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平成12年11月8日

保健機能食品の表示等に関する報告書について

(食品衛生調査会栄養補助食品等分科会報告書)


1 平成12年10月24日、栄養補助食品等分科会において「保健機能食品の表示等について」の報告書が取りまとめられ、現在、食品衛生調査会合同部会において審議されているところです。

2 つきましては、当該報告書について、国民の皆様等からのご意見を募集します。

3 具体的な意見募集については、厚生省ホームページに掲載しますので、電子メールまたは郵送にて本日から11月15日(水)まで受け付けます。提出されたご意見の概要については、同分科会報告書を審議する食品衛生調査会合同部会においてご報告いたします。

−提出先−
○電子メールの場合
 www-admin@mhw.go.jp(テキスト形式)
○郵送の場合
 〒100−8045 東京都千代田区霞ヶ関1−2−2
 厚生省生活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室宛

【別添資料】

1 保健機能食品制度の概要について(資料1
2 「保健機能食品の表示等について」(食品衛生調査会栄養補助食品等分科会報告書)(資料2

資料1

保健機能食品制度の概要について

1 目 的

 人生80年時代の今日、健やかな一生を送るため、国民一人一人が自ら健康に対する関心を高める中、食品求められる機能も複雑かつ多様化している。
 保健機能食品制度は、こうした国民の要望と諸外国の制度との整合性を図る観点から創設するものである。
 具体的には、

(1)特定保健用食品:
 (個別許可型)
身体の生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含んだ食品であって、健康の維持増進及び特定の保健の用途に資するもの
(2)栄養機能食品 :
 (規格基準型)
高齢化、食生活の乱れ等により、通常の食生活を行うことが困難な場合等に不足しがちな栄養成分の補給・補完に資するもの
の2種類の類型からなり、それぞれ独自の表示を認めることにより、保健機能食品を他の食品と容易に区別することが出来るようにするものである。
 (注:これまでは通常形態の特定保健用食品のみが存在した。)

2 検討経緯

 本制度については、規制緩和推進計画、OTO決定及びMOSS協議でも取り上げられており、厚生省としては、「いわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会」を開催し、本年3月に報告書が取りまとめられた。
 今回、具体的な制度化に向けて、食品衛生調査会の食品規格、乳肉水産、表示特別、添加物及び毒性の5部会の合同分科会として栄養補助食品等分科会を設定して6月以降5回にわたって審議を行ってきたが、今回、分科会報告として取りまとめたものである。

3 制度の概要図(分類と名称)

(概要図)

制度の概要図

(表示事項)
  対象食品 表 示 例
特定保健用食品 全ての食品 ・血圧を正常に保つことを助ける食品です。
・便通を良好にする食品です。
栄養機能食品 下記に示す栄養成分を一定量含む食品
ビタミン(.A、D、E、B1、B2、B6、B12、C)
ナイアシン、葉酸(ビオチン)、パントテン酸、カルシウム、鉄
・ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収
を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。
・カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養
素です
(注意喚起表示等)
・本品は、多量に摂取しても疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。
・本品は、特定保健用食品と異なり、厚生労働省による個別審査を受けたものではありません。
注1: 保健機能食品には疾病リスク低減表示(例:この食品はカルシウムを多く含み、将来の骨粗しょう症の危険度を減らします)は認められない。
注2: 上記のビタミンやミネラル以外の栄養素を食品として使用できないわけでなく、栄養機能表示ができないものである。
また、ハーブ類については、比較的作用が緩和なものから強いものまで、さらに副作用の懸念のあるものまで広範囲に存在することから医薬品又は特定保健用食品で対応する。

4 今後の日程

12年11月8日(水): 食品衛生調査会合同部会開催
各国大使館へ説明、ホームページ掲載による意見募集
20日(月): 食品衛生調査会合同部会開催
11月下旬 : パブリックコメント募集、WTO通報
13年 2月 : 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会開催
3月 : 関係省令等改正、通知発出
4月 : 保健機能食品制度の施行


照会先
厚生省生活衛生局食品保健課
中垣新開発食品保健対策室長(内線2456)
担当:井上、森田(内線2458)


資料2

保健機能食品の表示等について
−食品衛生調査会栄養補助食品等分科会報告書−

平成12年10月24日
はじめに
分類及び名称
栄養機能食品の規格基準
表示基準
製造基準
特定保健用食品の申請・評価・表示に関する指針
食品添加物指針
おわりに


保健機能食品の表示等について

平成 12 年 10 月 24 日
食品衛生調査会栄養補助食品等分科会

1 はじめに

○ 当食品衛生調査会栄養補助食品等分科会は、食品衛生調査会の食品規格、乳肉水産、表示特別、添加物及び毒性の5部会の合同分科会として設置され、本年6月以降5回にわたって会議を開催し、検討を続けてきた。

○ 当分科会における検討すべき課題は、いわゆる健康食品のうち一定の要件を満たすものについて、規格基準、表示基準の設定、評価指針の策定、製造基準の策定、添加物の審査指針策定等のきわめて多岐にわたるものであり、各委員の間でも意見の分かれる課題も多く存在した。

○ 海外に目を転じて見れば、こうした一定の機能を持つ食品については、特に表示に関して種々議論され、動き始めていると言える。具体的には、CODEX(FAO/WHO合同食品規格計画)では、1996年5月の第24回食品表示部会で栄養強調表示が採択され、1997年4月の第25部会以降、健康強調表示を検討してきているが、現在までStep3にとどまっているところである。一方、米国においては1994年に成立した栄養補助食品・健康・教育法(DSHEA)が制定され、ビタミン、ミネラル、ハーブ等について科学的根拠があれば、FDAに通知するだけで、一定の効能効果が記載できることとなった。また、1998年4月には、FDAから身体の構造又は機能への効果に関する表示についての細則が提案された。他方EUにおいては、健康強調表示に関する指令はまだ存在しないが、ビタミン類及びミネラル類を中心とした栄養補助食品に対する考え方や表示について現在検討している。このように、健康強調表示の状況は各国により異なっているのが現状である。

○ 一方、我が国におけるいわゆる栄養補助食品の検討は、食薬区分の見直しと並行して行われてきており、具体的には平成7年3月の規制緩和推進計画、平成8年3月のOTO本部決定等でこの課題が取り上げられてきた。なお、平成12年3月31日に閣議決定された規制緩和推進計画においては、栄養補助食品について、検討会及び審議会の議論並びにCODEXの議論を踏まえる必要があるが平成12年度に所要の制度改正を行うこととされている。こうした状況の中、厚生省はいわゆる栄養補助食品の取扱いに関する検討会(以下「検討会」という。)を設置して検討を行い、本年3月には栄養補助食品の意義・目的、定義、範囲、名称、表示、いわゆる健康食品の類型化等について報告書がとりまとめられた。当分科会においては、この検討会報告書も検討の素材としたところである。

○ 既に述べたとおり、当分科会において与えられた課題すべてに委員共通の理解が得られたわけではないこと、国際機関あるいは諸外国においても取扱いが大きく異なっていることを踏まえれば、本制度については、容易に結論が出せる課題ではないことは言うまでもない。

○ しかしながら、一方既に多くの商品が生産され市場に流通しており、その中には品質、広告、宣伝等に問題があるものもあることから、いわゆる健康食品が無秩序に氾濫することにより、国民の栄養摂取状況を混乱させ、健康上の被害をもたらすことがないよう、一定の規則を定めることが必要であり、あわせて消費者に対して正しい情報提供を行うことが喫緊の課題となっている。

○ また、本問題については、政府の規制緩和推進計画にも検討すべき課題として盛り込まれており、早急な対応が求められている。

○ 本分科会報告は、こうした状況を踏まえ、栄養補助食品制度について当面実施すべき方向を示すものとして取りまとめられたものである。以下の各論で述べるとおり、今後引き続いて検討すべき課題も多く残っており、さらなる検討を行政に望むものである。

2 分類及び名称

○ 1で既述したとおり、今回の検討は食薬区分の見直しと並行して行われてきた。したがって、先の検討会においても錠剤・カプセル剤等の通常の食品形態でないもの(以下「錠剤等」という。)を中心として検討してきた。

○ 一方、我が国では既に平成3年から栄養改善法に基づく制度として、保健の目的を表示できる特定保健用食品制度が存在しており、本年10月10日現在で既に195品目が許可されており国民の間に定着しつつある。この特定保健用食品は、現在は通常の食品形態のものに限定されているが、既に医薬品が規制緩和の観点から形状のみにより判断することを廃止することを決定していることを踏まえれば、今後あえて錠剤等を対象から除外することは適当ではない。

