政策評価の結果

(1−1−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 地域において適切かつ効率的に医療を提供できる体制を整備すること
I 日常生活圏の中で必要な医療が提供できる体制を整備すること
担当部局・課 主管課 医政局指導課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 医療計画に基づき医療機関を整備すること
(評価指標)
病床不足地域の数  (医療圏)
H9 H10 H11 H12 H13
187 161 146 157
実績目標2 へき地保健医療対策を推進すること
(評価指標)
無医地区の数  (地区)
H9 H10 H11 H12 H13
914


2.評価

現状分析 地域における医療提供体制の整備については、量的な面での整備は十分整ってきたものの、医療資源の都市部への偏在等による地域的格差を是正する必要性がなおあり、特にへき地における医療資源の量的な確保は依然最重要課題である。

施策手段の適正性の評価 医療施設整備のための国庫補助等により、医療計画やへき地保健医療計画等に基づく地域における体系的な医療提供体制の整備が図られている。

総合的な評価 国民に平等に医療を受ける機会を保証するという観点から、現在行っている施策により、地域の特性に応じた効果的な医療提供体制の整備が進められているといえる。


(1−1−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 地域において適切かつ効率的に医療を提供できる体制を整備すること
II 医療機関の機能分化と連携を促進し、医療資源の効率的な活用を図ること
担当部局・課 主管課 医政局総務課・指導課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 患者の病態に応じた適正な病床区分を推進すること
(評価指標)
病床区分ごとの病床数
H9 H10 H11 H12 H13
一般病床(旧その他の病床から療養型病床群を引いた数を含む)
(病床)
1,205,588 1,161,678 1,094,568 1,022,913 992,809
療養病床(療養型病床群含む)
(病床)
56,522 99,770 183,558 263,946 297,794
実績目標2 医療機関相互の連携を促進すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
地域医療支援病院の数
(病院)
13 24 31 39


2.評価

現状分析  患者の病態にふさわしい医療を提供するという観点から、従来「その他の病床」とされていた病床区分を、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための「療養病床」と、それ以外の「一般病床」に区分し、患者の病態に応じた適正な病床区分を推進している。
 また、地域のかかりつけ医機能を充実させるために、これを支援する地域医療支援病院の整備を図っている。
施策手段の適正性の評価  患者の病態に応じた病床区分を推進する上で、既存病床の転換整備が円滑に行われることが求められるが、現在講じている補助事業等によりその推進が適正に図られている。
 また、地域医療支援病院の整備を促進するため、診療報酬における評価や、補助金による支援等を行っているが、これらの施策により地域医療支援病院の数は増加しており、その普及・定着が適正に図られている。
総合的な評価  現在行っている施策により、療養病床への転換整備が進められているが、引き続き患者の病態に応じた適正な病床区分を推進する必要がある。
 また、地域医療支援病院制度の普及・定着により、医療機関相互の機能分担や地域医療の確保が図られている。


(1−1−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 地域において適切かつ効率的に医療を提供できる体制を整備すること
III 救急・災害医療体制の整備を図ること
担当部局・課 主管課 医政局指導課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 救命救急センターの整備、小児救急医療の充実、ドクターヘリの普及を図ること
(評価指標)
救命救急センターの数  (箇所)
H9 H10 H11 H12 H13
136 142 151 158 160
(評価指標)
ドクターヘリ事業実施件数  (箇所)
H9 H10 H11 H12 H13
        5
実績目標2 災害拠点病院の整備、広域災害・救急情報システムの整備を図ること
(評価指標)
災害拠点病院の整備  (箇所)
H9 H10 H11 H12 H13
        530
(評価指標)
広域災害・救急医療情報システムの整備  (箇所)
H9 H10 H11 H12 H13
8 16 31 33 37


2.評価

現状分析 患者の重篤度に応じた適切な救急医療を受けられることが求められる救急医療体制については、初期、二次、三次の救急医療施設及び救急医療情報センターからなる救急医療体制の計画的かつ体系的な整備が進められており、現在講じている諸施策により着実に体制整備が図られているところである。
また、災害時の医療の確保のため、基幹災害医療センター及び地域災害医療センターがそれぞれ各都道府県ごと、二次医療圏ごとに整備が進められており、施設・設備整備費補助等を通じてその設置促進が図られている。
施策手段の適正性の評価 医療施設の整備等には多額の費用を要することから、施設・設備等に対する補助を行い、その整備等に対する支援を行うことは、救急医療や災害医療の体制整備促進にとって有効な施策である。
総合的な評価 諸施策を講ずることにより、救命救急センターの整備、小児救急医療の充実、ドクターヘリの普及、災害拠点病院の整備等救急医療・災害医療体制の整備が図られているところであるが、救命救急センターが県内に数箇所しかない地域もあるなど、救急医療・災害医療の確保のため体系的な整備を引き続き推進する必要がある。


(1−1−IV)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 地域において適切かつ効率的に医療を提供できる体制を整備すること
IV 医療の質を向上させるために医療法に基づく基準を遵守させること
担当部局・課 主管課 医薬局監視指導・麻薬対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 特定機能病院等への立入検査を徹底すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
立入検査数 (件) 8,804 8,685 8,701 8,599
(全病院に対する立入検査の実施率(%)) (93.8) (93.0) (92.4) (92.6)
遵守率 (%) 96.2 96.5 96.8 96.8


2.評価

現状分析  医療法に基づく立入検査は自治事務となっており、各都道府県等が実施している。
 なお、特定機能病院に対しては厚生労働省も立入検査ができることから、各自治体と合同での立入検査を実施している。
施策手段の適正性の評価  各都道府県は医療法第26条に規定されている医療監視員を発令し、当該医療監視員の医療放第25条の規定に基づく立入検査を実施することにより、法令の遵守率は高まっており、施策手段としては適正である。
総合的な評価  各都道府県が実施する立入検査により、医師数等の法令の遵守率が高まっており、立入検査の効果が出ている。
 また、特定機能病院に対して義務化されている安全管理のための体制の確保については、各地方厚生局による立入検査も同時に行われ、これにより、特定機能病院における安全管理のための体制の確保について一層の取組がなされている。


(1−2−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 必要な医療従事者を確保するとともに、資質の向上を図ること
I 今後の医療需要に見合った医療従事者の確保を図ること
担当部局・課 主管課 医政局医事課
関係課 医政局指導課・歯科保健課・看護課、医薬局総務課


1.現状分析

実績目標 今後の医療需要に見合った医療従事者を養成すること
(評価指標)
医師の就業者数  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
246,548 253,469
(評価指標)
歯科医師の就業者数   (人)
H9 H10 H11 H12 H13
86,847 89,668
(評価指標)
薬剤師の就業者数  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
187,710 199,983
(評価指標)
保健師の就業者数   (人)
H9 H10 H11 H12 H13
36,532 38,607 40,113 42,027
(評価指標)
助産師の就業者数   (人)
H9 H10 H11 H12 H13
23,715 24,177 24,654 24,985
(評価指標)
看護師・准看護師の就業者数   (人)
               
H9 H10 H11 H12 H13
1,005,059 1,030,123 1,069,090 1,098,307
(評価指標)
理学療法士の従事者数(病院)  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
14,361 15,647 17,273 19,025
(評価指標)
作業療法士の従事者数(病院)  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
6,361 7,027 8,014 9,305
(評価指標)
視能訓練士の従事者数(病院)  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
1,704 1,800 1,930 2,081
(評価指標)
言語聴覚士の従事者数(病院)  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
2,138 2,485
(評価指標)
義肢装具士の新規免許登録者数  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
71 70 66 94 100
(評価指標)
歯科衛生士の就業者数   (人)
H9 H10 H11 H12 H13
61,331 67,376
(評価指標)
歯科技工士の就業者数   (人)
H9 H10 H11 H12 H13
36,569 37,244
(評価指標)
診療放射線技師の従事者数(病院)(人)
H9 H10 H11 H12 H13
30,517 31,444 32,363 33,247
(評価指標)
臨床検査技師の従事者数(病院) (人)
H9 H10 H11 H12 H13
44,420 44,574 44,676 44,826
(評価指標)
衛生検査技師の従事者数(病院) (人)
H9 H10 H11 H12 H13
477 416 384 370
(評価指標)
臨床工学技士の従事者数(病院) (人)
H9 H10 H11 H12 H13
5,114 5,534 5,873 6,372
(評価指標)
救急救命士の資格取得者数   (人)
H9 H10 H11 H12 H13
13,469 15,313 17,116 19,142 21,131


2.評価

現状分析
 現在講じている様々な手段により、医療従事者は着実に増加している。
 これまでに推計されている医療従事者の需要と供給の見通しによると、現在のところ供給が需要を上回っている資格はないが、将来的には、医師などいくつかの資格において供給が需要を上回るものと考えられる。
施策手段の適正性の評価
 現時点では医療従事者の供給増が求められているところであるが、現在講じている様々な手段により、医療従事者は着実に増加しており、施策手段は適正と考える。
 今後、医師など供給過剰となる資格も出てくると考えられるため、医療従事者の養成の在り方についても検討する必要がある。
総合的な評価
 現時点では医療従事者の供給増が求められているところであるが、医療従事者が着実に増加していることから、施策目標に沿った施策が実施されていると考えられる。
 今後、医師など供給過剰となる資格も出てくると考えられるため、医療従事者の養成の在り方についても検討する必要がある。


(1−2−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 必要な医療従事者を確保するとともに、資質の向上を図ること
II 医療従事者の資質の向上を図ること
担当部局・課 主管課 医政局医事課
関係課 医政局指導課・歯科保健課・看護課、医薬局総務課


1.現状分析

実績目標1 医師、歯科医師の臨床研修の履修促進と内容充実を図ること
(評価指標)
医師の臨床研修の履修率
H9 H10 H11 H12 H13
85.9% 86.7% 87.0%
(評価指標)
歯科医師の臨床研修の履修率
H9 H10 H11 H12 H13
51.4% 58.7% 61.1% 57.8%
実績目標2 医療従事者に対する研修等を充実すること
(評価指標)
看護職員に対する研修会等の実施回数  (回)
H9 H10 H11 H12 H13
94 108 132 213 317
(評価指標)
診療放射線技師実習指導者に対する講習会修了者数  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
86 84 83 85 78
(評価指標)
臨床検査技師実習指導者に対する講習会修了者数  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
73 92 78 99 138
(評価指標)
視能訓練士実習指導者に対する講習会修了者数  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
68 81 95 58 52
(評価指標)
歯科技工士実習指導者に対する講習会修了者数  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
30 15 16 14 16
(評価指標)
理学療法士・作業療法士養成所の教員等に対する講習会修了者数  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
127 129 128 127
実績目標3 薬剤師の資質の向上を図ること
(評価指標)
薬剤師実務研修修了者数  (人)
H9 H10 H11 H12 H13
76 89 95 80 56


2.評価

現状分析
 現在講じている施策により、医療従事者の質の着実な向上が図られていると考えられる。
 国民から信頼される安全な医療を提供するため、医療技術の進歩等に伴い、医療従事者の質の一層の向上が求められている。
施策手段の適正性の評価
 医師等の臨床研修の履修率は概ね増加しており、臨床研修の履修の促進と内容の充実により、医師等の質の向上が図られている。
 看護職員等医療従事者に対する研修会等の実施により、着実に医療従事者の質を向上させていると考えられる。
 薬剤師に対して研修を実施することにより、医療現場において必要とされる知識・技能・態度が改善され、薬剤師の資質の向上が図られている。
総合的な評価
 現在講じている施策は着実に効果を上げていると考えられるものの、医療従事者の質の一層の向上を図る必要がある。
 医師及び歯科医師の質の向上を図るため、医師等の臨床研修を充実させる施策を引き続き推進するとともに、医師等の国家試験の改善を検討する必要がある。
 看護職員等医療従事者の質の向上を図るため、研修等を充実させる施策を引き続き推進するとともに、専門性の高い看護師の育成を促進する必要がある。
 薬剤師が医療の担い手として、また、創薬を担う研究者として、その責務を果たしていくため、その資質を一層向上させる必要がある。薬剤師全体の資質の向上を図るためには、実務研修修了者数を増加させること、薬剤師国家試験の受験資格要件の見直しを検討すること、生涯教育の観点から卒後の研修を充実させること等が必要である。


