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平成10年11月30日

水道水の水質検査を行う者の厚生大臣の指定について

 水道水の水質検査を行う者の厚生大臣の指定について規制を緩和し、これまで公益法人に限定していた基準を撤廃、民間の検査機関も指定を受けて検査を行うことができるようにすること等を内容とする「水道法第20条第3項に規定する厚生大臣の指定に関する規程」(厚生省告示第263号)が平成10年11月30日に公布された。

1 経緯

○ 水道法第20条第3項において、水道事業者は厚生大臣の指定する者に水質検査を委託して行うことができる旨規定されており、当該指定は公益法人に限定されていた。

○ 水質検査を行う者の厚生大臣の指定については、平成9年3月28日に閣議決定された規制緩和推進計画において、「水道事業者が水質検査を委託する機関に係る厚生大臣の指定基準の在り方について検討する」こととされた。

○ これに基づき、生活環境審議会水道部会において検討した結果、指定を公益法人に限定していた基準を撤廃すること等を内容とする見直しを行うべきとされたことから、これを踏まえて今般、告示が公布され、即日施行された。

2 告示の概要

(1) 指定を公益法人に限定することの撤廃

 水道水の水質検査を行う者は公益法人に限定して指定されていたが、民間の検査機関も指定を受けて検査を行うことができることとなった。

(2) 指定に当たっての技術的な要件の見直し

 水質検査を公正かつ迅速に行えるよう、検査担当者、検査体制、精度管理等の技術的な要件の見直しを行った。

(3) 指定に当たっての財政的な要件の見直し

 水質検査を的確かつ円滑に行えるよう、毎事業年度ごとの財政的な基盤の継続性・安定性の審査等財政的な要件の見直しを行った。


(参考)

水道法(法律第177号)(抄)

(水質検査)

第20条 水道事業者は、厚生省令の定めるところにより、定期及び臨時の水質検査を行わなければならない。
2 (抄)
3 水道事業者は、第1項の規定による水質検査を行うため、必要な検査施設を設けなければならない。ただし、当該水質検査を地方公共団体の機関又は厚生大臣の指定する者に委託して行うときは、この限りでない。


規制緩和推進計画(平成9年3月28日閣議決定)(抄)

1 住宅・土地等関係

(2) 設備・工事等
事項名 措置内容 実施予定時期 備 考 改訂計画
との関係
所管官庁
平成7年度 平成8年度 平成9年度
水道の水質検査 水道事業者が水質検査を委託する機関に係る厚生大臣の指定基準の在り方について検討する。     9年度
(検討)
生活環境審議会の審議を経て、10年度早期に結論 新規 厚生省


生活衛生局水道環境部水道整備課
 水道水質管理官 荒井真一(内線4031)
 水道水質管理室長補佐 片山隆文(内線4032)


○厚生省告示第263号

 水道法(昭和32年法律第177号)第20条第3項に規定する厚生大臣の指定に関する規程を次のように定める。ただし、この規程の施行の際、現に水道法第20条第3項の規定に基づく指定を受けている者については、平成11年11月29日までは、なお従前の例による。

平成10年11月30日

厚生大臣 宮下 創平

水道法第20条第3項に規定する厚生大臣の指定に関する規程

(指定の申請)

第1条 水道法(昭和32年法律第177号)第20条第3項に規定する厚生大臣の指定(以下「指定」という。)を受けようとする者(以下「申請者」という。)は、別記様式第一号による申請書を厚生大臣に提出しなければならない。

2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付するものとする。

一 定款又は寄附行為及び登記簿の写し(個人にあっては、その住民票の写し又は外国人登録証明書の写し)

二 申請の日を含む事業年度の直前の事業年度(ロに掲げる書類にあっては、直前3年の各事業年度)における次の書類

イ 財産目録

ロ 貸借対照表及び損益計算書

ハ 利益処分に関する書類

ニ 法人税(個人にあっては、所得税)の納付すべき額及び納付済額を証する書類

三 申請の日を含む事業年度における事業計画書及び収支予算書

四 次の事項を記載した書面

イ 役員の氏名

ロ 現に行っている事業の概要

ハ 水道法第20条第1項に規定する水質検査(以下「水質検査」という。)の実施に係る部門(以下「水質検査部門」という。)の責任者(以下「水質検査部門責任者」という。)の氏名

