00/04/07 生活環境審議会水道部会議事録         生活環境審議会水道部会        厚生省水道環境部水道整備課       生活環境審議会水道部会議事次第   日 時:平成12年4月7日(金)  10時00分〜11時50分   場 所:通産省別館944 会議室   議事次第     1.開 会     2.議 事      (1)水道に関する制度的検討について      (2)その他 ○藤田部会長  それでは、生活環境審議会の水道部会を開催いたしたいと思います。今日は、年初の お忙しい中を御出席くださいましてありがとうございます。  それでは、まず委員の出席状況からお願いします。 ○山本補佐  本日は既に13名の委員が御出席でございまして、生活審議会運営規定により本日の会 議は定足数に達しており成立しております。 ○藤田部会長  ありがとうございました。 それでは、議事に入る前に資料の確認をお願いします。 ○山本補佐  それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。 最初に、「生活環境審議会水道部会」と書いてある1枚紙から水道部会の座席表と名 簿のそれぞれ1枚紙がございまして、その後に配付資料一覧という1枚紙がございま す。水道に関する制度的検討についてに関連する配付資料といたしまして、資料1とい うことで冊子になっております「水道事業の運営に関する課題」というのが本日御審議 いただく資料でございます。その他の参考資料としまして1から7までございますが、 それは1冊の参考資料という冊子の方でまとめてとじさせていただいております。それ とは別に先生方のお手元には、メインテーブルだけですが、第1回(昨年11月)の水道 部会のときに配付した資料のうち、本日の議事に関連いたしまします「水道事業の運営 に関する課題」の部分を抜粋したものを配付させていただいております。 以上でございます。過不足等ありましたら事務局までお申し付けください。 ○藤田部会長  ありがとうございました。 それでは、本日の部会ですが、公開で行われます。  それでは、議事に入りたいと思います。最初は、資料1「水道事業の運営に関する課 題」でございますが、入江さんの方から。 ○入江水道整備課長 その前に前回、「水道法上の未規制水道及び簡易専用水道に関する課題について」と いうことで御議論いただきましたけれども、その議題につきましては、部会での御意見 を踏まえまして、事務局で今再整理してございます。それで次回御検討いただく予定で ございます。本日の大きなテーマでございます「水道事業の運営に関する課題」という ことで、事務局といたしまして論点を整理いたしましたので、今後の制度的な方向につ いて御議論いただきたいと思います。 それでは、事務局の方から説明させていただきます。 ○山本補佐  お手元の資料1に沿いまして御説明いたしたいと思います。 資料1「水道事業の運営に関する課題」というところで大きく5つに分けて整理させ ていただいております。最初は水道事業に関する課題ということで、事業に関連する課 題をこれまでにいろいろ御検討いただく中で資料を出させていただいたものもあります が、もう一度ここで再整理させていただいております。その課題を受けて水道事業とし てどういう取り組みが必要かというところで、事業の経営基盤の強化を図っていく必要 があるのではないかということがございますので、そのところについて2番目に整理さ せていただいております。その事業の経営基盤の強化というための手法として、ここで は大きく2つに分けてございまして、水道の広域化という部分と第三者の技術力、財政 力の活用という2つに分けておりまして、それぞれを章立てして整理させていただいて おります。最後にそれらをまとめまして、今後の水道事業の運営に関する論点というこ とで整理させていただいております。以上の構成に沿いまして御説明させていただきま す。  まず、最初のページをおめくりいただきまして、1ページ目「水道事業に関する課 題」ということでございます。最初の四角囲みの中にありますように、事業を取り巻く 課題といたしまして、ここでは水質管理の高度化、それから安定供給の確保、それから 計画的な施設更新というものを代表的な課題として取り上げさせていただいておりま す。 まず最初の「水質管理の高度化への対応」というところでございますが、その囲みの 下のところに表の1−1ということで、水道の水質基準等の項目について御紹介してお ります。この水質基準の項目につきましては平成4年に大幅な拡充がなされておりまし て、それ以前、水道の水質基準というのは26の項目でありましたのが、その当時の拡充 によりまして大幅に増えた。単に水質基準の項目が増えただけではなくて、この表にあ りますように、「おいしい水など、より質の高い水道水の供給のための目標」というこ とで、快適水質項目といったような項目、それから水質基準にするにはまだ至らないの ですが、水質基準に準じた監視をして把握しておくべき項目というものを監視項目とい うように位置づけまして、水質基準の予備軍というようなもので、こういった項目を新 たに導入しております。それとは別にゴルフ場使用農薬というものも、地域によってそ ういう汚染が懸念されるようなところについては必要に応じてモニタリングを実施すべ き項目として位置づけております。こういった項目、単純に項目の数だけを見まして も、現在118 の項目がございまして、こういったものを地域の実情に応じて適切に監視 しながら水道事業を運営していかなければいけないということで、水質管理という面で は水道事業に求められる水準が非常に高度化しているということがございます。 それから文章の中の2番目の段落にありますように、クリプトスポリジウムという病 原性微生物、塩素消毒によっても死なないというか、不活化しないような新しいこうい った病原性微生物の問題もありますし、それから内分泌性攪乱化学物質、いわゆる環境 ホルモンといったような新しい水質の問題というようなこともございます。そういった どんどん新しく出てくるような問題についても的確に対応していくということが求めら れておりまして、水道事業に求められる水準が非常に高くなっているということを課題 の最初として整理させていただいております。 それから2番目の課題でございますが、「安定した供給の確保」というところでござ いますが、これにつきましては、阪神・淡路大震災の教訓もございますので、そういっ た渇水、あるいは大地震といった災害時でも、ある程度のダメージは受けても、やはり 最低限のサービスを供給していくということは水道として求められるサービスでござい ますので、そういった面での施設を耐震化していったたり、配水池容量に余裕を持たせ たり、あるいは緊急時に給水拠点となるような部分を整備していく。そういった非常時 への備えといったものも水道事業として求められているということがございます。 それから次の2ページ目に移っていただきまして、「計画的な施設更新」ということ でございますが、かなり我が国の経済の高度成長期に急速に普及したこともございまし て、施設も老朽化が進んでいるという部分がありまして、今後相当計画的にきちんと更 新していかなければいけないということがございます。これら個々の事業者で見ると、 非常に大きな規模の投資がある時期に必要になってくるということでございます。 次の○に「財政上の課題」とありますが、今申し上げたようなことにきちんと取り組 んでいくためにはそれなりの予算の手当が必要なわけですが、こういった取り組みはい ずれも、その投資によって料金で得られる収入が増えるわけではない。料金による収入 というのは需要がもう頭打ちになっている中で、これ以上増えないという水道事業が大 部分でありますので、収入は増加しない中で、こういう大きな投資をしていかなければ いけないというのが財政上の大きな課題となっているということではないかと思いま す。 それから少し別の問題といたしまして、水道料金につきましても、よく言われますよ うに事業者間で大きな格差がある。最大で約10倍程度の格差が依然としてあるというこ とがございまして、同じ水道というサービスに対して、それだけ負担が違うということ に対する住民の不公平感というのが一つの課題としてあるではないかというふうに思っ ております。 以上が課題につきましてですが、次に、「水道事業の経営基盤の強化」ということ で、ちょっと申しわけございませんが、資料のミスで3ページ目が本来は4ページ目の 後にくるべきところなんですが、先に4ページをごらんいただきまして、4ページ目の 「水道事業の経営基盤の強化」、2番のところです。まず先ほどのような課題に対応し ていくということを考えた場合に、最初の○でありますように、特に中小の水道事業で 職員の確保でありますとか、必要な予算の確保といったような面で困難に直面している という現状にございます。  前の3ページを少しごらんいただきたいんですが、これを見ていただきますとわかり ますように、上の図が給水規模、給水人口の規模で分けたものが縦軸で、横軸に水道事 業としての数が上の図の2−1でございます。下の図の2−2 方は給水人口、実際に給 水している人口で整理したものでございます。これを見ていただいてわかるのは、給水 の規模としては非常に小さな水道事業が数としては圧倒的に多い。この図の2−1で見 ますと、1〜2万人程度の水道事業が全体の4分の1、あるいは5,000 人〜1万人未満 の水道事業が、これもまた全体の4分の1ということで、これだけで過半数を占めてい るというようなことで、給水人口の規模が非常に小さな水道事業が多いということがご ざいます。給水人口で見ますと、下の図にありますように、100 万人以上の大都市の水 道というのがかなりのウエートを占めているわけですが、事業の数については相当小さ な水道事業が多い。  4ページに戻っていただきまして、4ページの点線で四角で囲った中に書いてござい ますが、これは第1回目の水道部会のときにお出しした資料の考察なんですけれども、 大体事業の規模によらず、給水人口2,000 人程度に一人の職員が現状張りついていると いうのが水道事業の実態としてございます。そこから考えると、一つの事業で50人の職 員を雇用してやる体制を整えるためには、給水人口でいうと10万人ぐらいの給水をして いるような水道事業体でないと無理である。100 人の職員ということになりますと、20 万人程度の給水人口規模がないと維持できないというのが水道事業の現状としてござい ます。