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平成11年6月24日
今後の水道及び水道行政のあり方について検討を進めてきた「水道基本問題検討会」が、約1年間の検討を経て、今般、報告を取りまとめた。 本検討会は、厚生省が水道関係の有識者に呼びかけて、昨年6月から開催してきた勉強会で、今後の水道にとっての基本的な問題について、自由に議論し、水道の目指すべき将来的な方向性について論点の整理を行ってきた。 今回の報告は、検討の途中段階で一般からの意見公募を行いつつ、このような論点整理の結果を取りまとめたもので、「国民の立場に立った多様な水道の実現」を基調とする今後の水道のあり方と、これに対応する行政施策の方向を提言する内容となっている。 厚生省においては、本報告における提言を踏まえ、実行できるものから行政に反映させるとともに、必要な制度的検討に速やかに着手していく。 |
1.検討の経緯
わが国の水道は、社会に不可欠な施設として定着し、成熟段階に入っているが、その一方で、水質問題の多様化・複雑化、安定した水源確保の一層の困難化、地震に対する脆弱性等様々な課題を抱えている。また、近年の規制緩和、情報公開の進展など、水道を取り巻く社会的情勢も大きく変化しつつある。
これらを踏まえて、厚生省では、今後の水道に関する制度の在り方を構想するとともに、その実現方法について自由に議論し、論点を整理することを目的に、水道関係の有識者を招いて「水道基本問題検討会」(座長 住友 恒 京都大学大学院教授)を開催し、昨年6月から検討を行ってきた。10回に及ぶ検討会での広範な論議を経て、今般、報告の取りまとめに至ったものである。
2.一般からの意見公募
厚生省では、検討の過程において論議を深めるため、水道問題に関心を有する一般の方々から広く御意見をいただくことが有効であると考え、昨年10月、意見公募を行った。具体的には、検討会において中間的に整理された「今後の水道及び水道制度のあり方の検討に当たっての基本的認識及び論点」を、厚生省のホームページを通じて公開し、これに対する意見を公募した。いただいた御意見については、整理の上、検討会に報告し、本報告の取りまとめに際して貴重な参考となった。
3.検討会報告
検討会報告「21世紀における水道及び水道行政のあり方」は、「需要者の視点」、「自己責任原則」及び「健全な水循環」という3つの基本的視点を提示した上で、「国民の立場に立った多様な水道の実現」を基調とする今後の水道のあり方を整理し、これに対応する行政施策の方向を提言する内容となっている(別紙検討会報告の概要、別添検討会報告(案)参照)。
4.今後の対応
厚生省においては、本報告における提言を踏まえ、実行できるものから逐次行政に反映させるとともに、制度的な検討が必要な提言については、速やかに具体的な検討に着手する予定である
《基本的視点》
○ 需要者の視点:需要者である国民の立場に立った多様なサービスの提供
○ 自己責任原則:規制緩和・地方分権を踏まえ、自由で公正な経済社会における関係者の責任ある役割分担
○ 健全な水循環:水循環に係る多くの制度、関係者との協調と連携 |
《今後の水道のあり方》
○ 全国的に全ての水道が達成すべき「ナショナル・ミニマム」に加えて、それぞれの地域ごとに需要者のニーズに応じた多様な水準の「シビル・ミニマム(ローカル・スタンダード)」を設定し、その達成へ
○ 行政が主導し牽引していく時代から、需要者である国民との対話を通じ、水道事業者が自らの意志と努力で方向を決めていく時代にふさわしい関係者の役割分担へ
○ 具体的には、
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※ ナショナル・ミニマム:安全に飲用できる水を、通常時に安定して使用できる水準
※ シビル・ミニマム:おいしい水の供給や、非常時における安定供給も視野に入れて、需要者自らが決定していくより高い水準
《行政施策の方向》
○ 水道事業の経営基盤の強化のため、地域の実情に応じた多様な形態による水道の広域化を推進するとともに、単独で十分な運営管理が困難な水道事業者が、経営基盤の強固な第三者(他の水道事業者又は一定の資格を有する民間の受託会社)に対する水道運営を委託する方式について、制度的枠組みを検討
○ 現行の水道法による規制が適用されない、小規模の受水槽以下の施設や飲用井戸等に衛生規制を適用するとともに、現在設置者の責任に委ねられている簡易専用水道の検査を、水道事業者が責任をもって実施する方向で検討
○ 水道事業の運営やサービスに関し、需要者自らが判断できるような情報の公開が不可欠であり、一般行政情報の公開に関するルールとは別に、水道事業者に対して、需要者に必要な情報を知らせる義務を課すことを検討
○ 流域の市町村や住民の積極的な参加のもと、水道事業者を含めた水循環の関係者が、流域単位で水質監視や取水調整のためのネットワークを整備するとともに、取排水体系の見直しや用途間の転用等の具体的な対策を推進できるような体制を整備 |
生活衛生局水道環境部水道整備課 課 長 岡澤 和好(4020) 課長補佐 山本 昌宏(4023)
はじめに
本検討会は、水道を取り巻く様々な環境の変化を踏まえて、21世紀における水道に関する制度の展開についてグランドデザインを行うべく、国・都道府県・市町村、民間、需要者等の役割分担を検討し、今後の水道に関する制度の在り方を構想するとともに、その実現方法について、自由に議論し、論点を整理することを目的に、平成10年6月から検討を行ってきた。
検討会には、学識経験者を含めて、広く水道関係者の参加を得て、これまでに10回に及ぶ広範な審議を重ね、今般、本報告の取りまとめに至ったものである。
