戻る

(1−3−I)
実績評価書
平成15年10月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 利用者の視点に立った、効率的で安心かつ質の高い医療サービスの提供を促進すること
I 利用者の視点に立った、効率的で質の高い医療サービスを実現するため、情報提供体制を推進すること
担当部局・課 主管部局・課 医政局総務課、医事課、研究開発振興課医療技術情報推進室、指導課
関係部局・課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 カルテ開示を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 日本診療録管理学会に対して、カルテ等診療情報の開示に当たっての問題点等に関する調査経費を補助。
 日本診療録管理学会に対して、カルテ管理に従事する者の研修経費を補助。
 (社)日本医師会に対して、診療情報の提供に関する指針の普及啓発のための研修経費を補助。
 今後の診療情報の提供の在り方について、「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会」において検討。
(評価指標)
患者に対して診療情報を提供している病院の割合(%)
H10 H11 H12 H13 H14
75.9 90.5
(備考)
 「診療録管理に関する調査」(東京都病院協会が会員病院に対して行ったアンケート調査)において、診療録開示について「病院として積極的に行っている」又は「患者・家族からの求めがあった場合にのみ行っている」と回答した病院の割合。
実績目標2 医療機能評価を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 国民の医療に対する信頼の確保及び医療の質の向上を図ることを目的として、病院等の医療施設の機能について学術的な観点から評価を行う医療機能評価の普及を促進するため、サーベイヤー(評価調査員)養成事業に対する補助など、財団法人日本医療機能評価機構への支援を行っている。
(評価指標)
財団法人日本医療機能評価機構による医療機能評価の認定数(病院)
H10 H11 H12 H13 H14
128 132 137 183 245
(備考)
 財団法人日本医療機能評価機構平成14年度事業実績報告書による。
実績目標3 根拠に基づく医療(EBM)を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 学会等による診療ガイドラインの作成を支援。(厚生労働科学研究費)
 データベースの整備を目的とした検討会の設置。
(評価指標)
診療ガイドラインが完成している疾患数
(疾患)
H10 H11 H12 H13 H14
5 10
(備考)
 平成11年度より、学会等による診療ガイドラインの作成を支援。診療ガイドライン作成に必要な年数は2年。
実績目標4 医療のIT化を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 医療における標準化の促進を図るため、標準的な用語・コードの開発、管理維持、普及推進。
(評価指標)
病院内情報システム(オーダリングシステム)の普及率(%)
H10 H11 H12 H13 H14
10.5
(備考)
 平成11年医療施設調査による。(3年に1度実施。平成8年の普及率は7.0%)


2.評価

(1) 現状分析
現状分析
 カルテの開示については、既に9割を超える医療機関が実施しているとの調査もあり(「診療録管理に関する調査」:東京都病院協会が会員病院に対して行ったアンケート調査)、現在行っている研修事業等により着実に促進されていると考えられる。
 医療機能評価については、評価事業が始まった平成9年度以降、平成14年度末までに883病院が認定されており、医療機能評価は着実に普及してきている。
 根拠に基づく医療(EBM)については、平成13年12月に策定された「医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」において、平成16年度までに主要な20疾患のガイドラインを作成することとされ、平成13年度末現在、10疾患の診療ガイドラインが完成しており、今後も引き続き作成支援を行うこととしている。
 また、インターネット等を利用し診療ガイドラインや最新の医学情報を提供していくデータベース事業の実施主体は(財)日本医療機能評価機構に決定し、EBMを推進する環境は整備されてきている。
 医療のIT化については、医療用語・コード等の標準化に取り組んでいるところであり、10分野のうち5分野については提供を開始しているところである。

