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(整理番号 2)
事業評価書(
事前
・事後)
平成16年8月

評価対象(事務事業名) 電子診療情報連携推進事業
担当部局・課 主管課 医政局研究開発振興課医療技術情報推進室
関係課  


1.事務事業の内容
(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 1 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 利用者の視点に立った、効率的で安心かつ質の高い医療サービスの提供を促進すること
I 医療のIT化を推進すること

(2) 事務事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
 地域医療連携機関単位で電子カルテシステムを導入することを目的とし、地域の中心的役割を果たしている医療機関にWeb型電子カルテシステムを導入することで、セキュリティを確保したインターネットを介して周辺の連携医療機関がその電子カルテソフトを活用することを可能とし、電子カルテシステムの普及促進を図り、もって医療分野のIT化を推進するものである(終期を平成17年度とする1カ年の予算事業である)。
予算概算要求額(単位:百万円)
H13 H14 H15 H16 H17
422

(3) 問題分析
(1) 現状分析
 医療分野のIT化の推進は、政府のIT戦略本部決定である「e-Japan重点計画」等において、積極的な取り組みが求められている。
 また、厚生労働省においても平成14年から概ね5年間を見据えた保健医療の情報化推進計画を「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」として平成13年12月26日にとりまとめ、公表したところである。
 この中で、電子カルテシステムについては、「平成18年度までに全国の400床以上の病院と全診療所のそれぞれ6割以上へ普及」を図るなどの具体的な数値目標を掲げ、これらの目標達成に向けたアクションプランも策定したところである。
 現在、これらの実現に向け戦略的に取り組みを進めているが、当該事業はその一環としての事業である。
 なお、電子カルテの普及率は、平成14年10月1日の医療施設調査において、400床以上の病院2.5%(補正予算での導入を含めると11.7%)、診療所2.6%となっている。

(2) 原因分析及び(3)問題点
 電子カルテシステムの導入に関心が高い医療機関は多数ある(医療施設調査による電子カルテの導入予定があると回答した施設数10.2%)が、現状の電子カルテシステムは、まだ発展途上であることや導入経費が高いことにより普及が推進されていない状況である。
 電子カルテシステムの導入は、長期にわたる検討期間と設置後の保守・管理費も必要なことから、特に経営基盤の弱い中小病院や診療所では導入に躊躇している状況である。

(4) 事務事業の必要性
 平成17年度においては、地域の中心的役割を果たしている医療機関にWeb型電子カルテシステムを導入することとしているが、これはセキュリティを確保したインターネットを介して周辺の中小病院や診療所がその電子カルテソフトを活用し、地域医療連携機関単位での電子カルテシステム導入を目的とするものである。これにより電子カルテシステムの導入費用や保守料の低減、短期間での導入が可能となり、電子カルテシステムの一層の普及促進につながるものである。

(4) 事務事業の目標
目標達成年度(又は政策効果発現時期) 平成18年度
アウトプット指標 H17 H18 H19 H20 H21 目標値/基準値


普及率((導入施設数/400床以上の病院数もしくは全診療所数)×100)(%)










平成18年度までに全国の400床以上の病院と全診療所のそれぞれ6割
(説明)
 平成18年度までに全国の400床以上の病院と全診療所のそれぞれ6割以上へ普及を図ることを目標としている。
(モニタリングの方法)
 医療施設調査の実施

2.評価
(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 医療分野のIT化の推進は政府決定であり、普及の初期段階の期間においては、行政の主導の下にIT化を促進するための種々の施策を講じる必要がある。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
 無 その他
(理由)
 IT化の推進は政府決定であることから、国による主導によりその着実な実行を図る必要がある。当該事業は数地域を選定して行うモデル事業であり、Web型電子カルテシステムの導入による地域医療ネットワークの構築が医療の質の向上、患者サービスの向上等に有用であることを広く公表・周知することにより、電子カルテシステムの普及を一層促進することを目的としていることから、事業の実施にあたっては、国自らが主体となって適正に管理していくことが必要である。
民営化や外部委託の可否
   
