00/02/28 第84回人口問題審議会総会議事録     第84回人口問題審議会総会              議事録            平成12年2月28日(月)            10時00分〜12時25分            厚生省特別第1会議室            (開会・10時00分) 宮澤会長  おはようございます。本日は早朝からご多用のところこ出席いただきありがとうござ いました。ただいまから、第84回になりますが、人口問題審議会総会を開会いたしま す。  まず、出欠状況のご報告ですが、ご欠席は麻生、大國、大淵、岡沢、木村、熊崎、清 家、袖井、坪井各委員、落合、木村専門委員で、本日はご都合により欠席でございま す。その他の委員はご出席です。若干、遅れて来られる委員があるかと思います。  また、事務局に異動がございましたのでご紹介いたします。宮島彰総務審議官です。 宮島総務審議官  今度、新しく担当ポストにまいりました宮島でございます。どうぞよろしくお願いい たします。 宮澤会長  よろしくお願いいたします。それではこれから本日の議題に入らせていただきます。 本日は大きく分けて4つのことを予定してございます。 第1番目は、少子化対策に関 する行政の取り組みについてということで、これまでの少子化対策基本方針、新エンゼ ルプラン、児童手当制度等について児童家庭局よりご報告をいただきます。  2番目は、昨年末に公表になりました平成11年人口動態の年間推計につきまして統計 情報部よりご報告をいただきます。  3番目ですが、先週の25日に開催されました政策科学推進研究発表会「少子化につい て考える」というテーマの下に開かれたもので、これにつきまして阿藤委員からご報告 をいただきます。  4番目は、今後の進め方につきまして事務局からご説明をいただき、皆さんと討議し たいと思います。  それでは、まず、第1の少子化対策に関する行政の取り組みについてと第2の平成11 年人口動態の年間推計につきましてご報告をいただき、その後、質疑等を行いたいと思 います。まず、少子化対策に対する行政の取り組みについてご報告をお願いいたしま す。ご報告をいただきますのは児童家庭局の小林和弘企画課長です。よろしくお願いい たします。 小林企画課長  皆様、おはようございます。ただいまご紹介を預かりました児童家庭局の企画課長で ございます。   宮澤会長  どうぞおかけになって。 小林企画課長  では、失礼して座って。少子化対策に関する行政の取り組みについてということでご 報告をさせていただきます。  昨今、少子化対策につきましては各方面の関心が高まる中でいろいろなご提言なんか も含めて出されている状況でございます。  平成9年10月には当人口問題審議会からも今後の少子化対策を進めるにあたっての基 本的な考え方の方向を示唆していただいておるところでございます。  そういう流れの中で昨年末、政府におきまして少子化対策推進の基本方針というもの とこれを具体的に進めるべき実施計画の取りまとめが行われております。また、併せて そういう総合的な少子化対策の一環として児童手当制度の改正ということも、これは年 末の関係大臣折衝という形で取りまとめがされたものでございますけれども、このよう なあたりを中心にご報告をさせていただこうと思っております。 資料、お手元に配付 しております資料の1から5、この5つのものを使ってご説明をさせていただこうと思 っております。  まず、資料1、ご覧いただきたいと思います。これは1枚紙でございますが、少子化 対策の推進にあたりまして、何よりも総合的な取り組みが必要であるということで、 我々といたしましても関係省庁こぞってこの問題の取り組みを進めていこうということ で考えております。  上の四角の中にございますように少子化対策につきましては、これまで平成6年の12 月の4大臣合意ということで今後の子育て支援のための施策の基本的方向について、い わゆるエンゼルプランというものを中心として取り組んでまいりました。  また、これを具体化するために同じく平成6年の12月に、これは大蔵、厚生、自治の 3大臣合意でありますが、当面の緊急保育対策等を推進するための基本的考え方、いわ ゆる緊急保育対策等5か年事業と言われるものを策定をいたしまして、これに基づき具 体的な推進を図ってまいったわけでございます。  昨年来、この少子化対策の進め方に関しましては、また資料2の方でお話を申し上げ ますが、関係省庁がひとつにまとまりまして関係閣僚会議というものを設置いたしまし た。この閣僚会議におきまして年末までにこの少子化対策を進めるための基本方針、こ れを策定しようということで作業を進めてまいりました。  この作業の結果として12月17日に取りまとめられましたのが少子化対策推進基本方針 でございます。これは関係の18の省庁で構成されております閣僚会議で取りまとめをし たものでございます。政府が中長期的に進めるべき総合的な少子化対策の指針というこ とでの取りまとめを行ったものでございます。  これを受けましてこれを具体的に実施するものとして、その下にございますように、 新エンゼルプラン、これは文部、厚生、労働、建設の4省庁に大蔵省、自治省、財政を 担当する2省を加えました6大臣の合意ということで12月19日に策定をさせていただい たものでございます。少子化対策推進基本方針を具体的、重点的に実施すべき実施計画 と、こういう位置づけをさせていただいております。  中身は保育サービス、あるいは雇用環境の整備、母子保健医療、さらには教育、住宅 こういうような各方面に渡ります事業を具体的に実施をしていこうということで構成を されているものでございます。  次の頁の資料2をご覧いただきますと、このような少子化対策のこれまでの経緯とい うものを簡単にまとめたものでございます。ご承知の平成2年6月の1.57ショック、ひ のえうまの昭和41年の合計特殊出生率を下回るということでかなり社会的にもマスコミ 等にも報道されたのが平成2年6月でございました。  これ以後、関係省庁での取り組みというのがかなり具体的に進み始めたわけでありま すが、平成6年の12月に、今申し上げましたようなエンゼルプラン、あるいは緊急保育 対策等5か年事業というものが策定をされて、言わば見える形で具体的な少子化対策へ の取り組みがスタートをしたわけでございます。  平成9年10月には当審議会のご報告、少子化に関する基本的考え方についてが明らか にされまして、かなり具体的な少子化対策に関する国民的な議論というのが進められる ようになったわけでございます。  また、平成10年6月には厚生白書で少子化問題というものを真正面から取り上げた初 めての厚生白書も公にされ、さらにこの年の夏、内閣総理大臣が主宰する「少子化への 対応を考える有識者会議」がスタートをいたしまして、平成10年の12月にこの有識者会 議からの提言が行われております。  また、この提言を受ける形で平成11年の5月、さきほど申し上げた「少子化対策推進 関係閣僚会議」が、また、その翌月、「少子化への対応を推進する国民会議」が設置さ れました。この国民会議を設置することにより官民あげて少子化対策への推進に取り組 んでいこうという体制を整えたわけでございます。昨年12月に申し上げましたように基 本方針、あるいは新エンゼルプランの策定というものに至ったわけでございます。 ま た、国会の方でも超党派の議員さん方がお集まりになり、取りまとめた少子化社会対策 基本法案が議員立法として、平成11年12月10日に国会に提出をされて、現在、継続審議 中という状況でございます。  この資料2、1枚めくっていただきますと、これまでの取り組み、行政として少子化 対策についてこれまでの具体的な取り組みを簡単に整理した資料をつけてございます。  まず、ひとつの柱として育児と両立に関する働き方、職場環境の整備ということに関 する施策といたしまして、育児休業、これは平成4年度から導入を制度化されておりま すけれども、平成7年度から全企業に適用しております。  注意書きのところにありますように取得率、これは3年に1回、調査をしております が、平成8年、直近のデータでは44.5%という取得率になってございます。また、この 育児休業期間中の健康保険、あるいは厚生年金保険等の保険料について、本人負担分を 平成7年度から免除するということでやっておりますけれども、さらに事業主負担分に つきまして、これも免除するための関係法案を現在、国会に提出してご審議をいただい ておるところでございます。  また、労働時間の短縮につきましては、資料にありますように相当程度、進んでおる 状況でございます。  また、この育児と就労を両立する非常に大きなツールといたしまして保育サービスの 充実ということに取り組んでございます。これは緊急保育対策等5か年事業、これは平 成7年から11年度までの5か年事業でございますが、この中で相当程度の事業量の増加 を含めたサービスを実施をするということで取り組んでございます。  そこに代表的な数値を書かせていただいておりますけれども、低年齢児、0歳、1歳 2歳という3歳未満の低年齢児保育を実施するための受け入れ数を平成6年度から11年 度にかけて約13万人余り増やすというあたりでございますとか、延長保育を5,000 か所 弱増加をさせる。あるいは放課後児童健全育成事業、放課後児童クラブと言われている ものでありますが、これを5年間で倍増するというような目標を掲げて、ほぼ11年度の 予算ではこの目標値を達成しておるところでございます。  3頁目をご覧いただきますと、子育てのための住宅及び生活環境の整備でございま す。特に子育てを進めている若い家庭につきましては、良質なファミリー向けの住宅の 供給あるいはゆとりのある住生活の実現ということで、住宅政策という観点から取り組 みが進められているところでございます。  また、ゆとりのある教育の実現と健全育成という関係では、ゆとりのある学校教育の 推進ということで学習指導要領の改定が行われておりますとか、ボランティア活動支援 のための学校外の活動を充実させる、あるいは子育て相談というようなことについてこ ういうことも含めました家庭教育の充実への取り組みが行われております。  また、経済的支援、そこにございますように児童手当制度は昭和47年に発足をしてお りますが、また、児童手当制度につきましては資料5に基づいてご説明させていただき ますが、逐次、制度改正が行われまして今日に至っております。  また、税制上の扶養控除、日本の子育て支援と言いますか、経済的支援につきまして はこの児童手当、あるいは税制上の控除、あるいは各企業が取り組んでいる家族手当と いうような形を通して、そういうかなり多方面の取り組みがされておるわけでございま す。  その一環として税制の扶養控除につきまして、平成元年度には教育減税ということで 特定親族扶養控除の創設として、16歳から上のお子さんを養育している家庭について教 育減税という形で控除額が増額をされるというのが平成元年度からございました。11年 度にはこれがそれぞれ扶養控除、特定親族扶養控除、それぞれそこにありますような形 での引き上げがされております。  また、奨学金の充実につきましては、特に平成11年度に抜本的な拡充が文部省におい て行われております。金額的に申し上げましても、3倍弱になりますような拡充が行わ れております。  こういう取り組みの積み重ねの結果といたしまして、昨年末に基本方針と新エンゼル プランというものが取りまとめられました。これが資料の3及び資料4でございます。  まず、資料の3の方をご覧いただきますと、要旨と本体、2通りのものがこのパンフ レットに掲げられております。要旨の方をご覧いただきますと、第1で目的及び基本的 な考え方というものをまとめております。  特に基本的な考え方というところをご覧いただきますように、少子化の原因、背景、 これは当審議会においてもかなり詳細に分析をいただいたところでございます。(2) で少子化対策の趣旨及び基本的な視点というところをご覧いただきますと、仕事、子育 ての両立の負担感でありますとか、子育ての負担感を緩和・除去し、安心して子育てが できる環境整備を進める、あるいは家庭や子育てに夢や希望を持つことができる社会を 実現すると、こういうことを目指しつつ、その次の○にございますように結婚、出産は 当事者の自由な選択に委ねられるべきものということを基本としつつ、男女共同参画社 会の形成という観点でありますとか、児童の健全育成を進める社会づくりを旨として国 民的な理解と広がりをもって子育て家庭を支援するという考え方で取りまとめたところ でございます。  基本的な施策は1から6に大きく6本立てになっております。基本的に1及び2につ いては労働省の雇用環境、あるいは職場という問題を中心とした項目で整理をしており ます。2頁をおめくりいただきまして、3として安心して子どもを産み、ゆとりをもっ て健やかに育てるための家庭、地域の環境づくりというものと、次の頁の4の利用者の 多様な需要に対応した保育サービスの整備。