歴史上前例のない「情報化社会」の到来という新しい時代背景を踏まえ、ここで取り扱っているような国民生活に深く関わりのある水道の基本課題については、供給者の事情を優先するのではなく、需要者である国民の立場に立って、時間をかけて納得を得ながらまとめていくことが重要である。本報告の取りまとめに当たっては、約1年間という限られた期間ではあるが、できる限りこのような基本認識をベースに置いた。
また、量的に氾濫する未整理の情報の中で、将来の予見が困難な実情を考慮すれば、不動の正論を求めるのではなく、いくつかの試案に対する国民の反応を見ながら、迅速かつ柔軟に方向性を定着させていくのが、今日的な方針決定の手法と言え、その意味で、本検討会では、将来の水道のあるべき姿を示すというよりも、21世紀に向けての議論の方向性を整理することに最大の力点を置いて検討を行ったものである。
約1年間に及ぶ検討の間には、各方面から様々な御意見をいただくことができた。特に、検討の中間段階で、インターネットを通じた公募の形で広く一般の御意見をいただいたことは、本報告を作成する上で大いに刺激となり、参考となった。謹んで謝意を表したい。
足立 則安 | 全日本水道労働組合中央執行委員長 | |
粟井 知良 | 前京都府日吉ダム対策事務所長 | |
今井 裕隆 | 社団法人日本水道協会顧問 | |
奥 利江 | 主婦連合会常任委員 | |
岸 博志 | 全日本自治団体労働組合公営企業局長 | |
小泉 明 | 東京都立大学大学院教授 | |
齋藤 博康 | 株式会社日水コン顧問 | |
白濱 英一 | 神奈川県内広域水道企業団副企業長 | |
須藤 隆一 | 東北大学大学院教授 | |
座長 | 住友 恒 | 京都大学大学院教授 |
高木 光 | 学習院大学教授 | |
高橋 裕 | 芝浦工業大学客員教授 | |
南部 鶴彦 | 学習院大学教授 | |
藤田 正樹 | 大阪府水道部長 | |
藤原 正弘 | 財団法人水道技術研究センター専務理事 | |
眞柄 泰基 | 北海道大学大学院教授 | |
松本 和雄 | 危険物保安技術協会理事長 |
(五十音順)
参考資料
今後の水道及び水道制度のあり方の検討に当たっての論点等に関する意見募集の結果について
(1)水道を取り巻く環境の変化
わが国では、明治以来、消化器系感染症の蔓延を背景に、衛生対策の強化を目的として水道が整備されてきたが、その後、社会の発展に伴い、人が生活していく上で水道が不可欠の施設であるとの認識が定着し、近代社会の発展が水道の普及を加速してきた。その結果、わが国の水道は、他の公共事業と比較しても、早い時期に世界に誇りうる見事なシステムを備えるに至っている。
近年、水道を取り巻く環境にも様々な変化が生じている。少子・高齢化といった人口構成の変化は、水道水の使用量や使用形態に変化をもたらし、化学製品の多用といった生活様式の変化も、様々な水質問題を引き起こしている。また、建物の高層化や都市構造の変化は、渇水時や地震等の災害時を含めた都市への水供給のあり方に影響を及ぼしている。さらに、近年の少雨化傾向は、水資源の利用を制約する要因となっており、水資源をますます希少なものとしている。
(2)水道の使命の変化
水道行政は、これまで需要者である国民の公衆衛生の向上と生活環境の改善に資することを目的として進められてきた。そして、これまでは、その目的の達成のため、水道の普及促進と水道水供給の量的確保に主眼を置き、主として、供給側である水道事業者の体制を整備、向上させるための施策が講じられてきた。
その結果、わが国の水道は、昭和30〜40年代の高度経済成長期の目覚しい拡大、発展を経て、今ではほとんどの国民が水道を利用でき、国民生活とは切り離すことができない存在となった。この間、水道は、住民に最も身近な行政主体である市町村が経営することを原則として整備され、これらの施策の実効性の確保に大きな貢献を果たしてきた。
しかし、水道が普及するにつれ、今日では公衆衛生の向上と生活環境の改善という観点のみならず、国民生活や事業活動、都市機能を維持するための社会基盤施設として、社会経済全般にわたって多様かつ高度な機能が求められるようになってきている。
(3)水道の抱える様々な課題
水道の面的整備はほぼ終わりつつあるとはいえ、未だに約4%、500万人の未普及人口を残しており、これを早急に解消することは、言うまでもなく緊急の課題である。加えて、普及の進んだ今日の水道についても、その使命を果たす上で、次のような様々な課題が残されている。
水道の普及に伴い、今後は、既に整備された施設の維持管理の重要性が増すことになる。特に、水道水の安全性は国民の最大の関心事であるが、生活排水による河川の汚濁や化学物質による河川・地下水の汚染、湖沼の富栄養化など、水道水源の水質悪化が問題となっている。そのため、水道事業者における水質管理体制の強化に加えて、水道水源の水質保全が極めて重要な課題となっており、「水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律」等に基づき、一部地域で対策が進められているが、全国的には必ずしも十分な改善がみられず、環境行政、河川行政、下水道行政等との連携による対策の一層の強化が求められている。
一方、水源の確保についてみると、地域によって差はあるものの、これまでの水資源開発の努力により、水道用水需給の状況は大きく改善されてきている。しかし、水資源賦存の地域性や水系ごとの利水安全度の違いなどから、水源開発に要する費用や水源の安定性には大きな差があり、水道事業間の格差の構造的な要因となっている。
また、近年、ダム適地の減少に伴う開発効率の低下と遠距離化、さらに水源地域対策や環境保護の観点などから新たな水源開発はますます困難となってきており、今後は、むしろ既存施設の活用等により、いかに限りある水資源を有効に利用していくかがより大きな課題となっている。
