第1 心身ともに健康な生活と安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進

 小児科・産科の医療体制や救急医療体制の確保などにより地域医療提供体制を確保するなど、安全・安心で質の高い医療提供体制を充実する。
 また、生活習慣病対策を総合的に推進するとともに、効果的な介護予防対策や科学技術の振興などを図る「健康フロンティア戦略」を推進する。
 さらに、新型インフルエンザ対策として抗インフルエンザウイルス薬の備蓄などを行うとともに、総合的な肝炎対策を推進する。

 安全・安心で質の高い医療提供体制の充実
689億円(637億円)
注:括弧内は18年度予算額

(1)医療資源の効率的活用による地域医療提供体制の確保  337億円
  ○ 都道府県地域医療対策協議会や地域医療支援中央会議(仮称)などによる地域医療確保の取組(新規)  1.4億円
 都道府県による地域医療の確保に向け、国に、公的医療団体等が参画する「地域医療支援中央会議(仮称)」を設置し、都道府県からの要請に応じ、アドバイザーの派遣や緊急時の医師派遣など地域の実情に応じた支援を行う。   また、都道府県が地域医療の確保を図るため、独自に創意工夫を懲らした先駆的なモデル事業を実施するために必要な支援を行う。

  ○ 小児科・産科をはじめ急性期の医療をチームで担う拠点病院づくり(新規)  30億円
 多くの病院で小児科医・産科医が少数で勤務している結果、勤務環境が厳しくなっている状況などを踏まえ、小児科・産科医療体制の集約化・重点化を行うため、他科病床への医療機能の変更等に係る整備などを行う場合に、支援を行う。

  ○ 小児救急医療体制をはじめとする救急医療体制の確保  94億円
 小児救急電話相談事業(#8000)の充実・普及や小児救急医療施設の夜間における診療体制の充実を図るなど小児救急医療体制の更なる整備を図る。  また、救急医療体制の計画的かつ体系的な整備を図るため、救命救急センター、救急医療情報センター、ドクターヘリ導入促進事業等に対する助成を行う。

  ○ へき地などの保健医療対策の充実  47億円
 ヘリコプターを活用した離島の巡回診療や離島の住民が遠方の産科医療機関等を受診する場合の宿泊支援により、へき地・離島の診療支援体制の充実を図る。

  ○ 臨床研修における地域医療や小児科・産婦人科での研修への支援(新規)   18億円
 へき地・離島の診療所における地域保健・医療の研修、小児科・産婦人科や医師不足地域の病院における宿日直研修に対する支援の実施等により、地域の医療提供体制の確保を図る。

(2)安全・安心で質の高い医療の基盤整備  344億円
  ○ 診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業  1.3億円
 診療行為に関連した死亡事例についての調査分析を実施し、再発防止策を検討するモデル事業の充実を図る。

  ○ 医療事故の死因究明制度、裁判外紛争処理制度の検討(新規) 7百万円
 これまでの「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」の実施状況も踏まえ、医療事故の死因究明制度、裁判外紛争処理制度等の構築に向けて具体的検討を行う。
 なお、分娩時の医療事故に遭った患者に対する救済制度に関して、安心して産科医療を受けられる環境整備の一環として、検討を継続中。

  ○ 医師、薬剤師、看護師等の資質向上  104億円
 免許取消以外の行政処分を受けたすべての医師等に再教育を実施するとともに、被処分者に対する助言指導者を養成する。
 患者の視点に立った質の高い医療の提供や薬学教育6年制における実務実習の指導等を行う資質を備えた薬剤師を養成する。
 がん・糖尿病看護における臨床実践能力の高い専門的な看護師の育成、潜在助産師等の産科診療所への就業の促進、多様な勤務形態の事例について普及を図ることにより看護職員の就業の促進等を図る。

(3)医療分野における情報化の推進  8.4億円
  ○ 医療情報システムのための医療知識基盤データベースの研究開発(新規)   1.9億円
 IT化に伴い蓄積される医療情報から、臨床研究や診療に有用な情報を効率的に得るための検索や解析を容易にする日本語版医療知識基盤データベースを研究開発する。

  ○ 医療情報システムの相互運用性確保のための対向試験ツールの開発(新規)  1.4億円
 異なるメーカー間のシステムを相互接続することに資するよう、相手システムと支障なく情報のやりとりができるかどうかの確認を行うための試験ツールを開発し、その試験結果を公表することにより、医療情報システムの普及と標準化を併せて推進する。

 健康フロンティア戦略の更なる推進
1,549億円(1,299億円)

(1)「働き盛りの健康安心プラン」〜メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策の推進〜  156億円
  ○ 広く国民全体を対象とした生活習慣病予防施策(ポピュレーションアプローチ)の総合的な推進  5.9億円
 医療構造改革の本格実施に向け、運動習慣の定着、食生活の改善、禁煙を柱とした「健やか生活習慣国民運動(仮称)」を展開する。
 また、若年期からのメタボリックシンドロームを予防するため、20〜30代をターゲットとし、食事バランスガイドや健康づくりのための運動指針(エクササイズガイド2006)を活用した総合的な取組を推進する。

  ○ 医療保険者による生活習慣病に着目した健診・保健指導(ハイリスクアプローチ)の実施に向けた体制整備  5.1億円
 40歳以上の被保険者・被扶養者を対象として、糖尿病等に着目した健診及び保健指導の実施を医療保険者に義務付けることに伴い、保健師及び管理栄養士に対する保健指導の実践プログラムの研修を進めることなどにより、医療保険者による健診・保健指導の円滑な実施に向けた取組を促進する。

  ○ 栄養・食育施策の推進  6.6億円
 食育推進基本計画に基づき、食生活改善推進員等の活動を支援するほか、若年者の肥満や生活習慣の実態を把握し、栄養と運動の両面から肥満予防対策に取り組む。

  ○ たばこ対策の推進  3.4億円
 「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」を踏まえ、喫煙率が上昇傾向にある20〜30代の女性をターゲットとした禁煙対策を推進するとともに、禁煙成功者を中心とした「禁煙普及員(仮称)」による草の根的な禁煙・受動喫煙に関する普及啓発活動や、飲食店における分煙を推進するなど、たばこ対策を着実に推進する。

  ○ 地域における保健事業推進体制の充実  1.8億円
 生涯を通じた健康づくりを継続的に支援するため、地域保健と職域保健の連携を推進するとともに、都道府県健康増進計画の見直しに向け、引き続き地域・職域連携推進協議会の設置・運営を支援するほか、市町村における保健活動体制や人材育成体制の強化を図る。

(2)「女性のがん緊急対策」  13億円
  ○ 「女性のがんへの挑戦」  13億円
 全国的に整備されたマンモグラフィによる乳がん検診の精度を向上させるため、コンピュータ診断支援システムの導入の支援や遠隔診断のモデル事業を実施するとともに、検診従事者の育成を図る。

(3)「介護予防10カ年戦略」による効果的な介護予防対策の推進 1,088億円
  ○ 家庭や地域で行う介護予防対策  818億円
 日常生活圏域で高齢者の生活の継続性が確保できるように、既存の老人福祉センターの改修などの介護予防サービス提供のための拠点整備を行うととともに、介護予防サービスを提供する地域支援事業を推進する。

  ○ 介護予防サービスの評価・普及  7.7億円
 効果的な介護予防サービスを普及するため、事業の実施状況や効果の評価分析を行うとともに、地域包括支援センターの職員の研修を行う。また、市町村の介護予防事業が効果的に実施されるよう、都道府県による広域的な観点からの支援を行う。

  ○ 地域で支える「認知症ケア」  23億円
 認知症の方々を地域で支えるため、認知症ケアの人材育成や正しい理解の普及を推進するとともに、地域包括支援センターを中心として、認知症関連の地域資源のネットワーク化を促進する。

(4)「健康寿命を伸ばす科学技術の振興」  292億円
  ○ 先端医療の実現  157億円
 がん、生活習慣病、感染症などの各種疾病対策を推進する基礎とするため、基礎から臨床への橋渡し研究や臨床研究を推進するとともに、国民に医薬品・医療機器を迅速に届けるため、臨床研究基盤の整備及び治験環境の充実を図るための研究を行う。

  ○ 保健医療福祉を支える技術の開発・普及  134億円
 疾病や障害の予防、診断、治療法の開発や老化抑制機構の解明、介護予防、介護技術に関する研究などを推進する。

 感染症・疾病対策の推進
2,099億円(1,897億円)

(1)新型インフルエンザ対策など感染症対策の充実  199億円
  ○ 新型インフルエンザ対策の推進  181億円
 新型インフルエンザの大流行に備え、抗インフルエンザウイルス薬の確保を図るなど、「新型インフルエンザ対策行動計画」を着実に推進する。

  ○ 新興・再興感染症対策に関する研究の推進(再掲)  29億円
 新型インフルエンザをはじめとする新興感染症や結核などの再興感染症、感染症の原因となる病原体の管理方法など、感染症対策に関する研究を推進する。

(2)肝炎対策の推進  81億円
  ○ 総合的な推進体制の強化  1億円
 検査・治療・普及啓発に係る総合的な肝炎対策が推進されるよう、国において「全国肝炎対策懇談会(仮称)」を設置するとともに、都道府県等において「肝炎対策協議会(仮称)」を設置し、肝炎対策計画の策定等を行う。

  ○ 肝炎ウイルス検査の実施、検査体制の強化  52億円
 市町村や医療保険者において引き続き肝炎ウイルス検査等を実施するとともに、検査未受診者の解消を図るため、保健所等における利便性に配慮した検査体制を整備する。

  ○ 治療水準の向上  24億円
 都道府県において、中核医療施設として「肝疾患診療連携拠点病院(仮称)」を整備し、「肝疾患診療連携拠点病院等連絡協議会(仮称)」を設置するとともに、身近な医療圏において症状に応じた適切な治療が確保されるよう、かかりつけ医と専門医療機関との連携を図り、かかりつけ医等への肝炎研修を実施する。また、肝疾患の新たな治療方法等の研究開発の推進を図る。

