第1 健康な生活と安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進

「緊急医師確保対策について」(平成19年5月)に基づく医師確保対策をはじめとした地域医療の確保など、安全・安心で質の高い医療提供体制の充実を図る。

また、子どもを守り育てる健康対策、女性を応援する健康プログラム、メタボリックシンドローム対策などの健康施策を総合的に進める「新健康フロンティア戦略」(平成19年4月)を推進する。

特に、がん対策については、「がん対策推進基本計画」(平成19年6月)に基づき、放射線療法・化学療法の推進と専門医等の育成、治療の初期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の推進などを重点課題として、総合的かつ計画的に推進する。

また、革新的な医薬品・医療機器の創出については、「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」(平成19年4月)に基づく施策を推進する。

このほか、新型インフルエンザ対策、肝炎対策等の感染症・疾病対策を推進する。

医療保険制度については、後期高齢者医療制度等の円滑な施行を図るとともに、医療費適正化に関する施策を推進する。

1 医師確保対策などの安全・安心で質の高い医療提供体制の充実

765億円(650億円)

(1)医師確保対策の更なる推進 160億円
○ 医師派遣システムの構築 30億円
・ 医師派遣体制の構築・推進 8.3億円

都道府県が医療対策協議会における検討に基づき実施する医師派遣に対して支援を行う。

また、医師確保の必要性や緊急性が高く、かつ、都道府県において域内での医師派遣について十分に検討するなどの努力を行ってもなお必要な医師が確保できない地域に対し、安定的に医師が確保できるまでの間、国レベルで緊急臨時的な医師派遣を行う体制をつくる。

・ 医師派遣に協力する病院の診療体制の強化(新規) 21億円

派遣元の病院において、派遣医師が従前行っていた業務をカバーする医師など派遣医師以外の医師の負担を軽減するとともに、診療体制の強化を図るため、診療体制の確保や医療機器等の整備に対する支援を併せて行う。

○ 病院勤務医の過重労働解消のための勤務環境の整備等(新規) 13億円

病院勤務医の過重労働を解消するため、交代勤務制、変則勤務制等を導入する病院への支援措置を講ずるとともに、病院勤務医の事務を補助する医療補助者の配置を推進する。

また、産科医療機関が減少している現状にかんがみ、産科医療機関への財政的支援を実施するとともに、産科医の負担を軽減し、安全で安心なお産の場を確保するために必要な総合的な助産師確保策を推進する。

○ 女性医師等の働きやすい職場環境の整備 23億円
・ 女性医師の復職研修支援の推進(新規) 5.2億円

女性医師の復職に向けて病院等で行われる研修等への支援を行う。

・ 女性医師バンクの体制の充実、病院内保育所の拡充等 18億円

女性医師バンクの体制の充実を図るとともに、病院内保育所の更なる拡充等により、女性医師、看護職員等の離職防止及び再就業の促進を図る。

○ 研修医の都市への集中の是正等 25億円
・ 医師不足地域における研修の支援(新規) 24億円

都市部の臨床研修病院の研修医が一定期間医師不足地域等で研修を行うことに対する支援や、医師不足地域等の臨床研修病院が、研修医の確保を図るために、自らの研修プログラム等を研修医に対しPRすることを支援する事業を創設する。

・ マグネットホスピタル研修事業の推進 1.4億円

臨床研修後の専門医に向けた研修について、地域医療への従事と関連づけた事業を推進する。

○ 医療リスクに対する支援体制の整備 2.3億円

産科医療補償制度創設後における一定の支援を行うとともに、診療行為に関連した死亡に係る死因の調査や臨床評価・分析、再発防止等に取り組む組織が創設された場合に必要となる準備体制を確保する。

○ 患者アクセスの支援 1.7億円
・ 医師不足地域における患者輸送車の運行支援(新規) 77百万円

特定の地域や診療科で医師が不足している現状において、患者の医療機関までのアクセスを確保するための車の運行に対する支援を行う。

・ 患者宿泊施設の整備に対する支援  

離島等アクセスが悪い地域の患者等が拠点病院を利用するための患者宿泊施設の施設・設備整備に対する支援を行う。

(医療施設等施設・設備整備費補助金(合計18億円)の内数)

○ 小児科・産科をはじめ地域の拠点となる病院づくりとネットワーク化などの取組 93億円

小児科・産科医療体制の集約化・重点化を行うため、他科病床への医療機能の変更等に係る整備に対する支援を行うとともに、へき地・離島の診療所における地域保健・医療の研修、小児科・産科や医師不足地域の病院における宿日直研修に対する支援を行うなど、地域医療提供体制の確保を図る。

(2)安全・安心で質の高い医療の基盤整備 676億円
○ 小児救急医療体制・ドクターヘリの整備をはじめとする救急医療体制の確保 95億円

特に予後に重大な影響を伴い、初期の救命医療が重要な脳卒中、心筋梗塞その他重度外傷等に対応できるよう、高度の救命救急センターにおける専門医の確保を図るとともに、既存の救命救急センターまで相当の時間を要する地域に対し、「地域救命救急センター(仮称)」の設置を図るほか、 ドクターヘリ(医師が同乗する救急医療用ヘリコプター)事業を推進する。

また、小児の二次救急医療を担う小児救急支援事業、小児救急拠点病院の休日夜間における診療体制の確保や小児救急電話相談事業(♯8000)など小児救急医療体制を確保する。

○ へき地などの保健医療対策の充実 55億円

各都道府県が設置するへき地医療支援機構の体制を強化し、へき地・離島の診療所等に対する支援の充実を図る。

○ 看護職員の資質向上と就業継続支援 102億円
・ 新人看護師に対する医療安全推進モデル研修の実施(新規) 2.5億円

医療安全の確保に向け、十分な教育体制と研修プログラムに基づき新人看護師に対する研修を試行的に実施する。

・ 看護職員の就業継続支援 8百万円

多様な勤務形態により看護職員を活用している医療機関の事例を普及することにより看護職員の就業の促進を図る。

(3)医療分野における情報化の推進 32億円
○ 個人が本人の健康情報を活用できる基盤づくりに向けた取組
(新規)
1.4億円

電子化される健康情報の高度利活用を図るため、医療・健診等データの相互利用をはじめとする情報共有のための方策、情報技術者のいない医療機関において医療情報を長期にわたり安全に保管するための方策及び個人の健康情報を有効に医療へ活用するための方策について検討するための試行的事業を実施する。

○ 医療情報システムのための医療知識基盤データベースの研究開発 1.7億円

医療分野の情報化に伴い蓄積される医療情報から、臨床研究や診療に有用な情報を効率的に得られるよう、容易に検索や解析が可能なデータベースを研究開発する。

○ 医療情報システムの相互運用性確保に向けた取組 1.4億円

医療機関内の仕様の異なる各システムの相互接続性や互換性を確保するための取組を進め、システムの標準化を図り、効率的な医療情報システムの普及を図る。

○ レセプトオンライン化の推進 23億円

レセプトのオンライン化を進めるとともに、医療サービスの質の向上等を図るため、全国規模でのレセプトデータの収集・分析のための体制を構築する。

2 新健康フロンティア戦略の推進

1,905億円(1,699億円)

(1)子どもを守り育てる健康対策(子どもの健康力) 100億円
○ 産科・小児科医療の確保(一部再掲) 91億円

産科医療機関が減少している現状にかんがみ、産科医療機関への財政的支援を行うとともに、周産期医療体制(出産前後の母体・胎児や新生児に対する産科・小児科双方からの一貫した医療体制)の整備を進める。

また、小児の二次救急医療を担う小児救急支援事業、小児救急拠点病院の休日夜間における診療体制の確保や小児救急電話相談事業(♯8000)など小児救急医療体制を確保する。

○ 発達障害児等を支援する体制の構築 8.8億円
・ 発達障害者支援センター等における支援 2.1億円

発達障害者支援センターにおいて、発達障害児等やその家族への支援を行うとともに、都道府県等の各圏域において、ライフステージに対応した一貫した支援を行うためのネットワークを構築する。

・ 子どもの心の診療拠点病院の整備(新規)

様々な子どもの心の問題、児童虐待や発達障害に対応するため、都道府県域における拠点病院を中核とし、各医療機関や保健福祉機関等と連携した支援体制の構築を図るための事業を実施するとともに、中央拠点病院の整備を併せて行い、人材育成や都道府県拠点病院に対する技術的支援等を行う。
(母子保健医療対策等総合支援事業(統合補助金)(51億円)の内数)

・ 発達障害者への支援手法の開発や普及啓発の着実な実施 6.4億円

先駆的な取組を通じて発達障害児等への有効な支援手法を開発・確立するとともに、発達障害児等支援に携わる職員等への研修や発達障害情報センターによる全国の関係機関等への情報提供及び普及啓発を行う。

(2)女性を応援する健康プログラム(女性の健康力) 288億円
○ 女性の健康的な「自分」づくりの支援及び「女性のニーズに合った医療」の推進 157億円

女性の健康づくりを支援するため、食事バランスガイドを活用した健全な食生活の普及啓発、エクササイズガイドを活用した自分の健康状況やライフスタイルにあった運動習慣の普及啓発、若年女性の喫煙防止対策及び骨粗しょう症検診の受診勧奨を推進するための普及啓発等を行う。

○ 「女性のがん」への挑戦(第1ー3で詳述) 27億円

全国的に整備されたマンモグラフィによる乳がん検診を推進するための診断支援や精密検査に用いるマンモコイルのがん診療連携拠点病院への緊急整備を実施するとともに、予防等に関する普及啓発を行う。

(3)メタボリックシンドローム対策の一層の推進
(メタボリックシンドローム克服力)
110億円
○ メタボリックシンドローム対策・糖尿病予防の重点的推進 51億円
・ 糖尿病等の生活習慣病対策推進費(新規) 4.3億円

糖尿病等の生活習慣病を効果的かつ効率的に予防・治療するため、個人の特徴に応じた予防・治療(テーラーメイド予防・治療)の方法の研究開発や普及等を行う。

・ 「健やか生活習慣国民運動」の推進 52百万円

「健やか生活習慣国民運動全国協議会(仮称)」を設置して、普及啓発キャンペーンの展開(中央行事の開催)、全国の先進的事例の収集・情報提供等を行い、運動習慣の定着、食生活の改善及び禁煙を柱とした「健やか生活習慣国民運動」を推進する。

