思います。
宮澤会長 どうぞ。
坂元委員 私からのお願いはこの人口問題審議会の役目についてご質問したいんですが、この前ちょっとうかがいましたところによりますと、国家メニューが出て、それとこちらで推計をしたものがどれだけマッチイングするかというのをやるのがこの場合の流儀であるということを聞いたんですが、今度の場合はいろいろな将来の人口の推計の中に後から社会経済条件を入れてやっておられますね。 
  実際にこれから少子化問題を考えていく場合にはむしろ後から追加されたようなものが実際に入った状況での推計が欲しいわけですね。この中にも若干触れてあるんですが、例えば年金とか、福祉であるとか、医療であるとか、そういったものがどのくらいのパーセンテージになるかということは書いてありますが、もう少し身近に感じられるような形の要素を入れるようにしていただけないだろうか。例えば医療等、私は医者ですからそういうことを言うんですが、保険の制度にしてもいろんなものにしても、どの程度なら国民が耐えられるとか、具体的にいえばですね。そういう問題を一遍審議会でも論じられるような形で入れていただければ。当然年金なんか上がっていくの分かりますし、そういったこと分かるんですが、将来として国家メニューとして福祉なり医療なりそのパーセンテージをどこまでもっていけば国民が納得してくれるのかというようなところを出していただきますと私は議論がしやすいなという感じがいたします。それから統計をとるときに一般の家庭のご婦人にとっても夫婦にとっても理想的な子どもの数というのはいつも出てくるんですが、何を条件にしてその理想の数を出しているのかということを知りたいんですね。これはまことにムード的に二人よりは三人の方が大さな社会ができて良いとか、そんなものではないと私は思うんですね。もう少しそのへんのところを突っ込んだような質問していただくと国民の本音が分かるんではないかなという気がいたします。 
  それだけお願いします。
宮澤会長 ありがとうございました。どうぞ。
八代委員 会長代理だったかと思いますが、質問されたこの新しい人口推計が出ることによって今の国民負担率等の議論がどう変わるかというお話なんですけれどもじつは私が参加していました経済審議会及び産業構造審議会ではすでに旧人口推計の低位推計の方を用いて将来の試算をしておりました。今回の新しい人口推計の中位推計は従来の低位推計にかなり近いものでありますからその意味でこの新しい人口推計が出たからといって大幅に今の国民負担率の予測が大きく変わるということではないということだけ一つ申し上げたいと思います。 
 それからもう一つは先ほどご説明ありました少子化問題の考え方であります。たしかに結婚や出産は個々人の問題だから強制するようなことはあってはならないというのはそのとおりであります。 
  しかし少子化問題の考え方というのはこれを社会的なひずみのひとつのあらわれとして考える必要があるのではないか。つまり本来であれば子どもを三人持ちたい人が二人しか持てない、あるいは一人しか持てないという状態であって、政府の介入というよりは政府の施策というのを本来あるべき姿に戻すんだというような形でアピールする必要があるんではないかと思います。そのために人口審議会ではどういう制度的な仕組みがそういう人々が子ども持つことを妨げているのかというのを徹底的にサーベイするといいますか、厚生省の施策も踏まえて、あるいは労働省等も踏まえて、そういうことをまた官庁ヒヤリング等を通じてやる必要があるのではないかと思います。とくに先ほど課長から保育所の使い方をより使いやすいものにするということですが、私はこれは非常にカギだと思います。先ほど少子化、出生率を回復させる手段があるとすればこれは保育所でありまして、経済的な説明でありますと、保育所の在所率というのはかなり出生率を上げるのに効果的な変数でございますので、このへんが少子化対策のカギではないかと思っております。以上です。
宮澤会長 ありがとうございました。どうぞ。
