戻る

(4−2−I)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
I 中小企業、新規・成長分野企業等における雇用機会を創出するとともに労働力の確保を図ること
担当部局・課 主管課 職業安定局産業雇用構造調整室
関係課 職業安定局民間需給調整課


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 中小企業労働力確保法に基づく各種助成措置の積極的な活用により、中小企業における雇用機会の創出、雇用管理の改善を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
(1)中小企業雇用創出人材確保助成金
 新分野進出等に伴い、新たに雇い入れた労働者の賃金の1/3を1年間助成する。
 (平成13年10月から助成率を1/4に、助成期間を半年間に改正した。)
(2)中小企業雇用創出雇用管理助成金
 新分野進出等に伴うソフト面の雇用管理改善に要した費用の1/2を助成する(限度額100万円)。
 (平成13年10月から助成率を1/3に改正した。)
(3)受給資格者創業特別助成金
 雇用保険の受給資格者が創業し、労働者を雇い入れた場合、(1)に加え、雇入れ数に応じ、80〜120万円を助成する。
 (平成13年度末までの措置)
(4)中小企業雇用創出等能力開発給付金
 事業所内外で事業の高度化等に必要な高度な職業訓練等に要した費用及び賃金の3/4を助成する。
 (平成13年9月末で廃止し、平成13年10月に中小企業雇用創出等能力開発助成金を創設し、助成率は1/2とした。)
(5)中小企業雇用環境整備奨励金
 労働環境改善設備又は福祉施設の設置・整備に要した費用及び雇入れ数に応じ、75〜1500万円を助成する。
(6)中小企業高度人材確保助成金
 新分野展開等に伴い、新たに受け入れた経営管理者・技術者など高度な人材の受け入れに要した費用の1/3を1年間助成する。
(7)中小企業人材確保推進事業助成金
 構成員たる中小企業者の雇用管理の改善を図るため、雇用管理の改善に関する調査研究、指導その他の事業を行った事業協同組合等に対して、当該事業の実施に要した経費の一部を助成する。
(※ 平成14年1月から「経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律」に基づき、創業・異業種進出を行った事業主に加え、中小企業経営革新支援法に基づく経営革新計画の認定を受けた事業主について(1)、(2)及び(4)の支給対象事業主としている。)
(評価指標)
中小企業雇用創出人材確保助成金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
9,159 89,772 136,670
(評価指標)
 中小企業雇用創出人材確保助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
7,119 73,190 98,176
(備考)
(1)中小企業雇用創出人材確保助成金は、平成11年1月からの事業であり、雇入れ6か月後に助成金を支給する制度であることから、平成11年度からの支給となる。
(2)評価指標は、雇用・能力開発機構の調べによる。
(評価指標)
 中小企業雇用創出雇用管理助成金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
0 327 2,517 2,641
(評価指標)
 中小企業雇用創出雇用管理助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
0 125 915 919
(備考)
(1)中小企業雇用創出雇用管理助成金は、平成11年1月からの事業であるが、助成金支給の前提となる改善計画の認定に一定の時間を要すること等から、平成11年度から実績が出てきている。
(2)評価指標は、雇用・能力開発機構の調べによる。
(評価指標)
 受給資格者創業特別助成金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
101 1,073 1,301
(評価指標)
 受給資格者創業特別助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
53 537 647
(備考)
(1)受給資格者創業特別助成金は、平成11年1月からの事業であり、雇入れ6か月後に助成金を支給する制度であることから、平成11年度からの支給となる。
(2)受給資格者創業特別助成金は、平成13年度末までの措置である。
(3)評価指標は、雇用・能力開発機構の調べによる。
(評価指標)
 中小企業雇用創出等能力開発給付金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
21,855 33,229 41,768 35,934 25,434
(評価指標)
 中小企業雇用創出等能力開発給付金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
686 1,049 1,314 1,251 1,055
(備考)
(1)中小企業雇用創出等能力開発給付金は、平成13年9月末で廃止されている。(平成13年10月に中小企業雇用創出等能力開発助成金を創設。支給は平成14年度以降となるため、平成13年度の実績は中小企業雇用創出等能力開発給付金によるもののみ。)
(2)評価指標は、雇用・能力開発機構の調べによる。
(評価指標)
 中小企業雇用環境整備奨励金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
301 323 379 363 330
(評価指標)
 中小企業雇用環境整備奨励金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
1,264 1,458 1,363 1,287 1,255
(備考)
(1)評価指標は、雇用・能力開発機構の調べによる。
(評価指標)
 中小企業高度人材確保助成金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
504 678 1,222 1,108 860
(評価指標)