○ 効果的な健康診査・保健指導の実施体制の充実等 58億円
・ 健康診査・保健指導の実施体制の充実(新規) 1.3億円

平成20年度から40歳以上の被保険者・被扶養者を対象とする糖尿病等に着目した健康診査及び保健指導(特定健康診査・特定保健指導)の実施を医療保険者に義務付けることに伴い、保健師や管理栄養士に対する地域の実情に応じた研修プログラムの実施、関係機関との連携など保健指導を円滑に行うための拠点整備、保健指導の効果についての検証及びその内容を反映した健康診査・保健指導を担う人材の資質向上を推進し、特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施を図る。

・ 健康増進事業の円滑な実施(新規) 57億円

平成20年度から健康増進法に基づき市町村が実施することとなる健康増進事業(健康教育、健康相談等)の円滑な実施を図る。

(4)がん対策の一層の推進(がん克服力)(第1−3で詳述) 282億円
(5)こころの健康づくり(こころの健康力) 50億円
○ 認知症対策の一層の推進 39億円
・ 認知症ケアの高度化(新規) 77百万円

介護サービスを提供する現場における認知症の方々やその家族のニーズに適切に対応するため、国内外の認知症ケア実践例に関する情報の集積、分析評価及び発信を行い、認知症ケアの高度化を図る。

・ 認知症医療提供体制の整備等 20億円

認知症の原因疾患の診断や認知症の周辺症状及び身体合併症に関する医療の提供体制を整備するとともに、予防、早期診断、治療の向上に向けた調査研究を推進する。

○ うつ対策の一層の推進 12億円

うつ病の早期発見・治療の推進のため、うつ病等についての普及啓発活動を実施するとともに、相談・治療体制の整備を推進するため、かかりつけ医や心理職等を対象とした専門的な研修を実施する。

また、うつ病の病態解明や診断・治療法、うつ病患者の社会復帰のためのプログラム等に関する研究開発を推進する。

(6)介護予防対策の一層の推進(介護予防力) 852億円

インターネットを活用した特定高齢者チェックシステムの開発や骨折予防マニュアル、膝痛・腰痛対策マニュアルの作成など、介護予防対策を一層推進する。

また、運動器疾患の予防、早期診断、治療の向上に向けた調査研究を推進する。

(7)人間の活動領域の拡張、医療・福祉技術のイノベーション
(人間活動領域拡張力、研究開発力)
448億円
○ 革新的医薬品・医療機器の開発 (第1−4で詳述) 292億円
(8)各種の取組 333億円
○ 歯の健康づくり(歯の健康力) 5.1億円

幼児期・学齢期のう蝕(むし歯)予防対策、主に成人期の歯周疾患対策及び高齢期・寝たきり者等の口腔ケアに関する検討を進めるとともに、在宅歯科医療、口腔ケア等に係る専門的知識及び技能を有する歯科医師等を養成することにより8020運動をさらに推進する。

○ 食育の推進(食の選択力) 10億円

食生活改善推進員等の食育推進活動を支援するほか、食事バランスガイド等の普及啓発による健全な食生活に関する情報提供の促進等により、栄養と運動の両面から肥満予防対策に取り組む。

3 がん対策の総合的かつ計画的な推進282億円(212億円)
(1)放射線療法・化学療法の推進と専門医等の育成 74億円

2次医療圏に1か所程度整備しているがん診療連携拠点病院に先進的な放射線治療機器を緊急整備するとともに、がん医療の専門的な知識及び技能を有する医師、看護師、薬剤師、診療放射線技師等を育成するための研修を実施する。

(2)治療の初期段階からの緩和ケアの実施 7.4億円
○ 専門的な緩和ケアの推進 5.3億円

がん診療に携わる医師に対し緩和ケアやコミュニケーション技術等の研修を行う。

また、医療用麻薬の適正使用を推進するため、医療関係者向けの研修会を行うとともに、適正使用マニュアルを作成し、医療関係者等へ広く周知する。

○ 在宅療養・緩和ケアの実施 2.1億円

在宅における緩和ケアを希望する患者等に対し、在宅緩和ケア支援センターにおいて総合的な相談・支援を行うとともに、医療従事者への研修や在宅ホスピスケア推進のためのアドバイザー派遣、普及啓発を実施する。

(3)がん登録の推進 32百万円

科学的知見に基づく適切ながん医療の提供に資するよう、がん患者の診断・治療内容等の情報を把握・分析するため、国立がんセンターにおいて院内がん登録を進めるとともに、がん診療連携拠点病院等に対して精度の高い院内がん登録を実施するための支援を行う。

(4)がん予防・早期発見の推進とがん医療水準均てん化の促進 97億円
○ がん予防・早期発見の推進 55億円
・ 乳がん検査用マンモコイルの緊急整備(新規) 11億円

乳がん検診を更に推進するため、がん診療連携拠点病院に対して、精密検査に用いるマンモコイルの緊急整備を実施する。

・ がん検診及び普及啓発の推進 13億円

乳がん検診に用いるマンモグラフィに係る診断支援を可能とするためのモデル事業を実施するとともに、がん検診の精度管理に資する検診従事者の育成を進める。

また、一般国民向けのがんの予防や治療に関するパンフレット並びにがん患者及びその家族向けの小冊子等を作成するなど、普及啓発を図る。

○ がん医療水準均てん化の促進 42億円

がん対策情報センター(国立がんセンターに設置)において、がん診療連携拠点病院と連携し、がん医療に関する最新情報の収集、蓄積、分析、発信を行う。

また、都道府県がん対策推進計画に基づく事業として、都道府県が新たに実施する地域特性を踏まえた事業や先駆的な事業等に対する支援を行うとともに、がん診療連携拠点病院における遠隔病理診断を可能とする体制を整備する。

(5)がんに関する研究の推進 103億円

がんによる死亡者の減少、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持・向上を図るため、がん対策に資する研究をより一層推進するとともに、がんの予防、診断、治療等に係る技術の向上などの研究成果を普及、活用する。

4 革新的医薬品・医療機器創出の推進295億円(247億円)
(1)革新的医薬品・医療機器の研究開発の推進 263億円
○ 医薬品・医療機器に関する研究費の重点化・拡充 262億円

臨床研究・実用化研究、がん、精神神経疾患、難病等の重大疾病領域、希少疾病領域、新たな技術(バイオマーカー(健康状態を把握するための指標)、テーラーメイド医療(個人の特徴に応じた医療)、再生医療、マイクロドーズ(新薬開発のためにごく微量の物質を人体に投与する試験))などの領域を重視し、革新的医薬品・医療機器の研究開発を推進する。

○ ベンチャー企業の育成(新規) 38百万円

大学発のベンチャー企業等を対象として、治験、承認申請等の薬事制度に係る相談に応じる体制を整備する。

○ アジアとの連携(新規) 77百万円

中国及び韓国と共同で行う臨床研究を支援する体制を整備するとともに、中国、韓国などにおける医薬品治験データの活用に関する調査を実施する。

(2)臨床研究・治験環境の整備 28億円
○ 「医療クラスター」(仮称)の整備(新規) 15億円

中核的医療機関を中心として臨床研究推進病床、実験施設、機器等を整備し、産官学が密接に連携して基礎研究から臨床研究への実用化を進める「医療クラスター」(仮称)の整備を行う。

○ 再生医療を推進するための拠点の整備(新規) 4.1億円

再生医療の技術者の養成及び先進技術の民間への技術移転を推進する実施拠点を整備する。

○ 治験・臨床研究の充実のための拠点の整備 7.6億円

治験拠点病院における治験コーディネーターの配置等、治験環境の充実を図るとともに、関連する医療機関への情報提供等の支援を行う。

○ 治験コーディネーター等の養成 89百万円

治験を円滑に進めるために、医師と患者とのパイプ役となる治験コーディネーターや、質の高い治験を効率的に行うために必要な治験データの収集や整理を担当するデータマネジャーの養成研修を実施する。

(3)審査の迅速化・質の向上 11億円
○ 国際共同治験の充実強化(新規・一部再掲) 67百万円

日米欧三極における医薬品の国際共同治験に関する相談体制の整備や日米両国における医療機器の同時開発・審査・承認のための検討を行うとともに、中国、韓国などにおける医薬品治験データの活用に関する調査等を実施する。

(4)後発医薬品の使用促進 2.9億円

後発医薬品の使用促進を図るための関係者による協議会を設置するとともに、後発医薬品の信頼性を確保するために、その品質の確認や先発医薬品との同等性などに関する情報提供等を行う。

5 感染症・疾病対策の推進2,089億円(1,982億円)
(1)新型インフルエンザ対策など感染症対策の充実 244億円
○ 新型インフルエンザ対策の更なる推進 151億円

抗インフルエンザウイルス薬、新型インフルエンザワクチン及び医療従事者のための個人防護具の備蓄を進めるとともに、新型インフルエンザに対する監視体制の強化及び水際対策の推進を図る。

また、新型インフルエンザの正しい情報を広く国民に提供するとともに、医療従事者を対象とした研修を行う。

○ 新興・再興感染症対策に関する研究の推進 29億円

新型インフルエンザをはじめとする新興感染症や結核などの再興感染症、感染症の原因となる病原体の管理方法など、感染症対策に関する研究を推進する。

(2)肝炎対策 79億円
○ 肝炎ウイルス検査・相談・普及啓発の実施 55億円

市町村や医療保険者において引き続き肝炎ウイルス検査等を実施するとともに、保健所等における利便性に配慮した検査・相談体制を整備する。

○ 治療水準の向上等 22億円

都道府県の肝疾患診療連携拠点病院を整備するとともに、肝疾患情報の共有化、医療従事者に対する研修等拠点病院に対する支援事業を実施する。

また、肝疾患の新たな治療方法等の研究開発の推進を図る。

※ 「従来の延長線上ではない」新たな対策に係る経費の取扱いについては、今後の予算編成過程において検討する。

(3)難病対策 1,178億円

難治性疾患に関する調査・研究の推進により治療法等の確立と普及を図るとともに、難病相談・支援センター事業の充実等により、地域における難病患者の生活支援等の推進を図る。