  ○ 感染防止の徹底  30百万円
 医療従事者等に対し、感染防止ガイドラインの普及啓発や院内感染対策のための研修会等を実施する。

  ○ 普及啓発・相談指導の充実  4.1億円
 Q&Aやリーフレットの作成、講習会やシンポジウムの開催により、普及啓発を図るとともに、保健所等において肝炎に関する相談を実施するほか、電話・FAXによる相談窓口事業等を実施する。

(3)エイズ対策の推進  90億円
 エイズ予防指針の抜本的見直しを踏まえ、青少年や同性愛者に対する普及啓発や、大都市における休日・夜間の検査・相談体制を充実するとともに、HIV感染者、エイズ患者の一部病院への集中の解消を図るため、医療提供体制の再構築などの施策を推進する。

(4)移植対策の推進  29億円
  ○ 臓器移植対策の推進  5.9億円
 移植医療についての国民の理解を深めるとともに、院内コーディネーターへの研修事業等を実施するほか、肝移植施設や組織バンクの整備を推進する。

  ○ 骨髄移植等の造血幹細胞移植対策の推進  19億円
 骨髄移植コーディネーターの増員などにより骨髄バンク事業を推進する。また、さい帯血採取協力病院への研修事業を行い、より移植に適したさい帯血の確保を図る。

(5)難病対策の推進  1,223億円
 難治性疾患に関する調査・研究の推進により治療法等の確立と普及を図るとともに、難病相談・支援センター事業の充実により地域における難病患者の生活支援を推進する。

(6)ハンセン病対策の推進  459億円
 ハンセン病療養所入所者の療養を確保するとともに、退所者等の社会生活を支援する。また、ハンセン病資料館の運営など、ハンセン病に関する正しい知識の普及啓発の充実を図る。

(7)リウマチ・アレルギー対策の推進  14億円
 リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなど免疫アレルギー疾患の治療法等の研究を推進するとともに、アレルギー相談センターを設置するなど相談体制等の確保を図るほか、引き続き、喘息死ゼロ作戦を推進する。

(8)シックハウス対策の推進  2.9億円
 シックハウス症候群の原因分析、診断・治療法の研究を進めるとともに、その成果を活用した相談体制の整備を図るなど、関係省庁と連携した総合的な対策を推進する。

 安定的で持続可能な医療保険制度運営の確保
8兆4,159億円(8兆1,502億円)

  ○ 政府管掌健康保険、国民健康保険、老人保健制度等に係る医療費国庫負担  8兆4,159億円


第2 がん対策の総合的かつ計画的な推進

 我が国のがん対策はこれまでの取組により進展し、成果を収めてきたものの、なお、がんが国民の疾病による死亡の最大の原因となっている。
 このような現状及び本年6月に制定されたがん対策基本法を踏まえ、がん予防・早期発見の推進、がん医療水準均てん化の促進と情報収集提供体制の整備、がんの在宅療養・緩和ケアの充実などがん対策を総合的かつ計画的に推進し、がん対策の一層の充実を図る。<予算要求総額303億円(161億円)>

 がん予防・早期発見の推進
51億円(45億円)

(1)効果的で質の高いがん検診の普及(一部再掲)  17億円
 精度の高いがん検診を実施するため、がん検診の事業評価を適切に実施するためのソフトウェア開発を行うとともに、早期発見・早期治療効果を検証するためのモデル事業を実施する。また、全国的に整備されたマンモグラフィによる乳がん検診の精度の向上を図るため、遠隔診断のモデル事業等を実施するとともに検診従事者の育成を図る。

(2)がん予防の推進と普及啓発  34億円
 がん予防を推進するため、がんの予防等に関するパンフレットやDVDを作成するなど普及啓発を実施するとともに、肝がんの予防に重要なウイルス性肝炎に関する研究を重点的に推進する。

 がん医療水準均てん化の促進と情報収集提供体制の整備
147億円(31億円)

(1)がん専門医等がん医療専門スタッフの育成  4億円
 がん医療(化学療法、放射線療法、緩和ケア等)に係る専門的な知識及び技能を有する医師、薬剤師、看護師、放射線技師等を育成するため、これらの医療従事者に対する研修の機会を提供する。

(2)がん診療連携拠点病院の機能強化と診療連携の推進  95億円
 がん医療水準の向上と地域格差の是正を図るため、2次医療圏に1か所程度のがん診療連携拠点病院を整備し、緩和ケアの提供、患者や家族への相談支援等の機能を強化するとともに、地域の医療機関との連携を推進する。
 また、病理医の配置が十分でないがん診療連携拠点病院に対し、遠隔画像診断が可能な体制を整備するとともに、高性能な放射線診断・治療機器の整備が困難ながん診療連携拠点病院に対し、先進的な機器の整備の緊急支援を行う。

(3)国立がんセンター東病院通院治療部(仮称)の設置(新規) 65百万円
 平均在院日数の短縮、患者の身体的・経済的負担の軽減、がん医療水準の向上を図るため、抗がん剤投与の治療を外来で実施できるよう、国立がんセンター東病院に「通院治療部(仮称)」を設置する。

(4)地域の特性を踏まえた対策の推進(新規)  29億円
 がん対策基本法の施行に伴い、都道府県が新たに実施する地域特性を踏まえた事業や先駆的な事業等(例:がん医療を提供している医療機関に対する、がん医療水準向上のための指導チームの派遣、実地指導等)に対する支援を行う。

(5)がん医療に関する情報の収集提供体制の整備  18億円
 国立がんセンターに設置する「がん対策情報センター(仮称)」において、がん診療連携拠点病院との連携を図りつつ、がん医療に関する最新の情報を収集し、利用者の立場で整理した情報を提供するとともに、がん対策の企画立案に必要な基礎データを収集・蓄積・分析・発信する体制を整備する。
 また、がん患者のがんの罹患、転帰その他の状況を把握し、分析するため、国立がんセンター及びがん診療連携拠点病院において、精度の高い院内がん登録を実施する。

 がんの在宅療養・緩和ケアの充実
9億円(2億円)

(1)在宅緩和ケア対策の推進  4.4億円
 在宅療養患者とその家族の生活の質(QOL)の向上を目指し、在宅における緩和ケアを希望する患者等に対する総合的な相談・支援を行う在宅緩和ケア支援センターを新たに設置するとともに、医療従事者の研修や在宅ホスピスケア推進のためのアドバイザー派遣や普及啓発を実施する。

(2)緩和ケアの質の向上及び医療用麻薬の適正使用の推進(新規) 4.6億円
 患者本人の意向を十分尊重した上で、がんの治療方法等の選択を可能とするとともに、がん患者の状況に応じて疼痛などの緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにするため、医師向けのマニュアルの作成や研修を実施するほか、一般国民を対象にがんに関する緩和ケアについての正しい知識の普及を行う。
 また、医療用麻薬の適正な使用を一層推進するための講習会の開催及びマニュアルの作成を行う。

 がんに関する研究の推進及び医療技術の開発振興
96億円(83億円)

 がんの克服を目指し、がんに関する専門的、学際的又は総合的な研究を推進するとともに、がんの予防、診断、治療等に係る技術の向上などの研究の成果を普及、活用する。


第3 公正かつ多様な働き方の実現と働く人たちの安全の確保

 少子高齢化が進展し労働力人口が減少する中で、我が国の経済社会の活力を維持するため、就業形態の多様化、個別労働関係紛争の増加に対応し、安心・納得した上で多様な働き方を実現できる労働環境を整備するための労働契約法制の検討を進めるとともに、過重労働による労働者の健康障害防止やメンタルヘルス対策の推進、非正規労働者の均衡ある処遇、正社員化や能力開発の推進、男女雇用機会均等の推進など、公正かつ多様な働き方の実現と働く人たちの安心・安全の確保を図る。

 公正かつ多様な働き方を実現できる労働環境の整備
36億円(11億円)

(1)安心・納得して就業ニーズ等に応じた多様な働き方の設定を可能とする労働契約法制の整備(新規)  27百万円
 働き方の多様化・個別化の進行に対応して、どのような働き方を希望しても安心・納得して働くことができるよう、労働契約のルールの整備に向けて法的検討を進める。

(2)パートタイム労働者の均衡ある処遇や能力開発の推進  8.7億円
  ○ 均衡ある処遇や能力開発の推進のための事業主への支援の充実  8.1億円
 中小企業事業主団体を通じ、事業主がパートタイム労働者の均衡ある処遇や能力開発を推進するための支援を充実するとともに、関係審議会の検討結果を踏まえ、パートタイム労働者と正社員との均衡確保対策を強化する。

  ○ 短時間正社員制度の導入促進  58百万円
 業種別団体におけるモデル事業の実施により、適正な評価と公正な処遇の図られた短時間・短日勤務の正社員制度の普及を図る。

(3)非正規労働者の正社員化の機会拡大(新規)  12億円
  ○ ハローワークにおける正社員就職増大対策の推進  12億円
 正社員雇用のメリット等の周知により正社員求人の提出を促すとともに、求職者に対する企業説明会、面接会の実施等によるマッチング機能の強化、就職後の職場定着を支援する。

  ○ 正社員転換のための非正規労働者に対する企業内職業能力開発の促進(新規)  7百万円
 非正規労働者から正規労働者への転換のための教育訓練を行う等企業内で非正規労働者の職業能力の開発・向上を図る事業主に対する助成措置を拡充する。

  ○ 派遣労働者等に係る能力開発・キャリア形成の仕組みの整備(新規)  35百万円
 能力開発機会において正社員との格差が見られる派遣労働者・請負労働者について、主要な業務分野ごとに能力開発、能力評価のための望ましいモデルやキャリア形成支援計画を策定し、その普及啓発を図る。

