政策体系 | 番号 | |
基本目標 | 4 | 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること |
施策目標 | 3 | 労働者の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること |
V | 就職困難者等の雇用の安定・促進を図ること | |
担当部局・課 | 主管課 | 職業安定局雇用開発課 |
関係課 | 職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課 |
1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 | 就職困難者等の円滑な就職等を図ること | |||||
(実績目標を達成するための手段の概要) 高齢者、障害者、母子家庭の母等など就職が困難な者の雇用促進を図るため、これらの者を公共職業安定所等の紹介により継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して、賃金の一部を助成する特定求職者雇用開発助成金(以下「本助成金」という。)を支給している。本助成金は、労働政策審議会の議論を踏まえ、平成13年10月に制度改正を行い、対象労働者の年齢要件が「55歳以上」から「60歳以上」に引き上げられたほか、公共職業安定所による紹介要件が緩和され、無料・有料職業紹介事業者の紹介によって就職困難者等を雇い入れる事業主に対しても本助成金を支給できることとなった。また、従来から実施している、高年齢者及び障害者を対象とする制度(特定就職困難者雇用開発助成金)のほか、新たに再就職援助計画対象者である中高年齢者を対象とする紹介要件のない制度(緊急就職支援者雇用開発助成金)を設けたことにより、現在二つのメニューを含む制度として運営している。 |
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(評価指標) 特定求職者雇用開発助成金支給決定件数 |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |
166,483 | 167,325 | 265,620 | 259,280 | 188,400 | ||
(備考) 評価指標の単位は延人数である。 評価指標は都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計したものである。 |
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(評価指標) 特定求職者雇用開発助成金支給決定金額 |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |
57,912 | 57,110 | 85,598 | 88,169 | 65,900 | ||
(備考) 評価指標の単位は百万円である。 評価指標は都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計したものである。 |
2.評価
(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 | 就職困難者等の円滑な就職等を図ること | |
有効性 | 平成13年度においては、平成10年度から実施している緊急雇用開発プログラムによる特例措置に係る支給の大部分が終了したことにより、前年度実績と比べ約67,000人(延べ)減少したが、188,400人(延べ)が雇い入れされており、就職困難者の円滑な就職等を図るために有効に活用されている。 なお、平成13年10月に制度改正を行い、雇用失業情勢が厳しい場合に60歳未満の中高年齢者の早急な再就職を促進するため、公共職業安定所紹介要件を撤廃し、雇用失業情勢に応じた機動的かつ効果的な支援が可能となるよう制度設計し、45歳以上60歳未満の再就職援助計画対象者を支給対象とする制度を新たに追加することにより、さらに有効な施策となった。 |
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効率性 | 特定求職者雇用開発助成金は、就職困難者等の雇用機会の増大を図るためのものであり、より就職が困難な重度障害者等には助成率、助成期間が手厚くなっており、また、雇い入れを行う企業の規模に応じて助成率が異なり、効率的な実施がなされている。 また、平成13年10月の制度改正により、支給申請を行う雇い入れ事業主の事務負担を軽減し、公共職業安定所職員の作業効率の改善を図るため、申請書の添付資料、支給額の算定方法が簡素化されている。 |
(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析 | 労働力調査(総務省統計局)によると平成13年度平均の60歳以上65歳未満の高齢者の完全失業率は8.1%(年齢計5.2%)と前年度に比べて0.2%増加し、依然として高水準で推移し、職業安定業務統計(厚生労働省職業安定局)による同年度平均の60歳以上65歳未満の者の有効求人倍率も0.11倍(年齢計0.54倍)と極めて低調であり、依然として高齢者には厳しい雇用情勢が続いている。 また、障害者の職業紹介等状況報告(厚生労働省調べ)による障害者の新規求職者数の平成13年度累計は83,557人となっているが、同期間の障害者の就職件数は27,072件と就職率は4割に満たないため、雇用機会の増大が必要となっている。 さらに、母子家庭の母等の就業状況を見ると、母子世帯95.5万世帯中13万世帯が不就業となっており(厚生労働省雇用均等・児童家庭局「平成10年度全国母子世帯等調査」)、このような未就業の者に対する早期就職のための支援が喫緊の課題となっている。また、母子世帯になる前の状況を見ると、就業していなかった者の割合は38.2%であり(日本労働研究機構「母子世帯の母への就業支援に関する調査」)、就職の準備が十分でなく未就業期間のある者が多くなっている。 特定求職者雇用開発助成金の対象となる就職困難者の他、ホームレスについては、平成13年9月末の調査(厚生労働省社会援護局)では、24,090人と、平成11年度の調査に比較して、約20%も増加しているところである。 |
施策手段の適正性の評価 | 現状の極めて厳しい雇用情勢の中で、就職困難者の雇用に結びつく雇用機会の増大を図るためには何らかのインセンティブが必要である。このため、平成13年10月に制度改正により、対象者の年齢要件を引き上げたことは限られた求人数に対して真に支援の必要な就職困難者のインセンティブとなるべく図られた措置であり、施策手段として適正である。また、公共職業安定所紹介要件緩和による雇い入れ経路の拡大は潜在的な対象者の掘り起こしを図ったものであり、いずれも就職困難者の雇用の促進に資するためのものである。 |
総合的な評価 | 高齢者、障害者等の就職困難者を取り巻く状況は、雇用情勢の悪化に伴い極めて厳しいものとなっている。こうした状況下で特定求職者雇用開発助成金は雇い入れのインセンティブとして活用され、平成13年度においては188,400人(延べ)が対象労働者として支給を受けており、就職困難者の雇用の促進、雇用機会の増大に資するものである。また、平成13年度の制度改正により対象労働者の重点化、対象者の雇い入れ経路を公共職業安定所の紹介だけでなく、無料・有料の職業紹介事業者による紹介も認め、より多くの真に支援が必要な者に対する助成が可能になり、これらの者の雇用の促進、雇用機会の増大が図られることが期待される。よって今後制度利用の一層の活発化を図るためにも周知徹底して行くことが必要である。 |
3.政策への反映方針
今後も制度の活用の活発化に向けリーフレット、パンフレット等を活用し一層の周知を行っていく。 なお、平成15年度概算要求において、継続事業のうちインドシナ難民等就職促進事業、就職促進手当の支給関係事業など就職困難者対策関係事業(要求額4,523百万円)及び自立支援事業(同206百万円)は、就職への意欲を有する者に就職に必要な支援を実施し「意欲・能力がある個人を支援」することとなるため、「新重点4分野」の「(1)人間力の向上・発揮」に資することから各事業は優先性を有すると考える。 また、新規事業として要求する、ホームレス等試行雇用事業(要求額240百万円)は自立の意志を有するホームレスの就職を支援するための事業であり、「新重点4分野」の「(1)人間力の向上・発揮」に、母子家庭の母等に対する試行雇用支援事業(813百万円)は、事業の主な対象である母子家庭の母は未成年の子供を扶養するなどの制約や、未就業期間の存在により就職が困難となっており、試行雇用を通じた早期就職への支援は、経済的な面から子育てを支援することにつながり「職場など社会全体で子育てを支援」することになるため、「新重点4分野」の「(3)公平で安心な高齢化社会・少子化対策」にそれぞれ資することから各事業は優先性を有すると考える。 さらに、特定求職者雇用開発助成金の対象となる就職困難者の他、ホームレスについては、増加しているところであり、就業機会を確保するための技能講習の対象とすることを検討する。 |
4.特記事項
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