○ 検討会では対象となる食品について、表示できる内容に応じて個別許可型と規格基準型の2種類を提案している。当分科会においてもこの考え方を踏襲することとする。

○ これまで使用されてきた栄養補助食品とは英語のdietary supplementを直訳したものである。一方、これまでいわゆる健康食品においては、既に健康補助食品あるいは栄養補助食品という名称が自発的に用いられ、それなりに定着してきている。こうした現状との混同を避け、紛らわしさを払拭し、国民に分かり易い制度とするため、今回、いわゆる健康食品の類型化として、当分科会は、個別許可型は「特定保健用食品」、規格基準型は「栄養機能食品」とし、両者を包含する名称として「保健機能食品」とすることを提唱する。以下においては、この名称により記述することとする(別紙1参照)

3 栄養機能食品の規格基準

○ 当分科会では、上記の栄養機能食品の対象となりうる成分としてビタミン、ミネラル、ハーブ類、タンパク質、脂肪酸及び食物繊維を取り上げることとした。

○ 具体的な検討品目についてはさらに専門の委員の検討に委ね、それを踏まえてさらに討議した結果、当面検討すべきものとして、平成11年に第6次改定が行われた日本人の栄養所要量で取り上げられた25群のビタミン、ミネラルを優先して取り上げることとした。

○ なお、ハーブ類については、比較的作用の緩和のものから強いものまで、さらに副作用の強いものまで広範囲に存在することから、保健機能食品の体系中では栄養機能食品になじまず、個別許可型である特定保健用食品で対応することが適当である。

○ 25群のビタミン、ミネラルのうち規格基準を設定する対象、上限値の設定については、医薬部外品の基準を参考とすることが適当である。具体的な考え方、数値等については別紙2の通りとする。
 なお、上限値については、一般用医薬品の数値を準用すべきという指摘が複数の委員からなされた。今回は医薬部外品の最大分量を準用することとするが、この最大分量については、最新の科学的な知見を踏まえ、必要に応じた今後の検討を望むものである。

○ 規制緩和という観点からは、栄養機能食品を広く認めることが必要であり、今回、規格基準を設定しなかったビタミン、ミネラルさらにはタンパク質、脂肪酸、食物繊維については、可能なものから順次規格基準を設定すべく、引き続き検討することが必要であるが、その際には、食品の安全性確保に支障をきたすことがないよう、科学的知見に基づき検討することが必要である。

4 表示基準

○ 保健機能食品の表示については、次の要件を満たすことが必要である。

(1) 国の栄養目標及び健康政策に合致したものであること
(2) 栄養成分の補給・補完あるいは特定の保健の用途に資するもの(身体の機能や構造に影響を与え、健康の維持増進に役立つものを含む。)であることを明らかにするものであること
(3) 表示の科学的根拠が妥当なものであり、かつ、事実を述べたものであること
(4) 消費者への適切な情報提供の観点から、理解しやすく正しい文章及び用語を用いた明瞭なものであること
(5) 過剰摂取や禁忌による健康被害を防止する観点から、適切な摂取方法等を含めた注意喚起表示を義務づけること
(6) 食品衛生法、栄養改善法、薬事法等の法令に適合するものであること
(7) 医薬品等と誤認等されないよう、保健機能食品(特定保健用食品又は栄養機能食品)である旨を明示するとともに、疾病の診断、治療又は予防に関わる表示をしてはならないこと

○ 栄養機能食品の栄養機能表示については、CODEXの栄養素機能表示例等国際的に定着しているもの、広く学会等で認められているものであって、国民が容易に理解できるものとすることが適当である。

○ 特定保健用食品の保健機能表示については、既に現行制度で多数の例が存在しており、今後許可される表示にもこれが参考となる。しかし、後述するように、国民の保健に資するため、科学的根拠に基づくさらなる適正な審査を課すこと等から、薬事法に規定される疾病の診断・治療・予防に言及しない範囲において、科学的根拠に応じた国民の選択に資する適切な表示を認めることが必要である。

○ また、保健機能食品の表示については、すべての国民が安全に摂取できるよう、禁忌事項を含めた注意喚起表示を行わせることが必要不可欠である。

○ さらに国民が栄養機能食品と特定保健用食品を混同することのないよう、表示で十分に配慮することが必要である。

○ なお、保健機能食品における疾病リスク低減表示については、検討会報告でも指摘されているように、未だ国際的にも検討途上であること、医薬品の予防効果の表示と区別が付きにくいという意見もあることから、現時点において認めることは適当ではないと考えられるが、今後CODEXでの検討動向等を踏まえつつ、引き続き検討することが必要である。

○ こうした表示の考え方については、別紙3の「保健機能食品の表示の基本的考え方」としてとりまとめたが、今後、この考え方に基づいて、行政が具体例を示すこと等により、わかりやすい表示基準を策定・公表することが必要である。

5 製造基準

○ 検討会報告では、保健機能食品について食品衛生法に基づく製造基準(食品GMP)を設定することが提言されている。

○ 当分科会としても保健機能食品については、その品質を維持し、国民の信頼を得るためには、食品GMPを設定することが必要と考える。

○ 具体的な食品GMPの検討に際しては、医薬品GMPの内容、導入経緯が参考となる。

○ 内容については、医薬品GMPと全く同じであれば規制緩和を行い食薬区分を見直した意味がなくなる。ただし、これは食品GMPが一方的に医薬品GMPよりも簡便なものでなければならないということではなく、食品にふさわしい内容とすべきということである。

○ また、食品GMPの導入は、新たな規制という観点から論ずるのみではなく、指導・育成という観点からもとらえるべきものである。具体的には、既存の多くのいわゆる健康食品の製造業者が積極的に科学的知見の収集に努め、保健機能食品の適切な製造に取り組むことを奨励する方向で実施すべきである。

○ また、医薬品においては、昭和44年のWHO勧告を受け、昭和51年に当時の薬務局長通知で医薬品GMPを実施しているが、さらに許可要件としてのGMP実施までには相当の年数を経過している。

○ こうした状況を踏まえて、当分科会としては今回確定的な食品GMPの内容、導入時期等について、あえて結論をまとめることとしなかった。これは食品GMPが不要ということではなく、引き続き行政及び専門家による検討を望むものである。

○ なお、食品GMPの円滑な導入のためには、各事業者がその責任を自覚し、責任管理体制の確立等の自主的な取組みを行うことが望まれる。

○ さらに厚生省は、GMPの検討の一環として、食品衛生法第20条に基づく施設基準の設定をあわせて検討すべきである。

6 特定保健用食品の申請・評価・表示に関する指針

○ 従来の特定保健用食品は、生活衛生局長の下に設置された検討会で専門家が検討を行い、その結果に基づき厚生大臣が許可してきた。今後は、医薬行政と組織が一元化すること、特定保健用食品の役割の増大が期待されることも踏まえ、必要に応じて医薬品に準じた取扱いをすることが望まれる。この観点から、特定保健用食品の審査は、審議会において議論されることが適当である。

○ 審議会における議論の前提として、申請者の便宜を図るとともに、審査の透明性を確保するため、審査基準については、広く一般に公表することが必要である。

○ 当分科会では、当該申請食品の有効性、安全性等を科学的に評価するため、別添1の指針を提案する。なお、食品等としてヒトが摂取してきた経験が十分に存在しないものについては、食品添加物を評価する際と同等の安全性に関する資料を必要とすべきである。

○ なお、既存の許可を受けている特定保健用食品については、既に一定の科学的な評価を踏まえたものであり、引き続き従来通りの表示を認めることが適当である。ただし、今回認められる新たな表示を希望する場合は、新たな基準に沿った資料に基づく再度の許可申請を必要とすべきである。

○ また、行政が必要に応じて再評価を行う仕組みを講じることも必要である。

○ 直接今回の指針に係るものではないが、特定保健用食品として類似の商品が多く許可された場合には、規格基準を定めて栄養機能食品として製造が可能となるような措置を講じることも検討すべきである。

7 食品添加物指針

○ 通常形態の食品に使用できる食品添加物とは別に「保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の形態でない食品」に用いられる賦形剤、乳化剤等について、当該食品に使用できる食品添加物としての指定及び使用基準の改正に関する指針を別添2のとおり策定したところである。