(4)エイズ対策 89億円

都道府県の中核拠点病院におけるカウンセリング体制を強化するとともに、県内の拠点病院に対し情報提供等の支援を実施する。

また、集客数の多いイベント等と連動した臨時検査を実施するとともに、青少年や同性愛者等に対する普及啓発を行い、エイズ予防を推進する。

(5)ハンセン病対策 457億円

ハンセン病療養所入所者の療養を確保するとともに、退所者等の社会生活を支援する。

また、国立ハンセン病資料館の運営など、ハンセン病に関する正しい知識の普及啓発の充実を図る。

(6)移植対策 27億円

骨髄バンク事業に係るあっせん業務を強化するとともに、さい帯血の安全管理体制の充実を図るための研修事業を実施するほか、引き続き、臓器移植の推進を図る。

(7)リウマチ・アレルギー対策 14億円

リウマチ、気管支喘息(ぜんそく)、アトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなど免疫アレルギー疾患の治療法等の研究を推進するとともに、引き続き、喘息死ゼロ作戦を推進する。

6 安定的で持続可能な医療保険制度運営の確保

8兆6,815億円(8兆4,209億円)

○ 政府管掌健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度等に係る医療費国庫負担 8兆6,815億円

各医療保険制度に係る国庫負担に要する経費を確保するとともに、後期高齢者医療制度等の円滑な施行を図る。

7 医療費適正化に関する施策の推進599億円
(1)特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施(新規) 571億円

平成20年度から医療保険者に40歳以上の被保険者・被扶養者を対象とする糖尿病等に着目した健康診査及び保健指導(特定健康診査・特定保健指導)が義務づけられることから、これらの円滑な実施を図る。

(2)病床転換助成事業の実施(新規) 28億円

医療の効率的な提供を推進するために、医療療養病床から介護保険施設等への転換に伴う整備費用の助成を行い、医療療養病床の再編を推進する。

第2 成長力の底上げに向けた雇用対策・職業能力開発等の推進

誰でもどこでも職業能力形成に参加でき、能力を発揮できる社会の実現のため、職業能力形成システム(通称『ジョブ・カード制度』)の構築を図るとともに、母子家庭、生活保護世帯、障害者等を対象に、セーフティネットを確保しつつ、可能な限り就労による自立と生活の向上が図られるよう福祉・雇用の両面にわたる支援を行う。また、中小企業の生産性向上に向けた人材確保等への支援とともに、最低賃金制度の機能強化のための施策により、成長力の底上げを図るほか、若者に対する雇用対策、職業能力開発を推進する。

1 「職業能力形成システム」(通称『ジョブ・カード制度』)の構築

200億円(108億円)

※ 職業能力形成システム:フリーター等職業能力形成機会に恵まれない者に対し、職業能力形成プログラム(企業における実習と座学とを組み合わせた訓練)を提供し、訓練修了者の評価結果のほか職務経歴等の情報をジョブ・カードとして取りまとめ、求職活動などに活用し、求職者と求人企業とのマッチングを促進する制度

(1)産業界が主導する推進体制の整備(新規) 27億円

職業能力形成システムの普及促進を図るため、中央及び地域にジョブ・カードセンターを設置し、広報・啓発及び活用促進事業を実施する。

(2)産業界・企業に受け入れられる実践的な訓練・職業能力評価のための基準づくり 3.9億円
○ モデル評価シート(仮称)の開発等 3.9億円

産業界・企業に受け入れられる実践的な訓練・評価を可能とするため、業界団体の主体的参画の下、企業の求める人材能力要件を踏まえた「モデル評価シート」(仮称)を開発する。

(3)職業能力形成プログラムへの参加者の積極的な誘導と綿密なキャリア・コンサルティングの実施 37億円
○ 職業能力形成プログラムへの誘導のための職場見学・体験講習の実施等(新規) 2.4億円

職業能力形成プログラムへの誘導を促すため、地域ジョブ・カードセンターにおいて職場見学や体験講習を実施する。

○ 参加者に対するキャリア・コンサルティングの実施 33億円

ジョブ・カード交付希望者に対して、ハローワーク等において綿密なキャリア・コンサルティングを行い、ジョブ・カードを交付する。また、キャリア・コンサルタントに対しては、ジョブ・カードの記載方法・効果的な活用方法について講習を行う。

○ 携帯サイトを活用した情報提供等の体制整備(新規) 1.9億円

キャリア・コンサルティング付き携帯サイトを開設し、教育訓練情報や求人情報等の提供を行い、職業能力形成システムへの誘導を図る。

(4)実践的な訓練・職業能力評価を通じた就労の実現と参加者・参加企業等に対する支援 131億円
○ 「実践型人材養成システム」の普及・定着の促進 5.8億円

「実践型人材養成システム」(実習併用職業訓練)を普及・定着させるため、大企業が自らの教育訓練施設等を活用して中小下請企業の実践的な教育訓練を支援するモデル事業等を創設するとともに、事業主に対する助成措置を拡充する。

○ 新たな有期実習型訓練の創設と訓練実施企業に対する支援(新規) 15億円

雇用関係の下で実習と座学とを組み合わせた新たな有期実習型訓練を創設し、訓練や能力評価等に取り組む事業主に対する助成措置を講ずる。

○ 「実務・教育連結型人材育成システム」等の拡充 84億円

若者の実践的で効果的な職業能力開発を支援するため、「実務・教育連結型人材育成システム」等を拡充する。

○ 母子家庭の母等や子育て終了後の女性等を対象とした新たな組み合わせ訓練の創設(新規) 22億円

母子家庭の母等や子育て終了後の女性等を対象とした事業主等の訓練ニーズを反映したカリキュラムによる新たな組み合わせ訓練を創設し、実践的な能力開発を実施する。

○ 的確な評価を実施するための「評価者」の育成支援(新規) 60百万円

職業能力評価に関する専門家を活用し、企業における「評価者」に対し、評価手法や「モデル評価シート」(仮称)の活用方法等の指導を行う。

○ 職業能力形成プログラム参加者に対する生活資金の融資(新規)

職業訓練を受講しやすい環境の整備を行うため、職業能力形成プログラムの受講者に対し、職業訓練受講期間中の生活費の貸付を行う融資制度を構築する。
(セーフティネット支援対策等事業費補助金(200億円)の内数)

2 母子家庭、生活保護世帯、障害者等の福祉・雇用両面の支援による自立・生活の向上

338億円(296億円)

(1)障害者に対する就労支援の推進 192億円
○ 雇用、福祉、教育等の連携による地域の就労支援力の強化 51億円

ハローワークを中心とした「チーム支援」の体制・機能の強化、及び「障害者就業・生活支援センター」の設置箇所数の大幅な拡充や実施体制の充実等を図るとともに、関係審議会の検討結果を踏まえ、障害者雇用促進法制の整備を図る。

○ 障害者雇用の底上げのための関係者の意識改革(新規) 5.7億円

インターネットを通じた情報発信・相談の実施、地域の事業主団体を活用した「意識改革セミナー」の開催、地域の関係者との交流会等を実施することにより、国民、企業等の障害者雇用に関する意識改革を図る。

○ 障害の特性に応じた支援策の充実・強化 4.3億円

一定程度の期間をかけて、段階的に就業時間を延長しながら常用雇用を目指すことを支援するための助成措置を創設するとともに、発達障害者の希望やニーズに応じた就労支援を推進する。

○ 障害者に対する職業能力開発の推進 61億円

障害者委託訓練及び障害者職業能力開発プロモート事業の拡充等職業訓練機会の充実を図り、特別支援学校の生徒及び就労移行支援事業利用者等に対する効果的な職業訓練を実施するとともに、職業能力開発施設において発達障害者に対する職業訓練コースを拡充する。

○ 「工賃倍増5か年計画」の推進 15億円

福祉施設で働く障害者の工賃を平成23年度までに倍増させることを目標とする「工賃倍増5か年計画」を推進するため、必要な施策の強化を行う。

(2)母子家庭や生活保護世帯に対する就労支援の推進 54億円
○ 地域における母子家庭の就労・自立支援 30億円

母子家庭の母の就業支援等の充実を図るため、高等技能訓練促進費事業における入学一時金や母子自立支援プログラム策定事業における就職準備支援コースの創設など支援措置の充実を図る。

○ ハローワークと福祉事務所等との連携による就労支援の機能強化 11億円

ハローワークと福祉事務所等とが連携した「就労支援チーム」の体制、支援機能の向上等により、生活保護受給者等に対する就労支援を一層推進する。

(3)困難な状況を克服し、再就職や安定的雇用への転職を目指す人たちへの支援の実施 92億円
○ ネットカフェ等で寝泊まりする不安定就労者への就職支援の実施(新規) 1.7億円

住居を失い、ネットカフェ等で寝泊まりする不安定就労者の安定的な雇用機会の確保を図るため、職業相談・職業紹介、技能講習、住居確保の相談等を行う。

○ 35歳以上の不安定就労者への一貫した就職支援の実施 32億円

35歳以上の不安定就労を繰り返す求職者に対し、担当制によるキャリア・コンサルティングから職場定着指導までの一貫したきめ細かな支援を行い、安定的な就職を促進する。

○ 刑務所出所者等に対する就労支援の推進 1.9億円

法務省との連携の下、刑務所出所者等に対し、職業相談、職業紹介、求人開拓等を行うとともに、試行雇用奨励金の支給や職場体験講習を実施する等の就労支援を推進する。

3 中小企業の人材確保等への支援と最低賃金制度の充実

539億円(538億円)

(1)中小企業の生産性向上等に向けた人材面からの支援・雇用対策の充実 516億円
○ 中小企業の人材確保対策の推進 127億円

生産性向上に資する雇用環境の高度化及び人材の雇入れを支援するとともに、ハローワークにおいて、生産性向上に資する人材確保に向けた支援を行う。

また、職業能力開発を行う中小企業に対する訓練経費等の助成の拡充を行う。

○ 改正地域雇用開発促進法に基づく地域雇用対策の推進 46億円

雇用情勢が特に厳しい地域における事業所の設置整備に伴う雇入れ、中核人材の受入れ、能力開発についての助成を行うとともに、雇用創造に向けた意欲が高い地域における取組を支援するなど、雇用情勢が厳しい地域に対する重点的な支援を行う。

