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(3−2−I)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
施策目標 労働者の安全と健康の確保を図ること
I 事業場における安全衛生水準の一層の向上を図ること
担当部局・課 主管課 労働基準局安全衛生部安全課・労働衛生課
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 安全衛生に関する自主的な取組を推進すること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 労働災害の一層の減少を図るためには、事業場において継続的な安全衛生管理を実施する仕組みを整備する必要があることから、一連の過程を定めて継続的な安全衛生活動を自主的に行う安全衛生管理の仕組みである労働安全衛生マネジメントシステムの導入を図ることが求められている。このため、労働安全衛生マネジメントシステム普及促進事業を実施し、その普及促進を図る。
(評価指標)
労働安全衛生マネジメントシステム普及促進事業利用状況
(指針説明会実施回数)
H9 H10 H11 H12 H13
5
(指針説明会受講者数) 1,000 165
(備考)
 労働安全衛生マネジメントシステム普及促進事業については、平成11年度から実施している。(厚生労働省調べ)
実績目標2 小規模事業場に対する安全衛生水準向上の支援を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
 小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業により小規模事業場からなる団体に対し支援等を行い、小規模事業場の安全衛生水準の向上を図る。また、産業医共同選任事業により小規模事業場が共同して産業医を選任する際に助成を行い、自主的な産業保健活動の実施を図ること等を実施する。全国347カ所に整備している地域産業保健センターにおいて、小規模事業場の事業者及びその労働者に対し健康相談等を実施する。
(評価指標)
小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業の利用状況
(登録団体数)
H9 H10 H11 H12 H13
88 93 82
(備考)
 評価指標の小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業については、平成11年度からの事業である。
資料出所:厚生労働省調
(評価指標)
地域産業保健センターの利用状況
(相談件数)
H9 H10 H11 H12 H13
30,951 26,850 36,265 44,115 49,635
(訪問指導事業場数) 7,785 9,279 10,021 10,819 11,422
(備考)
資料出所:厚生労働省調(事業実績報告書)
(評価指標)
産業医共同選任事業の利用状況
(利用事業場数)
H9 H10 H11 H12 H13
546 1,344 2,189 2,648 2,924
(備考)
資料出所:労働福祉事業団調


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 安全衛生に関する自主的な取組を推進すること
有効性  安全衛生に関する事業場の自主的な取組を推進するためには、労働安全衛生マネジメントシステムの導入を通じた自主的な取組みを進めることが効果的であることから、当該手段に基づいて、広く周知・活用促進を行っているところであるが、現状においては、事業場より、指針策定年度である平成11年度で1,000人、指針策定後の平成13年度においても説明会の定員を満たす165人の受講者の参加がなされているところであり、当該手段については有効性が高いものである。
効率性  安全衛生に関する自主的な取組を推進するためには、労働安全衛生マネジメントシステムの導入を通じた自主的な取組みについて、数多くの事業場に対して普及を図ることが求められているところであるが、当該手段は一度に複数の集団を対象として説明を行うことができるものであり効率性が高いものである。
実績目標2 小規模事業場に対する安全衛生水準向上の支援を図ること
有効性  実績目標を達成するために実施している各手段については、例えば、平成13年度は2,924事業場が産業医共同選任事業を利用するなど活用されている。結果としての成果については、例えば、産業医共同選任事業を利用した事業場において健康診断受診率が向上するなどの効果があり、また、助成期間終了後も産業保健活動を実施する予定とした事業場が6割を超える(労働福祉事業団調べ)など、各手段は効果的に実施されており、今後も本手段を継続することにより、実績目標の達成に寄与することが期待される。
効率性  実績目標を達成するために実施している各手段については、例えば、支援等を行う団体が活用計画を策定するなど、実施に当たり効率性の高い手段となっている。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析  労働安全衛生マネジメントシステムについては、平成12年度労働安全衛生基本調査によると、事業所規模1000人以上の事業所では導入している事業所が25.7%、導入していないが今後導入予定ありの事業所が72.2%であるにもかかわらず、300人未満の事業所では導入している事業所が17.4%以下、導入していないが今後導入予定ありの事業所が31.8%以下であることから、大企業を中心として導入が進みつつあるものの中小規模事業場においては必ずしも導入が図られていない。
また、同調査によると、労働者1,000人当たりの業務上災害による被災率については、事業所規模1000人以上の事業所では3.57であるにもかかわらず、300人未満の事業所では11.31以上である。
他方、定期健康診断有所見率を事業場規模別に見ると、事業場規模1,000人以上39.09%、300〜999人41.99%、100〜299人45.32%、50〜99人48.37%、〜49人51.14%となっている。
これらのことから、小規模事業場における安全衛生水準については、大規模事業場に比べ概して低い状況にある。
施策手段の適正性の評価  現在講じている手段については、(1)労働安全衛生マネジメントシステム普及促進事業の指針説明会では、平成11年度、平成13年度の全ての説明会において参加者が定員に達していること、(2)産業医共同選任事業を利用した事業場において健康診断受診率が向上しており、また利用事業場数も年々増加していること等から、現在講じている手段については一定の効果をあげており、施策目標を達成するために有効である。また、それぞれの手段が適切に役割分担されて講じられている。
総合的な評価  安全衛生に関する自主的な取組、小規模事業場に対する安全衛生水準向上の支援に係る施策は、一定の効果をあげており、目標の達成に大きく寄与している。今後とも、現状分析、事業場のニーズ等を踏まえ、必要に応じて検討を行いつつ、事業を進めていくべきである。


3.政策への反映方針

 施策目標を達成するために適切な施策が実施されていることから、今後とも、労働安全衛生マネジメントシステムの普及促進、産業医共同選任事業の推進等により、安全衛生水準の一層の向上に努めることとする。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 小規模事業場における健康確保方策の在り方に関する検討会において、学識経験者に議論いただき、「小規模事業場における健康確保方策の在り方に関する検討会報告書」を平成13年9月に受けている。
(報告書より抜粋)
 地域産業保健センターにおいては、コーディネーターの資質の向上、産業保健推進センターとの連携の強化等により、事業の活性化を図り、各地域における小規模事業場の労働者の健康確保対策や労働衛生水準の向上を支援する中核的機関としての役割を担うことが期待される。
 また、法令に規定された対策はもとより、本報告において提言した小規模事業場の産業保健活動に関する指針(マニュアル)に基づく活動や、企業形態等に応じた多様な産業医活動の実施等の取組みにより、小規模事業場における産業保健活動がより一層実質的に前進することが期待される。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
なし


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