○ 上記指針においては、医薬品の添加剤として既に使用実績がある等合理的な理由のある場合には、関連する資料により安全性等を評価することが可能と考えられ、必要な添付資料の一部を省略することができることとしたところである。

○ また、保健機能食品の原材料(主成分)として用いられるビタミン、ミネラルについても、上記指針により、当該食品に使用できる物質として指定することが適当である。

8 おわりに

○ 保健機能食品については、今後もCODEXをはじめとした国際機関、諸外国の動向を注視し、国際的整合化を念頭に置いて、我が国においても不断の検討が必要である。

○ いわゆる健康食品については、従来誇大広告、不当な高価格、不良品といった負の側面も指摘されてきた。新しい保健機能食品制度が正しく理解され、定着するためには、消費者保護の観点からも、保健機能食品及びその表示あるいは広告の監視指導が重要であり、食品衛生法第11条に基づく表示の基準の設定や同法第12条の規定の解釈の明確化を図ること等により、食品衛生部局における監視指導体制を充実するとともに、薬事担当部局とも一層の連携を図ることが必要である。

○ 国民に対して正しい情報を提供して、自らの選択に委ねるためには、相談機関の充実やアドバイザリースタッフの確保が必要と考えられ、そのための官民役割分担した施策の充実が望まれる。

○ 人生80年時代の今日、健やかな一生を送るため、国民一人一人が自らの健康に対する関心を高める中、食品に求められる機能も複雑かつ多様化している。今回の保健機能食品制度は、こうした国民の要望に応えるためのものであり、今後の成長が見込まれる分野である。この制度が国民の間に定着し、健全な発展を遂げることを心から期待するところである。



別紙1
名称について

別紙1 名称について


別紙2
栄養機能食品の規格基準設定のための基本的考え方

 栄養機能食品の栄養成分は、今回、栄養所要量が設定されているミネラル及びビタミン(栄養補給等本来の目的で、医療用医薬品の承認基準が設定されているものを対象とする)とし、以下の基本的考え方のもとに栄養機能食品の成分規格(上限値・下限値)を設定した。
 なお、栄養機能食品の上限値は医薬部外品の最大分量を超えない値とし、下限値は1日当たりの摂取目安量や摂取方法の表示を必須条件に、栄養所要量の1/3 とした。

( 栄養機能食品の上限値設定のための基本的考え方 )

  基準設定のための根拠資料 条 件 栄養機能食品
の 上 限 値
該当栄養成分
医療用医薬品
の承認基準
NOAEL UL 栄養
摂取量
(1) UL−栄養摂取量 〉医薬部外品最大分量の場合
UL−栄養摂取量〈 医薬部外品最大分量の場合
医薬部外品最大分量
UL−栄養摂取量
V.A, B6
Ca 鉄 ビオチン
(2) × NOAEL−栄養摂取量 〉医薬部外品最大分量の場合
NOAEL− 栄養摂取量〈 医薬部外品最大分量の場
医薬部外品最大分量
NOAEL−栄養摂取
V.B1,B12, C
(3) × UL−栄養所要量 〉医薬部外品最大分量の場合
UL−栄養所要量〈 医薬部外品最大分量の場合
医薬部外品最大分量
UL−栄養所要量
V.E, D 葉酸
ナイアシン
(4) × × NOAEL−栄養所要量 〉医薬部外品最大分量の場合
NOAEL−栄養所要量〈 医薬部外品最大分量の場合
医薬部外品最大分量
NOAEL−栄養所要
パントテン酸
(5) × × 医薬部外品最大分量がある場合 医薬部外品最大分量 V.B2
(6) ×     V.K, リン、マグネシウム、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデン

注) 栄養機能食品の上限値: 栄養機能食品に配合される栄養成分を1日当たりに摂取できる最大限度量
栄養機能食品の下限値: 栄養機能食品に配合される栄養成分を1日当たりに摂取できる最小限度量


栄養機能食品の栄養素の配合限度量(上限値・下限値)

(ビタミン)
  ビタミンA
(レチノール)
ビタミンD ビタミンE ビタミンB1 ビタミンB2 ナイアシン
基 本 的
考 え 方
に基づく
栄養素の
上 限 値
下 限 値


2,000IU 200IU 150mg 25mg 12mg 15mg


600IU 35IU 3mg 0.3mg 0.4mg 5mg

  ビタミンB6 葉 酸 ビタミンB12 ビオチン パントテン酸 ビタミンC
基 本 的
考 え 方
に基づく
栄養素の
上 限 値
下 限 値


10mg 200μg 60μg 500μg 30mg 1,000mg


0.5mg 70μg 0.8μg 10 μg 2mg 35mg

(ミネラル)
  カルシウム
基 本 的
考 え 方
に基づく
栄養素の
上 限 値
下 限 値


600mg 10mg


250mg 4mg


別紙3
保健機能食品(栄養機能食品及び特定保健用食品)の表示の基本的考え方

1 基本的考え方

(1)国の栄養目標及び健康政策に合致したものであること。

(2)栄養成分の補給・補完あるいは特定の保健の用途に資するもの(身体の機能や構造に影響を与え、健康の維 持増進に役立つものを含む。)であることを明らかにするものであること。

(3)表示の科学的根拠が妥当なものであり、かつ、事実を述べたものであること。

(4)消費者への適切な情報提供の観点から、理解しやすく、正しい文章及び用語を用い、明瞭なものであること。

(5)過剰摂取や禁忌による健康危害を防止する観点から、適切な摂取方法等を含めた注意喚起表示を義務づける こと。

(6)食品衛生法、栄養改善法、薬事法等の法令に適合するものであること。

(7)医薬品等と誤認しないよう、保健機能食品(栄養機能食品あるいは特定保健用食品)である旨を明示するとともに、疾病の診断、治療又は予防に関わる表示をしてはならないこと。

2 適用範囲

 栄養機能食品は、身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分の補給・補完を目的とした食品であり、当該食品に適用される栄養成分は下記のとおりである。
 なお、栄養成分とは、食品に本来含有される成分で、人体で利用されるものをいい、栄養素の他ハーブ等に含まれる成分を含めたものである。

○ ミネラル類、○ ビタミン類、○ たんぱく質、○ 脂肪酸、○ 食物繊維、○ ハーブ類、 ○ その他栄養成分
 特定保健用食品は、身体の生理学的機能や生物学的活動に関与する特定の保健機能を有する成分を摂取することにより、健康の維持増進に役立ち、特定の保健の用途を資することを目的とした食品である。
 なお、使用が可能であり使用基準に適合した食品添加物又は保健機能食品となる成分として認められたものでなければ、保健機能食品に使用してはならない。

3 表示すべき事項

 保健機能食品には、食品衛生法等に規定するものの他、次に掲げる事項を必ず表示しなければならない。

栄 養 機 能 食 品 特 定 保 健 用 食 品
1 保健機能食品(栄養機能食品)である旨 1 保健機能食品(特定保健用食品)である旨
2 栄養成分の表示(機能表示する成分を含む) 2 栄養成分の表示(保健機能に関与する成分を含む)
3 栄養機能表示 3 特定の保健用途の表示(表示許可された表示)
4 1日当たりの摂取目安量 4 1日当たりの摂取目安量
5 摂取方法 5 摂取方法
6 1日当たりの栄養所要量に対する充足率 6 1日当たりの栄養所要量に対する充足率
(栄養所要量が定められているものに限る)
7 摂取をする上での注意事項 7 摂取をする上での注意事項
8 本品は、特定保健用食品と異なり、厚生労
働省による個別審査を受けたものではない旨
 

4 具体的な表示例

(1)ビタミン・ミネラルの栄養機能表示例と注意喚起表示例

 当該表示は、栄養成分の補給・補完を目的とし、身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分の栄養 生理的機能を表示するものである。
 当該表示内容に該当する機能性等の裏付けともなる科学的根拠は、これまでにヒトにおいてその栄養生理的機能が実証され、過去の食経験からも確立されたものでなければならない。

(ビタミン)
名 称 栄 養 機 能 表 示 注 意 喚 起 表 示
ビタミンD ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。 ・本品は多量に摂取しても疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。
・本品の多量摂取により、悪心、嘔吐の症状が現れる場合がありますので、1日の摂取目安量を必ず守って下さい。