また、水道事業の多くが市町村単位の小さな規模で実施されてきた結果、地形的な要因に加え、水道ごとの成り立ちや水源、需要構造等の違いを背景として、災害時の対応や供給する水の水質等のサービス内容、料金などの面で格差が生じている。特に、小規模水道において財政面、技術面での立ち遅れが見られ、こうした小規模な水道における適切な経営・維持管理も今後の大きな課題と言える。
なお、都市のマンション等の共同住宅の住民の中には、受水槽を介した水道水の供給に対して水質面での不安を抱く人が多く、また、水槽の清掃や検査の費用を余分に負担することに対する不満もある。受水槽を介した水道については、一定規模以上のものが簡易専用水道として規制されているが、規制導入から25年が経った今日でもその目的が十分達成されているとは言えない。また、水道法により規制を受けない学校・幼稚園の水道が水系感染症の原因となる事例もみられており、未規制水道における衛生確保も今後の課題の一つと言える。
(1)成熟した市民社会への対応(需要者の視点)
わが国の社会は、経済の面では拡大成長から安定した成熟期を迎えつつあり、また、市民意識の面でもその高まりと広がりによって成熟期を迎えつつある。こうした中で、水道をはじめ、電気、ガス、通信等の公共サービスに対し、サービスの内容や質に対する需要者の関心が高まっており、需要者への説明や需要者の意見の反映が従来にも増して求められている。そのため、今後の水道、水道行政の在り方を検討するに当たっては、これまで以上に「需要者の視点」に立つことが必要となる。
(2)自由な経済活動を基調とする経済社会への対応(自己責任原則)
世界の経済は急速にグローバル化、ボーダレス化が進んでおり、わが国の経済社会もそれに対応した様々な改革に取り組んでいる。特に、国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正な経済社会を実現することは、わが国経済社会全体の喫緊の課題である
(3)健全な水循環への対応
水道事業は、循環資源である水を利用する事業であり、水の循環系が健全に機能していることに依存して成立している。したがって、できるだけ自然の水循環が保全されていることが、水道にとっての必要要件と言える。
2.今後の水道行政の基本的視点
これからの水道は、最低限の給水サービスの水準を確保するだけでなく、需要者の多様なニーズに対応できるサービスのあり方を模索することが重要であろう。しかし、現実の水道は供給独占であり、需要者は供給者を選ぶことができない。水道事業者は、このことを謙虚に受け止め、サービスの内容や質の検討に当たっては、需要者のニーズを十分考慮すると同時に、需要者間の公平性の確保に十分留意する必要がある。また、サービスの内容や質の決定に際して、需要者の参加を促進することが重要である。
さらに、水道は、需用者である国民の生活や事業者の事業活動を直接支えていることに加え、生活圏、経済圏としての都市の機能そのものを維持するために不可欠な社会基盤施設となっており、災害時等においても最低限、都市機能を維持するための用水を確保するというような考え方を導入する必要があろう。
サービスの質や内容の決定に際し、需要者の参加を促進するための前提条件として、需要者側もこれを自らの問題と受け止める意識を持つことが重要であり、そのためには、水道事業者側からの適切な情報公開が不可欠である。特に、サービスの水準は、その対価である料金と密接に関係することから、コスト主義の原則に基づいた意思決定を行えるよう、コストに関する情報公開を進めることが重要と言える。また、最近では、水道メーターやダクタイル鉄管業界における独占禁止法違反が問題となるなど、水道事業者が有すべきコスト意識が問われている状況があり、水道事業者及び需要者の双方のコスト意識を一層高めることが不可欠と言える。
このため、行政の様々な分野における規制の撤廃・緩和が進められており、水道の分野においても、これまでに、給水装置の構造及び材質の基準、指定給水装置工事店制度、指定水質検査機関、認可申請書類等に関する規制の緩和が図られている。国民の健康に重要な関わりを持ち、また、事業として地域独占的に行われ、様々な公的関与の規定が設けらている水道事業の特性を十分踏まえる必要があるが、成熟した経済社会に即して、今後、可能な限り自己責任原則と市場原理の活用を図る方向で検討していくことが望まれる。なお、ここに言う市場原理とは、単に競争原理に基づく利潤の追求を意味するものではなく、適切な環境面の費用など広く社会的なコストまで含めて、最適な効率と内部化の努力を求める概念であることに留意する必要がある。
規制緩和と同時に、それぞれの行政における地方分権が進められており、水道行政における国と都道府県との役割分担についても、認可権限、監督権限等について見直しのための制度改正が行われている。さらに、官と民の役割分担の見直しも課題となっており、水道についても、その公益性を踏まえ、国、地方公共団体、民間及び需要者である国民を含めた適切な役割分担のあり方を検討していく必要がある。
一方、経済のグローバル化に対応して、水道事業の資機材等についても、国際調和を推進し、わが国の市場を国際的に開放していくことが必要となっている。また、水道事業の運営や、水道施設の維持管理に関する業務についても、市場原理の導入が多くの国で進められてきており、こうした動向も注視していかなければならない。
また、水道は、水循環系の一構成要素であると同時に、水道のための取水は、水循環系を人為的にかく乱し、さらに水道水を利用した後の下水は水循環の量と質に影響を及ぼす要素でもある。したがって、より安定した良好な原水を得るためには、水循環系における水道の位置づけを明確にするとともに、水循環に係る多くの制度、関係者との間で協調と連携を図り、計画的、体系的に水源保全を図ることが必要である。