 中小企業高度人材確保助成金支給決定 金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
467 613 1,429 1,355 942
(備考)
(1)評価指標は、雇用・能力開発機構の調べによる。
(評価指標)
 中小企業人材確保推進事業助成金支給決定団体数(団体)
H9 H10 H11 H12 H13
448 444 474 482 475
(評価指標)
 中小企業人材確保推進事業助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
2,012 2,116 2,077 2,048 1,971
(備考)
(1)評価指標は、雇用・能力開発機構の調べによる。
実績目標2 新規・成長分野雇用創出特別奨励金の積極的な活用により、新規・成長分野企業等における雇用機会の創出を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 新規・成長分野の事業を行う事業主が、中高年齢者の非自発的離職者等を、雇入れ時期を前倒しして常用労働者として雇い入れた場合又はOJTを中心として実践的な職業訓練を行う場合に、それぞれ一定額(雇入れの場合70万円、職業訓練の場合9万円等)の奨励金を支給する。
(評価指標)
 新規・成長分野雇用創出特別奨励金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
1,114 20,295 47,900
(評価指標)
 新規・成長分野雇用創出特別奨励金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
693 13,661 29,244
(備考)
(1)新規・成長分野雇用創出特別奨励金は、平成11年8月からの事業である。
(2)評価指標は、高年齢者雇用開発協会の調べによる。
実績目標3 介護労働者法に基づく助成措置等により、雇用管理の改善等を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 雇用管理の改善等を図るため、雇用管理の改善等に関する専門的相談や調査を行う「介護サービスインストラクター」を介護労働安定センターの支部に配置するための、「介護労働者雇用管理改善等援助事業」や、民営職業紹介所団体と企業等との介護クーポン制度に関する提携を促進することにより在宅介護分野における受給システムの確立を図るための「介護労働者受給サービス事業」を講じている他、以下のような助成事業を行っている。
(1)介護人材確保助成金
 新たな労働者を雇い入れる事業主に対し、当該労働者の賃金の1/2(短時間労働者の場合は1/3)を1年間助成する。
(2)介護雇用管理助成金
 新たに雇い入れた労働者に対して実施する雇用管理改善事業(健康診断の実施等)に係る費用の1/2を助成する(限度額100万円)。
(3)介護雇用環境整備奨励金
 労働環境改善整備又は福祉施設の設置・整備に要した費用の一部を労働者の雇い入れ数及び設置・整備に要した費用に応じ、75〜1,500万円を助成する。
(4)介護能力開発給付金
 新たに雇い入れた労働者に対する教育訓練の実施、有給教育訓練休暇の付与を行う場合に、その費用の3/4又は賃金の3/4を1年間助成する。
(5)介護労働者福祉助成金
 ケアワーカーを対象とする福祉共済制度の運営事務に当たる職業紹介事業者等に対して、事務費を助成する。
(6)介護労働環境改善事業助成金
 介護労働者の労働環境の改善に関する研究調査を行う者に対して、助成を行う。
(評価指標)
 介護人材確保助成金支給決定人数(人)
H9 H10 H11 H12 H13
7,752 7,205
(評価指標)
 介護人材確保助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
4,627 8,304
(備考)
(1)介護人材確保助成金は、平成12年4月からの事業である。
(2)評価指標は、介護労働安定センターの調べによる。
(評価指標)
 介護雇用管理助成金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
98 371
(評価指標)
 介護雇用管理助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
22 89
(備考)
(1)介護雇用管理助成金は、平成12年4月からの事業である。
(2)評価指標は、介護労働安定センターの調べによる。
(評価指標)
 介護雇用環境整備奨励金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
10 47
(評価指標)
 介護雇用環境整備奨励金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
12 102
(備考)
(1)介護雇用環境整備奨励金は、平成12年4月からの事業である。
(2)評価指標は、介護労働安定センターの調べによる。
(評価指標)
 介護能力開発給付金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
94 243
(評価指標)
介護能力開発給付金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
15 49
(備考)
(1)介護能力開発給付金は、平成12年4月からの事業である。
(2)評価指標は、介護労働安定センターの調べによる。
(評価指標)
 介護労働者福祉助成金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
963 942 900 839 844
(評価指標)
介護労働者福祉助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
85 84 79 74 72
(備考)
(1)評価指標は、雇用・能力開発機構の調べによる。
(評価指標)
 介護労働環境改善事業助成金支給決定件数(件)
H9 H10 H11 H12 H13
7 8 13 14 15
(評価指標)
介護労働環境改善事業助成金支給決定金額(百万円)
H9 H10 H11 H12 H13
27 37 57 65 72
(備考)
(1)評価指標は、雇用・能力開発機構の調べによる。