(ミネラル)
名 称 栄 養 機 能 表 示 注 意 喚 起 表 示
カルシウム カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。 ・本品は多量に摂取しても疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。
・本品の多量摂取により、頭痛、めまい、嘔吐、筋肉痛の症状が現れる場合がありますので、1日の摂取目安量を必ず守って下さい。

(2)特定保健用食品の保健用途の表示例(高度機能強調表示例)

 当該表示は、食生活において特定の保健の目的で摂取する者に対し、特定の保健の機能を有する成分を含む食品の摂取により、健康の維持増進に役立ち、特定の保健の用途に適する旨の表示である。従って、当該表示は、食品そのものに疾病の診断、治療又は予防の効能効果があることを言及したり、あるいは身体の組織機能を増強、増進させることにより、疾病の診断、治療又は予防の効能効果がある旨の表示をするものではなく、食品そのものに科学的根拠の裏付けのある特定の保健の機能を有する成分を含み、それを摂取することにより、健康の維持増進のための身体の生理的機能や組織機能の維持、手助け(補助)または特定の保健に役立つ、適する旨の表示である。
 なお、当該表示内容は、厚生労働省において個別に生理的機能や特定の保健機能を示す有効性や安全性等に関する科学的根拠に関する審査を受け、その根拠を厚生労働大臣が認知し、表示の許可を受けたものでなければならない。

 当該食品は○○成分を含んでいる(○○成分を主成分とする)ことから、

1)容易に測定可能な体調の指標の維持及び改善(自分で測定できる指標あるいは健康診断で測定する指標)
 〔認められる表示〕
・血圧(血糖値、中性脂肪、コレステロール)を正常に保つことを助ける食品です。
・体脂肪の分解を促進する食品です。体脂肪の増加を抑制する食品です。
 〔認められない表示〕(直接症状・疾病の改善につながる体調の指標)
・高血圧症(高血圧)を改善する食品です。

2)身体の生理機能・組織機能を良好に維持または改善
 〔認められる表示〕
・便通(お通じ)を良好にする(の改善に役立つ)食品です。
・カルシウムの吸収(沈着)を高める(促進する)食品です。
 〔認められない表示〕(明らかに疾病の改善に関係する)
・解毒作用、脂質代謝促進の効果のある食品です。

3)身体の状態を本人が自覚でき、一時的であって継続的・慢性的でない体調の変化の改善を表現する
 〔認められる表示〕
・肉体疲労を感じる方に適した(役立つ)食品です。
 〔認められない表示〕(科学的根拠が不明確)
・老化防止に役立つ食品です。


(別添1)

特定保健用食品の申請・評価・表示に関する指針
1 目 的

 本指針は、保健機能に関与する成分(以下「関与成分」という。)を含み、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨を表示する食品(以下「特定保健用食品」という。)について、審査手続き、審査申請書、添付資料及びその内容、表示基準等を取りまとめたものである。
 なお、本指針は形態にかかわらず、特定保健用食品の表示許可を受けようとする全ての食品に適用するものである。

2 審査に関する基本的考え方

 特定保健用食品に含まれる関与成分は、保健機能を有するものであり、当該食品の摂取により栄養を補給、補完し、生活の質の向上を図り、健康の保持増進に役立つことが期待できるものであることからも、消費者が安心して摂取できるよう、その保健の用途に係る有効性が科学的に実証されていなければならない。
 また、特定保健用食品は、濃縮、精製等により製造された関与成分を原材料として、当該食品中に含有させるものがあることからも、関与成分について、食品添加物の指定を受けるなど、その安全性が確認されたものであるとともに、過剰摂取や禁忌による健康被害を防止する観点から、食品の形態に応じた適切な摂取量の設定や注意喚起表示を行う必要がある。
 特定保健用食品の申請にあたっては、その保健の用途に係る有効性を確認するための資料、安全性を確認するための資料、保健の用途や摂取上の注意事項等の表示内容に関する資料等が提出される必要がある。

3 審査に係る手続き

(1)保健の用途、安全性等の審査申請及び表示許可申請の手続き

 特定保健用食品の保健の用途及び安全性等の審査に関して、審査申請書は、食品衛生法施行規則第○○条の規定に基づき、申請者から直接厚生労働大臣あて提出すること。その際には、保健の用途や安全性等の審査を受けるための関係資料を添付しなければならない。
 また、特定保健用食品の表示許可に関して、許可申請書は、栄養改善法第12条第2項の規定に基づき、営業所所在地(主たる営業所の所在地)の都道府県知事(保健所を設置する市にあっては市長及び特別区にあっては区長。)を経由して厚生労働大臣に提出しなければならない。

(2)審査及び許可手順

 特定保健用食品の申請については、厚生労働省医薬局食品保健部企画課(仮称。)において受け付け、申請書及び添付資料の確認を行った後、薬事・食品衛生審議会(以下「審議会」という。)において審査を行う。
 審査の結果、審議会の了承が得られたものについては、許可等の必要な事務手続きを行うものとする。
 審議会における審査の過程において、必要に応じて、申請者に資料の追加提出等を求めることがある。
 また、既に許可を受けた食品に類似する食品(以下「後発品」という。)に係る申請については、審査の効率化、迅速化の観点から、審議会食品衛生分科会(以下「分科会」という。)に設置された新開発食品部会(仮称。以下「部会」という。)における審査の結果、問題がなければ、許可等の事務手続きを行うことができることとする。なお、部会において、適否の判断が困難なものについては、分科会において判断する。

(3)標準的事務処理期間

 特定保健用食品の保健の用途、安全性等の審査及び表示の許可に要する標準的事務処理期間は、申請書が受理された日から6か月とする。ただし、本期間に提出された書類、添付資料等に不備があり、これを申請者が修正するのに要する期間及び審議会における指摘事項に対し申請者が回答するまでの期間は含まないものとする。

4 申請書に添付を必要とする審査資料

(1)審査資料

 特定保健用食品の審査申請にあたっては、申請者、商品名、審査を受けようとする表示内容及び1日当たりの摂取目安量、摂取上の注意事項等を記載した申請書に以下に示す資料を添付すること。

ア 表示見本
イ 食品及び関与成分について、保健の用途及び1日当たりの摂取量の目安等を医学 ・栄養学的に明らかにする資料
ウ 食品及び関与成分について、安全性に関する資料
エ 食品及び関与成分について、安定性に関する資料
オ 関与成分の物理・化学・生物学的性状及びその試験方法に関する資料
カ 食品中における関与成分の定性及び定量試験の試験検査成績書並びにその試験検 査方法
キ 許可申請に係る食品の成分分析表及び熱量の試験検査成績書
ク 品質管理方法に関する資料

(2)添付資料作成上の留意事項

(1) (1)の資料については、オを除き保健の用途の表示をしようとする食品における資料を必要とするが、関与成分と当該食品との差異が少ない場合(例:食品の成分がほとんど関与成分である場合)、関与成分についてヒトを対象とした試験に関する資料が完備され、かつ、関与成分が食品中の他の成分による影響を受けず、安定した形で存在することが証明されている場合等の合理的な理由がある場合には、イとウに関する当該食品における資料を必ずしも必要としないこと。

(2) 関与成分の含量が既に許可を受けた食品に含まれるものと同一であって、その同等性が確認されるものについては、関与する成分の作用機序がすでに確立されているので、イとウについては、既に許可を受けた食品の資料で代用できるものとすること。

(3) (1)のイに掲げる資料は、医学・栄養学等の学術書、学術雑誌等に掲載された知見を含むものであるが、食品のヒトにおける保健の用途等を証明する資料については、統計学的にその有効性が示されたものであること。

(4) 申請にあたって、食品の保健の用途、安全性等を明らかにする資料は、できる限り最新ものとする。従って、例えば、後発品であっても、既に許可を受けた食品で認められた保健の用途等の資料について、長い年月が経っている場合には、改めてその有効性等を確認した新しい資料の提出が求められるものであること。
 また、当該食品の有効性、安全性等を疑わせる資料についても、当該資料の信頼性等にかかわらず提出しなければならないこと。
(5) 添付資料作成に必要な試験(オ、カ及びキ)は、試験成績の信頼性を確保するために必要な施設、機器、職員等を有し、かつ適正に運営管理された試験施設において実施されなければならない。それぞれの試験成績書には、試験機関及び試験者名を記載し、責任者の捺印があること。なお、(1)のキに掲げる試験検査成績は、国若しくは都道府県等が設置する食品保健を所管する試験検査機関または厚生労働省が指定した試験検査機関により行われたものであること。

