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(3−4−III)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
施策目標 勤労者生活の充実を図ること
III 自由時間の充実等勤労者生活の充実を図ること
担当部局・課 主管課 労働基準局勤労者生活部勤労者生活課
労働基準局勤労者生活部企画課労働金庫業務室
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 勤労者のボランティア活動への参加等自由時間の充実を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 勤労者が希望に応じてボランティア活動に参加することができるように、事業主団体及びNPO・ボランティア関係団体が連携しつつ、ボランティア参加を希望する勤労者とその受入先とのマッチング、情報提供・相談活動、広報・啓発活動、企業担当者を対象としたセミナー、勤労者を対象としたガイダンスの開催、きっかけづくりとなる体験プログラム等の実施により、勤労者のボランティア活動への参加に向けての基盤整備を図る(勤労者マルチライフ支援事業の推進)。
(評価指標)
勤労者マルチライフ支援事業の実施状況
 参加者数(セミナー・ガイダンス、 体験プログラム等への参加者数)
H9 H10 H11 H12 H13
5,540
(評価指標)
勤労者マルチライフ支援事業の実施状況
 広報・啓発、情報提供活動
(ポスター等の配布数)
H9 H10 H11 H12 H13
106,434
 (ボランティア情報収集・提供件数等) 9,140
(備考)
 本事業は平成13年度より開始したものである。
 データ出所:厚生労働省調べ
実績目標2 中小企業勤労者の総合的な福祉の充実を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 市区町村単位に設立された中小企業勤労者福祉サービスセンターに対し、市区町村が管理運営費等を補助した場合、一定額を上限にその一部経費の2分の1を国が補助することにより、中小企業勤労者福祉サービスセンターの設立を支援し、中小企業勤労者の総合的な福祉の充実を図る。
(評価指標)
中小企業勤労者福祉サービスセンターの会員数 (単位:人)
H9 H10 H11 H12 H13
659,391 712,912 764,166 778,972 786,798
(評価指標)
中小企業勤労者福祉サービスセンターの国庫補助団体数
H9 H10 H11 H12 H13
102 116 126 132 135
(備考)
 データ出所:厚生労働省調べ
実績目標3 労働金庫の健全性確保のための施策を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 労働金庫の健全性を確保するため、個々の労働金庫に対して少なくとも2年に1回は検査を実施できるようにする。
(評価指標)
全労働金庫に対する検査実施状況(検査実施率)
H9 H10 H11 H12 H13
38% 22% 22% 31% 52%
(備考)
 データ出所:厚生労働省調べ