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 中小企業労働力確保法に基づく各種助成措置の積極的な活用により、中小企業における雇用機会の創出、雇用管理の改善を図ること
有効性  雇用機会の創出に対する支援である中小企業雇用創出人材確保助成金は、制度創設後、着実に実績を伸ばし、平成13年度末までに約14万人もの雇用創出が図られ、また、予算消化率も約9割に達する等、雇用機会の創出に大きな寄与がみられた。また、雇用管理改善に対する支援のうち中小企業人材確保推進事業助成金についても、475団体において雇用管理改善に係る取組が行われ、また、予算の消化率は7割となる等、雇用管理改善に資するところは大きかったと言える。一方、その他の助成金については、両助成金と比較すると、予算消化率は相対的に高いとは言えず、また、支給件数自体が少ない等、両助成金ほどの積極的な活用は図られていない状況にある。
(参考)
平成13年度予算額
予算額
中小企業雇用創出人材確保助成金 107,887百万円
中小企業雇用創出雇用管理助成金3,821百万円
受給資格者創業特別助成金1,031百万円
中小企業雇用創出等能力開発給付金3,699百万円
中小企業雇用環境整備奨励金2,158百万円
中小企業高度人材確保助成金1,743百万円
中小企業人材確保推進事業助成金2,820百万円
効率性  中小企業雇用創出人材確保助成金及び中小企業高度人材確保助成金については、従来、支給対象労働者の賃金額から助成金額を算定していたが、平成13年10月から労働保険料の一般保険料に係る確定保険料に基づく方法に合理化し、職員業務量の削減及び迅速な支給が可能となった。また、創業事業所に支給する場合には、「創業」を支援するという性格から、保険料の確定を待たず、定額方式とすることにより迅速な支援が可能となった。
実績目標2 新規・成長分野雇用創出特別奨励金の積極的な活用により、新規・成長分野企業等における雇用機会の創出を図ること
有効性  本奨励金は、制度創設以降、年度を追うごとに実績が順調に伸び、平成13年度末までの支給決定人数は約7万人となっており、新規・成長分野の事業主の雇入れ意欲の促進及び非自発的離職者等の雇用機会の創出に一定の役割を果たしている。
 特に、情報通信関連分野、ビジネス支援関連分野等、従来中高年齢者の雇入れに消極的と思われる分野での雇入れが相当程度の比率を占めるなど、中高年齢の非自発的離職者等の雇用機会の創出に資していると考えられる。
 本奨励金の有効性を高めるために、平成13年度においては公共職業安定所の紹介だけでなく民営の職業紹介所の紹介により雇い入れた者についても支給対象とし、また、中小企業経営革新支援法に基づくものを対象事業に追加する拡充措置を実施した。これにより、本奨励金を活用した雇用機会の創出がより増加した。
効率性  30歳未満の者については、成長分野企業の求人意欲も高いと考えられるため、特に支援の必要性の高い層に重点をおいた効果的な支援策となるよう、平成13年10月から、対象労働者を30歳以上の者に重点化した。
 実績をみると、重点化して引き続き対象としている30〜60歳層の実績は、重点化する前の水準以上で推移している(実績は別紙)。
実績目標3 介護労働者法に基づく助成措置等により、雇用管理の改善等を図ること
有効性  雇用管理の改善等を図るための措置は直接収益に結びつくものでないこと、事業主は事業の開始時又は拡充時に様々な初期投資費用を負担しなければならず財政的に厳しいこと等から、個々の事業主の努力のみでは雇用管理の改善等が進まない状況にある。このため、(1)雇用管理の改善等に取り組もうとする意思を有する事業主に対して、介護雇用創出助成金を用い、必要な経費を助成し、実際に措置を講じさせること、(2)福祉共済制度の運営事務に当たる職業紹介事業者等に対して事務費を助成すること、(3)介護労働者の労働環境の改善に関する研究調査を行う者に対して助成することは、雇用管理の改善等に有効であると考えられる。
