戻る

(8−3−I)
実績評価書
平成16年8月

政策体系 番号  
基本目標 障害のある人も障害のない人も地域でともに生活し、活動する社会づくりを推進すること
施策目標 障害者の自己実現や社会参加を通じた生活の質の向上を進めること
I 障害者が必要とする情報や福祉用具等を十分に入手できる体制を整備すること
担当部局・課 主管課 社会・援護局障害保健福祉部企画課社会参加推進室
関係課  

1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 字幕や手話入りビデオテープ等の普及を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 社会福祉法人聴力障害者情報文化センターに「ビデオカセットライブラリー等製作貸出事業」を委託している。
(評価指標)
字幕や手話入りビデオテープの製作数
H11 H12 H13 H14 H15
894 1,088 896 945 982
(備考)
 資料出所:各年度事業実績報告書
実績目標2 点字図書等(声の図書、デジタル録音図書)の普及を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 社会福祉法人日本点字図書館及び社会福祉法人日本ライトハウスに「点字図書製作貸出事業」及び「声の図書製作貸出事業」を委託している。
(評価指標)
点字図書等の発行数、貸出数
H11 H12 H13 H14 H15
214,591 199,066 197,850 166,801 164,341
(備考)
 資料出所:各年度事業実績報告書
実績目標3 障害者情報ネットワーク(ノーマネット)等の普及及びそれを利用した情報提供の充実を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 財団法人日本障害者リハビリテーション協会が実施する「障害者情報ネットワーク運営事業」に要する経費について補助を行っている。
(評価指標)
障害者情報ネットワーク(ノーマネット)のアクセス数
H11 H12 H13 H14 H15
347,452 1,322,258 2,294,290 31,523,721 52,263,156
(備考)
 資料出所:各年度事業実績報告書
実績目標4 手話通訳等の普及を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 手話通訳士試験(手話通訳を行う者の知識及び技能の審査・証明事業)を実施している社会福祉法人聴力障害者情報文化センターに対して、毎回の試験結果についての報告を求めるとともに、試験の実施要領を改善するように指導を行っている。
 また、障害者生活訓練・コミュニケーション支援等事業による手話通訳者養成事業(国庫補助事業−補助対象:都道府県、指定都市)及び市町村社会参加促進事業よる手話通訳者養成事業(国庫補助事業−補助対象:市町村)により、手話通訳者の養成を図っている。
(評価指標)
手話通訳士の合格者数
H11 H12 H13 H14 H15
50 63 40 98 117
(評価指標)
手話通訳者等の養成研修者数
H11 H12 H13 H14 H15
3,341 4,535 11,811 17,913
(備考)
 資料出所: (手話通訳士合格者)各年度事業報告書
(手話通訳者等の養成研修者数)当室調べ
実績目標5 利便性に優れ、実用性の高い福祉用具の着実な開発及びこれに資するための実践的な研究を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」(平成5年法律第38号)に基づき、福祉用具の研究開発を行う民間事業者に対し、財団法人テクノエイド協会を通じて助成金を交付している。
 国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて、毎年研究課題を定め、福祉用具に関する研究開発を実施している。
(評価指標)
国立身体障害者リハビリテーションセンターにおける研究件数
H11 H12 H13 H14 H15
(評価指標)
財団法人テクノエイド協会を通じた研究開発助成件数
H11 H12 H13 H14 H15
16 20 16 16 16
(備考)
 資料出所:各年度事業報告書