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 勤労者のボランティア活動への参加等自由時間の充実を図ること
有効性 13年度は、勤労者マルチライフ支援事業の立ち上げの時期として、実施地域(11都府県13地域)においてNPO・ボランティア関係者や労使、有識者等の参加により推進地域協議会を立ち上げ、地域の実情に合った事業運営の方法を検討し、地域の勤労者等のニーズに沿ったボランティア活動プログラム等を企画・実施した。
 また、ボランティア活動を希望する勤労者の利便性に資するため、ボランティア活動情報やボランティア受入団体情報を収集・提供するデータベースシステムを立ち上げるとともに、公共交通機関や企業等にポスター等を掲示し、ボランティア活動への参加及び支援に向けた勤労者及び企業の意識啓発を図ったところである。
 上記のような基盤整備事業を行うことにより、特に地域ごとに企画・実施したセミナー・ガイダンス、体験プログラム等については、5,500人超の勤労者の参加が得られた。
 このように、勤労者のボランティア活動への参加意欲を喚起し、ボランティア活動に参加するためのきっかけをつくり、ボランティアを希望する人を実際の活動に結び付けることは、勤労者が関心のある職場外の多種多様な活動に参加するきっかけとなり、自由時間の充実に資するものとなっている。
実績目標2 中小企業勤労者の総合的な福祉の充実を図ること
有効性  中小企業勤労者福祉サービスセンター事業は、中小企業勤労者及びその事業主が共同して市区町村単位に「中小企業勤労者福祉サービスセンター」を設立し、総合的な福祉事業を実施することで中小企業勤労者の総合的な福祉の充実を図ることを目的としている。
 「賃金労働時間制度等総合実態調査」(平成10年、厚生労働省)によれば、常用労働者数5,000人以上規模の企業を100とすると、従業員数30〜99人規模の企業の場合、法定福利厚生費は67、法定外福利厚生費は25となり、中小企業勤労者は、大企業勤労者に比して依然として福利厚生面で大きな格差が見られるところである。
 そこで、従来より中小企業勤労者への総合的な福祉事業の充実が求められているところであるが、中小企業単独では総合的な労働福祉の諸制度、諸施策の充実を図る方策を講ずることは困難である。
 このため、厚生労働省では昭和63年度より、「中小企業勤労者福祉サービスセンター」が行う中小企業勤労者を対象とした福祉事業(在職中の生活の安定事業、自己啓発、余暇活動事業等)に対して市町村が補助を行った場合に、その経費の一部を補助しているところである。
 近年の厳しい経済状況の中にあっても、補助対象となる各地のサービスセンターの総会員数が毎年増加していることは、中小企業勤労者への総合的な福祉事業の充実に寄与していると評価することができるものである。
実績目標3 労働金庫の健全性確保のための施策を推進すること
有効性  検査実施率の向上により、他の金融業態と比較してリスク管理債権比率が低い状態を維持することができており、健全性を確保できている。
 労働金庫リスク管理債権比率 1.02%(平成13年3月期)(預金取扱金融機関の平均リスク管理債権比率は6.94%(同))

