(7−4−II)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 利用者の視点に立った質の高い福祉サービスの提供等を図ること
施策目標 戦傷病者、戦没者遺族、中国残留邦人等を援護するとともに、旧陸海軍の残務を整理すること
II 戦没者の遺骨の収集等を行うことにより、戦没者遺族を慰藉すること
担当部局・課 主管部局・課 社会・援護局援護企画課外事室
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 戦没者の遺骨の収集及びDNA鑑定による身元確認を迅速かつ適切に行うこと
(実績目標を達成するための手段の概要)
 国会決議に基づいて、昭和27年度以降、国が主体となり、旧ソ連地域、モンゴル地域、南方地域等海外等(硫黄島及び沖縄を含む。)における戦没者遺骨を収集し、本邦への送還を実施している。
 旧ソ連地域については、平成14年度までに収集可能な埋葬地での遺骨収集は実施したところであるが、新たに収集可能となった埋葬地には収集団を派遣し、遺骨収集を迅速に実施することとしている。
 南方地域については、海没などの自然条件や相手国の事情により収集できない地域等が残されているが、残存する遺骨に関する情報を収集し、その情報が得られた場合には収集団を派遣し、遺骨収集を迅速に実施することとしている。
関連する経費
・遺骨収集事業(平成16年度予算額) 230百万円
(評価指標)
収集した遺骨数
H12 H13 H14 H15 H16
1339柱 2710柱 2663柱 1269柱 1167柱
(備考)
 厚生労働省社会・援護局援護企画課外事室調べ。南方地域等の遺骨収集数には、相手国政府等からの受領を含む。
(評価指標)
DNA鑑定による遺族への遺骨返還数
H12 H13 H14 H15 H16
8柱 42柱
(備考)
 厚生労働省社会・援護局援護企画課外事室調べ。国費によるDNA鑑定により遺骨を遺族へ返還した数である。国費によるDNA鑑定は、平成15年度より実施している。
実績目標2 旧主要戦域等において、慰霊巡拝、慰霊碑の建立等を適切に行うこと
(実績目標を達成するための手段の概要)
(1)  戦域となった地域等において戦没者を慰霊するため、遺族を主体とした慰霊巡拝を昭和51年度から計画的に実施している。
(2)  戦没者遺児が、旧主要戦域における人々と戦争犠牲者の遺族という共通の立場で交流し、相手国の理解を深めることにより、今後の慰霊事業の円滑な推進を図りつつ広く戦争犠牲者の慰霊追悼を行うことを趣旨とし、平成3年度から慰霊友好親善事業を(財)日本遺族会に委託して実施している。
(3)  旧主要戦域ごとに慰霊碑を建立する事業の一環として、旧ソ連地域において、平成12年度から順次計画的に、埋葬地のある共和国、地方、州ごとに小規模慰霊碑の建立を行っている。
関連する経費
・慰霊巡拝等の事業(平成16年度予算額) 125百万円
・慰霊碑関係事業(平成16年度予算額) 155百万円
(評価指標)
慰霊巡拝の実施(地域)数
H12 H13 H14 H15 H16
(備考)
 厚生労働省社会・援護局援護企画課外事室調べ。また、旧ソ連地域への慰霊巡拝は、ロシア連邦内の州、地方、新独立国家ごとに数か所において実施しているが、統計上は旧ソ連で1地域として計上している。
(評価指標)
慰霊友好親善事業の実施(地域)数
H12 H13 H14 H15 H16
10 10 10 10
(備考)
 厚生労働省社会・援護局援護企画課外事室調べ。
(評価指標)
小規模慰霊碑建立数
H12 H13 H14 H15 H16
(備考)
 厚生労働省社会・援護局援護企画課外事室調べ。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
(1)  遺骨収集事業は、昭和27年度以降計画的に進めてきているが、相手国の事情や海没などの自然条件等の理由から遺骨収集ができない地域があるため、これまでに本邦に送還した遺骨数は、海外戦没者約240万人に対して、約半数にとどまっている。
(2)  戦後59年が経過し、戦没者の配偶者、子、兄弟姉妹等の遺族の高齢化が進んでおり、戦没者遺族を慰藉するための各種施策を迅速かつ着実に実施することが求められている。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 以下のとおり、迅速かつ適切に戦没者の遺骨収集や慰霊巡拝、慰霊友好親善事業の着実な実施、慰霊碑の建立に係る現地政府との協議の再開等により、戦没者遺族に対する慰藉を確実に実施することができたと考えている。
(1)  戦没者の遺骨収集について
 旧ソ連地域については沿海地方等5地域、南方地域についてはビスマーク諸島等7地域において遺骨収集を実施した。これらの地域に関し、遺骨情報があってから遺骨収集を実施するまでに要した期間は、平均10か月であり、外交ルートを通じての情報確認や、相手国側の許可に要する時間等からかんがみて、迅速に実施することができた。
(2)  慰霊巡拝、慰霊碑の建立等について
 旧ソ連地域については7地域、南方地域については6地域で慰霊巡拝を実施した。また、慰霊友好親善事業については、遺族の参加数を維持した上で、10地域において実施した。
 なお、旧ソ連地域における小規模慰霊碑の建立については、建立予定地の政府(ロシア連邦内にあっては、州、地方政府)との間に、建立地の無償提供及び慰霊碑の維持管理を現地政府が将来的に無償で行うことが約束された場合に、順次計画的に実施することとしているものであるが、平成16年度においては、実際の建立には至らなかったものの、現地政府の事情により中断していた協議が再開し、小規模慰霊碑の早期建立に向けて前進があった。
政策手段の効率性の評価
 旧ソ連地域の遺骨収集の実施時期は、ロシアの気候条件の制約上、6月頃から10月頃までの夏期に限られるため、遺骨の埋葬地の場所の特定や遺骨の有無の確認調査を遺骨収集実施の前年度に行い、その調査結果に基づいて計画的に遺骨収集団を派遣するよう努めている。これにより、遺骨収集を短期間に集中して行い、その効率性が高まっていると考えている。
総合的な評価
 戦没者の遺骨収集の迅速かつ適切な実施や、慰霊巡拝、慰霊友好親善事業の着実な実施、慰霊碑の建立に係る現地政府との協議の再開により、戦没者遺族の慰藉の達成に向けて進展があった。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
遺骨収集及び慰霊巡拝においては、(財)日本遺族会等の協力を得ている。
遺骨のDNA鑑定においては、大学等の鑑定機関の協力を得ている。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
なし。
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし。
(5) 会計検査院による指摘
なし。

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