(6) 資料は簡潔にまとめ、必要に応じて具体的なデータや図表を付して記載すること。

(3)添付資料に必要な確認試験

(1) 保健の用途及び摂取量に関する資料
ア in vitro及び動物を用いた in vivo試験
 関与成分のin vitro及び動物を用いた in vivo試験により、関与成分の作用、作用機序、体内動態を明らかにするための資料を添付すること。
 これらの試験結果は、統計学的に十分な有意差を確認できるものであること。
 なお、関与する成分に関し、ヒトを対象とした試験において、その作用、作用機序、体内動態に関する知見が得られている場合には、当該資料の添付により、in vitro及び動物を用いた in vivo試験を省略することができる。

イ ヒトを対象とした試験
 原則として、保健の用途を表示しようとする食品を用いて実施する。
 動物試験において保健の用途に係る有効性を確認した後、ヒトを対象とする試験を実施し、保健の用途に係る効果及び摂取量を確認する。
 当該試験は、ヘルシンキ宣言の精神に則り、常に被験者の人権保護に配慮し、倫理委員会等の承認を得て、医師の管理のもとに実施すること。
 当該試験の実施が極めて困難な場合、これに代わる試験の実施が求められる。
 例えば、疫学データをもって保健の用途に係る有効性を証明する際には、疫学データの高い質が求められる。
(ア)試験目的と計画
 食品の保健の用途に係る有効性及びその摂取量を確認することを目的とする。
 試験は、原則として、設定しようとする1日当たりの摂取量による長期摂取試験を実施すること。
 試験計画を立てる際には、表示しようとする保健の用途に合致した指標、統計学的に十分な有意差を確認するに足りる試験方法と調査客体を設定することが重要であること。
(イ)対象被験者及び被験者数
 被験者を選択する場合には、以下の点を考慮すること。
・被験者は、健常人から疾病の境界域の者に至るまでの範囲において、目的とする保健の用途の対象として適切な者であること。
・妊婦や小児等は被験者から一般的には除外されるが、目的とする保健の用途、食品の形態等により、これらの者に対する医学的・栄養学的配慮についての検討を行う必要があること。
 被験者数は、試験内容や実施方法により必要な客体数が異なるが、統計学的手法によって有意水準の判定が可能な客体数を確保すること。したがって、統計学的手法上、有意水準の判定に不十分な被験者数の場合には、報告例として扱うものとすること。
 また、実施した試験における有意差が一過性と考えられる場合には、より精密な評価が要求されるものであること。
(ウ)試験食
 試験食は、原則として、保健の用途を表示しようとする食品を用いること。
 ただし、関与する成分と当該食品との差異が極めて少ない場合、その他合理的な理由がある場合には、当該食品ではなく関与成分で実施してもよい。
(エ)試験実施方法
 試験実施に当たっては、被験者の割り付け方法等に十分配慮し、統計学的に十分な有意差を確認するに足りる試験方法と調査客体を設定することが必要であること。
(オ)保健の用途に係る有効性等の判定方法
 保健の用途に係る有効性及び摂取量の確認のための試験結果の判定は、必ず統計学的処理による有意差検定により行うこと。

(2) 安全性に関する資料
ア in vitro及び動物を用いた in vivo試験
 安全摂取量確認のための基礎資料とすることを目的とする。
 食品等としてヒトが摂取してきた経験が十分に存在する物であって、合理的な理由があるものは、in vitro及び動物を用いた in vivo試験の添付を省略することができる。
 食品等としてヒトが摂取してきた経験が十分に存在しない物については、「保健機能食品であって、カプセル、錠剤等通常の食品の形態でない食品の成分となる物質の指定及び使用基準改正に関する指針」のIVの3の(6)安全性に関する資料と同等の資料が必要となること。

イ ヒトを対象とした試験等
 原則として、(1)のイと同じであるが、関与する成分又は同種の食品若しくは保健の用途を行おうとする食品におけるアレルギーの発生等の有害情報に関する文献検索を行い、該当するものについて資料として添付すること。
(ア)試験目的と計画等
 保健の用途を表示しようとする食品について過剰量摂取する場合における安全性を確認することを目的とする。
 試験は、原則として、過剰用量における摂取試験を実施すること。
 また、ヒトを対象とした保健の用途及び摂取量の試験に併せ、被験者における副次作用の発生の有無を確認すること。
(イ)対象被験者及び被験者数
 原則として(1)のイの(イ)に同じ。
(ウ)試験食
 原則として(1)のイの(ウ)に同じ。
(エ)試験実施方法
 原則として(1)のイの(エ)に同じ。
(オ)安全性の確認方法
 原則として(1)のイの(オ)に同じ。
 併せて、医師による被験者に対する副次作用の発生の有無の確認、生化学的指標の異常変動事例の有無等を確認すること。

(3) 安定性に関する資料
 関与成分の物理・化学・生物的性状を明らかにするとともに、それが目的とする食品に加えられた時に他の成分を損ったり、それ自身が変性、分解することがないかなどを確認すること。それを確認するには、関与成分の物理・化学・生物的性状を確認し、熱(温度)、pH(酸、アルカリ)、光(紫外線)、湿度(水分)、その他(共存する成分による影響)の要因に対する安定性試験を行うとともに、当該食品の品質保持期限を設定するために、関与成分の食品中における経時安定性及び食品としての品質の経時安定性の試験を行うこと。
 なお、錠剤、カプセル等の形状食品については、組成、製法、保存条件等により、形状の崩壊、溶解性に変化がみられることから、上記の試験に加えて、崩壊、溶解性の変化に関する試験を行うこと。

(4) 製品中の関与成分の試験検査方法(定性及び定量試験法)
 関与成分が表示どおり食品中に存在することを確認するために、分離・同定及び定性・定量試験法を確立し、これらの試験方法とその信頼性を明らかにすること。
 申請者は、関与成分の研究開発過程で確立した方法や食品に存在する当該関与成分の分離・同定及び定性・定量試験の方法例を明記すること。

5 表示等の基準

 特定保健用食品の表示は、食生活において特定の保健の目的で摂取する者に対し、特定の保健の機能を有する成分を含む食品の摂取により、健康の維持増進に役立ち、特定の保健の用途に適する旨を表示するものである。従って、当該表示は、疾病の診断、治療又は予防に言及するものであってはならず、健康の維持増進のための身体の生理的機能や組織機能の維持、手助け(補助)及び特定の保健に役立つ、適する旨の表示に限るものである。
 具体的な表示基準は別途医薬局長が定める。
 また、保健の用途に係る記載は、当該食品の容器包装だけでなく、添付文書にも見られ、消費者もこれらにより当該食品に関する情報を得ていることから、添付文書についても表示基準を逸脱する表示は認められないとともに、消費者が食品を購入する動機として各種広告(チラシ、ポスター、テレビCM等)の影響も大きいことから、広告についても表示基準の趣旨に添ったものでなければならない。

6 安全性に関する情報収集及び再評価

 特定保健用食品については、当該指針等に基づき、食品の保健の用途、安全性、表示内容等の適否について、審議会において審査され、許可されるものであるが、許可後の科学的知見の集積、あるいは製造方法の変更等により、その保健の用途に係る有効性や当該食品の安全性等に疑念が生じる可能性がある。
 このため、許可を受けた食品の申請者は、当該食品の有効性、安全性等に問題が生じていないか、その確認に努めなければならない。
 また、製品の販売に伴い、消費者から健康影響に関する苦情等が申請者に寄せられることが考えられるが、こうした情報は、処理経過を含め、記録し、保存するよう努めなければならない。
 国及び都道府県等は、当該食品の有効性、安全性等が確保されていることを適宜確認し、必要に応じ関係資料の提出等を求め、評価することとする。


