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(1−5−V)
実績評価書
平成14年9月

政策体系 番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標 感染症など健康を脅かす疾病を予防・防止するとともに、感染者等に必要な医療等を確保すること。
V 適正な臓器移植の推進等を図ること
担当部局・課 主管課 健康局疾病対策課臓器移植対策室
関係課  


1.施策目標に関する実績の状況

実績目標1 臓器移植法に基づく適正な臓器移植の普及を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
(1) 眼球以外の臓器については(社)日本臓器移植ネットワークが、眼球については全国52のアイバンクが、それぞれ普及啓発・連絡調整等のあっせんを行っている(ネットワークの事業・アイバンクの設備整備への国庫補助を実施)。
(2) 毎年10月を臓器移植普及推進月間と位置付け、各都道府県等の協力の下、国民大会を実施するなど、重点的に普及啓発事業を展開している。
(3) 平成13年度には、臓器提供者(ドナー)適応基準及び移植希望者(レシピエント)選択基準(平成9年10月16日健医発第1371号)の改正を行った。
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
臓器提供意思表示カード・シールの配付枚数          
  カード(単位:千枚) 4,668 32,860 21,296 10,454 6,864
保険証用シール(単位:枚) 3,932,890 7,437,755 428,290 1,736,355
運転免許証用シール(単位:枚) 456,800 231,550 185,000 359,736
心臓移植実施件数(単位:件) 1 3 6 3
肺移植実施件数(単位:件) 2 4 4
肝臓移植実施件数(単位:件) 1 3 7 5
腎臓移植実施件数(単位:件) 166 158 148 126 161
膵臓移植実施件数(単位:件) 0 3 4
小腸移植実施件数(単位:件) 0 1 0
角膜移植実施件数(単位:件) 1,748 1,721 1,591 1,525 1,494
(備考)
 臓器移植法の施行は平成9年10月(同法施行前は、角膜及び腎臓の移植に関する法律により、角膜及び腎臓の移植が行われていた)。
資料出所:(社)日本臓器移植ネットワーク(角膜移植数については財団法人日本眼球銀行協会)
実績目標2 造血幹細胞移植の普及を図ること
(実績目標を達成するための手段の概要)
(1) 造血幹細胞移植のうち、骨髄移植については(財)骨髄移植推進財団が普及啓発・連絡調整等のあっせん業務を行っている。さい帯血移植については、全国で10のさい帯血バンク(うち宮城さい帯血バンクは平成14年3月に追加)がさい帯血の採取・分離・保存を行っており、各バンクの連合体である日本さい帯血バンクネットワークがホームページ上で保存さい帯血の公開や普及啓発を行っている。(骨髄移植推進財団、地方公共団体及び日本赤十字社に国庫補助)
(2) 毎年12月を「骨髄バンク推進月間」と位置付け、各都道府県等の協力の下、重点的に普及啓発事業を展開している。
(3) 平成13年8月には、骨髄移植のドナー確保等のため、移動献血併行型ドナー登録会の普及に向けて地方公共団体や各省庁に対して通知を発出した。
(4) 平成14年3月、厚生科学審議会疾病対策部会に造血幹細胞移植をめぐる課題を検討するための委員会を新たに設置した。
(評価指標) H9 H10 H11 H12 H13
骨髄提供希望登録者数(人) 94,822 114,354 127,556 135,873 152,339
うち新規登録者数(人) 15,990 23,719 18,677 15,671 24,661
骨髄移植実施件数(件) 403 482 589 715 749
保存さい帯血公開個数 4,343 8,384
さい帯血移植実施件数 114 169 221
(備考)
公的さい帯血バンクを介した移植の実施は平成11年度から開始。
なお、移植実施件数については、骨髄移植・さい帯血移植とも公的バンクを介したものに限る。保存さい帯血公開個数については公的バンクで保存・公開されているものに限る。
資料出所:(財)骨髄移植推進財団、日本さい帯血バンクネットワーク


