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(整理番号 14)
事業評価書(
事前
・事後)
平成16年8月

評価対象(事業名) 若者の人間力を高めるための国民運動の推進
担当部局・課 主管部局・課 職業安定局若年者雇用対策室
関係部局・課  


1.事業の内容
(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
III 若年者の雇用を促進すること

(2) 事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
 若年者雇用問題についての国民各層の関心を喚起し、若者に働くことの意義を実感させ、働く意欲・能力を高めるため、経済界、労働界、地域社会、政府等の関係者が一体となり、国民会議の開催や啓発活動等に取り組む国民運動を展開する。 
 ア  「若者の人間力を高めるための国民会議(仮称)」の開催
 イ  広報・啓発活動の推進
(@) 広報活動
 協賛団体・企業、協賛者等の開拓・募集、シンボルマークのデザイン・PR、Webサイトによる情報発信、テレビ・ラジオ・雑誌等の媒体を活用した広報 等
(A) 啓発活動
 シンポジウム、街頭等若者が集うスペースでの単独の啓発イベント、学校・地域の各種イベントとタイアップした講演等ミニイベント、地域の協賛者による活動の実践報告会、様々な分野で働く若者からのメッセージ発表会の開催 等
予算概算要求額(単位:百万円)
H13 H14 H15 H16 H17
368

(3) 問題分析
(1)現状分析
 平成16年3月卒業の大学生について、4月1日現在の就職率が93.1%と、前年同期を0.3ポイント上回る結果となり、また平成16年3月卒業の高卒者についても、求人が大幅に減少(平成15年度22万3千人、ピーク時(平成4年度)の約1/7)する中で、3月末現在の就職率が92.1%と前年同期を2.1ポイント上回る結果となった。
 しかしながら、最近10年で15〜24歳の失業者数が約20万人増加、同世代の失業率も約2倍になっている。また、フリーターも02年に209万人と推計されるほか、無業者比率も激増する等、若年者をとりまく雇用・就業状況は極めて厳しい。
 さらに、最近では、イギリスでNEET(Not in Education, Employment, or Training)と呼ばれているような、社会活動への参加意欲に乏しい若年無業者の増加も指摘されている。
(参考)
 ・15〜24歳の失業者数  93年46万人  03年68万人
 ・15〜24歳の失業率  93年5.1%  03年10.1%
 ・フリーター数  92年101万人  02年209万人
 ・大卒無業比率  93年7.1%  03年22.5%(約12万人)
 ・高卒無業比率  93年5.2%  03年10.3%(約13万人)

(2)問題点
 企業側の要因として、求人数の減少や求人自体のパート・アルバイト化及び高度化の二極分化による需給のミスマッチの拡大、若年者側の要因として、職業意識の不十分さによる就職に至らない者の増加や早期離職者の増加などが考えられる。

(3)問題分析
 若年者雇用問題を巡る問題の要因は、求人の減少等については、厳しい経済情勢を背景に、企業が高校生等に対する求人に慎重になっていること、フリーターや無業者、早期離職者等の増加については、早い時期に職業に接する機会が十分にないこと等から、職業意識の不十分な若年者が増加していること、加えて、これらの変化に従来の教育・人材育成・雇用のシステムが十分対応できていないことなど多岐にわたる。

(4)事業の必要性
 以上のように若年者雇用問題の要因は多岐にわたるため、問題の解決には、関係行政機関・団体による取組に加え、政府、労使団体等はもとより、地域の関係機関、国民一人ひとり等、様々なレベルでの対応が必要であり、国民の総力を結集して、若年者と職業(働くこと)との接点を拡大し、若年者が職業を通じ、生きる力、自立する力(いわば人間力)や働く意欲、能力の向上を図り、その意欲や能力に応じ働くことが可能な社会を確立することが必要である。

(4) 事業の目標
目標達成年度  
政策効果が発現する時期 実施以降随時、効果の発現が見込まれる。
アウトプット指標 H17 H18 H19 H20 H21 目標値/基準値
各種啓発事業の対象者数            
(説明)
 本事業で実施する各種啓発事業の対象者の合計数
(モニタリングの方法)
 委託団体からの報告による


