政策体系 | 番号 | |
基本目標 | 10 | 国際化時代にふさわしい厚生労働行政を推進すること |
施策目標 | 1 | 国際機関の活動に対し協力すること |
I | 国際労働機関が行う技術協力に対し積極的に協力すること | |
担当部局・課 | 主管課 | 大臣官房国際課 |
関係課 | 職業能力開発局海外協力課 |
1.施策目標に関する実績の状況
実績目標1 | 開発途上国における雇用開発、女性の就業・雇用機会の拡大に貢献すること | |||||||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) ILOへの任意拠出を通じて、ILO専門家等の活用により、以下のプロジェクトを実施する。
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(評価指標) プロジェクトの対象人数 (人) |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |||||||||||
− | − | − | − | 72 | ||||||||||||
(評価指標) プロジェクト参画者からの事業評価 |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |||||||||||
− | − | − | − | − | ||||||||||||
(備考)
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実績目標2 | 開発途上国の労働基準の向上のためのセミナー等を通じて、健全な労働環境の整備に貢献すること | |||||||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) ILOへの任意拠出を通じて、アジア・太平洋地域を対象として、以下のセミナー及び研修事業を行う。
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(評価指標) 参加者数 (人) |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |||||||||||
− | − | 75 | 81 | 304 | ||||||||||||
(評価指標) 参加者からの事業評価 |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |||||||||||
− | − | − | − | − | ||||||||||||
(備考)
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実績目標3 | アジア太平洋地域技能開発計画(APSDEP)への協力を通じて、アジア太平洋地域の職業能力開発の向上に貢献すること | |||||||||||||||
(実績目標を達成するための手段の概要) 任意拠出金を拠出し、APSDEPの事業活動等を支援するとともに、我が国において、我が国の有する経験、専門知識、施設等を生かしたセミナーの開催等の支援事業を実施する。
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(評価指標) 任意拠出金支出額(百万円) |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |||||||||||
19 | 21 | 19 | 21 | 19 | ||||||||||||
(備考) 評価指標は実際の拠出額であり、各年度、18万米ドルの拠出を前提としているが、為替変動により額が増減するもの。 |
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(評価指標) APSDEP活動数(セミナー、会議等の件数) |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |||||||||||
5 | 4 | 4 | 7 | 6 | ||||||||||||
(備考) APSDEP事務局の事業報告から集計したもの。APSDEPが実施しているインターネットを通じた情報提供、職業能力開発分野における調査研究等は、定量的な把握が困難であるため、上記活動数には含めていない。 |
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(評価指標) 支援事業の実施経費(百万円) |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |||||||||||
38 | 20 | 20 | 18 | 14 | ||||||||||||
(備考) (財)海外職業訓練協会の事業報告から支援事業に係る委託費の確定額を集計したもの。 |
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(評価指標) 支援事業の参加者数(人) |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |||||||||||
51 | 49 | 38 | 40 | 40 | ||||||||||||
(備考) APSDEP事務局、(財)海外職業訓練協会の事業報告から集計したもの。 |