○ 介護分野における雇用管理改善の推進 90百万円

複数の中小零細の介護事業所が共同して雇用管理改善に取り組むモデル事業を実施するとともに、雇用管理改善等のための巡回相談や専門的相談を拡充する。

(2)最低賃金制度の機能強化 9.4億円
○ 最低賃金制度の周知・徹底及び履行確保 2億円

最低賃金の見直しによる影響の高い地域及び業種に対し、チェックシートによる自主点検を促し、最低賃金の履行確保を図るとともに、最低賃金制度の内容をインターネットや広報媒体を活用し、使用者並びに労働者、民間団体等広く国民に周知・徹底を図る。

○ 最低賃金の引上げに関する政労使の合意を踏まえた地域別最低賃金の引上げ 3.1億円

成長力底上げ戦略推進円卓会議における最低賃金の中長期的な引上げの方針についての政労使の合意を踏まえ、地域別最低賃金の引上げを行う。

(3)ものづくり立国の推進 14億円
○ 団塊世代等の熟練技能者を活用した技能継承支援 4.2億円

高度熟練技能者をはじめ団塊世代等の優れた技能者等の情報をデータベース化し、中小企業への派遣による技能指導等に活用するとともに、技能継承問題等への対応に係る総合的な情報提供・相談援助を実施する。

○ 技能・ものづくりの重要性に対する啓発の推進 2.9億円

2007年ユニバーサル技能五輪国際大会を契機とした技能尊重気運の高まりを確実なものにするため、若者等に対して技能の魅力や重要性に対する理解の更なる浸透を図るとともに、地域におけるものづくり体験の場を積極的に提供し、ものづくりのすばらしさ・重要性を啓発する取組を推進する。

○ 各種技能競技大会等の充実 6.5億円

各種技能競技大会の充実を図るとともに、各種表彰の実施等により、ものづくりの裾野を拡大し、技能者が広く社会一般に尊重される社会の形成を図る。

4 若者の雇用・生活の安定と働く意欲の向上

354億円(346億円)

(1)フリーター常用雇用化プラン等の推進
〜常用雇用化35万人を目標〜
241億円
○ 年長フリーターに対する常用就職支援等の実施 45億円
・ 年長フリーターに対する常用就職支援 15億円

中小企業の人事担当者による模擬面接等を行う「ジョブミーティング」を実施するとともに、「ジョブクラブ(就職クラブ)」方式でのセミナー、グループワーク等の実施箇所数を拡充し、年長フリーターの常用就職を支援する。

・ 「年長フリーター自立能力開発システム」の実施 29億円

年長フリーターの職業能力を判断するために企業実習を先行させ、その後必要に応じフォローアップ訓練を行い、訓練終了後には実習先事業主による能力評価を行う訓練システムを実施するとともに、業界の求める採用条件に適応するための訓練コースを開発・実施する。

○ 若者の応募機会の拡大等に係る周知・広報、相談機能の強化(新規) 1.9億円

若者の応募機会の拡大について、事業主への周知・啓発、指導を徹底するとともに、企業等からの好事例の収集・分析、事業主への提供を行うほか、応募機会の拡大等に取り組む事業主等への相談機能の強化を図る。

○ 若者の職業能力開発機会の充実 156億円

「実践型人材養成システム」や「実務・教育連結型人材育成システム」等の拡充や、雇用関係の下で実習と座学とを組み合わせた新たな有期実習型訓練の創設・支援を図るほか、就職支援講座を行い、その後必要に応じ短期間の訓練を行うなど、若年者に対する効率的な集中支援による就職促進を図る。

○ ネットカフェ等で寝泊まりする不安定就労者への就職支援の実施(新規・再掲) 1.7億円
(2)地域において支援を必要とする若者等のチャレンジ支援 54億円
○ 地域若者サポートステーションの発展・強化 18億円

ニート等の若者に対する地域の支援拠点としての地域若者サポートステーションについて、訪問支援を行う人材の養成と訪問支援モデル事業等を実施するとともに、箇所数を拡充する。

○ 「若者自立塾」事業の推進 6億円

合宿形式による集団生活の中で、生活訓練、労働体験等を通じて、若者に働く自信と意欲を付与する「若者自立塾」事業を推進する。

○ 若者向けキャリア・コンサルティングの普及促進 2.3億円

若者の職業キャリアの円滑な形成を促進するため、若者向けキャリア・コンサルタントに必要な能力要件について修正・開発を行うとともに、若年者支援施設の担当者等に対し、セミナー等を実施する。

○ 学校段階におけるキャリア教育の取組支援 27億円

職業への理解促進、就職活動の仕方などに関する講習を行う高校生向け就職ガイダンスについて、就職希望者が多い学校を対象に引き続き実施するとともに、労働関係法制に関する知識を付与する教育や情報提供のあり方について検討する。

第3 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)と公正かつ多様な働き方の実現

仕事と生活の両立が可能なワーク・ライフ・バランスの実現に向け、企業の取組に対する支援等や、その成果について広く周知するなど、社会的気運の醸成を図る。

また、「職業キャリアの持続可能性」を確保するために、生涯にわたる自立的なキャリア形成を可能とする環境の整備を図る。

さらに、労働者派遣事業の適正な運営の確保を図るとともに、男女雇用機会均等の推進、第11次労働災害防止計画に基づく総合的な安全衛生施策の推進など、公正かつ多様な働き方の実現と働く人たちの安全・安心の確保を図る。

1 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現

171億円(127億円)

(1)ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた社会的気運の醸成 12億円
○ 業界トップクラス企業による先進的モデル事業の展開(新規) 1.9億円

「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」の議論を踏まえ、我が国を代表する社会的影響力のある企業(業界トップクラス企業)に対してコンサルタントを派遣し指導・助言を行うことにより、企業自らが作成したアクションプログラムに基づくワーク・ライフ・バランス達成のための取組を支援する。

○ 「ワーク・ライフ・バランス推進会議」の開催を通じた地域ごとの取組の推進(新規) 10億円

労使、地方公共団体、有識者等による「ワーク・ライフ・バランス推進会議」を都道府県ごとに設置し、地域の特性を踏まえた提言の策定・公表及びワーク・ライフ・バランスに取り組む企業の好事例の収集・情報提供等の支援を行う。

(2)ワーク・ライフ・バランスの実現のための企業の取組の促進 18億円
○ 労働時間等の設定改善に取り組む中小企業に対する助成金制度の創設(新規) 2.7億円

労働時間等の設定の改善に向けた職場意識の改善に積極的に取り組む中小企業事業主に対する新たな助成措置を創設する。

(3)長時間労働抑制のための重点的な指導の実施等 7億円

長時間労働を抑制するため、特に労働時間が長い事業場を重点に指導を強化するとともに、長時間労働を是正するための取組を行う中小事業主に対する支援を実施する。

(4)企業における次世代育成支援の取組の一層の推進 49百万円

次世代育成支援対策推進センターにおいて、事業主に対する相談・援助を実施し、中小企業における一般事業主行動計画の策定、届出を促進するとともに、多くの事業主が認定を目指して取組を行うよう一層の周知・啓発に取り組む。

(5)仕事と家庭の両立が図れる環境整備の推進 122億円
○ 育児期における短時間勤務制度の導入・定着支援の拡充 88百万円

小学校低学年の子を養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を導入した事業主に対する助成措置を創設するとともに、短時間勤務にかかる雇用管理のノウハウ習得に向けた取組への助成など中小企業における短時間勤務制度の導入・利用に対する重点的な支援を行う。

○ 事業所内託児施設の設置・運営等に対する支援の推進 40億円

従業員のために事業所内託児施設を設置、運営又は増築等を行う事業主に対する助成措置の対象企業数を拡充する。

○ 男性の仕事と育児の両立に関する意識啓発の推進(新規) 17百万円

育児期の男性が仕事と家庭が両立可能な働き方を設計・実践するためのハンドブックを作成、配布し、男性の仕事と育児の両立に関する意識啓発を促進する。

○ マザーズハローワーク事業の拠点の拡充と機能の強化 20億円

マザーズハローワーク事業未実施の地域においても同様のサービスが提供できるよう事業拠点を拡充するとともに、既存のマザーズハローワーク等において、独自求人の確保、保育所入所の取次ぎ、出張相談等を実施する。

(6)パートタイム労働者の均衡待遇確保と短時間正社員制度の導入促進 10億円
○ 改正パートタイム労働法に基づく均衡待遇確保のための事業主支援の充実 10億円

改正パートタイム労働法の内容の周知徹底及び指導等を行うとともに、均衡待遇推進コンサルタントの配置によるアドバイス、先進事例の収集・提供や助成金の支給による事業主支援を行う。

また、支援サイトの開設等を行うことにより、短時間正社員制度導入の促進を図る。

(7)テレワークの普及促進 1.9億円

テレワークの普及促進を図るため、セミナーの開催を実施するとともに、テレワーク相談センターを拡充し、相談体制の整備等を図る。

また、テレワークを含めた在宅就業の適正化を推進するため、在宅就業の実態把握を行い、必要な施策の検討を行う。

2 持続的なキャリア形成の実現614億円(703億円)
(1)生涯にわたる自律的なキャリア形成を可能とする環境整備 20億円
○ 企業診断システムの開発と労働者に対する診断・相談サービスの提供(新規) 50百万円

企業における人材育成やキャリア形成支援と企業の生産性や業績、人材確保の動向の関連性を踏まえた企業診断システムを開発するとともに、生涯キャリアの節目の時期にある労働者に対し、診断・相談サービスの提供を行う。

○ 団塊世代等の熟練技能者を活用した技能継承支援(再掲) 4.2億円
○ e−ラーニングによる教育訓練環境の整備 5.1億円

職業能力習得支援制度(ビジネス・キャリア検定制度)の推進を図るとともに、非正規労働者等のためのe−ラーニングによる教育環境の整備を図る。

(2)女性の意欲・能力を活かしたキャリアの継続と再就職・起業の実現 27億円
○ 女性の職業キャリアの継続が可能となる環境整備 6.3億円

企業が行う人事管理制度、能力評価制度の見直しを含む雇用管理改善や女性労働者のモチベーションの維持向上など、女性の就労継続のための環境整備の取組への支援を行う。

○ マザーズハローワーク事業の拠点の拡充と機能の強化(再掲) 20億円
○ 女性の起業に対する支援の実施 87百万円

女性起業家向けのメンター紹介サービス事業を実施するとともに、女性向けの起業についての総合的専用サイトの活用を図る。

(3)いくつになっても働ける社会を目指した高齢者雇用対策の推進 567億円
○ 65歳までの雇用機会の確保 226億円

事業主団体が傘下の小規模企業に対して実施する、65歳までの高年齢者雇用確保措置の導入に伴う雇用環境の整備等に係る相談・指導等に対する助成を行い、団塊世代の雇用確保の実現を図る。