さらに、マクロな水循環系に大きな影響を及ぼすおそれのある地球温暖化などの地球環境問題は、全ての人類に関わる共通の問題であり、水道の運営に当たっても、省エネルギー等適切な配慮が求められる。
意 見 の 分 類 | 件 数 |
(1)水道水供給の理念の明確化 | |
○総論的意見 | 5件 |
○水質に関する意見 | 25件 |
○水量に関する意見 | 15件 |
○料金に関する意見 | 14件 |
(2)給水サービスの公平性 | |
○総論的意見 | 3件 |
○水道の未普及による格差に関する意見 | 10件 |
○水質、水量面での給水サービスの質(水準)の格差に関する意見 | 40件 |
○水道料金の格差に関する意見 | 9件 |
(3)健全な水循環の確保 | |
○水道事業者の役割に関する意見 | 14件 |
○水道事業者と需要者のパートナーシップに関する意見 | 10件 |
○関係者との協調・連携に関する意見 | 25件 |
○省エネルギー等地球環境問題に関する意見 | 2件 |
○水道事業サイドから他の分野への働きかけに関する意見 | 3件 |
(4)水道に対する市民参加 | |
○総論的意見 | 4件 |
○水道事業者の説明責任・情報公開に関する意見 | 10件 |
○政策決定における住民意見の反映に関する意見 | 5件 |
(5)水道における関係者の役割分担 | |
○民営化、公共関与のあり方に関する意見 | 22件 |
○国と地方の役割分担を踏まえた財政負担のあり方に関する意見 | 5件 |
○水道の地方公営企業方式に関する意見 | 2件 |
(6)その他 | |
○技術開発、試験研究に関する意見 | 6件 |
○人材の養成、技術の承継に関する意見 | 3件 |
○国際協力に関する意見 | 4件 |
○制度、規格面での国際調和に関する意見 | 2件 |
4.意見の概要と検討会報告における取り扱い
項目ごとに分類した意見の概要と、今回の検討会報告における当該意見の取り扱いについて、別添1のとおり整理した。
なお、寄せられた意見全体については、別添2に整理しているので、参照されたい。
意 見 の 概 要 (かっこ内は意見の件数) |
検討会報告における取り扱い |
(1) 水道水供給の理念の明確化 | |
○総論(5件) | |
水道法の目的にある「清浄、豊富、低廉」という理念を維持すべきとの意見(3件)と、より高い水準を目指すなど制度を見直すべきとの意見(2件)がある | 水道法に掲げる理念については、水道基本問題検討会(以下「検討会」という。)において活発な議論があり、報告においては、今日的な意義付けが必要とされ、ナショナル・ミニマムとシビル・ミニマムの考え方が提言された |
ア 水質 | |
○ 供給する水質の水準について(9件) | |
飲用に適する水の供給を継続すべきとの意見(2件)に対し、用途に応じた水質の水の供給を検討すべきとの意見(7件)があり、全体としては、飲用と生活用とを分けて考えるべきとの意見が多い | 検討会では、二元水道の可能性も含めて議論されたが、水道水は直接飲用することはもちろん、調理用や風呂用など飲用に準じた衛生性を求められる用途にも広く使われていることから、報告においては、水道水としては、引き続き飲用できる水の供給を前提とすることが不可欠と整理された。一方、水道水以外の、雨水等の身近な水や雑用水の積極的な活用を図るべきとされ、用途に応じた水の利用がなされるよう提言された |
○ クリプトスポリジウムや有害化学物質等への取り組みについて(10件) | |
水質監視を強化すべきとの意見(3件)や水質保全のための新たな制度を検討すべきとの意見(2件)等があり、全体的には、取り組みを強化すべきとの方向 | 検討会では、水道水の安全性は最大の課題として議論され、報告においても、これらの問題に、的確な対応ができる水質管理体制を整備するよう提言がなされた |
○おいしい水の供給について(5件) | |
おいしい水の供給まで必要ないとの意見(3件)と、目標としてはあってもいいとの意見(2件)があり、全体としては、水道に対して「おいしい水」まで期待する意見は少数 | 報告においても、一律に目指すべき目標ではなく、対価との関係で需要者の選択によってシビル・ミニマムとして決定されるべきものと整理された |
イ 水量 | |
○通常時の安定供給について(5件) | |
ダム等の安全度や先行開発の考え方を整理すべきとの意見(2件)、自己水源の確保が重要との意見(2件)等がある | 報告においては、今後は既存水源の活用等により、いかに限りある水資源を有効に利用していくかが課題と整理された |
○緊急時の供給の確保について(6件) | |
様々な方策により緊急時の供給の確保を図るべきとの意見(3件)、非常時の給水確保について十分な検討をしていく必要があるとの意見(2件)等があり、全体としては、異常渇水時や災害等への備えを十分検討し、必要な施策を講じておくべきとの内容 | 報告においても、渇水や災害に強い水道の整備への計画的な取り組みが必要とされ、ソフト面での対策を含めて、様々な施策が検討されるべきと提言された |
○都市機能の維持等について(3件) | |
水道の役割としては、特に消火用水の評価、位置づけを強化すべきとの意見(3件)で一致 | 報告においても、都市においては、飲料水以外の水の確保が必須とされ、水道水以外の水の、消火用水や水洗便所用水への活用も含めて検討するよう提言された |
ウ 料金 | |
○受益者負担について(4件) | |
