事業評価書( |
| ・事後) |
評価対象(事業名) | 林業就業支援事業 | |
担当部局・課 | 主管部局・課 | 職業安定局雇用開発課農山村雇用対策室 |
関係部局・課 |
番号 | ||
基本目標 | 4 | 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること |
施策目標 | 2 | 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること |
V | 産業の特性に応じた雇用の安定を図ること |
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新たに林業への就業を希望する求職者に対し、林業作業体験、山村生活体験等を付与する林業就業支援事業を実施する。 ・新たに林業への就業を希望する求職者に対し、以下に掲げる項目を主な内容とする本事業(実施日数は原則20日間とする。)を全国森林組合連合会へ委託して実施する。
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H13 | H14 | H15 | H16 | H17 | ||||||
− | − | − | − | 701 |
(1)現状分析 林業への新規就業者数は増加傾向にあるものの離職者も多く、林業就業者数は平成7年の8万6千人から平成12年に6万7千人と減少を続けている。うち50歳以上が約68%と、高齢者が多数を占めている(国勢調査)ことにより、今後、林業労働者は減少し続け、平成20年(2008年)には林業労働者は約4.8万人程度に減少すると予想されるが、地球温暖化防止森林吸収源対策の目標達成に必要な森林整備事業を担う労働力として、少なくとも5.6万人程度必要とされているため(林野庁試算)、新たに林業に就業し、林業の中核的な人材を確保・育成することが急務とされている。 (2)問題点 林業労働は、季節や天候など自然の制約を受けやすいこと、山腹の急傾斜地での長時間の作業を行わなければならないこと、伐木作業が重作業であるため労働災害の発生の危険が伴うこと等就労環境に特殊性を有しているとともに、U・Iターン等都市部から新たに就業を希望する求職者も多く、林業に対するイメージが先行しており、林業労働について、十分かつ的確な情報・認識を持っていないため、適切な職業選択が困難となっている。 (3)問題分析 上記の問題点は、林業への就業を新たに希望する求職者に対して、林業労働についての情報(実態及び実体験等)が適切に与えられていないことによる。 (4)事業の必要性 本事業は、林業への就業を新たに希望する求職者に対して、林業作業体験、山村生活体験等を通じて林業労働に対する十分な情報・認識等を付与するものであり、林業労働に対する就業意識の明確化が図られ、就業の円滑化が促進されるため、必要な事業である。 |
目標達成年度 | |||||||
政策効果が発現する時期 | 平成18年度以降 | ||||||
アウトカム指標 | H17 | H18 | H19 | H20 | H21 | 目標値/基準値 | |
林業就業者数 | 1,900人 | ||||||
(説明)本事業から直接又は林野庁の「緑の雇用担い手育成対策事業(以下「緑の雇用事業」)を経て林業に就職した者の人数 | (モニタリングの方法) 事業委託先からの報告を職業安定局にて集計 |
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アウトプット指標 | H17 | H18 | H19 | H20 | H21 | 目標値/基準値 | |
事業参加者数 | 3,000人 | ||||||
(説明)新たに林業への就業を希望する参加者(求職者)数 | (モニタリングの方法) 事業委託先からの報告を職業安定局にて集計 |
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参考指標(過去数年度の推移を含む) | H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | ||
林業への新規参入者数 | 2,065 | 2,314 | 2,290 | 2,211 | |||
(説明)新たに林業へ就業した者の数 | (モニタリングの方法) 林野庁業務資料より |
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
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(理由)林業労働市場においては、林業に就業するに当たり必要な林業の労働環境についての情報等が、林業事業体等に偏在し、新たに林業への就業を希望する求職者に対して付与することができていないため、行政が関与し、適切な情報を当該求職者に対し付与する必要がある。 | |||||
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
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(理由)地方公共団体でも本事業のような事業を行うことは可能と思われるが、現状、本事業に類する事業を行っている地方公共団体はないため、当面は国の事業として行うこととする。 | |||||
民営化や外部委託の可否 |
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(理由)適切な情報を有している民間団体(全国森林組合連合会)に委託することとしている。 | |||||
緊要性の有無 |
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(理由)林野庁試算において、地球温暖化防止森林吸収源対策の目標達成に必要な森林整備事業を担う労働力として、少なくとも5.6万人程度必要とされているところであるが、現在の減少傾向から平成20年には林業労働者は4万8千人まで減少することが予想されており、また、林業労働者の養成には約3年程度要することから林業労働者の確保に係る施策が早急に求められている。 また、林野庁の「緑の雇用事業」の円滑かつ効果的な実施に大きく寄与していた緊急地域雇用創出特別交付金事業を活用した森林整備関係事業が、平成16年度末までの時限措置であるため、引き続き林業労働者の確保を行っていくに当たり、平成17年度以降これに代わる施策が求められている。 |
政策効果が発現する経路 |
求職者が本事業に参加 → 本事業の実施 → 求職者の林業就業意識の形成・明確化 → 林業就業への円滑化 |
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 |
本事業の実施に伴い、林業への就業を希望する約3,000人程度の者が参加し、林業就業に対する認識の深化及び自己の適性判断を通じ、適切な職業選択及び就業の円滑化・再就職の促進が図られる。 |
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 |
なし。 |
(3) 効率性
手段の適正性 | ||||
林業労働は、特殊な作業環境、職場環境にあることに加え、山間地域等への移住による生活環境の変化等、他産業への就業に比べ明確な就業意識や十分な情報がない者が多いことから、当該事業を行わなかった場合には、林業に対するイメージが先行し、自己の適性判断等が不十分なまま就業する結果、林業の就労環境の特殊性になじめず、短期で離職する者が多いことが想定される。他方、本事業を実施し、比較的長期間の林業作業体験、山村生活体験等を付与することは、林業就業への適性等を見極め、適切な職業選択を実現する上で極めて有効と考えられるため、手段として適正である。 | ||||
費用と効果の関係に関する評価 | ||||
本事業については、主に「緑の雇用事業」を実施する林業事業体において実施され、その後の本格就業につなげることから円滑な就業が可能であるため、最小の費用を持って効率的に効果をあげることが期待できる。 | ||||
他の類似事業(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) 本事業と、林野庁の「緑の雇用事業」は、林業労働力の確保を促進するため、「林業への就業の円滑化を図る」という目的により行われる事業であるが、本事業が林業への就業を新たに希望する求職者の林業労働に対する理解・認識の深化、就業意識の形成・明確化を通じて、適切な職業選択に向けた支援を行うものであるのに対し、「緑の雇用事業」は、林業へ就業することを意志決定した者に対し、林業の担い手として必要な専門的技能・技術の習得を通じて、林業への本格就業に向けた支援を行うものであり、異なる段階への支援と整理できる。 |
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3.特記事項
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 本事業と連動する「緑の雇用事業」については、平成16年6月4日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」の中で循環型社会の構築・地球環境の保全として、「森林の環境保全機能を重視し、「緑の雇用」による担い手の育成と地域への定住促進、木材利用の促進を図りつつ、健全な森林の整備・保全を進める。」とされ、このような観点からも「緑の雇用事業」との連携を図り、林業労働者の確保に資する支援を充実させる必要がある。 (3)総務省による行政評価・監視等の状況 (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) (5)会計検査院による指摘 |