(4)職場における男女雇用機会均等の推進  2.3億円
 改正男女雇用機会均等法の円滑な施行のため、間接差別の禁止などの改正内容についての周知徹底や適切な行政指導を実施する。

(5)製造業の請負事業の適正化及び雇用管理の改善の推進(新規)  24百万円
 製造業の請負事業の適正化及び雇用管理の改善を図るためのガイドライン及びチェックシートを請負事業主、発注者に対し周知するとともに、請負事業適正化・雇用管理改善のための行動計画の策定を支援するためのモデル事業を実施する。

 安全・安心な職場づくり
200億円(196億円)

(1)職場におけるメンタルヘルス・過重労働対策の拡充  32億円
  ○ 事業場におけるメンタルヘルス対策への支援  3.1億円
 心の健康問題により休業等をした労働者が円滑に職場復帰又は雇用継続できるよう医師等専門家を派遣するなど、事業場に対する支援を充実する。

  ○ メンタルヘルス相談実施体制の整備  2.6億円
 地域産業保健センターにおいて行う労働者及びその家族を対象としたセミナーや相談会を拡充する。また、産業医に対するメンタルヘルスに関する対応方法についての研修を充実する。

  ○ 過重労働による健康障害防止対策の充実  27億円
 過重労働解消キャンペーン月間の設定、事業主が留意すべき事項をまとめた手引きの普及・啓発等により、過重労働に関する相談への対応を充実する。

(2)危険性・有害性等の調査の普及促進等  6.8億円
 改正労働安全衛生法において努力義務とされた危険性・有害性等の調査(リスクアセスメント)の普及を促進するため、製造業の中小規模事業場、第三次産業、プレス機械等危険な機械の製造事業場を重点に、具体的な実施方法を示したマニュアルの作成、人材養成等の支援を行う。

(3)アスベスト対策の着実な実施  106億円
  ○ 健康管理手帳の交付要件の見直し
 健康管理手帳の交付要件の見直しを含め、石綿作業離職者の健康管理の充実を図る。

(4)労災かくし対策の推進  1.4億円
 労災保険給付請求の勧奨を強化するとともに建設業関係者による協議会を開催する等、労災かくしの排除に向けた啓発指導の強化を図る。

(5)総合的な個別労働紛争対策の推進  14億円
 増加する個別労働紛争の実情に即した迅速かつ適正な解決を図るための紛争解決制度を着実に推進する。

 労働保険制度の見直し

 行政改革推進法を踏まえ、また、安定した制度運営を確保し、直面する諸課題に対応するため、雇用保険制度の在り方についての労働政策審議会の検討結果に基づき雇用保険制度について所要の見直しを行う。また、労災保険制度についても労働福祉事業の在り方について所要の見直しを行う。


第4 経済社会の活力の向上と地域の活性化に向けた雇用・能力開発対策の推進

 雇用情勢が改善する中で、雇用の改善の動きが弱い地域において雇用創出等に向けた地域による取組に対する支援を重点的に実施するとともに、企業の人材確保を支援するためにハローワークにおける求人充足サービスを拡充・強化する。
 また、人口減少社会が到来する中、経済社会の活力の向上に向けた人財立国の実現を目指し、現場の戦力となる若者の育成をはじめ職業生活を通じた能力開発を推進するとともに、「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」を契機として、ものづくりに対する若者の就業意欲の喚起及び重要性に対する国民の理解の増進を図る。

 経済社会の活力の向上に向けた人財立国の実現
411億円(540億円)

(1)職業生活を通じた能力開発の推進  44億円
  ○ キャリア・コンサルタントの資質向上等のキャリア形成支援の推進
 37億円
 キャリア・コンサルタントに対する実務研修や実践的助言・指導等の機会の拡大を図るとともに、能力評価試験の統一的実施や資格更新制度の在り方等について検討を行う。

  ○ 広範な職種を対象とした職業能力評価制度の整備  7.1億円
 職業能力を評価する統一的な基準となる職業能力評価基準の職種の拡大等を図る。また、非正規労働者を含め、多様な労働者にも対応できるようeラーニングの導入等により職業能力習得支援制度を普及促進する。さらに、企業・業界団体のニーズを踏まえ技能検定職種の見直しを図る。

(2)ものづくり立国の推進  23億円
  ○ 産学協力による「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」を契機とした技能の振興(新規)  10億円
 若者と障害者による2つの国際技能競技大会が我が国において史上初めて同時開催される「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」の成功と、本大会を契機として、ものづくりについての若者の就業意欲の喚起及び重要性に対する国民の理解の増進を図る。

  ○ ものづくりの魅力に対する理解の促進  9.1億円
 工場、職業能力開発施設等の開放を促進し、ものづくり体験の場を提供するとともに、高度熟練技能者を工業高校等へ派遣することにより、ものづくりに親しむ社会の形成を図る。

  ○ 中小企業等の技能の円滑な継承に対する支援の実施  4.4億円
 技能継承のための計画的な教育訓練に取り組む中小企業に対する助成や、技能継承に関する情報提供、相談援助等の強化を図る。

(3)現場の戦力となる若者の育成  71億円
  ○ 「実践型人材養成システム」の普及促進(新規)  3.8億円
 中小企業及び新規高卒者等に対し「実践型人材養成システム」(実習併用職業訓練)を普及・定着させるため、地域の事業主団体による先導的なモデル事業を実施し、その成果を全国に普及させるとともに、同システムに取り組む認定職業訓練施設や事業主等に対する支援措置を創設する。

  ○ 産学官の連携による「実務・教育連結型人材育成システム」の普及促進  67億円
 若者の実践的で効果的な職業能力開発を支援するため、企業実習と座学を連結させた教育訓練の受講を促進するための体験講習や、実習先企業の開拓等企業や民間教育訓練機関の導入を促進することにより、実務・教育連結型人材育成システムの社会的定着を図る。

 地域の活性化に向けた雇用創出・人材確保の推進
282億円(316億円)

(1)雇用の改善の動きが弱い地域における雇用創出等の推進(新規)  17億円
 地域雇用開発促進法を改正し、雇用情勢が特に厳しい地域と雇用創造に向けた市町村等の意欲が高い地域に支援を重点化するとともに、雇用情勢が特に厳しい7道県については、より手厚い支援を行う。

(2)ハローワークにおける求人充足サービスの拡充・強化  13億円
 求人企業が必要な人材を確保できるようにするため未充足求人に対するフォローアップを着実に実施するほか、求職者に魅力のある求人条件の提案等のコンサルティングや労働市場情報(求人・求職バランスシート、賃金情報等)の提供サービスの充実を図る。

 外国人労働者問題等への適切な対応
6.1億円(5.5億円)

  ○ 外国人雇用状況報告制度の見直し  1.6億円
 規制改革・民間開放推進3か年計画を踏まえ、外国人雇用状況報告制度の内容拡充・義務化のためのシステムの創設、法的整備等の取組を行う。

  ○ 研修・技能実習制度の適正化  4.5億円
 労働関係法令違反等の不適切な事案を防止するなどの制度の厳格な運用を行う観点から、研修生・技能実習生の受入れ機関等に対する巡回指導を強化する。


第5 新たなチャレンジを目指す若者等への支援

 働く人一人一人が職業生活の各段階で再チャレンジができ、その能力や持ち味を十分発揮することが可能となる社会を実現するため、年長フリーター等に対する常用就職支援など、若者の人間力の強化と働く意欲の向上をはじめ、女性の意欲・能力を活かした再就職・起業の実現や障害者の職業的自立、リストラによる退職者の再就職など、様々な事情に応じた再チャレンジにきめ細かな支援を行う。

 若者の人間力の強化と働く意欲の向上
384億円(410億円)

(1)フリーター25万人常用雇用化プランの強化  209億円
  ○ 年長フリーターに対する常用就職支援  26億円
 年長フリーターに対する「再チャレンジ機会拡大プラン」の実施(新規)
 「ジョブクラブ(就職クラブ)」方式でセミナー、経験交流、グループワーク等を実施することによる常用就職の支援や、フリーターとしての経験能力を適切に評価する手法の開発・普及、産業界と連携した就職支援等により、年長フリーターの常用就職を支援する。

 「年長フリーター自立能力開発システム」の整備(新規)
 年長フリーターの職業能力を判断するために企業実習を先行させる職業訓練システムの創設や、業界の求める採用条件に適応するための職業訓練コースを開発・実施する「年長フリーター自立能力開発システム」を整備する。

  ○ 就職意識の度合いに対応した効果的な常用就職支援  46億円
 ヤングワークプラザにおけるフリーター就職支援機能の強化
 希望職種が明確になっていないフリーターを対象に、「常用就職実現プラン」を策定し、同プランに基づき、個別の求人開拓や職業相談等計画的できめ細かな就職支援を実施する。

 フリーター常用就職支援事業の推進
 全国のハローワークにおいて、「フリーター常用就職サポーター(仮称)」等の担当制による一貫した就職支援を実施する。

 ジョブカフェにおけるきめ細かな就職支援の実施
 若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)において、職場定着を促進するための支援を行うとともに、各地域のジョブカフェが相互に連携を図りつつ就職支援を行うなど、若者の状況に応じたきめ細かな支援を実施する。

 フリーター等若者に対する農業就業支援
 フリーター等若者に対し職業指導を通じて、農業で働くことについての意識の明確化を図るとともに、農業への就業を希望する者に対しては、情報提供や農業研修のあっせん等により農業への就業を支援する。

  ○ 実践的な能力開発の実施  137億円
 産学官の連携による「実務・教育連結型人材育成システム」の普及促進(再掲)
 若者の実践的で効果的な職業能力開発を支援するため、企業実習と座学を連結させた教育訓練の受講を促進するための体験講習や、実習先企業の開拓等企業や民間教育訓練機関の導入を促進することにより、実務・教育連結型人材育成システムの社会的定着を図る。

