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(6−6−II)
実績評価書
平成16年8月

政策体系 番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子供を産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 児童虐待や配偶者による暴力を防止すること
II 配偶者からの暴力の被害者の適切な保護・支援を図ること
担当部局・課 主管部局・課 雇用均等・児童家庭局 家庭福祉課
関係部局・課  

1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 配偶者からの暴力の被害者の適切な保護・支援を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 配偶者からの暴力の被害者(以下「DV被害者」という)に対しては、従来より、婦人相談所等において保護・支援を行ってきたところであるが、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下「DV法」という)の施行に伴い、平日のみならず休日・夜間相談への対応、被害者の心のケア対策、職員に対する専門研修の実施など、婦人相談所の機能の強化を図るとともに、DV被害者に同伴児等がいる場合は、母子生活支援施設等への入所など、DV被害者の実情に応じた支援を行っているところである。また、DV被害者の保護の充実を図るため、平成14年から、社会福祉施設や一定の基準を満たす民間シェルターに一時保護を委託する制度を創設したところである。
(評価指標)
婦人相談所等の職員の専門職員研修の実施状況(都道府県)
H11 H12 H13 H14 H15
39 41
(備考)
平成14年度制度創設
婦人保護事業実施状況報告
(評価指標)
婦人相談所の配偶者による暴力に関する相談処理件数(件)(※)
H11 H12 H13 H14 H15
7,352 9,176 13,071 17,611 19,260
(備考)
平成11年度は、「夫等の暴力、酒乱」
婦人保護事業実施状況報告
(評価指標)
一時保護件数(件)
H11 H12 H13 H14 H15
1,873 2,680 3,974 4,296
(備考)
平成14年度制度創設
婦人保護事業実施状況報告
(評価指標)
関係機関相互の連携・調整のためのネットワークの整備状況(都道府県)
H11 H12 H13 H14 H15
38 41
(備考)
平成14年度制度創設
婦人保護事業実施状況報告
実績目標2 被害者の受入れ体制を整備すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 母子生活支援施設においては、夫等の暴力等のため、住居地から避難し保護を必要とする母子を受け入れるために必要な経費を支弁する「広域入所促進事業」、警備体制の手薄な夜間の警備強化を図る「夜間警備体制強化事業」及び夫等からの暴力を受けた母子及び被虐待児等に対してカウンセリング等を行い、心のケアを図る「心理療法担当職員の配置」をそれぞれ実施している。
 また、平成16年度新規事業として、1日平均4人以上の同伴乳幼児を保護する婦人相談所の一時保護所に、主に同伴乳幼児の対応を行う指導員を配置し、被害者が自立に向けた取り組みを安心して行える環境を整備することとしたところである。
(評価指標)
心理療法担当職員を配置する母子生活支援施設数
H11 H12 H13 H14 H15
22 37 44
(備考)
平成13年10月制度創設
(評価指標)
DVセンターとしての機能を果たす婦人相談所数
H11 H12 H13 H14 H15
47 47
(備考)
DV法の施行に伴い、平成14年度より婦人相談所は「配偶者暴力相談支援センター」としての機能を果たすこととなった。

2.評価
(1) 現状分析
現状分析
 女性に対する配偶者からの暴力〔DV(ドメスティック・バイオレンス)〕の問題については、従来から婦人保護事業の枠の中で対応してきた。しかし、婦人相談所等における夫等の暴力の相談件数および相談全体に占める夫等の暴力の割合が、平成10年6,104(11.4%)、平成11年7,352件(13.6%)、平成12年9,176件(16.7%)と年々増加するなど、配偶者からの暴力が深刻な社会問題となってきた等を背景として、平成13年4月に配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)が成立した。同法において、婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設が、配偶者からの暴力の被害者である女性(暴力被害女性)の相談・保護を行うこともその役割とされた。なお、DV防止法は、施行後3年を目途とする見直し規定により、一部改正がなされ、平成16年6月2日に改正法が公布された(施行日 平成16年12月2日)。改正法では、配偶者からの暴力の定義の拡大、保護命令制度の拡充、被害者の自立支援の明確化等が盛り込まれた。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 婦人相談所等における夫等の暴力の相談件数及び一時保護件数が増加する中、婦人相談所等の職員への専門研修を実施する都道府県が増加したり、福祉事務所などの関係機関が相互に連携、調整を行うためのネットワークの整備が進むなど、DV被害者の適切な保護・支援の充実が図られている。
 夫等からの暴力を受けた母子及び被虐待児等に対してカウンセリング等を行い、心のケアを図る「心理療法担当職員」を配置する母子生活支援施設が増えるなど、DV被害者の受入れ体制の整備が進んでいる。
政策手段の効率性の評価
 母子生活支援施設、民間シェルター等の一定の基準を満たす者にDV被害者の一時保護の委託を行っており、既存の施設を利用して、効率的にDV被害者の保護を行っている。
 全都道府県に設置されている婦人相談所が、DVセンター機能の役割も果たしており、既存の枠組みを利用して、効率的にDV被害者の支援体制を整備している。
総合的な評価
 婦人相談所等における夫等の暴力の相談件数及び一時保護件数は増加しているものの、婦人相談所等の職員への専門研修の実施や福祉事務所などの関係機関が相互に連携、調整を行うためのネットワークの整備の進展などにより、DV被害者の適切な保護及び自立に向けた支援の充実が図られており、目標に向け進展があった。
評価結果分類 分析分類
(3) (2)

3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし。

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
(「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
なし。

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
なし。

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」第 条は、法律の施行後3年を目途として、施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置を講じるよう規定している。

(5) 会計検査院による指摘
なし。


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