(6−3−I)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 働きながら子どもを産み育てることなどを容易にする雇用環境を整備すること
I 育児・介護休業を取りやすく、職場復帰をしやすい環境を整備すること
担当部局・課 主管部局・課 雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 育児・介護休業を取りたい人が全て休業を取得できるようにすること(取得率が現状を上回ること)
(実績目標を達成するための手段の概要)
 育児休業制度等をより利用しやすい仕組みとするため、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。育児・介護休業法)について、育児休業等の対象労働者の拡大、育児休業期間の延長、介護休業の取得回数制限の緩和、子の看護休暇制度の創設等を内容とする改正を行った(平成17年4月施行)。この改正を踏まえて、あらゆる機会をとらえて、同法についての周知啓発を行った。
 また、育児・介護休業法の実効性を確保するため、計画的な事業所訪問によって、指導等を行うとともに、育児休業に関する労働者からの相談に対しては、問題解決のための的確な助言に努めるとともに、事業主に対し、適切な行政指導を行った。
 あわせて、育児休業をとりやすい雇用環境の整備を図るよう事業主に対して集団指導を行うとともに、平成17年4月から次世代育成支援対策推進法に基づき、301人以上の企業等に仕事と子育ての両立を図るために必要な雇用環境の整備等を進めるための「一般事業主行動計画」の策定・届出が義務づけられたことから、企業に対し策定に向けた検討を働きかけるため、説明会を開催する等により、周知啓発を行った。
 また、仕事と家庭の両立を図りやすい環境の整備に取組む事業主に対し、育児介護雇用安定助成金等の支給による助成措置を行った。
 毎年10月の「仕事と家庭を考える月間」を中心に、社会一般に対し仕事と家庭の両立に対する意識啓発を行った。

○ 関連する経費
 ・ 育児・介護雇用安定等助成金(平成16年度予算額) 2,640百万円
(評価指標)
 男女の育児休業取得率
H12 H13 H14 H15 H16
男性
0.33%
男性
0.44%
男性
0.56%
女性
64.0%
女性
73.1%
女性
70.6%
(備考)
 評価指標は、「女性雇用管理基本調査」(平成14年度、平成15年度及び平成16年度)による。平成14年度、平成16年度は5人以上規模事業所調査、平成15年度は30人以上規模企業調査。平成12・13年度は数値なし。但し、平成16年度については暫定値である。
実績目標2 育児・介護休業制度を定着させること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 あらゆる機会をとらえて育児・介護休業法の内容の周知徹底を行うとともに、計画的な事業所訪問により、制度の規定整備のための行政指導を行い、育児・介護休業制度の定着を図った。
 また、「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について(子ども・子育て応援プラン)」(平成16年12月少子化社会対策会議決定)において、育児休業制度等についての取組の推進として、育児休業制度の定着を具体的施策として盛り込んだ。
(評価指標)
 育児・介護休業制度を規定している事業所の割合
H12 H13 H14 H15 H16
育児
61.4%
介護
55.3%
(備考)
 評価指標は「女性雇用管理基本調査」(平成14年度。5人以上規模事業所調査)による。平成12・13・15・16年度は数値なし。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 育児休業取得率については、統計上比較可能な平成14年度と平成16年度の取得率を比べると、男性は平成14年度が0.33%、平成16年度が0.56%(暫定値)、女性は平成14年度が64.0%、平成16年度が70.6%と、男女とも増加している。
 就業規則等に育児休業・介護休業についての規定のある事業所の割合は、育児休業制度は平成11年度が53.5%、平成14年度が61.4%、介護休業制度は平成11年度が40.2%、平成14年度が55.3%と、ともに増加している。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 育児休業取得率は、平成14年度と平成16年度の取得率を比較すると、男女とも増加していることから、目標を達成しており、各施策の効果はあがっていると考えられる。また、育児休業を取得しにくい理由として職場の雰囲気の問題などが指摘されており、こうしたことからも、仕事と家庭の両立に対する意識啓発を行うとともに、企業における両立支援の取組を促進することは、仕事と家庭との両立を図りやすい環境の整備に有効であったと考えられる。
政策手段の効率性の評価
 育児休業制度の定着を図るなど、育児休業をとりやすい環境の整備を図るためには、育児・介護休業法の周知徹底が必要不可欠であるが、事業主等に対する行政指導は直接強力に対象者に働きかけることができ、効率的な手段であると考えられる。
総合的な評価
 仕事と家庭との両立を図りやすい環境の整備に一定の進展はあったものの、依然として男性も含め職場の雰囲気の問題等があり育児休業を取ることに理解が得られず、取りたい人が取れない状況にあると言える。育児休業を取得しやすく、仕事と家庭との両立を図りやすい職場づくりのためには、事業主による取組を促すとともに、労働者も含めて、職業生活と家庭生活の両立の重要性等について、より一層周知啓発を図る等の施策を進めることが必要である。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 「少子化社会対策大綱」(平成16年6月閣議決定)において、男性10%、女性80%という育児休業取得率の目標値等が設定され、その達成に向けて社会全体で取り組むこととされた。

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成16年11月17日衆議院厚生労働委員会、平成16年11月30日参議院厚生労働委員会)において、政府は「育児休業、介護休業制度の有期契約労働者への適用については、休業の申出及び取得を理由とした雇止め等不利益な取扱いが行われないよう、本法改正の趣旨の周知徹底を図るとともに、法施行後の有期契約労働者の休業取得状況等を勘案し、その在り方について検討を行うこと」「看護休暇が子の看護のための休暇である趣旨から、取得に当たっては、子どもの負傷及び疾病が緊急かつ不測であることにかんがみ、取得手続きに十分な配慮を行うとともに、子の人数に配慮した制度とすることについて検討を行うこと」「男性の育児休業取得をより一層推進するため、数値目標達成に向けて事業主に対する指導、援助を進めるとともに、男性が子育てに参加することができる有効な方策の検討を進めること」とされている。

(5) 会計検査院による指摘
 なし

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