(別添2)
保健機能食品であって、カプセル、錠剤等通常の食品形態でない食品
の成分となる物質の指定及び使用基準改正に関する指針

I 目的

 本指針は、保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質のうち、栄養成分たるビタミン類、ミネラル類及び製造、加工等において使用される賦形剤や乳化剤等の添加物について、厚生大臣が規則別表第2の2において、指定又は使用基準改正を行うための要請手続、要請書に添付すべき安全性に関する試験成績等必要な資料の範囲等を規定するものである。
 本指針の対象となる物質は、ビタミン類、ミネラル類であって化学的手段により元素又は化合物に分解反応以外の化学的反応を起こさせて得られた物質及びこれと同等の安全性等の確保が必要と認められる物質(天然からの抽出物であって分画、精製等により本来天然に存在するものと成分割合が異なっているもの等)又は保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の製造において使用される添加物(天然香料及び一般に食品として飲食に供されているものを除く)である。
 なお、本指針に基づき指定された物質については、保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品に対してのみ使用することができるものであり、それ以外の通常の食品に使用する場合には、「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針」(平成8年3月衛化第29号 生活衛生局長通知)(以下、「衛化29号」という。)に基づき別途指定又は使用基準改正の手続きが必要となるものである。

II 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質の指定及び使用基準改正に関する基本的考え方

 ビタミン類、ミネラル類については栄養を補給、補完するなど、生活の質の向上や健康の維持増進に役立つものとして意義があり、かつ安全性が確保されたものでなければならない。
 また、これらの成分に関して行おうとする表示については科学的な妥当性が示されなければならない。
 賦形剤や乳化剤等の添加物については、保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品を製造、加工等する際に必要不可欠なものであり、かつ安全性が確保されたものでなければならない。
 そのため、コーデックス委員会(FAO/WHO合同食品規格委員会)の基準等を参考にするとともに、わが国の食品摂取の状況等を勘案し、公衆衛生の観点から、薬事・食品衛生審議会(現・食品衛生調査会、以下同じ。)において科学的見地に基づき評価される必要がある。

1.安全性

 要請する品目について、要請された使用方法において、安全性が実証又は確認されること。

2.有効性/必要性

 要請する品目がビタミン類、ミネラル類の場合には(1)が、賦形剤や乳化剤等の添加物の場合には(2)が実証又は確認されること。

(1)有効性

 ヒトにおいて、必要かつ重要な要素であり、栄養素となる成分であること。また、保健の目的を表示する食品にあっては、保健機能を有することが実証又は確認されること。
 ただし、医薬品及び医薬部外品とみなされる場合を除く。

(2)保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の製造、加工、処理等で必要とされるもの。
 ただし、劣悪な原料又は保健機能食品であって、カプセル、錠剤等通常の食品形態でない食品の製造、加工、処理等の過程における好ましからざる手段若しくは技術(非衛生的なものを含む。)の使用による影響を隠ぺいする目的で使用される場合を除く。

III 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質の指定又は使用基準改正に係る手続

1.要請

 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質について、指定又は使用基準改正を要請する者は、厚生労働大臣(現・厚生大臣、以下同じ。)あて、それぞれ別紙様式1又は別紙様式2により要請書を提出することができる。要請書には、保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質の成分規格案及び使用基準案並びに安全性に関する資料等を添付しなければならない。
 なお、要請者が外国に在住する場合には、日本国内において当該要請に関する事項について責任をもって対応できる者(国内連絡先)を明記すること。また、要請書は、直接、厚生労働省医薬局食品保健部基準課(現・厚生省生活衛生局食品化学課、以下同じ。)に提出すること。

2.成分規格案及び使用基準案の添付

(1)保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質についての指定を要請する場合には、原則として、成分規格案を要請書に添付する。また、使用基準案は当該物質の使用対象品、使用量及び使用方法等を限定する必要がある場合に添付する。

(2)保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質について使用基準の改正を要請する場合には、使用基準と要請する使用基準改正案の対照表を要請書に添付する。

3.審査

 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質の指定又は使用基準改正の要請については、厚生労働省医薬局食品保健部企画課新開発食品保健対策室(現・厚生省生活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室、以下同じ。)及び基準課において事務局審査を行い、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くことが適切であると認められる場合には、当該要請について薬事・食品衛生審議会への諮問に必要な事務を開始する。
 薬事・食品衛生審議会は審査終了後、諮問された事項に関し厚生労働大臣あて答申を行う。厚生労働省は、薬事・食品衛生審議会の答申を踏まえ、食品衛生法施行規則改正等必要な事務手続を行う。(下記の図参照) なお、薬事・食品衛生審議会における審査の過程等において、必要とされる場合には、要請者に資料の追加提出等を求めることがある。

指定等に関する手続き

4.標準的事務処理期間

 要請書が受理された日から、保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質の指定又は使用基準改正までに要する標準的事務処理期間は1年とする。ただし、本期間には、提出された書類又は資料等に不備があり、これを要請者が修正するのに要する期間及び薬事・食品衛生審議会等における指摘事項に対し要請者が回答するまでの期間は含まない。

IV 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質の指定及び使用基準改正の要請書に添付すべき資料

1.添付資料の範囲

 ビタミン類、ミネラル類の指定及び使用基準改正の要請に際しては、原則として、表1のA欄◎で示された資料を、賦形剤や乳化剤等の添加物の指定及び使用基準改正の要請に際しては、原則として、表1のB欄◎で示された資料を、添付すること。

(1) 既に指定されている品目に類するもので合理的な理由があるものについては、その理由を説明した上で、当該要請に係る資料の添付を省略することができる。

(2) 当該品目が食品常在成分(当該成分について、通常の食品から摂取する量を大幅に超えることが明らかであるものは除く。以下同じ。)であるか又は消化管内等で分解して食品常在成分になることが科学的に明らかである場合には、原則として、表1のうち毒性に関する資料の添付を省略することができる。
 なお、上記に該当するか否かは、表2の事項について検討の上薬事・食品衛生審議会において判断することが必要である。

(3) 要請に係る品目のうち、医薬品又は医薬部外品あるいはそれらの添加物としての使用実績があるものや長年医薬品又は医薬部外品あるいはそれらの添加物としてヒトが用いてきた経験があるものについては、医薬品又は医薬部外品あるいはそれらの添加物としての評価に用いた有効性/必要性、安全性等に関する資料を提出することにより、当該有効性/必要性、安全性等に関する資料の一部を省略することが出来る。省略することが出来ると考えられるものは、表1において○印において示されているが、薬事・食品衛生審議会において審議した結果、必要と判断された資料については提出しなければならない。

(4) また、表1において△印を付した資料は、指定や基準改正後に新たな知見が得られた場合及びその他必要な場合に添付する必要がある。

(5) 要請に係る品目について、品質、安全性又は有効性/必要性を有することを疑わせる資料については、当該資料の信頼性等にかかわらず、提出しなければならない。

2.添付資料作成上の一般的注意

(1) 本指針における評価は、物質として個々に評価を行うものである。従って、複数の物質が混合されているような場合には、本指針に該当する個々の物質それぞれについて資料を作成する必要がある。

(2) 添付資料は、要請者がその責任において提出するものであり、資料内容の信頼性は要請者が確保しなくてはならない。

(3) 資料概要は邦文で記載されていなければならない。ただし、資料概要以外の添付資料(表1の区分2〜6の資料)については英文で記載されたものであっても差し支えない。

(4) 添付資料を作成するために必要とされる試験は、試験成績の信頼性を確保するために必要な施設、機器、職員等を有し、かつ適正に運営管理されていると認められる試験施設において実施されなければならない。

3.指定要請添付資料の作成上の留意事項

(1)要請の目的及び理由

 要請する品目を保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品に用いなければならない理由を記載すること。

ア) ビタミン類、ミネラル類について
 通常の食品から摂取する場合と保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品から摂取する場合について比較を行い、保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品から当該成分を摂取する必要性や有効性について検討し記載すること。本項では、概要を記載することとし、データ等具体的な事項については有効性の項において記載すること。
イ) 賦形剤や乳化剤等の添加物について
 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品に使用しなければならない理由について記載すること。本項では、概要を記載することとし、添加物の必要性や他の添加物との比較等に関する具体的な事項については必要性の項において記載すること。

(2)資料概要

(1) 資料区分ごとに簡潔にまとめ、全資料の概要を把握できるよう考慮すること。
(2) 重要事項については、必要に応じ具体的なデータや図表を付して記載すること。
(3) 概要に記載されている内容と各資料との関連が容易に判るように目次や資料番号を付して、通しページをつけること。
(4) 表1に示された資料であって、添付を省略した資料については、その理由を記載すること。