公費負担が必要であり、場合によっては受益者負担を見直すべきとの意見(3件)に対し、受益者負担を前提とすべきとの意見(1件)があり、全体としては、水源開発、水源保全、災害対策等については公費負担を求める意見が多い | 受益者負担の原則については、検討会においても、高普及時代の水道について引き続き妥当と言えるかどうか議論がなされ、報告においては、需要者に対して水道のコストを認識してもらう観点からも維持すべきと整理された。ただし、大幅な料金格差が生じたり、高料金の抑制のために必要な設備投資が行えないのは問題であり、政策的な配慮(公費負担)が必要とされた |
○家庭用料金について(3件) | |
全体としては、コストに見合った費用負担を求めつつ、家庭用料金を抑える措置が必要などの意見(3件)がある | 家庭用料金については、むしろ政策的に低く設定されており、需要者のコスト意識が十分働いていないという指摘もあり、報告においては、これを抑えるということではなく、需要者のコスト意識を高め、節水を誘導していくことが必要と整理された |
○料金の弾力的な運用について(4件) | |
弾力的な水道料金の運営に賛成する意見(3件)等があり、全体としては、季節別の料金や、渇水時の節水効果も考慮して、弾力的な運用を求める意見が多い | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
(2) 給水サービスの公平性 | |
○総論(3件) | |
何が公平かの議論、需要者の立場に立った柔軟なサービスの検討が必要などの意見(3件)がある | 検討会においても、最低限のサービス水準をどう考えるべきかについて活発な議論があり、報告においては、現状のサービス水準を決して低下させないことを基本とし、「安全に飲用できる水を、通常時に安定して使用できること」をナショナル・ミニマムと整理された |
ア 水道の未普及による格差 | |
○未普及地域解消について(5件) | |
一般会計や国庫補助の負担等を行うべきとの意見(2件)等がある | 報告においても、独立採算による経営が困難な場合には、国庫補助を検討すべきとの提言がなされた |
○未普及地域の小規模水道等の未規制水道に対する規制について(5件) | |
安全性のため規制強化には賛成との意見(5件)で一致 | 報告においても、水質に関して規制強化の方向での提言がなされた |
イ 水質、水量面での給水サービスの質(水準)の格差 | |
○ 最低基準としてのサービスの質(水準)について(7件) | |
水質に関する取り組みの強化を求める意見(4件)等があり、安全性を求める意見が多い | 報告においても、水質に関しては取り組みの強化を求める提言がなされた |
○水道ごとの多様性について(3件) | |
需要者のニーズに応じた水道ごとの多様性に賛成する意見(3件)で一致 | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
○小規模水道の維持管理体制について(8件) | |
維持管理の統合も含めて、統合、広域化、管理委託などにより、維持管理体制を強化すべきとの意見(8件)で一致 | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
○広域化の進め方について(17件) | |
様々な手法により水道の広域化を進めるべきとの意見(9件)に対し、現状の広域化には問題があり見直しが必要、あるいは安易に広域化すべきではないとの意見(6件)等があり、全体としては、広域化を進めるべきとの意見が多いものの、現状のままでの広域化に対して強く見直しを求める意見もある | 広域化の進め方については、検討会においても活発な議論が行われ、左記の意見と同様に、経営基盤の弱い小規模水道を中心として広域化が必要との点については一致したが、現状の広域水道についての問題点も指摘された。報告においては、地域の実情に応じて多様な形態による広域化を進めることが重要とされたが、自己水源の放棄や遊休施設を発生させることなく、実際に経営基盤の強化や事業の効率化につながる計画とすべきとの提言がなされた |
○小規模受水槽の管理体制について(4件) | |
小規模受水槽についても、蛇口での安全性を確保することが必要との意見(4件)で一致 | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
ウ.水道料金の格差 | |
○コスト主義の考え方について(4件) | |
コスト主義を徹底すべきとの意見(2件)等がある | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
○地域間の料金格差について(3件) | |
好ましい状況ではないなどの意見(3件)がある | 報告においては、ある程度の料金格差は基本的に容認せざるを得ないが、大幅な料金格差は問題であり、政策的な配慮が必要と提言された |
(3) 健全な水循環の確保 | |
○水道事業者の役割について(14件) | |
清浄な水源の確保が基本との意見(4件)、他の利水や様々な水の用途との連携、調整を図るべきなどの意見(3件)、地下水の問題について水道として考えるべきとの意見(3件)等があり、いずれの意見も水道としての対応を図るべきとの内容 | 検討会においても、同様の意見があり、報告においては、関係者とのパートナーシップを、行政施策の柱として位置づけ、これらの課題に取り組む方向が提言された |
○水道事業者と需要者のパートナーシップについて(10件) | |
需要者とのパートナーシップにより節水型社会の実現などを進めるべきとの意見(10件)で一致 | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