2.評価
(1) 現状分析
現状分析
 障害者に対する情報提供については、多様化する障害者のニーズに応え、様々な媒体を活用すること等により、障害者の情報入手の機会、コミュニケーション手段の拡大に寄与しているところであり、また、手話通訳士及び手話通訳者の養成が着実に行われていることから、施策目標は達成されている。
 福祉用具については、助成事業により開発された成果物の中には、商品化されているものも少なくなく、これらは、障害者及びその介護者に広く使用され、障害者の日常生活における負担の軽減、社会参加の促進に寄与しているところであり、施策目標は達成されている。
 また、国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいては、身体障害者に関するリハビリテーション技術の研究開発や補装具の試験評価等に関する研究開発に取り組み、身体障害者の福祉の向上に寄与している。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 実績目標1の「字幕や手話入りビデオテープ等の普及の推進」については、聴覚障害者関係施設、団体等を通じて、多くの聴覚障害者に利用されているところであり、一般の放送番組等において、字幕付きの放送が完全普及に至っていない現在にあっては、本事業の有効性は認められる。
 実績目標2の「点字図書等(声の図書、デジタル録音図書)の普及の推進」については、評価指標である「点字図書等の発行数、貸出数」が低下しているが、それは、録音図書の媒体が従前のカセットテープからCDに順次移行している一方、評価指標にはCDによる録音図書の製作・貸出数が含まれていないためである。平成11年度補正予算(第2号)における「点字図書情報ネットワーク整備事業」により、視覚障害者がインターネットにより全国の点字図書館の蔵書等のデータを把握することが可能となるとともに、平成16年度からは、視覚障害者団体等の要望を踏まえ、声の図書のCD化及びインターネットによる配信を導入しているところであり、今後、利用者が大きく増大することが見込まれることから、本事業の有効性は認められる。
 実績目標3の「障害者情報ネットワーク(ノーマネット)等の普及及びそれを利用した情報提供の充実」については、インターネットによるホームページ、メーリングリスト等を通じて、障害者が必要とする幅広い情報を収集し提供するとともに、利用者同士が必要な情報交換をするためのネットワークであり、障害者関係団体からも様々な情報提供を受けた上で実施している。アクセス件数が大幅に増加傾向にあることも、障害者の情報収集の機会拡大に本事業が貢献していることの表れであり、事業の有効性は認められる。
 実績目標4の「手話通訳等の普及の推進」については、手話通訳士は、手話通訳の知識及び技能がある一定程度のレベル以上に達している者であり、その数が増えていることから、聴覚障害者が必要な情報を入手できる体制が整備されていると言える。また、手話通訳者の養成についても同様に登録者数が増加しており、これらの事業の有効性は認められる。
 実績目標5の「利便性に優れ、実用性の高い福祉用具の着実な開発及びこれに資するための実践的な研究の推進」については、国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて、例年と同様に7件の研究課題を定め、確実に研究開発が実施されており、事業の有効性が認められる。また、財団法人テクノエイド協会による「障害者の自立促進、介護者の負担軽減に資する福祉用具開発」についても、例年どおり16件分について採択・実施がなされ、民間企業にとっては参入に当たってリスクの大きい福祉用具市場の規模の拡大及び利用者の利便性の向上の促進を図っているところであり、本事業の有効性は認められる。
政策手段の効率性の評価
 実績目標1から3に係る施策については、事業の実施を障害者関係団体が担い、障害者のニーズを的確に捉えた情報提供内容及び実施体制の確保に努めているところであり、効率的に事業の実施がなされている。
 実績目標4の「手話通訳等の普及の推進」については、手話通訳士の認定は、審査・証明事業を的確かつ円滑に実施するために必要な経理的基礎及び事務的能力を有するものであること等といった基準を満たしていると厚生労働大臣が認定を行った法人が実施しており、効率的に事業の実施がなされている。
 実績目標5の「利便性に優れ、実用性の高い福祉用具の着実な開発及びこれに資するための実践的な研究の推進」については、国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて、年次計画による計画的な研究開発が実施されるなど、効率性の確保が図られている。また、テクノエイド協会においては、専門家等による審査委員会の審査のもと、障害者のニーズを踏まえた研究開発に絞り、採択のうえ助成を実施しているところであり、事業の効率性は認められる。
総合的な評価
 障害者に対する情報提供については、多様化する障害者のニーズに応え、様々な媒体を活用し、障害者の情報入手の機会やコミュニケーション手段の拡大を図っているほか、社会福祉法人による手話通訳士試験の実施、都道府県・市町村における手話通訳者の養成により、手話通訳等の普及が効果的・効率的に行われている。今後も施策目標の達成に向けてより一層の推進を図っていく。
 福祉用具については、「障害者の自立促進、介護者の負担軽減に資する福祉用具開発」を効果的・効率的に実施しているところであり、施策目標である「障害者の自己 実現や社会参加を通じた生活の質の向上」を達成している。
評価結果分類 分析分類
(3) (2)