これは厚生省が中心として取り組む項目と してそこにございますような各種項目への取り組みを進めていくということにしておる ところでございます。  また、3頁の下の方、5として子どもが夢をもってのびのびと生活できる教育の推 進。これは文部省関係の施策を中心といたしまして取りまとめた項目でございます。  4頁、6といたしまして子育てを支援する住宅の普及など、生活環境の整備。これは 建設省関係の施策を中心とするものでございます。  このような6項目の柱で少子化対策を進めていくということでありますが、4頁の第 3にございますように、重点施策については具体的な実施計画を作るということと、逐 次、この基本方針に沿って進められる施策のフォローアップを実施すると、こういう2 点が確認をされているところでございます。  資料4をご覧をいただきますと、これが今、申し上げました基本方針を具体的に実施 するために6大臣合意によって策定をされました具体的実施計画でございます。これも 要旨と本文、このパンフレットについてございます。  要旨の方をご覧いただきますと、主な内容、趣旨は最初に申し上げたとおりでござい ます。主な内容、大きく8項目立ててございます。基本的に厚生、文部、労働、建設の 4省で取り組んでおります施策を中心と言いますか、その4省で対応する施策を具体的 に向こう5年間に整備すべき目標値をできるだけ設定をさせていただきながら取りまと めをさせていただいております。  1番目は保育サービス等子育て支援サービスの充実。これを一番最初に、これは緊急 5か年のこれまで取り組んでおりました5か年事業をさらに充実させるという観点で取 りまとめさせていただいております。  2の仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備ということで労働省関係の施策を記 載をいたしました。この中の(1)のところで育児休業制度に関しまして育児休業給付 の給付水準の、現行25%から40%への引き上げというようなこともこの中に記載をさせ ていただいたところでございます。  1頁おめくりいただきまして、2頁目、この3の働き方についての固定的な性別役割 分業、職場優先企業風土の是正、これも労働省が取り組む施策でございます。基本的に 啓発的な事業が中心でございます。  4として母子保健医療体制の整備。厚生省の所管する母子保健関係で国立成育医療セ ンターの整備でございますとか、周産期医療ネットワークを全都道府県に整備を進めて いこうという項目でございます。  また、5、6、7は教育関係ということで文部省所管の行政を整理したものでござい ます。子どもを育てる教育環境の整備、あるいはのびのび育つ教育環境の実現、あるい は教育に伴う経済的負担の軽減という点でございます。  8番目は建設省所管の住まいづくり、あるいはまちづくりによる子育ての支援という ことでございます。  こういう事業に関しましては3頁目で整理をさせていただきましたが、具体的な向こ う基本的に5年間、平成16年度までに達成すべき目標値というものを取りまとめさせて いただいております。従来の緊急保育5か年事業に比べますと項目数は3倍ぐらいに増 えておるということでございます。目標値、そこにございますように相当程度、力を入 れて取り組む事業ということで整理をさせていただいております。以上、簡単にこの新 エンゼルプランでございます。  もうひとつ、資料の5というものをつけております。昨年末の大臣合意に基づいて今 国会に改正法案を提出をさせていただいております児童手当制度の改正についてでござ います。  1枚おめくりいただきますと、児童手当制度の主な沿革でございます。昭和47年に制 度が発足いたしましてから、これまで何回かの改正を経て今日に至っております。特例 給付制度の導入でありますとか、第3子以降をスタートとしておりましたが、第2子、 さらには現在のように第1子からに拡大をすると。これに伴いまして支給対象年齢を 徐々に重点化を図ってきたというのがこれまでの経緯でございます。  1枚、おめくりいただきます。現行の児童手当制度の概要でございます。児童養育家 庭の生活の安定に寄与するために、経済的負担の軽減ということと児童の健全な育成、 この2つを目的として現在の児童手当制度が整理をされてございます。  第1子目から3歳未満、3歳に至るまでが支給対象でございます。第1子、第2子が 5,000 円、第3子以降が10,000円と、所得制限はそこにありますように432.5 万円未 満。ただし、サラリーマンについては特例給付ということで670.0 万円まで所得制限が 上に引き上げられております。給付費は約1,800 億円と、そのうちの3分の2が事業主 負担と、これが現行児童手当制度の概要でございます。  3頁目をご覧いただきますと、今国会に提案をさせていただいております児童手当制 度の改正案でございます。まず、一番大きなと言いますか、基本的に支給対象年齢の延 長を図るというのが今改正の基本的な中身でございます。現行、3歳未満となっており ますものを義務教育就学前まで、小学校に入学するまでということで約2倍に支給対象 年齢が拡大をされます。手当額、所得制限額については現行どおりでございます。  費用負担につきましては3歳以上、今回、拡大される分につきましては国が3分の2 地方が3分1、全額公費で賄うということでございます。実施時期は支給月の関係で今 年の6月からということで考えております。  所要額は今回の拡大に伴って必要となる財源として、平年度ベースで2,200 億円、た だし、12年度につきましては実施時期の関係で1,500 億円ということになっておりま す。  あと、参考までに児童手当の財源の内訳でありますとか、主要国、諸外国の児童手当 制度等の関係資料をつけております。また、7頁、8頁につきましては今回の法案を提 出するにあたって中央児童福祉審議会、さらには社会保障制度審議会の方からいただい た答申をつけさせていただいております。以上でございます。 宮澤会長  それでは引き続きまして平成11年人口動態統計の年間推計についての報告をお願いい たします。ご報告いただきますのは統計情報部の田村哲也人口動態統計課長でございま す。よろしくお願いいたします。 田村人動課長  統計情報部の田村でございます。 宮澤会長  どうぞおかけになって。 田村人動課長  説明に使う資料はお手元にございます資料6と資料7でございます。  人口動態は、歴年で取っておりますが、毎年、年間推計と正確な数字の2種類を出し ております。本日御説明するのは、昨年の末に出しました平成11年、1年間の人口動態 についての推計でございます。  1枚目の表紙にありますように、毎月出している速報の1月から10月分までを基礎資 料といたしまして、過去の動き等を考慮に入れて推計をしております。  また、これからご説明する内容は、日本における日本人についての統計です。  1枚めくっていただきまして、推計の結果でございます。人口動態総覧というもので 実数と率、発生間隔とが書いてあります。なお、平成10年につきましては、確定値でご ざいます。  出生数は昨年より28,000人程、減少しております。後で資料7でその後の動きも踏ま えましてご説明をしたいと思いますけれども、まず、この推計でお話しますと、28,000 人減少いたしまして、1,175,000 人ぐらいになると予測をしております。それに対応い たしまして、人口千対の出生率というのは9.4 ということで、0.2 ぐらい下がるだろう という予測をしております。  一方、死亡数は非常に増加をいたしまして、昨年が936,000 人でございましたが、平 成11年は985,000 人ということで約5万人弱増加するだろうと思われます。これにつき ましては後で月別に見ていただければわかりますけれども、1月、2月、3月が非常に 多かったためです。  昨年、インフルエンザ等が流行った結果、それに関連する疾病での亡くなる方が増え たのではないかなというふうに考えております。死亡率も上がりまして7.9 となってお ります。  その差引でございます自然増加ですけれども、出生が減りまして死亡が増えたという ことで、昨年よりも77,000人程、減少いたしまして、190,000 人ということになりまし た。  死産はあまり変わっておりません。39,000胎ということでほぼ横ばいかなと思いま す。  婚姻と離婚でございますが、婚姻につきましては昨年よりも12,000組程減りまして、 773,000組というふうに推計をしております。離婚は増加傾向でございますので、 249,000組ということで6,000 組程、増えるというふうに推計をしております。それぞ れ人口千対の率につきましてもそこにございますように変化すると推計をしておりま す。  右側の2頁をご覧いただきたいと思います。人口動態総覧の年次推移というところが ございます。出生と死亡は実線のようなカーブを描いております。出生とその下の死亡 この実線の2つの差が自然増ということになります。離婚は徐々に増えているという傾 向が見て取れるかと思います。  2頁の下でございますけれども、死亡につきましては3大死因だけでございますが死 因毎の死亡数について推計をしております。平成11年、一番右端を見ていただきますと 悪性新生物が昨年と同様、一番多くて、約290,000 人ぐらいこれで亡くなるだろうと考 えています。心疾患で153,000 人ぐらいまた、脳血管疾患が140,000 人ぐらい、亡くな るだろうと推計をしております。  3頁、4頁は戦後からの出生、死亡、婚姻、離婚、死産のそれぞれについて記載をし たものでございます。人口動態は、100 年がたちましたけれども、出生は一番下にござ います1,175,000 人ということで、過去100 年間見ましても最低の数字になっていま す。  死亡数の985,000 人は、この表の中では昭和22年以降では一番高くなっています。死 亡数につきましては、戦前は非常に高く100 万人をずっと超えていましたので、11年 が最高ということはありません。  自然増加数を見ていただきますと、一番下にございますように190,000 人ということ で、初めて20万人を切っていることになります。  婚姻数はベビーブームなどにより変動しており、最近も増減している状況であり、今 年は若干減ったということかなと思います。離婚に関してはずっと増えておりまして、 249,000 組というのは過去最高になっております。  右側に率がそれぞれ出ておりまして、一番右側に合計特殊出生率が載っております。 平成11年につきましては3つ星になっておりますが、これはまだデータが整っていない ため算出をしておりません。  1枚めくっていただきまして、5頁でございます。第3表というところで人口動態の 国際比較をしてございます。国によって調査時点が違っておりますので、一概には言え ませんけれども、出生率につきましてはここにある国の中では、イタリアに次いで低い ということになっております。死亡率につきましては、一番低くなってございます。婚 姻につきましてはアメリカを除けば日本が一番高いということになります。離婚は低い 方かなと思います。合計特殊出生率は1年古いものですけれども、イタリア、ドイツよ りは高いという状況でございます。  次に資料7で最近の動きを見ていただきたいと思います。1枚目でございますが、出 生と死亡につきまして過去3年間の月別の数字を載せてございます。実線が平成11年の 数字です。  10年と11年を比較しますと、出生だと4月まではほぼ同じだったのですが、5月以降 ずっと下がりまして、11月はまた平成10年と同じになり、12月にまた減っています。そ の結果、さきほどの1,175,000 人の推計数よりは若干、約2,000 ぐらい上乗せできるの かなと思っております。  その下の死亡でございますけれども、11年は1月から3月、4月ぐらいまでが10年に 比べて高くなっております。この結果、死亡が増えまして985,000人と推計をしておりま す。ただ、11月、12月は昨年に比べまして減少しておりますので、推計よりは2,000 〜 3,000 人減るだろうと考えられます。その結果、自然増は195,000 人ぐらいになるのか なと思っております。  1枚めくっていただきまして、2枚目が婚姻と離婚でございます。結婚につきまして は9月までは例年と同じような動きをしておりますけれども、10、11、12月は大幅に違 っております。10年は10月が増えている、11年は11月が増えているというのが見えると 思います。これは、10年10月10日とか、11年11月11日というように数字が並ぶ時は記念 になるということから増えているというふうに思われます。ところが、11年12月は大き く減りました。これは結果が出なければわかりませんけれども、2000年に持ち越したと いうことも考えられるかなと思います。  その結果、推計、婚姻の件数でございますけれども、773,000 組と推計をいたしまし たけれども、それよりも約11,000組ぐらい落ちるかなというふうに思われます。  