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事業評価書(
事前
・事後)
平成14年9月

評価対象(事務事業名) 基盤人材に係る求人情報の効果的収集・提供
担当部局・課 主管課 職業安定局産業雇用構造調整室
関係課  


1.事務事業の内容

(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること
施策目標
雇用機会を創出するとともに雇用の安定を図ること
I 中小企業、新規・成長分野企業等における雇用機会を創出するとともに労働力の確保を図ること

(2) 事務事業の概要
事業内容( 新規・
一部新規
 中小企業における雇用機会の創出及び雇用管理の改善を図るため、中小企業労働力確保法に基づく雇入れ助成等の助成措置だけでなく、その他のソフト面での支援措置を充実させる中で、雇用機会の創出・雇用管理の改善のための普及啓発を行うために、(1)ベンチャー企業等の中小企業による事業主懇談会を開催し、中小企業事業主の指針となるガイドブックを作成・配布する事業、及び、(2)中小企業団体を対象としたフォーラムを開催する事業の他、新たに(3)雇用・能力開発機構都道府県センターにおいて、中小企業労働力確保法に基づく助成措置に係る実施計画の申請等の際に収集した中小企業の経営基盤の強化に資する人材ニーズを、求人情報として「しごと情報ネット」に登録し、求職者に情報提供する事業を実施することにより、中小企業の経営基盤の強化に資する人材の確保を促進する。
予算額 (単位:百万円)
H11 H12 H13 H14 H15
5 4 123 123 339(218)

(3) 問題分析
(1)現状分析
 平成13年12月に失業率が過去最高水準を記録するなど、仕事を求める失業者が数多く労働市場に存在するにも関わらず、東京商工会議所中小企業委員会が平成14年2月に行ったアンケート調査によれば、中小企業が最も不足していると感じている経営資源について、「人材」と回答した者は66%であり、さらに、人材の中でも、技術者(21%)や熟練技能者(16%)のような経験者・専門的な知識を有する者を求めている。このことから、中小企業の経営基盤の強化に資するような人材に係るニーズが高いにも関わらずそのニーズは満たされていない状況が伺われる。
(2)原因分析
 ベンチャー企業等の中小企業は、基盤人材に係る人材ニーズを有している場合であっても、当該求人ニーズについては、求職者に幅広くかつ効果的に提供されておらず、情報のミスマッチが発生していると考えられる。
(3)問題点
 これら情報のミスマッチが発生する原因には、求人側の要因としては、ベンチャー企業等の中小企業が公共職業安定所に足を運ぶ余裕のないことや募集・採用のノウハウの不足等が考えられる。
(4)事務事業の必要性
 中小企業労働力確保法に基づく助成措置の実施機関である雇用・能力開発機構においては、助成措置等に係る相談業務を通じ、公共職業安定所で把握しえない中小企業の基盤人材に係る求人ニーズを把握することが可能である。これらのニーズを具体的な求人として顕在化し、「しごと情報ネット」を通じて、求職者に対し効果的に情報提供を行うことにより、ベンチャー企業等の中小企業における雇用機会を創出するとともに労働力の確保を図る。
(5)これまでの政策評価の反映
 平成14年9月に行った施策目標4−2−I「中小企業、新規・成長分野企業等における雇用機会を創出するとともに労働力の確保を図ること」に対する実績評価において「(前略)助成金の効果的な活用を図るため、求職者に対し、基盤人材に係る求人情報を効果的に収集・提供するスキームについて検討する。」としている。

(4) 事務事業の目標
目標達成年度(又は政策効果発現時期) 政策効果発現時期は、実施以後随時
アウトプット指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
「しごと情報ネット」に提供した求人数            
(説明)
雇用・能力開発機構が「しごと情報ネット」に提供した求人数
(モニタリングの方法)
月1回、雇用・能力開発機構において集計を行う。
求人情報へのアクセス件数            
(説明)
 「しごと情報ネット」に雇用・能力開発機構が提供した求人に対するアクセス件数
(モニタリングの方法)
 月1回、「しごと情報ネット」の参加機関MyPageで、アクセス状況を確認する。


