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(6−3−III)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 働きながら子どもを産み育てることなどを容易にする雇用環境を整備すること
III 職場優先の企業風土を是正すること
担当部局・課 主管課 雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 仕事と家庭の両立に関する意識啓発を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 「仕事と家庭を考える月間」(10月)を中心に、ファミリー・フレンドリー企業の普及促進やシンポジウムの開催等、仕事と家庭の両立に関する意識啓発を実施。
 男性の育児休業取得をはじめとする仕事と育児・介護の両立についての労使の理解を高めるための広報啓発や、育児・介護休業法の改正により新たに事業所における選任が努力義務化された職業家庭両立推進者を対象とする研修会等を実施。
(評価指標)
 男女の育児休業取得率
H8 H9 H10 H11 H12
男性0.16%
女性44.5%
男性0.55%
女性57.9%
(備考)
  評価指標は、「女性雇用管理基本調査」(平成8年度、平成11年度)による。平成9・10・12・13年度は数値なし。
 なお、平成8年度は育児休業制度の規定がある事業所における割合、平成11年度は全事業所における割合である(30人以上規模)。
(ただし、当該評価指標は実績目標の達成度の評価に際し参考程度のものであり、適切な評価指標については検討中である。)


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
有効性  指標によると、平成8年度から平成11年度にかけて、育児休業取得率が男女ともに上昇していることは、仕事と家庭の両立に関する意識が高まったことによるものとも考えられることから、この間に講じた施策は事業主及び労働者の意識啓発にとって有効であったと考えられるが、平成13年度においては、同様の施策を講ずるほか、男性の育児休業取得をはじめとする仕事と育児・介護の両立についての労使の理解を高めるための広報啓発や、育児・介護休業法の改正により新たに選任が努力義務化された職業家庭両立推進者を対象とする研修会等を実施しており、仕事と家庭の両立に関する意識啓発を図ることにとって一層有効なものと考えられる。
効率性  仕事と家庭を考える月間を中心として集中的に実施するファミリー・フレンドリー企業の普及促進やシンポジウムの開催等の施策は、仕事と家庭の両立について一度に多くの事業主や労働者に対して働きかけることができるものであり、効率的な手段である。
 また、企業全体の人事労務管理について責任を有する職業家庭両立推進者に対する研修会の実施等は、企業に対する意識啓発を効率的に進めることを可能にするものである。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  育児休業取得率が男女ともに必ずしも高いとは言えず、また、育児休業取得者に占める男性の割合は全体の2.4%にとどまっていること(「女性雇用管理基本調査」(平成11年))にかんがみると、職場優先の企業風土や固定的な性別役割分担意識が根強く残っていることがうかがえる。
施策手段の適正性の評価  厚生労働省が全国の企業を対象に実施した「ファミリー・フレンドリー企業の普及促進に関する調査研究」(平成13年)によると、ファミリー・フレンドリー企業の情報を得る手段として充実してほしい方法として「企業担当者向けの詳細資料の配布」(40.3%)や「経営者に向けた説明会」(31.1%)などが多かったことにかんがみると、これまで企業に対して実施してきた施策は企業のニーズに合致したものであり、職場優先風土の是正のための意識啓発に有効であったと考えられる。
総合的な評価  依然として職場優先の企業風土や男女の固定的な性別役割分担意識が根強い現状にかんがみると、職業生活と家庭生活との両立や男性の育児等への参画が重要であることについて、国民一般に広く働きかけることはもとより、事業主や職場における上司・同僚の理解を深めることが重要である。


3.政策への反映方針

 平成14年9月20日に総理報告された「少子化対策プラスワン」において、少子化の背景にある「家庭よりも仕事を優先する」というこれまでの働き方を見直し、男性を含めた全ての人が、仕事時間と生活時間のバランスがとれる多様な働き方を選択できるよう、出産後も育児をしながら働き続けられるような職場づくりや妊娠・出産や育児休業取得を理由とする不利益取扱いや嫌がらせの防止などについて経営者や職場の一層の意識改革を推進すること等について盛り込んだ。
 また、仕事と子育ての両立を推進するため育休取得率について目標値を設定した。これに関連し、平成15年度予算要求において、育児休業取得促進奨励金(仮称)及び子どもを安心して産み育てられる職場づくり推進事業の創設、家庭にやさしい偉業(ファミリー・フレンドリー企業)の一層の普及促進の拡充等を盛り込んでいる。
 また、平成14年度には、「両立指標研究会」を設置し、企業が自主的にファミリー・フレンドリー企業に向けた取組を行うことを奨励することを目的として、企業内の両立支援への取組を評価するための「両立指標」を策定し、次年度以降広く活用するなどとしている。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
「少子化対策プラスワン」(平成14年9月20日総理報告)
「仕事と子育ての両立支援策の方針について」(平成13年7月6日閣議決定)において、企業のトップや幹部に対し、両立支援の風土を育てるための事業・研修を実施することとされている。
 また、「新エンゼルプラン」において広報活動の実施やファミリー・フレンドリー企業の普及促進を通して職場優先の企業風土を是正することとされている。

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案に対する付帯決議」(平成13年10月31日衆議院厚生労働委員会、平成13年11月8日参議院厚生労働委員会)において、政府は「男女労働者がともに職業生活と家庭生活の両立が図られるようにするため、職場における固定的な役割分担意識や職場優先の企業風土の是正に向けた労使の努力を促すよう努めること」とされ
ている。

(5)会計検査院による指摘
なし


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