(6−3−II)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 働きながら子どもを産み育てることなどを容易にする雇用環境を整備すること
II 育児・介護をしながら働き続けやすい環境を整備すること
担当部局・課 主管課 雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 ファミリー・サポート・センターの設置を前年度と比較し拡大させること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 市町村がファミリー・サポート・センターを設立し、地域における育児・介護のための相互援助活動を行うことを支援するため、都道府県及び市町村に対し補助金を交付した。
 また、平成13年度から平成15年度において、大都市圏におけるファミリー・サポート・センターの早期設置を促進するため、設置当初の円滑な運営の確保のための支援を実施した。

関連する経費
仕事と家庭両立支援特別援助事業(平成16年度予算額) 1,843百万円
(評価指標)
 ファミリー・サポート・センターの設置箇所数
H12 H13 H14 H15 H16
116 193 262 301 344
(備考)
 評価指標は、各年度の実績数である。
実績目標2 勤務時間短縮等の措置を普及させること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 平成13年には育児・介護休業法の改正により勤務時間短縮等の措置義務の対象となる子の年齢の引き上げを行った(平成14年4月施行)。また、「少子化対策プラスワン」(平成14年9月)、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」(平成15年3月少子化対策推進関係閣僚会議決定)及び「少子化社会対策大綱」(平成16年6月閣議決定)を踏まえ、説明会などあらゆる機会をとらえて、事業主等に対し、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に係る勤務時間短縮等の措置についての周知徹底を行った。
 また、平成14年度より、3歳以上小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に勤務時間短縮等の措置を利用させた事業主に対し支給する育児両立支援奨励金を創設し、助成措置を実施した。

関連する経費
育児両立支援奨励金(H16年度予算額)100百万円
(評価指標)
 小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置を規定している事業所の割合
H12 H13 H14 H15 H16
9.6% 10.2% 10.5%
(備考)
 評価指標は、「女性雇用管理基本調査」(平成14年度、平成15年度及び平成16年度)による。平成14年度、平成16年度は5人以上規模事業所調査、平成15年度は30人以上規模企業調査。平成12・13年度は数値なし。但し、平成16年度は暫定値である。
実績目標3 子供の看護休暇制度を普及させること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 平成13年の育児・介護休業法の改正により、子の看護休暇制度の導入を努力義務化した(平成14年4月施行)。
 また、また、「少子化対策プラスワン」(平成14年9月)、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」(平成15年3月少子化対策推進関係閣僚会議決定)及び「少子化社会対策大綱」(平成16年6月閣議決定)を踏まえ、説明会などあらゆる機会をとらえて、事業主等に対して、子の看護休暇制度導入について周知徹底を行った。
 さらに、平成14年度より、小学校の就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に看護休暇を利用させた事業主に対し支給する看護休暇制度導入奨励金を創設し、助成措置を実施した。
 また、平成16年度の育児・介護休業法の改正により、子の看護休暇制度を義務化した(平成17年4月施行)。

関連する経費
看護休暇制度導入奨励金(平成16年度予算額) 206百万円
(評価指標)
 看護休暇制度を規定している事業所の割合
H12 H13 H14 H15 H16
10.3% 16.9% 26.5%
(備考)
 評価指標は、「女性雇用管理基本調査」(平成14年度、平成15年度及び平成16年度)による。平成14年度、平成16年度は5人以上規模事業所調査、平成15年度は30人以上規模企業調査。平成12・13年度は数値なし。但し、平成16年度は暫定値。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 ファミリー・サポート・センターの設置箇所数は平成12年度以降着実に増加している。小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置の普及率については、統計上比較可能な平成14年度と平成16年度の割合を比べると、平成14年度は9.6%、平成16年度は10.5%、子の看護休暇制度の普及率については、平成14年度は10.3%、平成16年度は26.5%となっており、ともに上昇している。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 ファミリー・サポート・センターの設置促進により、着実に設置箇所数が増加しており、一層多くの地域において臨時的・突発的な育児・介護ニーズへの対応が可能となったと考えられる。これにより、育児・介護を行う労働者が仕事と育児・介護とを両立させ、働き続けることが容易になり、育児や介護を行う労働者の雇用の継続に資するものであると考えられる。
 また、小学校就学の始期に達するまでの勤務時間短縮等の措置及び子の看護休暇制度の普及率については、平成16年度は平成14年度を上回っている。周知啓発及び行政指導は、これらの制度の普及に有効であり、各種助成措置は、企業の両立支援の取組を促進するものとして、制度の普及に有効であったと考えられる。
政策手段の効率性の評価
 ファミリー・サポート・センターの設置促進事業は、地域における育児・介護サービスを必要とする労働者等のニーズを調査の上、市町村がファミリー・サポート・センターを設置運営するに当たり支援を行うものであり、一定のコストで効率的にファミリー・サポート・センターの設置数を拡大させることができ、その効率性は高いと考えられる。
 また、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に係る勤務時間短縮等の措置及び子の看護休暇制度の普及のためには、育児・介護休業法の周知徹底が必要不可欠であるが、事業主等に対する行政指導は直接強力に対象者に働きかけることができ、効率的な手段であると考えられる。
総合的な評価
 ファミリー・サポート・センターの設置促進事業の実施、小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置及び子の看護休暇制度の普及についての周知啓発及び行政指導、各種助成金措置の実施により、ファミリー・サポート・センターの設置箇所数は着実に増加しており、また小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置及び子の看護休暇制度の普及も進んでいることから、施策目標をほぼ達成したといえ、育児や介護をしながら働き続けやすい環境の整備が着実に進んでいるところである。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 平成14年9月に厚生労働省においてとりまとめた「少子化対策プラスワン」(平成14年9月)、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」(平成15年3月、少子化対策推進関係閣僚会議決定)及び「少子化社会対策大綱」(平成16年6月、閣議決定)において、小学校就学の始期までの勤務時間短縮等措置の普及率及び子どもの看護休暇制度の普及率について、25%という目標値が設定され、これらの目標の達成に向けて社会全体で取り組むこととされた。

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成13年10月31日衆議院厚生労働委員会、平成13年11月8日参議院厚生労働委員会)において、政府は「法の実効性を確保するため、本法に基づく諸制度や指針の周知徹底を図るとともに、的確な助言・指導・勧告を指導すること」「子の看護のための休暇制度の早期導入促進のため事業主に対する格段の相談・指導・援助に努めること」とされている。
 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成16年11月17日衆議院厚生労働委員会、平成16年11月30日参議院厚生労働委員会)において、政府は「育児休業、介護休業制度の有期契約労働者への適用については、休業の申出及び取得を理由とした雇止め等不利益な取扱いが行われないよう、本法改正の趣旨の周知徹底を図るとともに、法施行後の有期契約労働者の休業取得状況等を勘案し、その在り方について検討を行うこと」「看護休暇が子の看護のための休暇である趣旨から、取得に当たっては、子どもの負傷及び疾病が緊急かつ不測であることにかんがみ、取得手続きに十分な配慮を行うとともに、子の人数に配慮した制度とすることについて検討を行うこと」「男性の育児休業取得をより一層推進するため、数値目標達成に向けて事業主に対する指導、援助を進めるとともに、男性が子育てに参加することができる有効な方策の検討を進めること」とされている。

(5) 会計検査院による指摘
 なし

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