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(評価指標) 支援事業の参加国数(国) |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |||||||||||
19 | 17 | 19 | 14 | 22 | ||||||||||||
(備考) APSDEP事務局、(財)海外職業訓練協会の事業報告から集計したもの。 |
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(評価指標) 支援事業の参加者満足度(ポイント) |
H9 | H10 | H11 | H12 | H13 | |||||||||||
― | ― | ― | ― | 4.54 | ||||||||||||
(備考) APSDEP事務局実施のアンケート調査結果(5段階評価)を集計したもの。(同調査がすべての支援事業で開始されたのは13年度からである。) |
2.評価
(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 | 開発途上国における雇用開発、女性の就業・雇用機会の拡大に貢献すること | |||
有効性 | フィリピン・タイ・インドネシア・ネパール等で同様の方法によるプロジェクトを実施した実績があり、開発途上国の自立性と持続可能な開発を確保する上で有効性が確認されている手法を用いており、雇用開発、女性の就業・雇用機会の拡大に対し効果的である。 なお、本事業は5年計画で実施しており、プロジェクトの成果については、今後、中間、最終評価によって確認する予定。年次報告書によると、現在プロジェクトは順調に進行していることが認められる。 |
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効率性 | プロジェクト実施に当たっては、ILOにおいて過去のノウハウを活かすのみならず、試行都市・地域のNGOを有効に活用し、効率的な運営を行っている。また、ILOは、毎年プロジェクト実施国政府・NGO等と協議の場を設け、プロジェクトの運営についての検討を行いあるいは中間評価や援助国である日本からの行政官派遣を受けてプロジェクト実施に係る確認を取るなど、常に効率的でオープンなプロジェクト運営を行っている。 | |||
実績目標2 | 開発途上国の労働基準の向上のためのセミナー等を通じて、健全な労働環境の整備に貢献すること | |||
有効性 | (1)については、日本との経済的な結び付きが強いアジア・太平洋地域開発途上国では、特有の歴史的・社会的背景のために中核的労働基準の実施が進んでいない現状がある。そこで、政労使代表を参加させて一体的に中核的労働基準の普及・啓発を図ることは、当該諸国における適正な雇用を促すことになり、有効であった。また、政労使三者を対象に行うことにより、バランスのとれた施策の推進が可能となり、アジア・太平洋地域全体における経済の安定的かつ均衡の取れた発展に資することができる観点からも非常に有効であった。 (2)については、児童労働の撲滅を図ることは世界共通の責務となっているが、アジア地域開発途上国では特に児童労働が深刻な問題となっている。そこで、ILO児童労働撲滅国際計画に基づき実施される様々なプロジェクトの事例等の情報提供を行うことにより、アジア地域の開発途上国の児童労働撲滅を促進させる機会を提供し、政労使それぞれが児童労働撲滅対策のノウハウや情報を得られることから、有効であった。 (3)については、アジア・太平洋地域の開発途上国の中小事業場では、@危険物の取扱い、A危険な生産機械、B重量物積載作業・単純繰返作業による骨格筋障害、C長時間不規則労働、劣悪な労働環境による危険等、多様な労働災害上の問題に直面している。そこで、ILOが長年のノウハウ・手段を反映して策定した「労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン」を域内の政労使に普及・啓発し、労働災害減少のための指標を示すことで、継続的かつ発展的な労働災害防止活動を行えることから有効であった。 (4)については、平成14年9月に「青年雇用サミット」が開催される等世界的に若年者の雇用問題について関心が高まっているところであるが、アジア・太平洋地域においても若年者雇用促進は重要な課題となっている。そこで、ILOの理念やノウハウに基づき、若年者雇用に関する政策やプログラムの策定、有用な若年者雇用対策のアウトラインの作成等を政労使の三者構成チームで行い、その成果を自国政策に反映することができることから、有効であった。 (5)については、アジア・太平洋地域開発途上国においては労働雇用政策の諸問題解決を行う人材が不足している。そこで、途上国の行政官がテーマに即した先進の受入れ国において労働・雇用政策の実情・制度・ノウハウを学ぶことで、既に実行されている有効な制度・ノウハウを実地で学んだり、研修員同士で情報・意見交換・交流を行うことで、労働雇用分野における人材を養成し、自国における自立性と持続可能な開発に資することができることから、有効であった。またプログラム評価レポートにおいても、研修員より、当プログラムから有効で理論的かつ実践的な知識が得られたと高い評価を得ている。 |
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効率性 | セミナーの実施に当たっては、ILOの持つ専門的知識やノウハウを活用して実践的で有用な内容で実施するだけでなく、ILOの特質を活かした政労使三者構成で実施することで、三者別々ではなく三者一体となってセミナー成果を生かせることからより効率的である。 | |||