先ほどの図2ー1や図2ー2で見ますと、給水人口が10万人以上の規模というの は事業としてはわずかだと。そこの四角囲みの中で書いてありますように、事業体の数 でいくと約9割が50人の職員を擁することのできないような10万人未満の規模でしかな いという現状がございますし、給水人口でもかなりの部分をそういった水道事業がカ バーしているということで、かなり経営の基盤の弱い多数の水道事業に今は依存してい るという状況にございます。その下に書いてありますように、それ以外にもどんどん新 しい問題が出てきますので、そういったものについて迅速に対応していくということを していくためにも、やはり安定した経営基盤というのが不可欠ではないか。こういった ことを考えあわせると、結論として最後に書いてありますように、経営基盤の強化が急 務ではないかというふうにまとめてございます。  それで、そのための手法について、その次の○で整理させていただいておりますが、 大きく分けて2つの手法があるのではないかということです。  まず第1番目が広域化をしていく。要は水道事業を小さな単位でなくて、複数の市町 村という大きな単位でとらえていって、職員ですとか、広域化により基盤を共有する方 法というのが1つあるのではないか。2つ目は、第三者の技術力、財政力を活用すると いうことで、これは技術基盤、あるいは財政基盤のよりしっかりしている第三者の技術 力や財政力を使うという方法があるのではないかということでございます。これらの方 法を地域の実情に応じて適切に組み合わせていくということが現在水道事業に求められ ていることではないかということでございます。  その次のページでございますが、先ほど大きく2つに大きく分けられるという中で、 1つが水道の広域化ということでございましたので、水道の広域化について現状と今後 の方向性について整理させていただいております。  まず現状でございますが、広域化の形態というものを考えると、大きくここで3つに 区分させていただいておりますが、3つの形態があるのではないかということです。最 初のものは、施設と経営を合わせて一体化するような広域化ということで、これは従来 行われております広域水道のタイプでして、単独ではダム開発とかは困難ですので、共 同でその水源開発をして、同じ水源を持った市町村等が一緒になって水道事業を行うと いう形でございます。  それから2番目、そういった施設を一体化する部分はなくて、水道事業としての運転 管理を含めた経営の部分を一体的にやる。そういった広域化というのも形態としては考 えられる。ただ、これは従来は行われている形態ではございませんで、これは今後の方 向として後段で御提案させていただきたいと思っているものでございます。  それから3番目の事業の一部共同化による広域化ということで、そういう市町村単位 で複数市町村が一緒にやるというもの以外に、事業の一部を共有化していくというよう なスタイルもありまして、そこの下に書いてありますように、水道用水供給事業という ことで、取水の部分から浄水処理をする部分までを共同で行いまして、そこででき上が った水を水道事業が受水しまして、個別の水道事業を営む。その浄水場までの部分を共 同で行うというスタイルが水道用水供給事業ということでございます。 それらの現状をその次の○のところで整理してございます。表3ー1を見ていただき ますと、最初に申し上げた複数の市町村で施設と経営を一体化した水道事業というもの が、表にありますように、都道府県のそういった水道事業と一部事務組合をつくっての 水道事業、ここでは「企業団営」と書いてありますが、一部事務組合をつくっての水道 事業と大きく2つのタイプがございますけれども、合わせて84の事業で、市町村の数に しますと332 の市町村、それから実際に給水している人口でいうと2,000 万人を超え る、全体の20%弱、18%の給水をカバーしているわけですが、こういった広域水道によ って、この程度これまでに広域化が図られてきてございます。  それから先ほど申し上げた水道用水供給事業という浄水処理をするところまでの事業 で、それを水道事業に卸売する。こういったタイプの水道による広域化というものがこ れまで事業の数では全体で108 ございまして、市町村の数でいうと975 と、1,000 近い 市町村をカバーしてございます。給水量、こちらは直接住民に給水しているのではなく て、水道事業者に対して水を卸しておりますので、給水人口ということではなくて、水 の量で書いておりますが、これも全体の20%強をこういった水道用水供給事業という形 態で供給しているという現状がございます。 ここの文章の中で書いてありますように、2つ目の段落ですが、こういった施設を一 体化するハード面での広域化というのに対しまして、これまで厚生省としても、広域化 に対する政策的な補助ということで推進してきております。その補助の内容につきまし て整理したものが次のページの表3ー2、図3ー1でございます。補助のメニューとし てこういった3つのメニューがございまして、12年度の予算で見ますと500 億弱の予算 を擁しておりますが、これが下の図にありますように、昭和50年代あたりから本格的に こういったものに対する政策的な支援を進めてきているという状況でございます。  その次のページ、7ページを見ていただきますと、それによって実際にこういったタ イプの広域水道が事業としてどれだけ増えてきたか。これは事業の数で書いておりま す。さっき分類しました広域水道と、卸売をやっている水道用水供給事業の別、それか ら都道府県の経営なのか、企業団の経営なのかという4つの分類に分けて整理したもの ですが、グラフを見ておわかりいただくように、最近では事業の数としてはなかなか伸 びず、頭打ちの状態になっているというようなことでございます。  それで、5ページのところに戻っていただきますと、このような状況ですので、5 ページのところの2つ目の段落に書いてありますが、先ほども出てまいりましたけれど も、水需要自体が伸びておりませんので、今後こういう水源開発を軸とした、このタイ プの広域化というのは大きな進展は見込まれないものというふうに考えられます。  それで、今後どういった方向に進むべきかということなんですが、それが次の8ペー ジを開いていただきますと、8ページに「今後の方向」といたしまして、今後の広域化 の手法といたしまして、そこの3つの○を整理させていただいております。  まず大きく言えばソフト面での広域化、先ほどの広域化のタイプとして3つに分類し た中の2つ目に該当するものですが、ソフト面での広域化を図っていく。要は経営面で の広域化を図っていくということが考えられるのではないかということです。  ソフト面の広域化につきましてもタイプが2つに分かれるのかというふうに考えてお りまして、ソフト面で一体化するものについて事業そのものを統合してしまうという考 え方と、それぞれの事業がそのままで実質的に一元的に運転管理等をやるという形に持 っていくという、それを委託によって運転管理等一元的に実施するというようなやり方 が2つ目としてあるのではないかということでございます。  それからあと3番目といたしまして、施設を共同設置して、その施設を一体的に管理 していく。大きくそのような3つの手法に分かれるのではないかと考えております。言 葉で言ってもなかなかおわかりづらいと思いまして、具体的なケースとして、想定され る例というものを次のページから付けてございます。  次の9ページを見ていただきますと、先ほど申し上げた一番目の水道事業そのものを 統合していくという考え方がケースの1でございます。ここではa市、b町、c町とい う独立した3つの水道事業がある場合を想定しておりまして、これらの水道事業という のは、必ずしも水源が一緒なわけでもないし、それぞれが独立した施設で、独立した事 業を営んでいるというものでございます。それが職員を共有したり、財政基盤を共有し ていくという意味で事務組合を組織しまして、新しいA企業団とここでは名付けており ますが、企業団の水道事業として新しい事業としてやっていく。その際に、必ずしもこ こでは施設が一体化しているということは想定しておりませんで、まさにそれぞれの水 道事業の経営を一つの事業としてやっていく。そういう形態が一つは考えられるのでは ないかということでございます。  それからケースの2でございますが、ケースの2というのは、それぞれ個別の3つの 水道事業の、水道事業は残したままで、実際にはここの想定としましては、a市の水道 事業というのがしっかりした基盤を持った水道事業であって、b町とか、c町はなかな か技術的に困難に直面している。そういう意味で実際に技術的にきちんとできない部分 をa市の水道事業に委託していくということをケース2では想定しております。委託は するんですが、b町の水道事業、c町の水道事業というのはそれぞれ残っておりますの で、b町の人はb町の水道事業に対して水道料金を支払ってb町から水道の供給を受け るというスタイルは残るわけですが、実質的ないろんな技術的な業務などをa市が管理 を一体的にやるということでございます。  それからケースの3といたしまして、a市に委託するというのではなくて、abc3 つの市町の、例えば管理を一元的に行うような新しい法人として、市町村としてやる場 合には一部事務組合を新たにつくって、そこで管理を一元的にやっていく、別の法人を 組織しまして、別途そこでやっていく、そういう形態も考えられるだろうということ で、それをケース3として紹介しております。  以上のケース1からケース3が複数の市町村の水道事業がソフト面、管理面を一体と なってやるという意味での広域化のケースとして挙げております。  それから(2) といたしまして、先ほど申し上げた水道の卸売、水道用水を供給してい る事業の場合を考えておりまして、県営あるいは一部事務組合である企業団営の水道用 水供給事業がございまして、そこから水を供給してもらって、abc3つの水道事業が 運営されているという状況を想定しておりまして、ただ、abcそれぞれの市町の管理 についてはそれぞれの市町が責任を持ってやっているわけなんですが、その部分につい て一体的にやっていくという意味で、用水供給事業者に対してb町の水道、あるいはa 市の水道事業がそれぞれ管理の部分を委託していく。それを用水供給事業者が一まとめ にやっていくことによって効率的な実施を図るというものがケース4でございます。  それから次の10ページ目でございますが、「施設の共同設置、管理による事業の一部 共同化」というところでございます。