○ 「70歳まで働ける企業」の普及促進 49億円

65歳以上への定年引上げ等の導入に対する助成措置に加え、希望者全員を70歳まで継続雇用する制度を導入した中小企業に対する支援や、70歳まで働くことができる新たな職域を開拓するモデル的な取組を行う企業に対する支援を行う。

○ 団塊世代をはじめとする高齢者の再就職支援 50億円

地域における関係機関の連携の下、事業主団体等を通じ、傘下の求人事業主や定年退職者等を対象として、キャリア・コンサルティング、就職面接会やセミナーの開催等、地域の団塊世代の高齢者に対する再就職支援を実施する。

○ シルバー人材センター事業の推進等 144億円

「教育、子育て、介護、環境」を重点にシルバー人材センターと自治体が共同して企画提案した事業を支援するほか、高齢者の知識・経験を活かすためのワークショップの開催、企業等とのマッチングを行う「シニア労働力活用事業」(仮称)を創設する。

3 公正かつ多様な働き方を実現できる労働環境の整備

26億円(23億円)

(1)労働者派遣事業の適正な運営の確保 5.3億円
○ 偽装請負など違法派遣の防止・解消のための厳正な指導監督の実施と労働者派遣制度の見直し 59百万円

偽装請負などの違法派遣の防止・解消に向け、派遣元事業主等に制度の周知を図り、厳正な指導監督を実施するとともに、労働者派遣制度について必要な見直しを行う。

○ 派遣労働者の雇用管理改善の推進 4.7億円

派遣元事業主等による派遣労働者の雇用管理改善の実情・好事例を調査・分析し、派遣元事業主等に提供することにより雇用管理改善を推進する。

(2)製造業の請負事業の雇用管理の改善及び適正化の推進 32百万円

製造業の請負事業の雇用管理の改善及び適正化を図るためのガイドライン及びチェックシートの周知・啓発を行うとともに、請負事業主等の自発的かつ積極的な取組に対する相談援助を行う。

(3)派遣労働者等に係る能力開発・能力評価・キャリア形成のためのモデルづくりと普及啓発 64百万円

能力開発機会において正社員との格差が見られる派遣労働者等について、能力評価、能力開発のための望ましいモデルやキャリア形成支援計画を策定し、その普及啓発を図る。

(4)有期労働者の処遇の改善等 8.1億円
○ ガイドラインの策定や正社員転換支援を通じた有期労働者の雇用管理の改善 4.8億円

契約社員や期間工等の有期契約労働者の雇用管理の改善を図るため、ガイドライン等を作成し周知するとともに、有期契約労働者から正社員に転換する制度を設け、正社員に転換させた事業主に対する助成制度を創設する。

(5)パートタイム労働者の均衡待遇確保と短時間正社員制度の導入促進
(再掲)
10億円
(6)職場における男女雇用機会均等の推進 1.9億円

男女雇用機会均等法の履行確保のため、厳正的確な指導を行うとともに、迅速な紛争解決の援助を実施する。

4 安全・安心な職場づくり145億円(160億円)
(1)第11次労働災害防止計画に基づく総合的な安全衛生施策の推進 131億円
○ 職場における過重労働・メンタルヘルス対策の推進 32億円

小規模事業場の長時間労働者に対する医師の面接指導等を行うため、全国の地域産業保健センターに専用窓口を開設するとともに、労働者が相談しやすい体制を事業場内外において整備する。

○ 死亡災害・重篤災害の大幅な減少のための労働災害防止対策の推進 12億円

危険性・有害性等の調査等の普及、小規模事業場への指導、高年齢者の災害防止対策、安全教育に係る指導者等人材養成の充実、建設業等での先進的な安全手法の普及、機械設備自体の安全性能の確保に係る指導等を行う。

○ 職業性疾病防止対策・化学物質管理対策の推進 27億円

粉じん障害防止総合対策の見直し及び周知等を行うとともに、国連勧告に基づく化学物質の表示等の制度の普及や、有害化学物質のリスク評価に基づく規制を行う。

(2)労災かくし対策の推進 92百万円

労災かくし事案の特に多い建設業者に対して集団指導を実施するとともに、被災労働者に対して適切に補償がなされるよう労災保険給付請求の勧奨を行うなど、労災かくしの排除に向けた啓発指導の強化を図る。

(3)総合的な個別労働紛争対策の推進 14億円

増加する個別労働紛争の実情に即した迅速かつ適正な解決を図るための紛争解決制度を着実に推進する。

第4 人口減少社会の到来を踏まえた少子化対策の推進

我が国においては、少子化や人口減少が進んでおり、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤にかかわる問題となっている。このため、「子ども・子育て応援プラン」(平成16年12月)、「新たな少子化対策について」(平成18年6月)に基づき施策の拡充に努めるとともに、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議における議論を踏まえた少子化対策を総合的に推進する。

1 地域の子育て支援の推進

6,888億円(6,594億円)

(1)すべての家庭を対象とした地域子育て支援対策の充実 767億円

○ 地域の特性や創意工夫を生かした子育て支援事業の充実


400億円

様々な子育て支援事業について、「子ども・子育て応援プラン」に掲げた目標の達成に向けた着実な推進を図るとともに、新たに、子どもを守る地域ネットワークの機能強化や、企業を含めた地域ぐるみの子育て支援を推進すべく、次世代育成支援対策交付金(ソフト交付金)の充実を図る。

○ 地域における子育て支援拠点の拡充

111億円

地域における子育て支援拠点について、身近な場所への設置を促進するため、更なる拡充を図る。

○ 次世代育成支援対策に資する施設整備の充実

180億円

地域の実情に応じた保育所、児童養護施設等の整備が図られるよう、次世代育成支援対策施設整備交付金(ハード交付金)の充実を図る。

(2)待機児童ゼロ作戦の推進など保育サービスの充実 3,949億円

○ 保育所の受入れ児童数の拡大と保育児童の健康・安全管理の充実


3,452億円

各市町村における整備計画に基づく民間保育所の整備を推進し、民間保育所における受入児童数の増を図るとともに、保育児童の健康、安全管理の充実を図るため、計画的に看護師の配置を行う。

○ 多様な保育サービスの提供

497億円

延長保育、病児・病後児保育、一時保育、特定保育等、保護者のニーズに応じた保育サービスを推進し、あわせて地域の保育資源(事業所内託児施設)を活用した取組を進めるとともに、家庭的保育事業(保育ママ)の充実を図る。

(3)総合的な放課後児童対策(「放課後子どもプラン」)の着実な推進
188億円

放課後児童クラブと文部科学省が実施する「放課後子ども教室推進事業」を一体的あるいは連携して実施する「放課後子どもプラン」の着実な推進を図る。

また、放課後児童クラブについては、未実施小学校区の早急な解消や多様なニーズ等に対応できる弾力的なサービスを提供するための支援措置を図る。

(4)児童手当国庫負担金 2,564億円

2 児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実

863億円(821億円)

(1)虐待を受けた子ども等への支援の強化

812億円

○ 早期発見・早期対応体制の充実

市町村において、関係機関が連携し児童虐待等の対応を図る「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」の機能強化を図るため、コーディネーターの研修やネットワーク構成員の専門性強化を図るための取組を支援する。
(次世代育成支援対策交付金(400億円)の内数)

○ 社会的養護体制の拡充

806億円

社会的養護体制の見直しの一環として里親手当・里親支援体制の充実、児童養護施設等における小規模ケアの推進や看護師の配置など施設ケアの充実を図るとともに 、施設を退所する児童等の就労・生活支援などを行うことにより地域生活を支援するモデル事業を実施する。

(2)配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)への対策等の推進

51億円

婦人相談所における配偶者からの暴力被害者に対する一時保護委託費の充実を図るとともに、婦人保護施設の退所者支援の充実等を図る。

3 母子家庭等自立支援対策の推進

1,710億円(1,662億円)

(1)母子家庭等の総合的な自立支援の推進 88億円

○ 自立のための就業支援等の推進(一部再掲)

30億円

母子家庭の母の就業支援等の充実を図るため、高等技能訓練促進費事業における入学一時金や母子自立支援プログラム策定事業における就職準備支援コースを創設するとともに、指定都市や中核市以外の市においても就労・自立支援事業の実施を可能とするなど支援措置の充実を図る 。

○ 生活保護自立支援プログラムの着実な推進

生活保護を受給する母子世帯の自立を促進するため、福祉事務所における「自立支援プログラム」の導入を一層推進する。
(セーフティネット支援対策等事業費補助金(200億円)の内数)

○ マザーズハローワーク事業の拠点の拡充と機能の強化(再掲)

20億円

マザーズハローワーク事業未実施の地域においても同様のサービスが提供できるよう事業拠点を拡充するとともに、既存のマザーズハローワーク等において、独自求人の確保、保育所入所の取次ぎ、出張相談等を実施する。

(2)自立を促進するための経済的支援1,623億円

母子家庭等の自立を促進するため、母子寡婦福祉貸付金の技能習得に係る生活資金等の償還期限の緩和を図る。

※ 児童扶養手当の一部支給停止措置については、今後の予算編成過程において検討する。

4 母子保健医療の充実

288億円(256億円)

(1)産科・小児科医療の確保91億円

○ 産科・小児科医療の確保(再掲)

91億円

産科医療機関が減少している現状にかんがみ、産科医療機関への財政的支援を行うとともに、周産期医療体制(出産前後の母体・胎児や新生児に対する産科・小児科双方からの一貫した医療体制)の整備を進める。

また、小児の二次救急医療を担う小児救急支援事業、小児救急拠点病院の休日夜間における診療体制の確保や小児救急電話相談事業(♯8000)など小児救急医療体制を確保する。

