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昭和61年に均等法(当時は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」)が施行されてから20年目に入り、平成9年に改正されてからも10年近くが経過した。この間、社会一般の意識として、男女の雇用機会均等についての考えは広く当然のこととして受け止められるようになった。
企業の雇用管理においても、男女の機会均等についての認識が浸透定着し、その考えに沿って雇用管理の見直しが進展した。特に平成9年改正により、それまで事業主の努力義務であった募集・採用、配置・昇進についても女性に対する差別が禁止され、企業名公表制度が創設されるとともに、労働基準法上の女性保護規制の見直しがなされるなど法律面の整備がなされたことは、企業の雇用管理においても、女性に対する差別の禁止の考えを更に徹底することとなった。
平成9年改正では、あわせて、ポジティブ・アクションに係る規定や、セクシュアルハラスメントを防止するための雇用管理上の配慮義務規定、母性健康管理措置の義務規定が設けられ、実質的な均等の実現に向けた幅広い企業の取組を促すことにもなった。
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女性労働者の就業実態をみると、女性の積極化する就業意欲を背景に、女性の雇用者数の増加傾向は引き続いている。近年では男性の伸びを上回って推移した結果、雇用者総数の4割を上回るようになってきており、雇用形態の多様化の中でいわゆる非正規雇用者が多くなっている。また、平均勤続年数も更に伸長し、勤続年数が10年以上の者は、平成15年には35%を超えるまでに至っている。
均等法は、正規雇用者、非正規雇用者を問わずに適用対象としているものであるが、こうした非正規雇用者も含め、継続就業を希望する女性が妊娠・出産等を理由とした解雇や退職の強要、不利益な配置転換、パートタイムへの契約内容の変更の強要、雇止め等について、都道府県労働局雇用均等室に相談や個別紛争の解決援助を求める例が増加している状況にある。また、セクシュアルハラスメント、母性健康管理措置についても、非正規雇用者からの相談が多くなってきている。
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採用や配置については、例えば従来女性が少なかった渉外、外商や機械オペレーター等に女性が配置される動きが活発になるなど、部門等によっては進展がみられる。しかし、女性の応募がなかった等の事情はあるものの、採用面、配置面ともに全体としては目立った変化は見られていない。
一方、新しい動きとして、従前女性が就くことが多かった職種等を中心に男性であることを理由として採用を拒否されたとする相談が目立つようになってきている。また、平成9年に女性のみの時間外・休日労働や深夜業の規制を解消したことは女性の職域拡大に寄与したが、技術職に進出する女性の増加を背景として、その職域拡大の観点から労働基準法上の女性の坑内労働の禁止規定についての見直しを求める声が挙がってきている。
昇進については、管理職に占める女性の割合は係長を中心に上昇が続き、中には役員という高い地位に就いて活躍する女性の姿もみられるようになったが、管理職に占める女性の割合の上昇テンポは緩やかである。
特に大規模企業を除き引き続き導入が進んでいるコース別雇用管理制度について、これを導入している企業においては、管理職に占める女性の割合は相対的に少ない状況にある。また、コース別雇用管理制度を導入している企業の中には均等法の趣旨に沿った運用がなされていない企業もみられる。
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女性の能力発揮を促進するための積極的な取組であるポジティブ・アクションについては、大企業を中心に取り組む企業割合は上昇しているが、なお全体として大きな広がりを持った動きには至っていない。
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セクシュアルハラスメントについては平成9年に法律に規定が設けられて以降、企業において防止のための対策が進展したが、都道府県労働局雇用均等室にはセクシュアルハラスメントに関する相談が寄せられており、毎年、女性労働者等からの相談件数の約半数を占める。また、相談事案の中には深刻なものも含まれている。
セクシュアルハラスメントに次いで女性労働者等からの相談件数が多いのが母性健康管理措置についてであり、措置義務に対する認識が不十分なケース等がみられる。
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均等法の履行確保に係る是正のための行政指導については、近年事案が複雑化している中で、外見上、直ちには差別か否かの判断が難しいケースが現れる中で、差別の疑いがあるものの必要な情報が得られない等のため指導の徹底を図れないケースが存在している。
平成9年改正により紛争の当事者の一方からの申請で調停を開始することができるようになった調停制度については、調停開始率が上昇し、都道府県労働局長による個別紛争解決援助等とあいまって紛争の解決に一定の役割を果たしているが、必ずしも十分利用されていないのではないかとの指摘がなされている。 |