これは先ほど課題のところで施設の計画的な更新 が必要となっているというようなことを申し上げましたが、施設としてかなり老朽化し ていて更新していかなければいかんというときに、個々の水道事業でやると大分高くつ く。隣接している市町で、例えば浄水場なんかを一体で整備をして、その管理も一体的 にやっていくというようなことをすれば、効率化が図られるということがございますの で、そういったケースを想定しているものです。それをケース5として、浄水場等の共 同設置して、それを具体的に管理していく。ただ、その場合、管理をだれが責任を持っ てやるかということなんです。水道事業として、ここのケース5の場合はb町、c町は 技術力のあるa市にその管理を委託して、a市が一体的に管理をしていくというものを 想定してございます。  それからケースの6としまして、そういった浄水場等を共同設置するというところを 引っくるめて、新しくそこは水道用水供給事業ということで別の事業として切り離して とられまして、この事業を別の法人が一元的にやっていくというようなスタイルも考え られるのではないかということでございます。ここで挙げましたケースというのはあく まで例示ということでございますので、これが網羅的にすべてのケースを想定している ものではございませんが、ある程度具体的なイメージとしてこのようなケースが想定さ れるのではないかということで提示させていただいております。  8ページに戻っていただきまして、では、ケース1から6に挙げたようなケースを考 える上で、現行水道法ではどういう問題があって、どういうことを検討していかなけれ ばいけないかというのがその下の3つの○でございます。まず最初にケースの1で考え たような市町村の事業を統合してしまうというスタイルなんですが、従来の水道法の運 用として、原則として施設が一体であるものを一つの水道事業というふうにとらえてお りまして、そういう事業の経営を一体的にやる。施設的には切り離されているけれど も、経営としては一体的にやるといったことのまとまりで水道事業を整理してございま せん。こういったことを進めていこうとすると、制度上の経営が一体的に行われるもの を水道事業として整理するんだと。そういう整理が必要になってくるということでござ います。  それから2番目の「運転管理等の委託について」ということなんですが、これについ て次の4のところでもう少し詳しく御説明したいと思いますけれども、今の水道法には 委託ということについて特段の規定が置かれてございませんので、基本的にすべての責 任は水道事業者側が負っているという仕組みになっております。ケースの2からケース の4で想定していたようなことをどこかで一元的にやっていく場合には、やっていく業 務について、そこの責任も含めて委託をしていくようなことが必要となっていますの で、そこら辺をやっていくためには、今、制度上定めのない委託についてきちんとルー ルを整理して、制度的な手当をすることが必要ではないかということでございます。  それから事業の一部共同化のところなんですが、ここも今の水道法では、水道事業と いうのは独立しておりまして、それぞれの水道事業が要は何かあった場合にはすぐに水 をとめて利用者の健康を守るという思想でやっておりますので、要は複数の水道事業者 が一緒に共同してものをつくって、共同で管理するといったようなスタイルは考えてお りません。というのは複数の人が管理していると、何かあったときに複数の人が判断す ることになって、そこの判断が異なる場合はどうするのか。そこは給水に対して一人の 人が一元的な責任を持つというのが今の水道法の体系ですので、そういった体系から今 共同設置、共同管理みたいなことをやろうとすると、どうしても物理的に、区分してつ くって区分して管理するというようなことが原則となってしまいますので、ここを一体 的にやるには、どちらかが相手の方にそこの責任も含めて委ねていくというような責任 分担がはっきりするような委託等の制度が必要になってくるということでございます。  以上が水道の広域化についての論点でございまして、次に11ページを見ていただきま すと、今申し上げたところでも結構出てきておるんですが、委託という意味で第三者の 技術力、財政力を活用するという点なんですけれども、先ほどのソフト面での広域化の ところでも出てきましたように、第三者の技術力、財政力を活用するということが、ソ フト面で広域化を進める上でも制度上の必要性があるのではないかということでござい ます。  最初(1) で「これまでの取り組み」のところで、まず第三者の技術力、財政力の活用 といったことに関して、現行どういう選択肢があるのかということを整理してありま す。選択肢としては、委託するのか、民営化するのかという大きく2つがある。委託と いうのは第三者の技術力、財政力を活用していくということなんですが、民営化という のは、自分がやらずに第三者がやるということになろうかと思います。民営化について はそこにありますように、現行の水道法においても、市町村の同意を得れば市町村以外 の人が経営することが可能ですので、制度的な選択肢としては民営化というのは既に存 在しております。それが次の12ページに、水道法の第6条を引用しておりますが、第6 条の2のところで、「水道事業は、原則として市町村が経営するものとし、市町村以外 の者は、給水しようとする区域をその区域に含む市町村の同意を得た場合に限り、水道 事業を経営することができるものとする」ということで、もちろん市町村経営の原則を 前提として、市町村の同意というものが必要ではありますが、今でも民間を含めた第三 者が水道事業を経営することはできるという状況になっております。ただ、11ページの 四角囲みの中にありますように、実際には公営の原則でから、全国の水道事業というの は基本的に市町村が経営しているというのが現状であります。 そういうことで、まず民営化については制度的には選択肢として存在しているという ことなので、委託について制度的に検討すべきではないかということがそれ以降なんで すが、委託につきましては、制度的な選択肢としては水道法は何も書いてございませ ん。水道法で責任がどういうふうになっているかというのを整理したのが次の段落でご ざいまして、水道法では、「水道の管理について技術上の業務を担当させるため、水道 技術管理者を一人置かなければならない」ということになっておりまして、技術管理者 の業務が、ページをくっていただきまして15ページの表4ー1というところに、水道事 業者の業務、あるいは水道技術管理者の業務というのを整理しているんですが、表4ー 1の水道事業者の業務のうち、○で書いてあります6個の業務が、これが水道技術管理 者の業務だというふうに水道法ではなっております。特にわかりやすいものは、一番下 の○で「人の健康害するおそれがある場合の給水の緊急停止」というのが水道技術管理 者の業務としてあるわけです。給水の緊急停止を行える責任者を水道法では一人置くと いうふうになっておりまして、この人が、何かあった場合にはきちんと給水を停止す る。責任を持って判断して給水を停止するというのが水道法の大きな前提としてあるわ けです。その水道の技術管理者というのは水道事業の管理者が任命しますので、水道事 業というのは、水道事業者が管理全体の責任を負っているということが今の制度上は言 えるわけです。ですから、こういう技術管理者の責任も含めた水道事業者の責任の部分 を第三者に委託することはできないというのが今の現行法の解釈でございます。  そういうことになっておりますので、11ページに戻っていただきますと、11ページの 最後の段落でありますように、こういった制度のもとですから、責任を含めた委託はで きませんけれども、ただ、業務の効率的実施とか、コスト縮減といったようなことか ら、そこに書いてありますような、業務の一部の委託は行われているというのが現状で ございます。 それから民間等への委託とは少し性格が異なるんですが、ほかの地方公共団体に委託 するというようなこともレアケースではあるんですが、行われておりまして、ここでは 東京都の多摩地区の水道での事務委託の例を御紹介してございます。  13ページでございますが、東京都の場合は東京都水道が末端の住民のところまで、給 水まで一元的にやっている。当初23区の水道を東京都の水道が見ていたわけですが、多 摩地区のエリアの市町から、そこのあたりも一元化してほしいという要望を受けまし て、東京都では水道の一元化を進めているということなんでございますが、最初の○の 中で書いてありますように、職員を当初は東京都に身分移管する予定だったんですが、 最終的には、職員はそれぞれの市町の職員のままにすることにしたものですから、水道 事業としては東京都水道に統合して、それぞれの多摩の市町の水道事業というのは廃止 するんですけれども、その実態としてのいろんな業務はそれぞれの市町の職員で引き続 きやってもらう。そのために東京都から多摩の市町にその部分の業務を事務委託すると いう形で委託が行われております。委託の内容が3つ目に書いておりますが、かなり包 括的な業務を委託している。ただ、これは構成している多摩の市なり町は、水道事業者 としてこういった業務をやっているのではなくて、あくまで水道事業者たる東京都から の委託を受け、、市町職員が水道の業務をやっているという形になっております。です から、先ほど説明したような水道事業者としての責任はすべて東京都が負うという形に なっております。  これによりまして、一元化で随分いろんな効果がそこに書いてあるように出ている反 面、まだ事務委託という形をとっておりますので、そこに挙げられているような課題が 残されているということで、東京都としては、事務委託も最終的には解消して、完全な 東京都水道の一元化ということをお考えになっているんですが、一つの手法としてこう いうやり方もあるというものの御紹介でございます。  次に14ページに移りまして、14ページの「今後の方向」というところでございます が、先ほど申し上げたように、委託について今の水道法では、そこの制度上の選択肢と してはっきりしていないということで、かなり限定的な業務委託にとどまっているとい う実態がございますので、ここを制度上の選択肢として整理していくことが有効なので はないかということを今後の方向として提示させていただいております。3で述べたよ うなソフト面の広域化の観点からも、こういったことが必要なのではないかということ でございます。  