 若年者試行雇用事業の推進
 フリーターや学卒未就職者等について、早期の常用雇用の実現を図るため、若年者試行雇用事業を推進する。

(2)フリーター・ニートをはじめとする若者の自立支援  34億円
  ○ 地域若者サポートステーションの拡充強化  9.7億円
 ニート等の若者に対する地域の支援拠点としての地域若者サポートステーションについて、メンタル面でのサポートが必要な若者に対してきめ細かい相談を行えるよう、専門支援体制の強化を図るとともに、箇所数を拡充する。
25か所 → 50か所

  ○ 「若者自立塾」事業の拡充  17億円
 合宿形式による集団生活の中で、生活訓練、労働体験等を通じて、若者に働く自信と意欲を付与する「若者自立塾」事業の拡充を図る。
25か所 → 40か所

  ○ 若者の自立支援に功績のある団体等に対する厚生労働大臣表彰等の支援(新規)  30百万円
 若者が自立・チャレンジする機運を社会全体として高めるため、職業的自立の実現に顕著な功績が認められる企業、個人、団体に対し、厚生労働大臣表彰を行うとともに、表彰者等が意見交換を行うフォーラムを開催する。

(3)学生から職業人への円滑な移行の支援  60億円
  ○ 高校生向け就職ガイダンスの拡充  5億円
 職業への理解促進、就職活動の仕方などに関する講習を行う「就職ガイダンス」について、常用就職者とフリーターとの賃金や生活面での格差の実態等フリーター化の防止に資する内容を盛り込むなどの内容の再編を図るとともに、就職希望者が多い学校の希望者全員にガイダンスが実施できるよう対象者を拡充する。

  ○  若者向けキャリア・コンサルティングの普及促進  60百万円
 若者の職業キャリアの円滑な形成を促進するため、若者向けキャリア・コンサルタントに必要な能力要件についてニート等の自立も含めた課題にも対応できるよう見直しを行うとともに、若者支援施設の指導責任者に対するキャリア・コンサルタント研修等を実施する。

(4)現場の戦力となる若者の育成(再掲)  71億円
  ○ 「実践型人材養成システム」の普及促進(新規)  3.8億円
 中小企業及び新規高卒者等に対し「実践型人材養成システム」(実習併用職業訓練)を普及・定着させるため、地域の事業主団体による先導的なモデル事業を実施し、その成果を全国に普及させるとともに、同システムに取り組む認定職業訓練施設や事業主等に対する支援措置を創設する。

  ○ 産学官の連携による「実務・教育連結型人材育成システム」の普及促進  67億円
 若者の実践的で効果的な職業能力開発を支援するため、企業実習と座学を連結させた教育訓練の受講を促進するための体験講習や、実習先企業の開拓等企業や民間教育訓練機関の導入を促進することにより、実務・教育連結型人材育成システムの社会的定着を図る。

(5)複線型の応募機会の拡大に向けた取組の推進  11億円
 複線型採用の導入や採用年齢の引き上げについての好事例の提供、経営トップへの働きかけ、法的整備等の取組を行うとともに、学生職業センター等における求人企業への働きかけや産業界との連携により、若者の応募機会の拡大に向けた取組を推進する。

 女性の意欲・能力を活かした再就職・起業の実現
29億円(19億円)

(1)マザーズハローワークの機能強化とマザーズハローワークサービスの全国展開  22億円
 マザーズハローワークにおいて、子育ての状況や職業上のブランクの長短等個々の事情に応じたきめ細かな職業相談・求人確保等を行うとともに、未設置県の主要なハローワークにおいても「マザーズサロン(仮称)」を設置して同様のサービスを展開し、子育てする女性等に対する就職支援の充実を図る。

(2)再チャレンジ女性の企業における活躍の場の拡大  5.1億円
 出産・育児で離職した女性が再就職に向けた計画的な取組を行えるよう相談・助言を充実するとともに、再チャレンジのモデルとなるような企業のノウハウの収集・提供やインターンシップの導入等を行い、企業による再チャレンジ女性の積極的活用を促進する。

(3)女性の起業に対する支援の拡充  2.6億円
 起業について総合的情報提供を行う専用サイトの運用を開始し、メンター(先輩の助言者)紹介サービスを拡充するとともに、子育てする女性が起業する場合、その要した費用の一部を助成する制度を活用した起業支援を推進する。

 障害者の職業的自立に向けた就労支援の総合的推進
148億円(138億円)

(1)雇用・福祉・教育の連携による就労支援の強化  27億円
  ○ 関係機関のチーム支援による福祉的就労から一般雇用への移行の促進(新規)  1億円
 ハローワークを中心に福祉等の関係者からなる「障害者就労支援チーム」による、就職の準備段階から職場定着までの一貫した支援を全国展開する。また、障害者の就労サービスに係るワンストップ相談窓口を全国47のハローワークに開設する。

  ○ 障害者就業・生活支援センター事業の拡充  15億円
 障害者に対する就業及び日常生活に係る相談、助言等を実施する「障害者就業・生活支援センター」の設置箇所数を拡充する。
110か所 → 160か所

  ○ 養護学校等の生徒とその親の一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進
 92百万円
 養護学校等と連携し、生徒及びその親を対象に、一般雇用や雇用支援策への理解の促進を図るセミナー、事業所見学会、職場実習のための面接会を実施し、養護学校等の生徒の就職促進を図る。

(2)障害の特性に応じた支援策の充実・強化  3.6億円
  ○ 若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムの実施(新規)
 2.1億円
 ハローワークにおいて、発達障害等の要因によりコミュニケーション能力に困難を抱えている求職者について、その希望や特性に応じた専門支援機関に誘導するとともに、障害者向け専門支援を希望しない者については、きめ細かな就職支援を実施する。

  ○ 発達障害者の就労支援者育成事業の拡充  17百万円
 発達障害者支援センターにおいて、医療・保健福祉・教育等関係機関の発達障害者支援関係者に対する就労支援ノウハウの付与のための講習等を拡充して実施するとともに、新たに、発達障害者と支援者による体験交流会を開催する。

  ○ 医療機関等との連携による精神障害者の就労支援の実施(新規)  68百万円
 ハローワークが医療機関等と連携して就職活動のノウハウ等を付与するジョブガイダンスを実施するとともに、医療から雇用への移行を促す就労支援モデルを新たに構築することにより精神障害者の就労を支援する。

(3)中小企業による雇用促進の取組への支援  97百万円
  ○ 中小企業団体による障害者雇用の啓発・推進のためのモデル事業の実施  97百万円
 中小企業団体に委託して、障害者雇用に関する啓発セミナー、雇用管理改善等のためのワークショップの開催、雇用好事例集の作成、相談窓口の設置等を行う。

(4)障害者に対する職業能力開発の推進  60億円
  ○ 一般校を含めた公共職業能力開発施設における障害者職業訓練の推進  44億円
 障害者能力開発校における職業訓練に加え、一般の職業能力開発校において、知的障害者等を対象とした専門訓練を行うとともに発達障害者に対する職業訓練をモデル的に実施する。

  ○ 地域の障害者支援機関を活用した実践的職業訓練の推進  16億円
 障害者の態様に応じた委託訓練を拡充するとともに、障害者の就労を支援する地域の社会福祉法人等が委託先企業を開拓するモデル事業を実施する。

  ○ 障害者職業能力開発プロモート事業の拡充  92百万円
 政令指定都市において、公共職業能力開発施設と福祉施設、養護学校等の関係機関との連携体制を確立することにより、教育・福祉から職業訓練への移行を円滑にする仕組みを形成する事業を拡充する。
3か所 → 10か所

 困難な状況を克服し、再就職を目指す人たちへの支援の実施
109億円(91億円)

(1)リストラ等による退職者の就職支援  34億円
  ○ 再チャレンジプランナーの配置による計画的な求職活動支援  33億円
 ハローワークに「再チャレンジプランナー」を配置し、自ら再就職の実現に向けた計画の策定が可能な者に対しては、計画策定の助言等を行い、それが困難な者に対しては、キャリアの自己点検、能力再開発、求職活動のノウハウの付与等の総合的な支援計画を策定するとともに、必要な支援への誘導等を行うことにより、計画的な求職活動を支援する。

  ○ 民間事業者を活用した中高年不安定就労者の再チャレンジ支援  1億円
 リストラによるショック等から精神的な悩みや不安を抱えたまま不安定就労を繰り返す中高年齢者等に対し、メンタル面や生活面の支援、就職後の職場適応・定着指導等の支援を、民間事業者に委託して実施する。

(2)早期再就職の緊要度の高い求職者に対する専任の支援員による一貫した就職支援  37億円
 早期再就職の緊要度が高い求職者に対し、専任の支援員による一貫した就職支援を行うなど求職者の個々の状況に応じたきめ細かな就職支援を行う。

(3)病気等のブランクを克服できる人事制度の柔軟化(新規) 14百万円
 病気等で長期のブランクがあっても、元の職場で再び活躍、評価され、又は、他の職場に再チャレンジできるよう、調査等を実施し、その結果を踏まえ企業への働きかけを行う。

(4)生活保護受給者及び児童扶養手当受給者に対する就労支援の推進  24億円
 生活保護受給者及び児童扶養手当受給者の自立支援プログラムの一環として、ハローワークと福祉事務所とが連携して就労支援を推進する。

(5)刑務所出所者等に対する就労支援の推進  1.7億円
 法務省との連携の下、刑務所出所者等に対し、職業相談、職業紹介、求人開拓等を行うとともに、更生保護法人に委託して試行雇用奨励金の支給や職場体験講習を実施する等の就労支援を推進する。

(6)「70歳まで働ける企業」の普及促進(新規)  9.4億円
 「70歳まで働ける企業」の普及促進を図るため先進事例の収集・情報提供や人事処遇制度の見直しに対するアドバイス等を実施するとともに、事業主団体等による70歳までの高年齢者の一層の雇用に向けた取組等を支援する。