離婚につきましては一番下でございますけれども、10月を除きまして前年よりも高く なっておりますので、もうちょっと増えるのかなというふうに考えます。おそらく 250,000組を超えるだろうと思います。人口動態の推計につきましては以上でございま す。 宮澤会長  ありがとうございました。それではただいまの2つの報告につきましてご質問ござい ましたらどうぞお願いいたします。  特別ございませんでしょうか。どうぞ、八代委員。 八代委員  人口動態の方についてご質問させていただきたいのですが、前回の人口審議会でいわ ゆる97年の人口予測との関係についてご質問したところ、ぴったり動いているというお 話でしたが、この11年の動きを見たときにその結論は変わっていないのでしょうか。ま だまだ、出たばかりで非常に難しいと思いますが、この出生数の動きを見るとかなり下 がっているのではないかと素人目には思うのですか、その辺についてご専門の意見を聞 きたいのがひとつ。  それに関しては例のミレニアムベイビーと言いますか、どうせ子どもを産むなら2000 年に産みたいという人が昨年産み控え、婚姻控えをしているという説がありました。し かし、今の月別の動きを拝見しますとそれはせいぜい12月に言えることであって、その 前の5月ぐらいからの出生数の低下が果してそういう産み控えで説明できるのかどう か。そうなるとかなりこれはミレニアム要素ではなくて、もうちょっと構造的なトレン ドではないかという感じもするのですが、その辺についていかがでしょうか。  それから99年の合計特殊出生率はいつ頃、発表になるかというか、その辺の3点に ついてお伺いしたいと思います。 田村人動課長  いいでしょうか。 宮澤会長  お願いいたします。 田村人動課長  人口推計と関係を私が答えするのがいいのかどうかなのですけれども、人口推計では 平成11年の出生率について、中位推計では9.7、低位推計だと9.3という数字になってい ます。今回の出生率は、9.4 でございますので、その間になっています。  さきほどの年間推計の資料6のにこれまでの推移が載っている表がありますけれども その出生の下の方を見ていただきましても、120万人を境に年によって上下しているのが 見えると思います。  したがって、去年増えて今年減ったということなので、長期推計は1年間の動きを見 てどうこうと言えるかどうかというのはわからないという状況でございます。  2番目の問題も難しいのですけれども、5月から減っているということですけれども 昨年の新聞報道を見ますと、「2000年になってから生むには」、というような記事も出 ていましたので、ミレニアムの影響も少しは考えられるのではないかなという気がしま すけれども、統計からは何も言えないと思います。  最後の合計特殊出生率でございますけれども、毎月の月報を合算いたしまして年計が 出るのか例年ですと6月ぐらいに出しております。その頃になればその数字をお示しで きるかと思います。 宮澤会長  よろしゅうございますか。他にございましょうか。どうぞ。 高山専門委員  関連の質問ですけれども、前回の人口推計やったときに今のように出生数がどういう ふうに動くかということと並んで、婚姻件数についてもいろいろな仮定を置いたはずな のですが、平成11年の実績では婚姻件数も下がっているということなのですね。これは 予測段階とどの程度、違いがあるかというところはいかがでしょうか。 高橋  社会保障・人口問題研究所の高橋です。私の方から答えさせていただきます。  前回、97年に行った推計では未婚化の相当の進行を見込んでおります。1980年生まれ の女性の生涯未婚率13.8%と見込んだ推計でありまして、未婚化の流れというのはもう 相当続くというふうに折り込んでおります。  したがいまして、今回の動態統計における初婚数の若干の落ち込みについては推計の 中では動向としては一致しているものというふうに考えております。以上です。 宮澤会長  他にご質問ございましょうか。では前半の推進基本方針についてちょっとお訊ねした いと思うのですが、総合的な対策ということですが、総合という場合には2つの側面が あります。施策として、基本方針には6項目、実施計画には8項目挙げられていますが 体系的にどういう位置づけ、優先順位があるのか。そういう点についてもある程度の議 論がなされたのかどうか。  もうひとつの側面は、それを議論するためには各々の施策の効果比較が要りますね。 効果には差があるはずで、そういう側面について、どの程度、議論があったのか、なか ったのか。これは一番最後の議題の今後の検討の問題にも関わると思いますので、その 辺の情報を追加していただければとお願いします。 小林企画課長  非常に難しいご質問でございます。優先順位と。ま第1点の優先順位という方につき ましては。 宮澤会長  優先順位、あるいは体系性ですね。 小林企画課長  はい。基本的に働くことと子育てをすること、この両立をどういうふうに支援するの かと、そういう両立支援を図るために現在のいろいろな社会体制なり、制度を含めてど こが支障になっているのか、あるいはどこをもう少し援助していけばいいのかという観 点からの議論、これが少子化対策推進基本方針、閣僚会議で議論した基本方針の基本的 なところでございます。  そういう意味でそこの資料1の点線で括ってありますような施策体系と申しますか、 従来から取り組んでおるものをさらに再整理したというだけでございますけれども、特 に雇用環境の整備というあたりにつきましては、この年末の閣僚会議の議論等において も今まで以上に注目を浴びると言いますか、かなり強調されたというふうに思っており ますし、従来から取り組んでおります保育サービスなんかと併せて、産まれたお子さん を健やかに育てていくということでの母子保健医療体制の整備と、こういうあたりにも 従来、取り組み方向として、出し方として薄かったような部分についてもかなり注目を した上での取り組み、あるはその体制の整備ということを図ったつもりでございます。  また、併せて効果というところの議論がございますが、基本的にそれぞれの政策の少 子化対策に及ぼす影響なり効果ということにつきましては、なかなか数量的に把握する のは困難でございますし、それがどのぐらいインパクトを持つかというようなことを含 めての、そういうことを前提とした議論というわけでは必ずしもございません。あくま でも定性的な取り組みとして産み育てやすい環境を整備していくための必要な項目、重 点項目という観点からの議論を進めたということでございまして、効果は今後、いろい ろな形で検証がされていくのだろうというふうに思っております。 宮澤会長  ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。それでは次。どうぞ、失礼 しました。 山田専門委員  少子化対策についてひとつお聞きしたいのですけれども、個々の施策についてはこう いう推進されているということはわかるのですけれども、全体として例えば予算規模と してどれぐらい、例えば5年前や10年前に比べて若い世代に対して増えているか、それ が高齢者対策、いわゆる高齢者に費やされる予算の伸びに比べて大きいか少ないかとい うことは、多分、すぐにはわからないと思うのですけれども、もし、よろしければ教え ていただけませんでしょうか。 小林企画課長  予算面につきましては総額で見る限りはやはり高齢者対策に係る予算額と子ども関係 児童家庭対策に係る予算額というのはかなり差があります。高齢者対策の予算の方がは るかに大きいと言ってよろしいのではないかと思っております。  ただ、最近の少なくとも児童家庭局、私どもが所管しておる児童家庭局関係の予算、 平成12年度予算案では約8,800 億円ぐらいでございますけれども、ここ数年の伸びと いうものは厚生省全体の伸び率に比しても相当高く伸び率を伸ばさせていただいており ます。  そういう意味では少子化対策についての重要性、これが相当程度、認識をされてきた 結果としてこういう伸びが確保されておるのではないかと思っております。  ただ、相当、高齢者と比べて相当と申し上げましたけれども、取り方が結構、難しい 年金とか老人医療ということも含めて考えますれば、もう桁違いの数字でありますので その捉え方というのが若干、難しい点はありますが、直感的にはやはりまだ差があるの ではないかというふうに思っております。   宮澤会長  よろしゅうございましょうか。それではこの次あたりに予算規模についてのデータも ひとつ用意していただけるとありがたいと思いますが、よろしくお願いいたします。  それでは次の問題に入ってよろしゅうございましょうか。次に政策科学推進研究発表 会「少子化について考える」と、これにつきまして阿藤委員からご報告をお願いいたし ます。よろしくお願いいたします。 阿藤委員  政策科学推進研究事業の発表会につきまして資料の8と9にございます。これを私が ご報告するのもちょっと幾分か筋違いの感じがしないではないのですが、この政策科学 推進研究事業と申しますのは、そこの資料の8の方を開いてすぐの所、頁がないので困 りますが、政策科学推進研究事業についてということで説明がございます。目的、研究 課題、予算、採択課題等が記してございますけれども、今まであった厚生科学研究の中 の一部門として、最近こういう形で固まってきた、そういう研究事業予算でございま す。  同時に、これは今回の研究発表会を主催しました社会福祉法人の恩賜財団母子愛育会 が、この推進研究事業の推進のために側面援助をすると、そういう形で位置づけられて おります。  そういうわけでこの発表会は愛育会が主催するという形で先週の2月25日の金曜日に 1時から4時半までJAビルという都心の国際会議室を利用して行われまして、200 名 弱の方がお集まりいただいて開催されました。  もちろん政策科学推進研究事業の研究課題には様々なものがあるわけでありますが、 今回、こういう形での発表会は第1回ということもありまして、比較的、時事的に多く の人にわかりやすく、かつアピールしやすいテーマということで少子化ということに絞 って、しかも、それについてもいくつかの課題があるわけですけれども、時間の制約も あって3つの研究課題、平成10年度までに終わったものということで、その3つの研究 課題を選びまして発表会を行ったということでございます。  その3つと申しますのはその資料の8の目次にございますように、ひとつは私自身が 主任研究者を務めました「家族政策及び労働政策が出生率及び人口に及ぼす影響に関す る研究」という課題であります。  第2番目が、愛知淑徳大学の小倉千加子先生が主任研究者になって行われました「女 性の未婚率上昇に関連する意識についての調査研究」というものであります。  第3番目が、ライフデザイン研究所の前田正子先生が主任研究者として行われた「保 育の実態に関する基礎的調査」というものであります。 ただ、この3つは研究の費用 サイズの点で大変アンバランスでありまして、第1番目の研究は5つの研究班を設けて 研究協力者35人で行われた非常に大きな研究プロジェクトでありますが、その点、2番 と3番はお一人が努力してやられたという、そういう研究でございます。ですから、時 間配分としては1の方にだいぶ大きく偏った形で発表会が行われました。  研究会で発表されましたそれぞれの要約は資料8の中の方に3行ばかりで書いてござ います。しかし、もう少し詳しくは資料の9の方に書いてございまして、私自身が主催 しました最初の研究課題につきましては頁の4、5というところに概略が書いてござい ます。その後でそれぞれの研究課題毎に発表資料がついております。  最初、私自身が主任として行いました「家族政策及び労働政策が出生率及び人口に及 ぼす影響に関する研究」でございますが、その4頁のところに書いてございますように これは政策課から与えられた研究課題でもあったわけでありますが、さきほど話題に出 ました政策効果を測る研究ということでありました。  ただし、この話が来ましたのがちょうど人口問題審議会が例の答申を議論し始めた頃 でありました。当時の状況として、政策効果そのものを具体的な政策を取り上げてその 効果を研究するには、例えば児童手当のレベルは大変低いものでありましたし、あるい は育児休業制度もまだ始まって何年と、所得保障が始まってまだほんのちょっとと、そ ういう状況であったりしまして、まだまだ具体的な少子化対策が日本の出生率、結婚に どういう影響を及ぼしているのかということを直接、検証するのは大変難しいのではな いかということでした。そこでこの研究課題では、むしろ既存の統計資料を利用しまし て、いくつかの仮説を立てそれが統計的にどういう関係になっているのか、もし、ある ファクターが出生率なり婚姻率に有意な影響を持つならば、それをめぐる関連の政策は 効果があるのであろうと、こういうふうな政策効果の推論をする形の研究にしていこう と、そういう基本方針を立てました。  そして、4つほどの少子化の背景に関する仮説をたてまして、それぞれについて研究 班を組むということをいたしました。  