木村委員 私は女性として自分の周辺の女性の考え方が良く分かるんです。それをここで申し上げても非常に詮ないことなんですが、あえて申し上げるといたしますと、少子化を改善していくのはいろいろな施策ではとらえきれない問題があると思うんですね。たとえば、今自己犠牲とか、そういう子育てというのは多少なりとも自己犠牲が伴います。そういう自己犠牲とか、あるいは責任を果たすとか、あるいは個人主義よりは共同体という意識がもっと濃厚になってこないとならないと思うんですね今介護保険が完備されればされるほどそちらに頼ってという感じになる危険はあると思うんですね。自分は子どもを生むよりも他人の生んだ子どもで介護してもらおうという、そういう考えにならないとは限らないと思うんですね。それから今の女性は口を開くといかに子育てが大変だということを言っているけれども、その反面には子育てはいかに楽しいかということがあるんですが、それはあんまり口にしない。そういうような厚生省の政策では捉えきれないような要素が非常に大きくかかわっていると、それを政策に盛り込むというのは非常に大変だと思うので、申し上げても詮ないとは思いつつ、どこかでそういう国民的な意識改善みたいなことをやっていかなくてはならないんだと思うんです。
宮澤会長 はい。どうぞ。
岩淵委員 それに関連するんですけれども前に申し上げましたけれども、きちんとした調査をなさっていただきたいと思うんです。それにつきましては注文がありまして、20代後半の女性とか、実際に育児、それから仕事と両立させたりして、苦労なさっている人たちがいったいどう考えているのかという、そこをピンポイントでもうちょっときちっと分かるようなそういうデータが欲しい。なお言えば、結婚に踏み切れずにいる未婚者たちの意識もきちんと分かるように、ですから年齢的にいえば20代後半を中心とした意識をはっきり分かるようなデータが欲しいと、そういうふうに思います。それを反映させていけばかなり有効な手が打てるんじゃないかというふうに思います。以上です。
宮澤会長 ありがとうございました。どうぞ。
吉原会長
代理
それからもう一つさきほどのご説明聞いていて、感じましたのはご質問にもありましたけれども、将来結婚した場合に生む子どもの数があまり変わらないだろうと、過去も安定的に推移してきているから、将来もあまり変わらないだろうというご説明ございましたが、私は学問的といいますか、過去のトレンドからいうとそうかも知れませんが、今もご質問にも出ましたように子どもを生む、生まない。何人生もうかということはおそらく子育てにこれから楽しみが多いか、苦労が多いかどちらの方の考えるかということと、日本全体こういうことを仰っている人もいらっしゃいますけれども、日本の将来、未来というものを明るい展望がもてるかどうかというようなことが、あるいは高齢化がどんどん進んでいけば大変だなというそういう高齢化が進むにしたがって子どもを生むのを少し苦労が多いだろうからということで私はそういうことが影響してくるんではないかと思うんですね。ですからはっきり将来どうだという数字の上ではもちろん将来推計に織り込めないと思いますけれども、これからの政策を考える場合にはそういうような要素も十分考えた政策を考えないと私は少し政策に誤りといいますか、不十分といいますかね。そういう面も出てくるんではないかと思いますので、そのへんも皆さんのご議論を良くうかがった上で考えるべきではないかと思います。
宮澤会長 どうぞ。
山本委員 少子化対策の検討というの、これが重要であるということは良く分かるんですけれども、もう一つ審議会といたしまして、前々からときどきご意見がございましたいわゆるわが国人口の適正規模というもの、これをピッタリとこれだけだという必要はございませんけれども、この程度だということをひとつやはり十二分に検討していくべきではないかと。いつかは人口減少止めなければならない時期がくるはずでございますので、それに対するソフトランディングの方策ですね。これいろいろ政策があると思います。そういった政策といったものに対してこういったことをやればいったいどの程度まで出生率が上がるんだということを、これを適正人口になった瞬間にいざここのところで止めようと思ってもこれは無理な相談でございますので、逐次そのへんのところの検討というものも進めていく必要があるのではないかと。これは審議会固有の問題ではないかなというように私は思います。それだけちょっと申し上げておきます。
宮澤会長 どうぞ。
高山専門
委員
先ほどの説明で将来社会保障負担にかかわる負担がどうなるかということについてのご説明がありましたけれども、推計年次が2025年がターゲットになっているのですね。今までいろんなこういう試算25年というケースが多いんですが、今回の新しい人口推計はむしろ2050年までやって2025年と比べたら2050年はもっと厳しいですよという絵を描いたわけです。事実上。2025年でとめていろいろな議論をしていて良いのかという気がしないわけでもないわけですとりあえず過去との比較で2025年の数字を出していただくのは望ましいと思うんですけれども、実はこれで終わらないんだという絵があるはずなんですね。