第6 人口減少社会の到来を踏まえた少子化対策の総合的な推進

 昨年、我が国では総人口が減少に転ずる人口減少社会が到来し、出生数と合計特殊出生率いずれも過去最低を記録した。急速な人口減少は、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤にかかわる問題であるため、出生率の低下傾向の反転に向け、「子ども・子育て応援プラン」や「新しい少子化対策について」(平成18年6月少子化社会対策会議決定)を踏まえ、少子化対策を総合的に推進する。

 少子化の流れを変えるための働き方の見直し
150億円(90億円)

(1)子育てとの両立など仕事と生活の調和  120億円
  ○ 長時間労働の抑制等仕事と生活の調和を図るための労働時間法制の見直し(新規)  11億円
 長時間労働を是正するための取組を実施した中小企業事業主に対する助成措置を創設する。また、長時間労働を抑制するとともに、健康を確保しつつ能力を十分に発揮できるような働き方を選択できるようにするため、労働時間法制を見直す。

  ○ 労働時間等の設定の改善に向けた事業主による取組の促進  22億円
 労働時間が長い20歳代後半から30歳代の労働者の労働時間等の設定の改善に積極的に取り組む中小企業団体等に対する支援を充実する。

  ○ 育児休業、子育て期の短時間勤務等の両立支援制度を利用しやすい職場風土づくりの推進  79億円
 両立支援制度を利用しやすい職場風土への改善に計画的に取り組む中小企業事業主に対する助成制度や、育児休業取得者に対して企業独自の給付を行った事業主に対する助成制度を創設する。また、代替要員を確保して育児休業を取得させる等の取組を行う事業主への助成措置の拡充を図る。

  ○ パートタイム労働者の均衡ある処遇や能力開発の推進(再掲)  8.7億円
均衡ある処遇や能力開発の推進のための事業主への支援の充実
 中小企業事業主団体を通じ、事業主がパートタイム労働者の均衡ある処遇や能力開発を推進するための支援を充実するとともに、関係審議会の検討結果を踏まえ、パートタイム労働者と正社員との均衡確保対策を強化する。
短時間正社員制度の導入促進
 業種別団体におけるモデル事業の実施により、適正な評価と公正な処遇の図られた短時間・短日勤務の正社員制度の普及を図る。

(2)女性の意欲・能力を活かした再就職・起業の実現(再掲)  29億円
  ○ マザーズハローワークの機能強化とマザーズハローワークサービスの全国展開  22億円
 マザーズハローワークにおいて、子育ての状況や職業上のブランクの長短等個々の事情に応じたきめ細かな職業相談・求人確保等を行うとともに、未設置県の主要なハローワークにおいても「マザーズサロン(仮称)」を設置して同様のサービスを展開し、子育てする女性等に対する就職支援の充実を図る。

  ○ 再チャレンジ女性の企業における活躍の場の拡大  5.1億円
 出産・育児で離職した女性が再就職に向けた計画的な取組を行えるよう相談・助言を充実するとともに、再チャレンジのモデルとなるような企業のノウハウの収集・提供やインターンシップの導入等を行い、企業による再チャレンジ女性の積極的活用を促進する。

  ○ 女性の起業に対する支援の拡充  2.6億円
 起業について総合的情報提供を行う専用サイトの運用を開始し、メンター(先輩の助言者)紹介サービスを拡充するとともに、子育てする女性が起業する場合、その要した費用の一部を助成する制度を活用した起業支援を推進する。

 若者の人間力の強化と働く意欲の向上(再掲)
384億円(410億円)

(1)フリーター25万人常用雇用化プランの強化  209億円
  ○ 年長フリーターに対する常用就職支援  26億円
  ○ 就職意識の度合いに対応した効果的な常用就職支援  46億円
  ○ 実践的な能力開発の実施  137億円

(2)フリーター・ニートをはじめとする若者の自立支援  34億円
  ○ 地域若者サポートステーションの拡充強化  9.7億円
  ○ 「若者自立塾」事業の拡充  17億円
  ○ 若者の自立支援に功績のある団体等に対する厚生労働大臣表彰等の支援(新規)  30百万円

(3)学生から職業人への円滑な移行の支援  60億円
  ○ 高校生向け就職ガイダンスの拡充  5億円
  ○  若者向けキャリア・コンサルティングの普及促進  60百万円

(4)現場の戦力となる若者の育成  71億円

(5)複線型の応募機会の拡大に向けた取組の推進  11億円

 地域の子育て支援の推進
4,184億円(3,812億円)

(1)すべての家庭を対象とした地域子育て支援対策の充実  782億円
  ○ 地域の特性や創意工夫を活かした子育て支援事業の充実
 (次世代育成支援対策交付金(ソフト交付金))  440億円
 様々な子育て支援事業について、「子ども・子育て応援プラン」で掲げた目標の達成に向けた着実な推進を図る。
 特に「新しい少子化対策について」を踏まえ、生後4か月までの全戸訪問の実施や病児・病後児保育の拡充を図るとともに、つどいの広場の早急な整備について重点的に取り組む。
  (対象となる主な事業)
  ・つどいの広場事業
  ・生後4か月までの全戸訪問(こんにちは赤ちゃん事業)
  ・病児・病後児保育事業
  ・子育て短期支援事業
  ・ファミリー・サポート・センター事業
  ・延長保育促進事業
  ・育児支援家庭訪問事業

  ○ 地域子育て支援センターの整備  64億円
 子育てサークルの支援や育児相談を行う地域子育て支援センターの整備を推進する。

 ※ なお、つどいの広場及び地域子育て支援センターについては、両者を合わせて平成21年度までに6,000か所を整備するという現行のプランの目標を改め、10,000か所を早急に整備することを目指すこととし、平成19年度において現行の目標である6,000か所の整備を目指す。

  ○ 次世代育成支援対策に資する施設整備の充実
 (次世代育成支援対策施設整備交付金(ハード交付金))  200億円
 地域の実情に応じた保育所、児童養護施設等の整備が図られるよう、次世代育成支援対策施設整備交付金(ハード交付金)の充実を図る。

(2)待機児童ゼロ作戦の推進など保育サービスの充実  3,853億円
  ○ 待機児童解消に向けた保育所の受入れ児童数の拡大  3,330億円
 民間保育所整備の充実
 各市町村における整備計画に基づく民間保育所等の整備の充実を図る。
 (次世代育成支援対策施設整備交付金  (200億円)の内数)

 民間保育所運営費
 待機児童解消を目指し、民間保育所における受入児童数の増を図る。
18年度 19年度
110.7万人  →  115.2万人 (4.5万人増)

  ○ 多様な保育サービスの提供  523億円
 延長保育の充実
 通勤の遠距離化など保護者のニーズに応じて開所時間を超えて実施する民間保育所の延長保育を推進する。
 (次世代育成支援対策交付金(440億円)の内数)

 病児・病後児保育の拡充
 病児・病後児の保育のニーズの高まりに対応するため、個々の保育所における取組を推進し、病児・病後児保育の拡充を図る。
 (次世代育成支援対策交付金(440億円)の内数)

 一時保育、特定保育等の充実
 専業主婦等のための緊急・一時的な保育を行う一時保育、保護者の就労形態の多様化などに伴う柔軟な保育を行う特定保育等を推進する。

(3)総合的な放課後児童対策(「放課後子どもプラン」)の創設  190億円
 「放課後児童クラブ」と文部科学省が実施するすべての子どもを対象とした「放課後子ども教室推進事業」を一体的あるいは連携して実施する「放課後子どもプラン」を創設し、原則としてすべての小学校区で放課後の子どもの安全で健やかな活動場所の確保を図る。

  ○ 放課後児童クラブの必要な全小学校区への設置促進  190億円
 放課後児童クラブの未実施小学校区の早急な解消や適切な運営の確保等を図るため、ソフト及びハード両面での支援措置を講じる。
14,100か所  →  20,000か所

4 小児科・産科医療体制の確保、不妊治療の支援など母子保健医療の充実
302億円(242億円)

(1)小児科・産科をはじめ急性期の医療をチームで担う拠点病院づくり(新規・再掲)  30億円
 多くの病院で小児科医・産科医が少数で勤務している結果、勤務環境が厳しくなっている状況などを踏まえ、小児科・産科医療体制の集約化・重点化を行うため、他科病床への医療機能の変更等に係る整備などを行う場合に、支援を行う。

(2)小児救急電話相談事業の充実強化等、小児救急医療体制の更なる整備(再掲)  36億円
 小児救急電話相談事業(#8000)の充実・普及や小児救急医療施設の夜間における診療体制の充実を図るなど小児救急医療体制の更なる整備を図る。

(3)不妊治療に対する支援
 「体外受精・顕微授精を対象に年度10万円・通算5年」としている現行助成制度の「年度10万円」を「年度20万円」に拡大するとともに、所得制限の緩和を図る。
 (母子保健医療対策等総合支援事業(統合補助金)(52億円)の内数)

 児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実
799億円(770億円)

(1)虐待を受けた子ども等への支援の強化  778億円
  ○ 発生予防対策の充実
 新たに、生後4か月までの乳児のいるすべての家庭を訪問し、子育て支援に関する情報提供や養育環境等の把握を行う事業を実施するなど発生予防対策の充実を図る。
 (次世代育成支援対策交付金(440億円)の内数)

  ○ 早期発見・早期対応体制の充実
 新たに、市町村の児童家庭相談体制の強化を支援するため、都道府県による講習会の実施やアドバイザー派遣などを行う事業を実施するなど早期発見・早期対応の体制の充実を図る。
 (児童虐待・DV対策等総合支援事業(統合補助金)(20億円)の内数)

  ○ 児童福祉施設や里親における保護・支援体制の充実  751億円
 児童養護施設等における施設の小規模ケア(小規模グループケア、地域小規模児童養護施設)や里親委託を推進するなど支援体制の充実を図る。