○関係者との協調・連携について(25件) | |
水道水源の保全など水質管理の強化を図るべきとの意見(8件)、水利権のより円滑な調整、渇水調整などに関する意見(7件)、水行政の一元化を図るべきとの意見(4件)、水資源の安定的確保に関する意見(2件)、雨水や下水処理水の有効利用を図るべきとの意見(2件)等があり、いずれの意見も関係者との協調・連携を強化すべきとの図るべきとの内容 | 報告においても、概ね左記の意見を取り込んだ内容について、関係者との協調・連携を図るべきとの提言がなされたが、水行政の一元化までは、検討会としての検討の範囲を超える部分でもあり、触れなかった |
○水道事業サイドから他の分野への働きかけに関する意見(3件) | |
水源の水質保全など積極的な働きかけが必要との意見(3件)がある | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
(4) 水道に対する市民参加 | |
○総論(4件) | |
市民参加による民意の反映が必要などとの意見(4件)がある | 報告においても、「需要者の視点」を基本的視点の一つとして位置づけ、需要者とのパートナーシップを、行政施策の柱として推進していくべきとの提言がなされた |
ア 水道事業者の説明責任・情報公開 | |
○需要者に対する説明と需要者からの意見について(9件) | |
コストや水道水の安全性などに関する適切な情報公開を進めるべきとの意見(5件)、需要者との良好な関係、情報交換の場が重要との意見(2件)等があり、全体として、需要者に対する情報公開やパートナーシップを強化すべきとの意見が多い | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
イ 政策決定における住民意見の反映 | |
○住民の意見を反映した意思決定について(4件) | |
住民意見の反映の重要性や反映方法に関する意見(4件)があり、全体的に適切な形で意見の反映を図るべきとの内容 | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
(5) 水道における関係者の役割分担 | |
○民営化、公共関与のあり方について(22件) | |
民営化や民活を推進すべきとの意見(4件)に対し、公営の原則を維持すべきで民営化に反対との意見(9件)、民営化に対する賛否以前に検討すべき課題があるとの意見(4件)等があり、全体としては、民営化に対しては反対あるいは慎重な意見が多い | 水道事業の経営形態に関しては、検討会においても活発な議論が行われ、民営化に関しても賛否両論があったが、まだ検討すべき課題も多く、短期間の検討で結論を得ることは困難との判断から、報告においては、今後、更に検討を深めていくべき課題として整理された |
○国と地方の役割分担を踏まえた財政負担のあり方について(5件) | |
財政措置の見直しに関する意見(3件)と、国と地方の役割分担に関する意見(2件)があり、全体としては、両者の役割分担や財政措置のあり方について、再検討していくべきとの意見が多い | 報告では、左記の意見と同様の観点から、新しい時代の国、地方公共団体等の役割分担が提言され、財政措置についてもより政策的に限定していく方向が提言された |
(6) その他 | |
○技術開発、試験研究について(6件) | |
研究体制の充実を図るべきとの意見(2件)、国の役割の関する意見(3件)等がある | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
○人材の養成、技術の継承について(3件) | |
水道の活性化、OBの活用、交流人事などにより人材の育成を図るべきとの意見(3件)がある | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
○国際協力について(4件) | |
相手国の実情に応じた支援、国際協力のための人材育成や体制整備を図るべきとの意見(4件)がある | 報告においても、左記の意見と同様の提言がなされた |
以下は、事務局に寄せられた53件の意見全体を、論点の項目に沿って整理したものである。枠内は、論点として公開した内容で、その下に、これに関連意見の概要を整理した。なお、下記の意見の内容は、事務局の責任において、分類・要約したものである。
(1) 水道水供給の理念の明確化
水道法に掲げられた清浄(=水質)、豊富(=水量)、低廉(=料金)という理念は、今日まで、水道の在り方を律する基本となってきた。この理念は、社会状況が変わっても維持すべき理念であるとしても、その具体的な内容や解釈については、受益者であり、また、その費用の負担者でもある需要者の要求との関係で議論されるべきである。 |
○現在の理念を維持すべきとの意見(3件)
○より高い水準を目指すなど制度を見直すべきとの意見(2件)
ア 水質 ・引き続き、飲用に適する水(安全に飲用できる水)の供給を前提とする。 |
○ 飲用に適する水の供給を継続すべきとの意見(2件)
○用途に応じた水質の水の供給を検討すべきとの意見(7件)
・クリプトスポリジウムや有害化学物質等による汚染に対する体系的な取り組みが必要ではないか。 |
○ 水質監視を強化すべきとの意見(3件)
○ 水源保全のための新たな制度を検討すべきとの意見(2件)
○ その他、調査研究の充実、規制の強化、水源での立地規制、末端での給湯システム等の規制等の意見(5件)
・安全に飲用できる水の供給に加えておいしい水の供給という概念を取り入れるべきか。 |
○おいしい水の供給まで必要ないとの意見(3件)
○目標としてはおいしい水の供給もあっていいとの意見(2件)