ひとつは、居住環境の問題でありまして、これは結婚に際して、あるいは家族の規模 を大きくしていくというような選択の際に関しても、住宅というものが大きく関わって いるのではないかということがしばしば議論されているわけであります。その関係がど ういう形であるのか、あるいはそもそもあるのかないのかそういうことを都市工学建築 関係の先生方のグループによって検討してもらうということで、これは東大の都市工学 の浅見先生に分担研究者になっていただきまして行いました。  2番目は、育児の経済コストあるいは結婚の経済コストというふうな観点で、これを 人口審の委員でもいらっしゃいます一橋大学の高山先生に分担研究者になっていただい て、主としてそういう経済学の先生によって分担していただきました。  3番目は、女性の就労、労働と少子化の関連を研究するということで、これは慶應大 学の樋口先生に分担研究者になっていただきまして、主として労働経済学の先生方によ って行われました。  もうひとつは、ジェンダーシステムと少子化ということで、これは日本おける性別役 割分業のいろいろな意味での制度、システムがこの少子化において大いに関係している のではないかと、こういうことをある程度、究明しようということで、これは主として 上智大学の目黒先生を中心とする女性学、あるいは社会学の先生方によって行われまし た。  少子化の背景に関する研究課題としてはその4つでありましたが、これを全体として 何か総合化することはできないのかということで、最初から5番目の研究課題として総 合化モデル、主としては出生力の経済モデルに基づく総合化モデルをともかく構築して みて、そこから何か政策的なサジェストが得られないかと、そういうことでこれも同じ く人口審の委員でいらっしゃいます中央大学の大淵先生に分担研究者になっていただき まして、主としてそういう人口経済学関連の先生方のご協力で研究を進めました。  ひとつひとつについてとても時間がございませんので、これについては資料の9、あ るいは本当にご関心のある方は若干、報告書の余部がございますので、そちらの方を見 ていただくということにしたいと思います。同時に私どもの研究所の機関誌「人口問題 研究」にその中のいくつかにつきましてはこれから掲載していく予定もございます。  ですから、そういうものを見ていただければと思いますが、研究の全体の結論的な部 分はその報告書の5頁にございます。それぞれの立てた仮説を統計的データで検証する ということでありますから、概ね期待する関係が出てくるということでもあるわけです けれども、ちょうど直前に小林課長の方からご報告があったような、日本が進めている 少子化対策をある程度裏付ける、そういう結果が個々については出てきたと言えます。 ただ、それぞれのひとつひとつの重要性が相対的にどの程度かというのはなかなか検証 が難しかったと言えます。  居住コスト、特に住宅の選択性、自由度、やはりどこかで少子化の問題に関係してい るのではないかということが統計的にある程度、出てきたということでありますから、 建設省が進めているような、若い世代に豊富な、しかも自由度の高い選択しやすい住宅 を提供するということは意義があるのではないかというふうなことであります。  子育て費用と出生力の関係、これは主としてベッカー流の経済モデルをあてはめる、 ここでは出生だけ書いてございますけれども、同時に結婚の方も行いまして、結婚につ いては同じく人口審の専門委員でもいらっしゃいます山田先生の仮説をそういう経済モ デルであてはめてみると、どちらもよく当てはまると、いう分析結果も出ております。  そういう意味では育児の経済コストというものを補填していく、あるいは機会費用を 下げていくと、そういうふうなことが経済学的に見れば大いに意義があるのではないか ということになるわけであります。  3番目の女子労働と出生率の関係はこれはもともと大変多くの研究もあり、よく言わ れておるところでありますが、これはかなり多面的に行われたので、なかなかひとつの 結論を言うのは難しいところがあります。 ここで記してございますのは、ひとつはこ ういう問題について通常は子どもを産む主体の女性の側を焦点に当ててデータ分析をす ることが多いわけでありますが、ここでは例えば企業もまた意思決定主体であるという 観点にたって、企業のデータを使っていろいろ考えてみるということも行われておりま して、その結果がここに若干、ふれております。  例えばここから出てくるひとつの結論というのは、確かに育児休業制度をより充実さ せて、女性が働きやすい、そして子どもも産みやすい、そういう環境を作るのはいいの だけれども、あまり企業に大きな負担を押しつけるということをすると企業はそこから 逃げてしまう、女子雇用をやめてしまうとか、そういうふうな企業にとってのコストベ ネフィットがあるので、その辺を十分配慮する政策が必要だということであります。育 児休業制度だけではなくて、むしろ労働時間を繰り上げたり、繰り下げたり、フレック スにしていく、フルタイムからパートタイムへの転換とか、そういうふうな自由度を高 めていくというふうなことも仕事と子育ての両立にとって意義があるのではないかと、 こういう結論も出ております。 4番目のジェンダーシステムと出生力、これは統計的 なデータも利用しましたが、同時に若干のインタビュー調査等、小規模な意識調査など も行って、これは主として現代の女性が結婚、出産に負担を感じていると、そういうむ しろ結婚観、出産観というものを調査し、そこから、今の若者が結婚回避、あるいは出 産回避をする傾向にあるのだと、そのことが今の少子化につながっているのだと、こう いうことが結論として出てきております。  そういうものを全体として取りまとめた結論が総合化モデルの方からも出ているので ありますが、こちらの方はいわゆるオーソドックスな人口経済モデルの中に若干の政策 変数を入れて、その政策効果を見るという、そういう研究でありますが、ひとつは、そ ういう育児環境や女性の就業環境を改善する、例えば保育所のコストを下げる、保育所 が誰にでも手に入りやすくするとか、住宅のコストを下げるとか、あるいは教育コスト を下げるとか、そういったことをすることによって出生率をある程度、上げることはで きるという結論が出ています。  しかし、もっと大きくは、このモデルでは、女子労働と出生率の両者の非常にネガテ ィブな関係というものを中立化していく、女性が労働参加するとしても出生率にはそも そも影響を及ぼさないと、そういうふうな形にしていくことによって出生率が大きく上 がると、そういうふうな結論が出ております。完全に中立化できるかどうかが別問題で すけれども、そういう構造的な関係があるのだと指摘しています。  そういう意味では、女性が働く際の個々の小さな施策だけではなくて、社会全体のジ ェンダー意識とか、そういうものが大きく変わることがこの少子化問題にとって大変重 要ではないかということで、その1、2、3、4の個別の研究を総合化した形の結論が 一応、出てきたということであります。私自身が報告会でも若干述べましたように、こ の人口審が出しました、いわゆる平成9年の人口審報告というものの政策的なポジショ ンと言いますか、指針を支持した結果が出ているのではないかというふうに考えており ます。  私の方の研究課題は以上でありますが、その他に2番目の小倉千加子先生のものは34 頁にございます。1番目の報告は専ら時系列、あるいは都道府県、あるいは官庁で行っ たいくつかの指定統計の個表データの分析というふうな統計的分析が主としたものであ りましたが、小倉先生のご研究は全くそれとは性質を異にして、いわゆる心理学的なア プローチで、右の方の上の方にありますように未婚女性52人を、どういう形で選んだか なかなか難しい問題があるのですけれども、ともかく一人2時間ぐらい先生自身がイン タビューして、なぜ、未婚でいるのかということを突き詰めていくという、そういう調 査から出てきた結論を大変おもしろい形でご報告をなさいました。  その結果が35頁の右の方にずっと書いてございますが、ある意味では第1番目の研究 報告を何か頭から否定されるような、そういう研究結果でもあります。そもそも今の未 婚女性はそんな仕事と家庭の両立なんか全く望んでいない、むしろ皆が結婚したがって いるということです。しかし、それがなかなか理想の相手にめぐり会わないということ で、なし崩し的に歳を取っていってしまう。そして、40歳を過ぎたらもうこれはもうほ とんど結婚する意思はなくなってしまう。今の若い女性の側から見た結婚観というもの はそういうものだと、そういうようなお話でありました。  最後の3番目の前田先生の「保育の実態に関する基礎的調査」というのは40頁から42 頁の資料でございます。当日これに加えて、日本の保育制度についての資料が配られま した。こちらの方は全くオーソドックスと言いますか、日本の保育制度と様々な保育 サービスがどのように実態として提供されているのかということを様々な資料を使って 明らかにするということが行われました。一応、以上で終えたいと思います。 宮澤会長  どうもありがとうございました。それではこのご報告につきましてどうぞ質疑ござい ましたらお願いいたします。 小林委員  一番最後の前田先生のご報告なのですが、保育の質と言いますか、そういうものにつ いての検討はあったのでしょうか。 阿藤委員  保育所の中のサービスの質のようなものですか。 小林委員  そうですね。それから保育の時間、保育者の質というものを検討しているでしょう か。 阿藤委員  これ、私自身の研究ではないものですから何ともあれなのですけれども、特にやはり 量的、時間的なものが主であったように思います。 小林委員  最近、アメリカでもう10年ぐらい前から1,300 人の産まれたばかりの赤ちゃんをフォ ローアップしてどういう子育てをしたか。例えばお母さんがやったのか、あるいはお父 さんがやったのか、おばあちゃんがやったのかとか、保育園でやったのかと。保育園も どういうところでやったのかというデータと子どもの発達をずっとフォローアップして 毎年、専門家がチェックして影響があるかないかということを調べている研究があるの ですね。  これはもう今までどこの国でもやられなかったことでありまして、保育園に子どもを 預けていくというのは親も心配し、専門家の中にも、いや、やはりお母さんがちゃんと 育てた方がいいのではないかとか、そういう意見もありますし、いろいろな人が迷って いるのですね。しかし、決定的な答えをどこの国も出していないのです。  もちろんアメリカでやったからって、それをすぐ日本に当てはまるとは言えませんけ れども、アメリカでは既にそういう研究をやって、ちょうどその子どもたちが小学校に 入るぐらいになりまして、そのデータがぼちぼち出始めているのですね。  それが今度、7月の北京で開かれる国際行動発達学会でシンポジウムをやることにな っている。私も参加してコメントを言えというものですから、行こうと思っているので すが、それはアメリカのナショナル・インスチュート・オブ・ヘルス(NIH)の中にある ナショナル・インスチュート・オブ・チャイルド・ヘルス・アンド・ヒューマン・デベ ロップメント(NICHD)がやっている研究なのです。  これは大変、重要なことだと思うのですが、日本も保育に子どもを預けるのならばお 母さんが育てたよりいいとか、こんなお母さんでは困るとか、とかいうようなことを少 し積極的に研究した方が間接的に女性の少子化の歯止めになるのではないかと私は思う のですね。  答えはどうも、お母さんと子どもの関係がちゃんとすれば、どんな子育てをやっても 大抵のことは大丈夫だというのですね。だけれども、悪いところで保育をすると認知発 達が悪くなったり、あるいは問題行動が出たり、言語発達が悪かったりすることはある けれども、母子関係がちゃんとしていれば、どんな子育てであって、ほぼ大丈夫だとい うようなデータなのですね。  ですから、何かそういうことも含めた研究をしないといけないのではないかと、今後 のあれにも関係すると思いますけれども。 宮澤会長  ありがとうございました。どうぞ。 八代委員  阿藤さんの方からいろいろな研究が行われたということなのですが、もうそろただ何 でも少子化に対する研究をやればいいというのではなくて、もう少し方向を定めた整理 が必要な段階ではないかなと思うわけです。  ひとつは、この中の研究でも矛盾した結論が出たということなのですが、大事なのは クロスセクションの研究とタイムシリーズの研究をちょっと分けて整理することが必要 なのではないかと思います。  例えば目黒先生の研究というのは、一時点だけで見て今の女性が理想の相手にめぐり 会わないから結婚しないのだという結論ですが、それでは、昔はどうだったのか。昔は そんなに理想の相手にすぐめぐり会えたのかどうかという疑問ですね。  また、山田先生のパラサイトシングル仮説がここで立証されたということなのです が、これもクロスセクションです。都道府県ベースを見たら結婚相手となる男性の所得 と比で見た親の所得が高い程、結婚確率が低下しているというのは確かにそれはそのと おりなのですが、それでは、昔はどうだったのか。