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析 (勤労者のボランティア活動への参加について)
 近年の終身雇用や年功賃金を中心とする雇用慣行が変わりつつあり、これまでの職縁を中心とするつながり意識が多様化しつつある。また、地域では、高齢者の介護、環境保全、地域の活性化等の問題解決の担い手として個々人のボランティア活動が求められている。しかし、平成12年度に厚生労働省が実施した調査(「企業および勤労者のボランティア活動に関する調査」)によれば、調査対象の勤労者のうち約70%がボランティア活動に関心を持っているにも関わらず、時間的制約や情報不足等を理由に、実際にボランティア活動に参加しているのは15%程度という結果となっている。
(中小企業勤労者福祉サービスセンター事業について)
 昭和63年度の事業開始以来、補助対象団体数、会員数ともに伸び続けている。
 ただし、平成13年度における各サービスセンターの総会員数(約79万人)は、中小企業従業者数(2,703万人)(「中小企業白書」2002年度版)の3%程度にすぎず、大半の中小企業勤労者は本事業の恩典を受けていない。
(労働金庫について)
 労働金庫については、全般的に健全性が維持されているが、長引く景気低迷により、他業態の金融機関においてはリスク管理債権比率が高くなるなど経営が全般的に悪化する傾向にある中で、引き続きその健全性の維持に努める必要がある。
施策手段の適正性の評価 (勤労者のボランティア活動への参加について)
 上記厚生労働省の調査(「企業および勤労者のボランティア活動に関する調査」)によれば、ボランティア活動を始める条件として、「自分ができる内容のものが見つかれば」(71.2%)、「時間ができれば」(65.2%)、「ボランティア活動を体験する機会があれば」(27.7%)、「周囲の理解が得られれば」(12.0%)(複数回答)等を挙げる勤労者が多い。すなわち、勤労者のボランティア活動参加のためには、勤労者向けのボランティア活動情報や受入団体情報の提供、きっかけづくりのための機会の提供とともに、企業がボランティア活動を前向きに捉え、参加の風土をつくることも重要である。
 勤労者マルチライフ支援事業は、事業主団体及びNPO・ボランティア関係団体の連携の下での企業及び勤労者への啓発活動、企業担当者とNPO・ボランティア関係団体とのネットワークの構築を通じたボランティア情報の提供、セミナー・ガイダンスの開催、体験プログラムの実施等により、勤労者がボランティア活動に参加しやすい環境整備を図るものである。このように、勤労者のボランティア活動への参加に向けた環境整備を図ることは、勤労者が関心のある職場外の多種多様な活動に参加するきっかけとなり、自由時間の充実に資するものであることから、施策目標の達成に有効であるといえる。
(中小企業勤労者福祉サービスセンター事業について)
 多数の社員を有し全国的な展開を図る大企業と異なり、中小企業は地域社会と密接な関係を持っていることから、中小企業勤労者の福祉の向上については、中央で一元的に指示、運営するのではなく、地域の実情に合わせて推進する必要性がある。このような観点から、本事業は、市区町村がサービスセンター事業に積極的に関与し、地域の実情に合わせて事業が実施されることにより、中小企業勤労者の福祉の一層の向上を図ろうとするものである。
 サービスセンターの設置数は、昭和63年度の事業開始以来、会員数と並んで伸び続けており、平成13年度で135団体を補助対象としているところである。
 したがって、サービスセンターの設立時に自主運営が可能となるまでとして厚生労働省が補助を実施することにより、市区町村におけるサービスセンターの設立支援を促進する本事業は、施策目標の達成に有効であるといえる。
(労働金庫について)
 検査実施率の向上(平成11年度は22%、平成12年度は31%、平成13年度は52%)により、労働金庫は他の金融業態と比較してリスク管理債権比率が低い状況を維持することができている。よって、労働金庫に臨検して、資産査定や法令遵守体制等についての検査を実施し、所要の改善命令を発する現行の検査手法は有効かつ適正な手法である。
総合的な評価 (勤労者のボランティア活動への参加について)
 平成13年度は、勤労者マルチライフ支援事業の初年度であり、ボランティア活動に係る勤労者や各地域のニーズの把握と、受入団体の把握、ボランティア情報の収集・提供、企業・勤労者・ボランティア受入団体等のキーパーソン間のネットワーキング、きっかけづくりとなるガイダンスや体験プログラムの実施、ポスター等を活用した広報啓発活動等事業運営の基礎固めを中心に行った。本年度は、これらをベースに活動の年と位置付け、地域の実情に合った形での各種勤労者向けプログラムの提供や、ボランティア活動を希望する勤労者とボランティア団体との結びつけ等、更なる取り組みを行っていくこととしている。
(中小企業勤労者福祉サービスセンター事業について)
 平成13年度における各サービスセンターの総会員数(約79万人)は、中小企業従業者数(2、703万人)(「中小企業白書」2002年度版)の3%程度にすぎず、大半の中小企業勤労者はサービスセンター事業の恩恵を受けていないことから、今後とも、本事業の実施地域の拡大を図る必要がある。
 なお、本補助金の趣旨や昨今の厳しい財政事情を考慮すると、今後もサービスセンター事業の実施地域の拡大を図るためには、すべての団体にこれまでどおりの補助を継続していくことは困難な状況にあるため、各サービスセンターの改革を進め、国庫補助から自立化させる必要がある。
(労働金庫について)
 労働金庫に対する検査実施率の向上を図ることにより、労働金庫の健全性を確保できている。


3.政策への反映方針

(勤労者のボランティア活動への参加について)
 引き続き、事業主団体とNPO・ボランティア関係団体との連携の下、 各種勤労者向けプログラムの提供や、ボランティア活動を希望する勤労者とボランティア団体との結びつけ等、勤労者のボランティア活動への参加に向けた基盤整備を進める。
(中小企業勤労者福祉サービスセンター事業について)
 引き続き、国庫補助から自立化したサービスセンターや国庫補助団体となっていない各地の共済会、民間の福利厚生代行会社等と連携しつつ、サービスセンター事業の実施地域の拡大を図り、中小企業勤労者福祉の充実を図ることとする。
(労働金庫について)
 労働金庫に対する検査実施率の向上を図ることで労働金庫の健全性を確保できており、引き続きその維持に努める。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 (「地方分権推進計画」「国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画」「第10次定員削減計画」「行政改革大綱」等)
なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
なし


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