(1-7-III)
実績評価書
平成17年8月

政策体系 番号  
基本目標 1 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 7 血液製剤の国内自給を推進するとともに、安全性の向上を図ること
III 血液製剤の安全性の向上を図ること
担当部局・課 主管部局・課 医薬食品局血液対策課
関係部局・課  


1. 施策目標に関する実績の状況
実績目標1 各種抗体検査等を実施すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 安全かつ良質な血液製剤を供給するため、抗原・抗体検査、核酸増幅検査(NAT)等各種検査を実施している。

 ○ 関連する経費(平成16年度予算額)
 ・ 血液事業指導・調査費 2百万円
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
 検査項目数 4項目 4項目 4項目 4項目 4項目
 検査実施率 100% 100% 100% 100% 100%
(備考)
 血液型検査、抗原・抗体検査及び生化学検査等は、採取されたすべての血液について実施されており、これらの検査に合格した血液については核酸増幅検査(平成16年8月より、20プールNAT)が実施されている。
実績目標2 複数回献血を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 血液製剤の一層の安全性を図る観点から、個々の献血者が複数回の献血を行うことを推進するため、「複数回献血検討会」における関係者の議論を通じ、我が国に相応しい複数回献血の推進のための環境整備方策を検討した。
 今後、検討結果等を踏まえ各血液センターに複数回献血者を確保するためのクラブ等を設置するなど、効果的な方策を検討する。
(評価指標) H12 H13 H14 H15 H16
献血者の年間献血回数 1.53 1.57 1.58 1.57 1.57
(備考)
 複数回献血検討会における検討(評価指標の在り方も含む。)を平成13年度から開始し、平成15年度において終了した。


2. 評価

(1) 現状分析
現状分析
 NAT等新たな検査法の導入や献血者への問診強化等により、安全性の高い血液製剤が提供されているが、平成15年6月から開始された供血者からの遡及調査の実施により、これらの検査法の検出限界を下回る微量のウイルスによる輸血後感染事例が明らかになり、安全対策の一層の充実が求められている。
 平成15年7月30日から「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」が施行され、同法に規定された血液製剤の安全性確保等に関する採血事業者、製造業者及び輸入販売業者の責務に基づき、日本赤十字社が採血事業者及び輸血用血液製剤の製造業者として、8項目の安全対策の実施を表明するなど、自主的な取組みが進められている。
 平成16年7月に「輸血医療の安全性確保のための総合対策」をとりまとめ、以下の事項につき必要な施策を実施している。
 1.  健康な献血者の確保の推進
 2.  検査目的献血の防止
 3.  血液製剤に係る検査・製造体制等の充実
 4.  医療現場における適正使用等の推進
 5.  輸血後感染症対策等の推進
 また、平成16年度には、このほかNATガイドライン及び遡及調査ガイドラインを策定するとともに、血小板製剤の保存前白血球除去を実施している。
 なお、複数回献血の推進方策等については、「複数回献血検討会」の検討結果を踏まえ、各血液センターに複数回献血者を確保するためのクラブ等を設置するなど、具体的かつ効果的な方策を検討することとしている。
 平成17年2月に国内で初めて変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者が確認されたことから、英国に1日以上滞在歴のある方からの献血制限を実施することとしている。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 血液型検査、抗原・抗体検査及び生化学検査等は、採取されたすべての血液について実施されており、これらの検査に合格した血液について核酸増幅検査が実施されていることから、血液製剤の安全性の向上に有効である。また、検査目的献血を防止するため、献血時に身分証等の提示を求めることによる本人確認の厳格化を行っており、検査目的献血者の接近を阻止する効果を持つため安全性の確保に有効である。
政策手段の効率性の評価
 安全性確保のためには、すべての血液について4項目の検査する必要があり、検査機械を導入して効率性を図っている。
 複数回献血は、同一人が複数回献血をするという簡単な方法により血液製剤の安全性の向上につながるため、効率的な手法といえる。
総合的な評価
 血液製剤の安全性確保のため、血液型検査、抗原・抗体検査、生化学検査及び、核酸増幅検査を実施し、輸血による感染の可能性は大幅に減少した。
 また、採血事業者及び製造業者等による血液製剤の安全性の向上についての取組により一層の充実が図られていること及び医療機関における血液製剤の適正使用及び安全管理に必要な体制整備を図っていることから、施策目標の達成に向けて進展があったものと評価できる。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)


3. 特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 血液事業部会、安全技術調査会の意見を踏まえ、血漿分画製剤の製造業者等に対して製造工程の検証又は改善等を指導した。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし。
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。
(5) 会計検査院による指摘
 なし。

トップへ