(理由)
 当該施策は、地域医療連携機関単位で電子カルテシステムを導入することを目的とし、地域の中心的役割を果たしている医療機関にWeb型電子カルテシステムを導入することで、セキュリティを確保したインターネットを介して周辺の連携医療機関がその電子カルテソフトを活用することを可能とすることにより、連携する医療機関が患者の診療情報を共有する事業であることから医療機関が主体となって行うべきであり、外部の者に行わせることはできない。地域医療機関連携体制の構築は、その中で質が高く効率的なチーム医療・グループ診療が行われるためにも、実際に医療を提供する医療機関が主体となって行うべきものであり、民営化や外部委託になじむ事業ではない。
緊要性の有無
   無
(理由)
 平成16年度に政府IT戦略本部が閣議決定した「e-Japan重点計画2004」において、電子カルテの普及促進の成果目標を「電子カルテの普及促進(2004年度までに全国の二次医療圏の中核的な病院、2006年度までに400床以上の病院及び全診療所のうち6割以上)や診療情報の電子化の促進等により、医療の質の向上と医療機関の経営効率化を実現する。」としており、医療分野のIT化について、その実現を強く求められている。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 平成17年度は、低廉な価格で導入が可能なWeb型電子カルテシステムをネットワーク構築単位で導入することにより、周辺の中小病院や診療所による電子カルテソフトの活用を可能とし、電子カルテの一層の普及促進につなげるものである。また、Web型電子カルテシステムにより、中核病院と周辺の中小病院や診療所の地域医療連携が図られる。
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 電子カルテシステムの普及については、補正予算を活用した個々の医療機関への導入補助(平成13・14年度で241機関)や医療機関同士が電子カルテシステムを通じて患者情報を安全にやりとりできるネットワークを確立するためのモデル事業を各年度予算で段階的に実施してきたところであり、それぞれのモデル事業において、安全なネットワークの確立が実証されてきた。
 平成17年度要求では、前年度までの安全なネットワーク確立の実績を踏まえた上で、電子カルテソフトウェアの一元管理により、医療機関間の連携を希望する医療機関が短期間かつ低廉な費用で電子カルテシステムを導入することを可能とする事業を実施するものである。
 これにより電子カルテシステムの普及と診療情報の共有化による地域医療連携の連携の一層の促進を図る事が出来る。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 

(3) 効率性
手段の適正性
 当該事業により地域の中心的役割を果たしている医療機関にWeb型電子カルテシステムを導入することで、周辺の中小病院や診療所がその電子カルテソフトを安価に活用できることから、電子カルテシステムの導入費用や保守料の大幅な低減や短期間での導入が可能となり、連携医療機関が増えるほどコスト的にも効率的な電子カルテシステムの普及促進が図れる。
効果と費用との関係に関する分析
 地域の中心的役割を果たしている医療機関にWeb型電子カルテシステムを導入することで、セキュリティを確保したインターネットを介して周辺の連携医療機関がその電子カルテソフトを活用することが可能となる。
 これにより、周辺の中小病院や診療所が電子カルテシステムを導入する際の費用や保守料の低減、短期間での導入が可能となり、電子カルテシステムの一層の普及促進につながるものである。
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
  
(有の場合の整理の考え方)

(4) その他
 



3.特記事項

(1) 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし。
(2) 各種政府決定との関係及び遵守状況
e-Japan重点計画−2003(H15.8.8)本部決定
 ◆医療
  ○  電子カルテの普及促進・高度化
 電子カルテについては、2003年度までに用語・コードの標準化を図るとともに、診療情報共有モデル事業の導入効果の検証結果等を踏まえて、システムの高度化等所要の策を講じ、2004年度までに全国の二次医療圏の中核的な病院、2006年度までに400床以上の病院および全診療所のうち6割以上に普及を促進する。

e-Japan重点計画−2004(H16.6.15)本部決定
◆医療
  ○  電子カルテの普及促進
 電子カルテの普及促進(2004年度までに全国の二次医療圏の中核的な病院、2006年度までに400床以上の病院及び全診療所のうち6割以上)や診療情報の電子化の促進等により、医療の質の向上と医療機関の経営効率化を実現する。
(3) 総務省による行政評価・監視等の状況
 なし。
(4) 国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし。
(5) 会計検査院による指摘
 なし。


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