(1−3−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 利用者の視点に立った、効率的で安心かつ質の高い医療サービスの提供を促進すること
I 患者の選択に基づいた適切な医療を提供すること
医療サービスの質の向上を図ること
患者のQOLの向上を図ること
インフォームドコンセントを推進すること
担当部局・課 主管課 医政局研究開発振興課医療技術情報推進室、指導課、医事課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 カルテ開示を推進すること
(評価指標)
患者に対して診療情報を提供している病院の割合
H9 H10 H11 H12 H13
87.3%
実績目標2 医療機能評価を推進すること
(評価指標)
財団法人日本医療機能評価機構による医療機能評価の認定数  (病院)
H9 H10 H11 H12 H13
58 128 132 137 183
実績目標3 根拠に基づく医療(EBM)を推進すること
(評価指標)
診療ガイドラインが完成している疾患数  (疾患)
H9 H10 H11 H12 H13
5 10
実績目標4 医療のIT化を推進すること
(評価指標)
病院内情報システム(オーダリングシステム)の普及率
H9 H10 H11 H12 H13
10.5%


2.評価

現状分析  カルテ等診療情報の提供については、すでに9割近い医療機関が実施しているとの調査もあり、現在行っている研修事業等により着実に促進されていると考えられる。今後、さらに診療情報の提供が推進されるよう、診療情報の開示に関するルールの確立やガイドラインの整備が求められている。
 医療機能評価については、評価事業が始まってから5年間で638病院が認定されており、医療機能評価は着実に普及促進してきている。
 根拠に基づく医療(EBM)については、平成13年12月に策定された「医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」において、平成16年度までに主要な20疾患のガイドラインを作成することとされ、平成13年度末現在、10疾患の診療ガイドラインが完成し、今後も引き続き作成支援を行うこととしている。
 また、インターネット等を利用し診療ガイドラインや最新の医学情報を提供していくデータベース事業の実施は(財)日本医療機能評価機構へ決定し、EBMを推進する環境は整備されてきている。
 医療のIT化については、医療用語・コード等の標準化に取り組んでいるところであり、10分野のうち5分野については提供を開始しているところである。
施策手段の適正性の評価 カルテ等診療情報の提供については、すでに9割近い医療機関が実施しているとの調査もあり、現在行っている研修事業等により着実に促進されていると考えられる。
また、医療機能評価の普及促進のためには、その有効性に対する医療関係者の認知、受診意欲の高まりが重要であるが、受審を希望する病院に対する評価を推進するためには評価需要に応じたサーベイヤーの量的な充足、評価体制の強化が不可欠である。
 財団法人日本医療機能評価機構に対するサーベイヤー養成事業に対する支援を行うことにより、サーベイヤーの量的確保、評価体制の強化が図られ、評価需要に応じた効率的な医療機能評価の普及促進が図られており、現在講じている施策は施策目標達成にとって適正なものである。
 根拠に基づく医療(EBM)を推進及び普及するためには、最新かつ最適な情報に基づく治療法を医療の現場へどのような形で提供していくべきか「医療技術評価推進検討会」にて検討され、その方策の一つとして診療ガイドラインの作成が有用であるとされた。また、そのような情報を、医療の現場の医師へ早く確実に提供できる手段として、インターネット等を活用したデータベースの構築が必要であるとされた。現在、当該事業を達成するため、学会等による診療ガイドラインの作成を支援、データベース事業を中立的な公益法人である(財)日本医療機能評価機構において実施することを決定し、平成14年度からデータベースを整備することとしており、施策目標達成にとって適正なものである。
 医療のIT化については、医療用語・コードの標準化について平成15年度末までの完成を目指し策定中であり、また10分野のうち5分野についてはすでに提供を開始しており、施策目標の達成にとって適正なものである。
総合的な評価 これまでに達成された成果を踏まえ、さらに、国民の医療に対する安心と信頼を確保するため、診療情報の開示に関するルールの確立等、引き続き必要な施策を講じていくこととする。


(1−3−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 利用者の視点に立った、効率的で安心かつ質の高い医療サービスの提供を促進すること
II 総合的な医療安全確保対策の推進を図ること
担当部局・課 主管課 医政局総務課
関係課 健康局国立病院部政策医療課、医薬局安全対策課


1.現状分析

実績目標1 医療事故防止に関する医療機関等の自主的な取組を支援すること
(評価指標)
・未定


2.評価

現状分析 近年、社会問題化している医療事故の防止を図ることは、医療政策上、最重要課題の一つであり、医療提供の現場である医療機関等における自主的な取組を積極的に支援していくことが不可欠である。
施策手段の適正性の評価 施策目標を達成するために現在講じている手段は、医療機関等における医療安全対策の支援や質的向上等を図る観点から、適切かつ効果的な目標達成に資するものである。
総合的な評価 現在行っている施策により、医療事故防止に関する医療機関等の自主的な取組をさらに推進する。


(1−4−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 広域を対象とした高度先駆的な医療や結核・難病などの専門的医療等(政策医療)を推進すること
I 政策医療を着実に実施すること
担当部局・課 主管課 健康局国立病院部政策医療課
関係課 健康局国立病院部企画課


1.現状分析

実績目標1 政策医療の実施体制の整備を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
・政策医療の対象疾患に係る入院患者数         52,163
・臨床研究センター・臨床研究部の数 41 43 45 47 47
・研究論文数   2,129 2,259 2,687 2,577


2.評価

現状分析
平成13年10月1日現在における国立病院・療養所全体の病床数は79,035床であり、再編成の進捗等に伴い、前年同日と比較して2,918床減少している。
また、平成14年度の国立病院特別会計全体の歳出予算は、10,251億円であり、うち一般会計繰入れが1,222億円と前年度と比較してそれぞれ280億円、88億円の減少となっている。
施策手段の適正性の評価
国立病院・療養所がその使命である政策医療を適切に遂行していくためには、国としての統一的な政策方針の下、全国的な視点に立って、これを施設群全体として遂行していくことが適当である。
他方、国立病院・療養所は特別会計で運営される一つの事業体であり、限られた人員や予算の中で、個々の施設の役割を明確にした上で重点化して実施することが必要となる。
総合的な評価
平成13年度における政策医療の診療機能について、入院患者数について見ると、政策医療分野の対象疾患患者数は52,163人(H13・11・21現在)であり、全体の88.9%となっている。病院、療養所等別に見ると、病院は82.2%、療養所94.4%、ナショナルセンター85%であり、療養所の方が政策医療患者の割合がより高くなっている。今後とも、本指標を定期的に測定し、経年変化を捉えていく。
また、政策医療の研究機能については、現在47か所の臨床研究センター及び臨床研究部において臨床研究を実施しており、平成10年度以降の研究論文数で見ると、H10:2,129件、H11:2,259件、H12:2,687件と伸びを示してきたところである。平成13年度は全体で2,577件と、前年度とほぼ同様の実績となっている。
政策医療の実施体制については、上記の諸般の状況の中で重点的な整備が図られ、これにより、一定の成果を生み出せる体制が図られていることが伺える。


(1−4−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 広域を対象とした高度先駆的な医療や結核・難病などの専門的医療等(政策医療)を推進すること
II 経営基盤の安定化を図ること
担当部局・課 主管課 健康局国立病院部経営指導課
関係課 健康局国立病院部企画課、政策医療課


1.現状分析

実績目標1 経営の改善を行うこと
(評価指標)
・経常収支率
H9 H10 H11 H12 H13
97.9 98.5 98.8 100.8


2.評価

現状分析
国立病院・療養所の経常収支率については、平成4年度は83.9%であったものが、平成12年度は100.8%となっている。
一方、平成8年度以降においては、経常収支率の伸びは逓減しつつある状況にある。
一般会計からの繰入額についても年々縮減してきており、平成6年度予算では2,588億円であったものが、平成14年度予算においては1,222億円としているところである。
施策手段の適正性の評価
上記のとおり平成4年度以降、経常収支率は各年度において着実に向上しており、これは、毎年度、各施設における取組について本省、地方厚生局が組織的にフォローアップするという体制が、国立病院・療養所全体の経営改善において重要な位置づけを占めていることの証左と考えられる。
総合的な評価
上記のことから、国立病院・療養所の経営基盤の安定化に向けての組織的な取組は、これまで一定の成果を上げてきたものと考えられ、一般会計からの繰入の縮減と相まって、自律的な経営のための基盤は整いつつあるものと考えられる。
他方、平成8年度以降においては、経営の改善が一定程度進展したこともあり、経常収支率の伸びは鈍化しつつあり、平成12年度においてもこの傾向に大きな変化はない。
診療報酬改定や再編成の推進による影響等、国立病院・療養所の経営を取り巻く状況は年度によって異なるところであるが、昨今の状況を見ると、上記取組は、各年度において経営の安定化を図るための前提条件となっているといえる。


(1−4−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 広域を対象とした高度先駆的な医療や結核・難病などの専門的医療等(政策医療)を推進すること
III 医療資源の集中・集約(再編成)を図ること
担当部局・課 主管課 健康局国立病院部企画課
関係課 健康局国立病院部政策医療課


1.現状分析

実績目標1 行政改革大綱(平成12年12月閣議決定)に基づき、昭和61年再編成計画に掲げる32施設及び平成11年見直し計画に掲げる13施設の国立病院・療養所の再編成を実施すること
(評価指標)
・再編成実施施設数(施設)
H9 H10 H11 H12 H13
10


2.評価

現状分析
昭和61年再編成計画及び平成11年見直し計画では、国立病院・療養所を87施設減少させることとされている。
平成13年度末までに87施設中51施設の再編成が実施された。
再編成が実施されることにより、国立病院・療養所の経営資源の政策医療への集約・集中が可能となり、政策医療の推進に繋がっている。
施策手段の適正性の評価
国立病院・療養所の再編成を推進し、併せて地域のニーズ、実情等に応じた医療を確保するという目標を達成するためには、公的医療機関の開設者等への経営移譲を円滑に行い、当該公的医療機関の開設者等がより安定的に医療の提供を行うことができるようにすることが有効である。
総合的な評価
昭和61年再編成計画未実施施設(32施設)について、再編成実施予定時期等を具体化した対処方策を公表したところである(平成13年4月)。
平成13年度には昭和61年再編成計画の対処方策において実施予定とされた8施設及び平成11年見直し計画の1施設の再編成を実施しており、順調に再編成が実施され、その結果、医療資源の集約・集中が図られているものと認められる。
平成11年見直し計画未実施施設(12施設)について、再編成実施予定時期等を含む対処方策を公表した(平成14年4月)。


(1−5−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 感染症など健康を脅かす疾病を予防・防止するとともに、感染者等に必要な医療等を確保すること
I 結核等感染症の発生・まん延の防止を図ること
担当部局・課 主管課 健康局結核感染症課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 都市部におけるDOTS対策の実施を図ること
(評価指標)新規結核登録患者数
H9 H10 H11 H12 H13
42,715 41,033 43,818 39,384
(評価指標)新規塗抹陽性患者数
H9 H10 H11 H12 H13
15,967 13,405 14,482 13,220
(評価指標)小児(14歳以下)の新規結核登録患者数
H9 H10 H11 H12 H13
285 274 280 220
実績目標2 若年層の性感染症対策を図ること
(評価指標) 淋菌感染症報告数
H9 H10 H11 H12 H13
11,847 16,926 20,471
(評価指標) 性器クラミジア報告数
H9 H10 H11 H12 H13
25,033 37,028 40,309
(評価指標) 性器ヘルペス報告数
H9 H10 H11 H12 H13
6,566 8,946 9,158
(評価指標) 尖形コンジローム報告数
H9 H10 H11 H12 H13
3,190 4,553 5,123
(評価指標) 梅毒報告数
H9 H10 H11 H12 H13
735 749 567
実績目標3 法に基づく予防接種の実施を推進すること
(評価指標)ジフテリア報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
2 1 0
0 1 0
(評価指標)百日せき報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
2,653 3,804 1,800
2 0 1
(評価指標)急性灰白髄炎報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
0 1 0
0 0 0
(評価指標)麻しん報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
5,958 22,978 35,302
29 18 21
(評価指標)風しん報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
2,972 3,123 2,590
0 0 1
(評価指標)日本脳炎報告数(上段)
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
5 7 5
0 1 0
(評価指標)破傷風報告数(上段)
(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
65 91 75
10 10 12
(評価指標)インフルエンザ報告数(上段)、
死亡数(下段)
H9 H10 H11 H12 H13
769,964 305,248
575 214


