「平成15年就労条件総合調査報告」(厚生労働省)によると、退職一時金制度がある企業で、中小企業退職金共済制度を採用している企業の割合は、規模が小さくなるほど高くなっており、30〜99人規模で39.2%となっている。
近年の厳しい経済情勢のなかにおいても、本制度の継続的な普及促進により、評価指標のとおり、新規被共済者数、被共済者数ともに年度ごとの増減はあるが平成13年度以降は着実に増加しており、平成15年度末現在で新規被共済者が557,540人、被共済者が5,184,556人となっている。
このように本制度の新規被共済者数、被共済者数は増加している状況にあり、本制度の普及促進を図ることにより、中小企業における退職金制度の確立に資しているところである。 |
中小企業退職金共済制度は、独力では退職金制度を設けることが困難な中小企業について、事業主の相互共済の仕組みと国の援助によって退職金制度の普及を進めており、かつ、その業務を専門性を持った独立行政法人勤労者退職金共済機構に行わせていることを踏まえると、施策目標の達成に効率的であるといえる。
また、都道府県等を通じ本制度の普及促進を積極的に進めることで、それぞれの地域事情に適した方法により普及が促進されるため、全国規模で中小企業に退職金制度を確立することが可能となることから、施策目標の達成に効率的であるといえる。 |
近年の経済社会情勢の変化に伴い退職金制度を見直す動きも見られるものの、未だ多くの企業が退職金制度を設けており、退職後の所得確保等その果たす役割は依然として大きいものがある。
しかしながら、「平成15年就労条件総合調査報告」(厚生労働省)によると30〜99人規模の企業における退職金制度の普及率は84.7%となっており、1,000人以上規模の企業の普及率(97.1%)と比べると依然低い状況である。中小企業退職金共済制度の被共済者数は昨年度と比較して増加しており目標達成に向けて進展があった。
それでもなお中小企業における退職金制度の普及状況は未だ十分とは言えないため、今後も中小企業において退職金制度が普及するよう簡便で中小企業の加入が容易な中小企業退職金共済制度について独立行政法人勤労者退職金共済機構による安定的な運営を行うとともに、掛金助成制度や税制の優遇措置等本制度のメリットの周知を図るほか、平成23年度限りで廃止することとされている適格退職年金制度から一般の中小企業退職金共済制度への引継を促進すること等により、引き続き、事業主の相互共済の仕組みと国の援助による本制度の普及促進を図ることとする。
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