  ○ 児童養護施設等の子どもなどの就学、就労に向けた支援
 児童養護施設等を退所する子どもやDV被害を受けた女性が安心して、就職や住居を借りることができるよう、身元保証人を確保するための事業を新たに実施する。
 (児童虐待・DV対策等総合支援事業(統合補助金)(20億円)の内数)

(2)配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)への対策等の推進  21億円
 配偶者からの暴力防止に関する相談、被害者の保護、自立支援等の一層の充実を図るため、婦人保護施設の心理療法担当職員の常勤化や、婦人相談所一時保護所における同伴児童に対するケア体制の充実等を図る。

 母子家庭等自立支援対策の推進
1,647億円(1,630億円)

(1)母子家庭等の総合的な自立支援の推進  38億円
  ○ 自立のための就業支援等の推進
 (母子家庭等対策総合支援事業(統合補助金))  21億円
 就労サービスや養育費の確保等の役割を担う母子家庭等就業・自立支援センターの取組を強化するとともに、母子自立支援プログラム策定事業を推進する。

  ○ 在宅就業の支援(新規)  77百万円
 子育てと生計の維持という二重の負担を抱える母子家庭の母が良質な在宅就業を得るため、スキルアップや発注企業との契約上のトラブルの相談等の支援を実施する。

  ○ 「養育費相談・支援センター」の創設(新規)  1.5億円
 簡易・迅速な養育費の取り決め調整や家事調停制度等の活用のサポート、地方公共団体の養育費相談機関の業務支援等を行う「養育費相談・支援センター」を創設する。

(2)自立を促進するための経済的支援  1,609億円
 母子家庭等の自立を促進するため、児童扶養手当の支給や母子寡婦福祉貸付金の貸付による経済的支援を行う。

 児童手当国庫負担金
2,367億円(2,271億円)

 ※ 「新しい少子化対策について」に基づく児童手当に係る経費の取扱いについては、今後の予算編成過程において検討する。


第7 高齢者が生き生きと安心して暮らせる社会の実現

 介護保険制度の着実な実施を図るため、介護療養病床の円滑な転換を支援するとともに、介護サービスの質の向上や介護給付の適正化を推進する。また、今後増加する認知症高齢者の対策や「孤立死ゼロ・プロジェクト」を展開し、高齢者が生き生きと安心して暮らせる地域づくりを支援する。
 また、65歳までの雇用機会の確保、「70歳まで働ける企業」の普及促進、団塊世代をはじめとする定年退職者等の再就職支援等によりいくつになっても働ける社会の実現に向けた環境整備を図る。
 年金制度については、持続可能で安心できる制度を構築するため、基礎年金国庫負担割合2分の1に向けた引上げに取り組むとともに、国民から信頼されるような制度運営とするため、社会保険庁改革を推進する。

 介護保険制度の着実な実施と認知症対策、孤立死防止対策等の推進
2兆1,725億円(2兆396億円)

(1)良質な介護サービスの確保  644億円
  ○ 介護療養病床の転換と介護サービスの基盤の整備  571億円
 介護療養病床の廃止(平成23年度末)等に伴い、各都道府県が策定する「地域ケア整備構想(仮称)」を踏まえ、介護療養病床の転換を含めた地域ケア体制の計画的な整備を支援する。(地域介護・福祉空間整備等交付金(516億円)の内数)
 また、認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービス等の面的な基盤整備や、新規サービス導入に必要な設備やシステムに対する助成を行う。

  ○ 介護サービスの質の向上  33億円
 介護サービスの質の向上を図る観点から、「介護サービス情報の公表」制度の円滑な実施を引き続き支援するとともに、介護支援専門員(ケアマネジャー)に対する実務研修や資格更新の際の研修など体系的な研修事業、介護福祉士に対する介護実習内容高度化モデル事業を実施する。

(2)介護保険制度の円滑な運営  2兆986億円
  ○ 介護給付の適正化の推進  11億円
 介護給付の適正化を図るため、各都道府県による要介護認定の適正化等を内容とした「介護給付適正化プログラム」の策定を促進するとともに、市町村が行う認定事務等への支援を行う。

  ○ 制度運営に必要な経費の確保  2兆966億円
 介護保険制度を着実に実施するため、介護(予防)給付、地域支援事業及び社会福祉法人による利用者負担軽減措置等の低所得者対策等に必要な経費を確保する。

(3)認知症にやさしい地域づくり対策及び高齢者権利擁護等の推進(一部再掲)  23億円
 認知症の方々を地域で支えるため、認知症ケアの人材育成や正しい理解の普及を推進するとともに、地域包括支援センターを中心として、認知症関連の地域資源のネットワーク化を促進する。
 また、高齢者虐待防止に関する研修や地域の実情に応じた権利擁護の取組を推進する。

(4)「孤立死ゼロ・プロジェクト」の展開(新規)  1.7億円
 都市部を中心に、地域から孤立した高齢者や単身高齢者の死亡が増加している状況を踏まえ、高齢者などの孤立死を防止する観点から、国及び地方自治体が主体となって総合的な取組を推進する。

 いくつになっても働ける社会の実現
673億円(819億円)

(1)65歳までの雇用機会の確保等  329億円
 改正高年齢者雇用安定法に基づき65歳までの雇用確保を着実に推進するとともに、新たに、65歳以上定年制度を導入する中小企業等への支援を創設する。

(2)「70歳まで働ける企業」の普及促進(新規・再掲)  9.4億円
 「70歳まで働ける企業」の普及促進を図るため先進事例の収集・情報提供や人事処遇制度の見直しに対するアドバイス等を実施するとともに、事業主団体等による70歳までの高年齢者の一層の雇用に向けた取組等を支援する。

(3)団塊の世代をはじめとする定年退職者等の再就職支援の実施  86億円
 65歳を超えても働くことができるよう、高年齢者の多様なニーズに応じた求人開拓や面接会等を行うとともに、新たにセミナーや職場見学会等を実施する。

(4)シルバー人材センター事業の推進  142億円
 高年齢者が生きがいを持って地域社会で生活するため、定年退職後等において、軽易な就労を希望する高年齢者に対し、高年齢者の意欲や能力に応じた就労機会、社会参加の場を総合的に提供するシルバー人材センター事業を推進する。

 持続可能で安心できる年金制度の構築
6兆9,128億円(6兆6,446億円)

  ○ 年金給付費国庫負担金  6兆9,128億円

 平成19年度における基礎年金国庫負担割合の取扱いについては、今後の予算編成過程において検討する。

 厚生年金及び国民年金に関する過去の国庫負担繰り入れの特例措置に係る取扱いについては、今後の予算編成過程において検討する。

  ○ 社会保障協定の推進  38百万円
 国際的な人的交流が活発化し、企業間の国際競争が激しさを増す中で、日本と外国の年金制度への二重加入の回避と年金の受給権確保を図るため、社会保障協定の締結に向けた取組を着実に推進する。

 安定的で効率的な年金制度の運営の確保等

 〜不適正な事務処理の再発防止と社会保険庁改革の推進〜
4,957億円(4,952億円)

 国民年金保険料の免除等に係る不適正事案の反省を踏まえ、法令遵守の徹底、事務処理体制の見直し、閉鎖的な組織体質の解消など、不適正な事務処理の再発防止の取組を進めるとともに、国民サービスの向上、保険料収納率の向上、ガバナンスの強化等の取組を徹底するなど、業務改革・意識改革・組織改革の更なる推進を図る。
 また、国民の信頼回復に向けて、平成20年10月に社会保険庁を廃止した上で、政府管掌健康保険については国から切り離すとともに、公的年金については、先の通常国会に提出した社会保険庁改革関連法案に基づき、厚生労働省の特別の機関として「ねんきん事業機構」を設置するなど、解体的出直しを行う。

(1)組織改革・職員の意識改革の推進  90百万円
  ○ 業務の標準化・統一化の徹底等  39百万円
 社会保険事務所の業務の標準化・統一化の徹底、法令遵守の意識の徹底、事務処理のシステム的なチェック機能の整備、能力重視の広域人事の断行等の取組を早急に進める。さらに、職員の能力・実績の評価を任用・給与に反映させる新人事評価を実施するなど、職員一人ひとりの意識改革を徹底する。

  ○ 監査機能の強化  51百万円
 監査機能の強化を図るため、外部専門家を登用して業務・会計・個人情報管理に関する監査を実施する。

(2)業務改革の推進  1,600億円
  ○ 国民サービスの向上  2.7億円
 将来の年金受給権について意識し、年金制度の重要性を再認識していただけるよう、35歳における年金加入の状況を情報提供する等の国民サービスの向上を図る。

  ○ 保険料収納対策の強化  130億円
 市町村からの所得情報を活用した強制徴収及び免除勧奨の実施、納付督励活動の着実な実施等により、国民年金保険料の収納対策を一層強化する。

  ○ 民間委託等の拡大  33億円
 市場化テストのモデル事業のうち、国民年金保険料の収納事業について、対象社会保険事務所を大幅に拡大して公共サービス改革法に基づく民間競争入札を実施するなど、民間委託を大幅に拡大する。  
 ・ 国民年金保険料の収納事業   35事務所  →   95事務所
 ・ 厚生年金保険等の未適用事業所に対する適用促進事業
  104事務所  →  312事務所

  ○ 社会保険オンラインシステムの見直し  1,434億円
 社会保険オンラインシステムについて、競争入札を可能とし運用調達コストを削減するため、平成18年度から22年度までの5年間でシステムのオープン化(専用機器から汎用機器への移行等)を図り、汎用性のある効率的なシステムの構築を着実に実施する。

(3)事務・事業の効率化への対応等  1.5億円
 「被用者年金制度の一元化等に関する基本方針について」(平成18年4月閣議決定)に基づき年金相談等の情報共有化を推進するとともに、行政改革推進法に基づき平成19年度に厚生保険特別会計と国民年金特別会計を統合し、事務・事業の合理化・効率化を図る。