 実際の評価指標を見ても、全体としては概ね好調に実績が推移しており、これらの助成措置は雇用管理の改善等に有効であったものと考えられる。
効率性  上記のような状況を踏まえると、(1)雇用管理の改善等に取り組もうとする意思を有する事業主に対して、実際に措置を講ずるインセンティブを高めるために、必要な経費の一部を助成すること、(2)福祉共済制度の運営事務に当たる職業紹介事業者等に対して事務費を助成すること、(3)介護労働者の労働環境の改善に関する研究調査を行う者に対して助成することが、雇用管理の改善等を効率的にすすめることとなるものである。
必要性  厳しい情勢にある現下の雇用失業情勢において、新規成長分野である介護分野において雇用機会の創出を図ることは喫緊の課題であり、また、介護保険制度において介護サービスを円滑に提供するためには、介護労働者の適切な確保に努める必要がある。
 その介護労働分野における労働実態は、他の産業分野とは異なる特徴があり、介護労働分野における求職者の希望する労働条件等との乖離を雇用管理の推進により解消する必要があるが、介護分野における事業者は中小の事業者が多く、特に雇用管理に関するノウハウが少ないことから、雇用管理の改善が図り難い実態がある。
 このため、今後も継続して介護労働分野における労働力を確保するためには、介護労働者の雇用管理改善、介護に従事する労働者の能力開発に対する支援等を行うことにより介護労働者の労働環境における福祉の増進を図り、介護分野における良好な雇用機会の創出に努める必要がある。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析
(1)総務省「事業所・企業統計調査」(平成8〜11年)によれば、廃業率(5.6%)が開業率(3.5%)を上回っており、また、厚生労働省「雇用保険事業年報」によれば、バブル崩壊以降、開業率は低下傾向にあった。こうした中、平成11年の中小企業政策審議会の答申(「21世紀に向けた新たな中小企業政策の在り方」)において、「意欲ある中小企業者の成長、経営の革新へ向けての取組や創業への自助努力を積極的に支援していく必要がある。」とするともに、中小企業を「魅力ある就業機会創出の担い手」と位置づけており、このような中小企業の活力を活かした雇用機会の創出が、我が国の重要な課題となっている。
(2)代表的な新規・成長分野である「情報サービス」、「医療・社会福祉・教育サービス」に係る新規求人数(常用)をみると、これらの分野の求人数は全産業と比較して伸び率がおおむね高く、今後も引き続き雇用の拡大が期待できることから、これら成長分野への就職の促進を図っていく必要がある。
(参考)代表的な新規・成長分野における新規求人数(常用)
  H10年度 H11年度 H12年度 H13年度
情報サービス 409,654 446,401 636,363 632,236
  (-5.17%) (8.97%) (42.55%) (-0.65%)
医療・社会福祉・教育 295,733 312,861 360,116 399,455
サービス (1.64%) (5.79%) (15.10%) (10.92%)
全産業 3,768,909 3,825,859 4,546,420 4,288,511
  (-15.41%) (1.51%) (18.83%) (-5.67%)
※( )内は、対前年度伸び率
 資料出所:「職業安定業務統計」
