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(6−1−I)
実績評価書
平成16年8月

政策体系 番号  
基本目標  男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標  働く女性が性別により差別されることなく能力を十分に発揮できる雇用環境を整備すること
I  制度的・実質的に職場において男女均等取扱いが徹底されていること
担当部局・課 主管部局・課 雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課
関係部局・課 雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課、短時間・在宅労働課

1.施策目標に関する実績の状況
実績目標  企業において、男女均等取扱いを確保するとともにポジティブ・アクションの取組を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
(1)男女雇用機会均等法に違反する企業に対する是正指導を行うとともに、男女労働者間に事実上生じている格差を解消するための企業の積極的取組(ポジティブ・アクション)を促している。また、男女均等取扱いに関する女性労働者と事業主との間の個別紛争について、都道府県労働局長による助言、指導、勧告等により、その解決の援助を図っている。
(2)官民連携して、広くポジティブ・アクションの普及を図っていくことを目的として、女性の活躍推進協議会を中央、地方ともに開催している。
(3)各企業においてポジティブ・アクションの自主的取組を行う機会均等推進責任者の選任勧奨を行い、推進者によって、企業におけるポジティブ・アクションの取組状況を自主点検するよう奨励している。
(4)女性労働者の能力発揮を促進し、その活用と能力発揮促進に資するため、均等推進企業表彰を行っている。
(5)(財)21世紀職業財団に委託し、企業がポジティブ・アクションに取り組むためのノウハウ等の提供等を目的とするセミナー、女性管理職候補者や中間管理職等を対象とした研修の実施、業種別ポジティブ・アクション取組マニュアルの作成等を行っている。
(6)「女性と仕事の未来館」の運営を(財)女性労働協会に委託し、働くことを中心に女性の社会参加を積極的に支援している。
(7)「ポジティブ・アクションとしての再就職モデル開発事業」を(財)女性労働協会に委託し、育児等のために退職した女性が本来の高い職業能力を取り戻して再就職できるようにするためのプログラムを開発し、企業に対してこれらの女性の雇用を促進していくシステムをモデル的に実施することにより、その成果を広く普及することとしている。
(評価指標)都道府県労働局雇用均等室における是正指導の実施件数 
(件)
H11 H12 H13 H14 H15
7,176 6,030 6,429 5,448 5,624
(備考)男女雇用機会均等法第25条
(評価指標) 都道府県労働局雇用均等室における個別紛争解決の援助の実施件数
(件)
H11 H12 H13 H14 H15
73 98 107 122 157
(備考)男女雇用機会均等法第13条
(評価指標) 企業におけるポジティブ・アクションに取り組む企業割合 H11 H12 H13 H14 H15
26.3%
(備考) 評価指標は平成12年度「女性雇用管理基本調査」に基づいている。なお、当該調査は、概ね3年ごとに同一テーマについて調査しているところであり、15年度調査においてポジティブ・アクションに取り組む企業割合を把握しており、現在とりまとめ中である。
男女雇用機会均等法第20条
(評価指標)ポジティブ・アクション普及促進セミナー参加者数
(人)
H11 H12 H13 H14 H15
2,779 2,340 9,281 9,342
(備考)平成12年度から実施
(評価指標)未来館への来館者数
(人)
H11 H12 H13 H14 H15
98,820 106,403 110,502 126,034
(備考)平成12年1月20日開館