第8 障害者の自立支援の推進、生活保護制度の適正な実施

 障害者の地域における自立した生活を支援するため、良質な障害福祉サービスを確保するとともに、福祉施設で働く障害者の工賃水準の引上げを図るほか、発達障害者施策を推進する。また、雇用と福祉の連携による障害者施策の推進や障害者の多様な就業機会の拡大を図るとともに、障害者に対する職業能力開発を推進する。
 さらに、生活保護制度を適正に運営するため、要保護世帯向け長期生活支援資金を創設するとともに、福祉事務所等における自立支援プログラムの導入を一層推進する。

 障害者の自立した地域生活を支援するための施策の推進
9,038億円(8,127億円)

(1)良質な障害福祉サービスの確保  4,430億円
 ホームヘルプ、グループホーム、就労移行支援事業等の障害福祉サービスについて、障害福祉計画に基づき、各市町村において推進を図る。

(2)障害者に対する良質かつ適切な医療の提供  1,378億円
 心身の障害の状態の軽減を図る自立支援医療(精神通院医療、更生医療、育成医療)等を提供する。

(3)地域生活支援事業の実施  400億円
 障害者のニーズを踏まえ、市町村において移動支援や地域活動支援センターなど障害者の地域生活を支援する事業を実施する。

(4)工賃倍増計画の推進(新規)  5億円
 福祉施設で働く障害者の工賃を、今後5年間で現在の水準から倍増させることを目標とする「工賃倍増計画」を各都道府県が策定し、その達成のために必要な施策の促進を図る。

(5)心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療提供体制の整備  189億円
 心神喪失者等医療観察法を適切に施行するため、引き続き、指定入院医療機関の確保を図るとともに、医療従事者等の研修を行うなど医療の提供体制の整備を推進する。

 発達障害者支援施策の拡充
12億円(2.7億円)

(1)発達障害者の支援手法の開発や普及啓発の着実な実施  9.5億円
  ○ 発達障害者支援開発事業の創設(新規)  5.8億円
 国に発達障害者施策検討委員会、地方公共団体(全国20か所)に企画・評価委員会及び実行委員会を設置し、発達障害者支援についての先駆的な取組を通じて支援の在り方について整理し、発達障害者への有効な支援手法を開発・確立する。

  ○ 発達障害対策情報センター(仮称)の創設(新規)  97百万円
 発達障害に関する知見を集積し、全国の発達障害者支援機関への情報提供を行うとともに、発達障害に関する情報の幅広い普及啓発活動を行う拠点機関として、「発達障害対策情報センター(仮称)」を設置する。

  ○ 発達障害研修事業の充実  67百万円
 発達障害施策に携わる職員に対する研修を行い、各支援現場等における対応の充実を図る。

  ○ 発達障害者支援センター運営事業の推進
 各都道府県・指定都市に設置する発達障害者支援センターにおいて、発達障害者やその家族などに対して、相談支援、発達支援、就労支援及び情報提供などを行う。(地域生活支援事業(400億円)の内数)

  ○ 発達障害に関する調査研究
 発達障害者のサービスニーズなどの発達障害者に係る状況の把握、診断・治療の向上のための研究を行う。(こころの健康科学研究経費(23億円)の内数)

(2)発達障害者の就労支援の推進(再掲)  2.8億円
  ○ 若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムの実施(新規)  2.1億円
 ハローワークにおいて、発達障害等の要因によりコミュニケーション能力に困難を抱えている求職者について、その希望や特性に応じた専門支援機関に誘導するとともに、障害者向け専門支援を希望しない者については、きめ細かな就職支援を実施する。

  ○ 発達障害者の就労支援者育成事業の拡充  17百万円
 発達障害者支援センターにおいて、医療・保健福祉・教育等関係機関の発達障害者支援関係者に対する就労支援ノウハウの付与のための講習等を拡充して実施するとともに、新たに、当事者・支援者による体験交流会を開催する。

  ○ 一般校を含めた公共職業能力開発施設における障害者職業訓練の推進
 障害者能力開発校における職業訓練に加え、一般の職業能力開発校において、知的障害者等を対象とした専門訓練を行うとともに発達障害者に対する職業訓練をモデル的に実施する。(一般校を含めた公共職業能力開発施設における障害者職業訓練の推進(44億円)の内数)

 障害者の職業的自立に向けた就労支援の総合的推進(再掲)
148億円(138億円)

(1)雇用・福祉・教育の連携による就労支援の強化  27億円
  ○ 関係機関のチーム支援による福祉的就労から一般雇用への移行の促進(新規)  1億円
  ○ 障害者就業・生活支援センター事業の拡充  15億円
  ○ 養護学校等の生徒とその親の一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進  92百万円

(2)障害の特性に応じた支援策の充実・強化  3.6億円
  ○ 若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムの実施(新規)  2.1億円
  ○ 発達障害者の就労支援者育成事業の拡充  17百万円
  ○ 医療機関等との連携による精神障害者の就労支援の実施(新規)  68百万円

(3)中小企業による雇用促進の取組への支援  97百万円
  ○ 中小企業団体による障害者雇用の啓発・推進のためのモデル事業の実施  97百万円

(4)障害者に対する職業能力開発の推進  60億円
  ○ 一般校を含めた公共職業能力開発施設における障害者職業訓練の推進  44億円
  ○ 地域の障害者支援機関を活用した実践的職業訓練の推進  16億円
  ○ 障害者職業能力開発プロモート事業の拡充  92百万円

 自立支援に重点をおいた生活保護制度の適正な実施
2兆628億円(2兆611億円)

(1)生活保護の適正運営の実施  200億円
  ○ 要保護世帯向け長期生活支援資金の創設
 一定額以上の不動産を有する要保護高齢者世帯について、所有不動産を担保とした貸付制度(要保護世帯向け長期生活支援資金)を創設し、当該制度の利用を生活保護に優先させる。
 (セーフティネット支援対策等事業費補助金(200億円)の内数)

  ○ 自立支援プログラムの着実な推進
 生活保護受給者の就労自立、日常生活自立及び社会生活自立を目指す「自立支援プログラム」の福祉事務所等における導入を一層推進する。  また、稼働能力判定会議の設置や、精神障害者退院推進員の配置により、適性にあった就労支援や、社会的入院患者の退院を促進する。
 (セーフティネット支援対策等事業費補助金(200億円)の内数)

(2)生活保護基準の見直し
 生活保護基準の見直しの具体的内容については、今後の予算編成過程において検討する。


第9 国民の安心と安全のための施策の推進

 医薬品等の安全対策を一層推進するとともに、新しい医薬品・医療機器の治験の促進、血液対策、麻薬・覚せい剤対策などを推進する。
 また、輸入食品の監視強化、残留農薬等ポジティブリスト制度の着実な実施、健康食品の安全性の確保などにより食品安全対策を推進するとともに、自殺対策基本法を踏まえた総合的な自殺対策を推進する。あわせて、安全な水の確保、健康危機管理体制の強化を推進する。

 より良い医薬品等を安全性に配慮しつつ迅速に提供するための対策の推進
117億円(115億円)

(1)安全対策の推進  5.9億円
  ○ 医薬品の安全使用の推進(新規)  46百万円
 予測・予防型安全対策を実践するため、モデル病院を選定して第一線の医療現場における安全性情報等の活用促進のための検討を行い、医薬品安全使用実践マニュアルを作成し、その普及を図る。

  ○ 市販直後の安全性情報収集の推進  15百万円
 新規性が高く、国内の治験症例が少ない新医薬品について、市販後一定期間、使用状況や副作用等の臨床現場の情報を、国が直接収集し評価すること等により、安全対策の一層の強化を図る。

(2)新しい医薬品・医療機器の迅速な提供  12億円
  ○ 新しい医薬品・医療機器の治験の促進等  20百万円
 国内未承認薬について、海外承認情報を収集整理し、患者、学会からの要望、医療上の必要性等を検討した上で、関係企業に治験の開始を要請するなど治験の促進を図るとともに、薬効群毎の臨床評価指針の作成を行う。また、医療機器について、国際共同開発の推進に向け、海外における評価の活用方策を検討する等、承認審査の迅速化を図る。

  ○ より適切な治験実施環境の制度面での確保(新規)  65百万円
 国内外の治験実施状況を調査し、信頼性や効率性に配慮された治験実施環境の制度面での確保に資する方策等を検討するとともに、東アジア諸国で実施された治験データの受入れについて調査・検討し、企業が早期に承認申請を行う環境を確保することにより、国民の新医薬品等へのアクセスの改善を図る。

(3)安全、安心な血液製剤の供給確保  8.2億円
 医療に不可欠な血液製剤の安定供給を確保するため、献血に対する国民の意識の向上が図られるよう、特に若年層を中心とした若者向けメディアやインターネットを活用した普及啓発活動の強化を図る。

 医薬品・医療機器産業の国際競争力の強化
83億円(46億円)

(1)優れた医薬品・医療機器の研究開発の推進等  71億円
  ○ 先端医療の実用化  24億円
 国際的に最先端の研究が進められている再生医療分野を含め、先端医療の実用化に資する基礎研究成果を臨床応用に向けて加速させるための研究を推進する。

  ○ 優れた医薬品・医療機器の研究開発の推進  47億円
 国民の保健医療水準の向上に資するよう我が国の医薬品・医療機器産業に係る研究開発を推進する。このため、質の高い臨床試験の実施そのものに対して研究資金を提供するほか、身体への負荷の低減を目指した医療機器の研究開発を推進する。

  ○ 後発医薬品の使用促進等(新規)  1.1億円
 後発医薬品の使用を促進するため、後発医薬品の信頼性確保の観点から、メーカーに対して安定供給の実効的な指導を行うとともに、国民や医療関係者がより安心して使用できるよう、先発品との同等性について情報提供を行う。

(2)治験を含む臨床研究実施環境の緊急整備・充実  11億円
  ○ 治験拠点病院の整備・充実(新規)  10億円
 医薬品の承認に不可欠な治験を推進するため、治験拠点病院を選定し、治験環境の整備・充実を5カ年計画で図り、国際競争力のある創薬環境を整備する。

