(11−2−I)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 11 国民生活の向上に関わる科学技術の振興を図ること
施策目標 研究を支援する体制を整備すること
I 厚生労働科学研究費補助金の適正かつ効果的な実施を確保すること
担当部局・課 主管部局・課 大臣官房厚生科学課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 競争的資金による研究を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 厚生労働科学研究費補助金について、原則的に研究課題の公募を行い、厚生労働省所管の科学研究に対し助成することにより、研究の支援を図る。
関連する経費
厚生労働科学研究費補助事業(平成16年度予算額) 41,964百万円
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
競争的資金の助成件数(件) 1,152 1,251 1,388 1,388 1,346
(厚生労働科学研究費補助金の助成件数(件)) 1,152 1,251 1,458 1,454 1,420
(備考)
数値は、厚生労働科学研究費補助金の採択課題数。なお、競争的資金の助成件数は厚生労働科学研究費補助金の助成件数の内数。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
競争的資金の助成額(百万円) 28,520 32,885 39,284 38,011 37,930
(厚生労働科学研究費補助金の助成額(百万円)) 28,520 32,885 40,702 41,687 41,964
(備考)
数値は、厚生労働科学研究費補助金の予算額。なお、競争的資金の助成額は厚生労働科学研究費補助金の助成額の内数。
実績目標2 研究交流や共同研究の活性化を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 厚生労働科学研究推進事業として、研究の中核となる人材を育成するため、若手研究者を対象研究事業を行う海外の他の研究機関に派遣することなどを内容とした若手研究者育成活用事業を実施する。
関連する経費
若手研究者育成活用事業(平成16年度予算額)2,659百万円
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
厚生労働科学研究推進事業(若手研究者育成活用事業など)による海外派遣人数・受入人数(予算上の対象人数) 299 414 541 500 489
厚生労働科学研究推進事業(若手研究者育成活用事業など)による海外派遣人数・受入人数(実績上の対象人数) 209 416 508 469 429
(備考)
人数は、若手研究者育成活用事業の予算及び実績上の対象人数。
実績目標3 厚生労働科学研究成果に関するデータベースを整備すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 厚生労働科学研究費補助金による研究の成果について、国立保健医療科学院の設置するデータベース上に着実に搭載する。
関連する経費
電子図書館事業(平成16年度予算額)56百万円
(評価指標)
データベース搭載件数
H12 H13 H14 H15 H16
730 949 1,046 1,136
(備考)
 搭載件数は、各年度に終了した研究の報告書本文の数(数値は平成17年5月11日現在)。なお、平成16年度終了分については、現在、研究成果の整理等を行っており、できるだけ早い搭載を目指している。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
・厚生労働省においては、厚生労働科学研究費補助金により研究の支援を行っており、必要に応じ研究の進展等にあわせて対象とする研究事業の見直しを行っているほか、公募を前年度の10月から実施するなど研究の適正かつ効果的な実施に向けた取組みを行っている。
・研究交流や共同研究の活性化を図るため、研究者が多様な経験を積み、研究者の流動性を高めるためには、研究者の交流を促進することが重要である。このため、厚生労働科学研究推進事業において、研究者を対象研究事業を行う海外の他の研究機関に派遣するなど人的交流に関する支援を行っている。
・厚生労働科学研究費補助金による研究の成果については、毎年度、国立保健医療科学院の設置するデータベース上に搭載し、ホームページを通じて広く一般に公開している。また、紙媒体の研究報告書についても、厚生労働省図書館等において閲覧に供している。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