年功賃金はむしろ昔の方がきつかっ たわけですから、親の相対所得はむしろ高かった筈です。これが正しければ昔の方が出 生率はむしろ低かったのではないかというか、そういうタイムシリーズとクロスセクシ ョンとの矛盾があります。少子化の原因がわからなければ政策も出てこない。今、パラ サイトシングル仮説が世の中で猛威をふるっているのですが、この仮説に基づく政策提 言は実は人口審が言っていた働き方の改革とか、保育所サービスの拡充というのはやや 異質なもので、むしろ人々の意識啓発をしなければ駄目なのだという政策提言になるわ けですね。もちろん同居税というかなりドラスティックな提案もあるのですが。  ですから、そこはもういろいろな研究があるから活発でいいですねというだけではな くて、もう少し少子化研究の整理統合の時代に今、きているのではないかということだ と思います。  もうひとつは、さきほどの小林課長のご説明との関係なのですが、働き方の問題と か、保育所サービスが不足しているのが少子化の原因だという方向性については議論が 出ているとしても、ではどれくらい保育所が必要なのかということについては、まだ、 はっきりしていないので、やればいいのだということにはならないと思います。  この加藤さんの研究というのはその点、かなり数量的にきちんとしていて、例えば保 育所のキャパシティを50%増やせば出生率が0.1 ぐらい上がるという明確な結論で、こ うであれば今のように待機児童さえ解消すればいいのだという保育所政策では全く間に 合わないわけなのですね。むしろ大々的な規制緩和によって夜間保育、休日保育みたい なものを大幅に増えなければいけない。  そういう意味では単に保育所を増やせばいいのだというより、どれぐらい増やさなけ ればいけないかという政策提言が出てくるわけで、ぜひ、こういう時系列に基づいた ベースの研究でもうどれくらい増えればどれらい出生率に影響するかというような出生 率の研究に重点を置くようなことが必要なのではないかと考えております。 宮澤会長  ありがとうございました。他にございましょうか。少子化問題に対する研究は今のよ うな重要な局面にあり、さっきおまとめいただいたと思うのですが、同じことを別の面 から見てお尋ねしたい。今度の報告で新しいファクト・ファインディングがあったのか どうか、印象的なファクト・ファインディングがあったのかどうかという点です。今、 八代委員 からもご指摘がございましたように、今後は総合化の方向、数量化の方向に進まなけ ればならないというわけですが、今までのレベルの研究はすでに収穫逓減の段階に入っ ているのでしょうか。まだ、そうではなく掘り起こすべきことが多いということでしょ うか。 阿藤委員  八代先生はかなりこういう研究が行われているというようなご発言だったのですが、 私自身はそうかなという感じがちょっとします。  実は少子化問題が騒がれましたのは、さきほど小林課長からお話がありましたよう に、まさに1.57ショック以来でありまして、それ以前、少子化の問題、少子化という言 葉もなかったわけでありますが、低出生率問題に関心を持つ学者は日本で数えるほどし か多分いなかったのではないかと思います。国立社人研、当時の人口研がほとんど主と してデータも持ち、調査をして報告書を出すということぐらいしかなかったかのではな いかと思うのです。  ですから、本当にこの10年間、じわじわと問題の深刻さが深まると同時に研究者の関 心が高まってきたと思います。同時に少子化が政策課題として大きなものになってくる と当然、いろいろな意味で予算が膨らむし、昔の高齢化対策と同じように、少子化で研 究課題を要請するとお金がつきやすいとか、そういうふうな研究から言えば一種の良循 環ですね、そういう方向に動いてきて、私の印象では、他分野の研究分野の方がこの問 題の研究に多く参加されるようになってきたという印象を持っています。  かつては人口学者だけであったのか、それがある時期、経済学者がこの問題に関心を もち、特にベッカーモデルを武器に入ってきました。そしてさらに最近、社会学の山田 先生のような、特に家族の分野とか、あるいは女性学の分野からも入ってきました。女 性学の方は、かつてはある意味では非常にイデオロギー的と言いますか、そういうかな り基本的なポジションの違いとか、そういうものを強調する形でありましたけれども、 最近ではもう少しそれを地道にデータで検証しようという方向に変わってきたというこ とで、だんだん広がってきたということがあると思うのですね。  今回のこの研究も、そういう意味でむしろ意図的にそういう多方面の分野の人に関心 を持ってもらうということもあって、いろいろな分野の人を、言葉悪いですけれども、 引きずり込むということをねらいました。 例えば都市工学系あるいは建築系の先生の グループですね、もちろん浅見先生はそれ以前からこの問題に関心持っておられたので すが、とりわけこういう先生のグループに入っていただいて、かねがね我々が何となく 漠然と思っていた居住、住居、そういうものと少子化の関係というのをともかく一度、 きっちり統計データで詰めてもらえないかと、こんなふうなことも目指しました。  ですから、私はこの研究分野は収穫逓減にはまだまだいっていないのではないかと思 います。もう少しいろいろな形で研究がなされ、そしてあるステップ、あるステップで そういう研究成果を総合化する、これは八代先生がおっしゃったように整理、総合化す る、そしてまた再び、もうちょっと新しい視点からとか、あるテーマに特化して研究を 進めていく、そういう形でまだまだ研究が開拓される余地があるのではないかというふ うに考えております。 宮澤会長  ありがとうございました。どうぞ。 岡崎専門委員  今の報告を非常に全部、おもしろかったし、阿藤さん、報告したのは非常にオーソド ックスな本格的な研究だと思うのですが、意外に私、興味持ったのはこの小倉さんとい う方のやられた52人のアンケート調査なるものと、その結論ですね。これは非常におも しろくて、実はここのところに相当重要なファクターがつかまえられていたのではない かと。  私、非常に自然主義というか、こういう都市化、工業化社会というものが非常に人口 の再生産に悪い影響を与えていると、こういうふうに思いまして、逆に考えると人間ら しい生活というのはちょっとこの小倉さんが微かにつかまえたような、女性というのは そんなに頑張る気持ちはないと言ったちょっとまずいのですが、要するに子どもを産ん で育てて豊かに暮らしたいというふうな気持ちを持っている方が多いのではないかとい う結論ですね。これはもう少ししっかりとこの調査、進めることは必要なのですが。 そういう結論が出たとすれば今度は政策的な判断は、例えば私、産婦人科の医者では ないので大変困るのですけれども、出産適齢期というものがあるということをよく聞く のですけれども、20歳代の前後、25歳ぐらいまでのところで子どもを産んでというのが 一番いいというようなことを言われる方があったのですが、そうだとするとそういうこ とをひとつの柱として決めて、そうやって女性の方が結婚して、そして子育てが済んだ ら働こうというふうな作戦を取ると。そういうライフプランを立てて、それがサポート できるようなシステムを作るということがひとつの健全な方法ではないかなと思いま す。 ついでに言いますと、男の子も全部、大学まで行く、あるいは大学院に行くというの はちょっと問題なので、本当は20歳ぐらいの高校卒業したときに一旦、社会に出て、自 分が本当にやりたいことは何かということが決まってから、次の学校を決める。同時に その時点で結婚するということについてもかなりその時点で早く決めてしまうと、こう いう社会にするのがひとつの理想ではないかと。大変、つまらない意見ですけれども、 私はそう思います。 宮澤会長  ありがとうございました。どうぞ。高山委員。 高山専門委員  従来の研究だけでどの程度にいっているかということなのですが、八代さんの意見は 私はまだ収穫逓減まで至っているというふうに主張したのではないというふうに理解し ております。  基本的にクロスセクションのデータが中心でして、タイムシリーズ、ほとんどないの ですよね。ですから、タイムシリーズやらなければいけないし、日本はまだマイクロ データによる分析、足りませんし、パネルデータの蓄積もほとんどないというような状 況でして、事実として何が起こっているかということについての共通理解の面でまだわ からないことがいっぱいあるのではないかと。そういう意味で私、そういう事実の理解 を深めるための研究はまだもっとやる必要があるというふうに思っております。  2点目は、私もこの阿藤さんの研究グループの中の一員だったのですけれども、仕事 と家庭の両立を支援するとか、あるいは出産や子育てに伴うコストを軽減するというこ との重要性というのは経済学者として非常にわかりやすくてすっと入れるのですが、や はり衝撃を受けたのは私も実は小倉さんの報告だったのですよね。それから山田さんは ここにいらっしゃいますけれども、パラサイトシングルに関するひとつの仮説というの がありまして、私自身、経済的なバックデータで確認できるかをチェックしたというこ となのですけれども。  新エンゼルプランを拝見しても、今、まさに小倉さんや山田さんが主張なさっている ことに対する配慮というのが事実上、希薄だなと思うのですね。子育て、仕事と家庭の 両立支援だとか、出産や子育てに伴うコストの軽減というところではそれなりの配慮を この新エンゼルプランはしていると思います。  ただ、小倉さんや山田さんがおっしゃっている、要するに心理学者や社会学者のグ ループが主張していることに対する配慮が少し足りないというのは私の率直な思いであ ります。  それは最近、岩波新書で『子どもの社会力』という本が出ておりますけれども、これ に並んでどうも私が実は気になっているのは大人の社会力という、こんな言葉を言って いいのかよくわかりませんけれども、パラサイトシングルをめぐる話というのはまさに 母子密着と言いますか、親の方の問題、結構あるというふうに山田さんは主張なさって いると思います。  あるいは小倉さんのおっしゃった中でも結局、なぜ、若い女性が今のような結婚観を 抱くに至ったかというのは母親の影響が非常に強いというふうに言われているわけで す。その母親、その家庭における子どもの教育を親がどうしているかという点ですね。 それは少なくともこの少子化対策基本方針、結婚や出産は当事者の自己判断だと、自己 責任だというふうに言っていて、皆、個人に任せちゃっているのですね。何も社会的に しないということなっているのですけれども、実は個人や当事者の判断が本当に社会的 に見て合理的なところと適っていない部分あるとすれば、何かどこかがおかしなはずな わけでありまして、そこを埋めるような話というのは意識なのか、コストなのか、その 辺の詰めをもっとやる必要がある。  私自身はこの新エンゼルプランを見ても、従来から見ればかなりの前進にはなってい ると思いますけれども、大人の社会力なんていう言葉を使っていいのかどうかよくわか りませんけれども、今、まさに問題になっているのは日本人全体のそういうことなので はないか。同じように社会、豊かになっている国があるにも関わらず、アメリカではそ んなに出生率、落ちていないわけですね。ただ、単に豊かさの帰結であるというふうに 問題を解決できないところがあるはずなのです。  高校出たら子どもが独立するものだというカルチャーがある国とそうでない国の差と か、あるいは教会が果している役割がちゃんとある国とか、何か日本になくて外国にあ るものとか、何で日本はこうなってしまったのかということについて意識も含めてもう 少し議論を深めていく必要があるのではないかというふうに思います。 これは人口審のテーマなのかどうかよくわかりませんけれども、私自身は最近の山田 先生や小倉さんの発表を聞いて、そういう感想を持ったということです。 宮澤会長  ありがとうございました。他にございましょうか。はい、どうぞ。 山田専門委員  いろいろ言及されてお恥ずかしいのですけれども、阿藤先生や八代先生からご批判と いうか、反対、阿藤先生から小倉先生と阿藤先生グループと感じが違うとか、八代先生 から方向が違っているというふうに言われたのですけれども、私は必ずしもそうは思わ ないところがありまして、家庭として女性が働きたいというような願望が実現するから 働いているのだというのが私はちょっと疑問に思っていて、多分、小倉先生も疑問に思 っているところだと思います。  そうではなくて、女性が働かなくては豊かに暮らせない現実というものを私は強調し ているわけで、多分、小倉先生もそういうことを言いたいと思うのですけれども。  それを実現するための方策、厚生省、人口問題審議会の方向、その他というのは私や 小倉先生の家庭というのはそれほど違ったものとは私は思っていないのですが。ちょっ とすみません。ちょっと言い訳になりますが言わせていただきました。 宮澤会長  ありがとうございました。大変いろいろなご発言がございました。全体の流れを見ま すと、我々が平成9年に出した「審議会報告」がかなりの社会的な影響を持ったかに思 われると自負したいところですが、それに基づいた議論がワンラウンドしました。