・ 妊娠・出産の安心・安全の確保

妊娠・出産の安心・安全の確保のため、潜在する助産師等を活用した地域の先進的な「健やかな妊娠・出産・子育て」をサポートするための取組に対する助成を行うとともに、取組事例に関する情報提供を行うことにより、他の自治体の取組を促進する。

(母子保健医療対策等総合支援事業(統合補助金)(51億円)の内数)

・ 子どもの心の診療拠点病院の整備(新規・再掲)

様々な子どもの心の問題、児童虐待や発達障害に対応するため、都道府県域における拠点病院を中核とし、各医療機関や保健福祉機関等と連携した支援体制の構築を図るための事業を実施するとともに、中央拠点病院の整備を併せて行い、人材育成や都道府県拠点病院に対する技術的支援等を行う。

(母子保健医療対策等総合支援事業(統合補助金)(51億円)の内数)

(2)不妊治療等への支援 143億円

特定不妊治療費助成事業、小児慢性特定疾患治療研究事業及び未熟児養育医療費の給付等を実施する。

(特定不妊治療費助成事業については、母子保健医療対策等総合支援事業(統合補助金)(51億円)の内数)

5 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現

(再掲・20ページを参照) 171億円(127億円)

(1)ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた社会的気運の醸成 12億円
(2)ワーク・ライフ・バランスの実現のための企業の取組の促進 18億円
(3)長時間労働抑制のための重点的な指導の実施等 7億円
(4)企業における次世代育成支援の取組の一層の推進 49百万円
(5)仕事と家庭の両立が図れる環境整備の推進 122億円
(6)パートタイム労働者の均衡待遇確保と短時間正社員制度の導入促進 10億円
(7)テレワークの普及促進 1.9億円

6 若者の雇用・生活の安定と働く意欲の向上

(再掲・18ページを参照)   354億円(346億円)

(1)フリーター常用雇用化プラン等の推進
〜常用雇用化35万人を目標〜
241億円
(2)地域において支援を必要とする若者等のチャレンジ支援 54億円
第5 高齢者等が生き生きと安心して暮らせる福祉社会の実現

高齢者が生き生きと安心して暮らせる社会を実現するため、介護基盤の整備や安定的・効率的な介護保険制度運営の確保を図るとともに、認知症対策、介護予防対策、元気高齢者支援対策等の関連施策を推進する。また、65歳までの雇用機会の確保、「70歳まで働ける企業」の普及促進、団塊世代をはじめとする定年退職者等の再就職支援等によりいくつになっても働ける社会の実現に向けた環境整備を図る。

年金制度については、持続可能で安心できる制度を構築するため、基礎年金国庫負担割合2分の1に向けた引上げに取り組む。

支援を必要とする人々を地域で支える仕組みを再構築するため、身近な地域における福祉活動の活性化を図るとともに、生活不安定者等に対する自立支援体制を整備する。また、生活保護制度について、生活保護受給者の自立を目指す自立支援プログラムの導入を推進するとともに、公平・自立支援の観点から母子加算の見直しを継続する。

さらに、社会福祉士・介護福祉士の資質の向上を図るための社会福祉士及び介護福祉士法の改正案や福祉従事者の質の向上及び人材の確保を目的とした人材確保指針の改正を踏まえ、福祉従事者の養成確保を推進する。

1 介護保険制度の着実な実施と関連施策の推進

2兆1,050億円(2兆711億円)

(1)介護基盤の整備 523億円

過去の療養病床整備に要した借入金について長期安定融資へ借換え等を行う「療養病床転換支援金貸付制度」の創設、大規模団地における介護サービス拠点等の整備を行う「高齢者安心住空間整備事業」(国土交通省とのタイアップ事業)の創設などにより、介護基盤の整備を促進する。

(2)安定的・効率的な介護保険制度運営 2兆292億円

各都道府県が策定する介護給付適正化計画に基づき実施される、要介護認定の適正化やケアマネジメントの適切化を始めとする適正化対策への支援を行うなど、安定的・効率的な介護保険制度の着実な実施に努める。

(3)介護サービスの質の向上及び元気高齢者支援対策の推進(一部再掲) 235億円

認知症ケアの高度化や介護予防対策の一層の推進など介護サービスの質の向上に努める(第1−2参照)。また、主として団塊の世代を対象とする「いつまでも元気で暮らせる生きがいづくり」対策(元気高齢者支援対策)を国、地方公共団体等が連携して実施する。

2 いくつになっても働ける社会を目指した高齢者雇用対策の推進  (再掲)

567億円(658億円)

(1)65歳までの雇用機会の確保 226億円

事業主団体が傘下の小規模企業に対して実施する、65歳までの高年齢者雇用確保措置の導入に伴う雇用環境の整備等に係る相談・指導等に対する助成を行い、団塊世代の雇用確保の実現を図る。

(2)「70歳まで働ける企業」の普及促進 49億円

65歳以上への定年引上げ等の導入に対する助成措置に加え、希望者全員を70歳まで継続雇用する制度を導入した中小企業に対する支援や、70歳まで働くことができる新たな職域を開拓するモデル的な取組を行う企業に対する支援を行う。

(3)団塊世代をはじめとする高齢者の再就職支援 50億円

地域における関係機関の連携の下、事業主団体等を通じ、傘下の求人事業主や定年退職者等を対象として、キャリア・コンサルティング、就職面接会やセミナーの開催等、地域の団塊世代の高齢者に対する再就職支援を実施する。

(4)シルバー人材センター事業の推進等 144億円

「教育、子育て、介護、環境」を重点にシルバー人材センターと自治体が共同して企画提案した事業を支援するほか、高齢者の知識・経験を活かすためのワークショップの開催、企業等とのマッチングを行う「シニア労働力活用事業」(仮称)を創設する。

3 持続可能で安心できる年金制度の構築

7兆2,974億円(7兆187億円)

○ 年金給付費国庫負担金 7兆2,974億円

※ 平成20年度における基礎年金国庫負担割合の取扱いについては、今後の予算編成過程において検討する。

※ 厚生年金及び国民年金に関する過去の国庫負担繰入れの特例措置に係る取扱いについては、今後の予算編成過程において検討する。

4 地域福祉の再構築

(1)身近な地域における福祉の活性化を図る事業の実施(新規)

身近な地域において、住民相互の支え合い活動を促進し、地域において支援を必要とする人々に対し、見守り、声かけをはじめとする福祉活動を活性化するため、地域福祉活動を調整する役割を担うコミュニティソーシャルワーカーを市町村に配置するとともに、拠点づくり・見守り活動等の事業を支援するモデル事業を実施する。
(セーフティネット支援対策等事業費補助金(200億円)の内数)

(2)地域における生活不安定者に対する自立支援体制の整備(新規)

生活保護の受給に至らないボーダーライン層を中心とする生活不安定者等に対し自立支援プランによる継続的な支援を行うモデル事業を実施する。
(セーフティネット支援対策等事業費補助金(200億円)の内数)

5 自立支援に重点をおいた生活保護制度の適正な実施

2兆248億円(2兆円)

生活保護受給者の就労自立、日常生活自立及び社会生活自立を目指す「自立支援プログラム」の福祉事務所における導入を一層推進する。
(セーフティネット支援対策等事業費補助金(200億円)の内数)

また、母子加算について、公平・自立支援の観点から平成19年度からの3年間で段階的に廃止する(2年目)。

6 ホームレスの自立支援

31億円(33億円)

○ 自立支援事業等の推進 31億円

総合相談推進事業や自立支援事業、職業技能講習事業、就業支援事業等を実施し、ホームレスの自立支援を推進する。

7 福祉・介護サービス従事者の養成確保の推進

9.1億円(7.9億円)

(1)従事者の確保の推進 2.8億円
○ 資格保有者に対する現況調査の実施(新規) 57百万円

福祉人材を確保するために、介護福祉士等の資格を有するものの福祉・介護サービスに就業していない者等の実態調査等を行い、潜在的有資格者の参入の促進等を図る。

○ 福祉人材確保重点月間の創設及び相談PR活動等の実施(新規) 14百万円

福祉・介護分野への国民の積極的な参入・参画が促進されるように、福祉人材確保重点月間を定め、全国規模で広報活動、合同面接会、福祉人材交流大会、メンタルヘルス等の相談事業等を月間内に重点的に行う。

(2)教育・実習体制の充実等 6.3億円
○ 介護教員等に対する講習会事業の実施(新規) 12百万円

認知症への対応等新たなケアに対応できるより質の高い介護福祉士等を養成するため、介護福祉士養成施設の専任教員となる者等に対する講習会について、介護福祉士等の教育カリキュラムの見直しを踏まえ、講習会の内容を見直して新たに実施する。

○ 養成実習施設実習指導者への特別研修の実施(新規) 79百万円

より実践的な社会福祉士及び介護福祉士を養成する上で実習施設における実習がより重要となることから、社会福祉士及び介護福祉士の教育カリキュラムの見直しを踏まえ、実習を受け入れる施設の実習指導者に対する研修を実施する。

第6 障害者の自立支援の推進

障害者の自立生活を支援するため、良質な障害福祉サービスを確保するとともに、受入条件が整えば退院可能な精神障害者の地域生活への移行支援の推進や発達障害者支援施策の更なる拡充を図る。

さらに、福祉施設で働く障害者の工賃水準の引上げを図るとともに、障害者の職業的自立に向けた就労支援を総合的に推進する。

1 障害者の自立生活を支援するための施策の推進

9,473億円(8,979億円)

(1)良質な障害福祉サービスの確保 4,882億円

ホームヘルプ、グループホーム、就労移行支援事業等の障害福祉サービスについて、障害福祉計画に基づき、各市町村において推進を図る。

(2)障害者に対する良質かつ適切な医療の提供 1,350億円

心身の障害の状態の軽減を図る自立支援医療(精神通院医療、更生医療(身体障害者を対象)、育成医療(身体に障害のある児童を対象))を提供する。

(3)地域生活支援事業の着実な実施 450億円

障害者のニーズを踏まえ、移動支援や地域活動支援センターなど障害者の地域生活を支援する事業について、市町村等における事業の着実な実施及び定着を図る。

(4)障害者の就労支援の推進(再掲) 15億円

福祉施設で働く障害者の工賃を平成23年度までに倍増させることを目標とする「工賃倍増5か年計画」を推進するため、必要な施策の強化を行う。

(5)心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療提供体制の整備

160億円

心神喪失者等医療観察法を適切に施行するため、引き続き、指定入院医療機関の確保を図るとともに、医療従事者等の研修を行うなど医療の提供体制の整備を推進する。

2 精神障害者の地域移行を支援するための施策の推進

47億円(16億円)

