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(4−3−IV)
実績評価書
平成15年8月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
IV 外国人労働者の就労環境の整備を図ること
担当部局・課 主管部局・課 職業安定局外国人雇用対策課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 外国人求職者等に対する職業相談・職業紹介等を適切に実施するための体制等の整備を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 外国人求職者等に対する、職業相談・紹介等を適切に実施するための体制の整備を図るため、以下の施設を設置している。
(1) 通訳を介した職業相談・紹介を行う「外国人雇用サービスコーナー」を公共職業安定所に設置
(2) 留学生を含む専門的・技術的分野の外国人求職者等に職業相談等情報提供を行う「外国人雇用サービスセンター」の設置
(3) 日系人に対してその特性に応じた職業相談・紹介を行う「日系人雇用サービスセンター」の設置
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
外国人求職者等に対する対応状況(通訳配置日数)
(日)
6,336 6.816 7,296 8,016 8,256
(備考)
 評価指標は、「外国人雇用サービスコーナー」に配置している通訳の年間配置日数の全国計による。
 なお、通訳配置日数の増加は、外国人求職者等の増加に対応して、通訳の配置を段階的に進めていることによる。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
外国人求職者等に対する対応状況(相談件数)
(件)
72,284 62,459 69,328 119,164 115,536
(備考)
 評価指標は、外国人雇用サービスコーナー、外国人雇用サービスセンター及び日系人雇用サービスセンターの業務取扱状況報告による。
 また、我が国に在留する外国人数は、景気変動や入管法制の改正に伴い、変動するものであり、相談件数もその影響を受けるものである。
実績目標2 事業主への啓発指導、雇用管理援助等を推進し、雇用管理の改善を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 一般に外国人労働者は日本語や我が国の労働慣行に習熟していないことや入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)により就労が制限されている場合があること等から、就労に当たって適正な雇用・労働条件を確保するため、特に事業主に対し、外国人雇用に関する理解の度合に応じた以下の事業を実施することにより、雇用管理の改善を図る。
(1) 事業主等に対する外国人労働者の適正な雇用・労働条件の確保と不法就労の防止のための理解・協力を図るためのパンフレットの配布
(2) 毎年6月に政府全体で行う「外国人労働者問題啓発月間」中に行う講演会における外国人労働者の適正な雇用・労働条件の確保及び不法就労の防止を図るための集中的な周知・啓発
(3) 「外国人雇用管理アドバイザー」の事業所訪問等による外国人雇用事業主が抱える個別の問題に対する具体的な指導・援助
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
事業主等に対する周知、啓発、指導状況(事業主向けパンフレット配布部数)(部) 400,000 656,000 563,550 623,550 513,240
(備考)
 評価指標は、各労働局及び各公共職業安定所に配布したパンフレット部数である。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
事業主等に対する周知、啓発、指導状況(月間中講演会開催回数)(回) 346 208 182 141
(備考)
 評価指標は、業務取扱状況報告(職業安定局調べ)による。
 なお、評価指標のH10については、H11以降と当該講演会の開催方法が異なるため、未記入とする。
(評価指標) H10 H11 H12 H13 H14
事業主等に対する周知、啓発、指導状況(アドバイザー事業所訪問数)(件) 2,764 3,379 3,009 3,958 3,559
(備考)
 評価指標は、業務取扱状況報告(職業安定局調べ)による。


