(6−4−II)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 利用者のニーズに対応した多様な保育サービスを提供すること
II 多様なニーズに対応できる保育サービスを確保すること
担当部局・課 主管部局・課 雇用均等・児童家庭局保育課
関係部局・課 雇用均等・児童家庭局母子保健課


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 延長保育実施ヶ所を平成16年度までに10,000ヶ所にすること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 就労形態の多様化に対応するため、11時間の開所時間の前後に延長保育を実施する保育所に対し、必要な経費を補助する。

関連する経費
延長保育事業(平成16年度予算額)31,754百万円
(評価指標)
 延長保育実施ヶ所数 (ヶ所)
H12 H13 H14 H15 H16
8,052 9,431 10,600 11,702 13,086
(備考)
 評価指標は各年度の交付決定数
実績目標2 休日保育実施ヶ所を平成16年度までに300ヶ所にすること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 就労形態の多様化に対応するため、日曜・祝日を含め年間を通じて開所する保育所に対し、必要な経費を補助する。

関連する経費
休日保育事業(平成16年度予算額)381百万円
(評価指標)
 休日保育実施ヶ所数 (ヶ所)
H12 H13 H14 H15 H16
152 271 354 525 618
(備考)
 評価指標は各年度の交付決定数
実績目標3 乳幼児健康支援一時預かりを行う市町村を平成16年度までに500市町村にすること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 保育所へ通所中の児童等が病気の回復期であって、集団保育の困難な期間について、当該児童を保育所、病院等に付設された専用スペース又は派遣された保育士等が児童の自宅等において一時的に預かる事業(病後児保育)等に必要な経費を補助する。

関連する経費
乳幼児健康支援一時預かり事業(平成16年度予算額)1,839百万円
(評価指標)
 乳幼児健康支援一時預かり事業実施市町村数
H12 H13 H14 H15 H16
132 206 251 307 496
(備考)
 評価指標は各年度の交付決定数
実績目標4 一時保育実施ヶ所を平成16年度までに3,000ヶ所にすること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 多様な保育ニーズに対応するため、断続的に保育が困難となる児童に対する保育や保護者の傷病等に伴う緊急・一時的な保育を実施する保育所に対し、必要な経費を補助する。

関連する経費
一時保育事業(平成16年度予算額)2,565百万円
(評価指標)
 一時保育実施ヶ所数 (ヶ所)
H12 H13 H14 H15 H16
1,700 3,068 4,178 4,959 5,651
(備 考)
 評価指標は各年度の交付決定数
実績目標5 地域子育て支援センターを平成16年度までに3,000ヶ所にすること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 地域全体で子育てを支援する基盤の形成を図るため、子育て家庭等に対する育児相談、子育てサークル等への支援等を行う保育所に対し、必要な経費を補助する。

関連する経費
地域子育て支援センター事業(平成16年度予算額)5,050百万円
(評価指標)
 地域子育て支援センター実施ヶ所数 (ヶ所)
H12 H13 H14 H15 H16
1,376 1,791 2,168 2,499 2,786
(備考)
 評価指標は各年度の交付決定数
実績目標6 多機能保育所等を平成16年度2,000ヶ所整備すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 老朽保育所の改築整備を図るとともに、多様な保育ニーズに対応するため地域子育て支援スペースなどを整備した多機能保育所の整備に必要な経費を補助する。

関連する経費
社会福祉施設整備費国庫負担(補助)金(平成16年度予算額)130,351百万円
(評価指標)
 多機能保育所の整備ヶ所数
  H12 H13 H14 H15 H16
実績数 393 386 427 316 331
累計 720 1,106 1,533 1,849 2,180
(備考)
 評価指標は、各年度の交付決定ヶ所数である。
実績目標7 特定保育利用者数を平成15年度11,100人にすること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 親の就労形態の多様化(パート就労の増大等)に伴う子どもの保育需要の変化への対応として、週に2、3日程度、又は午前か午後のみの必要に応じた保育サービスを提供する保育所に対し、必要な経費を補助する。
 なお、平成16年度については、対象児童を3歳未満から就学前児童に拡大することにより、事業の一層の促進に努めているところである。