・環境要因に対して感受性の高い集団の増加、その保護と社会参加を念頭において、より安全な水道の効用を考えるべきではないか。 |
○ある程度念頭におくべきとの意見(1件)
イ 水量 ・通常時の安定的な供給の確保は当然。 |
○安全度や先行開発の考え方を整理すべきとの意見(2件)
○その他、必要水量についての弾力的な考え方、自己水源の確保等の意見(3件)
・異常渇水時や災害等の緊急時の供給の確保を、どの程度まで考えるべきか。 |
○様々な方策により緊急時の供給の確保を図るべきとの意見(3件)
○非常時の給水確保について十分な検討をしておく必要があるとの意見(2件)
○その他、平常時の維持管理が重要との意見(1件)
・供給の対象として、個々の需要者だけではなく都市機能の維持等の概念をどこまで取り入れるべきか。 |
○特に消火用水の評価、位置づけを強化すべきとの意見(3件)
・少子化・高齢化の進行が水需要構造に与える影響を考慮して、事業計画を策定していくべきではないか。 |
○飲料水の確保、水圧を利用した介護施設への用途も検討すべきとの意見(1件)
ウ 料金
・受益者負担という概念は、引き続き前提とする。 |
○受益者負担を前提とすべきとの意見(1件)
○公費負担が必要であり、場合によって受益者負担は見直すべきとの意見(3件)
・特に、水道料金は(場合によっては下水道料金も含め)資源である水の消費に伴う費用を賄うものであるという概念を明らかにすべきではないか。 |
○水の消費に伴う費用である点を常にPRすべきなどの意見(2件)
・一方で、すべての国民が等しく使用する水であるということから、家庭用の料金を著しく高額とならないための措置も必要ではないか。 |
○コストに見合った負担を求めつつ、家庭用の料金を抑える措置が必要などの意見(3件)
・都市機能の維持といった需要者が特定されない場合の費用負担についてはどのように考えるべきか。 |
○一般の需要者が分担して負担との意見(1件)
・水道料金については、季節によって料金を変えるといった弾力的な運用の工夫も必要ではないか。 |
○弾力的な水道料金の運用に賛成する意見(3件)
○個々の事業体の問題とする意見(1件)
(2) 給水サービスの公平性
水道水の水質、水量、料金、緊急時の対応等給水サービスの水準については地域間の格差があり、結果的に需要者間で不公平が生じている。このことは、例えば同一水源を利用する水道事業者間においても見受けられる。水道の給水サービスが事業単位で行われる以上、事業間である程度の格差はやむをえないとも考えられるが、需要者間の公平性の確保という点から、(ナショナルミニマムとしての)給水サービスの質に関して一定の水準を設けるべきではないか。 |
○何が公平かの議論、需要者の立場に立った柔軟なサービスについての検討が必要などの意見(3件)
ア 水道の未普及による格差
・未普及地域解消のため採算性の悪い地域に水道を布設することは、需要者に大きな経費的負担をかける可能性があり、市町村として行政サービスの均衡をどのように図っていくかとの観点からの対応が必要ではないか。 |
○一般会計や国庫補助の負担等を行うべきとの意見(2件)
○その他、水道の布設にこだわらない、などの意見(3件)
・また、未普及地域の飲料水供給を担う小規模水道や居住者のいない施設の水道等は、法規制対象外となっているが、これらについても、飲料水の安全性を確保することが必要ではないか。 そのため、水道法の「水道」の定義を見直すべきではないか。これは一面では規制強化の意味を持つが、規制緩和の流れの中で妥当と考えうるか。 |
○安全性のため規制強化には賛成との意見(5件)
イ 水質、水量面での給水サービスの質(水準)の格差
・水質、水量というサービスの質(水準)については、水道水質基準や常時給水義務といった一定の水準がおかれている。これらの最低基準については全国一律に適合することが求められる。 |
○水質について取り組みの強化を求める意見(4件)
○その他、災害対策の強化などの意見(3件)
・これに加えて、例えばおいしい水を供給することや、渇水時、災害時等においても需要に応じることのできる水量の供給という点を考慮すべきではないか。その場合に、市民の求めるレベルに応じて、水道ごとに多様性があって良いのではないか。 |
○水道ごとの多様性に賛成する意見(3件)
・住民の安全に関わる都市機能を維持するための水準についても視野に入れるべきではないか。 |
○賛成意見(1件)
・特に、小規模水道にみられる格差の是正、レベルの高い維持管理体制づくりについて、適正な規模という観点も含め検討することが必要ではないか。 |
○維持管理の統合も含めて、統合、広域化、管理委託などにより維持管理体制を強化すべきとの意見(8件)
・一方で、今後の水道の広域化の進め方も明確化していく必要があるのではないか。 |
○ 様々な手法により広域化を進めるべきとの意見(9件)
○現状の広域化には問題があり見直しが必要、あるいは安易に広域化すべきではないとの意見(6件)
○その他、水道の全国ネットワーク、維持管理体制の見直しなどの意見(2件)
・また、小規模受水槽の管理体制に関し、受水槽の有無など水道の利用形態の違いによる実質的なサービスの格差を解消し、蛇口での安全性を等しく確保するための措置も必要ではないか。 |
○蛇口での安全性を確保することは必要との意見(4件)
ウ 水道料金の格差
・水質、水量等の給水サービスの質に見合った費用を料金で負担する以上、質の高いサービスはそれに見合う料金を前提とすることを明確にすべきではないか。 |
○コストに見合う料金にすべきとの意見(2件)
・受益者負担という観点からは、個々の水道事業及び個々の需用者間でコスト主義の考え方を徹底すべきではないか。 |
○コスト主義の考え方を徹底すべきとの意見(2件)