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 外国人労働者については、政府の基本方針(第9次雇用対策基本計画(平成11年8月閣議決定)など)として、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進することとしている。
 また、我が国で就労する外国人労働者は、平成13年現在、合法、不法を合わせて約74万人(法務省入国管理局発表資料(一部厚生労働省が推計))と推計しており、我が国の労働力人口の1%以上に相当している。そのうち、我が国が積極的に受入れを推進している専門的、技術的分野の外国人労働者は、約17万人と前年に比べ約9%増加するなど、昨今の厳しい雇用失業情勢の中でも、専門的、技術的分野の外国人労働者に対する需要は伸び続けていると考えられる。
 なお、ここ数年の雇用失業情勢の悪化に伴い雇用調整を余儀なくされる事業主が増加し、外国人労働者の離職も増加しつつあり、近年公共職業安定に相談に来所する外国人数は高水準で推移(H14は36,652人、H13は45,545人、H12は26,913人、業務取扱状況報告(職業安定局調べ))しているため、外国人労働者の職業紹介等を適切に実施するため体制整備を図ることがますます重要となっている。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
実績目標1について
 日本語能力が十分でない外国人求職者等に対して、職業相談・職業紹介や職場生活に関連する幅広い相談に対応するため外国人雇用サービスコーナー等に通訳を配置することは有効な手段であり、急増する労働者に対して職業相談・職業紹介を適切に実施することができた。
 また、外国人新規求職者が新規求職者全体の5%〜10%を占める公共職業安定所もあり、外国人雇用サービスコーナー等の外国人等求職者専門の職業相談・職業紹介等の窓口を設置することは、適切な相談を実施するうえで有効な手段であり、また、公共職業安定所全体の職業相談等に要する時間の短縮にもつながり、窓口混雑緩和の効果をもたらしている。
実績評価2について
 外国人労働者の雇用の際には、一般に外国人労働者は日本語や我が国の労働慣行に習熟していないことや入管法により就労が制限される場合があること等の特性を事業主がよく理解しなければ適切な雇用管理の改善は図れない。
 このため、外国人雇用に関する事業主の理解の度合に応じて、事業主向けパンフレットの配布、講演会の開催や外国人雇用管理アドバイザーによる事業主が抱える個々の問題に対する具体的な指導・援助などを体系的に実施することは有効な手段である。
 こうした取組の結果、各事業所において外国人労働者の特性に応じた適切な雇用管理が浸透してきていることから、就労目的の在留資格による新規入国外国人の増(H14は約14万5千人、H13は約14万2千人、法務省入国管理局発表資料)につながっていると考える。
政策手段の効率性の評価
実績目標1について
 通訳配置に対する1日当たりの相談件数(相談件数/通訳配置日数)は、H14は14件で前年は14.9件であり、前年に比べると微減しているが、東京、大阪においては、一部の公共職業安定所に外国人が集中していたことから、15年度より通訳の配置箇所の見直しや外国人の集中する公共職業安定所の通訳の拡充を実施しており、実績に見合った見直しを行っていることから、効率的な通訳の配置が図れているものと考える。
実績目標2について
 「事業主向けパンフレット」は、各労働局の必要部数を調査し配布していること、「月間中講演会」は、他の目的で事業主が集まる会合と併せて開催することが可能であること及び「外国人雇用管理アドバイザー」は、事業主からの要請に基づく事業所訪問であることなどから、費用対効果を含む効率性を考慮した施策の実施となっている。
総合的な評価
 外国人労働者や事業主のニーズに応じた支援を費用対効果も考慮のうえ効率的に実 施していることから、外国人労働者の就労環境の整備を図るという施策目標達成に向け進展があったと考えられる。
 ただし、外国人労働者が増加・多様化する中で、外国人求職者等や事業主に対する支援のあり方については、今後も検討していく必要はある。
評価結果分類 分析分類
(3) (2)


3.政策への反映方針

 外国人労働者に関しては、政府の基本方針(第9次雇用対策基本計画(平成11年8月閣議決定)など)に基づき、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進する観点及び一般に日本語や我が国の労働慣行等に習熟していないという特性を有する外国人労働者の雇用の安定を図る観点から、外国人労働者や事業主のニーズに応じ、各種支援を行っているところであり、平成15年度においては、外国人雇用サービスコーナーの拡充を図るとともに、専門的、技術的分野の外国人労働者の雇用問題に関わる経済団体や関係省庁とネットワークを構築し、問題点の整理・抽出を行い、適切な雇用管理のあり方に関する雇用管理マニュアル、就労パンフレットを作成・配布することとしている。
 また、日系人の子弟が就職可能な年齢に達しても就労しない或いはできないといった問題が発生しているため、日系人青年に対する個別情報提供・相談の実施を検討する。
反映分類
(2)(4)


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 学識経験者による「外国人雇用問題研究会」において、外国人雇用問題について、幅広く議論を行い、平成14年7月5日に「外国人雇用問題研究会報告書」を取りまとめた。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 「雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」において「雇用保 険三事業の各種給付金等について、政策評価を適切に行い、今後とも必要な見直 しを行うよう努めるとともに、中小企業の利用に配慮しつつ、不正受給の防止に 万全を期すこと」とされている。(平成15年4月15日衆議院厚生労働委員会)
 「雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」において「雇用保 険三事業の各種給付金等については、政策評価を適切に行い、真に失業予防や再 就職の促進に有用であると認められるものを実施するよう、不断の見直しを行う とともに、中小企業の利用促進に配慮しつつ、不正受給の防止にも万全を期すこと」とされている。(平成15年4月24日参議院厚生労働委員会)

(5)会計検査院による指摘
なし


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