(3)介護分野は、我が国における急速な高齢化の進展や介護保険制度の施行を背景として、今後も労働需要の拡大が見込まれる分野である。
(単位:万人)
  平成12年度 平成16年度
要介護・要支援高齢者 270 310
介護分野労働需要見込み 47 80
(資料出所)厚生省推計(ゴールドプラン21による)
施策手段の適正性の評価
(1)創業等に係る雇用機会の創出については、それまで低下傾向にあった開業率が、平成11年度から上昇に転じている中で(厚生労働省「雇用保険事業年報」)、助成金の実績もあがっていることから、創業等に係る雇入れ支援という手段は有効と考えられる。また、雇用管理改善については、個別の中小企業事業主が取り組むことが困難な面があると考えられる一方、団体の取組については高い実績をあげていることから、特に団体の雇用管理改善に対する取組を支援する手段は有効である。
(2)新規・成長分野雇用創出特別奨励金については、新規求人数の伸び率の高い医療・福祉、情報通信等の分野を中心に実績が上がっており、これら新規・成長分野の事業主の前倒し雇用の意欲を促進し、就職の緊要度の高い中高年の非自発的離職者等を早期就職に結びつけることに有効であると考えられる。
(3)雇用管理の改善等に取り組もうとする意思を有する介護関連事業主に対して、必要な経費の一部を助成すること、福祉共済制度の運営事務に当たる職業紹介事業者等に対して事務費を助成すること及び介護労働者の労働環境の改善に関する研究調査を行う者に対して助成することについては、雇用管理の改善等に有効であり、今後成長が期待される介護分野における良好な雇用機会の創出及び労働力の確保に資するものである。
 また、介護サービスインストラクターを介護労働安定センターの支部に配置するための介護労働者雇用管理改善等援助事業については、介護労働者の雇用管理の改善等を図るための手段として、雇用管理の改善や介護事業等に関する専門的な知識を有する者が個別に相談や調査を行うことにより介護事業者を支援することが有効である。
 さらに、介護労働者受給サービス事業については、民営職業紹介所団体と企業等との介護クーポン制度に関する提携を促進することにより、在宅介護分野における受給システムの確立が図られ、より容易に介護サービスを受けることが可能になることから、手段として適正である。
総合的な評価
(1)創業等に係る雇用機会の創出に対する支援についてみると、それまで低下傾向にあった開業率が、平成11年度から上昇に転じている中で(厚生労働省「雇用保険事業年報」)、助成金の実績も上がっていることから、中小企業雇用創出人材確保助成金は、雇用機会の創出に寄与していると考えられるが、雇用管理改善に対する支援については、団体の取組は高い実績をあげている一方で、中小企業事業主の雇用管理改善の取組に係る実績は必ずしも高くない。
 このため、雇用保険財政が逼迫する中で、雇用保険三事業関係助成金について不断に見直しを行うとされていること等から、状況に応じて、助成内容及び支給業務の見直しを検討していく必要がある。
(2)新規・成長分野雇用創出特別奨励金については、雇用失業情勢に的確に対応し、必要な見直しを行い、その実績は順調に推移しており、新規・成長分野における雇用機会の創出に寄与していると考えられることから、今後も本奨励金の活用を通して、新規・成長分野における積極的な雇用機会の創出に努める。
(3)雇用管理の改善等に取り組もうとする意思を有する介護関連事業主に対して、必要な経費の一部を助成すること、福祉共済制度の運営事務に当たる職業紹介事業者等に対して事務費を助成すること及び介護労働者の労働環境の改善に関する研究調査を行う者に対して助成すること等は雇用管理の改善等に有効であることから、良好な雇用機会を創出し雇用の安定を図るという施策目標に対し有効に機能していると考えられる。