3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし。

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
障害者基本計画(平成14年12月24日閣議決定)(抄)
 生活支援
(6) 福祉用具の研究開発・普及促進と利用支援
   福祉用具に関する情報の提供や相談窓口の整備を推進する。特に、専門的な相談に対応していくため、情報提供機関や相談機関のネットワーク体制の構築を図る。
 福祉用具の相談等に従事する専門職員の資質向上のため、研修の充実を図る。
 国立身体障害者リハビリテーションセンター、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)における福祉用具開発のための先進的研究を推進するとともに、研究機関、大学、企業等の連携により、福祉用具の開発等を進める。また、研究成果の安全かつ適切な普及を図るために、積極的に標準化を進めるとともに、国際規格提案を行う。
 情報・コミュニケーション
(3) 情報提供の充実
   聴覚障害者情報提供施設について、全都道府県での整備を促進する。
 放送事業者の協力も得て、字幕番組、解説番組、手話番組など障害者に配慮した情報提供の一層の拡充のための施策を推進する。
 点字図書、字幕付きビデオなど視聴覚障害者への情報提供サービスの充実を図るとともに、公共サービスにおいては、点字、録音物等による広報の促進を図る。また、字幕付きビデオ作成に係る著作権の運用改善を図る。
(4) コミュニケーション支援体制の充実
   コミュニケーション支援を必要とする視聴覚障害者に対する手話通訳者、要約筆記者及び盲ろう通訳者の養成研修を推進するとともに、これらの派遣体制の充実強化を推進する。
 各種サービス窓口における手話のできる職員の育成、配置を働きかけるとともに、国民の手話に対する理解と協力を促進する。

重点施策実施5か年計画(平成14年12月24日障害者施策推進本部決定)(抄)
 障害者基本計画(平成14年12月24日閣議決定)に沿って、同基本計画の前期5年間(平成19年度末まで)において重点的に実施する施策及びその達成目標並びに計画の推進方策を以下のとおり定めている。
 活動し参加する力の向上のための施策
(2) 福祉用具等の研究開発とユニバーサルデザイン化の促進
 基準やガイドライン等の作成における高齢者・障害者のニーズへの配慮指針である国際規格ISO/IECガイド71(規格作成における高齢者・障害者のニーズへの配慮ガイドライン)を平成15年度までにJIS規格化する。
 障害の特性に配慮したセキュリティシステム、防犯・防災設備の研究開発、普及を行う。
 個人適合型の生活環境・就業環境創出のためのデータベース整備・研究開発を行う。
 ユニバーサルデザインに配慮した設計に必要な人間の寸法・形態に関する知的基盤を整備するため、平成16年度までに人体寸法を、約10分間(従来約90分間)で測定する技術開発を行うとともに、少なくとも 100人程度の人体寸法・形態を測定する。
(3) 情報バリアフリー化の推進
(1)  デジタル・ディバイドの解消
 高齢者・障害者の利用するIT機器の設計ガイドラインを平成15年度までに作成し、以降IT機器別のJIS規格を順次整備する。
 障害者のIT利用を支援する技術者の養成・育成研修等の開催を推進し、平成19年度までに10,000人以上が受講することを目指す。
 障害者のIT活用を総合的に支援する拠点を整備する。
 ホームページ等のバリアフリー化の推進のための普及・啓発を推進する。
(2) 情報提供の充実
 字幕番組、解説番組及び手話番組の制作費に対する必要な助成を行う。
 効率的な番組制作技術の研究開発等の推進により障害者向け放送番組の拡充を図る。
 障害者の自立した食生活の実現のための関連情報の提供を推進する。
(3) 研究開発
 障害者が使いやすい情報通信機器、システム等の開発・普及支援を行う。
 障害者ナビゲーションシステムを開発する。
 ユビキタスネットワークとロボットを結ぶネットワーク技術等の研究開発を行う。
 視覚障害者に音声情報を提供し、歩行、移動等を支援する案内システムを設計するための指針に関するJIS規格を、平成15年度までに整備する。

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。

(5) 会計検査院による指摘
 なし。


トップへ
戻る