(3)起源又は発見の経緯及び使用状況に関する資料

(1) 起源又は発見の経緯
 要請する品目がいつ、どの国で開発又は発見されたかを記載する。
(2) 外国における許可状況
 要請する品目の諸外国における許可状況。使用基準、成分規格等が定められている場合にはそれらについても合わせて記載すること。また、コーデックス等の国際機関における安全性評価状況や使用基準、成分規格等も記載すること。
(3) 諸外国での使用状況や医薬品等としての使用実績
 要請する品目が、既に諸外国等において、食品、医薬品あるいは医薬品の添加物等としてヒトが用いている実績がある場合には、その経緯や今日までの使用、流通、摂取等の状況について記載する。

(4)物理化学的性質及び成分規格に関する資料

 食品添加物公定書の通則及び一般試験法等を参考にして、適切な方法により試験した結果に基づき作成すること。
(1) 名称
 目的物質(要請する品目の構成成分のうち有効性/必要性を示す物質)の一般名、化学名(IUPAC名に準拠する。)等を記載すること。
(2) 構造式又は示性式
 目的物質について食品添加物公定書を参考に構造式又は示性式を記載すること。
(3) 分子式及び分子量
 目的物質について食品添加物公定書の通則に準拠し記載すること。
(4) 含量規格
 含量規格は、製造過程、定量誤差及び安定性等に基づき、要請する品目の安全性と有効性/必要性に関して同等とみなせる一定品質を保証するのに必要な目的物質の値を設定すること。
(5) 製造方法
 要請する品目の製造方法によっては、不純物の種類又は量が異なる可能性もあるので、製造工程を簡明に記載すること。
(6) 性状
 性状は、要請する品目の使用時の識別及び取扱い上必要となる事項について、通例、味、におい、色、形状等を記載すること。
(7) 確認試験
 確認試験は、当該物質が目的物質であるか否かをその特性に基づいて確認するための試験である。従って、物質の化学構造上の特徴に基づいた特異性のある試験である必要がある。
 確認試験以外の項目の試験によっても目的物質の確認が可能な場合には、その試験を確認試験とすることができる。例えば、定量法に特異性の高いクロマトグラフ法を採用する場合には、当該試験を確認試験とし、添付資料を簡略化することができ、あえて定量法とは別の試験方法を設定する必要はない。
 確認試験を行う方法としては、通例、スペクトル分析に基づく方法及び化学反応による方法が考えられる。なお、化学反応については、化学構造の特徴を確認するのに適切なものがある場合に設定すること。
(8) 示性値
 示性値とは、吸光度、旋光度、pH及び融点等の物理的化学的方法により測定される数値をいい、要請する品目の品質を確保するうえで必要な項目を記載すること。
(9) 純度試験
 純度試験は、要請する品目中の目的物質以外の不純物を試験するために行うもので、定量法とともに物質の純度を規定する試験である。要請する品目中に混在する可能性のあるもの(原料、中間体、副生成物、分解生成物、試薬・触媒、重金属、無機塩及び溶媒)のうち必要なものを対象とすること。
(10) 乾燥減量、強熱減量、水分
 乾燥減量試験は、乾燥することによって失われる要請する品目中の水分、結晶水の全部又は一部及び揮発性物質等の量を測定するために行う。強熱減量試験は、強熱することによって、要請する品目中の構成成分の一部又は混在物を失う無機物について行う。水分試験は、要請する品目中に含まれる水分含量を知る目的で行う。
(11) 強熱残分(強熱残留物)または灰分
 強熱残分試験は、通例、要請する品目が有機物である場合に不純物として含まれる無機物の含量を知るために行うが、場合によっては、有機物中に構成成分として含まれる無機物又は熱時揮発する無機物中に含まれる不純物の量を測定するために行う。灰分試験は、強熱することによって、要請する品目中に残留する物質の量を測定するために行う。
(12) 定量法
 定量法は、要請する品目中に含まれる目的物質の含量を、物理的、化学的又は生物学的方法により測定する試験である。相対的な試験方法を設定する場合には、定量試験に用いる標準物質について規格を設定すること。
 正確さ、再現性及び特異性を重視して、試験法を設定する。ただし、特異性の低い方法であっても、適切な純度試験により、混在物の限度が規制されている場合には、再現性のよい絶対量を測定しうる試験方法を設定して差し支えない。その場合には、特異性にかける部分について、純度試験等に特異性の高い方法を用いることにより、相互に補完し合うことが必要である。
 なお、定量しようとする目的物質が2種以上ある場合は、重要なものから記載すること。
(13) 物質の安定性
 目的物質について、酸・アルカリの液性、温度、湿度、熱等の変化に対する安定性や水溶液中での安定性を分解物等の検索を含め、検討を行うこと。
(14) 保健機能食品であって、カプセル、錠剤等通常の食品形態でない食品中の目的物質の分析法
 目的物質を保健機能食品であって、カプセル、錠剤等通常の食品形態でない食品中から、効率的かつ正確に分析し定性又は定量するための方法を記載する。原則として当該物質を使用する対象食品につき検討すること。なお、同様の目的をもつ他の成分等との分離定量に留意すること。
(15) 成分規格案の設定根拠
ア) 成分規格案は、コーデックス等の国際機関によって設定された成分規格を参考とし、上記(1)〜(12)の資料に基づき、当該物質の安全性、有効性/必要性に関し、一定の品質を担保するために必要なものを設定すること。
イ) コーデックス等の国際機関によって設定された成分規格及び諸外国の成分規格と成分規格案との対照表を添付すること。

(5)有効性/必要性に関する資料

(1)ビタミン類、ミネラル類については下記について資料を提出すること。
ア) ヒトにおける有効性
 要請する品目の栄養素としての機能、保健機能等が、ヒトにおいて科学的に実証又は確認されること。当該成分の機能が科学的データにより証明されており、一般的に広く知られているものについては、その概要を記載すればよい。それ以外の場合には、動物を用いた試験結果から、目的とする効果が確認されること。
イ) 同様の効果をもつ成分との比較検討
 要請する品目の有効性と同様の効果を持つものがある場合には比較等を行い、その概要を記載すること。
ウ) 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品中における安定性
 要請する品目の保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品中における安定性に関する試験を行う。なお、安定でない場合は、主な分解物の種類及びその生成程度について検討し記載すること。
エ) 他の成分との相互作用等
 要請する品目の摂取により、医薬品の効能効果に影響を及ぼす可能性、通常の食事から摂取される食品成分の摂取バランスへの影響、他の食品成分の代謝・吸収等への影響等、ヒトに与える影響の可能性について検討し記載すること。

(2)賦形剤や乳化剤等の添加物となるものについては、下記について資料を提出すること。
ア) 賦形剤や乳化剤等の添加物としての必要性
 要請する品目について、期待する効果があることを裏付ける試験を行い記載すること。
 具体的には、錠剤、カプセル等を製造する場合の賦形剤や乳化剤等の添加物としての必要性を添加量及び時間経過との関係において明らかになるような試験を行うこととし、例えば乳化剤であれば乳化作用が、添加量や時間経過においてどのように変化するかを検討し記載すること。
イ) 同種の添加物との比較検討
 既に用いられている同様の効果を持つ物質がある場合には、それらの食品添加物との比較を保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品に用いる場合について検討し記載すること。
ウ) 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品中における賦形剤や乳化剤等の添加物の安定性
 要請する品目の保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品中における安定性に関する試験を行う。なお、安定でない場合は、主な分解物の種類及び生成程度について検討し記載すること。
エ) 要請する品目の食品中の主要な栄養成分に及ぼす影響
 要請する品目を摂取することにより、食品中の主要な栄養成分に及ぼす影響について検討すること。

(6)安全性に関する資料

 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質についての安全性評価は、物質として評価を行うものであり、(1)、(2)及び(4)について留意する必要がある。また、ビタミン類、ミネラル類については、(3)についても原則として検討することが必要である。