2.評価

現状分析  感染症の発生は、全体として改善されている状況にある。
 しかしながら、個々の感染症の中には、地域間格差、高齢化の影響等の新たな状況の変化が生じており、その対応が重要な課題となっていることから、今後とも時代の変化に対応した適切な政策手段を選択し、着実な実施を図っていく必要がある。
施策手段の適正性の評価  感染症法、予防接種法等に基づき、個々の感染症の特性、発生動向等に応じた適切な手段を選択していると認められる。
総合的な評価  感染症の発生は全体として改善状況にあるが、新たな問題も生じていることから、今後とも、国民が安心して暮らせる社会を実現するため、時代の変化に対応した重点的な対策の実施を図っていく必要がある。


(1−5−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 感染症など健康を脅かす疾病を予防・防止するとともに、感染者等に必要な医療等を確保すること。
II 治療方法が確立していない特殊の疾病等の予防・治療等を充実すること。
担当部局・課 主管課 健康局疾病対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 医療の受診機会を増加させること。
(評価指標)
   難病医療拠点病院・協力病院数
H9 H10 H11 H12 H13
354 686 755 1,122
実績目標2 難病研究を充実し、国民に情報を提供すること。
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
  特定疾患対策研究事業の研究論文数   5,494 5,259 5,640 5,560
  難病情報センターのアクセス件数(千件) 763 2,084 2,670 4,490


2.評価

現状分析  難病についての調査研究は、これまで着実に成果を上げているが、未だ多くの難病があり、新たな課題も発生しているため、引き続き研究の充実を図る必要がある。
 また、難病患者やその家族については、長期間の療養や介護、経済的負担の増加など多くの問題を抱えており、一層の支援が必要である。
施策手段の適正性の評価  研究事業や情報提供等は、着実に効果が上がっており、また効率的に行われていることから、適正に実施された。
総合的な評価  有効かつ効率的に行われていることから、施策目標は着実に達成されているが、難病患者は増加・高齢化しており、療養上の悩みや不安に的確に対応するため、引き続き難病に対する調査研究の充実と難病患者等に対する療養生活の支援を図る必要がある。


(1−5−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 感染症など健康を脅かす疾病を予防・防止するとともに、感染者等に必要な医療等を確保すること。
III ハンセン病対策の充実を図ること
担当部局・課 主管課 健康局疾病対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 補償金支給事務の迅速な実施を図ること。
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
  支給件数  (単位:件) 3,278
  平均処理日数(単位:日) 60
実績目標2 ハンセン病に対する正しい知識の普及啓発を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
普及啓発パンフレットの配布件数(単位:部)
ハンセン病資料館の入館者数(単位:人) 10,402 10,414 8,932 10,250 16,378


2.評価

現状分析  ハンセン病療養所入所者等に対しては、補償金の支給、社会復帰支援や名誉回復等の必要な措置を講じているが、社会のハンセン病患者等に対する偏見・差別は依然として存在しており、引き続きハンセン病に対する知識の普及に努める必要がある。
施策手段の適正性の評価  普及啓発等は、着実に効果が上がっており、また効率的に行われていることから、適正に実施されているものと考える。
総合的な評価  平成8年3月まで「らい予防法」とこれに基づく隔離政策を継続してきたために、ハンセン病患者・元患者の方々に耐え難い苦難と苦痛を与え続けてきたことに対し、ここに深く反省・謝罪し、今後とも、ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向け、必要な措置を講じる。
 実績目標1については、申請者からの苦情がほとんど無く、かつ不服申立は1件も無かったことから適正に実施できたと評価している。
 実績目標2については、入館者数が前年度に比べ大幅に増加したことから、適正に実施されたと評価している。


(1−5−IV)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 感染症など健康を脅かす疾病を予防・防止するとともに、感染者等に必要な医療等を確保すること
IV エイズの発生・まん延の防止を図ること
担当部局・課 主管課 健康局疾病対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 HIV感染者・患者報告数を減少させる(少なくとも前年報告数以下)にすること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
エイズ発生動向調査における報告数          
HIV感染者報告数 397 422 530 462 621
エイズ患者報告数 250 231 301 329 332
実績目標2 エイズに対する医療、相談体制の整備を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
保健所におけるエイズ相談受付件数 96,735 111046 103206 107266 141269
保健所におけるHIV抗体検査件数 46,237 53,218 48,218 48,754 69,925
エイズ予防財団の実施する電話相談件数 12,764 14,372 12,752 12,377 10,878


2.評価

現状分析  HIV感染は日本国籍男性を中心に、国内での性的接触を感染経路とした流行拡大が続いており、特に同性間の感染報告件数が増加している。これは、個別施策層である同性愛者に対する検査に関する情報提供等、エイズに関する普及啓発の結果、同性愛者の検査が増えた可能性も考えられる。医療体制については、全国に366のエイズ拠点病院が整備されている。
施策手段の適正性の評価  後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針に基づく個別施策層への普及啓発事業等は効果を上げており、適正に実施されたと評価している。 
総合的な評価  医療、相談体制の整備や普及啓発事業等については、効果的かつ効率的に実施されているが、感染者・患者報告数が増加していることから、今後も継続的に、効果的な普及啓発事業を行っていく必要がある。


(1−5−V)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 感染症など健康を脅かす疾病を予防・防止するとともに、感染者等に必要な医療等を確保すること
V 適正な臓器移植の推進等を図ること
担当部局・課 主管課 健康局疾病対策課臓器移植対策室
関係課  


1.現状分析

実績目標1 臓器移植法に基づく適正な臓器移植の普及を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
臓器提供意思表示カード・シールの配付枚数          
  カード(単位:千枚) 4,668 32,860 21,296 10,454 6,864
保険証用シール(単位:枚) 3,932,890 7,437,755 428,290 1,736,355
運転免許証用シール(単位:枚) 456,800 231,550 185,000 359,736
心臓移植実施件数(単位:件) 1 3 6 3
肺移植実施件数(単位:件) 2 4 4
肝臓移植実施件数(単位:件) 1 3 7 5
腎臓移植実施件数(単位:件) 166 158 148 126 161
膵臓移植実施件数(単位:件) 0 3 4
小腸移植実施件数(単位:件) 0 1 0
角膜移植実施件数(単位:件) 1,748 1,721 1,591 1,525 1,494
実績目標2 造血幹細胞移植の普及を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
骨髄提供希望登録者数(人) 94,822 114,354 127,556 135,873 152,339
骨髄移植実施件数(件) 403 482 589 715 749
保存さい帯血公開個数 4,343 8,384
さい帯血移植実施件数 114 169 221


2.評価

現状分析
(1) カード配付枚数76,141,921枚、運転免許証用シール配付枚数1,233,086枚、医療保険の被保険者証用シール配付枚数13,535,290枚(平成13年度末までの累計)
(2) 移植希望登録者数:心臓62名、肺49名、肝臓50名、腎臓12,870名、膵臓58名、眼球(角膜)5,390名(平成14年6月末)。移植を待つ人数に比べて年間の移植実施数は少ないものとなっている。
(3) ドナー登録者数152,339人、保存さい帯血公開個数8,384個(平成13年度末)
(4) 骨髄移植の新規登録患者のうち、ドナー登録者とHLA型が適合する率は約90%。HLA型適合ドナーが発生せずに待機している患者は約400名(平成12年度)
(5) 臓器移植・造血幹細胞移植ともに、あっせん機関の安定的な運営が課題。
施策手段の適正性の評価   移植医療は、あくまで臓器や造血幹細胞の提供者本人の善意に基づくものであることから、移植医療の定着のためには国民の理解を深めることが重要であり、移植医療についての普及啓発に資する現行の施策手段は適正であると認められる。
総合的な評価  臓器移植・造血幹細胞移植の普及に一定の効果はあったと思われる。
 今後とも引き続き現行の施策を実施するとともに、運用上の課題に適宜対応することなどにより、国民の移植医療に対する信頼を確保しながら、その普及に努めてまいりたい。


(1−5−VI)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 感染症など健康を脅かす疾病を予防・防止するとともに、感染者等に必要な医療等を確保すること
IV 原子爆弾被爆者を援護すること
担当部局・課 主管課 健康局総務課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 迅速に原爆症の認定を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
 認定処理件数 157件 88件 212件 120件 173件
 処理期間 (-) 590日 368日 326日 189日
実績目標2 被爆者の健康の保持・増進を図ること
(評価指標)
 被爆者健康診断受診率(%)
H9 H10 H11 H12 H13
88.4 87.6 90.8 85.8 85.3


2.評価

現状分析 原爆症の認定数は平均150人(5年間)、認定に要する期間は平均368日(4年間)。
被爆者健康診断の受診率87.6%(5年間)。
原爆症の認定に要する日数の短縮、高い被爆者健康診断受診率等から、原子爆弾被爆者の健康の保持・増進のために適切な施策が行われていると考えている。
施策手段の適正性の評価  高齢化している被爆者への援護を図るという観点から、迅速な原爆症の認定と被爆者の健康の保持・増進を図るという施策手段は適正である。
総合的な評価 原子爆弾被爆者の援護に一定の効果はあったと思われる。
今後も引き続き現行の施策を推進し、原子爆弾被爆者の援護に努めてまいりたい。


(1−6−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 品質・有効性・安全性の高い医薬品・医療用具を国民が適切に利用できるようにすること
I 有効性・安全性の高い新医薬品・医療用具の迅速な承認手続きを進めること
担当部局・課 主管課 医薬局審査管理課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 新医薬品・医療用具の優先審査を進めること
(評価指標)
優先審査承認品目の割合(%)
H9 H10 H11 H12 H13
45 25 26 59
実績目標2 標準事務処理期間内に処理すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
申請件数と処理件数(申請件数に対する標準期間内処理件数の割合) (%)
標準事務処理期間 18ヶ月 18ヶ月 18ヶ月 12ヶ月 12ヶ月
実績目標3 リスクの低いものについて基準を定めて自己認証制度等の対象とすること
(評価指標)
JIS認定工場数/医療用具製造業者数 
H9 H10 H11 H12 H13
      212
2709
215
2591


2.評価

現状分析
有効性・安全性の高い新医薬品・医療用具の迅速な承認を推進するためには、審査体制の充実と制度の普及、それらを評価できるシステムの整備が必要である。
審査体制の整備については、審査担当者の増員を図っているものの、海外における審査体制と比較すると必ずしも十分な体制整備がなされていないことから、引き続き拡充を図る必要がある。
評価システムについては、標準事務処理期間内の処理内容を記録できるシステムを整備する必要がある。
施策手段の適正性の評価  審査体制の充実及び制度の普及により、新医薬品・新医療用具の迅速な承認手続を推進することが可能であると考える。
総合的な評価  本施策の着実な効果の向上のためには、現行以上に審査体制の充実を図る必要があり、制度の改正、組織の見直しを含め検討する必要がある。


(1−6−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 6 品質・有効性・安全性の高い医薬品・医療用具を国民が適切に利用できるようにすること
II 医薬品医療用具の品質確保を徹底すること
担当部局・課 主管課 医薬局監視指導・麻薬対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 製造所、薬局等への立入検査を徹底すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
立入検査件数と指導等件数 (件) 立入検査件数 234,562 236,904 235,958 203,630
指導等件数 8,746 9,148 8,376 8,285
実績目標2 不良品の回収を徹底すること
(評価指標)
自主回収の件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
105 110 126 375 426


2.評価

現状分析  立入検査件数、違反発見件数とも例年同程度の件数を維持している。自主回収の件数は、平成12年に回収の基本的な考え方を明確にしたことなどにより、大幅に増加している。
施策手段の適正性の評価  違反発見件数に低下傾向が見られないことから、現在の施策を引き続き行うことは有効であると考えられる。ただし、近年の医薬品等の流通形態の変化を考慮して、監視指導対象を選定していくことは必要と考える。
 回収については、平成12年度から基準を明確化したことやクラス分類を導入してリスクに応じた対応を指導したことなどにより、これまで回収されなかったものについても、徹底して行われるようになったと考えられる。
総合的な評価  医薬品・医療用具の品質確保の推進に寄与していると評価できる。引き続き医薬品等の流通形態の変化を考慮し、監視指導対対象の選定の工夫等適切な施策を行う。