2.評価
(1) 現状分析
現状分析
男女雇用機会均等法の是正指導の対象となる制度上の男女差別的取扱いは減少傾向にあり、制度上の男女均等取扱いは浸透しつつあるが、現下の厳しい雇用情勢にかんがみ、女性であることや妊娠・出産等を理由とする差別的解雇等が増加している。
 また、事業主と女性労働者との間の個別紛争解決の援助の実施件数が増加傾向にある。
 このため、こうした状況を踏まえて策定した行政運営方針に基づき、妊娠・出産を理由とする解雇等均等取扱いも含め、男女雇用機会均等法第25条に基づく報告徴収により、雇用管理の実態等を把握するとともに、男女差別的な取扱いを実施している企業に対しては行政指導を実施し、法違反の是正を図る他、個別紛争解決援助を行っている。
 また、コース等で区分した雇用管理制度を導入している企業に対し、「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」の周知徹底及び法違反企業に対する是正指導を行っている。
 平成15年度においては、5,538事業場を対象に報告徴収を実施し、このうち何らかの男女雇用機会均等法違反のあった3,044事業場に対し、5,624件の是正指導を行い、そのほとんどが是正されている。
 一方、固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から事実上生じている格差が残されているところから、その解消のために、企業におけるポジティブ・アクションの取組が重要となっており、平成12年度女性雇用管理基本調査によれば、ポジティブ・アクションに既に取り組んでいるとする企業割合が26.3%、うち企業規模5,000人以上では67.7%となっているところである。
 さらに、「女性と仕事の未来館」の利用者も増加しているところである。
 その他、「ポジティブ・アクションとしての再就職モデル開発事業」では、再就職促進プログラムについて、分野ごとに順次開発を進めているところである。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
 平成15年度において、都道府県労働局雇用均等室は、企業の雇用管理の改善を目的として、計画的に事業場を訪問し報告徴収を実施し、各企業の雇用管理制度とその運用実態を把握するとともに、均等法上問題がある場合は、適切に助言、指導等を行い、(1)現状分析に記載しているとおり、おおむねその是正が図られている。
 また、都道府県労働局長による的確な援助等によって、妊娠・出産を理由とする解雇の撤回、子を持つ女性に対する不利益な配置転換の内示の撤回等紛争の解決が図られている。
 ポジティブ・アクションの取組については、取り組むためのノウハウを有していない企業も未だ多いため、これらの企業に対し取り組むための具体的ノウハウを提供することにより、ポジティブ・アクションの取組を促進することが可能となるものである。ポジティブ・アクションに係る各種事業の取組の中で、例えばセミナーの参加者は近年大幅に増加しているなど企業の関心も高まりつつある。
 また、企業におけるポジティブ・アクションの取組状況をみると、平成11年度から実施している均等推進企業表彰において、平成15年度までに204社が表彰されているが、表彰を始めた当初に比べ取組内容が深まり、女性の職域の拡大や管理職登用などに成果が見られている。
 なお、労働力調査(総務省統計局)から役職者に占める女性の割合の推移をみると、管理的職業従事者の割合は年々上昇しており、平成8年には8.9%であったのが平成15年には9.9%となっている。
 また、「女性と仕事の未来館」は、種々の困難に直面しつつ、働くことに意欲を持っている女性たちを支援するための拠点として、女性たち自身の職業能力を高め、仕事においてその力が十分発揮できるよう情報提供、相互交流、能力発揮事業等総合的なサービスを提供しており、いずれもポジティブ・アクションの推進に寄与している。
 さらに、「ポジティブ・アクションとしての再就職モデル開発事業」では、高い職業能力を持つ女性の雇用を促進していくシステムをモデル的に実施し、一定の成果が得られたところである。
政策手段の効率性の評価
 特に、報告徴収は、相談等により把握した法違反の疑いのある事業場を始め、管内の実情に応じ問題の多い業種等を選定して年間事業場訪問計画表を作成し、年度当初から計画的に実施している。また、報告徴収ヒアリング票を活用し、的確な実態把握及び必要な助言、指導等を効率的に行っている。
 ポジティブ・アクションを企業内で推進する場合、企業トップ、中間管理職等では、その役割が異なることから、対象者別に集団研修を開催し、効率的に情報提供を行っている。また、機会均等推進責任者を選任勧奨し、効率的に企業自らがポジティブ・アクションの取組状況を自主点検し、推進するための仕組みを設けている。
 また、「女性と仕事の未来館」は、(財)女性労働協会に委託して運営し、関係団体との連帯を図ること等により、相談援助事業、能力発揮事業、情報事業、交流事業等を総合的に展開し、働くことを中心とした女性の社会参加支援を効率的に行っている。
 さらに、「ポジティブ・アクションとしての再就職モデル開発事業」も、(財)女性労働協会に委託して実施していることから、民間の持つ豊富なノウハウ・知識を活かしつつ、3つの職業分野でのプログラム開発を多年度で実施することができ、前年度に構築したノウハウが次年度の分野に活かされるなど、効率的に事業を実施している。
総合的な評価
 計画的に事業場を訪問し報告徴収を実施することにより、各企業の雇用管理制度とその運用実態を把握するとともに、均等法上問題がある場合は、適切に助言、指導等を行い、その是正を図っており、制度上の男女の均等取扱いの徹底に向けて進展を見せているところである。また、ポジティブ・アクションの取組の促進のため、セミナーの開催、情報提供等を行っているが、セミナーの参加者が増加するなど、企業におけるポジティブ・アクションへの関心が徐々に進んでおり、目標達成 に向けて一定の進展があったところである。
評価結果分類 分析分類
(3) (2)

3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし。

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
(「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
 「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」(平成14年3月29日閣議決定)
 2.  補助金依存型公益法人
 補助金依存型公益法人となることに特段の理由のある公益法人については、その理由を公表する((財)21世紀職業財団、(財)女性労働協会)

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。

(5) 会計検査院による指摘
 なし。


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