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(1−3−I)
実績評価書
平成16年8月

政策体系 番号  
基本目標  安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標  利用者の視点に立った、効率的で安心かつ質の高い医療サービスの提供を促進すること
I  利用者の視点に立った、効率的で質の高い医療サービスを実現するため、情報提供体制を推進すること
担当部局・課 主管部局・課 医政局総務課、医事課、研究開発振興課医療技術情報推進室、指導課
関係部局・課  

1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 カルテ開示を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 平成15年6月に、「診療に関する情報提供等のあり方に関する検討会」において報告書を取りまとめ、これを踏まえ、診療情報の提供等に関して各医療機関が則るべき指針として「診療情報の提供等に関する指針」を策定した。
(評価指標)
患者に対して診療情報を提供している病院の割合(%)
H11 H12 H13 H14 H15
80.8 90.5 93.9
(備考)
 評価指標は「診療録管理に関する調査」(東京都病院協会が会員病院に対して行ったアンケート調査)において、診療録開示について「病院として積極的に行っている」又は「患者・家族からの求めが合った場合にのみ行っている」と回答した場合の割合。
実績目標2 医療機能評価を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 国民の医療に対する信頼の確保及び質の向上を図ることを目的として、病院等の医療施設の機能について学術的な観点から評価を行う医療機能評価の普及を促進するため、サーベイヤー(評価調査員)養成事業に対する補助など、財団法人医療機能評価機構への支援を行っている。
 (評価指標)
 財団法人日本医療機能評価機構による医療機能評価の年度別認定数(病院)
H11 H12 H13 H14 H15
132 137 183 245 301
(備考)
 (財)日本医療機能評価機構平成15年度事業実績報告書による。
実績目標3 根拠に基づく医療(EBM)を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 学会等による診療ガイドラインの作成を支援している。(厚生労働科学研究費)
 診療ガイドライン及び関連する医学文献等の各種の医療に関する情報をデータベース化し、インターネット等を利用した情報提供が行える環境の整備を推進している。
(評価指標)
診療ガイドラインが完成している疾患数(疾患)
H11 H12 H13 H14 H15
5 10 20
(備考)
 平成11年度より、学会等による診療ガイドラインの作成を支援している。なお、診療ガイドラインの作成に必要な年数は2年である。
実績目標4 医療のIT化を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 医療における標準化の促進を図るため、標準的な用語・コードの開発、管理維持、普及促進に取り組んでいる。
(評価指標)
病院内情報システム(電子カルテ、オーダリングシステム)の普及率(%)
H11 H12 H13 H14 H15
10.5 14.4
(備考)
評価指標は医療施設調査による。(3年に1度実施。平成8年の普及率は7.0%)

オーダリングシステム
 従来、紙の伝票でやり取りしていた検査や処方箋などの業務を、医師(歯科医師を含む。以下同様。)がオンラインで、検査、処方し、医事会計システムとやり取りすることなどにより、オンライン上で指示を出したり、検査結果を検索・参照したりできるシステム。

2.評価
(1) 現状分析
現状分析
 カルテの開示については、既に9割を超える医療機関が実施しているとの調査もあり、(「診療録管理に関する調査」:東京都病院協会が会員病院に対して行ったアンケート結果)、さらに平成15年度に「診療情報の提供等に関する指針」を策定し、カルテ開示についてのルールを示したことにより、一層推進されていると考えられる。
 医療機能評価については、評価事業が始まった平成9年度以降、平成15年度末までに1,184病院が認定されており、着実に普及してきている。
 根拠に基づく医療(EBM)については、平成13年12月に策定された「医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」において、平成16年度までに主要な20疾患のガイドラインを作成することとされ、平成15年度末現在、20疾患の診療ガイドラインが完成し、当初の目標を達成しており、今後も引き続き作成支援を行うこととしている。
 また、インターネット等を利用し診療ガイドラインや最新の医学情報を提供していくデーターベース事業の実施主体である(財)日本医療機能評価機構への支援により、EBMを推進する環境の整備を引き続き行うこととしている。
 医療のIT化については、医療用語、コード等の標準化に取り組んでいるところであり、平成15年度末までに10分野において完成し、そのうち5分野については標準化された医療用語、コード等の提供を開始しているところである。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
カルテ開示を推進することについては、
 患者と医療従事者とのよりよい信頼関係の構築、情報の共有化による医療の質の向上、医療の透明性の確保、患者の自己決定権、患者の知る権利の観点から、また、生活習慣病等を予防し、患者が積極的に自らの健康管理を行うなど、「診療情報の提供等に関する指針」(平成15年9月12日医政発0912001号)の策定などを通じたカルテ開示の推進は施策目標を達成する手段として、極めて有効である。
医療機能評価を推進することについては、
 医療機能評価の普及促進のためには、評価需要に応じたサーベイヤーの量的な充足、評価体制の強化が不可欠であることから、(財)日本医療機能評価機構に対するサーベイヤー養成事業に対する支援等を行うことは、施策目標を達成する手段として極めて有効である。
根拠に基づく医療(EBM)を推進することについては、
 根拠に基づく医療(EBM)を推進するための方策の一つとして、平成11年度から厚生科学研究費補助金により診療ガイドラインの作成支援を開始、平成15年度までに20疾患の診療ガイドラインが完成。
 また、インターネット等を利用して、診療ガイドラインや最新の医学情報を医療現場の医療従事者や国民へ提供していくデータベースの整備については、(財)医療機能評価機構において引き続き実施している(平成14年度から逐次実施中)。
医療のIT化を推進することについては、
 医療のIT化推進のために、その最も重要な基盤である医療用語、コード等の標準化について、平成15年度末までに10分野(「手術・処置」「医薬品」「臨床検査」「医療材料」「症状」「疾患・診察所見」「画像診断名・所見」「生理機能検査名」「看護用語・看護行為」「歯科領域」)を完成し、そのうち「病名」、「手術・処置名」、「臨床検査」、「医薬品」、「医療材料」については、現在、標準化された医療用語、コード等の提供を開始し、普及・改善を図っている。
政策手段の効率性の評価
 「診療情報の提供等に関する指針」を策定したことにより、医療機関の管理者に対し、診療記録の開示手続き等を定めた診療情報の提供に関する規程を整備し、苦情処理体制を院内掲示することを求めたこと等から、患者への迅速な対応、処理が可能になったと考えられる。
 医療のIT化推進の最も重要な基盤である医療用語・コード等の標準化について、平成15年度末までに10分野を完成し、そのうち「病名」、「手術・処置名」、「臨床検査」、「医薬品」、「医療材料」については、現在、提供を開始しており、IT化の推進に資するものと考えられる。
 これらの取組により、医療サービスに係る情報提供体制の推進が効率的に行われている。
総合的な評価
 「診療情報の提供等のあり方に関する指針」を策定・周知することや医療機能評価のためのサーベイヤーの養成を支援すること等により、カルテ開示、医療機能評価等を推進しており、(財)日本医療機能評価機構による医療機能評価認定数の増加、診療ガイドライン完成疾患数の増加等の実績からも、全体として施策目標の達成に向けて進展があったものと思われる。
評価結果分類 分析分類
(2) (2)

3.特記事項
(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
「診療に関する情報提供等のあり方に関する検討会」(平成14年7月設置)

(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
規制改革3カ年計画(再改定)

(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。

(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。

(5) 会計検査院による指摘
 なし。


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