(1)精神障害者の退院促進・地域定着の推進(新規) 26億円

精神障害者の地域移行を推進するために、受入条件が整えば退院可能な精神障害者の退院促進や地域定着のための施策の推進を図る。

(2)精神科救急医療体制の強化 21億円

地域の実情に応じた精神科救急医療体制を強化する。

(3)精神障害に対する国民の正しい理解の促進(再掲) 86百万円

精神疾患や精神障害者に関する正しい理解のための普及啓発を推進する。

3 発達障害者支援施策の更なる拡充

11億円(9.6億円)

(1)発達障害者の地域支援体制の確立(再掲) 2.4億円
・ 発達障害者支援センター等における支援 2.1億円

発達障害者支援センターにおいて、発達障害者やその家族への支援を行うとともに、都道府県等の各圏域において、ライフステージに対応した一貫した支援を行うためのネットワークを構築する。

・ 子どもの心の診療拠点病院の整備(新規・再掲)

様々な子どもの心の問題、児童虐待や発達障害に対応するため、都道府県域における拠点病院を中核とし、各医療機関や保健福祉機関等と連携した支援体制の構築を図るための事業を実施するとともに、中央拠点病院の整備を併せて行い、人材育成や都道府県拠点病院に対する技術的支援等を行う。
(母子保健医療対策等総合支援事業(統合補助金)(51億円)の内数)

(2)発達障害者への支援手法の開発や普及啓発の着実な実施(再掲)
6.4億円

発達障害のある子どもの成長に沿った一貫した支援となるよう先駆的な取組を通じて発達障害者への有効な支援手法を開発・確立するとともに、発達障害者支援に携わる職員等への研修や発達障害情報センターによる全国の関係機関等への情報提供及び幅広い普及啓発を行う。

(3)発達障害者の就労支援の推進 2億円

発達障害者支援センターにおいて、医療・保健福祉・教育等関係機関の発達障害者支援関係者及び事業主に対する就労支援・雇用管理のノウハウの付与のための講習等を実施するとともに、発達障害者と支援者による体験交流会を開催する。

4 障害者に対する就労支援の推進(再掲)

192億円(144億円)

(1)雇用、福祉、教育等の連携による地域の就労支援力の強化 51億円

ハローワークを中心とした「チーム支援」の体制・機能の強化、及び「障害者就業・生活支援センター」の設置箇所数の大幅な拡充や実施体制の充実等を図るとともに、関係審議会の検討結果を踏まえ、障害者雇用促進法制の整備を図る。

(2)障害者雇用の底上げのための関係者の意識改革(新規) 5.7億円

インターネットを通じた情報発信・相談の実施、地域の事業主団体を活用した「意識改革セミナー」の開催、地域の関係者との交流会等を実施することにより、国民、企業等の障害者雇用に関する意識改革を図る。

(3)障害の特性に応じた支援策の充実・強化 4.3億円

一定程度の期間をかけて、段階的に就業時間を延長しながら常用雇用を目指すことを支援するための助成措置を創設するとともに、発達障害者の希望やニーズに応じた就労支援を推進する。

(4)障害者に対する職業能力開発の推進 61億円

障害者委託訓練及び障害者職業能力開発プロモート事業の拡充等職業訓練機会の充実を図り、特別支援学校の生徒及び就労移行支援事業利用者等に対する効果的な職業訓練を実施するとともに、職業能力開発施設において発達障害者に対する職業訓練コースを拡充する。

(5)「工賃倍増5か年計画」の推進 15億円

福祉施設で働く障害者の工賃を平成23年度までに倍増させることを目標とする「工賃倍増5か年計画」を推進するため、必要な施策の強化を行う。

第7 国民の安全と安心のための施策の推進

有効で安全な医薬品・医療機器を迅速に提供するための対策を推進するとともに、医薬品等の安全対策、血液対策、麻薬・覚せい剤等対策などを推進する。

また、輸入食品の安全対策の強化、残留農薬等ポジティブリスト制度の着実な実施、健康食品の安全性の確保など、食品安全対策を推進する。

あわせて、「自殺総合対策大綱」(平成19年6月)に基づく自殺対策、感染症やバイオテロリズムの発生に備えた健康危機管理体制の強化、安全で良質な水の確保を推進する。

1 有効で安全な医薬品・医療機器を迅速に提供するための対策の推進

113億円(107億円)

(1)新医薬品・医療機器の迅速な提供等 10億円
○ 国際共同治験の充実強化(新規・再掲) 67百万円

日米欧三極における医薬品の国際共同治験に関する相談体制の整備や日米両国における医療機器の同時開発・審査・承認のための検討を行うとともに、中国、韓国などにおける医薬品治験データの活用に関する調査等を実施する。

(2)医薬品等の安全対策の推進 6.1億円
○ 市販後の安全性情報収集の充実 28百万円

市販後の安全対策の一層の強化を図るため、従来より対象としてきた新規性が高い医薬品に加えて、重点的な監視が必要な医薬品についても、医療機関における使用状況や副作用の発生状況等の臨床現場の情報を一定期間、国が直接収集・評価を行うとともに、医療機器についても同様の情報収集・評価を実施する。

(3)安全、安心な血液製剤の供給確保 7.3億円

医療に不可欠な血液製剤の安定供給を確保するため、献血に対する国民の意識の向上が図られるよう、普及啓発活動を引き続き推進する。

2 食品安全対策の推進

165億円(149億円)

(1)輸入食品等の安全対策の強化 126億円
○ 輸入食品の監視等の強化 25億円

検疫所における輸入食品のモニタリング検査の充実等により、監視体制を強化するとともに、遺伝子組換え食品に関する情報収集及び検知方法の開発を図るなど、輸入食品の安全対策を強化する。

○ BSE対策など食肉の安全確保対策の推進 23億円

国内のと畜場におけるBSE検査キットについては、引き続き(20か月齢以下の牛については、平成20年7月末まで)国庫補助を行うとともに、米国及びカナダにおける対日輸出施設の査察等を通じて、食肉の安全確保対策を推進する。

(2)食品衛生法に基づく基準の策定等の推進 17億円
○ 残留農薬等ポジティブリスト制度の着実な推進 5.7億円

ポジティブリスト制度において、新たに残留基準を設定した農薬等の基準値の見直しを行い、制度の着実な推進を図る。

○ 食品添加物等の安全性確認の計画的な推進 11億円

指定時期が古い指定添加物等について、遺伝子組換え動物を用いた試験などバイオテクノロジーの進歩を踏まえた毒性試験を活用しつつ、安全性の見直しを計画的に実施し、食品添加物等の安全確保を推進する。

また、食品用器具・容器包装等に用いられる化学物質に関する規制について、国際的な動向を踏まえ、新しい技術の知見に基づく安全基準、試験方法を策定する。

(3)健康食品の安全性の確保等の推進 61百万円

健康食品の安全性確保及び特別用途食品制度の見直しについて検討し、その結果を踏まえ、健康食品の安全性確保対策を推進する。

(4)食品安全に関する情報提供や意見交換(リスクコミュニケーション)の充実

41百万円

食品安全施策について国民の理解や信頼を高めるため、的確な情報提供や消費者との意見交換会を行うなど、リスクコミュニケーションの取組を充実する。

(5)食品安全に関する研究の推進 18億円

輸入食品の安全性の確保、BSEの人体への影響、食品テロ対策等の食品に関連する様々な問題に対し、科学的根拠に基づいた安全性に関する調査研究、先端技術を応用した検査技術の開発等を行うとともに、油症研究の充実強化を図るなど、食品の安全・安心の確保に資する研究を推進する。

3 自殺対策の推進

16億円(12億円)

(1)うつ病等の精神疾患に関する国民の正しい理解の促進(再掲)
86百万円

自殺との関連が強いとされるうつ病等の精神疾患に関する正しい理解のための普及啓発を行う。

(2)自殺予防総合対策センター機能の充実 32百万円

総合的な自殺対策を実施するため、自殺予防総合対策センターにおいて、国内外の情報収集、Webサイトを通じた情報提供、関係団体等との連絡調整を行うとともに、関係機関の相談員や医療現場に従事する心理職等を対象とした専門的な研修を行う。

(3)地域での効果的な自殺対策の推進と事業主の取組の支援 6.2億円

地域における先進的な自殺対策の取組の検証、自殺未遂者や自殺者遺族へのケア対策の普及など地域の実情に即した自殺対策を推進する。

(4)自殺予防に向けた相談体制の充実と人材育成(一部再掲) 5.1億円

うつ病の早期発見・早期治療につなげるため、かかりつけ医に対するうつ病の診断・治療・医療連携等に関する研修を行う。

また、「いのちの電話」におけるフリーダイヤルによる自殺予防相談や相談員の研修などを行う。

さらに、労働者がメンタルヘルスについて相談しやすい事業場内外の環境を整備するとともに、医療機関での迅速な対応を図るための仕組みを整備する。

(5)自殺問題に関する総合的な調査研究等の推進 3億円

自殺予防に係る地域介入研究、救急部門における再発防止研究等を実施する。

4 麻薬・覚せい剤等対策の推進

9.5億円(9.2億円)

○ 取締体制の強化 5.6億円

巧妙化、広域化かつ組織化する麻薬・覚せい剤等の薬物事犯に迅速かつ的確に対応するため、暴力団や外国人犯罪組織などの取締体制を強化する。

5 健康危機管理体制の強化

12億円(10億円)

(1)健康安全・危機管理対策総合研究の推進 6.9億円

感染症やバイオテロリズムの発生に備えた初動体制の確保や危機情報の共有及び活用、地域における健康危機管理体制の基盤強化等に資する健康安全・危機管理対策総合研究事業を創設し、総合的な研究を推進する。

(2)健康危機管理体制の整備・強化 3.2億円

非常時に健康危機管理体制が十分に機能するよう、平時から、各種訓練の実施、地域における連携体制・専門家ネットワークの構築等を行うとともに、地域における健康危機事例に的確に対応するため、専門家の養成等を行う。