(1−6−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 品質・有効性・安全性の高い医薬品・医療用具を国民が適切に利用できるようにすること
III 安全性を確保するために、医薬品の情報を医療関係者等へ広く提供すること
担当部局・課 主管課 医薬局安全対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 医薬品の安全性に関する情報を充実させること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
医薬品情報提供ホームページへのアクセス件数 (千件) 9,174 15,360
医薬品の使用上の注意の改訂件数 (件) 376 279 268 298 305


2.評価

現状分析  医薬品情報提供システムは、平成11年度より稼働し、運営を行っているが、平成12年度は9,174,000件、13年度は15,360,000件とアクセス件数が増加していることから、医療機関等に定着しつつある。
施策手段の適正性の評価  インターネットを活用して情報提供を行うことにより、医療機関等が容易に最新の情報を入手することが可能となったので、手段として効果的である。
総合的な評価  医薬品情報の重要性が増大していることから、情報の的確な伝達手段として、インターネットを介し、確実かつ効率的に医療関係者等に情報提供を実施することができた。


(1−6−IV)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 6 品質・有効性・安全性の高い医薬品・医療用具を国民が適切に利用できるようにすること
IV 医薬分業を推進すること
担当部局・課 主管課 医薬局総務課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 地域単位での医薬分業を推進すること
(評価指標)
地域ごとの分業計画整備率(現在調査中)
H9 H10 H11 H12 H13
(評価指標)
地域別分業率(別添参照)
H9 H10 H11 H12 H13
         


2.評価

現状分析  医薬分業は、地域格差の問題はあるが、関係者の理解と協力もあり、全体としては順調に進展してきている。
施策手段の適正性の評価  分業率が低い県にあっても、近年着実な進展を見せてきており、一定の成果が得られていると考えられる。
 一方、医薬分業が進展している県にあっては、医薬分業のメリットを住民に実感してもらい、さらに、医薬分業を定着させるため、その質を向上させる施策についても充実させていく必要がある。
総合的な評価  平成13年度における医薬分業率は、前年度に比べ全国平均で5%上昇していることから、医薬分業の進展に有効な施策を行ってきていると評価できる。


都道府県別医薬分業率の推計

全保険(社保・国保・老人)
 61年度62年度63年度元年度2年度3年度4年度5年度6年度7年度8年度9年度10年度11年度12年度13年度
北海道10.010.411.011.812.413.114.417.120.423.926.830.035.941.846.552.1
青森13.613.814.215.316.717.720.222.526.330.132.736.440.244.548.253.2
岩手8.99.79.89.910.210.010.811.813.016.018.722.025.229.935.746.0
宮城11.211.813.314.615.516.517.820.523.526.429.132.837.743.249.054.7
秋田29.930.330.329.729.730.029.531.434.537.539.943.549.056.162.967.6
山形2.32.73.13.74.35.06.08.611.212.916.123.028.933.439.145.3
福島6.36.46.66.87.37.57.810.114.117.720.424.631.037.543.047.4
茨城3.03.13.43.33.94.86.28.612.416.721.226.333.138.143.048.2
栃木3.43.33.53.74.65.76.47.39.310.411.514.619.02428.132.7
群馬5.86.46.56.16.16.57.49.512.215.117.620.223.626.729.532.5
埼玉7.07.68.59.510.511.713.015.117.820.122.827.332.436.741.947.4
千葉8.69.310.512.013.815.217.420.623.826.429.232.937.341.547.553.0
東京15.816.918.119.921.923.625.828.531.434.137.241.045.449.353.357.9
神奈川18.819.821.222.924.526.028.130.132.735.037.541.245.450.156.261.7
新潟5.76.46.87.38.08.610.112.615.918.922.026.632.538.744.551.6
富山1.11.11.11.01.11.31.82.53.54.35.06.68.713.319.124.7
石川2.52.22.32.22.32.42.53.03.64.04.24.96.48.712.217.0
福井0.70.60.60.60.60.60.70.81.92.94.26.38.49.110.813.8
山梨11.511.812.012.713.414.215.618.122.323.625.227.830.73642.748.7
長野7.07.17.17.17.67.98.69.510.611.813.619.825.330.637.043.4
岐阜1.31.31.31.31.31.72.23.44.96.28.713.320.225.130.235.7
静岡6.97.58.08.89.49.910.912.414.517.520.324.330.035.540.946.6
愛知3.83.83.94.14.14.34.65.36.17.28.611.817.522.727.231.9
三重6.15.55.66.16.46.97.99.410.512.013.915.919.423.228.234.8
滋賀4.04.24.34.54.55.15.97.38.810.912.615.420.224.128.233.4
京都0.80.80.80.91.21.41.51.82.22.94.26.810.815.119.222.4
大阪4.04.04.24.54.85.15.76.77.68.810.012.515.618.923.228.0
兵庫9.09.39.710.511.312.013.014.716.719.321.525.129.533.638.443.1
奈良1.41.11.21.31.61.82.22.94.45.47.512.017.221.924.928.9
和歌山1.31.21.31.41.41.41.72.23.04.25.16.59.010.712.916.3
鳥取9.09.710.612.914.115.015.918.122.324.225.228.433.036.943.049.0
島根2.73.23.43.54.05.26.47.99.712.214.917.923.52932.937.4
岡山8.48.58.68.58.58.910.211.312.814.817.620.024.628.833.238.0
広島14.314.515.015.816.417.118.621.123.625.928.331.234.037.440.946.1
山口15.415.817.018.419.620.622.925.629.531.733.436.740.342.945.749.5
徳島1.20.80.80.90.80.80.91.53.13.64.04.910.014.720.725.3
香川3.23.53.73.84.24.44.65.58.09.211.115.520.724.930.335.9
愛媛6.66.36.05.95.75.76.47.18.19.911.714.016.219.224.229.4
高知2.72.52.32.02.02.02.22.83.44.15.78.315.42126.634.5
福岡22.122.423.224.125.126.328.430.633.035.437.640.443.145.949.453.5
佐賀29.829.229.230.031.332.335.638.641.743.745.549.353.056.458.963.8
長崎17.918.118.518.718.818.920.922.725.127.329.733.639.644.848.752.5
熊本8.48.99.410.011.111.913.716.219.122.725.729.834.13841.144.7
大分13.513.914.314.615.215.917.117.919.321.723.226.631.736.942.848.8
宮崎23.724.025.225.125.526.027.528.731.833.334.938.441.944.848.452.1
鹿児島9.110.011.312.213.214.516.819.121.824.427.130.938.042.946.950.9
沖縄17.116.716.015.316.117.318.223.226.227.429.733.239.745.150.856.7
全国9.710.110.611.312.012.814.015.818.120.322.526.030.534.839.544.5
(単位:%)
(日本薬剤師会調べ)


全保険(社保・国保・老人)
 8年度9年度10年度11年度12年度H12-H11H12-H10
秋田39.943.549.056.162.96.813.9
佐賀45.549.353.056.458.92.55.9
神奈川37.541.245.450.156.26.110.8
東京37.241.045.449.353.34.07.9
沖縄29.733.239.745.150.85.711.1
福岡37.640.443.145.949.43.56.3
宮城29.132.837.743.249.05.811.3
長崎29.733.639.644.848.73.99.1
宮崎34.938.441.944.848.43.66.5
青森32.736.440.244.548.23.78.0
千葉29.232.937.341.547.56.010.2
鹿児島27.130.938.042.946.94.08.9
北海道26.830.035.941.846.54.710.6
山口33.436.740.342.945.72.85.4
新潟22.026.632.538.744.55.812.0
福島20.424.631.037.543.05.512.0
茨城21.226.333.138.143.04.99.9
鳥取25.228.433.036.943.06.110.0
大分23.226.631.736.942.85.911.1
山梨25.227.830.73642.76.712.0
埼玉22.827.332.436.741.95.29.5
熊本25.729.834.13841.13.17.0
静岡20.324.330.035.540.95.410.9
広島28.331.234.037.440.93.56.9
山形16.123.028.933.439.15.710.2
兵庫21.525.129.533.638.44.88.9
長野13.619.825.330.637.06.411.7
岩手18.722.025.229.935.75.810.5
岡山17.620.024.628.833.24.48.6
島根14.917.923.52932.93.99.4
香川11.115.520.724.930.35.49.6
岐阜8.713.320.225.130.25.110.0
群馬17.620.223.626.729.52.85.9
三重13.915.919.423.228.25.08.8
滋賀12.615.420.224.128.24.18.0
栃木11.514.619.02428.14.19.1
愛知8.611.817.522.727.24.59.7
高知5.78.315.42126.65.611.2
奈良7.512.017.221.924.93.07.7
愛媛11.714.016.219.224.25.08.0
大阪10.012.515.618.923.24.37.6
徳島4.04.910.014.720.76.010.7
京都4.26.810.815.119.24.18.4
富山5.06.68.713.319.15.810.4
和歌山5.16.59.010.712.92.23.9
石川4.24.96.48.712.23.55.8
福井4.26.38.49.110.81.72.4
全国22.526.030.534.839.5 
(単位:%)
(日本薬剤師会調べ)


グラフ


(1−6−V)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 品質・有効性・安全性の高い医薬品・医療用具を国民が適切に利用できるようにすること
V 医薬品副作用被害救済制度の適正な管理を行うこと
担当部局・課 主管課 医薬局総務課医薬品副作用被害対策室
関係課  


1.現状分析

実績目標1 適切な徴収、給付を推進すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
拠出金額(百万円) 595 988 1,015 920 965
給付金額(百万円) 798 929 920 935 1,022


2.評価

現状分析  医薬品副作用被害救済制度における請求件数の増加により、給付額は年々増加しており、平成12年度及び平成13年度においては、給付額が拠出金額を上回ったことから、剰余金が減少した。
施策手段の適正性の評価  拠出金率を再計算することにより、医薬品副作用被害救済制度の安定的な維持を図ることができ、救済給付の請求に係る医学的薬学的判定を要する事項について、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて判定を行うことにより、公平・公正な支給の決定を行うことができる。
 なお、医薬品機構法第31条第5項の規定により、財政の均衡を保つ観点から、平成15年4月に拠出金率を改定する必要の有無について検討しているところ。
総合的な評価  医薬品副作用被害救済制度における請求件数の増加は、リーフレット・政府公報等の活用により、患者への制度の周知が行き届いてきたことから生じたものと考えることができ、引き続き、制度の安定的な維持に万全を期すこととしている。


(1−7−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 血液製剤の国内自給を推進するとともに、安全性の向上を図ること
I 血液製剤の国内自給の推進を図ること
担当部局・課 主管課 医薬局血液対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 効果的な献血の普及を推進し、年次計画による原料血漿確保目標量を確保すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
 原料血漿確保目標量(万L) 77.0 80.0 87.0 94.0 101.0
 原料血漿確保量(万L) 77.5 82.6 91.9 95.5 104.3
 献血者数(万人) 599.9 613.7 613.9 587.8 577.4
 献血量(万L) 186.8 193.5 196.5 190.7 191.8
実績目標2 輸血用血液製剤の国内自給を維持し、血漿分画製剤の国内自給を推進すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
輸血用血液製剤の国内自給率(%) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
アルブミン製剤の国内自給率(%) 25.9 26.4 26.9 29.7 33.8
免疫グロブリン製剤の国内自給率(%) 56.4 61.4 66.2 72.6 80.6
血液凝固第VIII因子製剤(血液由来)の国内自給率(%) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
実績目標3 献血受入体制を整備すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
献血ルーム数 117 124 127 123 125
成分採血装置数 2,524 2,574 2,546 2,521 2,481