2.評価

(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 事業主が求人情報を提供する手段は多いほど望ましいため、官民あげて求人情報の提供に取り組む必要があるが、本事業については、中小企業労働力確保法に基づく助成金の支給対象となる基盤人材に係る求人情報を中心に収集することとしており、中小企業労働力確保法の助成措置の活用にもつながることから、雇用対策の一環として、国が実施する必要がある。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 雇用機会の創出については、全国一律的な支援策を実施する国と各地方の中小企業の実情、ニーズを把握している都道府県が連携、協力し、進めることが効果的であることから、中小企業労働力確保法に基づく助成措置は、国の雇用対策と都道府県の中小企業振興施策・雇用施策との連携・協力の下、具体的なノウハウを有する厚生労働省の外郭団体である雇用・能力開発機構が実施することとしている。
民営化や外部委託の可否
(理由)
 事業主が労働者の職業の安定のために講ずる措置等に関して行う助成及び相談、その他の援助等の業務の実施について実績があるという観点から、雇用・能力開発機構法第19条第1項第6号及び中小企業労働力確保法第8条により、中小企業労働力確保法に基づく助成措置は雇用・能力開発機構で行っており、その助成の対象となる雇用管理の改善に係る措置の実施計画の申請にあわせて求人情報の収集を行う本事業についても、実務上、雇用・能力開発機構に行わせることが適当である。
緊要性の有無
(理由)
 国民生活審議会総合企画部会雇用・人材・情報化委員会により、平成14年7月に取りまとめられた報告書において、「国民生活の視点からみた雇用をめぐる政策のあり方」の具体的方策として、「労働市場で雇用を保障する仕組みの整備」の1つに「雇用の創出」があげられており、起業支援の必要性、その際に「資金面の支援だけでなく、(中略)相談業務等で知識、情報面の支援を充実させることが重要である。」と謳われている。したがって、雇用創出にあたり、中小企業の経営基盤の強化に資する人材の雇入れを資金面からではなく、ソフト面から支援するために、このような人材に係る求人情報について、早急に求職者に対し情報提供を行う必要がある。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 中小企業労働力確保法に基づく助成金に係る相談等の際に、中小企業の経営基盤の強化に資する求人情報を収集 → 「しごと情報ネット」に登録 → 求職者への求人情報の提供 → 中小企業に対する求職者の就職活動の円滑化 → 中小企業の経営基盤の強化に真に必要な人材確保の促進 
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 事業の実施に伴い、知名度が低いことから十分な採用活動がなしえなかったベンチャー企業等の中小企業にとって、求人情報を提供する求職者の範囲が広がり、求職者の認識の向上及び当該中小企業への就職活動の円滑化が図られることから、これら中小企業の人材確保の促進が期待される。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 


(3) 効率性
手段の適正性
 中小企業労働力確保法に基づく助成措置の相談等の際に、あわせて、求人情報の登録を行うことにより、雇用・能力開発機構における人材確保の取組みを、助成措置と一体として効率的に実施することが可能であることから、手段として適正である。
効果と費用との関係に関する分析
 本事業は、(1)中小企業労働力確保法に基づく助成措置の相談等の際に、あわせて中小企業の求人情報を収集することが可能であること、(2)この情報を既存の「しごと情報ネット」を活用してインターネットで効率的に提供できることから、効率的な手段と考えられる。
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
 

(4) その他
 




3.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 国民生活審議会総合企画部会雇用・人材・情報化委員会により、平成14年7月に取りまとめられた報告書において、「国民生活の視点からみた雇用をめぐる政策のあり方」の具体的方策として、「労働市場で雇用を保障する仕組みの整備」の1つに「労働力需給マッチング機能強化」があげられており、「マッチング機能強化においてITの役割は大きく、個人へのインターネットサービスの充実等ITを十分に活用する必要がある。」と謳われている。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 平成14年6月25日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」において「厚生労働省は、(中略)官民による労働力需給調整機能の強化など、離職者の再就職インフラを強化する。」と謳われている。

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし

(5)会計検査院による指摘
 なし


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