事業評価書( |
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・事後) |
評価対象(事務事業名) | キャリア・コンサルティングの充実強化 | |
担当部局・課 | 主管課 | 職業安定局業務指導課 |
関係課 |
番号 | ||
基本目標 | 4 | 経済・社会の変化に伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること |
施策目標 |
1 | 労働力需給のミスマッチの解消を図るために需給調整機能を強化すること |
I | 公共職業安定機関における需給調整機能を強化すること |
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公共職業安定所の利用者のうち、特に職業生活全般に及ぶ相談を行う必要のある者に対してキャリア・コンサルティングを行うことができる体制を整備するとともに、就職活動全般において集中的な支援を要する者に対して一定期間集中的に各種サービスを提供するもの。
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予算額 | (単位:百万円) | |||||||||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | ||||||
− | − | − | − | 2,994 |
(1)現状分析 リストラ等によって突然離職を余儀なくされたことによって職業生活設計の根本的な見直しを迫られている者が増えているが、これらのリストラ等による離職者は、長期失業に陥りやすい。(本人都合、定年等による離職者のうち1年以上の長期失業者の割合が24%であるのに対し、リストラ等による離職者のうち1年以上の長期失業者は33%となっている。) (2)原因分析 中高年齢者を中心とするリストラ等による失業者は、これまで終身雇用慣行の中で職業生活設計を行ってきたことから、突然の状況変化に対応することができず、従前の仕事内容や賃金レベルにこだわるなど職業生活設計が曖昧なまま求職活動を行うため、長期失業に陥っていると考えられる。 (3)問題点 急増する求職者に対応するため、民間職業紹介機関の利用も促しているが、民間職業紹介機関の分布には地域的な差があり、また、採算ベースにのらない求職者については就職あっせんが難しいケースも存在しているところである。このため、公共機関による対応が求められるが、現状においては、職業生活全般にわたる相談が必要な者等への綿密なコンサルティング等のケアが不十分となっている。 (4)事務事業の必要性 集中的支援の必要な者であって、民間職業紹介機関で対応しきれない求職者には、職業生活設計の根本的な見直しを含む職業生活全般にわたる綿密なコンサルティング等が必要であることから、これらの者の再就職を促進する上で、キャリア・コンサルティングや集中的な就職活動支援を提供する当該事業は必要である。 (5)これまでの評価結果の反映欄 関連する政策体系の施策目標「4−1−I 公共職業安定機関における需給調整機能を強化すること」の実績評価において、求職者に対して、職業生活全般にわたる綿密なキャリア・コンサルティングを受けられるようにすることで、意欲・能力がある個人を支援するため、キャリア・コンサルティングの充実強化を新規事業として要求することとしている。 |
目標達成年度(又は政策効果発現時期) | 実施(平成15年度)以後随時、効果の発現が見込まれる。 | |||||
アウトプット指標 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | 目標値/基準値 |
キャリアカウンセリング対象者数 | ||||||
キャリア交流事業参加者数 | ||||||
(説明) | (モニタリングの方法) 都道府県労働局からの報告による。 |
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
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(理由) 我が国の労働市場は、官民が相互に補完しつつ全体として一つの市場を形成しているものであるが、この中で国はセーフティネットとして憲法に規定する勤労権をあらゆる者に対して保障する必要があり、労働市場のうち民間職業紹介機関の活動のみでは網羅できない分野についても国の責任で円滑に需給調整を行う市場を確保する必要がある。 このため、民間のみでは対応できない部分について、職業紹介の一環として中高年齢者等に対してキャリア・カウンセリングの強化を行うものであり、国が行う必要がある。 |
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国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
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(理由) 国で行うこととなっている職業紹介の一環として全国一律に行うものであるため、国が直轄実施する必要がある。 |
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民営化や外部委託の可否 |
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(理由) 国がセーフティネットとして提供するとともに、民間職業紹介機関を活用して実施できる部分は外部へ委託して実施することとしている。 |
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緊要性の有無 |
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(理由) リストラ等による失業も多くなっており、早急に実施する必要がある。 〈参考〉非自発的失業の増加(総務省「労働力調査年報」より) 単位:万人
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政策効果が発現する経路 |
キャリア・コンサルティング及び集中的な就職活動支援の実施→支援の対象者が具体的な求人に応募→各種支援により得た職業生活設計、面接の受け方、職務経歴書の書き方等の知識を活用→就職の実現 |
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 |
今後、キャリア・コンサルティング及び集中的な就職活動支援により、積極的かつ的確な求職活動が可能となり、そのままでは再就職が困難であった者の再就職が促進される。 また、本事業は、求職者に対して、職業生活全般にわたる綿密なキャリア・コンサルティングを受けられるようにすることで、意欲・能力がある個人を支援することから、「新重点4分野」の「人間力の向上・発揮」に資すると考える。 |
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 |
経済状況の動向による求人数等の変動が再就職の可否に影響する。 |
手段の適正性 | ||||
本事業を実施しなければ、突然のリストラに対処できない等の職業生活全般に及ぶ相談が必要な者が再就職できない状態が続くこととなる。全面的に民間職業紹介機関に任せることとすると、将来的に自力での採用が見込まれない者への対応が担保できず、また、民間職業紹介機関が少ない地域では十分な対応が担保できない。 このため本事業では、キャリア・コンサルティング及び集中的な就職活動支援について、民間職業紹介機関を活用しつつ、国で実施することとしているものであり、手段として適正であり、また、他の代替手段は考えられない。 |
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効果と費用との関係に関する分析 | ||||
失業期間の長期化を招いている原因には、労働市場の現状に対する認識不足や就職活動における技術不足などがあるが、キャリア・コンサルティング等を実施することにより、低いコストで早期再就職を実現することが期待できる。 | ||||
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) |
本事業は、求職者に対して、職業生活全般にわたる綿密なキャリア・コンサルティングを受けられるようにすることで、意欲・能力がある個人を支援するものであるため、「新重点4分野」の「人間力の向上・発揮」に資することから優先性を有すると考える。 |
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 「労働者が自らの能力と適性を的確に把握し、これに基づいて主体的な選択を行い うるようにするためには、社会的インフラのひとつとしての能力等に関する相談・ 評価機能を各人からみたアクセスしやすさも視野に入れつつ整備することが必要で ある。こうした観点から、企業の内外いずれにおいても各人が必要なときにキャリ アコンサルティングが受けられる体制の整備が重要」(「雇用政策の課題と当面の 展開」平成14年7月雇用政策研究会)。 (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002(平成14年6月25日閣議決定) 2.6つの戦略、30のアクションプログラム (1)人間力戦略 (高齢者、女性、若者等がともに社会を支える制度の整備) 「厚生労働省は、民間活用によるキャリアカウンセリングを促進する。」 (3)総務省による行政評価・監視等の状況 なし。 (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) なし。 (5)会計検査院による指摘 なし。 |