戻る

(3−8−I)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
施策目標 労働保険適用徴収業務の適正かつ円滑な実施を図ること
I 労働保険の適用促進及び労働保険料の適正徴収を図ること
担当部局・課 主管課 労働基準局労働保険徴収課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 労働保険の適用対象事業場を適正に把握し、適用を促進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 労働保険の適用促進を図るためには、未手続事業場の的確な把握を行うことが重要であるので、都道府県労働局、労働基準監督署及び公共職業安定所間の連携を密にして、電話帳の消し込み、事業主団体名簿の活用等、創意工夫を凝らした把握を行う。
 把握した未手続事業場に対して、地域別、業種別等の実態を踏まえ、中期的な展望に立った年次別の具体的な適用促進計画を策定し、計画的な適用促進に努める。
(評価指標)
新規適用事業場数
H9 H10 H11 H12 H13
322,256 298,107 284,191 299,545 集計中
(備考)
評価指標の結果の把握が当該年度の翌々年度となる。
資料出所:労働保険適用関係業務統計表
(評価指標)
廃止適用事業場数
H9 H10 H11 H12 H13
302,776 296,673 294,594 286,855 集計中
(備考)
評価指標の結果の把握が当該年度の翌々年度となる。
資料出所:労働保険適用関係業務統計表
(評価指標)
適用事業場数
H9 H10 H11 H12 H13
3,057,724 3,059,158 3,048,755 3,061,445 集計中
(備考)
評価指標の結果の把握が当該年度の翌々年度となる。
資料出所:労働保険適用関係業務統計表
実績目標2 労働保険料の適正徴収の確保を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
労働保険料算定基礎調査の実施
労働保険料算定基礎調査は、事業場に立ち入り、事業主に対し質問、帳簿書類等の調査を行い、適正な労働保険料の額を確認することにより、労働保険料等の適正な徴収を図るとともに、労働保険料の負担の公平を期するものである。
滞納整理の実施
労働保険料が未納の事業場に対し、電話、文書、訪問等により納入督励する。それでもなお事業主が納付しない場合は、労働保険料を強制的に徴収するため、滞納者の財産を差し押さえ、差押財産を換価してその代金をもって労働保険料等に充当する措置を採り得る。
(評価指標)
労働保険料収納済歳入額〈百万円〉
H9 H10 H11 H12 H13
3,405,546 3,291,861 3,106,480 3,078,031 集計中
(備考)
評価指標の結果の把握が当該年度の翌々年度となる。
評価指標の単位:百万円
資料出所:労働保険特別会計歳入歳出決定計算書


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 労働保険の適用対象事業場を適正に把握し、適用を促進すること
有効性  労働保険制度の周知を目的とした労働保険適用促進月間(毎年10月実施)の実施、電話帳の消し込み等による未手続事業場の把握、把握した未手続事業場の計画的な解消により、適用事業場数の増加につながっているところであり、当該手段については有効性が高いものである。
効率性  労働保険は、自主申告・自主納付を前提とした制度であることから、継続的な制度の周知活動及び各局の地域の実情に基づく計画的な適用促進活動を実施することにより、未手続事業場の解消は確実に行っていることから、効率性が高いものである。
実績目標2 労働保険料の適正徴収の確保を図ること
有効性  平成12年度においては、66,544事業場について労働保険料算定基礎調査を実施しており、そのうち43.1%に当たる28,686事業場に労働保険料の過不足が認められた。
 滞納整理の実施については、平成12年度につき、延べ87,599件の納入督励をすることにより、17,804百万円の現金領収及び12,955百万円が納付受託されており、労働保険の適正徴収の確保を図る手段として有効である。
 また、差押え等の滞納処分は、強制的に労働保険料を徴収する手段として有効であるとともに、滞納者の財産処分を制限することで、間接的に納付を促す効果もある。
効率性  毎年、都道府県労働局では労働保険料算定基礎調査年間業務計画及び滞納整理年間業務計画を立てており、管内事業場の特性に応じて対象事業場を選定することで、労働保険料の適正徴収が確保されていることから、効率性が高いものである。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  平成9年度から平成12年度までの評価指標を見る限りでは、適用事業場数は微増しているが、経済情勢が悪化すれば企業倒産の増加及び新規起業の減少は必然的に起こる現象であり、仮に施策や事務事業の投入量が一定であったとしても、外部要因としての経済情勢の悪化の影響を大きく受けて新規適用事業場数の減少及び廃止適用事業場数の増加につながる可能性は否定できない。
 また、労働保険料の徴収については、経済を取り巻く状況にも左右されることから、景気の低迷及び賃金総額の伸び悩みにより労働保険料収納済歳入額も平成9年度以降は減少している状況である。
施策手段の適正性の評価  未手続事業場への加入勧奨は、労働保険制度が自主申告納付を前提としていることを考慮すると、制度の広報や、事業主に対し理解を求めるため、電話、文書、訪問等を通じた活動を継続していくことが必要である。また、未手続事業場の把握に当たっては、他部署(監督部門や求人部門)との連携を図っている。
 労働保険料算定基礎調査は、保険料の適正な徴収を図る上でも、また、労働保険徴収の円滑な施行を図ることからも重要である。さらに労働保険料算定基礎調査年間業務計画を立てるに当たっては、調査結果の分析、管内事業場の特性や地域の実情等に応じて対象事業場を選定するなど実効ある実施を図っており、効果的なものとなっている。
 労働保険料の滞納整理については、都道府県労働局で滞納整理年間業務計画を策定して計画的に取り組んでいるところであり、多額の滞納事業主及び多年度にわたり滞納を繰り返している事業主に対し、重点的に滞納整理を実施することが必要である。
総合的な評価  労働保険の適用促進及び労働保険料の適正徴収を図るために、行っている労働保険料算定基礎調査、滞納整理等は有効かつ適正な方法であり、その成果は制度発足からの適用事業場数の増加に現れていることから、労働保険料算定基礎調査、滞納整理等については引き続き効率的に実施するとともに、関係行政機関等との連携を図ることが必要である。


3.政策への反映方針

 今後も労働保険に係る周知広報、算定基礎調査、納入督励等を計画的に実施するほか、関係行政機関との連携を図ることなどにより未手続事業場や倒産に係る事業場の情報を効果的に収集することとする。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
平成12年度会計検査院決算検査報告により、不当事項として指摘を受けた。


トップへ
戻る