その際に検討すべき事項なんですが、先ほど申し上げたように、水道法上きちんと安 全な水を届けるための給水停止を含めたいろんな責任があるわけですけれども、そこに ついて水道事業者、委託を出す側と受託する側の責任分担を明確にしていくことが重要 ではないかと考えております。現行は、先ほど来言っているように制度上はすべて水道 事業者が責任を持っているんですが、特に中小の水道事業なんかでは、かなり包括的に 運転管理を委託しているような事例も見られて、実際に水道事業者が水道事業者として の責任を果たす上で必要な判断をきちんとやっていけるような責任体制になっているか というと、そこがかなり厳しくなっているというのが現状でございます。ですから、そ このあたりは制度上どちらに責任があるかというのを明確にした上で、委託ができるよ うな制度が必要ではないかというのが最初の検討事項でございます。  それから委託の範囲でございますが、先ほど見ていただいた表4ー1のように、いろ いろ水道法上に水道事業者、あるいは水道技術管理者が業務を持っておりますので、そ ういったものに即してどういう範囲で委託を考えていくのかというのを整理するのが必 要と考えております。ただ、特に中小の水道事業者では、技術基盤が弱いということで 非常に困難に直面しておりますので、先ほど見ていただきました水道技術管理者が担っ ているような技術上の業務というのをある程度包括的に委託できるような整理が必要で はないかというふうに考えております。  それからさらに、海外で実際に行われている委託の範囲というものを考えた場合に、 いわゆる施設の運転管理全体を委託するようなオペレーション・アンド・メンテナンス の方式から、それにさらに経営までを含めて施設だけ公設で、あとで経営全体は民間が やるというような公設民営方式というもの。さらに資金の調達とか、施設の建設といっ たトンカチの部分までやるようなBOT方式等もございますので、我が国の水道事業の 実情を踏まえて範囲を検討していくということが必要と考えております。  それで、あとは委託を受ける受託者ですが、受託者につきましては、一番考えられる のが基盤のしっかりした水道事業者ということで、市町村等ということになるんです が、それ以外にも水道事業者の出資しているような公社等の法人、あるいは民間の受託 会社といったものが想定されますが、それぞれ法人の性格によっていろいろ求められる 基準も違ってくると考えられますので、そこらあたりを整理していく必要があると考え ております。ただ、水道事業者が市町村ですから、市町村が委託という行為をやるとき には、当然市町村としての地方自治法、あるいは地方公営企業法という規制が適用にな りますので、そこには十分留意をして制度を整理していく必要があるということでござ います。  関連する主な規定として、次の15ページの下のところに地方自治法の事務委託に関す る規定というものと16ページに公の施設の管理委託に関する規定を紹介してあります。 15ページの地方自治法の事務委託に関する規定は、先ほど御紹介した東京都における事 務委託を行った事例というのを御紹介しましたが、その根拠となっている規定でござい ます。地方公共団体間の委託というのは、このように協議によって規約を定めることに よって委託はできる。特に自治法上は、管理の責任も含めた委託というのが可能なわけ ですが、むしろ水道法上で管理の責任まで伴うような委託はできないというふうに整理 がされているところです。 次のページ、16ページですが、地方自治法におきまして、地方公共団体以外の人に管 理を委託する場合の規定といたしまして、公の施設の管理の委託に関する規定がござい ます。水道も含めまして、上下水道でありますとか、道路、公園といったようなもの は、みな自治法上でいう公の施設というものに該当することとなるわけですが、その管 理を委託する場合に、その下の244 条の2に書いてありますように、公共団体が出資し ている法人でありますとか、公共団体あるいは公共的団体といったような公共的な団体 に委託することができるということで、ここで言っているような管理の委託について は、純粋な民間会社に対してできないというのが今の自治法上の規定でございます。 次の17ページにまいりまして、今後の水道事業の運営に関する論点ということで、先 ほど3あるいは4で整理したことを一まとめにさせていただいております。17ページの ゴシック体で書いてある部分に、水道基本問題検討会報告での提言というものを挙げさ せていただいておりますが、水道基本問題検討会の中では、最初のポツで書いてありま すように、多様な形態による水道の広域化を進めることが重要だということが1点言わ れております。それから2番目のところに書いてありますように、最後の行にあります が、適切な委託のための制度的枠組みについて検討する必要があるというふうな御提言 をいただいております。  まず最初の多様な形態による水道の広域化に関しましては、今後の力を入れていく部 分としては、ソフト面、経営面の一体化を進める方向で広域化、あるいは事業の一部共 同化といったものを進めるべきではないかというのが論点の一つでございます。そのた めに、事業経営が一体的に行われる。要は経営というくくり方で水道事業を整理してい くことが適当ではないかというのが最初の論点でございます。  それから第三者への委託につきましては、ここに書いてありますように、今、委託と いうのが水道法上制度化されていないということから、水道事業者としては、委託する 場合にはかなり限定的な縛りのかかった委託にとどまっている。ここは水道事業者の選 択肢をできるだけ広げていくという意味で、第三者の委託についてもきちんと制度的な 枠組みを整備すべきではないでしょうかというものを論点としております。当然その際 には、水道水の安全で安定した供給というのが大変重要ですので、そこでの責任分担と いうのをきちんと決めていく必要があるということでございます。  最後に、そういった選択肢なりを用意しても、なかなか中小の水道事業がいい方向に いくというふうにはなかなかならないだろうということで、ここでは、国としていろい ろ技術的に導入を促していく、うまく使っていただけるようなガイドラインをつくって いくような支援が必要ではないかということと、それからそういうふうにソフト面で広 域化を図っていくというようなことをやる場合に、それのインセンティブとなるような 国庫補助等の財政支援というものを検討すべきではないかということを論点として挙げ させていただいております。  少々長くなりましたが、以上でございます。 ○藤田部会長  どうもありがとうございました。  ただいま水道事業の運営に関する課題とその論点について御説明がありましたけれど も、何か御意見ございますでしょうか。 ○吉澤委員  大変結構な御提案だと思うんですが、これは経営ということを主盤として考えられて いるように思われます。だけれども、やはり水は直接人が飲んで、すぐに危ないことに なりますので、それをどうやって担保したらいいのか。これは責任分担を明確にするべ きだと、だれがどうやってするのでしょうか。  それからこれは日々のことなんですね。ですから、確かに経営的には民間に委託して どんどん経済的にやる。これはいいことだと思います。そのときに、親方日の丸ではな くなってしまいますので、どこまでそれが歯止めがきくかという問題があります。した がいまして、抽象的に責任分担を明確にすることといっても、ルールをつくりまして も、それを何か守ることができるような、言ってみれば第三者の監視的な意味がないと いけないのではないか、そう思います。これはほかの大きな例でありましたけれども、 そういう普通の人たちの信頼を危うくするようなことになったら最後ですので、そうい った意味では少し金がかかるかもしれない、それから急がば回れになるかもしれないけ れども、やはりみんなが信頼できるような形の体制というものをつくっておく必要があ る。そんな感じを持っています。 ○藤田部会長  ありがとうございました。  何かございますか。 ○安藤委員  今の吉澤先生のお話とちょっと似たところがあるんですが、いわゆる最初のお話のス タートというのは、水道事業に関する課題というところで水質管理の高度化の対応があ ります。それから安定供給、計画的な施設というお話で、その具体的な問題として広域 的、そういうことでいくことになる。私はもう一歩進めるということでよろしいかと思 うんですが、いわゆる水質の問題で先ほどお話の中で水道事業者がいて、具体的な問題 については水道技術管理者が行いますよと、こういうふうになっている。じゃ、水質管 理ということについては委託も構わない。そこでは責任分担をしなさいよと。責任分担 も結構ですが、責任能力というものはそこはどうなんだろう。そこが吉澤先生とオー バーラップする部分と、ちょっと違うところがあるかもしれませんが、責任の、つまり 技術管理者というものはどういう資格なんでしょうか。 ○藤田部会長  御質問に対するお答えを何か。 ○山本補佐  御質問に対するお答えをいたしたいと思います。  1つには、まずソフト面での広域化を進めていく。そのときに、第三者への委託とい ったことを制度的にとらえていく必要があるということで整理させていただいておりま すが、まず委託の対象としては、先ほど申し上げたように、現行ではしっかりした基盤 を持っている水道事業者というのがまず第一に挙げられるものでございまして、そこを どんどん民間に委託していくべきだということで整理している考えはございません。た だ、確かにおっしゃるように、今回御提示させていただいたものがまだ責任分担を明確 にするといったような抽象的な表現にとどまっておりまして、じゃ、具体的にどうする のかといったようなところがきちんと整理できてございませんので、いろいろ御懸念も あろうかと思いますが、そこについてはきちんと今後詰めていって、もう少し具体的な 委託の際の基準なり、受託者の資格といったものを提示する中で御説明していきたいと 考えております。ルールは結構だけれども、それをきちんと守るような体制が大切だと おっしゃったのはまさるおっしゃるとおりだというふうに考えますので、そこを利用者 側の信頼を損なうようなことになってもいかんというのも、それもまさにおっしゃると おりですので、そこをいかに担保しながら、きちんとしたルールを、要は法律、制度上 のルールとしてきちんと位置づけでいくか、その中に安藤委員から御指摘があったよう な水質管理に関する責任分担、あるいは責任能力といったものをどう考えるのかという ことですが、責任能力の部分については、受託者の資格というのをどういうふうに考え ていくのかというのが一つあると思いますので、そういった中で整理させていただきた いと考えております。  