報道発表資料 HOME

水資源開発公団事業(房総導水路建設事業)の再評価結果について

平成12年9月11日

(概要)
 公共事業の各分野で事業の再評価システムが導入されており、厚生省においても、水資源開発公団が実施する事業の再評価を実施している。
 今年度は、千葉県九十九里沿岸地域等への水道用水の供給等を目的とする「房総導水路建設事業」を対象とし、第三者の意見を聴いた上で、再評価を行ったその結果、本事業は、千葉県九十九里沿岸地域等の水道にとって重要な水源であるため、引き続き現計画に従い実施することとした。

1.水資源開発公団事業の再評価について

(1) 厚生省においては、昨年度より、水道施設整備事業について、事業の再評価システムを導入している。

(2) 一般的に、水道施設整備事業の再評価は、水道事業等の事業主体である地方公共団体が行うが、水資源開発公団が実施する事業のうち厚生大臣が主務大臣であるもの(以下「水資源開発公団事業」という。)にあっては、厚生省が再評価を実施することとしている。

(3) 水資源開発公団事業の再評価は、原則として、事業採択後5年を経過して実施中の事業を対象とし、5年ごとに実施することとしており、今年度は、房総導水路建設事業について再評価を行った。

2.房総導水路建設事業の概要

(1) 事業の目的

 既存の両総用水施設を共用し一部改築するとともに、新たに導水路、調整池、ダムを建設することにより、千葉県九十九里沿岸地域等に水道用水等を供給する。

(2) 主務大臣

 厚生大臣、農林水産大臣及び通商産業大臣

(3) 事業の概要

ア.水道用水の供給
 千葉県の九十九里沿岸地域及び南房総地域等の水道用水として毎秒3.20立方メートルを供給する。
イ.工業用水の供給
 千葉市から君津市に至る千葉臨海工業地帯及び及びその周辺の工業用水として毎秒5.20立方メートルを供給する。
ウ.総事業費
 約1,417億円(うち水道負担分は約868億円)
エ.工期
 昭和45年度から平成16年度まで
オ.進捗率等
 平成12年度末までに96%の進捗が見込まれる。
 現在までに、導水路、ダム等の建設は既に終了しており、残された事業は既存の両総用水共用施設の機能復旧工事のみとなっている。

(4) 事業の経緯

昭和45年 水資源開発基本計画決定
昭和46年 事業実施方針指示・事業実施計画認可
昭和52年 九十九里地域水道企業団へ暫定通水を開始
昭和59年 事業実施方針の変更(利水配分の確定、坂田調整池の追加等)
平成3年 事業実施方針の変更(工業用水の水道用水への一部転用、南房総導水路の追加等)
平成6年 両総用水共用施設の機能復旧工事に着手
平成8年 南房総地域水道企業団へ暫定通水を開始
平成12年 事業実施方針の変更(工期、事業費等の変更)

3.水資源開発公団事業再評価委員会における検討結果について

(1) 厚生省では、水資源開発公団事業の再評価を行うに当たって第三者の意見を聴取するため、学識経験者からなる水資源開発公団事業再評価委員会(委員長 佐々木弘神戸大学大学院経営研究科教授。以下「再評価委員会」という。)を設置しており、去る8月22日に房総導水路建設事業の再評価のため、委員会を開催した。

(2) 再評価委員会において、委員より、本事業は既に暫定通水が行われており、千葉県の九十九里沿岸地域、南房総地域等にとって重要な施設である等の評価・指摘をいただき、「現計画による整備は適切であると認められ、事業を継続する」という再評価の対応方針(案)が了承された。

※ 再評価委員会に提出した資料については、厚生省水道環境部計画課広域計画室において配布。

4.房総導水路建設事業の再評価の結果について

 厚生省は、再評価委員会における意見を踏まえ、房総導水路建設事業は、千葉県九十九里沿岸地域等の水道にとって重要な水源であることから、引き続き現計画に従って実施することとした。

(参考) 再評価委員会の議事概要

(別紙参照)


(照会先)
水道環境部計画課広域計画室
室長 粕谷 明博(内線4011)
補佐 筒井 誠二(内線4012)


(別 紙)

平成12年度水資源開発公団事業再評価委員会 議事概要

1.日 時 平成12年8月22日(火) 10:30〜12:00
2.場 所 厚生省セントラル第1会議室
3.出 席 者  
 ◇ 委 員 : 小泉 明 委員(東京都立大学大学院教授)
佐々木 弘 委員(神戸大学大学院経営学研究科教授)(委員長)
和田 安彦 委員(関西大学工学部教授)
 ◇オブザーバー: 農林水産省構造改善局、通商産業省環境立地局、千葉県企画部、千葉県水道局、千葉市水道局、九十九里地域水道企業団、南房総広域水道企業団
 ◇事務局: 厚生省生活衛生局水道環境部
 ◇事務局補佐: 水資源開発公団第二工務部、企画部、房総導水路建設所

4.配布資料

資料1 水資源開発公団事業再評価委員会委員等名簿
資料2 房総導水路建設事業の再評価(案)
房総導水路建設事業の再評価(案)参考資料
参考1 水資源開発公団事業再評価委員会について
参考2 水資源開発公団事業の概要

5.議事概要

(1)委員ほか出席者の紹介

 事務局より、茂庭委員(東海大学工学部教授)については都合により欠席であるが意見を頂いている旨を報告。

(2)房総導水路建設事業の再評価について

 資料2の再評価(案)について、水資源開発公団より説明を行い、再評価(案)について検討を行った。その結果、現計画による整備は適切であると認められ、事業を継続するという再評価の対応方針(案)が承認された。
 なお、委員からの主な意見は次のとおり。

○ 本事業については、基幹施設が既に完成し、既に暫定通水も行われているなど、水源に乏しい千葉県の九十九里地域及び南房総地域等にとって重要な施設である。
○ 事業の投資効果分析については、日本水道協会の「水道事業の費用対効果分析マニュアル(試行版)」により行われており、同マニュアルの投資効果分析手法が暫定的性格であること、また、便益の算定に用いられた被害原単位の値等についてもその精度を上げることが必要であり、今後はこれらマニュアル等の充実が必要である。ただし、このような点を割り引いたとしても、維持管理費用を高めに設定し費用対効果分析を行っていることを勘案すれば、事業の効果は十分にあるといえる。
○ 事業工期が長期間に及び、様々な事業内容を一つの事業のなかで実施しているといった面もあることから、その経過を整理しておく必要がある。
○ コスト縮減の効果については、できる限り定量的に表すことが必要である。
○ 水道用水については、量の確保に加え、今後は質の確保も重要であり、栗山川、東金ダム、長柄ダムの水質の現状に鑑み、栗山川の汚濁原因をより明確にするとともに、関連の事業あるいは地域との協力や、水道原水の水質管理の観点から本事業における水質改善対策を考えていく必要がある。


報道発表資料 HOME