(2) 評価結果
政策手段の有効性の評価
カルテ開示を推進することについては、
 カルテ等診療情報の開示に当たっての問題点等に関する調査により、カルテの作成、管理体制等開示に当たっての問題点、医療関係者により行われている自主的取組等が明らかになった。
 カルテ管理に従事する者の研修について、平成14年度においては8回開催され、342人が受講したところであり、カルテ等診療情報の提供や活用の促進が図られた。
 診療情報の提供に関する指針の普及啓発のための研修について、平成14年度においては44回開催され、4,353人が受講したところであり、カルテ等診療情報の提供や活用の促進が図られた。
医療機能評価を推進することについては、
 医療機能評価の普及促進のためには、評価需要に応じたサーベイヤーの量的な充足、評価体制の強化が不可欠であることから、財団法人日本医療機能評価機構に対するサーベイヤー養成事業に対する支援を行うことは、施策目標を達成する手段として極めて有効である。
根拠に基づく(EBM)を推進することについては、
 根拠に基づく医療(EBM)を推進するための方策の一つとして、平成11年度から厚生科学研究費補助金により診療ガイドラインの作成を開始、平成13年度迄に10疾患の診療ガイドラインが完成。
 インターネット等を利用して、診療ガイドラインや最新の医学情報を医療現場の医師や国民へ提供していくデータベースの整備については、(財)日本医療機能評価機構において実施することを決定。(平成14年度から逐次実施)
医療のIT化を推進することについては、
 医療のIT化推進のために、その最も重要な基盤である医療用語・コード等の標準化について、平成15年度末までの完成を目指し策定中であるが、そのうち「病名」、「手術・処置名」、「臨床検査」、「医薬品」、「医療材料」については、現在、提供を開始しており、普及・浸透を図っている。
政策手段の効率性の評価
 カルテ等診療情報の開示に係る調査と研修について、同一の団体が行うことにより、調査による知見の研修への反映、また、研修における現場の声の調査への活用が相乗的に図られ、カルテ開示が効果的に推進されているといえる。
 医療のIT化推進の最も重要な基盤である医療用語・コード等の標準化について、平成15年度末までの完成を目指し策定中であるが、10分野のうち5分野については、すでに提供を開始しており、IT化が効率的に推進されているものと考えられる。
総合的な評価
 カルテ管理に従事する者への研修や医療機能評価のためのサーベイヤーの養成を支援すること等により、カルテ開示、医療機能評価等を推進しており、施策目標の達成に向けて進展があったものと評価できる。
評価結果分類 分析分類
(3) (2)


3.政策への反映方針

 カルテ等診療情報の提供をさらに促進するため、「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会」における議論を踏まえ、厚生労働省として「診療情報の提供等に関する指針」を定めるとともに、医療機関における先進的な取組を調査し、その普及を図る。
 また、医療機能評価の更なる普及を図るため、サーベイヤー養成事業を引き続き支援するとともに、評価体制の強化を図る。
 根拠に基づく医療(EBM)の推進については、最新かつ最適な医療情報を医療現場の医師や国民へ提供していくこととする。
 医療用語・コード等の標準化については、すでに提供済のものに加え、さらに必要な用語・コード等の開発を進めていくこととする。
反映分類
(2)、(4)


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会」(平成14年7月)

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 「経済財政諮問会議 〜H13.6.26閣議決定」
 骨太方針−今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針−
○「医療サービス効率化プログラム(仮称)」の策定
医療サービスの標準化
 医療の専門性に立脚し、科学的に分析・評価を行って得られた情報を活用して医療を行う「根拠に基づく医療(EBM)」を推進し、国民が理解し納得できる医療サービスの標準化を行う。
「規制改革推進3か年計画(再改定)(平成15年3月28日閣議決定)」
医療機関に対する評価の充実

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況
 平成12年11月30日参議院国民福祉委員会において、「カルテの開示については、環境整備の状況を見て法制化を検討するとともに、十分な医療情報の開示を行い、インフォームドコンセントの実が上がるように努めること。なお、カルテについては、遺族の申請による開示も検討すること。」との付帯決議がなされている。

(5)会計検査院による指摘
 なし


トップへ
戻る