それから技術管理者に関連して水質管理といったものを業務としてどうとらえていく のかというのは、別途私どもの水質管理専門委員会の中でもいろいろと御議論いただき まして、いろんな御指摘を受けているところですので、そこもあわせてきちんと個々の 委託といったものを考える際に整理させていただきたいというふうに考えております。 ○藤田部会長  はい、どうぞ。 ○竹居委員 ちょっと教えていただきたいんですけれども、水道法の規定で水道技術管理者につい て、これは12ページに書いてありまして、第19条の2で「次に掲げる事項に関する事務 に従事し、及びこれらの事務に従事する他の職員を監督しなければならない」という規 定があるんですが、これの水道技術管理者が遵守しなければならない事務、これをきち んとやったかどうかをチェックする何かが、そういう第三者的な意味でのチェックをす る何者かがあるんでしょうか。 ○山本補佐  基本的には水道事業については、今地方分権にもなりましたので、厚生大臣、あるい は都道府県知事が監督することになりますので、それは施設の規模に応じて監督する。 これは水道技術管理者の責務でございますから、それをきちんと果たしているかどうか というのは、大きな規模の水道事業者であれば厚生大臣が監督するという仕組みになっ てございます。これまでは都道府県が実務上は水道事業に対する指導監督というような ことでやっておりまして、その中でやられてきているということでございます。 ○竹居委員 実際にやっているんですか。 ○山本補佐  それが百点満点と言えるかどうかわかりませんが、制度上そうなっておりますし、実 務上として、そういうことで努めているということでございます。 ○竹居委員 具体的に都道府県はどういうふうにやっているんですか。 ○入江水道整備課長  立入り検査とか、報告徴収ということで都道府県が水道事業者を指導をしながら、そ の中でこういう業務についてきちんとやっているかどうかというのをチェックするとい うようなことをやっているというふうに考えております。 ○竹居委員 ということは、仮に民間に委託するような形であっても、今おっしゃったような立入 り検査とか、報告徴収というものは当然そこに及ぶというふうに考えてよろしいんでし ょうか。 ○山本補佐  そういうことでございます。 ○林委員  広域化についてひとつ教えてください。先ほど我が国では広域化が遅れているという ことでしたけれども、広域化の技術的な問題についてのお話は先ほどの御説明でよく理 解できたんですけれども、ひとつ基本的なことをお伺いしたいんですけれども、我が国 で広域化が遅れたということに何か特定の理由、あるいは歴史的背景でもあったのかど うか。そしてこれから広域化を実施しようとするときに、そのときの問題、それが広域 化を阻害するようなことはないかというようなこと、もしありましたら教えていただき たいと思います。 ○山本補佐  広域化が進んでいるか遅れているかということについては議論が分かれるところかと 思いますが、一つには、これまでも広域化というものの視点がもともと市町村単位での 経営というのが原則にありましたので、市町村のエリアの中で良好な水源があって、独 立して事業が営めれば、そこは特に広域化を何が何でもやらなければいけないという必 要性は全然ないわけなんですが、ただ、日本の場合かなり水道の水源を川の水に依存し ている。特に水道の場合、遅れて出てきたものですから、自流で既に流れている水をそ のまま取るということが許されないで、結局はダムをつくって水資源開発をしながらや っていくということが必要なのですが、そこに莫大なお金がかかってくるということ で、どうしてもそこは市町村単独でできないということで広域化してきている。水源開 発を共同でやるといういった意味での広域化をこれまで進めてきたという経緯がござい ます。  市町村で、例えば地下水なんかで良好な水源があるとか、そういったことについて は、特段広域化しなくてもこれまではやってこれたというのが現実ではないかと思いま す。ただ、先ほど申し上げたように、水道の水質管理にしても、いろいろ難しい問題が どんどん出てきて、地下水でも良好な水源が必ずしも得られるわけでもなくなってきて いるところもありますので、そういう意味ではしていく必要があるんですが、ただ、そ れは水源を今までのように一緒にもって、全部ハードで水が融通できるような形での施 設の一体化ということではなくて、個々に持っている施設の運転管理だとか、技術職員 を共有したりとかいったようなソフト面での広域化というのが方向としては望ましいの ではないかということなんですが。 ○藤田部会長  特に関係の深い川北委員、何かございましょうか。 ○川北委員  特にありませんけれども、今お答えになったような経過で市町村の単位で水道という のは、その町の人の住んでいるところに水道ができるわけですから、それはその自治体 が責任を持ってやりなさいということから始まったかなと思います。ここに書いてある ことと同じなんですが、今いろんな問題が出てきているので、もう少し共同でやったら どうか。経営の選択肢が多様化されるのは結構だと私は考えています。経営が多様化す ることと同時に、これを補完するものとして、例えば利根川系でいってみますと、水質 の情報を水道事業体ごとにいろいろ情報交換したりしていますけれども、今後水質検査 一つやるにしても小さな事業体ではなかなかできなくなってきているのが現状ではない か。あとは、事業体が必要に応じ選択しながら、これからの時代に対応していくのがい いのかなと思います。 ○藤田部会長  ありがとうございました。  どうぞ。 ○吉澤委員  一番キーポイントになるのは水質検査、さっき安藤委員がおっしゃいましたけれど も、それはかなり高度の技術になってきて、やる人自体はそれなりの能力がないといけ ないわけです。その辺をもし民間経営かなにか、とにかくフリーハンドになってしまう となるべく安く上げるということになりますと大変困るわけですね。そういった意味で の水道技術管理者は施設の下位にありますので、必ずしも自分の思ったとおりに言えな いかもしれない。そういうことがございます。ですから、やはり水道に関係ない部局 が、これに対するチェックができるようにしておく必要があると思うんです。ですか ら、本当は水道技術管理者が水道事業者の中でいてそれをやっているというのはおかし いわけです。何かあって隠したときには、どこかの署のごとくなってしまいますので、 急がば回れだけれども、今の業務の縮小ということに反するかもしれないけれども、こ れはものの安全に関することですから手抜きをしていけないのではないか、そう思いま す。 ○荒井水道水質管理官  水質検査の関係について少し御説明をさせていただきたいと思います。水道法上、受 託規定はほとんどないんですけれども、実は水質検査の実施だけは若干例外がございま して、水道事業者が供給する水の水質の検査をやるというのが基本的な原則ではござい ますが、今46項目検査をやらなければいけない項目がございまして、それができない場 合がございます。そのような場合につきましては、地方公共団体の機関あるいは厚生大 臣が指定する一定の資格を持った検査機関というのがございまして、そちらの方が実際 には検査することができるということになっております。当然今御指摘にありました出 てきた結果について、だれが責任をもって対応していくのかということでございますけ れども、今の場合は委託のデータというものをもとに水道技術管理者が評価して、全体 の事業を監督する立場にある水道事業者が対応をとっていくという仕組みになってござ います。したがいまして、水質に関係ある部分については、一応今の場合でも、外部の 技術あるいは機器というのを使う仕組みがある程度はできてございます。今後実際に水 質管理が非常に問題になってまいりますので、実際に合理的な、あるいは効率的な水質 管理をどうやっていくべきかというのは、実はこの部会の下にございます水質管理専門 委員会の方で今細かく検討していただいてございまして、2月、3月にもそれぞれ1回 ずつ検討していただきまして、大体方向を出していただいたところでございます。専門 委員会座長のもとで現在御検討をいただいております。今大体まとまったところでござ いますので、その中身については次回に報告をさせていただきたいと思っております。  それから具体的に、もし水質検査で実際に問題があるような結果が出てきた場合、ど ういう対応がされるかということでございますが、基本的には今申し上げましたよう に、水道が対応していくわけでございますが、あと、いわゆる監査みたいなことでござ いますけれども、これも水道法上の規定によりますと、先ほど山本補佐の方から御説明 申し上げましたとおり、立入り検査とか、あるいは報告徴集ということで、厚生大臣あ るいは都道府県知事が実際に立入り検査なりをやりまして、問題がある場合には罰則を かけることもできるということになっております。 ○藤田部会長  はい、どうぞ。 ○小林委員  今回、水道事業に関する課題をずっと見ていきますと、どうしても検査項目が増える とか、安全ということについて改善を図ろうというのはわかるんですが、それをやって いくと、どうしても最終的には水の料金が上がってくるという形になってくるのではな いか。料金の格差是正のことは書いてあったんだけれども、全体として水道料金が上が っていくということに対して、私はこういう改革をやっていくのはいいんだけれども、 もう一歩下げるという概念を持っていないと、私は最終的には水の事業というのはどこ かで困ってくるのではないかという気がするので、ここの中に委託の話が出てきました けれども、委託に関してちょっと聞きたいんですが、実は今回この資料の中で規制緩和 という言葉が一つも入っていないんですけれども、今回は規制緩和ということの関連を 持って検討をされていくおつもりなのか、その辺はどう考えていくか。逆に言うと、な くても我々の方で規制緩和ということを考えて、安全な水だけれども、なおかつ価格は 上がらない。少なくとも下げるということは難しいけれども、上がらないような仕組み をもう一方で考えていかないと、国民が高くなっては使わないのでは、またこれも意味 がなくなってしまうので、その辺のところは少し心配をしているので、ちょっと規制緩 和との関連だけをお答えいただいて、今後の議論で少し配慮していただければと思いま す。 ○山本補佐  規制緩和につきまして、社会全体としての流れでございまして、これまで給水装置の 部分の規制緩和ですとかいろいろ制度改正もやってきております。今般、昨年度末に水 道についての施設基準というのを性能基準として定めたというものも、1つは、規制緩 和という流れの中で水道事業者がいろんな技術を自由な発想で選択していけるようにと いうことを考えてのものであります。ただ、本日お諮りしているような内容につきまし ては、むしろ水道事業者がきちんとした水道事業者に求められる責任を果たしながら、 いかにうまく経営をやっていくか。そのときの選択肢をもう少し広げていくような制度 上の手当が必要ではないかということで直接規制緩和ということを念頭に置いているわ けではございません。 ○藤田部会長  佐藤委員どうぞ。 ○佐藤委員  基本的なことを含めて少しお尋ねしておきたいと思いますが、自治体の現場で私ども 働いておるんですが、1つは、事業体が独立採算制になっておるがゆえに、言うなら一 般財政からの持ち出しが極めて厳しくなる。その中における状況ですから、水道事業と して非常に厳しいという実態が生まれている。しかも、定数削減などがあるゆえに非常 に厳しく、先ほどの検査項目などがこれだけ増えるということになると。先ほども説明 をされたように、七、八〇%が10万人以下の、しかも20人以下ぐらいな事業体であるが ゆえに新たな検査項目が出る、あるいは検査項目を逆に幾つかのところで受け入れると しても大変な経費がかかるという、こういう事態があるわけでありまして、したがっ て、その意味から独立採算制というのを少し全体的な、今水道料金の話がありましたけ れども、どうあるべきかということは考える一つの材料にしてほしいというふうに思う んです。  そのことを通じて少し申し上げると、先ほどの検査項目だとかが増えたという状況で すから、少なくとも地方分権で、市町村だというふうに委譲の形がとられることが随分 出てくるだろうと思うんですが、先ほどから議論されているように、広域的だとか、あ るいは共同体みたいな形でするとすれば、財政的だとか、交付金だとかが一体どういう 形になっているのか、あるいは今後あるべきかを一緒に検討してほしいと、こういうふ うに思うんです。  もう1つは、検査費用と水道料金との関係です。本来、水道料金の中には検査費用が 入ってしかるべきだと思いますが、しかし、共同受水槽などがあるがゆえに、管理者あ るいは設置者で本来電気料だとか、施設費用と同じような見方をしてしかるべきではな いだろうかというふうに思っていますが、これについての御見解、御検討の状況があれ ば教えていただきたいというふうに思います。  それから先ほどどなたか責任能力の形がありましたが、広域化あるいは規制緩和、あ るいは民間委託みたいな形でもし進むとすれば、その責任能力の所在が非常に問われる だろうと思います。少なくともこの事業体では設置責任者から管理責任者、そして運営 責任者という形がありますから、それぞれの責任を明確にするということはあるにして も、責任能力は全体的に問われるだろうと思うんです。これは地方分権だからといった 形で地方自治体で設置、あるいは管理が問われるということになりますと、これだけの 項目があるがゆえに、よほどしっかりした体制をとらないと大変ではないだろうかとい うふうに思います。その意味からすれば上下水道を一体的に考え、そしてその段階から 公的な責任をどこで持つのかということもきちんとしておかないと、いわゆる責任能力 といいますか、そういうところがあやふやになるのではないだろうかというふうに思い ますから、ぜひ検討のときには、そのこともひとつ検討していただきたいと、こういう ふうに思います。 ○山本補佐  基本的にはいろいろ御指摘を踏まえ検討していきたいというふうに考えておりますが ちょっと独立採算制の関係は水道基本問題検討会の中でも約1年間検討の中で相当議論 された経緯がございまして、原則論としてはやはり維持していくべきだろうと。ただ、 いろんな意味の支援なり、考えるべきところは考えていかなければいけないという整理 になっておりますので、私どもとしては、そういう原則の中でどういった支援ができる のかというのを考えていきたいというふうに考えております。  特に責任の所在、責任能力が問われるというようなお話はおっしゃるとおりで、特に 地方分権なり、水道事業者の自己責任ということで、今の全体の流れとして、それぞれ の責任をきちんと果たしていく。責任の所在を明らかにして果たしていくというのが時 代の流れですので、その中でも、今回の委託をきちんとした制度として位置づけようと いうのは、まさに責任の所在をいかにはっきりさせていくかということを念頭において おりますので、御意見を踏まえながら、そのあたりの整理は考えていきたいというふう に考えております。  それから簡易専用水道の検査のお話にも触れられましたけれども、その点につきまし ては御意見を承って、前回もいろいろ部会で御議論いただいた内容を整理して、次回ま た御審議いただく予定にしておりますので、その中で御説明させていただきたいという ふうに思っております。 ○入江水道整備課長  今の補足をしたいと思います。責任能力の所在を明らかにするという点について、先 ほど委員の方からも、そのあたりを安藤委員から御質問ございましたが、これまでの説 明の中で、例えばケース1から6までの図がございましたけれども、その中でケース2 とか、ケース3、委託というところがございますが、水道事業という形で残っておりま す。これは、委託するのは技術的なところについての包括的な委託もできるということ なんですが、水道事業者としての責任、それは残しておるということです。最終的な責 任は水道事業者としての責任は残したままで、技術的なところについては委託するとい うような考え方で整理をしておるわけでございますが、そういう面では、水道事業者と しての市町村の責任というのは従来どおりのところを維持していくのかなということで 一応資料をつくっているはずでございますが、今後この部分につきましては、委託者の 資格とか、委託の基準とか、そういったものについては、きちんとしていかないといけ ないということがございますので、そのあたりにつきまして、今後とも御意見等をいた だきいというふうに思っております。 ○藤田部会長  どうぞ。 ○甲斐委員  ちょっと根本的なことでずれてしまうかなと思うんですけれども、水源自体の、きれ いな水を供給しなければならないということで努力していただいてきたことはわかるん ですけれども、私どもとしては、水源自体の汚れに対してどういう手を打つか。水源の 問題に対してどういう手を打つかというのは、環境庁やなんかと御一緒にやっていただ かなければならない点だとは思いますけれども、水源の乱開発とか、ゴルフ場の問題と かいろいろありまして、水源自体が汚れて、私どもは安心して飲める水が供給されてい ると思うけれども、どういう手立て、どういうふうに濁ってきたか、汚れてきたかとい う現実を余り知っていないわけですね。各地の差というのは、そういう開発とか、いろ んな意味の差もあるし、それから受ける人数が少ないから独立採算制だから価格に差が あるとかありますけれども、まず全体としての原水が汚れたら幾らでもお金がかかるわ けですし、これから自然と雨が降らなければ濃縮されてしまうからまた大変なんだろう というような、化学物質の問題ではそういう危惧もありますし、すべてを網羅して考え ていかなければならない。水源自体の保護の問題というのは、国がちゃんとやっていた だかなければならない問題だと思うし、今までの規制緩和の中でよくなる部分が随分あ ると思います。ですけれども、安全に関してだけは私どもは自然強化をお願いしたいと 思うもので、ちょっと詳しいところがわからないんですけれども、方向としては大変結 構ですけれども、事業者はメリットがないことはできないということになりますと、値 上げになるときには安全との対比で、安全が担保されるのだったら、説明があって、ど うしてもこうこうこうなんだということは説明されればいいんですけれども、今まで何 だかわけがわけらないで飲んでいるという感じが、私ども勉強不足かもしれませんけれ ども、そういう感じがしますので、情報の開示をよろしくお願いします。 ○藤田部会長 何か今のお話におありになりますか。 ○入江水道整備課長  水道事業者といいますか、水道の立場ですと、水源を確保して、その水をいかにきれ いして皆さんに安心できる水を飲んでいただくかということについて、いろいろ自衛的 なところに偏りがちでございまして、水源そのものをきれいにしてほしいというような ところは十分じゃないというところもありますが、ただ、水道法の中にも43条というの がございまして、これは水源の汚濁防止のための要請というようなことで、水道事業者 からもいろいろ要請をしていくという手段もございますし、水道原水法というのもござ いますが、ただ、これではまだ不十分だというところも私ども自覚しておりますので、 いろいろ検討はしていきたいというふうに思っております。 ○山本補佐  それから御指摘のありました情報の開示が大切だというのはまさにおっしゃるとおり でして、ここは基本問題検討会の中でも相当強調された点でございます。御指摘がある ように、水道事業者がどういうことをやって、この水が供給されているのかというのが 必ずしもはっきり利用者の側から見てわかりやすい形で提示されていないというような 問題もございますので、先ほど荒井管理官から説明させていただいた水質管理の問題に ついても、これからはきちんとした計画をつくって、どういった項目をどういう頻度で 測る。その測る意味は何なんだ。その結果について、これは水源がどういう状態になっ ているということを意味しているのかということも含めて、きちんと評価したものを、 水道事業者としてももって、かつ利用者に対しても公開していくと、そういう仕組みが あって、そこで利用者からのいろんなフィードバックも得ながらいいものにしていくと いうことが大事ではないかというようなことを御議論いただいておりますので、水質だ けじゃなくて、水道事業全体についても、これからもっともっと情報開示というか、わ かりやすい形での情報開示が必要でして、それは先ほど事業者に対する監督の話もあり ましたが、単に監督官庁として目を光らせているということだけじゃなくて、利用者全 体が水道事業者が何をしているのかというのをきちんと理解して見ていくというような 仕組みができるように、この制度的検討の中でも第1回目のときに、情報の公開につい てアメリカの先進的な例でありますとか、御紹介させていただきましたので、そういっ た側面も含んで今後の取りまとめをさせていただきたいというふうに考えております。 ○川北委員  さっき申し上げたことと少しは関係するんですけれども、水道事業者の中、水道界と いうんでしょうか、その中でも、広域化を進めていかなければならないというようなこ とも云われており、そういうようなことをしていかなければ、この1ページで書いてあ りますような課題の要請に応じられないのではないかというような議論もあります。ま た、さっき林先生がおっしゃった何で広域化が進んでこなかったかというようなことと も関係しますけれども、事業体はそれぞれ独立採算制でやっていますし、事業体ごとに 一般会計との係わり方だとか、いろんな状況の異なった経営をしています。広域化をし たときに、少なくとも関係の事業体すべてにとって料金なり、給水サービス、それから 将来に対する安全性、そういうようなものがよくなるということがわからない限り、高 い料金のところと、低い料金のところを広域化して、低い水道料金の方が高くなっただ けでは困るということで広域化が進んでこなかったのが現状ではないかと思います。そ れらの将来のいろんなことが関係者にとっていいというような気運が出てくる必要があ る。例えば経営基盤が弱いところでは強くなって、強いところでは経営基盤がさらに強 くなると、それらの資金を使って安全性の向上の方針だとかできますので。そんなよう な気運が見えてくれば結構進むのではないか。ただ広域化によって生ずる一時的な不均 衡というのでしょうか、さっき佐藤委員もおっしゃっていましたが、何らかの補助的な 手助けをするようなものが事業体としてはほしい。そういうようなことがきっかけにな ればいいなと思っております。 ○藤田部会長  どうぞ。 ○竹居委員 皆さんの御意見を伺っていて感想も含めて2つばかりお話ししたいんですが、1つ は、1ページ目に水質基準等の項目の拡充ということで、現在の水質基準等の項目の紹 介があるんですが、その○の2つ目に、快適水質項目13項目というのがありまして、「 おいしい水などより質の高い水道水の供給のための」云々とあるわけですが、東京都の 水道を飲んでみるとわかるように、とてもおいしくはないんですね。まずいですね。だ からみんなミネラルウォーターを買っているわけですよ。その項目を守っていないんだ なということがわかるわけですね。少なくともおいしい水になるような快適水質項目が 設定されていないのか、されていても守ってきちんと水道事業者はやっていないのか、 どっちか私にはちょっとわからないんですが、おいしい水ではない。ここをおいしくす るまでに金をかけるべきなのかどうかということも議論の一つの問題点だろうというふ うに思います。そうやって金をかければ水道料金は当然上がっていくわけで、それは当 然我々が負担するのは当たり前で、すぐどこかからお金がほしいという話が先ほど出て おりましたけれども、それは税金でありまして、結局我々が負担するものだということ で、人がだれか出してくれるというふうに思うのはどうも違うのではないか。今の財政 危機を考えますと、そんなふうにどこからお金が降ってくるということは考えられな い。むしろ、今日のこの提案にあるようにいかに効率的な経営をしてコストを下げてい くかということは非常に大事だというふうに思うということが1点です。  それからもう1点は、何となく伺っていて民間に委託するというと、いい加減なこと をやるのではないかというようなことをおっしゃっているように聞こえる。これは私の 誤解かもしれませんが、そういう御意見があったように思うんですが、今いかに官がで たらめであるかということは毎日、新聞に出ておりまして、皆さんよく御存じである。 ですから、官がでたらめであるということは皆さん御存じなのに、なぜ民がでたらめだ というふうにいって官に依存しようという発想なのか。官尊民卑の意識が私にはどうも 理解できない。問題は、いかに情報を開示して、きちとチェックしていくか。そうすれ ば官とか民とかでないわけです。むしろ官がやるとコストが高くなる。無駄が多い。そ れを我々税金を払う側からいったら、いかに無駄のないような経営をするには、なるべ く官でなくてもできるものは民にやってもらおうというふうに考えるべきではないか。 したがって、そういう観点でこの問題を考えると、私は基本的には今日の問題提起は賛 成です。  以上です。 ○藤田部会長  どうぞ。 ○林委員  先ほど水質基準の御説明がありましたけれども、水質基準項目が46になって増えたと いうこと、増えたということは決して質が高い水を供給しているということではなく て、この水が質が悪くないということを保証しているだけの話なわけです。ですから、 私たちが欲しいのは質の高い水を供給していただくということです。そうしますと、必 ずしも基準項目をどんどん増やすということだけが問題じゃないということ。そこで質 問なのは、先ほど監視項目のところで、これを水質基準項目に予備軍という御説明をい ただいたんです。だけれども、よく考えてみますと、これはもし監視をしていて、問題 となることが確認されたらば基準項目に回す。問題とないことがわかったらば、これを 外す。あるいはその先の地域によってモニタリングとして実施すべき項目に移行すると いうのは、そういう選択肢があるわけです。ですから、これを予備軍と考えたというこ とは、どんどん基準項目を減らそうというようなことが前提のように受け止められるわ けなんです。ですから、私たち悪い意味ではないということを保証するための基準では なくて、やはりよい水を供給していただくという方向にもう少し施策を考えていただく 方が望ましいなということを、これは半分は要望です。 ○荒井水道水質管理官  それでは、林先生の方の水質基準項目の考え方ということからもう一度御説明をさせ ていただきますが、46項目につきましては、これは基本的に水道事業者が全国一律にき ちんと監視をしないといけない。これは法律で決まっているということでございまし て、これをオーバーするということになりますと水道法違反の水を供給してしまうとい うことになってまいります。それから監視項目につきましては、今33項目ございますけ れども、これは水道水質基準の予備軍という言い方をしてございますが、全国的なレベ ルでは基準として法律に基づいて強制的にすべての水道事業者の方に監視していただく ほどのことではないけれども、ウォッチしていこうというような趣旨で設定をされてい るものでございまして、現在では大規模な水道事業者の方を中心に、都道府県なりと調 整をいたしまして、水道水質管理計画という形で都道府県でまとめて監視をしていると いうような項目でございます。全国的にもし問題だということになりますと、水道水質 基準という形で格上げをさせていただいて、すべての水道事業者の方に監視をしていた だくというものでございます。こちらの方はいってみればミニマム、リクワイアメント でございますので、最低基準の要求ということでございますので、よりよいおいしい水 をどうやって供給するかということでございまして、快適水質項目ということで13項目 を定めてございます。例えば塩素がございまして、これは1ミリグラム/リットル程度 以下にしてくださいということを言ってございます。水道水質としては下限値が決めら れておりまして、これは殺菌するという観点から最低限必要なんですが、余りたくさん あり過ぎますと結局塩素の臭いがして、皆さんまずい水になるということでございます 。そういう意味で水道事業者の方が目標とするべきものとして一応上限というものを定 めているものでございます。同様に異臭味等についても、2項目程度でございますけれ ども、項目を決めているわけでございます。  先ほど竹居先生の方からお話がございました、どれぐらいおいしい水についてお金を かけるべきかというような御議論があったかと思いますけれども、こちらは基本問題検 討会の方でもありましたけれども、全国的なレベルで考えていくようなものなのか、あ るいは地域に応じたものなのかという議論がまたあるのかと思います。例で申しますと 大阪市は全域にオゾン処理を入れまして、琵琶湖の淡水赤潮等によります異臭味をとる ということになったわけでございますけれども、これを実際に導入するに当たりまして は、どれぐらいのコストが上がっても異臭味がない方がよいかというようなことを市民 の方にアンケートをとりまして、大部分の方が多少、数十%上がったとしても、異臭味 がない方がよいというコンセンサスが得られたということで大阪市さんの方で対応した というふうに理解しております。やはり需要者の方の意向というのもきちんと反映した 形でやっていくというのが今後の方向だと思っております。 ○真柄委員  基本的にも私もこれでよろしいんじゃないかと思いますが、いろいろ御意見が出てい ましたように、いわゆるフルコストプライシングのシステムに移行するということに対 して十分な情報を我々持っていないんですね。ちょうど先月オランダのハーグで世界120 か国ぐらいの大臣が集まって21世紀の水問題をどうするか、水の成分はどうかというこ とが協議されて、その段階で水道についてどうやって管理や運営していくかというよう なことも議論されたようでございますので、ある意味では国際的にどういう考えで動い ていて、それを担保するためにどういう制度があるかというようなことも機会を経て御 紹介をしていただければと思います。 それから違う観点ですが、先ほどから水道が広域化しない理由は何かというお話があ りまして、まさに水利権そのものだろうと思います。今水道で恐らく、表流水だけです けれども、年間100 億立法メートルぐらいの水利権があるわけですが、これは国民が水 道料金を払いながら、もちろん国からの補助が入っていますが、水道が築き上げてきた 権利なわけです。委託の場合には水利権が機能するということはありませんけれども、 この御紹介があったように、新しく広域的な企業、あるいは水道事業体をつくったとき に、今まで持っていた水利権が継承できるかどうか。継承させてくれるかどうかという ことは私は少し懸念を持っておりますので、こういう新しい形で浄水場の共同設置のた めの企業、いろんな市町村が集まって一つの事務組合をつくったときに、これまであっ た水利権は絶対担保してもらえるような、そういう工夫をぜひしていただきたい。