2.評価

現状分析  献血血液による血液製剤の国内自給を達成するため、「血液行政の在り方に関する懇談会」の報告(平成9年12月)に基づき、平成20年に原料血漿150万Lを確保することを目標としている。平成10年度以降原料血漿の計画的な増量を図り、平成13年度においては104.3万Lを確保しており、概ね順調に推移している。
 なお、主な血漿分画製剤の平成13年度の自給率は、アルブミン製剤33.8%、グロブリン製剤80.6%、血液凝固第VIII因子製剤100%(遺伝子組換え製剤を含めると52.2%)である。
施策手段の適正性の評価  血液製剤の国内自給を推進するため、我が国の血液事業は、昭和39年の閣議決定「献血の推進」に基づいて行われており、医療に必要な血液製剤を献血で確保できるよう、献血思想の普及と組織化、献血受入体制の整備について国、地方公共団体、日本赤十字社等の関係者が、それぞれの役割を果たしつつ推進してきている。
 今後、少子高齢化が進展する中で、献血者を確保することは必ずしも容易でないと見込まれることから、地域における効果的な献血の普及活動、献血受入体制の整備等を通じ、計画的に原料血漿の確保を図ることが必要である。
 また、「血液製剤の使用指針」等の策定及び周知により、血漿分画製剤の適正使用が推進されてきたところであるが、なお改善の余地もあると見られることから、一層の取組が必要である。
総合的な評価  献血の推進による計画的な原料血漿の確保、血液製剤の適正使用の推進等により、毎年、献血血液による血液製剤の国内自給率は向上しているが、多くの血漿分画製剤について未だ相当量を輸入に依存している。そのため、今後とも、血液製剤の中長期的な需給見通しに基づき、関係機関の協力を得て献血の推進を図るための体制整備に努め、国内原料血漿の計画的な確保を図るとともに、一層の適正使用を進めること等により、国内自給を推進することとしている。


(1−7−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 血液製剤の国内自給を推進するとともに、安全性の向上を図ること
II 血液製剤の使用適正化を推進すること
担当部局・課 主管課 医薬局血液対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 需給動向調査を実施すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
血液製剤使用量
(血液製剤需要動向調査)
全血製剤(単位) 11,918
赤血球製剤(単位) 399,587
血小板製剤(単位) 583,042
血漿製剤(単位) 361,551
アルブミン製剤(L) 153,037
グロブリン製剤(L) 78,419
実績目標2 使用指針等を策定すること
(評価指標)
使用指針等策定の進捗状況
H9 H10 H11 H12 H13


2.評価

現状分析  アルブミン等については、使用指針に基づき適正使用が推進された結果、使用量が減少し、国内自給率の向上といった成果が得られている。
施策手段の適正性の評価  血液製剤の使用状況を調査し、その結果を踏まえた、使用指針を策定・改正すること等により、適正使用を推進することは、不要な血液製剤の使用を減らすものであり、未知のウイルスによる感染のリスクの低減、輸血用血液製剤の取り違えによる事故防止等を通じて、安全性の向上に寄与するとともに、貴重な献血への依存を軽減し、国内自給の推進に資する。
総合的な評価  これまでの取組により、血液製剤の適正使用は進んできているが、これをさらに徹底するため、今後、血液製剤使用状況調査結果を踏まえ、適正使用の推進方策を検討することとしている。


(1−7−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 血液製剤の国内自給を推進するとともに、安全性の向上を図ること
III 血液製剤の安全性の向上を図ること
担当部局・課 主管課 医薬局血液対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 各種抗体検査等を実施すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
検査項目数 3項目 3項目 4項目 4項目 4項目
検査実施率 (%) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
実績目標2 複数回献血を推進すること
(評価指標)
平均献血回数
H9 H10 H11 H12 H13


2.評価

現状分析  NAT等新たな検査法の導入により、一層安全性の高い血液製剤が提供されている。また、複数回献血の推進方策等について、現在、「複数回献血検討会」において検討中。
施策手段の適正性の評価  現在実施されている各種抗体検査等は、血液製剤の安全性確保に有効であり、今後、複数回献血と組み合わせることにより、一層の安全性が確保される。
総合的な評価  NAT等新たな検査の導入によりウインドウ・ピリオドの短縮は可能となったが、それでも血液を介した感染の危険性をゼロにすることはできないことから、今後、複数回献血を推進するとともに、最新の技術を導入すること等により、一層の血液製剤の安全性の向上に努めていく必要がある。


(1−8−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 保健衛生上必要不可欠なワクチン等の安定供給を確保するとともに、緊急時等の供給体制についても準備を進めること
I 希少疾病ワクチン・抗毒素の安定供給を図ること
担当部局・課 主管課 医薬局血液対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 国家買上及び備蓄を実施すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
供給要請数と売払数
(外来伝染病又は緊急治療用ワクチン6品目の合計)
供給要請本数 442 181 548 157 539
売払本数 442 181 548 157 539


2.評価

現状分析  ワクチン・抗毒素は、伝染病等の予防や治療に用いられる医薬品であるが、その製造に当たっては、病原微生物等を原料とすることから、高度な製造技術と設備を必要とし、製品ができあがるまで長期間を要する。また、比較的有効期間が短く、しかも伝染病の発生・流行は極めて予測し難いことから、需給調整も極めて困難である。
 そこで、外来伝染病用としてコレラワクチン、緊急治療用として乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン、ガスえそウマ抗毒素、乾燥ボツリヌスウマ抗毒素(E型)、乾燥ボツリヌスウマ抗毒素(ABEF型)及び乾燥ジフテリアウマ抗毒素について、国家買上を行い、一定量の備蓄を行うことにより、緊急時の供給を含む安定供給の確保に適切に対処している。
施策手段の適正性の評価  国が買上げを行い備蓄供給しているワクチン・抗毒素は、保健医療上の必要性は極めて高いが、需要が少なく市場性に乏しいことから、仮に国家買上げを行わず市場原則に任せた場合、採算性等の観点から医薬品メーカーが自ら製造・供給を行うことは困難であり、安定供給を確保することができないおそれがある。このため、現行施策は適正であるといえる。
総合的な評価  今後も国家買上げ及び備蓄を行うことが必要かつ有効である。


(1−8−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 保健衛生上必要不可欠なワクチン等の安定供給を確保するとともに、緊急時等の供給体制についても準備を進めること
II インフルエンザワクチンの安定供給を図ること
担当部局・課 主管課 医薬局血液対策課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 需給調査及び需要予測を行うこと
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
需要量と供給(可能)量(万本) 需要量 633 871
供給量 759 1,060
実績目標2 新型インフルエンザワクチン株(当面30株)の開発を行うこと
(評価指標)
新型インフルエンザワクチン株(当面30株)の開発を行うこと
H9 H10 H11 H12 H13


2.評価

現状分析
(1)調査結果を踏まえて、インフルエンザワクチン需要検討会において需要予測を行った結果、需要に見合う量のインフルエンザワクチンを十分に確保でき、安定供給を行うことができた。
(2)新型インフルエンザワクチンの安定供給を図るためには、予め予想される新型インフルエンザワクチン製造株をある程度準備することにより、できる限り製造期間を短縮する必要があり、その開発等を国立感染症研究所において行っているところである。
施策手段の適正性の評価  以下の理由により、現行の施策は適正である。
(1)仮に、需要に関する調査及び予測を行わない場合、各医薬品メーカーが自らの判断により製造することとなり、安定供給を確保することは容易ではなく、また、供給が不足した場合には、インフルエンザ罹患率の増加が予想され、特に高齢者、乳幼児においては病状が重症化するおそれがある。
(2)新型のインフルエンザが発生した場合には、大きな流行が予想されるが、その時点から新型インフルエンザワクチン製造株の作成に着手したのでは、製品が供給できるまでに長期間を要することから、需要に見合う量のワクチンの確保は困難となり、また、供給が不足した場合、インフルエンザ罹患率の増加が予想され、特に高齢者や乳幼児においては病状が重症化するおそれがある。
総合的な評価
(1)施策目標は達成されているが、ウイルス量や流行の大小によりインフルエンザの需要は大きく変動することから、引き続きインフルエンザワクチンの安定供給の確保を図るためには、今後も継続的に需要調査及び需要予測を行うとともに、予測の精度の向上に努める必要がある。
(2)6カ年計画で実施している新型インフルエンザワクチン製造株の作成については、当初はやや慎重な出足であるが、引き続き計画に沿って行う必要がある。


(1−9−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 新医薬品・医療用具の開発を促進するとともに、医薬品産業等の振興を図ること。
I 医薬品・医療用具の製造業や販売業等の振興を図ること
担当部局・課 主管課 医政局経済課
関係課 大臣官房厚生科学課、医政局研究開発振興課等


1.現状分析

実績目標1 質の高い医薬品・医療用具等の安定供給等を確保する観点から、医薬品・医療用具に関する事業者の振興を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
(医薬品) 66,568 64,349 69,061 66,850
市場規模(単位:億円) (医療機器) 15,140 15,074 14,879 14,867
(備考)
薬事工業生産動態統計(厚生労働省医政局経済課)(平成13年分は集計中)
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
(医薬品) 1,562 1,627 1,427 1,396
製造業者数 (単位:社) (医療機器) 1,555 1,647 1,589 1,580
(備考)
医薬品・医療用具産業実態調査(厚生労働省医政局経済課)(平成13年度分は集計中)
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
(単位:社) (医薬品) 405 372 336 309 278
販売業者数 (卸売業者) (医療機器) 1,664 1,664 1,595 1,385
(備考)
医薬品については、(社)日本医薬品卸業連合会・日本医薬品販社協会加盟事業者数
医療機器については、日本医療機器販売業協会(平成10年設立)加盟事業者数
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
(上段:医薬品、下段:医療用具)
新医薬品・新医療用具の承認取得件数
15
67
21
33
39
33
39
13
23
6
(備考)
 厚生労働省医薬局審査管理課調べ(医薬品については、医療用医薬品における新成分による承認取得数を記載)


2.評価

現状分析 (1)医薬品
 我が国の医薬品産業は21世紀におけるリーディング産業として期待されている。しかし、産業を取り巻く環境は、「ゲノム創薬」を巡る国際的な新薬開発競争の激化による研究開発費の急増、治験等の創薬環境の不十分さ、医療保険財政の悪化など非常に厳しい状況にあるため、このままでは産業の国際競争力は弱体化してしまうおそれがある。
(2)医療機器
 我が国の医療機器市場は、近年輸入が増加し、平成3年に輸出と同程度であった額は、平成12年には倍以上になった。このため、約2兆円の医療機器市場において、国内企業の生産額の占める比率は8割を切るまでに低下している。分野別では、生体機能補助・代行機器(ペースメーカ等)や処置用機器(チューブおよびカテーテル等)など、いわゆる医療材料の輸入依存度が高い一方、「既に市場が顕在化している」「患者の身体に直接与える影響が少ない」といった相対的にリスクの小さい分野で産業競争力を有する特徴がある。
施策手段の適正性の評価  産業発展は各企業が市場原理に基づき自由に競争を行っていく中で進むことが基本であるが、国の役割として、
 (1) 国の制度の改善に関すること及び市場競争原理が有効に機能することを阻害している条件や要因を排除すること
 (2) 民間企業では採算上なかなか手を出せない分野における研究開発を進めること
 (3) 国が国家戦略上重点的に支援すること
が考えられる。
 具体的には、医薬品・医療機器産業に関するビジョンの策定、治験の迅速化と質の向上をもたらす国際競争力のある治験環境の実現、増加試験研究税制をはじめとする税制措置、医薬品副作用被害救済・研究振興調査の基礎研究への出資金、厚生科学研究費補助金等の融資による研究開発の支援、産業活力再生特別措置法による企業組織再編の支援などの施策が挙げられる。これらの施策を実施することにより、医薬品・医療機器産業の振興が図られると考えられることから、概ね適正であると考えている。
 また、医薬品・医療機器産業は、他の産業と比べて、
 (1) 医薬品の研究開発には多大な時間と費用を要し、成功確率は低く、ハイリスクであるにもかかわらず模倣が簡単である。また、他の製品は一つの製品に数百から数千の特許が絡みクロスライセンスが進みやすいが、医薬品は基本特許が原則として一つであることから、特許取得が製品生命に与える影響が非常に大きい、
 (2) 医薬品・医療機器は上市する前に治験が必要であり、医療機関及びその医療関係者の協力が不可欠である、
 (3) 医薬品・医療機器は、国民の生命・健康に重大な影響を与えるため、その品質、有効性及び安全性の確保を目的として薬事制度等によって規制されているほか、安定供給の確保や情報提供が不可欠である、
 (4) 医療保険で適用する医療用医薬品・医療材料の価格は公定されており、企業が自由に設定できない、
 (5) 最近の科学技術の進歩により、ヒト組織・細胞を用いた研究開発が進展し、提供者の意思確認(インフォームド・コンセント)や倫理的側面からの配慮が一層必要となってきている、
といった、国民の保健衛生の向上に貢献し信頼を獲得するために不可欠なハードルがある。施策目標を実現するためには、国と産業界が一体となって、このようなハードルを越える努力を行っていくことが重要である。
総合的な評価
(1) 医薬品産業政策については、これまで基礎研究の推進、薬事承認の迅速化等を図り一定の成果を挙げてきているが、技術移転等の産学官連携、実用化の促進等の面で課題がある。
(2) 医療機器産業政策については、医薬品産業政策と比べ遅れている面があったが、今回の薬事法改正等により承認の迅速化や治験の推進が図られるものと考えている。
 このような状況において、我が国の医薬品産業・医療機器産業の国際競争力を強化していくためには、国と製薬企業・医療機器メーカーが現状や課題、将来像等において認識を共有し、各企業が戦略的な経営を行うとともに、国は国家戦略として必要な施策を総合的に行っていく必要があるため、こうした観点から、厚生労働省としては、ビジョンを策定し、ビジョンに盛り込まれる具体的施策(アクション・プラン)の着実な実施を図る。