ニ 水質検査部門につき、それぞれ理化学的検査及び細菌学的検査の区分ごとに、水質検査について次号に規定する水質検査実施標準作業書に基づき、適切に実施されていることの確認その他必要な業務を行う者(以下「検査区分責任者」という。)の氏名

ホ 水質検査の信頼性の確保に係る部門(以下「信頼性確保部門」という。)の責任者(以下「信頼性確保部門責任者」という。)の氏名

ヘ 水質検査に従事する者(以下「水質検査員」という。)の氏名及び略歴

ト 水質検査に用いる機械器具その他の設備(以下「水質検査機器等」という。)の数及び性能

チ 水質検査の料金

リ 水道事業者、水道用水供給事業者又は専用水道設置者(以下「水道事業者等」という。)の委託を受けて水質検査の業務を行う主たる都道府県の区域及び水質検査の実施に係る事業所の住所

五 第2条第1号ホの書類

六 精度管理(水質検査に従事する者の技能水準の確保その他の方法により水質検査の精度を適正に保つことをいう。以下同じ。)の方法を記載した書類


(指定の基準)

第2条 厚生大臣は、前条の規定による指定の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、その指定をしてはならない。

一 水質検査を公正かつ迅速に行い得る能力を有し、次に掲げる基準のいずれにも適合するものであること。

イ 水質検査部門につき、次に掲げる業務を行う者が水質検査部門責任者として置かれ、かつ、法人である場合においては当該者がその役員であること。

(1) 水質検査部門の業務を統括すること。
(2) ハ(2)の規定により報告を受けた文書に従い、水質検査部門の業務の改善措置を講ずること。
(3) その他必要な業務

ロ 水質検査部門につき、それぞれ理化学的検査及び細菌学的検査の区分ごとに、検査区分責任者が置かれていること。

ハ 信頼性確保部門につき、次に掲げる業務を行う者が信頼性確保部門責任者として置かれ、かつ、法人である場合においては当該者がその役員であること。
(1) トの文書に基づき、精度管理を行うこと。
(2) 精度管理の実施結果(改善措置が必要な場合にあっては、当該改善措置の内容を含む。)を水質検査部門責任者に対して文書により報告し、記録を作成すること。
(3) その他必要な業務
ニ 信頼性確保部門が水質検査部門から独立し、信頼性確保部門責任者が水質検査部門責任者、検査区分責任者及び水質検査員を兼ねないこと。
ホ 次に掲げる事項を記載した書類(以下「水質検査実施標準作業書」という。)が作成されていること。
(1) 水質検査の項目
(2) 水質検査の試験方法
(3) 試料の採取、運搬及び受領に当たっての注意事項
(4) 試薬、培地、標準品及び標準液の選択及び調製の方法
(5) 試料の調製の方法
(6) 水質検査機器等の操作の方法
(7) 水質検査に当たっての注意事項
(8) 水質検査により得られた値の処理の方法
(9) 水質検査に関する記録の作成要領
(10) 作成及び改定年月日
へ 水質検査機器等を水質検査以外の用途に用いる場合にあっては、当該用途によって水質検査の精度が適正に保たれなくなることを防止することのできる水質検査機器等の操作の方法が水質検査実施標準作業書に記載されていること。
ト 精度管理の方法を記載した文書が作成されていること。
二 次に掲げる水質検査機器等を有するものであること。
イ 光電分光光度計

ロ フレームレス−原子吸光光度計

ハ 誘導結合プラズマ発光分光分析装置

ニ パージ・トラップ−ガスクロマトグラフ−質量分析計

ホ 高速液体クロマトグラフ(紫外部吸収検出器を備えるものであること。)

ヘ イオンクロマトグラフ(電気伝導度検出器及び紫外部吸収検出器を備えるものであること。)