関連する経費
特定保育事業(平成16年度予算額)2,552百万円
(評価指標)
 特定保育利用者数 (人)
H12 H13 H14 H15 H16
42 240
(備考)
 特定保育事業は、平成15年度からの事業である。
 H16については、交付決定数である。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 近年の就労形態の多様化や少子化、核家族化の一層の進行などにより、延長保育、一時保育などの多様な保育サービスや、地域における子育て支援の推進が重要となっている。「少子化対策推進関係閣僚会議」で決定された「少子化対策推進基本方針」に基づく重点施策の具体的実施計画として策定された新エンゼルプラン(平成11年12月19日、大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治の6大臣合意)に基づき、目標値を設置し、その推進を図ったところである。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
(実績目標1)延長保育の推進
  7,000か所(11年度) 10,000か所(16年度目標値)
13,086か所(16年度評価指標)
  評価: 毎年度実施か所数を拡大してきており、平成16年度評価指標においては目標値を大きく上回る実施が見込まれているところ。近年の就労形態の多様化により延長保育のニーズは高いものと判断できる。よって、延長保育実施か所数の拡大は有効であると評価できる。

(実績目標2)休日保育の推進
  100か所(11年度) 300か所(16年度目標値)
618か所(16年度評価指標)
  評価: 毎年度実施か所数を拡大してきており、平成16年度評価指標においては目標値を大きく上回る実施が見込まれているところ。近年の就労形態の多様化により休日保育のニーズは高いものと判断できる。よって休日保育の実施か所数の拡大は有効であると評価できる。

(実績目標3)乳幼児健康支援一時預かりの推進
  132市町村(12年度) 500市町村(16年度目標値)
496市町村(16年度評価指標)
  評価: 平成16年度評価指標においては目標値には至らない見込みではあるが、毎年度着実に実施市町村数を拡大してきており、目標はおおむね達成できたと評価できる。なお、平成16年度予算においては目標値と同じ市町村数を確保しているところ。保護者の子育てと就労の両立を支援するとともに、児童の健全な育成及び資質の向上に寄与するものとして乳幼児健康支援一時預かりのニーズは高いものと判断できる。よって、乳幼児健康支援一時預かりの実施市町村数の拡大は有効であると評価できる。

(実績目標4)一時保育の推進
  1,500か所(11年度) 3,000か所(16年度目標値)
5,651か所(16年度評価指標)
  評価: 毎年度実施か所数を拡大してきており、平成16年度評価指標においては目標値を大きく上回る実施が見込まれているところ。近年の就労形態の多様化や、保護者の傷病・入院や、私的な理由等により一時保育のニーズは高いものと判断できる。よって、一時保育の実施か所数の拡大は有効であると評価できる。

(実績目標5)地域子育て支援センターの整備
  1,500か所(11年度) 3,000か所(16年度目標値)
2,786か所(16年度評価指標)
  評価: 平成16年度評価指標においては目標値には至らない見込みではあるが、毎年度実施か所数を拡大してきており、目標はほぼ達成できたと評価できる。都市化や核家族化の進行、子育ての孤立化などに鑑み、地域の子育て支援の中核として地域子育て支援センターを整備し、専門的知識・経験を有する担当職員による育児に関する相談・指導の実施や、子育てサークル等の場の提供や活動内容の支援を実施することはニーズが高いものと判断できる。よって地域子育て支援センター事業の実施か所数の拡大は有効であると評価できる。

(実績目標6)多機能保育所等の整備
  327か所(11年度) 2,000か所(16年度目標値)
2,180か所(16年度評価指標)
  評価: 地域子育て支援スペース等の整備を行ったことに伴い、特別保育事業に取り組む事が可能な保育所が増えた。本整備は、多様な需要に応える保育サービスの推進に一定の効果をもたらした。