(1−9−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 新医薬品・医療用具の開発を促進するとともに、医薬品産業等の振興を図ること。
II 医薬品・医療用具の流通改善を図ること
担当部局・課 主管課 医政局経済課
関係課 なし


1.現状分析

実績目標1 取引慣行の改善による公正な競争を実現すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
流通改善のための通知発出等の指導や、医療用医薬品製造業公正取引協議会等が業界に対して行う各種法令の周知徹底の支援。
(評価指標)
不公正な競争の事案数(単位:件)
H9 H10 H11 H12 H13
0 1 1 26 3
(備考)
医療用医薬品製造業公正取引協議会・医療用具業公正取引協議会調べ
(公正競争規約違反事案数)※平成12年については、大阪枚方市民病院贈収賄事件への規約違反措置(25件)を含む。
実績目標2 流通の効率化、合理化を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
医薬品については医薬品コードの標準化、医療機器については、サプライチェーン構想の推進
※サプライチェーン構想:情報技術(IT)の活用により、医療材料商品コードの標準化、医療材料データベースの構築、医療材料商品バーコード化、電子商取引システムの構築を行い、製品の調達から生産、販売、流通、消費、回収までの全過程(サプライチェーン)のモノと情報の流れの適正化を図るもの
(評価指標)
平均の流通コスト(医薬品)(単位%)
H9 H10 H11 H12 H13
9.8 9.3 8.9 8.6
(備考)
日本医薬品卸業連合会調べ(平成13年度は調査中)
(売上高に対する販売費及び一般管理費の比率)
※医療機器については、平成15年度から調査を行う予定


2.評価

現状分析  製薬企業の販売政策、一部の医療機関・調剤薬局による過大な薬価差要求、卸の販売姿勢により、未妥結、仮納入、仮払いなど、不適切な取引慣行が長期にわたり改善されない状況にある。
施策手段の適正性の評価  医薬品・医療機器の流通改善は、本来、各企業が自由かつ公正な競争を行うことにより実現するものである。しかし、流通近代化の進展、薬価引下げ、医薬分業の進展、IT化の進展など医薬品等の流通を取り巻く状況の変化等の影響もあることから、国としても流通改善のために、一定の役割を果たす必要がある。
具体的には、
 (1) 関係団体、事業者に対する法令等の周知徹底による遵法意識の向上の支援
 (2) 医薬品コードの統一等による流通の社会的コストの削減、医薬品・医療機器に関する情報の収集・共有
といったものが考えられる。
 これらの施策を実施することにより、医薬品・医療機器の流通改善が図られると考えられることから、概ね適正であると考える。
総合的な評価  各施策は、一定の効果を挙げているものの、流通近代化の進展、薬価引下げ、医薬分業の進展、IT化の進展など医薬品等の流通を取り巻く状況の変化等の影響もあり、実績目標の実現はされていない。しかし、実績目標の実現のためには、上記に掲げた手段が有効であることから、さらに施策を進めていく必要がある。


(1−9−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 新医薬品・医療用具の開発を促進するとともに、医薬品産業等の振興を図ること
 III バイオ技術、ナノ技術等の先端技術を活用し、画期的な医薬品、医療用具等の研究開発を推進すること
担当部局・課 主管課 医政局研究開発振興課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 画期的な医薬品、医療用具等の開発の促進による治癒率の向上、患者のQOLの向上を図ること
(評価指標)
 新医薬品・医療用具の承認取得数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
82 55 72 52 29


2.評価

現状分析  21世紀に入って、ヒトの遺伝子が解読され、ゲノム科学やタンパク質科学等を応用した新しい創薬手法(「ゲノム創薬」と呼ばれている)による新薬開発競争が激化しており、その成果が本格的に現れる10年後の2010年頃には、「新薬黄金時代」を迎えることが予想され、急速な高齢化が進展する我が国においても、活力ある長寿社会の実現のための実用化が期待されている。しかしながら、医薬品・医療機器が開発され医療の現場に流通するまでには、膨大な研究費用と長い研究期間を要するとともに、国民の生命・健康を守るために必要不可欠な安全確保に資する厳しい薬事規制等のハードルを越えなくてはならない。
 また、近年は、医薬品の研究開発を巡って製薬企業間によるグローバルな競争が激化しているが、残念ながら、創薬環境として我が国の市場は国際的に魅力的なものとはなっておらず、このままでは、我が国の医薬品等産業の国際競争力は将来弱体化していく可能性が高い。
施策手段の適正性の評価  我が国の医薬品産業の活性化を図ることによって最終的に目指そうとするしていることは、「治療方法のない難病に有効であったり、肉体的に負担の大きい手術を回避してQOLを向上させるなど質の高い医療が国民にできるだけ早く合理的な価格で提供されること」の実現である。その実現に向けては、国際競争力を有するための研究開発の重点的推進が不可欠である。
 施策の適正性等を含めた評価については、これまで「厚生科学研究に係る評価の実施方法に関する指針」に基づき、事前評価、中間評価、事後評価として、適時に適切に実施してきたところであるが、今後さらに、旧「国の研究開発全般に共通する評価の実施のあり方についての大綱的指針」(内閣総理大臣決定)が平成13年11月に改定されたことを踏まえ、「厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針」の改定を実施したところであり、本指針に基づいて、さらなる評価における公正さと透明性の向上を図るべく、例えば、第三者評価・外部評価の推進、評価者の専任等に関するルールの明確化、評価結果の公開方法の明確化等の実施を通じ、施策の手段の適正な評価に努めることとしている。
総合的な評価  現在、ミレニアム・ゲノム・プロジェクト(H12〜16年の5ヶ年プロジェクト)等の国家的事業により、研究資源を集中的・重点的に配分した施策を展開しており、今後の成果に期待するところであるが、今後さらに、ポストゲノム研究及びその産業応用で巻き返しを図るため、創薬に直結する可能性の高い疾患関連たんぱく質の解析研究やSNPs(遺伝子多型)の研究等「医薬品産業ビジョン」で記載されるアクションプランの着実な実施が必要である。


(1−9−IV)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 新医薬品・医療用具の開発を促進するとともに、医薬品産業等の振興を図ること
 IV 患者数が少なく、研究開発が進みにくい希少疾病用新薬や成人に比較して適用薬剤が少ない小児・未熟児に適した剤型等の研究開発を推進すること
担当部局・課 主管課 医政局研究開発振興課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 希少疾病用医薬品を開発すること
(評価指標)
希少疾病用医薬品・医療用具の承認取得数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
実績目標2 小児・未熟児用医薬品の承認取得を促進するとともに、新型剤型を開発すること
(評価指標)
新医薬品承認数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
15 21 39 39 23


2.評価

現状分析  これまでの研究開発により、年間一件以上の医薬品・医療用具が承認されているが、今後、開発が望まれている希少疾病用の医薬品・医療機器の開発は、その研究開発が困難な面を多く含んだ領域のものが増えているため、現状の施策を強化・充実することにより研究開発を促進する必要がある。
施策手段の適正性の評価  非市場性が開発の妨げとなっている希少疾病用医薬品・医療用具、研究開発の困難な小児・未熟児用医薬品に関して、現在講じている希少疾病用医薬品研究開発補助等の施策は欧米でも同様に実施しており、国策として実施する上で適正性及び重要性の高い事業と評価できる。
総合的な評価  治療用医薬品・医療用具のない希少疾病患者や今後の我が国を支える小児等に対して、企業での医薬品・医療用具の開発の進まない状況に対する国の支援は不可欠であり、希少疾病用医薬品研究開発補助等の施策により、患者の生命を救うことやQOLの向上に一定の貢献ができており、評価できる事業と考えられる。


(1−10−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 10 患者の多様なニーズに対応した医療関連サービスの提供を促進すること
I 患者の多様なニーズや医療機関経営上のニーズに対応した医療関連サービスの適切な提供を促進すること
担当部局・課 主管課 医政局経済課医療関連サービス室
関係課  


1.現状分析

実績目標1 多様なサービスを提供する事業者の医療関連サービス市場への参入促進を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
 市場規模(単位:施設数) 19,712
 業者数  (単位:社) 4,997 5,062 5,198 5,389 5,592


2.評価

現状分析  医療関連サービス事業の委託については、受託事業者数が増加していることから、事業者間の競争により、多様かつ効率的な医療関連サービスが提供されていると考えられる。
 医療機関の業務の見直しや事業者の増加傾向により、今後も委託は進むものと考えられる。
施策手段の適正性の評価  医療機関の行う業務を代行又は支援するサービスが民間事業者によって提供されているが、これらの業務は、医療機関の判断により原則自由に委託できることから、事業者間の競争により多様かつ効率的な医療機関サービスが提供されるため、医療機関や国民のニーズに応えるものとして有意義なものと考えられる。
 しかし、この中には患者の身体や生命に深く関わる業務があることから、医師等の診療等に著しい影響を与えるものとして八つの業務を定め、これらの業務を委託する際の基準を設けることにより、提供されるサービスの質の確保を図っている。
 このように、現行施策は概ね適正に機能していると考えられる。
総合的な評価  近年、医療機関の行う業務を代行又は支援するサービスが民間事業者によって提供されており、これらの受託事業者が増加していることから、事業者間の競争により多様かつ効率的な医療関連サービスが提供されていると考えられるが、今後の医療機関や国民のニーズの変化・高度化に対応しつつ、委託の更なる進展を図るべく引き続き施策を進める必要がある。


(1−11−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 11 全国民に必要な医療を保障できる安定的・効率的な医療保険制度を構築すること
I 適正かつ安定的・効率的な医療保険制度を構築すること
担当部局・課 主管課 保険局総務課 保険課 国民健康保険課 医療課
関係課 保険局調査課