実績目標3 | アジア太平洋地域技能開発計画(APSDEP)への協力を通じて、アジア太平洋地域の職業能力開発の向上に貢献すること | |||
有効性 | 任意拠出金は、APSDEPの事務局運営等の基本経費及び調査研究等の活動経費にも充てられていることに留意しつつ、活動数の推移をみてみると、増加傾向にあり、有効に活用されている。 支援事業については、、13年度、アジア太平洋地域のILO加盟国(26カ国)の8割を超える22カ国から40名の参加者が、我が国の有する職業能力開発分野における経験、知識等を学んでおり、有効に実施されている。また、支援事業のアンケート結果(13年度)によると、5段階評価で、平均4.54ポイントと高得点を得ており、高い有効性が認められる。 |
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効率性 | 任意拠出金は、APSDEPの事務局運営等の基本経費及び調査研究等の活動経費にも充てられていることに留意しつつ、拠出額とそれぞれの拠出年に実施された活動数を比較して、全体的な傾向をみてみると、一活動あたりの拠出金額は減少傾向となっており、効率化が図られている。 支援事業について、参加者数並びに参加国数あたりの実施経費をみてみると、いずれも減少傾向であり、効率化が図られている。特に、参加国数あたりの実施経費は、9年度から13年度にかけて3分の1まで減っており、地域プログラムのネットワークを活かし、二国間協力では難しい効率的な国際協力が推進できていることが認められる。
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(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析 | グローバル化が進展する中で、雇用・労働分野における諸問題は開発途上国の安定的で継続的な経済発展を妨げている主要因の一つともなっている。 特に、労働者の職業能力開発は、急速な技術革新、産業構造の変化に伴い、求められる職業能力が高度化していることから、先進国も含めた各国共通の重要課題となっている。一方、アジア太平洋地域開発途上国においては、未だ非常に脆弱な基盤しか備えていないため、このような諸問題を自立的に解決するための体制が十分ではない。 こうした状況において、アジア太平洋地域の安定的で継続的な経済発展に資するためには、雇用・労働分野において見識、ノウハウ等を豊富に有すグローバルな組織である国際労働機関の枠組みを活用することが効果的であることから、国際労働機関の行う技術協力に対する資金・技術両面での積極的な協力が重要となっている。 |
施策手段の適正性の評価 | 多国間機関に資金を拠出し、資金を拠出する援助国と支援を受ける受益国二国間(バイ)に多国間機関(マルチ)を介在させる形態を、マルチ・バイ方式という。アジア太平洋地域の開発途上国における雇用開発、健全な労働環境の整備や職業能力開発に貢献するためには、ILO等に資金を任意拠出し、マルチ・バイ方式で事業を実施することは、ILOの有する域内加盟国関係者との幅広いネットワークや長年にわたって蓄積してきた豊富な経験・ノウハウを利用できるとともに、援助国である日本が二国間で直接支援を行う場合と同様に、事業の企画・実施の全段階を通して積極的に関与することができるので、我が国として資金を効率的に活用できる。 また、二国間協力と違い、一度に複数の国を対象にした事業を実施することができることから、広い波及効果が期待でき、効率的かつ適正な施策手段といえる。さらに、政労使三者構成が原則であるILOの中立的性格が、開発途上国の政府のみならず労働者及び使用者双方からも受け入れやすく適正に事業が遂行できるというメリットもある。 |
総合的な評価 | ILOやAPSDEPを通じた本事業は、国際機関の豊富なネットワークと専門知識、ノウハウに加え、加盟国同士が相互に協力し合う仕組みにより、二国間協力ではカバーできない国々を含め、アジア太平洋地域の雇用・労働分野における諸問題の解決に関して、幅広くかつ効率的に貢献している。 我が国の協力についても、APSDEP支援事業のアンケート調査で、セミナー等開催に際する事前の情報提供や開催日数の増を求める声も見られるなど、個々の活動の進め方については改善の余地があるものの、全体として、各国政府及び労使団体より高い評価を得ており、国際機関の活動に協力し、国際化時代にふさわしい厚生労働行政を推進する目標の達成に貢献している。 |
3.政策への反映方針
アジア太平洋地域において、かつて開発途上国であったブルネイ・シンガポール・韓国が中進国となり、マレイシア・タイなどはこれに近づきつつあり、自国での雇用・労働問題対策事業を行えるようになったことは、各種の支援事業の成果とも言えるが、アジア太平洋地域には未だ社会基盤が脆弱で、自立的で持続可能な開発を行えずにいる国が多い。今後は、グローバル化による地域経済統合を念頭に置いて、雇用・労働分野において地域経済の活性化に資する事業を優先し、またはそのための重点分野の絞り込み等を行うとともに、これまでの経験を踏まえ個々の改善点に取り組みつつ、引き続きノウハウと実績のあるILOやAPSDEPを通じて雇用・労働分野における支援を行っていくことが重要である。 |
4.特記事項
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