(1) 毒性に関する資料
ア) 毒性試験は、ヒトの摂取様式に基づき投与方法等を検討し適切に実施されなければならない。また、毒性試験データの信頼性を確保するため、これらの試験は医薬品の安全性試験の実施に関する基準等、適切なGLP(Good Laboratory Practice)に従って実施されなくてはならない。
イ) 各々の毒性試験についての標準的な実施方法は、衛化29号第V章に示されている。
 しかし、本来、すべての物質について一律の試験方法を定めることは合理的でなく、また、今後とも科学技術の進歩に応じ新しい試験方法の開発が行われることも考えられるので、得られた所見が物質の安全性評価に資するものである限り、必ずしも衛化29号に示された方法に固執するものではない。
 例えば、OECDガイドライン、米国FDAガイドラインに準拠した試験は、物質の安全性評価にとって基本的に問題ないものと考えられる。
ウ) 90日間反復投与毒性試験をげっ歯類1種又は非げっ歯類1種について実施した場合には、それぞれに相当する動物種に係る28日間反復投与毒性試験の実施を省略することができる。
エ) 1年間反復投与毒性試験、発がん性試験を各々所要の動物種について実施した場合には、1年間反復投与毒性/発がん性併合試験を実施する必要はない。
 また、1年間反復投与毒性/発がん性併合試験をげっ歯類1種について実施した場合には、1年間反復投与毒性試験及び発がん性試験のげっ歯類1種について試験の実施を省略することができる。
オ) 要請する品目の分解物及び混在する不純物の安全性についても、必要に応じ検討を行う。
(2) 体内動態に関する資料
ア) ヒトが摂取した場合の生体内における吸収、分布、代謝、排泄を推定するため、体内動態に関する動物を用いた試験を実施する。従って、動物試験結果をまとめるのみでなく、ヒトにおける体内動態や有害な作用の発現の推定等について考察を行わなくてはならない。
イ) 体内動態に関する試験の標準的な実施方法も、衛化29号第V章に示されているが、その取扱いについては、上記(1) イ)に述べた毒性試験の場合と同様である。
(3) ヒトにおける安全性に関する資料
 無作用量に関する知見、長期摂取した場合の知見、諸外国及び医薬品における使用上限値の設定状況等要請する品目の安全性に関して明らかとなっている知見を記載すること。
(4) 一日摂取量に関する資料
ア) 要請する品目の一日摂取量は、使用対象食品の一日あたりの喫食量に当該食品中に含まれる要請品目の量を乗じて求める。通常の食品にも使用又は含まれている場合にはそれらの量も合わせ、総摂取量を求める必要がある。食品の一日あたりの喫食量は、国民栄養調査の食品群別摂取量又はその他の資料等により適切に推定する。
 また、ビタミン類及びミネラル類については、同様の効果をもつと考えられる物質を通常の食事から摂取している場合には、当該物質を併せた推定を行うこと。
イ) 要請する品目の安全性について、許容上限摂取量あるいは一日摂取許容量との比較等につき考察する。なお、考察に当たっては、同種の物質等が併せて摂取される場合等の安全性についても検討すること。
ウ) 国民栄養調査成績等我が国の食物摂取の実態を踏まえ、栄養成分の過剰摂取や電解質バランスへの影響等についても検討すること。特にビタミン類及びミネラル類については、欠乏症及び過剰摂取の危険性についても充分に考察し記載される必要がある。

(7)使用基準案に関する資料

(1) 要請する品目の安全性、有効性/必要性を総合的に検討し、使用対象食品及び使用量等を限定するため、使用基準を設定する必要があると判断した場合には、当該使用基準を設定する根拠を上記(2)〜(5)の資料に基づき明らかにすること。なお、使用基準案はできる限り具体的に記載し、当該物質が使用される食品を限定できるような記載とすること。
(2) 使用基準を設定する必要がないと判断した場合には、上記(2)〜(5)の資料に基づき、その根拠を明らかにすること。

4.保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質の使用基準改正要請添付資料の作成上の留意事項

 「3.指定要請添付資料の作成上の留意事項」に準ずる。ただし、使用基準案の設定に関する資料においては、要請した使用対象食品の追加、使用量の変更等、使用基準を改正する根拠を、資料に基づき明らかにする。

表1 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態ではない食品の成分となる物質の指定又は使用基準改正の要請書に添付すべき資料

資 料 の 種 類 A欄
(ビタミン類、
ミネラル類)
B欄
(賦形剤や
乳化剤等の
添加物)
指定
要請
使用
基準
改正
指定
要請
使用
基準
改正

(1) 本要請の目的及び理由

(2) 資料概要

(3) 起源又は発見の経緯及び使用状況に関する資料

 (1) 起源又は発見の経緯

 (2) 外国における許可状況

 (3) 諸外国での使用状況や医薬品等としての使用実績

(4) 物理化学的性質及び成分規格に関する資料

 (1) 名称

 (2) 構造式又は示性式

 (3) 分子式及び分子量

 (4) 含量規格

 (5) 製造方法

 (6) 性状

 (7) 確認試験

 (8) 示性値

 (9) 純度試験

 (10) 乾燥減量、強熱減量、水分

 (11) 強熱残分(強熱残留物)又は灰分

 (12) 定量法

 (13) 物質の安定性

 (14) 保健機能食品であって、カプセル、錠剤等通常の食品形態
  でない食品中の目的物質の分析法

 (15) 成分規格案の設定根拠

(5) 有効性/必要性に関する資料

 (1)ビタミン類、ミネラル類について

 ア ヒトにおける有効性

 イ 同様の効果をもつ成分との比較検討

 ウ 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態で
  はない食品中における安定性

 エ 他の成分との相互作用等

 (2)賦形剤や乳化剤等の添加物について

 ア 賦形剤や乳化剤等の添加物としての必要性

 イ 同種の添加物との比較検討

 ウ 保健機能食品であってカプセル、錠剤等通常の食品形態で
  はない食品中における添加物の安定性

 エ 要請する品目の食品中の主要な栄養成分に及ぼす影響

(6) 安全性に関する資料

 (1) 毒性に関する資料

  ア 単回投与毒性試験

  イ 28日間反復投与毒性試験

  ウ 90日間反復投与毒性試験

  エ 1年間反復投与毒性試験

  オ 繁殖試験

  カ 催奇形性試験

  キ 発がん性試験

  ク 1年間反復投与毒性/発がん性併合試験

  ケ 抗原性試験

  コ 変異原性試験

  タ 一般薬理試験

  チ その他参考となる試験(医薬品として実施された試験等)

 (2) 体内動態に関する資料

 (3) ヒトにおける安全性に関する資料

 (4) 1日摂取量に関する資料

(7) 使用基準案に関する資料

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(注)◎印は添付すべき資料、○印は原則として添付すべきであるが、医薬品としての試験成績やその他合理的な理由がある場合には省略することができると考えられる資料、△印は新たな知見がある場合等必要な場合において添付すべき資料を示す。


表2 保健機能食品であって、カプセル、錠剤等通常の食品形態でない食品の成分となる物質が食品内又は消化管内で分解して食品常在成分となることを確認する場合の検討事項

1.通常の使用条件下で、当該物質が容易に食品内又は消化管内で分解して食品常在成分と同一物質になること。

2.食品内又は消化管内での分解に関わる主要な因子(pH、酵素等)が明らかであること。

3.通常の使用条件下で適正な量を使用した場合、当該物質の体内への吸収が食品成分と同程度であり、他の栄養成分の吸収を阻害しないこと。

4.摂取された物質の未加水分解物又は部分加水分解物が大量に糞便中に排泄されないこと。
 更に、未加水分解物又は部分加水分解物が生体組織中に蓄積しないこと。

5.当該物質を含む保健機能食品であって、カプセル、錠剤等通常の食品形態でない食品を摂取したとき、過剰摂取の問題が起きないこと。



様式1

  年  月  日

厚 生 労 働 大 臣 殿
住所(法人にあっては、主たる事務所の所在地)
氏名(法人にあっては、名称及び代表者の氏名) 印


 食品衛生法第6条及び第7条第1項の規定に基づき、食品衛生法施行規則別表2の2に下記品目を指定されるよう要請します。



( 品 名 )


(注意)
 1. 用紙の大きさは、日本工業規格A4とすること。
 2. 字は、墨、インク等を用い、邦文にあっては楷書ではっきり書くこと。
 3. 要請者が外国に在住する場合には、国内連絡先を記載すること。なお、印を署名に代えることができる。


様式2

年  月  日

厚 生 労 働 大 臣 殿
住所(法人にあっては、主たる事務所の所在地)
氏名(法人にあっては、名称及び代表者の氏名) 印


 食品衛生法第7条第1項の規定に基づき、食品衛生法施行規則別表2の2において指定されている下記品目の使用基準を下記のとおり改正されるよう要請します。



(品 名 及 び 使 用 基 準 改 正 案)


(注意)
1. 用紙の大きさは、日本工業規格A4とすること。
2. 字は、墨、インク等を用い、邦文にあっては楷書ではっきり書くこと。
3. 要請者が外国に在住する場合には、国内連絡先を記載すること。なお、印を署名に代えることができる。


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