(3−4−III)
平成17年8月
政策体系 | 番号 | |
基本目標 | 3 | 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること |
施策目標 | 4 | 勤労者生活の充実を図ること |
III | 自由時間の充実等勤労者生活の充実を図ること | |
担当部局・課 | 主管部局・課 | 労働基準局勤労者生活部勤労者生活課 労働基準局勤労者生活部企画課労働金庫業務室 |
関係部局・課 |
1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 | 勤労者のボランティア活動への参加等自由時間の充実を図ること | |||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) 勤労者が希望に応じてボランティア活動に参加することができるように、事業主団体及びNPO・ボランティア関係団体が連携しつつ、ボランティア参加を希望する勤労者とその受入先とのマッチング、情報提供・相談活動、広報・啓発活動、企業担当者を対象としたセミナー、勤労者を対象としたガイダンスの開催、きっかけづくりとなる体験プログラム等の実施により、勤労者のボランティア活動への参加に向けての基盤整備を図る(勤労者マルチライフ支援事業の推進)。
|
||||||||
(評価指標)勤労者マルチライフ支援事業の実施状況 ・参加者数(セミナー・ガイダンス、体験プログラム等への参加者数) |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||
− | 5,540 (第1期) |
23,683 (第1期) |
32,758 (第1期) |
22,872 (第2期) |
||||
(評価指標)勤労者マルチライフ支援事業参加者のボランティア活動に対する意識の変化 ・本事業のプログラムに参加した勤労者の50%以上から「プログラムに参加してボランティア活動の意識が高まった」との評価を受ける。 |
H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||
− | − | 54.8% | 56.7% | 80.2% | ||||
(備考)
|
||||||||
実績目標2 | 中小企業勤労者の総合的な福祉の充実を図ること | |||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) 市区町村単位に設立された中小企業勤労者福祉サービスセンターに対し、市区町村が管理運営費等を補助した場合、一定額を上限にその一部経費の2分の1を国が補助することにより、中小企業勤労者福祉サービスセンター事業の促進及び事業の活性化を支援し、中小企業勤労者の総合的な福祉の充実を図る。
|
||||||||
(評価指標)中小企業勤労者福祉サービスセンターの総会員数(単位:人) | H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||
778,972 | 786,798 | 806,137 | 850,646 | 911,209 | ||||
(備考) データ出所:厚生労働省調べ |
||||||||
実績目標3 | 労働金庫の健全性のための施策を推進すること | |||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) 労働金庫の健全性を確保するため、個々の労働金庫に対して概ね2年に1回は検査を実施できるようにする。
|
||||||||
(評価指標)全労働金庫に対する検査実施状況(検査実施率) | H12 | H13 | H14 | H15 | H16 | |||
31% | 52% | 62% | 50% | 46% | ||||
(備考)データ出所:厚生労働省調べ |
2.評価
(1) 現状分析