まだ 行き着いてはおりませんけれども、ともかくこれから新しい視点が必要な段階に入っ た。全体の共通理解に達したかどうか、経済学、心理学、社会学との間の接点をどう位 置づけるのかとか、そういう点を含めて、これからは問題意識をさらに一歩進めた展開 がいずれにしても必要であろう、そういう段階に来ておるのではないかというような印 象を受けました。  その意味で今後の進め方につきましていろいろと議論で出てくると思いますので、ま ず、事務局から資料の説明をお願いいたしまして、議論を続けたいと思います。では、 お願いいたします。 蒲原企画官  はい。それではお手元の資料で資料10というものがあろうかと思いますので開いてい ただきたいと思います。  今後の進め方、この審議会におけます今後の検討課題についてでございますけれど も、本日、ここにひとつ「出生率に影響を与える未婚化・晩婚化の要因の分析」という ものをひとつ案として出させていただいております。本来、この審議会の先生方にまさ にご議論いただきましてご相談いただきたいとふうに考えておりますが、ひとつの案と してペーパーを用意させていただきました。  皆さん、ご承知のとおり、出生率に影響を与えるものという観点では未婚化・晩婚化 という、まさに結婚の要因とまさにそのときの夫婦の子ども数というのがあろうかと思 いますけれども、近年のいろいろな分析からわかっておりますとおり、結婚要因、すな わち未婚化・晩婚化の要因が非常に大きな影響を与えるという状況にございます。  こうした未婚化・晩婚化の要因につきまして当然、平成9年の本審議会の報告書をま とめる過程におきまして様々な議論がされておるわけでございますけれども、ここでも う一度、そうした未婚化・晩婚化の要因の分析というものをきちんとやったらどうかと いうのがここの問題意識でございます。  併せまして実は今年は2000年ということで国勢調査の年にあたりますが、こうした国 勢調査の結果を踏まえまして、今後、新しい人口推計の作業というものが、また平成13 年度始まることになろうかと思いますけれども、やはりこの出生率の動向というのをど う見るかというのがやはり大きなポイントであろうかと思います。  そういった意味では、そうした出生率推計というものもひとつ念頭に置きながら、こ こで未婚化・晩婚化の要因の分析というものをきちんとやったらどうかというふうに考 えてございます。  この資料の左のところに社会学的要因、あるいは経済学的要因ということで整理をさ せていただいております。この部分は主として平成9年にまとめていただきました報告 書の中から取り出したものでございまして、さきほど来、いろいろな議論がされていま すとおり、個人の考え方の変化、あるいは育児の負担感、仕事との両立との負担感とい ったようなこと、あるいは女性の高学歴化が進んでおって、特に四大への進学率等が上 がることによって女性の経済的な自立が図られておる。あるいは機会費用が増加してい るといったような経済学的要因と、いろいろな要因があろうかと思います。  報告書の中でまとめられていたこういう要因自体について、再度、検討を加えて、そ うした要因が本当にそうなのか、あるいはこの他にどのような要因があるのかといった ようなことをきちんと分析をしたらどうかというふうに考えてございます。  その上でこうした要因が将来、どのような方向に変わっていくのかということを受け まして、最終的に未婚化・晩婚化の傾向というものがどういうふうな方向になっていく のかということをご議論いただければと。そうしたら将来の動向を、言わば出生率の推 計にどのように反映させていくのか。こうしたことを議論したらどうかというのが事務 局側のひとつの案でございます。 頁めくっていただきまして若干の資料をつけてございます。見慣れた資料でございま すけれども、2頁のところ、上のところは合計特殊出生率の推移ということで、直近の データで1.38という状況になってございます。女性の未婚率でございますけれども、2 頁の下の方の図でございますけれども、1985年の段階で、例えば丸印で書いてございま す25歳から29歳の女性、30%から直近では50%ということで大きく女性の未婚率が上が ってきているという状況でございます。 1頁めくっていただきますと、晩婚化の傾向ということで、平均の婚姻年齢、夫の初 婚のところ、上から2つめでございますけれども、2つめの実線のところ、直近のデー タで言えば28.6歳という数字になっております。他方で、妻の方の初婚の年齢、この図 でいきますと一番下の実線の図でございますけれども、ここのところは直近のデータで 言えば26.7歳と、こういう状況になってございます。  以下、あと2頁、後ろの2頁は合計特殊出生率につきまして現在の人口推計をベース にした状況、あるいはそのときの出生率の仮定についてどのように置いているかという のを参考までにおつけをいたしております。  いずれにいたしましてもひとつの事務局の案としてご提示をいたしましたので、ぜ ひ、この場で委員の先生方のご議論をいただきたいと、こういう趣旨でございます。以 上、簡単でございますけれども、ご説明を終わらせていただきます。 宮澤会長  ありがとうございました。それではこれに基づきまして議論をお願いしたいのです が、事務局は遠慮されたのか、検討の課題は出してあるけれども、検討の方法は出して おられない。しかし、いずれにしても、その点が重要かと思います。  もうひとつは、政府の最近のこの問題に対する政策決定など対応の仕方を見ても、決 定過程がその場その場のアドホック的な感触があり、そういう面に対しても、ある方向 性を与えるような見方を確立する必要があるかと思います。どうぞ、よろしくお願いい たします。  なお、資料についてひとつだけ申し上げておきたいのですが、資料2、横長の資料に は、今までの経緯の主要な取り組みが出ておりますが、ひとつ重要な制度上の変更が抜 けておりますのは、平成9年の項です。  ちょうど阿藤委員のご報告の資料の9の8頁になっておりますが、1997年、公的保育 所の運営が、措置制度から選択制に変更されたことです。 これは非常に大きな制度上 の変更で、資料の2には落ちておりましたけれども、従来の措置制度から選択制に変え るということで、戦後の児童福祉法が50年ぶりに改正されたということでございまし た。  そういう制度的な背景を踏まえて、どういうように問題を進めたらよろしいか、ひと つよろしくお願いいたします。 岩渕委員  合計特殊出生率の数字出てないのですが、結果として1.3 そこそこぐらいの数字にな るのではないかというふうな観測もなされておりまして、これは人口研が推計した中位 推計のボトムである1.38を割り込むのは火を見るより明らかでありまして、低位推計が 昨年が1.33ぐらいの予測でしたかね。だいたい低位推計のレベルなのですよね。  そういうことになって、しかも、全く歯止めのかかる兆しも全く見られないという、 そういう状況の中で、やや少し呑気すぎるのではないかというふうな危機感を感じてい ます。  この検討課題の中で晩婚化・非婚化ということを取り上げるということなのですが、 それはもちろん結構ですが、さきほど指摘もありましたように小倉さんの分析の中で女 性は結婚する意欲はあるのだということを、そういうふうな結論めいたというか、一種 の示唆があったような受け取り方をされているようですが、その中に出てくるのは設問 の仕方が、設問ではありません、理想の相手にめぐり会わないとか、適当な相手がいな いというような前提があるのですから、もともとこういう前提自体の置き方がいかがな ものかというふうに思いますので、もちろんそういう意味で言いますと、さらに晩婚・ 非婚化の問題を深めていくというのは必要があろうと思います。  ただ、最近のこの極端な出生率の低下がすべて晩婚・非婚化だけで解決して、に起因 するものかと言ったら、そうではないのではないかなというのが最近の大きな状況では ないかと思います。  ひとつは、やはりこの経済不況の中で所得の減少、雇用不安、そういったようなもの が大きくのしかかってきているのは間違いないところであろうと思います。それは若 者、未婚者だけの話ではなくて、結婚した夫婦の間、夫婦に対しても大きな圧力になっ てきているのもまた間違いないところであろうというふうに思います。  そういう意味で言いましても、夫婦の出生率の低下、これは人口研の調査でも結婚を してなかなか産まなくなっているという、そういう傾向も既にかなり前から出てきてい るわけで、それなのに未だに出生率低下の原因は晩婚・非婚化だなんて呑気な父さんみ たいなことを言っているのは非常に不満であります。  それももちろんそちらも大事なのではありますけれども、いったい、結婚した夫婦の 出生率の低下というものをこの問題を早くきちんと対応して議論しなければいけないと いうふうに思います。  その関連でいきますと、今度、この来年度でまた蒸し返されてくる児童手当の問題に 対してこの審議会としてどう考えるか。それから最近、盛んに議論されている移民の問 題をどう考えるか。それをここで議論するのかしないのかも含めて皆さんのご意見を伺 いたいと、かように思います。 宮澤会長  ありがとうございました。はい、どうぞお願いいたします。 河野専門委員  まず、簡単なことから申し上げますけれども、この中でひとつは、人口統計のもっと 整備と言いますか、強化と言いますか、そういうものも、まず、お願いしたいという か、申し上げたいと思うのです。  ここは必ずしも統計審議会ではございませんのであれですけれども、日本の場合、例 えば国勢調査で出産力の調査というのをこれまで昭和45年までやっていたのですけれど も、それ以後、いろいろな理由でプライバシーとかということで打ち切りになっている わけですね。  そういうことで先進国と言いますか、そういう非常に関心のある国の中でこういう出 産力を国勢調査で調べてないというのは日本だけなのですね。同時に、結婚の関係の統 計も国勢調査で調べてないわけです。  これはもちろん出産力調査とか、そういうのをやればいいのではないかということな のですけれども、やはりこれは数が違いますし、これはもう全数調査でありまして、や はりいろいろな意味で細かく分けると、例えばサンプル調査だと誤差が出てくるとか、 そういうこともあるわけですね。そういうことでもう少し統計を整備していくのもこの 機会に、特に出産の関係の統計を整備するというのがひとつかと思います。  もうひとつは、今度は動態統計なのですけれども、これはちょっとこういうところ で、私ももっと昔、言えば良かったではないかと言われるかもしれないのですけれど も、例えば日本の場合には結婚だとか出生だとか、そういうものにいわゆる教育程度と か、そういうものの分析、集計がないのです。教育程度ということ聞いておられない。  例えば結婚なんかを分析する場合に教育程度があると非常に、例えば三高現象、いろ いろな三高現象というのがありますけれども、そういうことで前から不満を持っている わけですけれども、こういう全般的に出生統計と言いますか、人口動態統計と言います か、そういうものを整備されるような方向に人口問題審議会の方からでもできないのか なということです。  それから今度、話が全然違いますけれども、ここに今後の検討事項の案というのも非 常によくできているものだと思いますが、やはりさきほど、これは会長が冒頭に言われ たのですけれども、何か優先順位をやはりつけるような、そういうあれはできないかと いうことですね。  これまでありましたように、やはり意外と仕事と結婚、出産の両立というか、その負 担度というのが非常に、感じですけれども思ったよりはそれは小さいのではないかとい うような、そういうような今までのお話を聞いていますと、むしろやはり個人の結婚観 の変化だとか、そういうようなところが大きいのではないか。  さらにもっと例えば山田先生の言われるようなそういうパラサイトシングルの考えと か、最近は林ミチヨシさんの「父性の喪失」ということがあって、そういところから結 局、子どもがスポイルされているものだから結婚しないとか、結婚するガッツがないと か、そういうようなところが、その辺のところが意外とやはり、これは高山さんが言わ れたと思いますが、その辺のところがちょっと前提にこの報告に反映されてない、それ は確かにそうだと思います。だから、何かそういう優先、もう少しひとつはもうちょっ と優先順位のようなものができないかと、そういうことです。  また、話は全然違いますが、やはり私は未婚化というような、晩婚化あたりのことが やはり同じように報告書にちょっとやはりまだ反映し足りないなという、そういうこと があります。それはやはり結婚しなければ、例えば1人の結婚している女性が2人産ん でも70%しか結婚していなければ1.4 しか産まないと、そういうことなのでありまし て、やはりいろいろなことで未婚化、晩婚化という影響は非常に大きいと思うのです が、やはりそれがかなり今ではまだまだ圧倒的に大きいと思うのですけれども、それが 言われる割りには反映されていないと。