ト 滅菌器及び恒温器

チ その他水質検査に必要となる機器

三 次の各号の一に該当する知識経験を有する者が水質検査員であること。
イ 学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学(短期大学を除く。)、旧大学令(大正7年勅令第388号)に基づく大学又は旧専門学校令(明治36年勅令第36号)に基づく専門学校において、理学、医学、歯学、薬学、保健学、衛生学、工学、農学若しくは獣医学の課程又はこれらに相当する課程を修めて卒業した後、1年以上水質検査の実務に従事した経験(水質検査の項目のうち理化学的検査のみを行う水質検査員にあっては理化学的検査の実務に従事した経験とし、水質検査の項目のうち細菌学的検査のみを行う水質検査員にあっては細菌学的検査の実務に従事した経験とする。以下同じ。)を有する者
ロ 衛生検査技師又は臨床検査技師であって、1年以上水質検査の実務に従事した経験を有する者

ハ 学校教育法に基づく短期大学又は高等専門学校において、生物学若しくは工業化学の課程又はこれらに相当する課程を修めて卒業した後、2年以上水質検査の実務に従事した経験を有する者

ニ 厚生大臣が前各号に掲げる者と同等又はそれ以上の知識経験を有すると認める者

四 理化学的検査及び細菌学的検査に係る水質検査員が置かれていること。

五 指定に係る業務を的確かつ円滑に行うに必要な経理的基礎を有し、かつ、次に掲げる基準のいずれにも適合するものであること。

イ 業務の継続的な遂行に必要な収益を挙げることができ、又は資金を調達することができること。

ロ 債務超過となっていないと認められること。

六 申請者の事業として、指定に係る業務が含まれているか、又は含まれることが確実であること。

七 第8条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者でないこと。


(指定の条件)

第3条 指定は、次の各号に掲げる条件を付して行うものとする。

一 水道事業者等から委託を受けた水質検査を更に他人に委託してはならないこと。

二 水道事業者等から委託を受けた水質検査の試料を受領したときは、遅滞なく、水質検査を行うこと。

三 厚生大臣が行う精度管理に関する調査を定期的に受けること。


(指定書の交付)

第4条 指定を行う場合には、指定書を申請者に対して交付するものとする。


(指定に係る業務の報告)

第5条 指定を受けた者は、毎事業年度経過後3月以内に次に掲げる事項を記載した事業報告書に貸借対照表及び損益計算書を添えて、厚生大臣に報告しなければならない。

一 当該事業年度において水質検査の委託を受けた水道事業者等ごとの受託実績

二 水質検査部門責任者、検査区分責任者、信頼性確保部門責任者及び水質検査員の氏名及び経験年数

三 精度管理の実施結果

四 水質検査の料金


(変更の届出等)

第6条 指定を受けた者は、名称(個人にあっては氏名)、主たる事業所の所在地(個人にあっては住所)、代表者の氏名又は第1条第2項第4号リに掲げる事項に変更を生じたときは、当該変更のあった日から30日以内に別記様式第二号による変更届出書を厚生大臣に提出しなければならない。

2 指定を受けた者は、指定に係る業務を廃止したときは、遅滞なく、別記様式第三号による廃止届出書を厚生大臣に提出しなければならない。


(報告又は資料の提出)

第7条 厚生大臣は、指定を受けた者に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。


(指定の取消し)

第8条 厚生大臣は、指定を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消すことができる。

一 第2条に規定する指定の基準に適合しなくなったとき。

二 第3条に規定する指定の条件に違背したとき。

三 第5条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

四 第6条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

五 前条の規定による求めに対し、正当な理由なくこれに応じず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。

六 指定に係る業務が適正に実施されていないと認められるとき。

七 不正の手段により指定を受けたとき。

2 前項の規定により、指定の取消しを行うときは、あらかじめ、当該処分を受けるべき者にその理由を通知し、弁明及び証拠の提出の機会を与えるものとする。

3 指定を受けた者は、指定が取り消されたときは、遅滞なく、指定書を厚生大臣に返納しなければならない。


(指定等の公示)

第9条 次の場合には、その旨を公示するものとする。

一 指定をしたとき。

二 第8条の規定による指定の取消しをしたとき。



別記様第一号指定申請書


別記様第二号変更届出書


別記様第三号廃止届出書


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