(実績目標7)特定保育の推進
  11,100人(15年度目標)
42人(15年度評価指標)
  評価: 特定保育の推進については、パート就労の増大等や、育児の孤立化に伴う子どもの保育需要の変化に対応するため、柔軟な保育サービスを提供するものであり、対象児童数の平成15年度目標値を11,100人としたところであるが、平成15年度実績は42人となっている。この理由について分析すると、本事業が平成15年度からの事業であり、周知が十分に図られていなかったため、潜在的なニーズがあっても利用に結びつかなかったことが要因と考えられる。このため、現段階で有効性について評価することは困難であるが、今後、本事業について周知を図り利用を促進していく必要がある。
政策手段の効率性の評価
(実績目標1,2,4,5及び6)
   就労形態の多様化、少子化、核家族化等に伴う様々な保育サービス需要に適切に対応し、仕事と子育てとの両立等を可能としていくことは重要な課題である。そのために必要な事業を新エンゼルプランに基づき毎年度計画的に拡大し、保育サービスを着実に推進してきたことは、効率的であると言える。
(実績目標1)
   乳児院、児童擁護施設等が併設している保育所においては、その併設先で延長保育を実施することも可能。また、送迎保育ステーション試行事業において延長保育事業対象としており、これらにより効率的に事業が推進されていると評価できる。
(実績目標2,4,5及び7)
   実施場所については、保育所において実施することが原則であり、既存の施設を利用するという観点から事業実施の効率性について評価できる。また、公共的施設の空き部屋等を利用し実施することも可能としており、効率性について評価できる。
(実績目標3)
   事業の実施に当たっては、保育所、病院、診療所の有する設備やノウハウなど既存の機能を活用することから効率的に実施できる。
(実績目標6)
   多機能保育所等の整備を行うことは、子育て支援サービスの充実、多様な需要に応える保育サービスを行うために重要である。
 地域のニーズ、バランス等を踏まえて、特別保育事業を効率的に進めることに一定の効果をもたらした。
総合的な評価
 延長保育や一時保育等については、多様なニーズを反映し年々実施か所の増を図っているところであり、施策目標である「多様なニーズに対応できる保育サービスを確保すること」に向けて着実に進展があったと言える。また、事業の実施場所として、保育所等の既存の施設等を利用することを可能とすることは、効率性について評価できる。
 なお、平成16年6月に閣議決定された「少子化社会対策大綱」及び平成16年12月に少子化社会対策会議決定された「子ども・子育て応援プラン」においても、延長保育や一時保育等実施のさらなる拡大が掲げられており、実績が低かった特定保育についても同プランに掲げているところであることから、今後も事業の周知を図り、多様なニーズに対応できる保育サービスの確保に向け施策を推進していくものである。
 また、多機能保育所の整備の目標達成は、特別保育事業に取り組む保育所の増加に大きく寄与したと思われる。多様化する保育ニーズに応えるため、また少子化対策の一環として、効果があったものと考える。
 以上のことから、総合的に評価すると施策目標はほぼ達成したと考える。
評価結果分類 分析分類
(1) (1)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 「少子化対策推進基本方針」(平成11年12月17日 閣議決定)
 「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画(新エンゼルプラン)」
 (平成11年12月19日 大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治の6大臣合意)
 「少子化社会対策大綱」(平成16年6月4日 閣議決定)
 「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の子ども・子育て応援プラン」
 (平成16年12月24日 少子化社会対策会議決定)
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 「次世代育成支援対策推進法案」及び「児童福祉法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(平成15年6月11日衆議院厚生労働委員会)
 保育所の待機児童の解消を目指して、保育所等の整備、受入れ児童数の拡大を図るとともに、延長保育、休日保育、夜間保育、障害児保育、病児保育、乳幼児健康支援一時預かり事業、放課後児童クラブなどを少子化対策推進基本方針及び新エンゼルプランに基づき着実に推進すること。

 次世代育成支援対策推進法案及び児童福祉法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成15年7月8日参議院厚生労働委員会)
 保育所の待機児童の解消を目指して、保育所等の整備、受入れ児童数の拡大を図るとともに、延長保育、休日保育、夜間保育、障害児保育、病児保育、乳幼児健康支援一時預かり事業、放課後児童クラブ等の少子化対策推進基本方針及び新エンゼルプランに掲げられた各事業を着実に推進すること。

(5) 会計検査院による指摘
 なし。

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