近年の終身雇用や年功賃金を中心とする雇用慣行が変わりつつあり、これまでの職縁を中心とするつながり意識が多様化しつつある。また、地域では、高齢者の介護、環境保全、地域の活性化等の問題解決の担い手として個々人のボランティア活動が求められており、平成15年度に厚生労働省が実施した調査(「企業及び勤労者のボランティア活動に関する調査」)によれば、調査対象の勤労者のうち、約53.8%がボランティアに関心を持っており、実際に過去1年間に「ボランティア活動した」者の割合は全体の約23.5%の結果となっている。また、平成16年度における本事業プログラムに参加した勤労者に対し実施した、ボランティア活動の参加意向についてのアンケート調査によると、「積極的に参加したい」(15.1%)、「機会があれば参加したい」(54.8%)、「希望するプログラムがあれば参加したい」(23.9%)等となっており、機会があればボランティア活動に参加するであろう勤労者の潜在層が9割を超えていることを示している。 (実績目標2について) 中小企業勤労者の福祉の実態については、「就労条件総合調査」(平成14年厚生労働省)によれば、常用労働者数5,000人以上の規模の企業を100とすると、常用労働者数30〜99人規模の企業の場合、法定福利厚生費は70、法定外福利厚生費は24と、中小企業勤労者は大企業勤労者に比べて福利厚生面で大きな格差が見られるところであり、従来より中小企業勤労者への総合的な福祉事業の充実が求められているところである。 このため、中小企業の事業主と従業員を会員とする中小企業勤労者福祉サービスセンターを市区町村単位で設立し、当該市区町村の支援のもと、共同で福利厚生事業を行うことにより、会員である中小企業勤労者の福祉の向上を図っているところである。 (実績目標3について) 労働金庫については、全般的に健全性が維持されている。他業態の金融機関で経営健全化を進めている中、労働金庫においても引き続きその健全性の維持に努める必要がある。また、一部の労働金庫において内部管理態勢に問題が認められたため、法令等遵守態勢の確立に努めているところである。 |
(2) 評価結果
16年度は、勤労者マルチライフ支援事業の第2期1年目にあたり、新たな事業実施地域(12道県、なお、本事業は1期3年という期間において、対象地域における勤労者のボランティア活動への参加に向けての基盤整備を図っており、平成16年度は第2期1年目にあたり、第1期(平成13年度〜15年度)実施地域とは異なる新規地域で事業を実施している。但し2県においては第1期からの継続実施地域である。)においては事業開始の年として、本事業の目的である勤労者のボランティア活動への参加に向けての基盤整備を図るため、本事業の広報活動を積極的に行うと同時に、勤労者等のニーズに沿ったボランティア活動プログラム等を企画・実施した。 例えば、ボランティア活動を希望する勤労者の利便性に資するため、ボランティア活動情報やボランティア受入団体情報の収集・提供を行うとともに、企業等で出張相談等を実施し、ポスター及びリーフレット等により事業の趣旨等を説明し、ボランティア活動への参加及び支援に向けた勤労者及び企業の意識啓発を図るとともに、企業の社会貢献担当者向けセミナー及び勤労者向け体験プログラム等を実施したところである。 上記のような広報・啓発活動を行うことにより、平成16年度(第2期1年目)において各実施地域ごとに企画・実施したセミナー・ガイダンス、体験プログラム等については、平成13年度(第1期1年目)と比較して約4倍となる22,872人の勤労者の参加が得られた。また、参加者に対し意識調査を実施したところ、平成15年度(第1期3年目)と比較して、23.5%アップの80.2%の参加者から「プログラムに参加してボランティア活動の参加意欲が強まった」との評価を得た。 このことから、勤労者マルチライフ支援事業が勤労者のボランティア活動への参加意欲を喚起し、ボランティア活動に参加するためのきっかけをつくり、ボランティアを希望する人を実際の活動に結び付けることに寄与しているといえる。 (実績目標2について) 中小企業勤労者の福祉の実態については、「就労条件総合調査」(平成14年厚生労働省)によれば、常用労働者数5,000人以上の規模の企業を100とすると、常用労働者数30〜99人規模の企業の場合、法定福利厚生費は70、法定外福利厚生費は24と、中小企業勤労者は大企業勤労者に比べて福利厚生面で大きな格差が見られるものの、近年の景気低迷による厳しい経済状況の中にあって、中小企業への周知等会員数拡大の努力の結果、各地のサービスセンターの総会員数が毎年増加しており、平成16年度におけるサービスセンターの総会員数は約91万人となっている。平成15年度におけるサービスセンターの総会員数は約85万人であり、平成15年度から約6万人増加している状況であることから、中小企業勤労者への総合的な福祉事業の充実に寄与していると評価することができるものである。 (実績目標3について) 労働金庫に臨検して、資産査定や法令等遵守態勢等についての検査を実施し、所要の改善命令を発する現行の検査手法により、労働金庫については、他の金融業態と比較してリスク管理債権が低い状況を維持することができている。よって、当該手段は有効である。 |