1.現状分析

実績目標1 医療保険財政の安定を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 <医療制度改革>
 高齢化の進展等に伴う医療費の増加、経済の低迷による保険料収入の伸び悩み等により、医療保険財政は大変厳しい状況にあり、平成9年度以降、着実に医療制度改革を進めている。平成12年においては、健康保険の高額療養費の見直しや保険料率の上限の見直し、老人医療の一部負担金について月額上限付きの定率1割負担制を導入すること等の改正を行った。(平成13年1月施行)
 <財政窮迫健康保険組合の指定>
 平成12年の健康保険法等の改正により、財政窮迫状態にある健康保険組合に対する指定制度を創設した。(平成13年1月施行)
 <指定市町村の指定>
 医療費が著しく高額であるとして指定された市町村は、厚生労働大臣の定める指針に従い、国民健康保険事業の運営の安定化に関する計画を定め、療養の給付等に要する費用の適正化等の措置を講じることとされている。
 <国保財政の安定化>
 低所得の被保険者が多い等、財政基盤の脆弱な国民健康保険においては、保険給付費の5割を国庫負担で賄うとともに、
(1)低所得者に係る保険料軽減相当額を一般会計から繰り入れ、国がその1/2を補填する保険基盤安定制度
(2)高額な医療費の負担を都道府県単位で調整する高額医療費共同事業に対する地方財政措置による支援
(3)財政の安定化や保険料負担の平準化等に資するために一般会計から繰入れを行い、繰入額について地方財政措置を行う財政安定化支援事業
等により、国保財政の安定化を図っている。
(評価指標)
赤字保険者数(健保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
998 966 1,240 1,137 -
(評価指標)
赤字保険者数(市町村国保)
H9 H10 H11 H12 H13
1,543 1,817 1,967 1,722 -
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」による。市町村国保については国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
 ・健康保険組合数 平成12年度末 1,756
 ・市町村数 平成12年度末 3,242
(評価指標)
財政窮迫健保組合の指定件数
H9 H10 H11 H12 H13
- - - - 40
(備考)
 ・健康保険法第38条の2第1項の規定に基づく指定組合数。
 ・平成13年1月より施行のため、平成9年から12年の評価指標はない。
(評価指標)
国保安定化計画の指定市町村数
H9 H10 H11 H12 H13
119 120 120 124 129
(備考)
 ・国民健康保険法第68条の2第1項の規定に基づく指定市町村数。
 ・指定市町村は、当該年度ごとに指定。
(評価指標)
制度別収支状況(健保組合、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
▲1,700 40,500 ▲199,200 ▲116,300
制度別収支状況(政府管掌健康保険、百万円) ▲95,000 3,400
(▲3,500)
▲316,300 ▲156,900
制度別収支状況(市町村国保、赤字補填額を加味したもの、百万円) ▲196,900 ▲301,100 ▲323,500 ▲328,400
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保については「国民健康保険事業年報」による。
 ・制度別収支状況(政府管掌健康保険)の平成10年度の括弧内は、健康保険組合の解散に伴う承継財産を除いた場合の計数。
 ・制度別収支状況(政府管掌健康保険)の平成12年度は、医療分の計数。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(参考指標)
国民医療費のNI比(%)
H9 H10 H11 H12 H13
7.4 7.8 8.1 8.0
(参考指標)
一人当たり保険料額(健保組合、円)
H9 H10 H11 H12 H13
296,877 302,810 300,859
一人当たり保険料額(政府管掌健康保険、円) 360,377 363,866 364,862
一人当たり保険料額(市町村国保、円) 76,630 75,918 76,194
(参考指標)
一人当たり給付費額(健保組合、円)
H9 H10 H11 H12 H13
94,217 91,884 92,533
一人当たり給付費額(政府管掌健康保険、円) 112,9444 108,829 108,260
一人当たり給付費額(市町村国保、円) 164,844 166,772 169,457
(備考)
 ・指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保及び国保組合については「国民健康保険事業年報」による。
 ・平成13年の国民医療費及び平成12年・13年の一人当たり保険料額・一人当たり給付費額は未集計。
 ・健保組合・政府管掌健康保険の一人当たり保険料額は事業主負担分を除いたもの。
実績目標2 保険者の適用・徴収・給付事務を適正かつ効率的なものとすること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 健康保険については、事業主を通じ、適正な適用・徴収・給付事務を行わせることとし、特に保険料の源泉徴収が認められている。
 国民健康保険については、口座振替の推進や徴収員による徴収の強化に努めるほか、短期被保険者証や被保険者資格証明書の活用を図るなど、収納率の向上のため様々な取組を進めている。
 厚生労働省としては、各保険者の財政力等を勘案して配分する調整交付金について、収納率に応じて調整を行うことにより、各保険者の収納努力を促すほか、積極的に収納対策事業に取り組み、収納率の向上に努めている保険者に対し、特別調整交付金の交付を行っている。
(評価指標)
保険料の徴収額(健保組合、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
5,724,400 5,759,500 5,685,800 5,592,900
(評価指標)
保険料の収納額(政管健保、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
5,988,810 6,045,110 5,922,875 6,117,943
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
保険料(税)の収納額(市町村国保・国保組合、百万円) 2,973,268 3,001,823 3,053,260 3,234,463
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保及び国保組合については「国民健康保険事業年報」による。
 ・政管健保の評価指標は、平成12年度事業年報から算出した。
 ・政管健保の評価指標は、法第69条の7被保険者を含む。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(評価指標)
保険料の徴収率(健保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
99.9 99.9 99.9 99.9
(評価指標)
保険料の収納率(政管健保)
H9 H10 H11 H12 H13
97.9 97.7 97.3 97.1
(評価指標)
保険料(税)収納率(市町村国保・国保組合、%)
H9 H10 H11 H12 H13
93.47 92.97 92.55 92.49
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保及び国保組合については「国民健康保険事業年報」による。
 ・政管健保の評価指標は、平成12年度事業年報から算出した。
 ・政管健保の評価指標は、法第69条の7被保険者を含む。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
実績目標3 保険者が被保険者及び被扶養者の資格、標準報酬等を適正に把握すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 健康保険については事業主を通じ、必要な情報を把握することとしている。
 国民健康保険においては、国民健康保険法による届出の他、市町村国保においては、住民基本台帳法による届出によっても被保険者の異動を把握しており、また主として住民税の課税情報により、保険料の賦課に必要な情報を把握している。
 厚生労働省としては、被用者保険の保険者を通じ事業主に対し、離職者へ資格取得届の早期提出を指導することを依頼する等、被用者保険から国民健康保険への異動の円滑化を図っている。
(評価指標)
資格関係事由によるレセプト返戻率(基金)(件数率、%)
H9 H10 H11 H12 H13
0.726 0.721 0.732 0.732
(備考)
 ・指標は、社会保険診療報酬支払基金調べ。
実績目標4 保険料の適切かつ効率的な納入を促進し、保険料等を滞納する事業主及び被保険者に対し、納付の督促等を確実に実施すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 健康保険については、事業主を通じ、適正な適用・徴収・給付事務を行わせることとし、特に保険料の源泉徴収が認められている。
 国民健康保険については、口座振替の推進や徴収員による徴収の強化に努めるほか、短期被保険者証や被保険者資格証明書の活用を図るなど、収納率の向上のため様々な取組を進めている。
 厚生労働省としては、各保険者の財政力等を勘案して配分する調整交付金について、収納率に応じて調整を行うことにより、各保険者の収納努力を促すほか、積極的に収納対策事業に取り組み、収納率の向上に努めている保険者に対し、特別調整交付金の交付を行っている。
(評価指標)
保険料の徴収額(健保組合、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
5,724,400 5,759,500 5,685,800 5,592,900
(評価指標)
保険料の収納額(政管健保、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
5,988,810 6,045,110 5,922,875 6,117,943
(評価指標)
保険料(税)の収納額(市町村国保・国保組合、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
2,973,268 3,001,823 3,053,260 3,234,463
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保及び国保組合については「国民健康保険事業年報」による。
 ・政管健保の評価指標は、平成12年度事業年報から算出した。
 ・政管健保の評価指標は、法第69条の7被保険者を含む。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(評価指標)
保険料の徴収率(健保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
99.9 99.9 99.9 99.9
(評価指標)
保険料の収納率(政管健保)
H9 H10 H11 H12 H13
97.9 97.7 97.3 97.1
(評価指標)
保険料(税)収納率(市町村国保・国保組合、%)
H9 H10 H11 H12 H13
93.47 92.97 92.55 92.49 − 
(備考)
 ・評価指標は、健保組合については「組合決算概況報告」に、市町村国保及び国保組合については「国民健康保険事業年報」による。
 ・政管健保の評価指標は、平成12年度事業年報から算出した。
 ・政管健保の評価指標は、法第69条の7被保険者を含む。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(評価指標)
滞納処分件数(市町村国保・国保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
62,122 45,937 51,237 45,511
(備考)
 ・国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
実績目標5 レセプト点検や医療費通知等を通じて、医療費の給付を適正に行うこと
(実績目標を達成するための手段の概要)
 保険者は自主的に医療費通知・レセプト点検等の医療費の給付の適正化の取組みを実施しているところであり、厚生労働省としても、第三者行為求償事務の励行を含め取組の普及に努めているところである。
 市町村国保については、実効的なレセプト点検を奨励するため、レセプト点検の実施状況が特に顕著であった市町村に対して特別調整交付金を交付している。
(評価指標)
医療費通知実施保険者数(健保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
1,695 1,646
(評価指標)
医療費通知実施保険者数(市町村国保・国保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
3,382 3,385 3,385 3,381
(備考)
 ・健康保険組合数 平成10年度末 1,794
 平成13年度末 1,722
 ・市町村国保数 平成12年度末 3,242
国保組合数 平成12年度末  166
 ・評価指標は、健保組合については、平成10年度は、健康保険組合連合会調べ、平成13年度は保険課調べ。
 ・平成9、11、12年度については未調査。
 ・市町村国保及び国保組合については国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(評価指標)
レセプト点検実施保険者数(健保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
1,709
(評価指標)
レセプト点検実施保険者数(市町村国保)
H9 H10 H11 H12 H13
3,249 3,249 3,245 3,242
(備考)
 ・健康保険組合数 平成11年度末 1,780
 ・市町村国保数 平成12年度末 3,242
全市町村国保がレセプト点検を実施している。
 ・評価指標は、市町村国保については国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
(評価指標)
第三者求償件数(市町村国保・国保組合)
H9 H10 H11 H12 H13
66,358 59,901 61,569 75,868
(備考)
 ・評価指標は、市町村国保及び国保組合については、国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は、確定していない。
実績目標6 審査支払機関の事務が適正かつ効率的なものとなるようにすること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 審査支払機関の事務の適正化・効率化のため、レセプトの電算化を推進することとしており、これについては、
レセプト電算処理システムに参加する地域や医療機関を指定する個別指定制度を平成13年10月1日に廃止。
新たな傷病名マスターを平成14年6月から適用。
平成13年度第二次補正予算において、国立病院、特定機能病院等のレセプト電算化に要する経費を措置。
レセプトのオンライン請求の実現に向けて、セキュリティの確保、経済効果等に関する検証事業を平成14年度に実施
等により、着実な推進を行っているところ。
 平成13年12月に公表した「保健医療分野におけるグランドデザイン」においては、平成16年度において病院レセプトの5割以上、平成18年度において同7割以上に普及を図ることを目標としている。
(評価指標)
電算処理されたレセプトの割合(支払基金審査分、医科、%)
H9 H10 H11 H12 H13
0.21  0.25  0.34  0.39  0.71
(評価指標)
電算処理されたレセプトの割合(国保連審査分、医科、%)
H9 H10 H11 H12 H13
0.23 0.28 0.35 0.42 0.76
(備考)
 ・評価指標は、社会保険診療報酬支払基金審査分については社会保険診療報酬支払基金の実施状況調査による毎年度3月時点の割合、国民健康保険団体連合会審査分については国民健康保険中央会の実施状況調査による毎年度3月時点の割合とした。
(評価指標)
(社会保険診療報酬支払基金分)
H9 H10 H11 H12 H13
査定率(原審査、点数率、%) 0.232 0.249 0.244 0.248
査定後認容率(基金責任分、点数率、%) 0.135 0.129 0.120 0.097
(評価指標)
(国民健康保険団体連合会分)
H9 H10 H11 H12 H13
査定率(原審査、点数率、%) 0.237 0.208 0.211 0.194
(備考)
 ・査定率:審査支払機関の一次審査による診療報酬の査定額の全請求額に占める割合
 ・査定後容認率:保険者等からの再審査請求による査定額の全請求額に占める割合
 ・評価指標は、社会保険診療報酬支払基金分については社会保険診療報酬支払基金調べ。国民健康保険団体連合会分については「都道府県国民健康保険団体連合会事業の概況」による。
 ・平成9年度については未調査。(社会保険診療報酬支払基金)
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。(国民健康保険団体連合会分)
実績目標7 保険医療機関等に対する適切な指導を行うこと
(実績目標を達成するための手段の概要)
 地方社会保険事務局、都道府県等が、保険医療機関、保険医等に対し、保険診療の取扱い、保険請求の方法等を周知徹底する観点から、講習又は個別の面談の方式により指導を実施
(評価指標)
指導件数
H9 H10 H11 H12 H13
19,852 26,705 32,323 32,368
(備考)
指導件数の内訳((1)保険医療機関等、(2)保険医等)
平成9年度:(1)13,729 (2)6,123
平成10年度:(1)15,449 (2)11,256
平成11年度:(1)17,239 (2)15,084
平成12年度:(1)16,518 (2)15,850
平成13年度の指導件数は集計中。


2.評価

現状分析  医療保険財政は、近年の経済の低迷、高齢化の一層の進展等により、大変厳しい状況が続いている。
 保険者の適用・徴収・給付事務については、保険者の自主的な取り組みにより、おおむね適正な運営が行われていると評価することができるが、近年の経済の低迷等により若干の数値の悪化も見られるところである。レセプト点検や医療費通知等については、ほぼ全ての保険者が実施するに至っているところである。
 審査支払い事務の効率化については、引き続き取組の推進が必要である。
 保険医療機関に対する指導監督は、適正に行われているものと評価できる。
施策手段の適正性の評価  上記の通り、それぞれの分野において、施策はおおむね有効かつ適正に行われているものと評価することができる。 
総合的な評価  医療保険の分野においては、各目標について、社会経済状況の変化など、外在的な要因による影響も大きい。近年の経済の低迷、少子高齢化の進展等により、医療保険財政は大変厳しい状況にあり、今後とも目標の達成のためには、引き続き各取組の強化が必要である。高齢化のピーク時においても制度の安定的な運営を図るため、今後の医療保険制度の体系の在り方等についても引き続き検討していく必要がある。