たとえば2050年とか、場合によってはもっと先でも良いんですが、とりあえず人口推計を2050年までやったんですから、数字もそれにあわせて2050年まで参考推計でも良いですから何かつけて、もう少しとりあえず2025年というのは団塊世代が年をとるということを念頭においた話なんですけれども、もっと先があるんですよという話をしないとミスリーディングではないかなという気がしないわけでもないですから、新しい人口推計の精神を尊重すれば2050年の数字も併せて出していただいた方が良いんではないか思います当然新しい枠組みを作らざるを得ませんので時間はかかると思いますけれども、そういうものを是非とも検討していただきたいと思います。
宮澤会長 ありがとうございました。はい。お願いいたします。
阿藤委員 これから少子化対策を考えるということきに私個人は三つの問題、とくに日本についてですね、考えていく必要があると思っております。一つは女性の社会進出にともなって、日本の社会全体を性別役割分業システムからいわゆる男女共同参画型の社会に転換を図っていくということ、これを一つ基本にすべきだろうというふうに考えております。その中で育児休業制度の問題とか、あるいは保育所の問題とか、そういう問題を考えていくということだと思います。第二点はミクロ、女性個人、あるいは夫婦が希望に反して子どもを二人しか持てないとか、あるいは結婚できないとか、そういう状況があり、それを何らかの手段で改善するということ以外、やはりマクロの視点というのが必要です。その点で子ども公共財仮説といいますか、子どもが社会にとっていろんな意味で必要だと。これは個々の夫婦や個人が何を望むかということと一応切り離して、マクロ的な問題として考えていく必要がある。そのときに育児の経済的負担というものを社会がどうカバーしていくかという観点が出てきます。その中で児童手当とか、あるいは年金制度と関係づけるとか、そういう問題が出てくるだろうということです。それから3番目に日本と諸外国と特に違うのは非常に未婚率が高い、同時に同棲が少ない、婚外子が少ないということですね。これは結婚が少ないということ以上に男女がパートナーと住んでいないという問題です。この問題はどうも先ほどの二つの問題とまったく別個の側面があるように思われます。
いったいどういう理由で日本がこれだけ若者がパートナー嫌いになっているのかというあたりはもう一つ別の問題として考えてみる必要があるのではないかと思います。いわゆる若者の性の問題とか、あるいは受験によるストレスの問題とか、非常に社会心理的な問題がありはしないかということを考えております。
宮澤会長 ありがとうございました。他にございましょうか。 
  いろいろたくさん問題がございますが、基本的な点は二つぐらい、いろいろな領域にまたがるとは思います。この審議会として一つは固有の問題として焦点づけをどこに求めるか。議論しはじめますと広がりを持ちますので、ポイントはどこか戦略的な焦点づけをどこにおくかということが議論を効率的に進める上からも必要ではないか。それからもう一つは基本的な考え方をどのように整えるか、これはいろいろな局面、経済・社会・文化・人類学・心理学の分野まで入るかも知れません。そういうさまざまな領域にまたがっておりますから、その中で基本的な視点としてどういう視点をとっていくか。先ほどらいろいろお話がございましたが、それをまとめてみますと基本的な視点をどう打ち立てるかということが一つと、それからこの問題広がりがありますので、その中で特に人口問題審議会として焦点的な問題点としてどこに力点を置いて効率的に議論を進めるか。その二つがどの程度早く共通認識として出てくるかによって、この審議会の進め方も変わってくると思いますので、そういう点につきましていろいろお知恵を拝借していきたいと思います。そういうことで今後開催の頻度も若干従来より多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。 
  次回の総会の日程につきましてはただいまの議論を事務局で十分踏まえ、調整していただきたいと思います。 
 他に何かございましょうか。よろしゅうございましょうか。 
 それでは時間ですので、本日はどうもありがとうございました。今日 はこれで閉会いたします。

問い合わせ先 厚生省大臣官房政策課
    担当 齋藤(内線2931)
    電話 (代)[現在ご利用いただけません]
       (直)03−3595−2159


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