(3)国際健康危機管理対応能力の強化 1.4億円

国内外での未知の感染症等の発生時にWHO等が編成する疫学調査チームに国立感染症研究所が参加し、国際的な感染症の情報収集、解析、情報提供等を行うとともに、病原体のゲノム情報の蓄積、データベース化及び解析を推進する。

6 安全で良質な水の安定供給

931億円(772億円)

○ 水道施設の整備 930億円

すべての国民に安全で良質な水道水の安定的な供給を行うとともに、災害対策を充実するなど、「水道ビジョン」に基づく取組を推進する。

○ 水道分野の国際展開の推進 36百万円

アジア・ゲートウェイ構想等に位置づけられている水道分野の国際展開に必要な体制等について検討する。

第8 年金記録問題等への対応

年金記録問題に関し、国民の皆様に多大なご心配をおかけし、公的年金制度への信頼を揺るがしかねない状況を招いていることについて、深くお詫び申し上げるとともに、この問題への対応については、年金記録の管理等に対する国民の不信感を払拭するため、「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」(平成19年7月5日政府・与党合意)に沿って、すべての方への加入履歴のお知らせ、コンピュータの記録と台帳等との突合わせなどの対策を徹底的かつ迅速に進める。

また、先の通常国会で成立した日本年金機構法に基づき、日本年金機構の設立準備を行うとともに保険料収納率の向上、民間委託の拡大等の取組を徹底するなど、組織改革、業務改革の推進を図る。

1 年金記録問題への対応

年金記録問題への対応については、上記の方針に基づき、着実に実施する。なお、この実施に係る経費の取扱いについては、財政に係る合理化のための努力と併せて今後の予算編成過程において検討する。

2 日本年金機構発足へ向けた組織改革及び業務改革の推進

4,628億円(4,813億円)

(1)組織改革の推進

国民の信頼を回復するため、社会保険庁を廃止・解体し、新たな運営組織を再構築する。

○  日本年金機構の設立準備 23億円

平成22年1月に設立予定の日本年金機構において円滑な事業運営が行えるよう、機構の体制の検討や業務システムの構築等、必要な準備を進める。

○  政府管掌健康保険の公法人化 77億円

業務実施体制の整備やシステムの構築を行い、平成20年10月に政府管掌健康保険は全国健康保険協会に移行する。

(2)業務改革の推進

日本年金機構が設立されるまでの間においても、本年4月に改定した「業務改革プログラム」に沿って業務改革を推進する。

○  保険料収納対策の強化 94億円

市町村からの所得情報を活用した強制徴収及び免除勧奨の実施、納付督励活動の着実な実施等により、国民年金保険料の収納対策を一層強化する。

○  民間委託の拡大 46億円

国民年金保険料の収納事業について、対象社会保険事務所を95事務所から185事務所に大幅に拡大し、公共サービス改革法に基づく民間競争入札を実施する。

○  社会保険オンラインシステムの見直し 1,461億円

社会保険オンラインシステムについて、競争入札を可能とし運用調達コストを削減するため、平成 18年3月に策定した「社会保険業務の業務・システム最適化計画」に基づき、平成18年度から22年度までの5年間でシステムのオープン化(専用機器から汎用機器への移行、記録管理及び基礎年金番号管理システムのソフトウエアの再構築等)を図り、汎用性のある効率的なシステムの構築を着実に実施する。

第9 各種施策の推進

1 国際社会への貢献 280億円

(270億円)

国際協力・国際協調については、アジア地域を中心とし、国際機関の一体的活用等戦略的に推進する。また、外国人労働者問題等へ適切に対応する。

(1)国益に直結する政策提案型・制度構築型の国際協力・国際協調の推進
224億円
○ 世界保健機関(WHO)等を通じた活動の戦略的実施 115億円

世界保健機関(WHO)等への拠出等を通じ、新型インフルエンザ等感染症対策などの健康危機管理、医薬品の治験に関する国際的なルール作り、結核・HIV/AIDS対策など地球規模課題への取組を推進する。

○ 国際労働機関(ILO)を通じた活動の戦略的実施 68億円

国際労働機関(ILO)への拠出等を通じ、労働者等の健康確保対策の推進など、アジアにおける「適切な仕事(ディーセント・ワーク)」の実現に向けた取組を推進する。

○ 開発途上国等に対する国際貢献の推進 35億円

ASEAN諸国やアフリカ諸国等に対し、保健医療、福祉分野への支援、労使関係の安定化、人材育成に関する支援などの協力を積極的に行う。

(2)G8労働大臣会合の新潟開催(新規) 1.1億円

先進主要国に共通する労働・雇用問題に対処し、その解決策について討議するG8労働大臣会合を開催する。

(3)北海道洞爺湖サミットにおける救急医療への対応(新規) 7.2億円

北海道洞爺湖サミットにおける救急医療体制を確保する。

(4)外国人労働者問題等への適切な対応 14億円
○ 外国人留学生の就業促進(新規) 79百万円

外国人の人材と企業の相互理解を促進するため、外国人留学生に対するインターンシップを実施することにより、我が国での本格就労に向けた実践的準備の機会を構築し、企業における高度な外国人材の活用を促進する。

○ 外国人労働者の雇用環境の改善の推進 77百万円

定住化が進んでいる日系人等の安定雇用の促進、不就労の日系人若年者等に対するキャリア形成等、日系人集住地域を中心に日系人をはじめとする外国人労働者の雇用環境の改善を推進する。

○ 経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士の円滑かつ適正な受入れ

69百万円
  

経済連携協定に基づき外国人看護師・介護福祉士候補者を円滑かつ適正に受け入れるため、受入施設に対する巡回指導を行うとともに、看護・介護導入研修を行う。

○ 外国人研修・技能実習制度の適正化と見直し 6.9億円

制度運用の適正化を図るため、研修生・技能実習生の受入れ機関等に対する巡回指導を強化するほか、新たに、研修生・技能実習生に対する支援として、相談会の開催や電話相談ホットラインの設置を行うとともに、帰国後の技能移転状況の調査を実施する。

2 科学技術の振興 1,281億円

(1,118億円)

第3期科学技術基本計画を踏まえ健康安心の推進、健康安全の確保及び先端医療の実現を目指すとともに、新健康フロンティア戦略、イノベーション25等を推進するための厚生労働行政分野の科学研究等を推進する。

3 社会保障カード(仮称)の導入に向けた検討 (新規)

2.4億円

社会保障分野におけるカードの利活用に関する基本計画の策定等を行う。

4 社会保険・労働保険の徴収事務の一元化の推進

15百万円(15百万円)

事業主の利便性の向上及び行政事務の効率化を図るため、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化を着実に推進する。

5 戦傷病者・戦没者遺族の援護等

453億円(490億円)

(1)戦没者の父母等に対する特別給付金の継続(支給事務費) 3百万円

戦没者の父母等に対する特別給付金について、現行の特別給付金国債が最終償還を迎えることから、国として改めて特別の慰藉を行うこととし、継続して支給する。

(2)戦没者慰霊事業の推進 5.2億円

未送還遺骨情報に基づく速やかな遺骨収集の実施、慰霊巡拝及び戦没者遺骨のDNA鑑定等の戦没者慰霊事業の推進を図る。

6 中国残留邦人に対する新たな支援

355億円

中国残留邦人の置かれた特別な事情に配慮した新たな支援策を講ずることとし、老後の生活の安定、地域での生き生きとした暮らしを実現する。

(1)老齢基礎年金の満額支給のために必要な保険料の追納(新規)
252億円

中国残留邦人の老後の生活の安定を図るため、老齢基礎年金の満額支給を行うために必要な年金保険料を全額国庫負担で追納する特別措置を講ずる。

(2)中国残留邦人生活支援給付金(仮称)の支給(新規) 92億円

老齢基礎年金制度による対応を補完するため、新たに生活支援給付金(仮称)制度を創設し、生活の安定を図る。

また、中国残留邦人に理解が深く、中国語ができる「支援・相談員」を福祉事務所に配置し、円滑な実施体制を整備する。

(3)地域社会における生活支援(新規) 7.1億円

中国残留邦人が地域において生き生きと暮らすことができるよう、地域における支援ネットワークづくりを図る。

(4)啓発・広報の実施(新規) 4.4億円

中国残留邦人問題への国民の理解と協力を得るための国民運動等を実施する。

7 原爆被爆者の援護

1,511億円(1,536億円)

原爆被爆者に対する健康診断の実施、医療の給付及び諸手当の支給のほか、在外被爆者に対する支援、調査研究及び国立原爆死没者追悼平和記念館の運営等を行う。

8 カネミ油症研究の推進

2.8億円

油症研究のより一層の充実・強化を図るため、従来の油症研究班の研究内容、実施体制等の見直しを行うほか、油症患者の協力を得て、新たに健康実態調査を行う。

9 生活衛生関係営業の指導及び振興の推進

21億円(17億円)

生活衛生関係営業経営の健全化、衛生水準の維持向上を図るため、全国生活衛生同業組合連合会等を通じた経営革新、消費者サービスの向上を図るとともに成長力底上げ戦略推進事業を実施する。


参   考

重点施策推進要望事項

1.成長力底上げ戦略の推進 38億円

○母子家庭、障害者等への就労支援の推進、最低賃金制度の機能強化

2.革新的医薬品・医療機器創出の推進 121億円

○臨床研究・治験環境の整備等

○再生医療・創薬等の先端的基盤開発研究の推進

○後発医薬品の使用促進

3.少子化対策の推進 60億円
(1)仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現 12億円

○先進的モデル事業の展開等

(2)地域の子育て支援の推進等 47億円

○子どもを守る地域ネットワークの機能強化等子育て支援事業の推進

○里親支援機関の創設等要保護児童対策の充実

○「健やかな妊娠・出産・子育て」の支援等母子保健医療の充実

4.緊急医師確保対策等医療提供体制の充実 75億円

○緊急医師確保対策をはじめとする、安全・安心で質の高い医療提供体制の充実

5.社会保障の情報化 2.4億円

○社会保障カード(仮称)の導入検討

6.防災対策等の強化 33億円

○給水拠点の耐震化促進等

合  計      328億円

(注1)「II主要事項」に掲げる事項のうち、重点施策推進要望事項を再掲。

(注2)計数は、それぞれ四捨五入によっているので、端数において合致しないものがある。


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