(1−12−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 12 妊産婦・児童から高齢者に至るまでの幅広い年齢層において、地域職場などの様々な場所で、国民的な健康づくりを推進すること。
I 地域住民の健康の保持増進・増進及び地域住民が安心して暮らせる保健医療体制の確保を図ること。
担当部局・課 主管課 健康局総務課地域保健室
関係課  


1.現状分析

実績目標1 保健所、市町村保健センター等の整備を通じた地域保健活動の基盤を整備すること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
保健所(単位:箇所) 706 663 641 594 592
市町村保健センター(単位:箇所) 1,494 1,577 1,630 1,666 1,705
実績目標2 地域保健従事者の人材確保及び資質の向上を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
保健師未設置又は1人設置市町村数(単位:部) 239 193 175 144
保健師中央研修受講者人数(単位:人) 133 89 120 164 161
保健所専門職人数(単位:人) 56,970 58,111 58,094 58,684  
実績目標3 地域における健康危機管理体制の推進を図ること
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
健康危機管理保健所長研修受講者数(単位:人) 176
保健所長充足率(単位:人) 93.9% 96.4% 97.3% 97% 94.8%
地域における健康危機管理の手引書(単位:箇所) 56


2.評価

現状分析
(1)平成13年度の保健所数は592箇所(前年比2箇所減)、市町村保健センター数は1,705箇所(前年比39箇所増)。
 これは保健所については適正な配置を進める観点から保健所の統廃合が進んだためであり、市町村保健センターについては施設整備補助の効果が現れたためと考えている。
(2)保健師未設置又は1人設置市町村が毎年減少していることから、人材確保に関しては効果が上がっている。資質の向上については、定量的に効果を確認することは困難であるが、地域保健従事者のミス等を原因とする重大な健康被害等の発生事例がほとんど無いことから、資質の確保についても一定の効果が上がっていると考えている。
(3)健康危機管理保健所長研修受講者は平成13年度、561人中136人。受講率は受講率は24.2%。
 受講率の向上のため、今後情報提供等を進めていく必要があると考えている。
施策手段の適正性の評価  地域住民の健康の保持・増進、安心して暮らせる保健医療体制の確保を図るためには、地域住民が安心して健康相談等に行ける環境の整備、地域住民に対し適格にアドバイス等が出来る人材の確保・養成及び健康被害が生じた場合の迅速な対応が必要となる。現在の施策手段はそうした必要性に対応したものであることから、施策手段として適正なものであると考えている。
総合的な評価 地域住民の健康の保持増進・増進及び地域住民が安心して暮らせる保健医療体制の確保は着実に推進されていると考えている。


(1−12−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 12 妊産婦・児童から高齢者に至るまでの幅広い年齢層において、地域・職場などの様々な場所で、国民的な健康づくりを
推進すること
II 生活習慣の改善等により健康寿命(痴呆や寝たきりにならない状態で生活できる期間)の延伸等を図ること
担当部局・課 主管課 健康局総務課生活習慣病対策室
関係課  


1.現状分析

実績目標1 2010年までに「健康日本21」に掲げた目標を達成すること
(評価指標)
「健康日本21」に掲げた目標(9分野70項目)
H9 H10 H11 H12 H13
(評価指標)
健康づくり支援者養成数
H9 H10 H11 H12 H13
407,296
(評価指標)
地方計画策定実績数
H9 H10 H11 H12 H13
165 359


2.評価

現状分析 平均寿命 男77.6歳 女84.3歳
健康寿命 男71.9歳 女77.2歳
(数値は世界保健機関(WHO)のWorld Health Report 2000より)
施策手段の適正性の評価 すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸及び生活の質の向上を実現することを目的として、「健康日本21」を策定したところであり、効率的に普及啓発、推進体制整備・地方計画支援等が行われ「健康日本21」の推進が図られている現在の施策手段は概ね適正であると認められる。
総合的な評価 今後も引き続き、適正な健康づくり施策を実施していく。


(1−12−III)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 12 妊産婦・児童から高齢者に至るまでの幅広い年齢層において、地域・職場などの様々な場所で、国民的な健康づくりを推進すること
III 国民の心の健康の維持増進を図ること
担当部局・課 主管課 社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課
関係課 健康局総務課生活習慣病対策室


1.現状分析

実績目標1 2010年までに「健康日本21」に掲げた目標を達成すること
(1)年間自殺者数を2010年には22,000人以下に抑える
(2)1ヶ月にストレスを感じた人の割合を、2010年には1割以上減らす
(3)睡眠によって休養が十分に取れていない人の割合を、2010年には1割以上減らす
(4)1日に平均純アルコールで約60gを超えて飲酒する人の割合を、2010年には2割以上減らす
(実績目標を達成するための手段の概要)
(1) 自殺防止対策に関する有識者懇談会の開催、調査研究の推進、いのちの電話の実施、精神保健福祉センターの心の健康づくり相談事業、保健所における心の健康相談の実施
(2)及び(3) 精神保健福祉センターにおいて、専門知識を有する者による面接相談及び電話相談の窓口を設置し、地域住民が気軽に心の健康づくりについて相談できるよう、心の健康づくり相談事業を実施しているほか、保健所においても心の健康相談を実施。
(4) 精神保健福祉センターにおける特定相談指導事業の一環としてアルコール関連問題に関する相談指導等を実施しているほか、保健所においてもアルコール関連問題に関する相談を実施。
(評価指標)   H9 H10 H11 H12 H13
(1)年間自殺者数(人)
(1)の数 23,494 31,755 31,413 30,251 29,333
(概数)
(2)1ヶ月にストレスを感じた人の割合(%)
(2)の割合
(3)睡眠によって休養が十分に取れていない人の割合
(3)の割合
(4)1日に平均純アルコールで約60gを超えて飲酒する人の割合
(4)の割合
(備考)(1)については人口動態統計(厚生労働省)による。


2.評価

現状分析  施策目標年度(2010年)に向けて、相談実施数等は増加しており、現状の改善について着実な前進が図られているものと考えられる。
施策手段の適正性の評価  利用者にとって身近な地域における相談支援体制がとられており、適正な体制で事業が実施されているものと考えられる。
総合的な評価  それぞれの事業の効率的・効果的な実施により、施策目標に向けて前進しているが、目標達成に向けて、更なる事業の拡充が必要と考えられる。


(1−12−IV)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 12 妊産婦・児童から高齢者に至るまでの幅広い年齢層において、地域・職場などの様々な場所で、国民的な健康づくりを推進すること
IV 医療保険者が行う健康管理事業を推進すること
担当部局・課 主管課 保険局総務課 保険課 国民健康保険課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 医療保険者が保健福祉事業の一環として行う健康管理事業を効果的に推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 政府管掌健康保険においては、生活習慣病予防健診及び健診結果に基づく事後指導等を実施している。
 健康保険組合については、各組合において健康診査等の健康管理事業を行っており、また、健康保険組合連合会による共同事業も実施されている。
 国民健康保険においては、保険者に対し健康管理事業を効果的に行うため指導・助言するとともに、効率的な健康管理事業を推進するためのモデル事業を実施している。
(評価指標)
健診実施件数(政府管掌健康保険、千件)
H9 H10 H11 H12 H13
2,871 2,831 3,064 3,166 3,196
(評価指標)
健診実施件数(市町村国保・国保組合、千件)
H9 H10 H11 H12 H13
3,127  3,176 3,365
(備考)
 ・評価指標は、政府管掌健康保険については、社会保険健康事業財団事業実績報告書による。市町村国保及び国保組合については国民健康保険課調べ。
 ・平成9年度の評価指標は不存在、平成13年度の評価指標は確定していない。(市町村国保・国保組合)
(評価指標)
事後指導実施件数(政府管掌健康保険、千件)
H9 H10 H11 H12 H13
338 374 381 407 432
(備考)
 ・評価指標は、社会保険健康事業財団事業実績報告書による。
(評価指標)
健康管理事業に要する費用(健保組合、百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
183,218 182,366 179,761 173,516
健康管理事業に要する費用(政府管掌健康保険、百万円) 50,021 49,434 53,595 54,760 55,873
健康管理事業に要する費用(市町村国保、百万円) 40,842 44,214 42,158 41,618
(備考)
 ・評価指標は、政府管掌健康保険については生活習慣病予防健診検査費予算額による。市町村国保については国民健康保険課調べ。
 ・平成13年度の評価指標は確定していない。
 ・健康保険組合については、「組合決算概況報告」の「疾病予防費」の額。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 医療保険者が保健福祉事業の一環として行う健康管理事業を効果的に推進すること
有効性  健康保険組合については、それぞれの組合の実情に応じて健康管理事業が行われていると評価できる。
 国民健康保険においては、モデル事業の実施等が、地域の実情や個々人の実情を踏まえた個別健康支援プログラムの開発に資する。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  健康保険組合については、多くの組合で健康管理事業が実施されているが、組合数の減少及び財政の悪化等により、健康管理事業に要する費用は減少傾向にある。
 国民健康保険については、地域の実情に応じ、創意工夫を凝らした健康管理事業が展開されているが、個々人の実情に応じた個別的な対応は不十分であるのが現状である。
施策手段の適正性の評価  助言等により効率的な健康管理事業の展開を支援することは、近年の健康づくりへの関心の高まりを踏まえれば、引き続き必要であると考えられる。モデル事業の実施結果を踏まえつつ、適切に対応していく。
総合的な評価  国民健康保険については、健康管理事業は適切に展開されているが、今後は個々人の実情に応じた事業を行う等、質の充実を図っていくことが必要であり、より効率的に、質の高い健康管理事業を推進する手段を模索していく。


(1−13−I)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 13 健康危機管理を推進すること
I 健康危機が発生した際に緊急対応するための体制を整備すること
担当部局・課 主管課 大臣官房厚生科学課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 危機管理に対応するための組織を整備すること
(評価指標)
危機管理調整会議(幹事会)の開催回数
H9 H10 H11 H12 H13
月2+随時 月2+随時 月2+随時 月2+随時 月2+随時


2.評価

現状分析  生物・化学テロの発生が懸念される事態も生じる中で、健康危機に関する迅速な情報交換や、分担を定めた上での必要な対応を講じることができている。
 他方で、食品の安全性の確保に係る新たな組織体制の整備の方向が定められたところである。
施策手段の適正性の評価  医薬品、食中毒、感染症、飲料水による健康被害など、健康危機管理業務を適切かつ迅速に実施する上で、関係部局や試験研究機関との平素からの連携は極めて重要であり、健康危機管理調整会議及び幹事会は、有効に機能している。
総合的な評価  施策目標の達成に必要な体制整備は行われており、今後とも健康危機管理調整会議及び幹事会を適時適切に開催していくことが重要である。
 また、食品の安全性の確保に係る新たな組織が設置された場合には、これを踏まえた運営が必要である。


(1−13−II)
実績評価書要旨
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 13 健康危機管理を推進すること
II 健康危機が発生した際に迅速に対応すること
担当部局・課 主管課 大臣官房厚生科学課
関係課  


1.現状分析

実績目標1 教育・訓練を充実すること
(評価指標)
 省内及び都道府県等を対象とする講習会の開催
H9 H10 H11 H12 H13
開催 開催 開催 開催
実績目標2 マニュアル、設備を整備すること
(評価指標)
 地方厚生局等における健康危機管理マニュアルの策定
H9 H10 H11 H12 H13
策定


2.評価

現状分析  都道府県等において、健康危機管理の意識が徹底してきており、概ね、迅速な情報収集や対応が可能となっている。
施策手段の適正性の評価  健康危機に対する地方厚生(支)局や都道府県等の意識を高め、迅速な対応を可能とするためには、健康危機管理に関する全国一律の講習会の実施とマニュアルの整備は有効な手段である。
総合的な評価  施策目標の達成のため、今後とも講習会を開催するとともに、必要に応じマニュアルの充実を図るなど、継続的に取り組んでいくことが必要である。


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