2.評価

(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 国民の総力を結集して、若年者と職業との接点を拡大し、若年者が職業を通じ、生きる力、自立する力や働く意欲、能力の向上を図り、その意欲や能力に応じ働くことが可能な社会を確立すべく、このための国民運動を推進することは、若年者の労働力率を高め、かつ質の高い労働力を供給することに繋がるものであり、ひいては社会経済の安定と発展に資するものであり、公益性が高い。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 当事業は、国民の総力を結集した取組としての国民運動の展開を図るものであり、国民各層の自発的な活動の実践を期待するものであるが、そうした機運を醸成するためには、先ずは国による積極的な広報活動や啓発活動等が必要なものである。
民営化や外部委託の可否
   否
(理由)
 民間のノウハウを活用することが適切なものについては、民間事業者に委託して実施することとしている。
緊要性の有無
   無
(理由)
 無業者、フリーターの増加等の若年者雇用問題は、若年者自身のキャリア形成はもとより、我が国社会・経済システムに重大な影響を与えるものであり、この問題の解決のためには、政府、労使団体等はもとより、地域の関係機関、国民一人ひとり等、様々なレベルにおいて、国民の総力を結集して、若年者と職業(働くこと)との接点を拡大し、若年者が職業を通じ、生きる力、自立する力(いわば人間力)や働く意欲、能力の向上を図り、その意欲や能力に応じ働くことが可能な社会を確立することが喫緊の課題となっている。
 また、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004(骨太方針2004)」においても、「若年者雇用への関心を喚起する国民運動の推進、働く意欲の涵養、向上を図る取組、労働体験や職場定着の推進のための施策など、若年者に働く意義を実感させ、その意欲や能力を高める総合的な対策を講じる」とされたところであり、緊要性は高い。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 国民の総力を結集した国民運動の推進→関係者の理解の深化→関係機関・団体・企業等における人材育成に関する取組の強化→若年者の適切な職業選択の実現・企業等における適切な人材育成の実現→若年者の就職の促進・職場への定着・職業能力の向上・蓄積
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 政府、労使団体等はもとより、地域の関係機関、国民一人ひとり等、様々なレベルにおける取組として、若年者の職業意識の向上や関係者の理解の深化が図られることにより、若年者の円滑な職業生活への移行、早期離職の防止が図られ、若年者が社会において持てる力を十分発揮できる環境が整備される。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 なし。

(3) 効率性
手段の適正性
 若年者雇用を巡る問題の要因は多岐にわたることから、その解決に当たっては、政府、労使団体等はもとより、地域の関係機関、国民一人ひとり等様々なレベルでの対応が求められるものであり、国民の総力を結集した国民運動を推進するため、「若者の人間力を高めるための国民会議(仮称)」の開催等本運動の推進体制を整備するとともに、国民各層の自発的取組を促進するための広報・啓発活動を展開するという当事業の仕組みは、手段として適正である。
費用と効果の関係に関する評価
 本事業は、国民の総力を結集して、若年者と職業(働くこと)との接点を拡大し、若年者が職業を通じ、生きる力、自立する力(いわば人間力)や働く意欲、能力の向上を図り、その意欲や能力に応じ働くことが可能な社会を確立することを目的としており、そうした普及啓発活動に係る中核的役割を果たすべく、本課題に係るオピニオンリーダーの発意による「若者の人間力を高めるための国民会議(仮称)」の設置等を行うことは、本事業に端を発した様々な取組が、地域や個人等のレベルにおいて展開されることが期待されるものであって、最低限のコストで効果が見込まれるものであり効率的である。
他の類似事業(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
  
 

(4) その他
 



3.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004に、フリーター・無業者に対する働く意欲の向上等として、「若年者雇用への関心を喚起する国民運動の推進、働く意欲の涵養、向上を図る取組、労働体験や職場定着の推進のための施策など、若年者に働く意義を実感させ、その意欲や能力を高める総合的な対策を講じる」ことが盛り込まれたところである。

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 衆議院決算行政監視委員会における平成14年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決において、「雇用問題については特に若年者の雇用の拡大を図るとともに、政府が一体となって若年者等に対する職業意識の啓発や学校における職業教育に対する取組みを推進すべきである」とされたところである。

(5)会計検査院による指摘
 なし


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