2.評価

(1) 実績目標の達成状況の評価
実績目標1 臓器移植法に基づく適正な臓器移植の普及を図ること
有効性
(1) 臓器提供意思表示カード・シールを所持する者の数の増加は、臓器移植に関する意思表示を行う者の増加につながり、ひいては我が国における臓器移植の普及につながる。平成13年度における配付枚数は、前年度比でシールは341.7%と伸びているが、カードについては65.7%と減少している。
(2) 平成13年2月より、腎臓・角膜については遺族の承諾のみで提供できることについて普及を図っているが、腎臓移植の実施件数は前年度126件から161件となっており、今後とも関係者の理解を深めるための普及啓発に努めることとする。
(3) ドナー適応基準の改正等運用上の課題に適切に対処することにより、移植医療に対する国民の信頼を確保し、その普及に資することとなるものと認められる。
効率性  日本臓器移植ネットワークにおいては、臓器提供意思表示カード等の配付・補充は、配布先として協力いただいている各都道府県の保健所や運転免許試験場等からの連絡を待って行っているのが主であるが、平成13年度においては、結果としてカードの配付枚数は前年度に比べて減少している。
実績目標2 造血幹細胞移植の普及を図ること
有効性
(1) 新規骨髄提供希望登録者(ドナー登録者)数については年度ごとに差があるが、平成13年度は過去最高の24,661人(前年度比157.4%)となっており、献血併行型登録会の普及等による効果があったものと推測できる。
 一方、現在骨髄バンク事業においては、ドナー登録者30万人を目標としているが、平成13年度末のドナー登録者数は152,339人と半分程度であることから、今後とも一層の普及に努める必要がある。
 また、骨髄移植の実施件数は、着実に増加している。
(2) 保存さい帯血公開個数については、平成13年度の保存さい帯血公開個数は8,384個となっているが、現在さい帯血バンク事業においては2万個を目標として保存さい帯血の整備を進めており、今後とも着実な整備に努める必要がある。
 また、さい帯血移植の実施件数は、着実に増加している。
(3) 造血幹細胞移植をめぐる課題を検討する公開の委員会を設け、委員会における議論を踏まえてそれらの課題に適切に対処していくことは、造血幹細胞移植医療に対する国民の信頼を確保し、その普及に資することとなるものと認められる。
効率性
(1) 1回当たりの登録者数(平成13年度実績)で見ると、献血併行型登録会は11.5人と、集団登録説明会の22.5人に比べて少ないものの、各都道府県等で実施される移動献血の機会に併せて登録会を開催できるため普及しやすく、より効率的に普及が図られたものと推測できる。
(2) さい帯血については、保存さい帯血公開個数2万個の目標に向けて増額した予算を着実に事業化し、保存さい帯血公開個数・移植件数の増加を実現している。

(2) 施策目標の達成状況と総合的な評価
現状分析
(1) 臓器提供意思表示カード等の配付枚数は平成13年度末までの累計で、カード76,141,921枚、運転免許証用シール1,233,086枚、医療保険の被保険者証用シール13,535,290枚。
(2) 臓器移植については、あっせん機関に登録して移植を待つ人の数(14.6末日)は、心臓62名、肺49名、肝臓50名、腎臓12,870名、膵臓58名、眼球(角膜)5,390名であり、移植を待つ人数に比べて年間の移植実施数は少ないものとなっている。
(3) 平成13年度末の数字で、ドナー登録者数は152,339人、保存さい帯血公開個数は8,384個。
(4) 骨髄移植については、新規登録患者のうち、ドナー登録者とHLA型が適合する率が約90%となっており、平成12年度においてHLA型適合ドナーが発生せずに待機している患者は約400名となっている。
(5) 臓器移植・造血幹細胞移植ともに、あっせん機関の安定的な運営が課題。
施策手段の適正性の評価  移植医療は、あくまで臓器や造血幹細胞の提供者本人の善意に基づくものであることから、移植医療の定着のためには国民の理解を深めることが重要であり、移植医療についての普及啓発に資する現行の施策手段は適正であると認められる。
総合的な評価  臓器移植・造血幹細胞移植の普及に、一定の効果はあったと思われる。
 今後とも引き続き現行の施策を実施するとともに、運用上の課題に適宜対応することなどにより、国民の移植医療に対する信頼を確保しながら、その普及に努めてまいりたい。


3.政策への反映方針

 より効果的な臓器提供意思表示カード・シール等の普及に向けて、日本臓器移植ネットワークに対して配付方式の工夫を求める等の働きかけを検討。
 若年世代への臓器移植・造血幹細胞移植の普及啓発に資するため、平成14年度において中高生向けのパンフレットを作成し、配付する予定。
 なお、平成14年度より、
 脳死下臓器提供を行った施設に対する支援事業
 献血併行型ドナー登録会の開催経費に係る国庫補助
を開始している。


4.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
@ 臓器移植をめぐる運用上の課題については、適宜、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会での検討を行っていただいている。
A 造血幹細胞移植をめぐる課題を検討するため、平成14年3月、厚生科学審議会疾病対策部会に、新たに造血幹細胞移植委員会を設置した。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
なし

(5)会計検査院による指摘
なし


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