とも すると新しい事業、コスト、新規にまた水利権をとり直さなければならないというよう なことがよくあるそうでございますので、水利権のことだけは、逆に我々が今まで小規 模だった。そいういう水利権だった。今度広域化するときに、あるいは経営を解散する ときに、その水利権というものを道具に使えるような工夫もぜひしていただきたい。そ の2点です。 ○藤田部会長  正木委員何かございますか。 ○正木委員  既にお話がでている、水質の問題なんですけれども、監視項目というのは、甲斐委員 がおっしゃったように、原水周辺の改善であるとか、その辺の汚染状況などを把握しつ つ対策を講じていけば、これは監視項目ですから減っていく可能性があるかもしれな い。逆にクリプトスポリジウムや、最近問題になっている耐性菌などの微生物汚染が実 は気になるんですね。したがって、こういった原水のチェックは国の方で厳重にやって いただかないと、安全性が担保できないのではないかと思います。 ○藤田部会長  お先にどうぞ。 ○甲斐委員  すみません。その水質のことなんですけれども、結局さっき竹居先生、私、民間が悪 いと言ったわけではなくて、民間は、やっぱりどんどん原水が悪くなったら持ちこたえ られなくなる。値上げしなければならないとか、効率化できる部分もありますけれど も、原水が悪くなっていったら事業体は利益を上げる形でやっていかなければならない のだから、そのもとをちゃんとするところは国がしっかりやっていただかないといけな いんじゃないかという意味で申し上げたんですけれども、原水の確保というときに、開 発するところの建設省との関連が今までずっと弱かったと思うんです。だから、出てき た水はきれいにして供給しなければならないというところばかりが強いかったように思 いまして、私どもは環境問題に取り組みますと、やはり加害者であることも認識し始め ているわけです。国民全部一人ひとりが加害者であり、被害者であるというところを認 識し始めていますから、そういう意味での情報公開を、この地区は水が汚いなんて言っ たら土地の価格が下がるとかなんとかいろんな問題で言わないで、黙って薬品をたくさ ん投下したとか、そういうのを後から聞くんですけれども、そうじゃなくて、みんな住 んでいる人たちの汚染で汚れている部分もあるわけです。そうじゃない場合もありま す。そこの鉱山の問題とか、それこそ通産省関係のことでもって汚れてくる場合もあり ます。そういう省庁間のことというのは、生命を守る水と空気は原点ですから、各省庁 が枠を外して水を飲ます、人の健康をあずかる厚生省、声を大きくしてほかの省庁に、 命令じゃないけれども、情報公開して、私どもと一緒に情報公開してやっていただきた い。そういう意味合いで申し上げました。 ○入江水道整備課長  御意見は真摯に受け止めまして、努力してまいりたいと思います。若干の情報提供で ございますが、現在関係省庁6省庁で健全な水循環系を構築するという話し合いもして おりまして、その中でも水に関する情報を情報提供していくためのネットワークといい ますか、ホームページづくりとか、そういったものも関係省庁が協力してやっていこう というようなこともございますので、成果が出てきましたらまた御紹介させていただき たいというふうに思っております。 ○藤田部会長  何かありますか。 ○荒井水道水質管理官  水質と、それから真柄先生の方からお話がありました世界の動きを簡単に紹介をさせ ていただきたいと思います。  1つは、水源の監視というようなことでございますけれども、今、課長の方からも御 説明申し上げましたが、各省それぞれ連携して、それぞれの担当でやっているという状 況でございまして、私どもですと、原水ということで水道の事業体が、まさに水道水の 原料となる水を取るところということでやっておりますが、それ以外の部分でございま す。いわゆる公共用水域、例えば川とか湖自体の水質については、これも御案内のとお りでございますけれども、環境基本法に基づきまして環境基準が定められております。 環境基準と、それから水道水質基準というのはほとんど同じ値が同じ項目について決め られておりまして、あるいは要監視項目と公共用水域の場合は言っておりますが、そち らも監視項目とほとんど同じものがきちんと決められてございます。公共用水域の場合 ですと、地方自治体の都道府県知事が毎年監視計画を定めまして、それを監視してい る。必要な場合には水質汚濁防止法等の法律でその水源を守っていくというのがその仕 組みでございます。その水を使って私どもは水道水をつくっている。そのときに原料と しての水の水質というのを見ているということでございます。  それからもう1つ、第2回の世界水フォーラムでございますけれども、これは3月17 日から22日までオランダのハーグで開催されたものでございまして、最後の2日間閣僚 会議もやりまして、140 か国程度だと思いますが、閣僚レベルの方が参加してございま す。日本からも水関係のすべての省庁が参加をいたしまして、建設省から政務次官が代 表として御出席をされてございます。そこで議論をされましたのは、途上国も含めまし て、衛生的な水、安全な水をどういうふうに、今後2025年世界の人口が増えていくわけ でございますが、どういう形で確保していくのかとか、あるいは農業の水、洪水の防 止、あるいは水価格をどういうふうに考えていくのかというような議論がございまし た。その中で1つのキーのコンセプトになりましたのがフルコストプライシングという ことで2025年を迎えまして、世界的に今、水に投資されている額を倍ぐらいに増やして いかないといけない。その場合ODAで増やすのはなかなか難しいので、民間のセク ターからの投資というのを呼び込んでいかなくてはいけない。その場合には、きちんと したコスト回収ができないと民間のインセンティブにはならないということでございま す。フルコストプライシングということで提案がございましたが、結果的には各国の事 情というのがあるので、例えば農業とかの部分でも、大変安い水というのを使って食料 をつくっているということもございまして、フルコストプライシングを完全に支持する というわけではなくて、水のフルコストが水の価格に反映する方向で努めていこうとい うことで閣僚宣言の中には取り込まれております。全体的にはそういう方向で世界は動 いているということでございます。  ちなみに、第3回は2003年に日本でやるということになっております。そのときには またそういう議論が出てくるものと思われます。以上でございます。 ○藤田部会長  ありがとうございました。  よろしゅうございましょうか。  それでは、水道事業の運営に関する課題、今日ありました議論を次回までにまとめて いただきまして審議したいと思います。  それでは、今日の議事の次、「その他」とありますが、これは何かございますでしょ うか。 ○山本補佐  その他といたしまして、簡単な御紹介でございますが、参考資料として配付させてい ただいております資料を御紹介したいと思います。時間の関係もありますので、内容の 説明まではいたしませんが、本日の参考資料といたしまして、最初に「平成12年度水道 関係予算の概要」ということでございますが、今年度の予算はこういった形で決まって おりますということで御紹介をしております。  それから7ページ目のところからですが、これは水道施設の技術的基準を定める省令 ということで、いわゆる水道施設の施設基準、施設として最低限満足しておかなければ いけない基準というのを、地方分権が今年度からスタートするに合わせまして定めまし た。その官報に掲載された省令の写しを付けてございます。それからあわせて、省令で 浄水場などで使う資機材で、材質を一定の基準をもってクリアしなければいけないこと になっておりますが、その試験方法を厚生大臣の告示で定めましたので、それをあわわ せてこの官報で御紹介しております。  それから15ページでございますが、この施設基準の省令を定めたことに関連しまし て、昨年度末3月31日付で私どもの水道環境部長からその施行についての通知を出して おります。それから16ページがその通知の留意事項ということで、課長通知として出し ておりますものを御参考までに配付させていただいております。  それから20ページにまいりまして、20ページは今年度の4月1日から地方分権で新た に改正された水道法が施行されているわけですが、その施行に関する通知を同じく3月31 日付で部長通知、同様に25ページ以降に留意事項ということで課長通知ということで出 させていただいておりますので、これも御参考に配付させていただいております。 それから最後28ページのところですが、これは毎年取りまとめ公表しておるものです が、水道におけるクリプトスポリジウム対策の実施状況ということでクリプトスポリジ ウムによる汚染の懸念があるような浄水場で対策の進捗状況というものを取りまとめた ものでございます。  以上が参考資料しとて配付させていただいたものでございます。 ○藤田部会長  ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。 もう1つ何か参考配付というのがございましたね。 ○山本補佐 これは第1回目の参考ですので。 ○藤田部会長  そのほか何かございますか、以上でようございますか。 ○山本補佐  次回の予定でございますけれども、先ほど検討中にも御説明いたしましたが、前回水 道法上の未規制水道、簡易専用水道の規制のあり方についていろいろと御審議いただき まして、いろいろと宿題もございますので、その点について再整理したものを御提示し たいというのが1点と。それから本日御議論いただきました水道事業の運営に関する課 題についても、もう少し具体的に整理したもので御審議いただきたいと思っておりま す。それから情報公開みたいな話も含めて、その周辺部分も含めた、今回制度的な検討 をお願いしたいと考えている全体について、整理した形で御提示したいというふうに考 えております。  日程につきましては、連休以降になると思いますので、また連休以降の日程として後 日調整させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○藤田部会長  全体的に何か御発言ございましたら。よろしゅうございましょうか。  それでは、以上で会議を終わりたいと思います。                                     (了) 問い合わせ先 厚生省水道環境部水道整備課 03−3503−1711(内)4025