3.政策への反映方針

(1)雇用保険財政が逼迫する中で、雇用保険三事業の更なる見直しの必要性もあること等から、実績評価結果や労働政策審議会職業安定分科会等関係審議会等の意見も踏まえつつ、中小企業労働力確保法に基づく助成金については、必要に応じて、見直しを検討することとする。また、助成金の効果的な活用を図るため、求職者に対し、基盤人材に係る求人情報を効果的に収集・提供するスキームについて検討する。
(2)新規・成長分野雇用創出特別奨励金については、医療・福祉、情報通信等の分野を中心に実績が上がっており、引き続き積極的に運用していく必要がある。この場合、今次構造改革の調整期間において集中的に措置を実施するという制度の趣旨にかんがみ、雇用失業情勢の推移も勘案しつつ、必要に応じ対象労働者等の見直しの検討も視野に置く。
(3)介護労働者法に基づく助成措置等については、雇用管理の改善に一定の役割を果たしていると評価されるものの、雇用保険三事業の更なる見直しの必要性もあること等から、実績評価結果や労働政策審議会職業安定分科会等の意見も踏まえつつ、必要に応じて見直しを検討することとする。
 また、介護人材確保助成金の支給方法について、平成14年4月から、一層の支給事務の効率化を図る観点等から、実際の賃金額に定率をかける方法から、定額を支給する方法に変更したところ。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 平成13年12月19日に閣議決定された「特殊法人等整理合理化計画」において、雇用・能力開発機構の各種助成金業務につき講ずべき措置として、「国が明確な政策目標を定め、併せて当該目標が達成された場合又は一定期間経過後には助成措置を終了することを明記する。さらに、事後評価を行い、その評価結果を踏まえて助成の在り方を適宜見直す」こととされている。当該計画を踏まえ、中小企業労働力確保法に基づく各種助成措置及び介護労働者福祉基金については、本施策目標が達成された場合には、終了するものとする。
 また、介護労働安定センターの助成金事業については、平成14年3月29日に閣議決定された「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」の中で介護労働安定センターが補助金依存型公益法人として、実施計画の対象とされており、「個々の補助金等の政策的必要性を始めとした合理的理由を検証するため、(中略)3〜5年ごとに政策評価を実施する。」こととなっている。

(3)総務省による行政評価・監視等の状況

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)

(5)会計検査院による指摘
(中小企業雇用創出人材確保助成金関係)
検査対象 330事業所
不適正支給指摘 44事業所(不適正率13.3%)
不適正支給額 201,529,689円


対象者別支給申請人数


平成13年度新規・成長分野雇用創出特別奨励金(雇用奨励金)支給申請人数の推移

  4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
非自発的離職者29歳以下 307 426 406 413 449 401 490 410
非自発的離職者30〜44歳 533 663 667 722 736 668 831 991 939 964 773 1,010
非自発的離職者45〜59歳 871 1,037 1,132 1,128 1,202 1,042 1,427 1,505 1,440 1,451 1,255 1,668
未就職卒業者 202 832 1,203 1,090 884 618 551 453
職業訓練等受講者 696 1,095 773 491 651 541 514 671 533 447 357 460
合計 2,609 4,053 4,181 3,844 3,922 3,270 3,813 4,030 2,912 2,862 2,385 3,138
  うち民営職業紹介事業者経由 1 3 11 8 35
うち中小企業経営革新支援法に基づくもの 0 0 1 10 19


トップへ
戻る