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(4−2−III)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
III 事業活動の縮小を余儀なくされた企業における雇用の維持・安定を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局雇用開発課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 失業者の発生を予防すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 景気の変動、産業構造の変化等により急激な事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、事前に休業規模等を計画した届け出を行い、その雇用する労働者に対し休業、教育訓練又は出向を実施し、支給申請をした場合、雇用調整助成金(以下「本助成金」という。)を支給し、支払った賃金等の一部を助成することにより、労働者の失業の予防を図る。
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
雇用調整助成金の対象者数 休業 352 1,164 2,405 991 451
(新)220
(旧)231
教育訓練 29 85 316 261 44
(新)11
(旧)33
出向 11,409 4,032 3,583 5,752 3,242
(新)0
(旧)3,242
(備考)
休業及び教育訓練は単位千人、出向は人。
対象となる事業主について、平成13年10月より従来の厚生労働大臣が指定した業種の事業主から業種にかかわりなく個別に基準に該当する事業主に拡大した。
評価指標は都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計したものである。
新制度における出向の対象者数が0なのは出向後初めて行われる支給決定は当該出向の初日から起算して6ヶ月を経て行われるためである。
(評価指標)
雇用調整助成金支給決定金額
H9 H10 H11 H12 H13
15,168 28,693 56,426 24,059 11,549
(備考)
単位は百万円。
評価指標は都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計したものである。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 失業者の発生を予防すること
有効性  労働経済動向調査(厚生労働省統計情報部)によると平成14年2月に調査対象となった事業所の雇用の人員の過不足判断は、調査産業計マイナス15ポイント(常用労働者過不足判断D.I.)分、過剰感が不足感を上回り、同調査において平成14年1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は、調査産業計31%となり、これを失業に転化させないことが重要な課題となっている。
 本助成金においては平成13年度の休業については約451千人に対する休業手当の一部助成を行い、雇用維持のために有効に活用されている。なお、前年度実績と比べ約440千人減少しているのは、平成10年度開始の緊急雇用開発プログラムにより本助成金の利用が促進されたが、平成12年度にその措置が終了したためである。
効率性  平成13年度の制度改正により、厚生労働大臣が指定した業種にかかわらず経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主であれば利用できるようにした。また、景気の変動など経済上の理由による一時的な雇用調整を支援するという考え方を制度的に担保するために、助成対象期間終了後から一定期間支給を行わない期間を一年間とした。これらの制度改正により、真に助成が必要な事業主に対し、効率的に助成を行うことが可能となっている。
 申請手続き等については申請事業主の事務負担を軽減し、公共職業安定所職員の作業効率の改善を図るため申請書の添付書類の削減等事務手続きの簡素化を行っている。

(2)施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  労働力調査(総務省統計局)によれば平成13年度平均の雇用失業情勢は、完全失業率が5.2%(前年度4.7%)と高い位置で推移し、完全失業者数は同年度平均348万人と、前年度から29万人増加し、3年連続300万人を超えた。このような状況下で職業安定業務統計(厚生労働省職業安定局)による平成13年度平均の有効求人倍率は0.56倍(前年度0.62倍)と低水準で推移しており、一度失業した場合の再就職が非常に困難であることがうかがえる。また労働経済動向調査によれば平成14年1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は調査産業計31%となり、事業活動の急激な縮小を余儀なくされた事業主がその雇用する労働者を解雇することなく雇用調整により対処しようとする際に助成が必要な現状である。
施策手段の適正性の評価  雇用失業情勢は依然として厳しい中、平成13年度は約451千人の被保険者が対象となり、実施された約130万人日の休業に対して助成金が支給され、雇用維持のために雇用調整助成金が活用されていると言える。また、平成13年10月の制度改正により、業種にかかわりなく本助成金を活用できることとし、併せて産業構造の転換の妨げとならないよう支給期間を短縮するなど景気変動に伴う一時的な雇用調整が必要な事業主に対して支援するよう見直したところである。
総合的な評価  現下の厳しい雇用失業情勢の下、平成13年10月の制度改正による効果は大きく、雇用の維持に対して本助成金の果たす役割は大きいと言える。今後も制度改正の趣旨の周知徹底を図ることが必要である。


3.政策への反映方針

制度改正の趣旨の周知徹底を図っていく。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 労働政策審議会における本助成金の支給に関する具体的要件等の設定についての検討を踏まえ、一定の業種に属さない事業主についても支給対象とする等を内容とする制度の見直しを行い、平成13年10月より施行。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
なし


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