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平成11年12月17日
厚生省においては、大阪府豊能郡美化センターのダイオキシン汚染問題を契機として、高濃度ダイオキシン類汚染物分解処理技術検討会を設置し、高濃度ダイオシン類汚染物を適切に分解処理する技術について、実証試験を実施するなどして検討を行ってきたが、今般、技術マニュアルとしてとりまとめた。 本マニュアルは、豊能郡美化センターに残留する汚染物を適切に処理する際の参考となるほか、他に高濃度汚染の事例が起こった場合や、通常のばいじん等に含まれるダイオキシン類をさらに低減させようとする場合の参考にもなるものである |
1.経 緯
・平成10年9月、大阪府豊能郡美化センターの焼却施設内の堆積物、残留水等から高濃度のダイオキシン類が検出されたことから、これらの汚染物の処理方法を検討するため、平成10年12月、「高濃度ダイオキシン類汚染物分解処理技術検討会(座長:武田京都大学教授)」を設置。(委員名簿:別紙1)
・高濃度ダイオキシン類の分解処理技術を公募し、応募のあった69種類の技術のうち7種類の技術を選定し、平成11年3月から、豊能郡美化センターの汚染物を試料として実証試験を実施。
・実証試験の結果を評価するとともに文献調査等も行い、マニュアルをとりまとめ。(検討経過:別紙2)
2.マニュアルでとりあげた技術
・実証試験の結果及び文献調査等から、技術的成熟度が実用レベルにあると考えられる技術のうち、下記の7種類の技術をとりあげた。
・なお、ここでとりあげた技術以外にも、ダイオキシン類の分解処理に有効と考えられる技術はある。(分解処理技術の例を参考資料にとりまとめた。)
3.その他
・高濃度汚染物の除去から分解処理までの一連の過程と、各々の過程における留意事項についてもとりまとめた。
・豊能郡美化センターの残留物を試料とした実証試験の結果の概要を参考資料にとりまとめた。
<照会先> 厚生省生活衛生局 水道環境部環境整備課 課長補佐 越智 広志 (4045)
氏 名 | 所 属 |
池口 孝 | 国立公衆衛生院廃棄物工学部廃棄物処理工学室長 |
酒井 伸一 | 京都大学環境保全センター助教授 |
武田 信生(座長) | 京都大学大学院工学研究科教授 |
藤吉 秀昭 | (財)日本環境衛生センター環境工学部次長 |
宮崎 章 | 資源環境技術総合研究所水圏環境保全部長 |
森田 昌敏 | 国立環境研究所地域環境研究部門統括研究官 |
吉田 誠宏 | 大阪府環境農林水産部環境指導室長 |
平成10年 12月1日 |
高濃度ダイオキシン類分解処理技術検討会(第1回) ・処理技術の選定要件、募集方法について検討 |
12月2日〜15日 | 分解処理技術の公募 ・応募者数 53 ・提案技術の数 69 |
12月22日 | 高濃度ダイオキシン類分解処理技術検討会(第2回) ・応募のあった処理技術の検討 |
平成11年 1月5日 |
高濃度ダイオキシン類分解処理技術検討会(第3回) ・処理技術のヒアリング |
3月16日まで | 実証試験実施技術の選定 ・6社(うち2社は共同提案)7種類の技術を選定 |
3月18日〜 | 試料の引き渡し、実証試験の実施 |
8月31日 | 高濃度ダイオキシン類分解処理技術検討会(第4回) ・実証試験結果のヒアリング |
9月30日 | 高濃度ダイオキシン類分解処理技術検討会(第5回) ・実証試験結果の評価 ・マニュアルの検討 |
11月17日 | 高濃度ダイオキシン類分解処理技術検討会(第6回) ・マニュアルの検討 |
分解処理技術の概要
1. 溶融方式
・溶融温度(1,300℃前後)以上に加熱し、ダイオキシン類を熱分解する。
2.高温焼却方式
・ 高温(1,100℃前後)でダイオキシン類を酸化雰囲気で熱分解する。
3.気相水素還元方式
・ 無酸素水素雰囲気で850℃以上に加熱しダイオキシン類と水素の反応で還元分解・脱塩素化する。
4.還元加熱脱塩素方式
・酸素欠乏状態(窒素置換等)で熱(400℃前後)を加えて脱塩素化する。
5.超臨界水酸化分解方式
・ 超臨界水(374℃、22.1MPa以上)の持つ有機物に対する溶解性、分解性を利用しダイオキシン類を分解する。
(注)MPa:メガ・パスカル=1,000,000パスカル1MPaは約10気圧
6.金属ナトリウム分散体方式
・ 金属ナトリウム超微粒子を油中に分散させたものと、抽出又は濃縮したダイオキシン類を反応させて分解する。
7.光化学分解方式
・ 紫外線等の照射とオゾン等の酸化力を利用してダイオキシン類を脱塩素化、分解する。
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