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実績評価書
平成16年8月

政策体系 番号  
基本目標 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
施策目標 労働者の安全と健康の確保を図ること
III 労働衛生対策の推進を図ること
担当部局・課 主管部局・課 労働基準局安全衛生部労働衛生課
関係部局・課 労働基準局安全衛生部化学物質対策課


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 じん肺、職業がん等の重篤な職業性疾病、死亡災害に直結しやすい酸素欠乏症、一酸化炭素中毒等を減少させること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 職業性疾病の予防推進を図るため、労働衛生について改善措置を講ずる必要があると認められる事業場を指定し指導等を行う衛生管理特別指導制度等を行うとともに、化学物質に係る健康障害の予防を図るため、化学物質管理支援事業等を実施し、事業場における化学物質の自主的管理の推進の支援等を行う。
(評価指標)
業務上疾病者数
H11 H12 H13 H14 H15
7,817 8,083 7,984 7,502 8,055
(備考)
厚生労働省調べ
(評価指標)
酸素欠乏症者等死亡者数
H11 H12 H13 H14 H15
9 16 8 22 3
(備考)
厚生労働省調べ
(評価指標)
一酸化炭素中毒死亡者数
H11 H12 H13 H14 H15
5 5 4 4 7
(備考)
厚生労働省調べ
(評価指標)
化学物質管理支援事業の利用状況(化学物質管理者研修受講者数)
H11 H12 H13 H14 H15
6,175 4,362 4,076 1,451
(備考)
中央労働災害防止協会調べ
実績目標2 過重労働による健康障害防止、心の健康づくりを含めた健康の確保及び産業保健に対する支援を図ること。
(実績目標を達成するための手段の概要)
 健康の確保及び産業保健に対する支援を図るため、(1)中小規模事業場健康づくり事業による中小企業事業場における健康づくりの支援、(2)職場におけるメンタルヘルス対策の事業者等支援事業によるメンタルヘルス指針に関する研修、(3)産業保健推進センターにおける産業保健スタッフに対する研修等、(4)過重労働総合対策の普及・定着のための活動を実施する。
(評価指標) H11 H12 H13 H14 H15
中小規模事業場における心とからだの健康づくり(THP)の普及状況(THP導入指導の実施事業場数) 822 1,385 1,831 2,049
(THP導入指導の実施対象者数) 29,047 37,907 45,981 47,732
(小規模事業主THP体験研修実施回数) 191 220 179 81
(小規模事業主THP体験研修参加人数) 2,964 2,596 1,452 679
(備考)
・平成12年度からの事業である。
・中央労働災害防止協会調べ
(評価指標) H11 H12 H13 H14 H15
メンタルヘルス指針の普及状況
(研修事業開催回数)
79 74 68
(研修事業参加者数) 6,057 5,048 4,462
(モデル事業事業場数) 52 61 61
(モデル事業場におけるメンタルヘルスの専門家による取組指導回数) 446 936 849
(備考)
・評価指標の職場におけるメンタルヘルス対策の事業者等支援事業については、平成13年度からの事業である。
・中央労働災害防止協会調べ
(評価指標) H11 H12 H13 H14 H15
産業保健推進センターの利用状況(産業保健スタッフに対する研修の実施回数) 1,354 1,640 1,738 2,000 2,307
(事業者等からの相談件数) 8,317 11,362 9,142 9,098 9,552
(備考)
労働者健康福祉機構調べ
(評価指標)
過重労働による健康障害防止対策の状況(過重労働総合対策関係パンフレット配布件数)
H11 H12 H13 H14 H15
100万部 60万部
(備考)
厚生労働省調べ

2.評価
(1) 現状分析
現状分析
 業務上疾病者数は、平成15年は前年比で553名の増加となるなど、近年は横ばいの状態が続いており、依然としてじん肺や酸素欠乏症等の職業性疾病が後を絶たない。また、一般定期健康診断の結果何らかの所見を有する労働者の割合は年々増加する傾向にあり、仕事や職場生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者が6割を越えている。さらに、過重労働による健康障害や、精神障害として労災認定される件数も高い水準で推移している。
 このような中で、平成15年3月に第10次労働災害防止計画が策定され、新たにメンタルヘルス対策及び過重労働による健康障害の防止対策が、重点対象分野として追加された。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
(実績目標1について)
 実績目標を達成するために実施している各手段のうち、衛生管理特別指導制度については、件数が平成13年度568件から平成14年度571件へと堅調に推移しており、指導による各事業場において改善計画が作成されるなど、効果を上げている。
 また、化学物質管理者研修については、平成15年度までに16,064人に対して研修を行うなど一定の化学物質管理に係る人材の育成がなされた。なお、平成15年度は、GHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)国連勧告に対応した人材養成への移行期間として、対象を限定し研修を実施した。
 一酸化炭素中毒対策については、災害の発生状況等を踏まえて、平成15年には、化学設備の改造、清掃等の作業における対策の充実などを図った。
(実績目標2について)
 実績目標を達成するために実施している各手段のうち、中小規模事業場健康づくり事業では、2,049事業場に対して指導を実施するなど有効に活用されている。
 また、メンタルヘルス指針の研修事業においても、68回開催(4,462名参加)し、モデル事業場として新たに61事業場を選定するとともに、指導を849回実施するなど、実績目標の達成に寄与している。
 産業保健推進センターが行う研修は増加傾向にあり、健康管理一般や作業管理、メンタルヘルスに関することなど幅広い相談を行っており、目標達成に向けて成果が上がっている。
 過重労働総合対策については、事業場に対してパンフレットの配布による普及、定着が図られているほか、労働者の疲労蓄積度チェックリストを作成し、インターネット等を通じて広く公表し、多数の労働者に利用されている。
政策手段の効率性の評価
(実績目標1について)
 実績目標を達成するために実施している各手段については、指定事業場が自ら改善計画を作成するなど、実施に当たり事業主の自主的取り組みを促す手法を取っており、効率性の高い手段となっている。また、化学物質管理者研修については、対象を限定し災防団体を通じて研修を実施するなど、効率的な事業実施を行っている。
(実績目標2について)
 実績目標を達成するために実施している各手段については、対策の遅れている中小規模事業場への支援の充実、モデル事業場による計画目標の作成、過去の事例の公表、事業場における労働衛生管理の中核である産業保健スタッフの能力向上など健康確保対策を推進する上で効率性の高い手段となっている。
 また、中小事業場健康づくり事業のうち、小規模事業主THP体験研修についてはこれまでの成果として一定の導入が進んだことから事業規模を縮小する等、各手段について状況に応じて効率的に行っている。
総合的な評価
 労働衛生対策は、これまで着実に対策を講じてきた結果、途中多少の増減はありつつも、業務上疾病者数を20年間で約半数にまで減少させることに成功してきたものであり、長期的に見れば一定の成果を上げてきたものである。
 また、第10次災防計画において新たに重点対象分野に加わったメンタルヘルス対策、過重労働による健康障害防止対策については、重点対策として着実に実施しており、施策目標の達成に向けて進展があった。
 今後は、過重労働による健康障害や精神障害として労災認定される件数も高い水準で推移していることから、職業性疾病対策については、状況を踏まえて必要な見直しを行いつつ今後とも積極的に推進するとともに、過重労働対策、メンタルヘルス対策のさらなる充実を図る必要がある。
評価結果分類 分析分類
(3) (2)

3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
なし

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5) 会計検査院による指摘
なし


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