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事業評価書(
事前
・事後)
平成14年9月

評価対象(事務事業名) 母子家庭の母等に対する試行雇用支援事業の実施
担当部局・課 主管課 職業安定局雇用開発課
関係課 雇用均等・児童家庭局家庭福祉課


1.事務事業の内容

(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標 労働者等の特性に応じた雇用の安定・促進を図ること
V 就職困難者等の円滑な就職等を図ること

(2) 事務事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
 常用雇用の希望があるにもかかわらず、通常の求職活動では就職の困難が予想される母子家庭の母等で公共職業安定所に求職申し込みをしている者を対象に、求職者及び求人者が相互に十分な理解ができる期間を確保することを目的とした試行雇用を実施し、その推進のために、母子家庭の母等を試行雇用により雇い入れた事業主に対し母子家庭の母等試行雇用奨励金を支給する。
予算額 (単位:百万円)
H11 H12 H13 H14 H15
813

(3) 問題分析
(1)現状分析
 母子家庭の母等は、未成年の子供を扶養する等のために、生計の担い手として緊急に就業の必要が生じている場合が多いが、母子家庭の母等の就業状況を見ると、母子世帯95.5万世帯中13万世帯が不就業となっており(厚生労働省雇用均等・児童家庭局「平成10年度全国母子世帯等調査」)、このような未就業の者に対する早期就職のための支援が喫緊の課題となっている。
 また、母子世帯になる前の状況を見ると、就業していなかった者の割合は38.2%であり(日本労働研究機構「母子世帯の母への就業支援に関する調査」)、就職の準備が十分でなく未就業期間のある者が多くなっている。
(2)原因分析
 母子家庭の母等は、長い間家庭にあって職業経験も乏しい者や、職業人として自立できる職業技能、技術を持たない者も多く、また、未就業期間の存在からの心理的不安を抱いている場合も多い。加えて、未成年の子供を扶養すること等による様々な制約により、十分な収入を得ることができる職業への就職が困難となっている。
(3)問題点
 母子家庭の母等の円滑な就職に際し、求職者及び求人者の間で相互に十分な理解がなされていないことが問題となっている。またこれらの者を雇い入れる事業主の負担が大きいことも問題である。
(4)事務事業の必要性
 母子家庭の母等の円滑な就職を図るために、試行雇用を実施し、求職者と求人者が相互の理解を深めるため十分な時間を確保し、安定した雇用へと結びつけることが重要である。また、試行雇用を実施してこれらの求職者を雇い入れる事業主の負担が大きいため、奨励金の支給により事業主の負担を軽減することが必要である。
(5)これまでの評価結果の反映
 関連する政策体系の施策目標「4−3−V 就職困難者等の雇用の安定・促進を図ること」の実績評価において、母子家庭の母等に対して、試行雇用を通じた早期就職を支援するため、母子家庭の母等に対する試行雇用支援事業を新規事業として要求することとしている。

(4) 事務事業の目標
目標達成年度(又は政策効果発現時期) 平成15年度
アウトカム指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
試行雇用を経由して就職した件数            
(説明)
(モニタリングの方法)
 都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計
アウトプット指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
母子家庭の母等試行雇用奨励金支給決定件数            
(説明)
 母子家庭の母等試行雇用奨励金が支払われた人数
(モニタリングの方法)
 都道府県労働局からの報告を職業安定局にて集計


2.評価

(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 母子家庭の母等については、職業的自立に向けたきめ細やかな支援を行い、母子家庭の生活の安定を図ることは、公益性が高く、行政の関与が必要である。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 母子家庭の母等は就職困難者であり、試行雇用の実施に際しても国が公共職業安定所で行う職業紹介の一環として、きめ細かな相談、援助などを行う必要がある。
民営化や外部委託の可否
(理由)
 母子家庭の母等は、就職困難者であり、労働市場において十分な需給調整機能が期待されないものであり、職業紹介の一環として国が主体となって実施する必要がある。
緊要性の有無
(理由)
 母子家庭の母等は、未成年の子供を扶養するなど求職・就業条件の様々な制約があるほか、就業経験が乏しく技能も十分でないといった理由により、十分な収入を得ることができる職業への就職が困難となっており、早急な対応が求められる。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 試行雇用の受入れ可能な企業へ対象者を紹介→就業機会の確保→相互の理解の促進→常用雇用の実現
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 本事業の実施に伴い、母子家庭の母等が試行雇用を経ることにより、その期間を通じて新たな職場への適応を進め、試行就業期間終了後には、常用雇用への移行を図ることにより、就業機会の確保に資することが期待される。
 なお、平成15年度は5,422人を対象として試行雇用を実施する予定である。
 また、本事業は、母子家庭の母等に対して試行雇用を通じた早期就職を支援することで、経済的な面から子育てを支援することにつながり、職場など社会全体で子育てを支援することになるため、「新重点4分野」の「人間力の向上・発揮」に資すると考える。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 なし


(3) 効率性
手段の適正性
 現在でも就業意欲のある母子家庭の母等については、公共職業安定所等において職業相談等を実施しているが、早期就職は非常に困難であり失業状態における求職活動期間が長期化する傾向にある。この原因には、本人の心理的な不安や職業経験の乏しさがあり、本事業はこれらの者に対して、事業主の雇入れに係る不安を払拭し、事業主が期待する技能を有し、常用雇用が可能かを見極めるため、制度趣旨に理解ある企業等の協力の下で一定期間の試行雇用を行うものであり、手段として適正である。
効果と費用との関係に関する分析
 母子家庭の母等は緊急に就職を図る必要があるが、未成年の子供を扶養するといった制約や職業経験が不十分であるといった理由により早期の就職が困難であり、安定した雇用確保のためには、求職者と求人者が相互理解を深められる試行雇用の実施と、事業主の負担軽減のための助成が有効である。これまで障害者等を対象とした試行雇用により、多くの者が常用雇用に移行できていることから、本事業の実施により813百万円の費用がかかると見込まれるが、母子家庭の母等の就職の促進を効率的に進めることが期待できる。
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
(有の場合の整理の考え方)

(4) その他
 母子家庭の母等が早期就職できる環境整備のための事業は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(平成14年6月25日閣議決定)において掲げられている新重点4分野の「(3)公平で安心な高齢化社会・少子化対策」のうち、「保育所待機児童ゼロ作戦の推進などに加え、地域・職場など社会全体で子育てを支援」に該当するため、優先性を有すると考える。


3.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし

(5)会計検査院による指摘
 なし


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