そういうことだと思います。  もうひとつ、この未婚化、晩婚化を将来の出生率推計にどう反映させるか。この辺も だからやはりデータが今までなかったということですね。  もうひとつは、やはりこれはちょっとまたあれですけれども、将来の出生率推計にも う少し幅を持たせるというか、もう少し確率論的な、例えば高位、低位というようなも のがもう少し確率論的に、その間に例えば95%ぐらいの確率で、そういうようにもって いくようなそういう方向でおやりになられたらいいのではないかと思いますけれども。 大変、とりとめのないことを申し上げましたけれども、以上でございます。 宮澤会長  どうもありがとうございました。どうぞ。 井上委員  私、今後の検討事項というものを拝見いたしまして、岩渕先生とはちょっと感じが違 って恐縮なのでございますけれども、これは必要な研究方向ではないかというふうに感 じたわけでございます。  と申しますのは、確かに既婚者の出生率というものも下がってきておりますけれど も、やはり未婚化による出生率の低下というものが現在までのところは少なくとも圧倒 的に大きな影響を持っているわけなのですね。これが今後、どうなるかということを考 えてまいりますと、この未婚化の問題が早急に解決される兆しがないように感じており ます。  この検討事項を拝見しておりまして感じた点を2点だけ話させていただきますが、ひ とつは、さきほど来、研究事業発表会のお話が阿藤先生、その他からございました。私 もたまたま時間があったものですから、ここに出席をさせていただきました。度々、こ れも言及されておりますけれども、小倉先生ですか、これのご報告というものにやはり ショックを受けた一人でございます。これは何かを前提にして議論を進めるというので はなくて、インタビューの中から結論を導き出すということで、今まであまり見られな かったような研究方法ではなかったかと思います。  ただ、私、ここで不満に思いました点をひとつあげますと、これは小倉先生でした か、これは女性を対象にしてやっているのですね。女性がなぜ、結婚しないのかという 原因を考えておられる。しかし、結婚しないのは女だけではございませんで、未婚化が 進んでいるのは男性の方がもっと酷いわけでございます。これは女性が結婚してくれな いから男性が結婚しないのだというふうな単純なものではないと思うのですね。男性は 男性なりにやはり理由があって結婚をしないのだということであろうと思うのです。  したがって、この未婚化の研究をする際に女性がどう思っているのか、女性の子育て 負担がどうなのかということは重要でございますけれども、男性に対してももっと注目 を払っていくべきではないかと。これが第1点でございます。  第2点は、未婚化、あるいは晩婚化ということを研究する際に、未婚者、なぜ、結婚 しないのかということが中心になるわけですけれども、よく考えてみますと、未婚者よ りもやはり既婚者の方が多いのですね。いろいろな様々な困難にも関わらず結婚する人 がいるのです。  ちょっと議論が飛躍して恐縮でございますけれども、未婚化が進んでいるということ は、その背後に結婚して作る家庭というものが、家族というものが大きく変化してきて いるではないかということを感じるわけでございます。  これはヨーロッパ、あるいはアメリカなどを見ておりますと、従来の核家族、夫婦が あって子どもがあって子育てをするのだと、そういった近代家族と言っていいのかもわ かりませんけれども、こういうものがだいぶおかしくなってきている。そういう家族と いうものがスタンダードではなくなってきている。結婚してもどんどん離婚してしまう とか、あるいは結婚そのものをしないで同棲のままで子育てをしていくというようなも のが、特に北欧などではもう主流になってきている。  日本でもまだそういうことになっておりませんけれども、日本人が若い人たちが結婚 して作り上げる家族というものがどうも今までの家族とは違っているのではないか。家 族の機能と言いますか、そういうものが変化してきているところに結婚に踏み切れない 人たちが出たりしているのではないかという点が考えられるような気がするのです。  そういう意味で、社会学的な要因ということになるのか、経済学的な要因ということ になるのかわかりませんけれども、家族そのもののあり方と言いますか、あるべき家 族、あるいはこうあってほしい家族、現実にこうなってしまった家族、そういった面の 研究も必要なのではないかと、そんなことを考えておるわけでございます。 宮澤会長  ありがとうございました。どうぞ。 岩渕委員  私は何も未婚化の方をやるなとか、そんな馬鹿なことを言っているわけではありませ んで、そちらがメインで、それの方がプライオリティが高いというのは当たり前の話で ありまして、私が申し上げているのは、それだけでいいのですかという問題提起でござ いまして、誤解なさらないようにお願いしたいと思います。  今、井上先生がおっしゃったことで言えば、例えば家族というものもひとつの角度、 ものを考える角度としてはかなり有力なものではないかなと、それは大賛成でございま す。以上です。 山路委員  未婚化・晩婚化は再三、触れられましたけれども、少子化対策の前提になる話であり ますから、このテーマで取り上げるということについては私は異論はありません。  話の柱としては、今まで再三、触れられましたように、やはりひとつ取り上げなけれ ばいけない課題だというふうに私、考えているのは、やはり職場の問題だと思うので す。働き方の問題。これは非常に女性の働き方というのはいろいろな形で均等待遇が進 んできていると言われながらも、逆に均等法が強化されて保護規定が撤廃されたことに よってなかなかフルタイムで働くこと、夜間とか休日、深夜労働も認められたわけであ りますから、そのこととやはり結婚、育児との両立がなかなか難しくなってきていると いう、その厳しさがやはり今、出てきているのではないかと。それもやはり避けては通 れない話だということ。 それからパートと正社員がやはり賃金格差がやはり日本は依然として非常に広がって いるという面があって、例えばなかなかパートだけでは働けないので複合就労でダブル ジョブで働く女性たちが都会では増えていると。とても結婚ではないと。そういう側面 というか、そういう厳しさも出てきているわけでありまして、その意味ではちょっとご 相談でありますけれども、事務局にできれば労働省の女性政策課なり、女性労働課、こ の方々を入れていただければというふうに思うのです。 やはりそこら辺の話を抜きにしてはなかなか少子化対策というか、女性の働き方の問 題というのは解決しない話でありますから、できれば、ぜひ、事務局に労働省は厚生省 も一緒になることでありますから、一緒に加えていただければというふうに思います。 宮澤会長  ありがとうございました。どうぞ。 安達専門委員  少子化に対しましてはいろいろな原因があるとは思うのですけれども、その原因のひ とつにやはり学歴偏重社会と言いましょうか、そういう考え方があると思うのですね。  さきほどのいろいろな報告を聞いておりましても、やはり理想の相手にめぐり会えな いという中に女性側から見ますと高学歴とか、自分より学歴の高い人とめぐり会えない ということもありますし、また、いろいろな今、学歴や資格を得るために勉強やそうい うような大学、大学院というふうにいけば、経済力がない状態である程度の年齢がいっ てしまうわけです。  実際に家庭から見ますと、やはり日本の社会というのはまだまだ、さきほど岡崎委員 からもありましたけれども、欧米なんかと比べますと学生時代は親がいわゆるサポート するのが当たり前のような社会になってきております。ということはやはり子どもの数 が多ければ金銭的にもいろいろな育児の負担だけでなくて、年齢がいってからでも親の 負担は大きいということになりますし、また、そういうことから親から自立するという 点が遅れるかと思うのです。  私、前、八代先生と一緒に「少子化対策有識者会議」というものに入っていたのです が、そのとき、一番最後に意見としてペーパーで出させていただいたものの中にひと つ、日本のそういう考え方を根本的から変えるというのは大変難しいので、かなりドラ スティックな意見なのですが、例えば高校を卒業、中学卒業して働く方はいらっしゃる わけですが、高校を卒業してダイレクトに大学や専門学校に進むときには、それは一定 の何%、10%でもいいのですが、そういう枠で奨学金等を取っていくと。そしてその他 の人は一旦、1年でも2年でも社会に必ず出ると。そしてその社会に出てどんな仕事を し、どんなふうに社会に関与してきたかというようなレポートを書いて、それからまた 大学に、あるいはその上の学校に行く。今、適性検査というようなものが大学の入試に 組み入れられているような学部もございます。  そういうようなことを、もし、したときに果して自分が若い時代に社会人として日本 の社会の中で経済的にもいろいろなことを担っていく、いわゆる学生の考え方ではなく て社会人としてこの社会を考えていく、あるいは親から独立して経済的な、自分が経済 的に独立していくというようなことが、この少子化、あるいは学歴偏重の考え方にどの ような影響を与えるかというようなことが果して分析できますでしょうか。私は医師で すので、そういうことが分析できるかどうかちょっとわからないのですが、もし、そう いうことが分析できるのならば、非常にこれは欧米なんかでは、特にアメリカなんかで はもうハイスク−ルの時代から親からかなり金銭的には独立して考えている人たちなわ けです。  ですから、そういう日本は、さきほど合計特殊出生率が1.38、1998年から上昇してい く見込みが、兆しが見られないというような発言がありましたが、そういうことを考え ますと、やはりいろいろな調査に含めまして、もう、こうであったら果してそれが上昇 するであろうかというような検討ができますものでしょうか。私、ちょっとわからない のですが、もし、できればそういうこともお願いしたいと思います。 坂元委員  さきほどからこの未婚化、晩婚化、出ておりますが、そのお話を聞いていて結局、産 みたくなるようにしなければ駄目だと。それにはどっちから入っていく、内側から行く のか、外から行くのかと。その外堀から今、埋めかかっているなという感じがします。  それもひとつの方法でありますけれども、私は大変大事だと思うのですが、私も安達 先生と同じで産婦人科ですので、女性の体のことを考えますと晩婚化というのは大変困 ったことであります。遅くなってから産むということは将来の少ない子どもの質に関係 をしてくるからです。  なぜなら、男性の側は晩婚でも精子を毎日、新しく作って提供しますが、これはその 核の中にすべての問題が含まれていると言われていますが、女性の場合は産まれたとき に持ったままの卵がそのまま使われるわけです。  最近のことでわかっているのは男性と違って核ではなくて、細胞の核のまわりにある 細胞そのもの、原形質、これの変化が問題なのだということがわかってきました。とい うことになりますと、古くなってくればくる程、異常が出てくると。そしてまた、ちょ っとした流産、その他ということも起こりやすいということはいろいろなニュースから もご承知だと思いますが、そういったひとつの制限があります。  そして、私はちょっと少し話をこれまでの全体の流れからきて、この未婚化、晩婚 化、もちろんやらなければいけませんが、夫婦も産まなくなったというけれども、これ も家庭としては大変大事な、今までは夫婦は産んでいるよということが駄目になったの ですから、これはやることは大事だと思うのですが。  もっと長い目で見た場合に、私はぜひ、要求をしたいと思うのは、私は今、日本医師 会の少子化問題の委員会の委員長をやっておりましてまとめなければいけないのです が、たまたま今、こういうところであまり問題にされないのですが、私の後輩で産婦人 科の医者ですが、C型肝炎でまもなく亡くなりそうなのですが、それが遺言みたいに フィンランドのことを盛んに研究しまして資料を送ってくれました。見てくれというこ とで。  それをずっと読んでみて、ひとつ感心したのですが、少子化になってくると確か世界 人口白書の中にあったと思うのですが、本格的な人口低下が始まったところというのは 元に戻った例がないと書いてあります。それは確かに下がって、ここの水平にまでは何 とかいくのでしょうけれども、元に戻ってきたという例はないと書いてありました。  それが大々的なものであるとするならば、我々の将来、どうなるかということになれ ば、人口が減ってきた状態で我々の生活を維持していかなければいけないと。そうなる からこそ、移民の問題が出てきたり、あるいは英語の問題が出てきたり、いろいろな21 世紀に向かっていろいろ出てきますが、それはそういう姑息なことでなくて、実例とし てフィンランドで見れば、これはフィンランドという国が日本と同じぐらいの大きさが あって、人口が560 万しかない。つまり東京都の半分しかないわけですね。  それがスイスのある研究所の発表によりますと2050年にはGDPが世界3位になるだ ろうという予想が書いてあるのです。