  ○ 治験コーディネーター等の養成  90百万円
 治験の実施に当たり医師と患者とのパイプ役となり治験を円滑に進める治験コーディネーターの養成研修及び質の高い治験を効率的に行うために必要な治験データの収集や整理を担当するデータマネジャーの養成研修を実施する。

 国民の健康保護のための食品安全対策の推進
166億円(157億円)

(1)輸入食品等の安全対策の強化  128億円
  ○ 輸入食品の監視等の強化  22億円
 検疫所が行う輸入食品のモニタリング検査等について、平成18年5月に残留農薬等のポジティブリスト制度(農薬等が一定量を超えて残留する食品の流通を原則禁止する制度)が施行されたことによる検査項目の大幅な増加への対応を図るため、高度な分析機器の拡充を図るなど、輸入食品の安全対策を強化する。

  ○ BSE対策など食肉の安全確保対策の推進  29億円
 国内のと畜場におけるBSE検査キットについて引き続き国庫補助を行うとともに、米国及びカナダにおける対日輸出施設の査察等を通じて食肉の安全確保対策を推進する。

(2)食品衛生法に基づく基準の策定等の推進  18億円
  ○ 残留農薬等ポジティブリスト制度の円滑な実施  7.1億円
 ポジティブリスト制度の適正・円滑な実施を図るため、国際基準等を参考に設定した758品目の基準値の見直しをはじめ、引き続き分析法の開発や摂取量の調査を計画的に実施する。

  ○ 食品添加物等の安全性確認の計画的な推進  11億円
 指定時期が古い指定添加物などについて、遺伝子組換え動物を用いた試験などバイオテクノロジーの進歩を踏まえた毒性試験を計画的に実施し、食品添加物等の安全性確保を推進する。

(3)健康食品の安全性の確保等の推進  1.7億円
  ○ 健康食品の安全性の確保等  1.4億円
 健康食品による健康被害に適切に対応するために事例検討会を開催するとともに、安全性確認のための試験検査を実施する。  また、健康食品の安全性確保及び制度発足後30年以上が経過している特別用途食品制度の見直しについて検討を行う。

  ○ 食品安全に関する情報提供や意見交換(リスクコミュニケーション)の充実
 31百万円
 食品安全に関する施策について国民の理解や信頼を構築するため、的確な情報提供や消費者との意見交換会を行うなど、リスクコミュニケーションの取組を充実する。

(4)食品安全に関する研究の推進  17億円
 先端技術を融合・応用した食品中の汚染物質等の検知法・分析法の開発、科学的根拠に基づいた安全性に関する調査研究、食中毒、食品テロ等の危機管理に関する研究など、食品の安心・安全の確保に資する研究を推進する。

 自殺対策の推進
12億円(9.1億円)

  ○ 自殺予防総合対策センター機能の充実  28百万円
 自殺対策基本法を踏まえた総合的な自殺対策を実施するため、自殺予防総合対策センターにおいて、引き続き、国内外の情報収集、Webサイトを通じた情報提供や関係団体等との連絡調整を行うとともに、人材の養成・資質の向上のための研修を行う。

  ○ 自殺対策の普及啓発や事業主の取組の支援  5.4億円
 都道府県において地域の実情に即したPR活動を行うことにより、地域におけるこころの健康問題に関する正しい知識の普及啓発を推進する。
 また、こころの健康問題により休業等をした労働者が円滑に職場復帰又は雇用継続できるよう医師等専門家を派遣するなど、事業場に対する支援を充実する。

  ○ 自殺予防に向けた相談体制の充実と人材育成  3億円
 「いのちの電話」において、フリーダイヤルによる自殺予防相談の実施や相談員の研修などを行う。
 また、地域産業保健センターにおいて、労働者及びその家族を対象としたセミナーや相談会を拡充するとともに、産業医に対するメンタルヘルスに関する対応方法についての研修を実施する。

  ○ 自殺問題に関する総合的な調査研究等の推進  3.3億円
 データの収集と分析による自殺の実態把握を行うとともに、自殺関連予防プログラムの開発等に関する研究を推進する。

 麻薬・覚せい剤等対策の推進
10億円(8.8億円)

  ○ 違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)対策の強化  1.1億円
 違法ドラッグであると疑われる物質について、指定薬物の含有の有無の分析等を行うための体制整備を図るとともに、検査機関向けの講習会を開催する。また、違法ドラッグの乱用実態を把握し、広告監視体制の強化を図るとともに、効果的な啓発活動を実施する。

  ○ 取締体制の強化  5.6億円
 麻薬・覚せい剤等の薬物密売組織の取締体制を強化する。

 安全で良質な水の安定供給
990億円(851億円)

  ○ 水道施設の整備  988億円
 すべての国民に安全で良質な水道水の安定的な供給を行うなど、「水道ビジョン」に基づく取組を推進する。

 健康危機管理体制の強化
14億円(12億円)

  ○ 健康危機管理対策総合研究の推進  8.6億円
 国民の生命・健康の安全を脅かす新型インフルエンザやバイオテロリズムの発生に備え、初動体制の確保や危機情報の共有・活用等に資する健康危機管理・テロリズム対策システム研究事業を創設し、地域レベルの健康危機管理に着目した地域健康危機管理研究事業とあわせて、総合的な研究を推進する。

  ○ 健康危機管理体制の整備・強化  3.7億円
 健康危機発生時に健康危機管理体制が十分に機能するよう、平時から、実地訓練の実施、専門家ネットワークの構築、情報通信システムの整備等を行う。
 また、地域における多種多様な健康危機事例に的確に対応するため、実地訓練マニュアルの作成、訓練教材の開発、広域的連携体制の整備等を推進する。

  ○ 国際健康危機管理対応能力の強化  1.7億円
 国内外での未知の感染症等発生時にWHO等が編成する広範な疫学調査チームに国立感染症研究所が積極的に参加し、国際的な感染症の情報収集、解析、還元及び情報提供を行うとともに、病原体のゲノム情報の蓄積、データベース化や科学的解析を引き続き推進する。


第10 その他

 国際社会への貢献
269億円(254億円)

(1)国際機関を通じた国際的活動の推進  189億円
  ○ 世界保健機関(WHO)等を通じた活動の推進  115億円
 世界保健機関(WHO)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)への拠出等を通じ、新型インフルエンザ、エイズ、結核等の新興・再興感染症への対応や食品の安全対策の国際的な活動を推進する。

  ○ 国際労働機関(ILO)を通じた活動の推進  69億円
 国際労働機関(ILO)への拠出等を通じ、労働者の基本的な権利の実現、人材育成等の国際的な活動を推進する。

(2)開発途上国等に対する国際貢献等の推進  36億円
 ASEAN諸国やアフリカ諸国等に対し、保健医療、福祉分野への支援、労使関係の安定化、人材養成に関する支援などの協力を積極的に行う。

 社会保険・労働保険の徴収事務の一元化の推進
18百万円(31百万円)

  ○ 社会保険・労働保険の徴収事務の一元化の推進  18百万円
 事業主の利便性の向上及び行政事務の効率化を図るため、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化を着実に推進する。

 戦傷病者・戦没者遺族、中国残留邦人等の援護等
504億円(533億円)

  ○ 援護年金の支給  442億円
 公務等により死亡し又は障害の状態になった軍人軍属等やその遺族に対し援護年金を支給し、福祉の増進を図る。

  ○ 戦没者慰霊事業の推進  5.3億円
 未送還遺骨情報に基づく速やかな遺骨収集の実施、慰霊巡拝及び戦没者遺骨のDNA鑑定等の戦没者慰霊事業の推進を図る。

  ○ 中国帰国者支援・交流センターの充実  5.1億円
 就労に結びつく日本語習得支援等を中長期的に行う支援・交流センターを拡充する。

 原爆被爆者の援護
1,550億円(1,566億円)

  ○ 保健、医療、福祉にわたる総合的な施策の推進  1,550億円
 原爆被爆者に対する健康診断の実施、医療の給付及び諸手当の支給のほか、在外被爆者に対する支援、調査研究及び国立原爆死没者追悼平和祈念館の運営等を行う。

 生活衛生関係営業の指導及び振興の推進
19億円(17億円)

  ○ 生活衛生関係営業の振興のための支援  19億円
 経営の健全化、衛生水準の維持向上を図るため、全国生活衛生同業組合連合会等における経営革新、消費者サービスの向上や健康増進のための自主的活動を支援する。

 ホームレスの自立支援等基本方針を踏まえた施策の推進
33億円(33億円)

  ○ 自立支援事業等の推進  33億円
 総合相談推進事業や自立支援事業、職業技能講習事業、就業支援事業等を実施し、ホームレスの自立支援を推進する。



参考

経済成長戦略推進要望事項


医薬品・医療機器産業の国際競争力の強化
○ 臨床応用基盤研究、医療機器開発推進研究及び
 がん臨床研究の推進
114億円
○ 治験拠点病院の整備充実などの治験実施環境の整備等 11億円
○ 後発医薬品の品質に関する情報提供等の推進 1.1億円
IT革新による競争力の強化
○ 医療情報システムのための医療知識基盤データ
 ベースの研究開発等
3.3億円
○ マンモグラフィ検診の遠隔診断支援モデル事業の実施 6.7億円
○ がん診療連携拠点病院における遠隔画像診断の
 体制整備
8.4億円
地域のひとづくり・雇用の創出
○ 技能継承のための教育訓練に取り組む中小企業の支援
  (試行雇用奨励金)
0.1億円
産学連携による人材育成の強化
○ 「実務・教育連結型人材育成システム」の普及促進 1.8億円
合計 146億円

(注1)「II主要事項」に掲げる事項のうち、経済成長戦略推進要望に関するものを再掲。
(注2)計数は、それぞれ四捨五入によっているので、端数において合致しないものがある。

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