○その他、社会全体でコストを負担すべきなどの意見(2件)
・さらに、その上で、需要者の選択や供給者の対応を超えた水源開発のような構造的な問題に起因する地域間の料金格差について、公平性確保の観点からどのようにとらえるべきか。 |
○好ましい状態ではないなどの意見(3件)
(3) 健全な水循環の確保
・水道は、利水の一つとして、水循環の一端を担っているとともに、健全な水道の運営も健全な水循環の確保に依存しているといえる。水道利用者であるすべての国民は、循環資源である水を、循環のサイクルの健全性を損なうことのないよう使用し、廃棄することが求められているが、水道事業者としてどのような役割を果たすことができるか。 |
○清浄な水源の確保が基本との意見(4件)
○他の利水や様々な水の用途との連携、調整を図るべきなどの意見(3件)
○地下水の問題についても水道として考えるべきとの意見(3件)
○その他、汚泥・排水処理の問題、水道水のロスの削減、水源の涵養施策、自己水源の確保などの意見(4件)
・長期的には、環境に悪影響を及ぼさないで持続的に水の利用が図られるようなシステムを構築に向けて水道事業者と需要者とのパートナーシップを進めていくべきではないか。 |
○需要者とのパートナーシップにより節水型社会の実現などを進めるべきとの意見(10件)
・水道が自然の水循環に直接関わる場面として水源があるが、その水質管理の強化、水源涵養を含む水資源の安定的確保、特に渇水時における水資源の相互融通を含む総合的な利用・調整等を関係者との協調・連携のもとにさらに推進する必要があるのではないか。 |
○水道水源の保全など水質管理の強化を図るべきとの意見(8件)
○ 水利権のより円滑な調整、渇水調整などに関する意見(7件)
○水行政の一元化を図るべきとの意見(4件)
○水資源の安定的確保に関する意見(2件)
○雨水や下水処理水などの有効利用を図るべきとの意見(2件)
○その他、横断的な水道行政組織などの意見(2件)
・健全な水循環の確保を含め広く地球環境問題への対応が求められており、省エネルギー等水道サイドでの努力が必要ではないか。 |
○省エネルギーのための具体的な施策を進めるべきとの意見(2件)
・一方で、水道水源等に係る地域の環境問題に関しては、水道サイドから汚濁発生源となる他の分野への働きかけも必要ではないか。 |
○積極的な働きかけが必要との意見(3件)
(4) 水道に対する市民参加 |
○市民参加による民意の反映が必要などとする意見(4件)
ア 水道事業者の説明責任・情報公開
・水道は需要者の費用負担によって運営される需要者のための施設であり、需要者とのパートナーシップを確保するため、議会の関与以外にも、個々の需要者に対して水道の事業計画、料金、給水する水の水質等について十分な説明をし、必要に応じて個々の需要者が直接意見をいうことができるような仕組みが必要ではないか。 |
○コストや水道水の安全性などに関する適切な情報公開を進めるべきとの意見(5件)
○需要者との良好な関係、情報交換の場が重要とする意見(2件)
○その他、住民意識の反映などの意見(2件)
・また、コスト主義による公平性を確保するために、議会、個々の需要者への情報公開、説明をさらに進めるべきではないか。 |
○住民本位の認識を持つべきとの意見(1件)
イ 政策決定における住民意見の反映
・特に、節水型社会の形成など需要者の参加がなければ達成しえないものであり、渇水時や災害時の給水の確保などについては、市民の意見を十分に反映した意思決定がなされるべきではないか。 |
○住民意見の反映の重要性や具体的な反映方法に関する意見(4件)
・そのためにも、水道の需要者が水道の給水に対するコスト意識を常に持つことが必要ではないか。 |
○コスト意識は当然のこととする意見(1件)
(5) 水道における関係者の役割分担
・規制緩和の議論の中で水道の民営化の問題が取り上げられている。現行法制度の下でも民営水道の経営は認められているが、民営水道については、適切な水道の運営、既存の水道事業との調整といった観点から、公共の関与のあり方について見直すべき点はないか。その場合、どのような方法をとるのが適当か。 |
○民営化や民活を推進すべきとの意見(4件)
○ 公営の原則を維持すべきで民営化には反対とする意見(9件)
○民営化に対する賛否以前に検討すべき課題があるとの意見(4件)
○その他、上下水道の一体的管理、認可制度の見直しなどの意見(5件)
・国と地方の役割分担を踏まえた財政負担のあり方についても検討すべきではないか。 |
○財政措置の見直しに関する意見(3件)
○国と地方の役割分担に関する意見(2件)
・水道にとって地方公営企業方式はどうあるべきか。 |
○見直されるべきとする意見(2件)
(6) その他
ア 水道関連の技術、資機材・器具等の研究・開発等の技術開発、試験研究の推進と、新技術等の普及の推進に当り、特に配慮すべき点は何か。 |
○ 研究体制の充実を図るべきとの意見(2件)
○国の役割に関する意見(2件)
○その他(2件)
イ 人材の養成、技術の継承のための枠組みが必要ではないか。 |
○水道の活性化、OBの活用、交流人事などにより人材の育成を図るべきとの意見(3件)
ウ 途上国の水道整備に対する技術的、財政的支援を強化するのは、我が国水道の責務と考えられるが、そのために我が国の水道は何をすべきか。 |
○相手国の実情に応じた支援、国際協力のための人材育成や体制整備を図るべきとの意見(4件)
エ また、制度、規格面で国際調和が必要と考えられるが、特にどのような面において調和を図るべきか。 |
○国際規格の採用と性能面重視の国際調和に関する意見(2件)
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