というのはその国の国民そのものが子どもも大人 も含めて非常に、医師会なんかでは心の問題と言っていますが、心というよりも考え方 の問題ということに徹底したものがあるという点で、そこはこれから伸びるであろう と。しかも、それだけ少なくて合計特殊出生率が1.8でずっと推移しております。決して 2.08ではない。1.8でずっと推移していて、しかも、経済的には伸びてくる。これはい ったい何なのかということであります。  結局、我々が将来、到達するであろう、ある水準が書いてありますね。2050年になる とかなり堪えてきます。2100年になるとかなり堪えてくる。そのときに真似する例がこ こにあるなという感じが私はします。  つまり、さっき考え方というのは、あそこの国では徹底的に小さい国でこの100 年の 間に3回の戦争でやられていますから、自分たちのことは自分たちで守るという気持ち がもの凄く強い。本当にその気持ちは大変なものがあって、日本のようにおんぶに抱っ こで自分の国も守れないような、守ろうともしないようなところまで落ちてしまったと ころには通用しないかもしれませんが、すべて自分の責任で、親も子もすべて自分の責 任で考えるという癖がもう嫌というほど、ついております。そういうところの考え方と いうものをまず持たないことにはどうにもならない。  これは、なぜ、スイスがそういうことを言ったかというと、小学校の子どもにバーチ ャルの会社の経営であるとか、いろいろなことをわかりやすい形で教えておりまして、 そういったところからこれは人数は少ないけれども、このまま維持できるという産業構 造を持っているから、ずっとこれからは人数が少ないほど、GDPは高くなるわけです ね。そういったある意味で、あそこの国は語学も相当やらせますし、ほとんど英語はも うほとんどの人が喋りますし、確かにそういった考えを持たせればこの国はある意味で 伸びていくだろうと。  そして、あそこの国では確か選挙権が世界で2番目ですか、女性の選挙権が認められ たのは。男女が本当に平等で働きだしたというのは、これは世界の中でほとんどトップ に近いぐらいであります。これはそれだけの日本のぐらいの大きさがありながら、人数 が非常に少ない。だから男も女も文句を言ってたら、どの権利がどうだのこうだの、異 性間の契約もくそもないわけです。それよりもお互いに、はじめあったのですけれど も、それはそんなものよりもお互いに働かなければいけないというニーズがあったわけ ですね。そのニーズを考えれば、あの国は完全に男女雇用機会均等の状態できていると いうことです。  財源なんかは私はどこから出てくるのかなといろいろ考えましたから、あそこは社会 主義の国のように取っていますけれども、がらりと今、変わってきているそうで、自由 化がどんどん入ってきたということで、その老人が、私が知っている産婦人科の医者も 老年の方、去年の夏は無理して旅行して、それを見てきたようですが、老人の今、高齢 化ということが問題になっております。これはある意味で人数を要素にしてそのパーセ ンテージで決めていますね。高齢化が7%の高齢化になる。14%になったら高齢と、そ ういうパーセンテージでいくとすれば、少子化が進めば進むほど、それより上の人たち のパーセンテージは増えていくわけです。  そういった事実、いきなり老人が増えたわけではなくて、こっちがギューッと絞って きたから、こっちのパーセンテージが増えると比例的になってきます。そういったとこ ろで、その老人に対してやはりどの国も大変なお金を使っているわけですが、フィンラ ンドの場合は老人は一人でケアできるときは在宅ケア、ほとんどがそうです。個人で希 望もあるそうです。ところが2人でケアしなければいけないとなったら病院に入れられ ると。そこに入るとそこになっていよいよ状態が悪くなると、決して医者は治療をしな いわけです。その患者さんのところに医者も看護婦も皆がいって側についていてあげ て、自然に天に召されるのを待っているということだそうです。それ、実際、行って見 てきたのを聞きましたから。  そういったことである意味で宗教も違いますし、東洋的な思想とは違いますけれど も、それもあるいは幸せなのかもしれません。そういったことでその費用をかなり浮か しているということを聞きました。  そういったことで、それぞれがもう切羽詰まった状態でいろいろなやり方を考えてい る国というものがひとつあるということ。これはこういったところに上がってきませ ん。いわゆるノルディックカントリーならば、スウェーデンとか、デンマークとか、そ んなところばかり出てくるのですが、これだけ大変なところもあると。ひとつの私はモ デルような気がします。また、例にあげながら検討すべき項目ではないかと、それが自 然に出てくるというふうに思います。ありがとうございました。 宮澤会長  ありがとうございました。はい、どうぞ。 小林委員  今後の検討事項を見ていますと、当然のやり方だとは思うのですけれども、あまりに もカルテシアンの考え方に則っていまして、細かく、細かく見ようと僕はしていると思 うのです。その逆の全体を見るという考え方も非常に重要ではないかなと思います。社 会を人間生活の「場」として見て、そしてそれがどういうふうに少子化に影響するのか ということを見なければいけないのではないか。  科学技術庁で社会における人間の諸活動の基盤に関する研究というのが数年前にあり まして、そこで私も勉強する機会があったのですけれども、そういう分析論的な立場ば かりでなく、人間の営みを見るときにはホリスティックに全体を捉えるような、どうい う方法がいいかということになるとなかなか難しいでしょうけれども、社会心理学的と 言うのでしょうか、そういう立場で見るような研究もぜひ、立てていかないと、これだ けでは解決ができないのではないかなというふうに思いました。 宮澤会長  ありがとうございました。はい、どうぞ。 網野専門委員  簡潔に申し上げたいと思いますが、これからの検討する内容で人口問題審議会ですの で、いわゆるもちろん出生率そのものが一番のポイントになるかと思いますが、その場 合に未婚化・晩婚化、出生という関係の中でこれまでどうもあまり捉えにくかったもの は可能ならもうちょっと深めていかなければいけないのかと思う点がひとつ。  出産した、あるいは子どもが産まれたということを結果として見るだけでなくて、ど うも目的としての出産というのでしょうか、あるいは結果としての出産という、その部 分の背景とか、現状というものがちょっと混合してしまう、そういう点が見られます。  例えば理想の子ども数と実際の子ども数との差を見て、ここに差がある、理想の子ど も数の方が多いから本当は産みたいのだけれども何らかの事情で産まない、本当にそう いう結論だけでいいのかどうか。  つまり、ある人との関係で、もし、結婚するか、あるいは結婚ということ、かなり必 ずしも前提としないで子どもを産みたいというような意思がどういうふうに生じてくる のか。当然、結婚するから子どもを産むのだというだけではない、もっと広い深い面か ら出生とか、出産行為というものをもうちょっと検討していかないと、単に数字とかだ けでデータを見て論議するのがやや少し疑問な点を感じていますので、これがひとつで す。  もうひとつは、産まれた後の状況で言いますと、やはり今の時代の親、とりわけ母親 の子育ての不安定感とか、これはやはりこの審議会の中でももう少し深く捉えていく必 要があると思います。  そういう点では子どもを産むということ、あるいは育てるということが結婚、家庭と いうあまりの強い前提だけで捉えるのではなくて、やはりいわゆる社会的な関わり、つ まり子育ての社会化という言葉を使うようになってきていますが、そういう中で社会全 体として非常に幅広く捉えていって、子どもが産まれる、そして育っていくということ をサポートしていける、あるいはそれを肯定的に理解していける社会、このことの検討 もやはり必要ではないかと。以上の2点を思います。 宮澤会長  どうもありがとうございました。大変いろいろご意見をいただきました。その全体を まとめるのは非常に難しゅうございますが、差し当たりの印象を申しますと、少子化の 問題について少なくても3つの側面があって、それぞれについて問題が提起されまし た。  ひとつは、少子化の要因の分析。もうひとつは、社会の構成単位の問題。そして社会 全体のシステムの側面。この3点があったと思います。 まず少子化要因としては、未 婚化、晩婚化、これがひとつの決定的なベースになっているけれども、しかし、問題は もう少し広いのではないかと。例えば雇用不安とか、所得不安とかというような側面ま で広げないと理解できない側面も生じているということです。基本的な要因と、それを めぐる周辺同時に位置づける必要があるという点です。  これに関連しては、一方では意識面をどう見るか、他方では経済的な機会コストのよ うなコスト面をどう見るか。両者の間の識別、そして関係をどう見るかです。経済学 的、社会学的、心理学的、あるいは医学的側面を含めて、再考する必要があるだろうと いうことでございます。  第二の、社会の構成量の行動面ですが、その基本は結局、家族と企業の二つの基本単 位です。その各々がもつ問題点、これは審議会報告でも述べたところですけれども、も っと立ち入った分析が必要となろうということです。家族概念、あるいは家族の機能、 そのものをどう見直す。近代家族は崩壊してどういう形にシフトしていくのかです。他 方の企業、これは職場のあり方ということになりましょう。企業での仕事と子育てとの 両立をめぐって、企業の経営状況と社会的な要請、その間のバランスの取り方がどのよ うな形で展開されていくか、そういう局面も含まれると思います。  第3が社会全体のあり方です。これをめぐってはたくさんお話がございました。学歴 社会の問題をどう考えるか。少子化について内堀と外堀の2つの側面を識別して、その どちらから手を着けるべきであるか、あるいは人間生活の場としての位置づけ方、目的 としての出産と結果としての出産、こういうものをどう考えるかなど、そうした社会的 な諸側面ございます。  この3つの側面のそれぞれに全体として対応策としてどういう対策があるのか。まず 大切なのか、全体の施策中で何かどれが重要で、どれはそれほどでないかの優先順位を つけ得るような判断基準が必要だということです。あるいは問題についての確率論的な アプローチが必要ではないかという議論もありました。  また、具体的なご提案もありました。ひとつは、人口統計をもう少し強化・補強すべ きであると、これに関連してのご指摘がございました。  もうひとつ、児童手当や、移民の問題を、この審議会としてどう取り上げるのかとい うお話もございました。  移民の問題は範囲が非常に広ろうございますので、当審議会だけで取り上げられるか どうか問題もございますが、児童手当につきましてはもちろんテーマとなりましょう。  例えば、資料5の児童手当の改正が、この12月2日の改正はいささか問題を含んでい ます。例えば6頁をお開きいただきますと、財源が示されており、どこからこの児童手 当の財源を振りだしたかというと、一番下の方に年少扶養控除の48万円、これを38万円 に引き下げることで賄うにしたわけです。しかし、38万円を48万円に引き上げたのはつ い最近で資料2の3頁に書かれておりますように、平成11年度に38万円を48万円に引き 上げたばかりですね。それをここでまた元に戻すという朝令暮改的な対応です。果して 児童手当をきちんと位置づけた上で決められたのかどうか、疑問が残るわけです。  資料には7頁以降に、2つの審議会の答申が出ております。中央児童福祉審議会で は、当面の改善措置を講ずるものとして了承するが、しかし、検討すべき点があるとい う具合に述べてあります。8頁の社会保障制度審議会の答申では、第2パラグラフをご 覧いただきますと当面の対策としても、問題なしとしないと書かれています。その背景 には今申したようなことがあるわけです。  さらに3番目のパラグラフでは、少子化対策の体系的な検討の中で出されてきたもの かどうか。そういう点での速やかな検討が求められています。この例にみるように全体 としての少子化対策全般の方向性をきちんと示すことが重要になります。政府の政策に 対する決定の過程がアドホック的で、ばらまき的な方向に引きずられる可能性なしとせ ずなので、そういう点への我々の評価の方向性も考慮する必要があるかと思います。  他に何かございましょうか。それでは今後の進め方につきましてはいただきましたご 意見を踏まえて、私と事務局で相談の上、皆様にご連絡するということにしたいと思い ます。よろしゅうございましょうか。それではそういう方向で進めてまいりたいと思い ます。  次回についてはまた事務局からご連絡申し上げます。本日はご多用のところどうもあ りがとうございました。            (閉会・12時25分) (照会先)                  厚生省大臣官房政策課調査室                   石井(内線2250)、米丸(内線2931)