|||||
平成16年度において、本事業プログラムに参加した勤労者に対するアンケート調査によると、ボランティア未経験者がボランティア活動を始めるための条件として、「自分ができる内容のものが見つかれば」(52.7%)、「時間ができれば」(44.4%)、「一緒に活動してくれる仲間がいれば」(24.2%)、「ボランティア活動を体験する機会があれば」(23.2%)、「ボランティア情報が得られれば」(12.6%)(複数回答)等が挙げられている。すなわち、勤労者のボランティア活動参加のためには、勤労者向けのボランティア活動情報や受入団体情報の提供、きっかけづくりのための機会の提供とともに、企業がボランティア活動を前向きに捉え、参加の風土をつくることも重要である。 勤労者マルチライフ支援事業は、事業主団体及びNPO・ボランティア関係団体の連携の下でそれぞれの団体の特性を活かし、企業及び勤労者への啓発活動、企業担当者とNPO・ボランティア関係団体とのネットワークの構築を通じたボランティア情報の提供、セミナー・ガイダンスの開催、体験プログラムの実施等により、勤労者がボランティア活動に参加するきっかけを与えるものである。このように、勤労者のボランティア活動への参加の後押しをすることは、勤労者が関心のある職場外の多種多様な活動への参加を促進することから、施策目標の手段として効率的であるといえる。 (実績目標2について) 多数の社員を有し全国的な展開を図る大企業と異なり、中小企業は地域社会と密接な関係を持っていることから、中小企業勤労者の福祉の向上については、中央で一元的に指示、運営するのではなく、地域の実情に合わせて推進する必要がある。このような観点から、本事業は、各地域において中小企業の勤労者と事業主が協力して中小企業勤労者福祉サービスセンターを設立し、地域の実情に合わせて福祉事業を実施するものである。また、この場合の地域については、効率的に中小企業勤労者の福祉の向上を図る観点から一定の適正な規模として、市区町村単位の形態で行われている。 以上より、各地域におけるサービスセンター事業の促進及び事業の活性化の支援を行うため、厚生労働省が一定の期間補助を実施する本事業は、施策目標を達成する上でも効率的であるといえる。 (実績目標3について) 労働金庫に対する検査は、個々の労働金庫について概ね2年に1回は臨検を行っており、(平成14年度は62%(合併前金庫に対する臨時検査含む)、平成15年度は50%、平成16年度は46%)労働金庫の健全性を効率的に維持することが可能となっている。 |
|||||
平成16年度は、勤労者マルチライフ支援事業の第2期1年目であり、各新規事業実施地域においては、企業の労務担当者向けセミナーの実施、各種勤労者向け体験プログラムの提供、企業の社会貢献担当者向けセミナーの実施、ボランティア活動を希望する勤労者に対する企業を通じたボランティア情報の提供等を積極的に行った結果、本事業の参加者の80.2%から「プログラムに参加してボランティア活動の参加意欲が強まった」と評価を受け、目標を達成した。 本年度は、第2期2年目として、1年目の実績に基づき、事業主団体及びNPO・ボランティア関係団体や労使、有識者、地方公共団体等の参加による推進地域協議会において、地域の実情に合った事業運営を再検討し、地域の勤労者のニーズに沿ったボランティア活動プログラム等を企画、実施していくこととしている。 また、中央では4年間実施したノウハウ及び実績等を踏まえて、第2期実施地域における事業を効果的に進めるとともに、第1期実施地域のフォローアップ、未実施地域での普及啓発、関係省庁との連携強化を踏まえた事業展開を図っていくこととする。 (実績目標2について) サービスセンターの総会員数が着実に増加していることで、目標達成に向けて進展があったと言えるが、大半の中小企業勤労者はサービスセンター事業の恩恵を受けておらず、また、未だサービスセンターの設立されてない地域もあることから、今後とも本事業の促進及び事業の活性化を図る必要がある。 (実績目標3について) 概ね2年に1回という労働金庫に対する検査実施率の定着等により、リスク管理債権が低い状況を維持することができている等、その健全性が確保されており、目標を達成した。
|
3.特記事項
|