・厚生労働科学研究費補助金については、毎年度、対象とする研究事業を見直し、必要な分野を対象に助成を行うとともに、研究の件数及び額を増加させたてきたことにより、研究の一層の推進が図られている。なお、平成15年度以降に厚生労働科学研究費補助金のうち競争的資金の助成件数及び額が減少傾向にあるのは、平成14年12月の「バイオテクノロジー戦略大綱」(バイオテクノロジー戦略会議)の策定や平成15年4月のヒトゲノムの解読完了等に関連し、政策的な必要性が高い大規模なプロジェクトとして、具体的な研究課題等を予め指定する必要性の高い研究(例:疾患関連たんぱく質解析プロジェクト(平成15年度予算額5億円、平成16年度予算額約6.6億円)、身体機能解析・補助・代替のための機器開発プロジェクト(平成15年度予算額7億円、平成16年度予算額7億円)、治験活性化プロジェクト(平成15年度予算額8.5億円、平成16年度予算額約10.8億円))が増加したことによるものである。
・研究者を対象研究事業を行う海外の他の研究機関に派遣すること等により、研究交流や共同研究を直接的に支援している。また、派遣対象者については外部の専門家の審査を経て決定しており、有効に運営されていると考えられる。なお、実績値が減少しているのは、希望者や審査後の適格者が予算上の人数よりも少ないためであり、予算上の対象人数が減少しているのは実績値を次年度の予算に反映させているためである。
・厚生労働科学研究費補助金による研究の成果を容易に検索し活用するためには、データベース化することが有効であることから、かねてよりホームページ上で保健医療に関する文献を検索できる電子図書館を整備していた国立保健医療科学院において、ホームページにデータベースを設置・運営している。また、平成16年度にはシステムを更新し、研究者が研究の概要をホームページ上で登録することができるようにするなどにより、有効に活用されていると考えられる。
政策手段の効率性の評価
・厚生労働科学研究費補助金については、原則的に研究課題の公募を行い、採択に際しては外部の専門家による評価を実施するなど、優れた研究に対して助成する競争的資金とすることにより、効果的・効率的な研究の推進を図っている。
・厚生労働科学研究推進事業(若手研究者育成活用事業など)については、研究課題の公募を行い、外部の専門家による評価を実施するなど、優れた研究である厚生労働科学研究費補助金の採択研究に関わる人材を対象とすることにより、同補助金と同様、効果的・効率的な研究の推進を図っている。
・厚生科学研究費補助金による研究成果のデータベースへの搭載については、かねてより電子図書館を整備していた国立保健医療科学院において集中的に実施することが、既存の設備を利用することができ、1カ所で実施することにより運営管理面、コスト面から見て事務の重複などがないため、効率的である。また、平成16年度にはシステムを更新し、研究者が研究の概要をホームページ上で登録することができるようにすることにより、掲載事務の簡略化がなされ効率的に搭載されている。
総合的な評価
 有効性の評価及び効率性の評価から総合的に判断すると、目標の達成に向けて進展があった。
・施策目標の達成のためには、今後とも、厚生科学研究費補助金について、対象とする研究事業を必要に応じて見直しつつ、原則的に研究課題の公募を行い、優れた研究に対する助成を行うなど、より一層の充実を図る必要がある。
・施策目標の達成のためには、今後とも、厚生科学研究推進事業による若手研究者育成活用事業の継続的な実施・充実等を図り、若手研究者を中心に人材の育成に努めていく必要がある。
・施策目標の達成のためには、今後とも、厚生科学研究費補助金による研究の成果を国立保健医療科学院の設置するデータベース上に搭載し、公開することが必要である。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
・公募の採択においては、支援対象研究分野の専門家による評価を行っている。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
(「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
・科学技術基本計画(平成13年3月30日閣議決定)において、「第2期基本計画の期間中に競争的資金の倍増を目指す」こと等とされている。
・科学技術基本計画(平成13年3月30日閣議決定)において、「研究者が多様な経験を積むとともに、研究者の流動性を高めるため、産学官間の交流や国際交流を重視する」こととされている。
・科学技術基本計画(平成13年3月30日閣議決定)において、「研究成果、研究資源等の研究開発情報のデータベース化・・・を引き続き推進する」こととされている。
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし。
(5) 会計検査院による指摘
なし。

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